―会社―
15:00
ブス「皆さん、おはぎ作ってきたんで食べて下さい!」
課長「へ、へぇ~……」
同僚「う、うまそうだね」
OL「手作りなんてすごい……」
男(うわ……食いたくねえ)
男(ブスの作ったおはぎなんざ食うくらいなら、ファラリスの雄牛に入る方がマシだぜ)
元スレ
ブス「おはぎ作ってきたんで食べて下さい!」男(うわ……食いたくねえ)
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1574326984/
ブス「どうぞ!」
課長「いや、甘いの苦手だから」
ブス「よかったら!」
同僚「ごめん、さっき食ったばかりで」
ブス「食べて!」
OL「今ダイエットしてるから……」
ブス「……」
男(そりゃ食うわけねえよ。ブスが作ったおはぎなんて。身の程を知りやがれブス)
OL「ねえ」ボソッ
男「ん?」ボソッ
OL「食べてあげなさいよ、可哀想じゃない」ヒソヒソ
男「は? なんで俺だけ……」ヒソヒソ
OL「だって甘党でしょ? 前いってたじゃない」ヒソヒソ
男「だからってなんであんなブスのおはぎを……」ヒソヒソ
ブス「あ、あの……よろしければ……」
男「ぐ……!」
男「……分かったよ、一口だけ」モグッ
男「うまっ!!!」
ブス「!」
男「なにこれ、超うめえ!」ガツガツ
男「うますぎんだけど! どうなってんだこれ!?」ムシャムシャ
ブス「あ、ありがとうございます」
男「うまっ! うまっ! うまっ! うまっ! うまっ!」モリモリ
同僚「……」ゴクリ
同僚「おい……俺にも一個だけ」
男「やるわけねえだろヴォケ!」
男「おいブス!」
ブス「は、はいっ!?」
男「これは本当にお前が作ったんだよな!? どこかで買ってきたわけじゃないよな!?」
ブス「私が作ったんですけど……」
男「よし、命令する! 明日もこれ作ってこい! 今日よりもっと多くだ!」
ブス「わ、分かりました」
男「頼んだぞブス! お前みたいなのにも取り柄があったんだなブス! 見直したぞブス!」
翌日――
ブス「どうぞ」
男「お、ちゃんと作ってきたか! 偉いぞブス!」
男「いただきまーす!」ガツガツムシャムシャ
男「うめえええええ! うんめええええええええ!!!」モリモリモリモリ
同僚「おい、そんなに食ったら太るぞ……」
課長「糖尿病にもなりかねんぞ」
ブス「あ、大丈夫です。独自の製法で、太ったり糖尿病になりにくいおはぎになってますから」
男「すげえなブス! どんだけ都合いいおはぎだブス! お前はおはぎの達人だブス!」
男「――よし、決めた!」
同僚「なにを?」
男「ブス、お前俺と結婚しろ!」
ブス「え!?」
男「これからは俺のためにおはぎを作れブス! お前の存在価値はそれしかないんだブス!」
男「返事は!?」
ブス「は……はい!」
男「よし、じゃあとりあえず婚約だ!」
ブス「よろしくお願いします!」
男「式は一ヶ月後ということにしよう。それまでお前は毎日俺のためにおはぎ作れ!」
男「おはぎを作らないお前になんの価値もないんだからな! 分かってんな、ブス!」
ブス「分かりました!」
男「ブスのくせにいい返事だ! せいぜい俺を喜ばせろよブス!」
それから毎日――
ブス「おはぎ作ってきました!」
男「よし、よくやったブス!」
男「うめえええええ! うめえええええええ!」ガツガツムシャムシャ
同僚「あのー」
OL「私たちにも」
課長「一つくらい……」
男「絶対やらん!!!」
男「ここがお前の家か。ふうん、ブスのくせに部屋は綺麗にしてやがるな」
ブス「今日は作るところをお見せします」
ブス「まず、餡子を作るところから……小豆を煮て……」グツグツ
ブス「次にお米ともち米を潰して……」グニグニ
ブス「あんで餅をくるんで丸めて……」コネコネ
ブス「できました!」
男「ブスのくせに手際いいな! 完全に見た目と反比例してんなブス!」
しかし、式の一週間前――
ブス(材料買ったし、今日も沢山おはぎ作ろうっと)
子供「ワーイワーイ!」タタタッ
ブロロロロ…
ブス「あっ、危ないっ!」タタタッ
キキーッ…
ブス「あ……!」
グシャッ…
―病院―
男「ブス!」
ブス「あ……来てくれたんですね」
男「なんだ、元気そうじゃねえかブス。さらにブスになったんじゃないかって心配したぞ」
ブス「ええ、だけど……両手は切断しなきゃならないんですって」
男「……!」
ブス「私のおはぎは繊細な技術が必要なんです。両手がなければもう作ることはできない」
ブス「婚約……解消しましょう」
男「ちょっと待てよ」
ブス「え」
男「なんで諦めるんだよ。義手とかあるだろ」
ブス「ありますけど、今回の事故は私が飛び出したことが原因ですし」
ブス「私の貯金や貰えるお金では、高性能な義手はとても……」
男「だったら俺が金出してやる!」
ブス「ですが……」
男「俺はお前のおはぎを食いたいんだ! そのためだったら何だってするぞ!」
男「たかが手が切断された程度でおはぎ作りを諦めんじゃねえ、ブス!」
ブス「はい……!」
ブス「くっ……」グッグッ
男「どうだ?」
ブス「まだ、上手く動かせない……」
男「もう一度だ、この義手を使いこなせるようになれば、きっとまたおはぎを作れるようになる!」
ブス「だけど、こんなにリハビリに付き合ってくれて……自分のお時間は……」
男「別にお前のためにやってんじゃねえ、おはぎのためにやってんだブス!」
男「俺も貯金はたいてんだ、絶対おはぎ作れるようになれブス! 分かったなブス!」
ブス「分かりました……頑張ります!」
コネコネ…
ブス「……出来た」
ブス「いかがでしょう?」
男「……」モグッ
男「うめえ! あの味だ! あの味が完全によみがえった! おはぎリバイバルだ!」
ブス「やった……!」
男「よし結婚だ! 俺のために毎日おはぎ作りやがれブス! もう事故るんじゃねえぞブス!」
ブス「はいっ!」
夜、ベッドにて――
ブス「おやすみなさい」
男「ああ、おやすみ」
ブス(この人が愛してるのはあくまで私のおはぎで、私を愛してるわけじゃない)
ブス(だから抱いてくれるわけ――)
男「来いよ、ブス」
ブス「え……」
男「抱いてやる」
ブス「だって、あなたは私を愛してないでしょ?」
男「当たり前だブス。なにが悲しくてお前なんか愛すかブス。だけどな……」
男「お前のおはぎ作りの上手さはきっと、遺伝子レベルのもののはずなんだ!」
男「そんな遺伝子をお前一代限りで終わらすのはもったいなさすぎるだろうが!」
男「だからお前は子供を作る義務がある!」
男「吐き気を我慢しながら抱いてやる! ――来いっ!」
ブス「ええ、行かせてもらうわ!」
男「俺の白アンを受け取れえええええええええええ!!!!!」
ブス「ああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
………………
…………
……
―公園―
男児「ワーイワーイ!」
女児「きゃっきゃっ!」
男「おーい二人とも、あまり遠くに行くなよ!」
ブス「元気に育ってくれて嬉しいわ」
男「それにしても……紅葉が綺麗だな」
ブス「ええ、とっても」
ブス「おはぎ、食べるでしょ?」
男「もちろん」モグッ
男「うまいっ! 何年経ってもこの味は変わらねえな!」
ブス「私、あなたと結婚できてよかった」
ブス「多分あなたと結婚しなきゃ、私、結婚できなかったと思うし……」
ブス「これが思いがけない幸運ってやつね」
男「いや、幸運だったのは俺の方だ」
ブス「それは、毎日おはぎを食べられるから?」
男「……それだけじゃない」
男「いくらなんでも、おはぎのためだけに貯金はたいたり、子作りしたりできると思うか?」
ブス「……え?」
男「今さらいうのも恥ずかしいが、俺はいつの段階からか、お前のことを好きになってたよ」
男「きっかけ自体はおはぎなのは間違いないがな……」
ブス「ありがとう……」
男「よせよ」
男「こういうのを“棚からおはぎ”っていうんだろうな」
ブス「それをいうならぼたもちでしょ?」
男「今は秋だからこれでいいんだよ」
おわり

