某月某日 晴れ
今日からまた私だけの日誌をつけていこうと思います。
このダーマが二度と魔物に乗っ取られることの無いように、との戒めの為に。
そして今日この日の為に、命をかけて戦ってくださった多くの勇者へ感謝を込めて。
秘密ですが、虎と猪はこれからも好きになれそうにありません。
元スレ
フォズ「ダーマ神殿日誌」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1344835963/
某月某日 晴れ
ダーマでの激しい戦いで傷ついた体を休めていたアルスさん達も旅立って行きました。
みなさんの旅路に幸あらんことを。
また、ザジくんが涙目で旅支度を整えていました。どうしたのでしょう。
某月某日 曇り
お姫様がバニーガールになりたいと頼んできました。
当神殿はそのようないかがわしい事は禁止だと伝えると、
ならば笑わせ師にしてくれと言ってきたので望みを叶えて差し上げました。
衣装は自分でそろえてくださいね。
某月某日 雨
今日は雨です。
雨の日は悪い視界に紛れて魔物が入ってくる事もあるので神殿も警戒を強めています。
そんな中、カシムは恋人のことを心配そうに気遣っていましたが、私は知っています。
彼女が私と同じヒャダルコの使い手である事を。あれは絶対に猫をかぶっていますね。
某月某日 晴れ
今日はアルスさん達が来てくださいました。
なにやらこっちのダーマ神殿の方が良いだとか。
どういう意味かは存じかねますが、やはり必要とされているのは嬉しいことです。
ガボが笑わせ師を極めたというので少し見せてもらいました。
世間の笑いというものはよく分からなかったのですが、
私のために頑張ってくれるガボを見ていると胸が暖かくなりました。
某月某日 曇り
普段より魔法使いに転職する人が多いなと思っていたら、
どうやら誰かがデタラメな噂を流していたようです。
まったく、困ったものです。
転職してすぐメラミが使えるようになるなんて、ある訳がないでしょう。
某月某日 晴れ
羊飼いという職業をバカにする人が多いようですが、それは間違いです。
ひつじのちからをなめてはいけません。
スライムナイトが一撃で踏み潰されるのを私はこの目で見たのですから。
ひつじさんこわい。
某月某日 曇り
ダーマには相手の顔を見るとどれくらい修練を積んでいるのか判断してくれる人がいます。
私も機会があったので一度見てもらいました。
どうやら神官としての修練は十分に積んでいるとの事です。
少しほっとしました。
某月某日 雨
周囲の魔物も特に目立った動きは見せていません。
今日は宝物庫の整理をしました。
物盗り対策のバリアは見かけ倒しでそこまで痛くないのですが、
一々うろたえる騎士の方々が面白かったです。
某月某日 晴れ
またアルスさんたちが来てくださいました。
話を聞けば今は砂漠を冒険しているとのこと。
どこまでも砂一面の世界、一度見てみたいものです。
ガボは盗賊を極めていました。
手先の器用さも魔物との戦いに必要なのは分かりますが、
人に迷惑をかけてはいけませんよ。ガボならだいじょうぶかな。
某月某日 晴れ
屈強な体つきをした戦士の方が、踊り子になりたいと言ってきました。
私にそれを否定する権利はありませんが、どうして踊り子なのでしょうか。
きっと多くの職業を経験して自分にあった生き方を探しているのでしょう。
彼の旅路に幸あらんことを。
某月某日 曇り
魔物ハンターになりたいと申し出る方がいました。
話を聞けば、なにやらかがやく息というものが使いたいがためだとか。
道は険しいですが、諦めずにがんばってくださいね。
もうどくの息は強いらしいですよ。
某月某日 曇りのち雨
魔物のこころを持ってくる方がいました。
なんとも珍しいダンビラムーチョのこころです。
さぞ苦労なさったのでしょう。彼の顔はすっかりやつれておりました。
次はリザードマンのこころだと意気込んでいました。
彼の旅路に幸あらんことを。
某月某日 晴れ
スクルトという複数人の守備力をあげる強力な呪文があります。
ですがこれは覚えられる場合と覚えられない場合があるのです。
どうやら神を敬う心と、動物を守る優しさが必要なそうですが、
私も旅の方に聞いただけなので詳しくは分かりません。
今度、ガボに教えてもらおうかな。
某月某日 晴れ
またアルスさんたちが来てくださいました。
世界一大きな樹だとか時を止める時計だとか、
聞いているだけでこちらがワクワクしてしまいそうな話ばかりです。
ガボを魔法使いに転職させてあげました。
お勉強がんばってね、ガボ。
某月某日 雨
ダーマにはパラディンという職業があります。
僧侶の信仰心と武闘家の鍛え上げられた肉体をもって魔物と戦う職業で、
誰もがなれるものではありません。
私も体を鍛えたらなれるのかな。
まだ子供だから無理かもしれませんね。
某月某日 晴れ
一度何かの職を極めても、他の職業についてしまってはカンというものは鈍るものです。
今日神殿にいらっしゃった方はかつて吟遊詩人だったとのこと。
なんでも旅の仲間を癒すためにもう一度、あの時の声を出したいのだとか。
人の愛とは様々な形があるのですね。
某月某日 曇り
今日、アルスさんたちは新しい仲間を連れて来てくださいました。
なんとこのメルビンさん、かつて神様と一緒に戦った英雄だとか。
でもとても愉快なお爺さんで、笑わせ師になりたいというのにも納得してしまいました。
それと、ガボは武闘家を極めていました。
細い手足が少し逞しくなっていた気がします。
某月某日 曇り
職業の中には特技や能力値の他に、特別な効果を与えてくれるものもあります。
スーパースターという職業もそのうちのひとつです。
誰もが見とれてしまうほどの美しさで、時には魔物すらも魅了してしまうのだとか。
私も思わず顔をじっと見つめてしまいました。
でも、その人の全てが美醜で決まるわけではありません。
アルスさんやガボのように、素朴な顔立ちでも素晴らしい方々はいますからね。
某月某日 晴れ
時には職をやめてありのままの自分でいたいという方もいらっしゃいます。
職の中には自らの能力を本来のものより落とさなくてはならないものもありますし、
そういった事も十分に考えられるのです。
ありのままの自分……私から大神官という肩書きを取れば何が残るのでしょうか。
少し気になりますし、同時に怖くもあります。
某月某日 曇り
魔物のこころを理解することで修練を積むこともできます。
これを極めればなんと、姿かたちまで魔物と同一になれるのだとか。
なれる魔物の種類はいくつか決まっていて、中には古代の文献にしか登場しない伝説の魔物もいるそうです。
あらゆる攻撃を寄せ付けない鉄壁の体を持つ魔物……
さぞや恐ろしい姿かたちをしているのでしょうね。
某月某日 雨
どうやら私はアルスさんたちが来てくださることを待ち望んでいる節があるようです。
その証拠に、今日の事を思い出しているとなにやら自然と笑みが浮かんでくるのです。
巨大植物に魔法帝国とみなさんの話は世間知らずな私を驚かせて止みません。
世の中が様々な恐怖に犯されているのは心苦しいものがありますが、
そんな脅威を払いのけるアルスさんたちのような方々の存在には頼もしさを覚えるばかりです。
頼もしいといえば、ガボが下級職を全て極めてしまいました。
これからもどんどん強くなっていくんでしょうね。
某月某日 曇り
世の中には上級職のさらに上の職業が存在します。
ゴッドハンド・天地雷鳴師・勇者です。
今日いらっしゃった方はなんとゴッドハンドへの転職を希望する方でした。
なにやら人間職で極める事のできるもっとも強い技を手に入れるためだとか。
あらゆるものを切り裂く神技、明るい世界のために使ってくださいね。
某月某日 晴れ
今日いらっしゃった方は一見すると細身で、とても海賊などには見えない方でした。
ですが聞いてみれば海賊王にまで職を極めたとのこと。
昔からの夢でひたすら頑張ってきたんですって。
努力が実を結ぶのは素晴らしいことです。私ももっと頑張らないと。
某月某日 晴れ
近頃、なにやら良くない噂を耳にしました。
世の中にはカジノというお金をかけて遊ぶ場所があり、
そこでは魔物のこころを商品として取り扱うところもあるのだとか。
嘆かわしい、遊びで得たこころで修練を積んでなんの意味があるのでしょうか。
まっとうに魔物と向き合ってそのこころを見極めようとする姿勢が感じられません。
……久々に怒ってしまいました。私もまだまだ修行不足ということですね。
某月某日 晴れ
今日もアルスさんたちが来てくださいました。
でも、今日は見覚えのない方が一人いらっしゃるご様子。
お話を聞けばマリベルさんが離れられた代わりに合流した方だとか。
年上のお綺麗な方でした。あの身のこなしはおそらく踊り子を経験していますね。
ガボはマリベルさんの代わりになるんだと意気込んで賢者に転職しました。
私よりずっと強くなってるガボを見ていると、なんだか少し寂しくなりました。
某月某日 雨
勇者というのは選ばれし伝説の御方ということではありません。
勿論そこに至るまでには途方もない努力と才能を必要とするのですが、
誰でもなれる可能性を秘めているものなのです。
ですが……いくらなんでも、うちに生まれた赤ちゃんを勇者にしてくれというのは……
なんとか説得してお爺さんには帰っていただきました。
こういうのも神官の仕事なのです。
追記、赤ちゃんはとても可愛かったです。また来ないかな。
某月某日 曇り
今日はとても驚いた事が起こりました。
急に見たこともない魔物がダーマにやってきたのです。
骨の体で黒い馬に乗った、なんとも強そうな魔物。
もしやまた魔王の手先なのではと皆が警戒したのですが、
聞けばなんと魔物の職業を極めた者だとのこと。
なんとも人騒がせな方でした。
罰としてお供の馬に乗せてもらいました。
次の職も頑張って極めてくださいね。
某月某日 晴れ
いつまでも極めた職業を転々としている奇妙な旅人の方がいます。
彼曰く、一つの職業を極めただけでは足りないのだとのこと。
なにやら職と職を渡り歩くことにより思いつく秘伝のようなものを身につけたいのだとか。
彼の努力が無駄に終わらないことを祈りましょう。
某月某日 晴れ
大変です。
今日アルスさんたちからとんでもない事を聞いてしまいました。
なんと魔王が復活してしまったのです。しかも神様のフリをしていたなんて。
こうしてはいられないとダーマも魔王退治の準備に取り掛かろうとしたのですが、
どうやらアルスさんたちでないとそれは成せないのだとか。
あぁ神よ、もし今もどこかにおられますのでしたらどうかアルスさんたちに祝福を。
ガボはゴッドハンドに転職していました。
最初は何も出来なかったのに、今ではどんな職業でもこなせるようになって……
きっと魔王も倒せます。アルスさんたちなら、ガボならやってくれます。
私はそう信じています。
某月某日 晴れ
どうやら魔王は倒されたようです。
夢に神様が出て、そう告げていかれました。
それは遠い未来の話。私がいなくなった後の、そのずっとずっと後の話。
アルスさんたちは時を超えて世界を救ってくださった、救世主だったのですね。
そしてそれは、アルスさんたちの長い長い旅もついに終わったということ。
魔王に支配されかけていた遠い未来の世界は解放され、世界は光に包まれました。
神様はこうもおっしゃられていました。
過去にわたる力はやがてかき消える。正しき歴史を歩む時がきたのだと。
未来と過去を交わらせ、世界を救う必要はもうないのだと。
それはつまり、アルスさんたちはもうここに来れないのだということ。
アルスさんも。マリベルさんも。メルビンさんも。アイラさんも。
ガボも。
みなさんの旅路に幸あらんことを。
某月某日 晴れ
これは夢でしょうか。未だに信じられません。
ガボが。ガボが、ダーマに来てくれたのです。
どうしてと聞くと、私に会いたかったからと。
どうやってと聞くと、こっちに残ることにしたのだと。
私はまだまだ修行不足です。
だってガボがここにいてくれると分かった時、泣いてしまったんですから。
でも、嬉しかった。
これでもうガボと離れなくていいんですよね。
まだ直接言うのは恥ずかしいのでここにだけ書いておくことにします。
大好きですよ、ガボ。
終わり
そういえばマリベルに触れるの忘れてたわ
次はマリベルでなんか書くか
54 : 以下、名... - 2012/08/13(月) 15:19:55.20 6M8gjV6m0 34/37
ガボってもともと石版チームじゃなかったっけ?
55 : 以下、名... - 2012/08/13(月) 15:22:07.18 HsX9BQvn0 35/37
>>54
ガボはオルゴ倒した後、現代に残った気がしてたんだけど……ヤバいな、そこら辺よく覚えてないわ
まぁフォズはガボも現代のナウいヤングマンなんだと勘違いしていたという事にしておいてくれ
56 : 【関電 82.0 %】 - 2012/08/13(月) 15:24:17.77 gUbTpUQh0 36/37
>>55
木こりの爺さんの所でお世話になってる
63 : 以下、名... - 2012/08/13(月) 15:30:24.11 HsX9BQvn0 37/37
>>56
あぁ良かった
このSSがマヌケな終わり方をしないですんだ
7の話はなかなか見ないから嬉しい