1 : 代理 - 2011/01/29(土) 21:08:00.83 gLaA3QUg0 1/16

「じゃんけん、ぽん」

二人の教室。

「……俺の勝ちだな」

「うむ……負けてしまったね」

「じゃあ帰るぞ」

「せっかく二人なんだよ?」

「どういうことだ」

何を考えてたんだよ。

2 : >>1 ありがとうございます。 - 2011/01/29(土) 21:12:50.59 PWCz1ARXP 2/16

教室に、帰宅部が残る理由なんてない。

せめてなにかの行事でもなきゃ、いる意味なんて全然ないぞ。

「じゃんけんで勝ったら、なんでも一つ命令できるんだよ?」

「だから、『帰る』んだ」

「それはダメだよ。ゲームが終わっちゃうじゃないか」

また、このパターンか。

「毎日毎日、俺に勝てないお前が悪いんだろ」

ここまで弱いと逆に凄い。

3 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 21:16:43.68 PWCz1ARXP 3/16

「確かにそうかもしれない、だけど、それじゃあ君は毎日勝ち逃げじゃないか」

「命令を聞くゲームなんだからそれでいいんだろうが」

お前に文句を言われる筋合いはない。

「……仕方ない、今日は帰るよ」

「今日も、な」

「ふふ、そうだね」

バッグを持って、教室を後にした。

5 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 21:21:22.76 PWCz1ARXP 4/16

「ふむ……」

今日は物思いにふけっている。

「……」

横目でチラリと見る。

「ん?」

そのチラリに、タイミング良くこちらをみる。

本当に、一瞬だったのに。

「どうしたんだい?」

7 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 21:41:00.60 PWCz1ARXP 5/16

「別に」

「ボクに色目をつかうなんて」

使ってない。

「ふふ、魅力的だったよ」

「してないだろうが」

「嘘だね、くずぐっちゃうよ?」

手をワキワキとさせる。

8 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 21:44:18.27 PWCz1ARXP 6/16

「意味無いからやめろ」

「それはどうかな? えいっ!」

俺の脇の下やら、首筋やらを攻めてくる。

「こちょこちょこちょ」

やめい。

「……」

俺、効かないから。

10 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 21:49:19.08 PWCz1ARXP 7/16

「だいぶ、効いたみたいだね」

効いてねぇよ。

「ふふっ、参ったか」

なんて爽やかな笑顔だろう。

「というわけで、ボクの勝ち、命令は……」

「……」

俺は無言で、やつの脇をつつく。

「あっ」

こいつは、くすぐりに相当弱い。

11 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 21:52:53.22 PWCz1ARXP 8/16

「誰がお前に負けたって?」

「あはっ、ちょ、ちょっと、ダメだよ」

脇をちょこまかとくすぐる。

やっぱり効いてる。

「ぼ、ボクは、そこをいじられると……あぁん」

「!」

思わず手を止める。

「変な声を出すな」

なんか、変なことしたみたいだろうが。

13 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 21:57:31.06 PWCz1ARXP 9/16

「当然の成り行きさ」

どこがだ。

「ボクは君のテクニックにやられた、一人の被害者である」

さっきのくすぐりのどこがテクニックだ。

「認めん」

「判決、半ケツ……」

「くだらん」

誰でも思いつくようなダジャレで笑ってんじゃねえ。

16 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 22:00:28.59 PWCz1ARXP 10/16

「でも、半ケツだよ?」

「女の子がそういうことを言うもんじゃない」

「ほほう」

とても嬉しそうに笑って。

「ボクはおんな、にカテゴリされているのか」

ああ、そうだ。

「どこで? 胸? 顔? お尻? はたまた脚?」

17 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 22:03:34.34 PWCz1ARXP 11/16

えっと、だな。

「も、もしかして……ないから?」

下半身を抑えて、顔を朱に染める。

見た事ねえよ。

「違う」

「じゃあ……なんだい? 履いているパンツ? ブラジャー? におい?」

お前、ブラジャーつけてたのか。

一応、パンツも見てないし、ブラジャーも見てないからな。

18 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 22:13:41.92 PWCz1ARXP 12/16

「……服装」

「ふむ」

やつの服装は、制服で、スカートだ。

だから、おんなだ。

「女装、という可能性は?」

「そんなやつが学校に通えるか」

「ふふっ、そうだね」

またつっかかってくるかと思ったが、そんなことはなかった。

19 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 22:17:06.49 PWCz1ARXP 13/16

「ボクももっと色んなことを知っていればなぁ」

空を仰いで、そうぼやいた。

「十分色んなこと知ってるだろ」

「そうかな?」

ああ。

俺はそう思う。

「でも、ボクは君を笑わせる術を知らない」

20 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 22:23:04.96 PWCz1ARXP 14/16

「……」

その背中は、切なそうだった。

「ふふっ、帰ろう」

知らぬ間に足を止めていた俺達だったが、やつが歩き始める。

「!」

そんなやつを、俺が止める。

「明日も、じゃんけんしようぜ」

21 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 22:27:22.92 PWCz1ARXP 15/16

「え?」

「それでいい、お前は俺を笑わせることができる」

それだけでいい。

「……そうか」

やつは口に微笑みを浮かべた。

22 : 以下、名... - 2011/01/29(土) 22:30:19.96 PWCz1ARXP 16/16

「ここでお別れだね」

「おう」

俺とやつの家路分断の道だ。

「じゃあな」

「うん」

そう言って、別れる。

「男」

「あん?」

「また、二人の教室で」

「ああ、二人の教室で」

END

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