とあるカフェ
月「……ふ、なんだい、竜崎。楽しいお茶の時間に……」
L「月くんも分かっているはずです。偽りの友を演じるのはやめましょう」
月「……ふん。キラの話か。証拠もないのに僕をキラなんt」
L「私は月くんが好きです」
月(!?)
元スレ
L「月くん……はっきり言いましょう」月「……」ドキッ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1340543000/
L「前から月くんに好意を寄せていました」
月(お……落ち着け。Lのことだ、僕の動揺を誘っているんだろう)
L「月くん。月くんは、私の推理では、99%キラです」
月(そら来た。動揺を誘い、自分のペースに乗せ、口を割らせようとする……考えが見え見えだ)
L「しかし」
L「私のこの好意も99%本物だと思うんです」
L「月くん。私と付き合ってください」
月(!?)
L「……」
月(なんだこの空気)
L「月くん。返事を」
月「えっ?……あ、ああ……」
月(……無難な返事を心がけるんだ。いつキラの話になるか分からない)
月「……か、考えておくよ」
L「……月くん。疑ってるんですか?」
月「え」
L「これは私自身の気持ちです。キラとは関係ない」
L「なので、月くんも月くん自身の答えを出してください」
月(……こいつ、本気か?)
L「私もずっと迷っていました」
L「キラを捕まえたいという自分の気持ち。それに反して……」
L「一目惚れした人のキラ容疑がどんどん高まっていく」
月「……それは僕のことか」
L「そうです。だから……私は」
L「人生で初めて、苦しいと思った。犯罪者を捕まえるだけの人生の中で、初めて、『苦しいと思えた』んです」
月「りゅ、竜崎……」
L「だから……気持ちを伝えようと思った。ただ、それだけの話です」
月(……嘘をついてるようには思えない)
月(しかし……嘘をついてる可能性を捨ててはいけない!)
月(ここは……いったん逃げる!)
月(こいつのペースに合わせたら何が起こるか分からない……!)
月「……すまないな、竜崎。信用できない」
L「……!」
月「僕はキラじゃない。だからこそ、僕をキラだと疑っているヤツを」
月「信用できると思うか?」
L「……そ、それは分かっているんです……その上で……」
月「……もういい。ふざけている暇があるなら、一刻も早く本物のキラを見つけるために捜査を進めてくれ」
月「僕はこれで失礼するよ」ガタッ
L「……月くん……」
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夜神宅
ガチャ
月「ただいま」
総一郎「……月。遅いぞ。こんな時間までどこに行っていた」
月「……父さんも、知ってるんだろう? 例のごとく、竜崎に尋問されてたんだよ」
総一郎「尋問?……おかしいな」
月「……父さん?何か知ってるのか?」
総一郎「……月。おまえ、告白されただろう」
月「!……なんで父さんがそれを!」
総一郎「月……おまえ……」
月「父さん!竜崎とグルだったんだな!父さんも僕を疑ってるんだ!」
総一郎「……月!歯をくいしばれ!」バキッ
月「ぐはっ!?な、何を……!!」
総一郎「月!おまえは竜崎が……Lが……どんな気持ちで……っ!」
月(……なんの話だ?)
総一郎「何が尋問だ……。私は昨日」
総一郎「竜崎に恋の相談を受けたんだ!」
月(!?)
総一郎「竜崎がどんな気持ちだったか、お前には分かるか!?」
『夜神さん……明日、上手くいくでしょうか?』
『それは分からん。だが……告白すると、決めたんだろう』
『はい……』
『なら、そうすればいい。人の好意に向き合えないほど、月は情けない息子じゃないはずだ』
『ありがとうございます……夜神さん』
『礼には及ばない。キラ事件のことは、今は忘れよう。頑張るんだぞ』
『はい』
総一郎「あの時の竜崎の目は本気だった」
月「……」
総一郎「お前はそれを踏みにじったんだ」
月「そ……そんなの知るか! 普段からキラだキラだと言われて、突然告白なんて……!」
総一郎「……失望したぞ、月」
月「と、父さん!僕は悪くない!」
総一郎「……。竜崎の目を、ちゃんと見てやったか!?ちゃんと、話を聞いてやったのか!?」
月「あ、ああ!もちろんさ!」
総一郎「その上でお前は!!」
総一郎「竜崎がふざけていると!!竜崎がお前を混乱させようとしてると!!」
総一郎「そう思ったんだな!?」
月「……っ」
月(ぼ、僕は……)
月(常に、疑っていた……)
月(薄々、本気だと気づいていながら……っ!)
総一郎「月!!どうなんだ!?」
月「……父さんの言う通りだ。僕は、竜崎の気持ちに向き合おうとしなかった」
総一郎「……」
月「でも……どうすればいいんだ。あいつと僕は……」
月「……敵なんだよ……」
総一郎「……月。お前の悪いクセだ」
月「!」
総一郎「頭が良い故に、状況を整理し、客観的に見て判断を下そうとする傾向にある」
総一郎「もちろん、それは悪いことではない。しかし……」
総一郎「時として、人は……立場や状況を無視する行動をするべきなんだ」
月「っ……」
総一郎「あとは、お前に任せる」
総一郎「……あまり夜遅くまで起きるんじゃないぞ」ガタッ
ガチャ…バタン
月「……」
月(……僕はキラだ)
月(そして……告白してきたのはL)
月(……くそ……)
月(……そもそも、どうなんだ?僕はあいつのことを、どう思っているんだ?)
月(……)
月(……そうだ……)
月(……あの時……僕が感じたことを思い出せばいい……)
月(告白された時……)
月(僕は何を考えた)
月(『気持ち悪い』?……普通は、こう考えるはずだ)
月(しかし、僕は……あくまで、『キラ』としての自分。『L』としてのあいつ……そこばかり考えていた)
月(……あいつの好意と、『キラ』と『L』の関係。そこの狭間で戸惑っていた)
月(でも……それは間違ってる! 僕が考えるべきなのは……!)
月(あいつの好意に対して、僕の気持ちがどうなったのか、だ!)
月(そして、僕は……)
月「……リューク」
リューク「うほっ……うほっ……」
月「リューク!」
リューク「うほっ!?なんだイキナリ!?」
月「気持ち悪い顔しやがって……お前は人間の恋に興味があるのか」
リューク「へへ……いいだろ、静かに眺めてる分にはよぉ」
月「……明日、竜崎と話をつけてくる」
リューク「うほっ、マジかよ。そりゃ楽しみ……」
月「お前は僕の見えない距離まで、そして、僕らの会話が聞こえない距離まで離れろ。いいな?」
リューク「ああ? それじゃ意味ねぇだろ」
月「リューク。これは僕たち二人の問題だ」
リューク「ちっ……報告だけ頼んだぜ? じゃねーと禁断症状が出ちまう」
月「どういう体してるんだお前は」
リューク「人間の恋の味ってのは、リンゴよりうまいってことに気づいたからな」
月「……気持ち悪い死神だ」
リューク「うほっ。そう言うな。俺もお前らの恋が実ることを祈ってるぜ」
月「死神に祈られたら、悪いことが起きそうだ」
リューク「くく……とりあえず約束は守ってやるよ。離れてりゃいいんだろ」
月「……ああ。明日で」
月「キラとLの戦いは終わりだ」
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とあるカフェ
L「……話、ですか」
月「ああ……はっきりさせようじゃないか」
L「……昨日はすみません。私にはコミュニケーション能力がないもので」
月「ふっ……いや、竜崎の気持ちは伝わってきたよ」
L「……?」
月「竜崎。まず……ひとつ言っておく」
L「なんでしょう」
月「僕は、捕まってもいい。そう思った上での言葉だ」
L「!……まさか」
月「僕はキラ(ホモ)だ」
L「!……認めるんですね?」
月「竜崎の推理通りだ。僕は大量殺人犯キラ(ホモ)」
L「……」
月「しかし……同時に」
月「夜神月という一人の人間だ」
月「僕は、キラという立場より、自分の気持ちを優先させようと思った」
月「だから……僕は、全てをさらけ出して竜崎と向き合う」
L「……うれしいです」
月「僕は竜崎を信用しているし、だまされていてもかまわない」
月「自分の気持ちを伝えるだけだ。昨日の竜崎と同じように」
L「……」
月「僕は竜崎が好きだ」
L「……!」
月「掴みどころがなくて、マイペースで……でも、竜崎とたわいもない話をしている時を、僕は無意識に楽しんでいた」
L「月くん……私も……月くんとの会話を、楽しんでいました」
月「竜崎。今はLもキラも関係ない」
月「僕と付き合おう」
L「もちろん、です……」
月「……ありがとう……竜崎……僕は一度、君の気持ちを無視したのに……」
L「いえ……私が悪いんです。それに、最終的には私と向き合ってくれた」
L「それだけで十分です」
月「……竜崎。もう殺人はやめるよ。そして……二人で歩もう」
月「二人の愛の新世界へ」
L「……」コクン
リューク「うほっ!!!!うほほっ!!!!!!」
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こうして、月(ホモ)とL(ホモ)はカップルになった。
L(ホモ)は無断で捜査を打ち切り、極秘裏に月(ホモ)を保護し、家に帰った。
もちろん納得できないキラ捜査本部のメンバー。しかし、総一郎は全てを察したような目でメンバーをなだめ、事なきを得た。
家族、優秀な学生の立場……全てを捨て、L(ホモ)に向き合った月(ホモ)を総一郎は誇りに思った。
そしてキラ事件はどんどん風化し……テレビで扱われなくなり……人々の注目を浴びることはなくなった。
月(ホモ)の母と妹は突然の兄の失踪に涙した。
しかし、総一郎は全てを察したような目で二人をなだめた。
こうして……月(ホモ)とL(ホモ)は
今までの戦いを忘れ、新世界へと歩みだした。
二人(ホモ)+死神一匹の暮らし。
リュークは当然退屈せず……
月(ホモ)とL(ホモ)は平和な暮らしを送った。
デスノートは埋めた。
これが、警察や世間を騒がせたキラ事件の真実である。
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月(ホモ)「……L」
L(ホモ)「なんですか?」
月(ホモ)「僕たち……幸せだよな」
L(ホモ)「……99%幸せですね」
月(ホモ)「ん?あとの1%はなんだよ?」
L(ホモ)「それは……私が月くんにふさわしい人物なのか、という不安です」
L(ホモ)「本当に私で良かったんですか?こんな、社交性のない男……」
月(ホモ)「ふっ……そんなことか」
月(ホモ)「僕たちの歩む新世界にそんな不安はいらないよ」
L(ホモ)「……ありがとう。うれしいです」
月(ホモ)「……散歩でも行くか」
L(ホモ)「そうですね」
リューク「うほっ」
おわり