兄「お前は妹だろ」
妹「違うよ。お姉ちゃんだってば」
兄「はぁー。親父の酒でも飲んだのか?」
妹「やだなー、お酒なんか飲んでないよ。兄君ったら頑固なんだから。もっと臨機応変な対応できなきゃもてないぞ」
兄「わかったからもう寝ろ。明日になりゃ酒も抜けるだろ」
妹「だから飲んでないってば」
兄「はいはい」
次の日
妹「おはよう兄さん」
兄「おっす。……酒は抜けたみたいだな」
妹「何の話?」
兄「いや昨日お前が酔っ払って『お姉ちゃんだよー』なんて言い出したからさ」
妹「は?私昨日は早く寝たしお酒なんて間違っても飲もうなんて思わない。兄さんの夢だったんでしょ」
兄「…俺間違いなく起きてたんだけどな」
妹「夢と現実が混ざることだってあるでしょ」
兄「でもなぁ……」
妹「第一なんで私が姉になるの。意味わかんない」
兄「それは俺も思った」
妹「ったく兄さんの変な夢に私を巻き込まないでよね」
兄「…なんだよ俺はお前が酔ってたみたいだから心配しただけだろ」
妹「だからそれはただの夢でしょ。常識的に考えて私がお酒飲むわけないでしょ」
兄「万が一って事もあるだろ」
妹「億に一つだってありえない」
兄「お前本当可愛くないな」
妹「兄さんの目が可笑しいんじゃない?」
兄「…………」
妹「言い返せなくなったらだんまり?妹にすら勝てないなんて本当情けない」
兄「うるせえ!」
妹「大声出さないでよ。怒鳴ることでしか強さを誇示できないなんて余計弱そうに見える」
兄「てめえもう黙れ」
妹「言われなくても。もう学校行く時間だし。学校で話しかけたりしないでね」
兄「そっちこそ」
学校
妹「……」
兄「……」
妹友「兄先輩、こんにちわ」
兄「やぁ。二人は次移動教室?」
妹友「はい、音楽なんです」
兄「へえ。妹は子供の頃から歌が苦手だったからな。頑張れよ」
妹「ふん」
兄「……」
妹友「あ、あの……私達行きますね」
兄「あ、ごめんね引き止めちゃって。ばいばい」
妹友「失礼します」
ブーブー
兄(妹からメールとか珍しいな)
妹『学校で話しかけないでっていう簡単な日本語すら理解できないの?』
兄「……」イラッ
ブーブー
兄『第三者がいる場所では普通にするべきだろ。お前社会不適合者か』
妹「……」イラッ
ブーブー
兄友「なんださっきからひっきりなしにメールして。彼女でもできたか?」
兄「違う違う。妹」
兄友「何だ何だ兄妹仲良しですってアピールかwwww」
兄「そんなんじゃないよ」
ブーブー
兄『お前みたいな妹いらなかったんだよ』
妹「……」
帰宅後
兄「ただいまー」
母「お帰り。すぐ夕飯にするから着替えてきなさい。ついでに妹もよんできて」
兄「……へーい」
兄「…………おい、妹」
妹「あっ、兄君帰ったの?お帰り」
兄「……お前また飲んだのか」
妹「飲んでないってばー。兄君ったらお姉ちゃんの言うことが信用できないの?」
兄「だからお前は妹だろうが。俺が兄でお前が妹。それ以外に兄妹はいない」
妹「いるよ。兄君が知らないだけでお姉ちゃんはちゃんと存在したんだよ」
兄「……」
妹「私は誰にも知られなかったけど確かに存在した。兄君の姉になるはずだった。それに兄君に本当は妹なんかできないはずだったんだよ」
兄「……それ、どういう…」
母「兄ー!妹ー!いい加減来ないとご飯冷めちゃうわよ!」
兄「あっ……」
妹「……親の前ではちゃんと妹でいてあげるよ。お兄ちゃん」
兄「…………」
妹「いただきます」
兄「……いただきます」
母「兄?どうかしたの?」
兄「いや……、母さん、あのさ…、俺に姉なんていないよな?」
妹「……」
母「何言ってんの私が産んだのは兄と妹の二人だけ。何?今更姉が欲しいなんて幼稚園児のお願い事みたいなこと言い出すの?」
兄「違う!…ちょっと確認したかっただけだから」
母「全く何言ってんのかしら。ねえ妹?」
妹「……あー、うん。そうだね。今日あんまりお腹すいてないからもういいや。ごちそうさま」
母「あら、そう?具合でも悪いの?」
妹「何でもない。……後で部屋に来て。さっきの話の続きしよう」
兄「…あぁ」
母「妹ったらどうしたのかしら……」
兄「さあ……思春期なんだろ」
兄「母さん心配してたぞ」
妹「ふーん」
兄「妹!俺が嫌いならそれでいい。母さんに心配かけるな!」
妹「嫌いじゃないよお姉ちゃんは兄君のこと大好きだよ」
兄「俺に姉はいない。母さんも言ってただろ」
妹「でもお姉ちゃんが言ってた事も気になるから部屋に来たんでしょ?兄君は素直じゃないなー」
兄「……ちっ、うぜぇ」
妹「兄君がら悪いよー」
兄「妹のせいだろ!いつもいつもむかつくことばっか言いやがって!」
妹「……そうだよねー。この子全然可愛くないよねー。兄君と大違い。あの女の娘だからかな?せめてパパの血が入ってれば可愛かったのにねー」
兄「……どういう意味だよ?」
妹「あの女……兄君のお母さんね、浮気してたの。この子その時の子だよ。兄君と種違いの子」
兄「は?」
妹「お姉ちゃんは兄君と腹違いのお姉ちゃんだったんだけどね生まれる前に死んじゃったのお母さんと一緒に。それからずっとパパの側にいた。兄君が生まれてからは兄君を見てた」
兄「……じゃあ姉ってのは……幽霊なのか?」
妹「そうなるのかな?兄君が生まれてちょっとしたらあの女はパパ以外の男とも付き合い始めた。私ずっと見てた」
兄「は……ははは…………妹、いくらなんでも洒落になってないぞ……」
妹「……兄君のお母さんに『男さんって知ってる?』って聞いてみたら?お姉ちゃんのことを信じるか信じないかは兄君に任せるよ」
兄「…………少しだけ考えさせてくれ」
妹「うん。大事なことだからゆっくり考えなー。お姉ちゃんは兄君がどんな行動起こしても兄君のこと大好きだからね」
兄「一つ聞いてもいいか?」
妹「一つと言わずいくつでも聞いちゃいなー。あ、でもこの子のスリーサイズは知らないなー」
兄「そんなんじゃない!……姉さんが出てるとき妹はどうしてるんだ?」
妹「さぁ?この子本人じゃないとわかんないなー。あ、でもお姉ちゃんは昼間の生意気な事言ってるときも兄君見てるよ」
兄「…………」
次の日
母「兄?どうしたの?寝不足?」
兄「いや、ちょっと……あのさ、母さん」
母「ん?」
兄「えと……」
妹「兄さん!少し話があるから今すぐ来て!」
兄「……おう」
妹「母さんに何聞くつもりなの!」
兄「……覚えてるのか?」
妹「……うっすらと。兄さんは家庭壊すつもりなの!?」
兄「……正直どうしたらいいのかわからん」
妹「だったら何も知らないふりすればいいじゃない!」
兄「……妹が俺と半分しか血がつながってないことも、母さんが浮気してたことも聞かずにいろってか?」
妹「そう言ってんの!父さんと母さんが離婚してもいいの!?」
兄「そんなわけないだろ!」
妹「だったら黙ってなさいよ!知らないふりをしたほうがいいことあるってわからないの!?本当兄さんって頭悪い……」
兄「黙れよ!誰のせいだと思ってんだ!?お前が生まれてなかったら証拠も残ってなくて俺は『知らないこと』として対応した!お前がいたから悪いんだろ!」
妹「私だって好きで生まれたんじゃない!」
『だったら私に頂戴?』
妹「え?」
姉『私生まれたかった。生きたかった。貴方みたいな人の気持ちを踏みにじるようなことしか言えない人間が幸せになる権利があるなんて思えないだから頂戴』
妹「い、嫌だ……」
姉『どうして?好きで生まれたんじゃないでしょう?だったら……』
妹「あんたみたいなとっくに死んだ奴に私を渡したくない!私は私のものだもん!」
姉『……兄君はどう思う?』
兄「俺は……」
①姉が妹end
②妹は妹end
>>25どっち?
25 : 以下、名... - 2013/03/17(日) 20:49:19.84 Urr7Q5780 15/222
兄「…………妹、お前が今まで散々俺に言ってきた言葉覚えてるか?」
妹「は?何言ってるの?ただの兄妹喧嘩じゃない……」
兄「ただの、ね……。俺何度お前のこと想像で殺したのか……。多分今妹が残ることを選んだらまた同じ思いをするんだろうな」
妹「兄さん……?」
兄「妹。………………お前いらない」
妹「……だって、だってどうしたらいいのかわからないんだもん!」
兄「妹?」
妹「小さい頃から私がいたからお母さんもお父さんも困ってた!私が生まれてきたから!」
兄「……知ってたのか」
妹「お母さんは私を見るたびに責められてるみたいだって言った!お父さんはどうしてよその子を育てなきゃいけないのかって言った!」
兄「は……?父さんとも母さんとも仲良かっただろ……?」
妹「そんなのお兄ちゃんがいるところだけだよ!私は生まれてきちゃいけなかった子、いらない子なんだよ!」
兄「……」
妹「お兄ちゃんだけは優しかったから私甘えたかった。でもわからなかったのどうしたらいいか……。もう遅すぎたね」
兄「妹……」
妹「お兄ちゃんのこと傷つけるようなこと一杯言ったのわかってる。でも止まらなかったの。本当ごめんね。お姉さん」
姉『……』
兄「待てっ!」
妹「……私をあげます。お兄ちゃんとお幸せに」
兄「妹!!!」
妹「……」
兄「……妹、いや姉さんか」
妹「……」ふるふる
兄「え?」
妹「お姉ちゃんが……『兄君には妹ちゃんが必要みたいね』って」
兄「姉さんが……」
妹「これからは……素直になるよう頑張るから……」
兄「……ばーか。俺の妹はむかつくくらい生意気でいいんだよ」
妹「ふ、ふん!むかつくのは兄さんの心が狭いだけでしょ」
兄「お前の口の悪さのせいだろうが」
兄(あれから妹は少しだけ素直になった相変わらず喧嘩は絶えないが以前ほどむかつくことは無くなった)
兄(父さんと妹の関係は確かに気をつけて見たらとてもぎすぎすしている)
兄(相当深い怨恨だと思うから俺が一人暮らしする時は妹も連れて行こうと思う。家を出る前も俺がなるべく側にいてやろう)
兄(ただ……)
母「兄君、妹ちゃんごはんよー」
妹「はーい」
母「今日は兄君の大好きなハンバーグだからねー」
妹「明日はオムライス食べたいな」
母「いいわよー。じゃあ一緒に作りましょー」
兄(母さんが少し変わったのは俺の気のせいだよな)
end
31 : 以下、名... - 2013/03/17(日) 21:00:31.12 8wEc81MA0 20/22思ってたより短くまとまったから①のほうも書く
安価した意味なくなってごめん
兄「…………妹、お前が今まで散々俺に言ってきた言葉覚えてるか?」
妹「は?何言ってるの?ただの兄妹喧嘩じゃない……」
兄「ただの、ね……。俺何度お前のこと想像で殺したのか……。多分今妹が残ることを選んだらまた同じ思いをするんだろうな」
妹「兄さん……?」
兄「妹。………………お前いらない」
妹「にいさん……ごめんなさいごめんなさい私が悪かったから……」
兄「姉さん、俺の妹になってよ」
姉『うん。いいよ』
妹「お、にいちゃ……ん」
妹「お兄ちゃんご飯できたって」
兄「ああ、今行く」
兄(姉が妹になったあの日から俺達兄妹はとても仲良くやれている。妹は人が変わったとよく言われたが以前の誰に対しても失礼な奴よりこっちのほうが評判もいい)
母「妹は本当兄が好きね」
妹「えへへー」
兄(母さんとの事が少しだけ心配だったがどうやら俺の杞憂だったらしく違和感なく本当の親子のように接している。母さんの浮気に関しては妹が何か言わない限り俺も口をつぐむことにした)
妹「お兄ちゃん一緒に学校いこっ!」
兄「ああ」
兄(可愛い妹がいて、両親の仲もよくて、頼れる友人がいる。俺の選択はやっぱ正しかったんだ。……ただ一つ)
妹『お兄ちゃん、ごめんなさいごめんなさい』
兄(毎晩夢枕に立つ妹はどうしたら消えるんだろう)
end