1 : 以下、?... - 2019/04/16 22:27:45.710 G8UWy/1b0 1/36

幼馴染「……見つけた!」

猪「フゴォォォォッ!」

少女「はわわわわ……!」

幼馴染「あんたはここに隠れてなさい! あたしが仕留めるっ……この弓で……!」

少女「う、うん……」ドキドキ

幼馴染「狙いを定めて……呼吸を整える……」ググッ

少女「が、がんばれー……!」

幼馴染「すー……ふっ!」

ヒュンッ── トスッ

猪「グォォォン!」

幼馴染「やったっ……!」

少女「あっ……! ダメ、逃げちゃう……!」

猪「フゴォォッ……!」ダダダッ

幼馴染「浅かった!?」アセアセ

ヒュヒュヒュンッ── ストトトッ

猪「フゴ……」ドサッ

少女「あっ……」

狩人「惜しかったな」

幼馴染「父さん……」

狩人「だがまあ、上出来だ」

幼馴染「くっ……」

少女「やっぱりおじさますごーい……!」パァァ

元スレ
少女「東の森には恐ろしい魔女がいるんだよ……!」 幼馴染「見つからなければ平気でしょ」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1555421265/

3 : 以下、?... - 2019/04/16 22:30:18.176 G8UWy/1b0 2/36

少女「狩り、楽しかったねー♪」ニコニコ

幼馴染「……そうね」

少女「もー、仕留められなかったこと、まだ気にしてるのー? たまたま運がなかっただけだよ、きっと」

幼馴染「そう、よね……」

少女「それより……猪さんのお肉、こんなにたくさん分けてもらってよかったの?」

幼馴染「当たり前じゃない。三人で狩りに行ったんだもの。山分けよ、山分け」

少女「でも、わたしなんにもしてないのに……」

幼馴染「もうっ! あんたがいるだけで勇気が出るの! 一々こんなこと言わせるんじゃないわよ!」

少女「はぅっ……。えへへ♪」

幼馴染「だから遠慮せず受け取りなさい? あんたとあたし、それから父さんと。三人で狩った獲物よ」

少女「うんっ!」ニコッ

幼馴染「……きっといつか、父さんに頼らないで──」

少女「また怖いお顔になってるよ? 大丈夫だよっ、あなたなら絶対にっ! わたしだってついてるんだから! えへん!」

幼馴染「ふふ、そうね。もっともっと頑張らなくちゃ! よーし、元気が湧いてきたわー!」

少女「今日はもうおやすみしなきゃだよぅ……!」

5 : 以下、?... - 2019/04/16 22:32:05.362 G8UWy/1b0 3/36

下二つを見るとより楽しめる


少女「魔女! 今日こそ倒してやるわ! 覚悟しなさい!」 魔女「どうじゃ小娘? 今日は茶でも飲まんか? お菓子もあるぞ?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1554904247/
http://ayamevip.com/archives/53275921.html

少女「魔女を受け入れる人間なんぞおるはずがない」 薬売り「そんなことはねえよ。あたいは魔女だなんだで差別しねえしな」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1555075248/
http://ayamevip.com/archives/53275924.html

6 : 以下、?... - 2019/04/16 22:34:05.198 G8UWy/1b0 4/36

~七日後~

少女「えぇっ……!? こっそり狩りに……!?」

幼馴染「ええ、東の森に!」

少女「でもでも、狩りはおじさまと一緒じゃないとダメだって……」

幼馴染「あたしだってもう一人前の狩人だもん。父さんは心配しすぎなのよ」

少女「でもでもでもっ、東の森には恐ろしい魔女がいるんだよ……!」

幼馴染「見つからなければ平気でしょ。あれだけ広い森だもん、見つかりっこないわよ」

少女「でもでもでもでもっ! 魔女はいつでも、そばにとってもとっても凶暴な怪物を連れてるって……!」

幼馴染「怪物なんてあたしの矢で仕留めてやるわ!」

少女「はぅぅ……」

幼馴染「嫌ならついて来なくていいのよ?」

少女「……どうしても行くの?」

幼馴染「ええ。止めても無駄だから」

少女「わかったよぅ……わたしも行くよぅ……」

幼馴染「ほっ……」

少女「えっと……それで? いつ行くのかな?」

幼馴染「明日よ」

少女「あ、明日!? そんな急に言われてもぉ……!」

幼馴染「あんたはお散歩するだけなんだから、急もなにもないでしょ」

少女「心の準備があるんだよぅ……」

幼馴染「明日までに済ませなさい。それじゃああたしは帰るわね。おじ様によろしく。またね!」

ドタドタ バタバタ

幼馴染「……一応お父さまに言っておこ」トテトテ

9 : 以下、?... - 2019/04/16 22:38:26.747 G8UWy/1b0 5/36

少女「お父さまー?」

コンコン

少女「お父さま、わたしです」

父「うん? どうかしたのかい? 入っておいで」

カチャッ

少女「おじゃましまーす……」コソコソ

父「はは、そんなに緊張しなくて平気だよ。仕事中とはいえ、この時間は気楽なものさ」

少女「はぅ……。あ、あの、お父さま、少しお話ししてもいい?」

父「ああ、もちろんだとも。俺は領主である前に君の父親なんだからね。遠慮なんていらないよ」

少女「えへ……。あのね、お父さま。急なのだけど、明日、東の森に行くことになったの」

父「東の……。どうしてかな?」

少女「それは……その……ナイショで……」

父「ん? ははーん、そういうことか。……うーん、少し心配だけど」

少女「や、やっぱり魔女と怪物が……」

父「いやいや。むしろその二人がいるから君たちを行かせてもいいと思うのさ」

少女「えっと……?」

父「ははは。……いいかい? もし危ないと感じたらすぐに逃げるんだよ? 絶対に無理をしてはいけない」

少女「う、うん」

父「それと、あの子は少し意地っ張りなところがある。危ないのに無理をしようとしていたら、その時は君があの子を止めるんだ。いいね?」

少女「頑張るっ!」

父「よーし、いい返事だ。くれぐれも怪我には気をつけるんだよ」

少女「うん♪ ありがとう、お父さま」ニコニコ

父「……最後に。もし困難に直面して、どうしようもなくなってしまったら。その時は大きな声で助けを呼ぶといい」

少女「え……? 森の中なのに……?」

父「ああ。きっと助けが来てくれる」ニコッ

10 : 以下、?... - 2019/04/16 22:41:19.442 G8UWy/1b0 6/36

~翌日~

少女「おーい……! おまたせー!」トテトテトテ

幼馴染「おっそーい! お日様が昇りきっちゃうでしょー!?」

少女「えへへ、ごめんね。お弁当作ってたら遅くなっちゃった」

幼馴染「お弁当! ……まあ、許してあげるわ。よし、気を取り直して出発よ!」

少女「おー!」

幼馴染「ところであんた、コッソリ出てきたんでしょうね?」

少女「えっ? ……えっと、その」

幼馴染「どうなのよ? ねえ、どうなの?」

少女「はぅ……」

幼馴染「はぁ……。いいわよ、別に怒らないから。おじ様も許してくれたんでしょ?」

少女「うん! 気をつけてねって!」

幼馴染「やっぱり喋ってるんじゃない!」

少女「はわわわわ……!」

幼馴染「あはは! なーんて、あんたがおじ様に話しちゃうくらい想定済みよ」

少女「ごめんね……ナイショって言ったのに……」ションボリ

幼馴染「あっ……。ごめん、意地悪しすぎたわね。あんたのそういう素直なところ、あたしとても好きよ。だから、ね? 元気出して?」

少女「……うんっ♪」

幼馴染「ふふ。あっ、折角だから手を繋いで行きましょうか。ほーら、手ー出して!」

11 : 以下、?... - 2019/04/16 22:43:48.799 G8UWy/1b0 7/36

少女「ここが東の森……初めて来たぁ……」

幼馴染「あたしも初めて。ワクワクするわね!」

少女「うんっ。で、でも迷っちゃわないようにしないと!」

幼馴染「大きな森だし、さすがに舐めてかかるわけにはいかないわね。……平気、あたしだって狩人なんだから」

少女「あっ! キレイなちょうちょー!」トテテッ

幼馴染「ちょっ、ちょっと……! 待ちなさいよ! 迷わないようにって──待ちなさいったら!」

少女「はわっ……! はわわわわ……! さっそく迷子になるところだったよ……」

幼馴染「怖がりのくせに妙に好奇心旺盛なんだから……まったく……」

少女「えへ、ごめんごめん」

幼馴染「むむっ……! あんなところに鹿が……! 追いかけるわよ!」タタタッ

少女「待ってよー! もー、あなただってわたしと一緒だよぅ!」

12 : 以下、?... - 2019/04/16 22:46:38.538 G8UWy/1b0 8/36

幼馴染「鹿が移動をやめたわ!」コソコソ

少女「どう? 狙えそう?」コソコソ

幼馴染「やってみる……!」

サァァァ……

幼馴染「狙いを定めて、呼吸を……」

鹿「!」ダダッ

幼馴染「あっ──!」

ヒュンッ──スカッ

少女「……気付かれちゃった?」

幼馴染「違うわね。全然こっちを気にしてなかった」

少女「それじゃあ──」

ズン……ズズン……

幼馴染「何かに……怯えてたような……」

少女「何かって……えーっと……」

ズズーン……ズズーン……

幼馴染「か、隠れよう……!」

コソコソ……

少女「あ、あれ……! あれっ……!」プルプル

ズズーン……ズズーン……

幼馴染「バカみたいに大きな猪……まさか魔猪……!? なんであんな化け物が……」

魔猪「ガァァァァッ!」

少女「ひぃ……!」ビクッ

幼馴染「平気……平気よ。あたしが必ずあんたを守る」プルプル

少女「はぅ……」

13 : 以下、?... - 2019/04/16 22:50:59.864 G8UWy/1b0 9/36

幼馴染「……あたしが化け物を引きつけるわ。あんたは逃げて助けを呼びなさい」

少女「そ、そんなの……」

幼馴染「あたしが迂闊だった……。こんな化け物がいるなんて……。あたしのせいでこんなことに……だから……」

少女「ダメだよそんなの!」

幼馴染「黙りなさい! あんたは早く逃げるのよ!」

少女「あなたと一緒じゃなきゃ行かないっ!」

幼馴染「バカなこと言わないで!」

少女「バカでもいいもん!」

幼馴染「このっ……分からず屋!」

少女「……あなた一人のせいだなんて思わないで。わたしとあなた、二人で狩りに来たんだよ?」

幼馴染「で、でも……あたしが強引に付き合わせて……」

少女「思い上がらないでよ!」

幼馴染「……っ」ビクッ

少女「たしかにわたしはなんにもできないけど……でもっ、わたしがわたしの意思で狩りに来たんだから!」

幼馴染「……」

少女「一緒に逃げよう?」

幼馴染「……わかったわよ」

少女「えへ……♪」

幼馴染「よし……それじゃあ行くわよ。一か八かの賭けにはしないわ。絶対に二人一緒に帰るんだから……!」

少女「うんっ!」

14 : 以下、?... - 2019/04/16 22:55:01.426 G8UWy/1b0 10/36

幼馴染「こっちよ、ついてきて」

少女「こ、こっちに行くの? 森の入り口から離れちゃうよ?」

幼馴染「遠回りになっちゃうけど、あいつに見つからないことを優先するわ。見つかればきっと……」

少女「うぅ……」

幼馴染「だ、だからね、まずはあいつから離れましょう?」

少女「う、うん……!」

幼馴染「猪は耳がいいの。きっとあたしたちにも気付いてる」

少女「はわわわわ……」

幼馴染「けどね、視界に入らない限り、積極的に襲って来たりはしないの」

少女「へぇー……そうなんだぁ……」

幼馴染「こうして隠れながら移動する分には、きっと平気なはずよ。きっとね……」

少女「……! と、止まってっ!」

幼馴染「え──」

魔猪「グガァッ……!」

幼馴染「な、なんでこんなところに……!?」

少女「さっきのより大きい! きっと別の子だよ!」

魔猪「ガァァァァ!」

幼馴染「走るわよ!」タタッ

少女「うん!」トテテッ

魔猪「グガッ! ゴァァァァッ!」

ズズンズズンズズン……!

少女「はぁっ……はぁっ……! お、追いつかれちゃうぅ……!」

幼馴染「死ぬ気で走れーっ! ──って崖ぇっ!?」ガクン

少女「きゃああああ!」ズルッ

ガラガラガラッ! ズシャーッ──

15 : 以下、?... - 2019/04/16 22:58:25.686 G8UWy/1b0 11/36

~夕暮れ~

少女「ん……うーん……」

幼馴染「よかったぁ……目が覚めた……! 平気!? どこか痛いところある!?」

少女「ふぇ……?」ポケー

幼馴染「ちょ、ちょっと……! まさか頭打ったりしたんじゃないわよね……!?」

少女「あっ……、わたしたち……崖から落ちて……。わ、わたしは大丈夫! あなたは? お怪我はない?」アセアセ

幼馴染「あたしは平気。今はあんたのことが心配よ。どう? 痛いところは……」

少女「んっ……。大丈夫、みたい。ちょっとだけ擦りむいちゃったけど」

幼馴染「そう……よかった……! ねっ、見て? あたしたちあそこから落ちたのよ?」

少女「はぅ……あんな高いところから……!」

幼馴染「ふふ、奇跡みたいだわ。きっと日頃の行いがいいのね」

少女「ほんとだね! これならきっと無事に帰れるね♪」

幼馴染「うっ……。それは……その……」

少女「どうかしたの?」

幼馴染「崖の上に戻れないから、だからね……?」

少女「も、もしかして……」

幼馴染「道が分からないわ……」

少女「そっかぁ……。うーん、でもきっとなんとかなるよ!」ニコニコ

幼馴染「あんたねぇ……」

16 : 以下、?... - 2019/04/16 23:02:37.284 G8UWy/1b0 12/36

少女「それよりさ、お腹空かない?」

幼馴染「もうすっかり夕方だもんね。気を失ってる間に大分経っちゃったみたい。どうしようかしら」

少女「じゃーん! お弁当ー!」

幼馴染「お弁当……!」キラキラ

少女「お腹が空いたらなんにもできないもん。一緒に食べよ? ね?」

幼馴染「ええ! ええ! ふふ、あんたのお弁当、ずっと楽しみにしてたのよ!」

少女「えへ……♪ それじゃあ──あ……」パカッ

幼馴染「ん? しょぼくれちゃってどうしたのよ?」

少女「な、中身がぐしゃぐしゃに……はぅ……」ションボリ

幼馴染「そんなのは些細なことよ。見た目ももちろん大切だけど、グシャグシャになったところであんたのお弁当は絶品なんだから!」

少女「う、うんっ……! ありがと♪ 食べよっか」

幼馴染「いただきまーす!」

少女「いただきます」

幼馴染「はぐはぐはぐ……おいしいー!」

少女「えへへ……。わたしも……」パクッ

幼馴染「ふふ……ぐすっ……ひぐっ……」ポロポロ

少女「あ、あれ……? どうして……」

幼馴染「うぅ……あたしたち、お家に帰れるかなぁ……。くすん、帰りたいよぅ……ふぇぇ……」ポロポロ

少女「大丈夫……大丈夫だよ……。わたし、頑張るから。絶対絶対大丈夫。よしよし……」ナデナデ

幼馴染「うぇぇぇぇん……!」

ギューッ

少女「大丈夫だよ。よしよし。大丈夫」サスサス

17 : 以下、?... - 2019/04/16 23:06:15.881 G8UWy/1b0 13/36

幼馴染「ぐすっ……。ねえ……?」

少女「うん?」

幼馴染「さっきの化け物たち……魔女の手下なのかな……?」

少女「どうなんだろう?」

幼馴染「恐ろしい魔女と凶暴な怪物……。もし魔女まで出てきたりしたら……」プルプル

少女「わたしたち、日頃の行いがいいんだから大丈夫だよー♪」

幼馴染「よく考えたらあたし、あんまりいい子じゃなかったかも……」

少女「そんなことないよ。あなたはいつもわたしを助けてくれるもん」

幼馴染「あたしだってあんたに助けてもらってばっかりだもん……」

少女「えへへ。じゃあ二人とも、人を助けるいい子だね♪」

幼馴染「うぅ……でも……でもぉ……」ギュッ

少女「もー、すっかり甘えんぼさんになっちゃって……」

幼馴染「……」ジーッ

少女「……?」

幼馴染「……さっきは、昼間はごめんね?」

少女「昼間?」

幼馴染「あんたに一人だけ逃げろなんて言って……。あたし一人で舞い上がって、あんたを無理やり巻き込んだって思ってた……」

少女「……」

幼馴染「酷いことも沢山言っちゃったけど、でもね? ちょっと格好つけたかっただけなの」

少女「えへ、わたしたち何年一緒にいると思ってるのー? そんなのちゃんとわかってるよーだ!」

幼馴染「あはは……。あたし、あんたがいないとダメなの。あんたにそばにいてほしい。あんたと一緒にいたい。だから、だから改めて言わせて?」

少女「……うん」

幼馴染「二人で一緒にお家に帰ろう!」

少女「……うん、絶対に無事にお家に帰ろうね! 二人で一緒に!」

18 : 以下、?... - 2019/04/16 23:09:48.470 G8UWy/1b0 14/36

~朝~

少女「朝、だね」

幼馴染「手頃な岩穴があってよかったわ。火が起こせなくて困っちゃったけど」

少女「二人一緒だったから寒くなかったね♪」ピトッ

幼馴染「あんたがあたしにずっとしがみついてたおかげで、ね」ギュッ

少女「えー? あなたがわたしにくっついてたんでしょー?」

幼馴染「そ、そんなのどうでもいいわよ! ……さあ、行くわよ!」

少女「どっちに向かうの?」

幼馴染「お日様が向こうに見えるでしょ?」

少女「うん。葉っぱの陰から」

幼馴染「だからお日様と反対の方に歩けば街に出られるはずよ」

少女「そうなの? 賢ーい!」

幼馴染「ふふん! もっと頼っていいのよ!」

少女「じゃあ、あれはどうしよっか」

幼馴染「げぇっ!? 大きな川があって進めないじゃない!」

少女「渡る方法とか……」

幼馴染「……迂回するしかないわね。浅瀬を探しましょう」

少女「けどお水には困らないね!」

幼馴染「火が起こせないからあんまり飲みたくないけどね。お腹壊したら大変よ?」

少女「賢ーい!」

幼馴染「なんかバカにしてない?」

少女「はぅ……してないよー……」

19 : 以下、?... - 2019/04/16 23:12:50.840 G8UWy/1b0 15/36

少女「はぁ……はぁ……」

幼馴染「ふぅー……。少し休憩しよっか」

少女「そ、そうだね。疲れちゃった……」

幼馴染「足場は悪いし景色は代わり映えしないし。はぁ、疲れやすい中での無理は危険だもの」

少女「お腹も空いちゃうし、休憩しながら木の実でも集めよっか」

幼馴染「だけど、食べられる木の実が判別できるかしら……?」

少女「わたしに任せて! あなたは休んでていいよ! わたしが集めてくるから!」

幼馴染「そう? じゃあ、あたしは簡単に弓と矢を作ろうかしら。小さな動物なら狩れるし、いざという時武器にもなるからね」

少女「ね、ねえ? あのね……?」モジモジ

幼馴染「どうしたのよモジモジして」

少女「あの……あんまり離れないようにしようね?」

幼馴染「当たり前じゃない。あんたに何かあったら嫌だもの」

少女「えへへ……」

幼馴染「……あたしも寂しいし」ボソッ

少女「えっ? なにか言った?」

幼馴染「なんでもないわよっ!」

少女「大丈夫だよっ、わたしと一緒だから寂しくないよ!」

幼馴染「聞こえてるじゃない! ムキーッ!」

20 : 以下、?... - 2019/04/16 23:16:03.406 G8UWy/1b0 16/36

少女「これだけあれば十分かな?」モソモソ

幼馴染「こっちは終わったわよ。そっち、手伝う?」

少女「ううん、こっちももうおしまい」ニコニコ

幼馴染「そ。それなら適当に座ってご飯にしましょ」

少女「あっ、じゃああそこの大きな岩のところで食べよっか!」

幼馴染「ちょうどいい開けた場所ね」

トテトテトテ

少女「はぁぁっ、疲れたぁ……」トスン

ゴゴゴ……

幼馴染「ん……?」

ゴゴゴゴゴ……

少女「わ! わ! なに!? 地震!?」

幼馴染「ち、違うわ! ……その岩! いいえ、その化け物から離れて!」

岩?「グォォォン!」

少女「はわわわわっ! はわっ! はわわわわっ!」

ゴゴゴゴゴ……

幼馴染「な、なんでよ……なんでまた……」

少女「お、大きな……猪……」

魔猪「グガァァァァァ!」

21 : 以下、?... - 2019/04/16 23:19:21.165 G8UWy/1b0 17/36

少女「きゃあああ!」

幼馴染「くっ……! 隠れる場所もない……!」

魔猪「グルルルル……!」

少女「し……しんじゃう、の……?」ガクガク

幼馴染「やらせない……! これでもっ、くらえっ!」

ヒュンッ──トスッ

魔猪「グギャァァァァァァ!」

幼馴染「なんて声……! み、耳が……!」ズキズキ

グゴォォォォッ…… グゴォォォォッ……

少女「はぅ……。な、なに……? 遠くから大きな……鳴き声?」

ズンッ……ズンッ……ズンッ……

幼馴染「仲間を呼んだの!? に、逃げないと……!」

少女「あ……ダメ……。腰が……」ガクガク

ズズンッ……ズズンッ……ズズンッ……

幼馴染「あっちから……! こっちからも……!? だ、駄目だ……逃げ場がない……!」

少女「わ、わたしを置いて──」

幼馴染「言わないでっ!」

少女「……っ」

幼馴染「……駄目よ、あんたがそれを言ったら!」

少女「ごめん……ごめんね……」

幼馴染「あたしが絶対にあんたを守るわ。だから──」

ズズンッズズンッズズンッズズンッ

幼馴染「──あんたはあたしを守ってよね」ニコッ

中魔猪「グガァァァァァッ!」

大魔猪「グガガガガッ!」

小魔猪「グゥゥ……」

22 : 以下、?... - 2019/04/16 23:22:44.278 G8UWy/1b0 18/36

少女「ひぃぃ……」ガクガク

幼馴染「くっ……うぅ……」プルプル

大魔猪「グルルルル……!」

幼馴染「矢で……! 眼を……潰してやるっ……!」

ググッ……ブチンッ!

幼馴染「弦が……!?」

中魔猪「ガァァァァッ!」

幼馴染「素手でだって戦えるっ! わぁぁぁぁっ!」タタタッ

大魔猪「グガァッ!」

ドゴォッ!

幼馴染「ゔっ……」ベシャッ

少女「……?」

幼馴染「ぐ……ごぼっ……ごふっ……」ピクッピクッ

少女「え……? うそ……」

幼馴染「ぉ゛……」

大魔猪「グゴァァァァッ!」

少女「だ、れか……」

中魔猪「グフッ! グルフフフッ!」

少女「だれか……誰かこの子を助けてぇぇぇぇっ!」

小魔猪「ガァァァァッ!」

女「とぉぉぉぉりゃぁぁぁぁっ!」ブオンッ

バキィッ!

大魔猪「グゲェッ!?」

女「……間に合った! よし、一人は助けられそうね!」

23 : 以下、?... - 2019/04/16 23:26:54.688 G8UWy/1b0 19/36

少女「あ……え……女の人……?」

女「ほら、逃げるよ。君だけなら助けられる。その子は……もうダメかな。置いて行こう。さあ、早く!」

少女「……ダメ。ダメよ」

女「早く早く! グズグズしないで!」

少女「あの子を助けて! わたしは自分の足で! に、逃げるから!」ガクガク

女「あー、困ったなぁ……」

中魔猪「ガルゥゥゥッ!」

女「おっと、猪さんもちょっと待ってっ!」

ボコッ ドガッ

中魔猪「ゴゲッ! ホゲェ!?」

女「この子たち三体は私じゃ倒せないのよ。ちょっと時間を稼ぐので精一杯。だから、ね? 早く逃げよう?」

少女「約束したの……一緒に帰るって!」

女「無理だよ。現実を見なさい」

グゴォォォォッ! ゴォォォォッ!

幼馴染「……」ピクッピクッ

女「……この状況で君にできることなんて何もない。それが現実だよ。受け入れて」

少女「そう、だよ……わたしには、なんにもできない……」

女「うんうん。それじゃあ──」

少女「それでもっ! わたしを守ってくれたこの子を! 今度はわたしが守るんだっ!」

女「はぁ~……」

少女「お願いします……! あなたはこの子を連れて逃げてください!」

女「……君は? 死ぬ気なの?」

少女「死にません。走って、逃げて、絶対にお家に帰ります……!」

女「堅物なんだから……」

大魔猪「フンガァァァァッ!」

女「あっ、やばっ……!」

パチン──

24 : 以下、?... - 2019/04/16 23:31:13.699 G8UWy/1b0 20/36

少女「い、猪の動きが……止まっちゃった……?」

女「はぁ……助かった……。ごめんね、失敗しちゃった」

魔女「やれやれ、まったく世話の焼ける……」

少女「はわわわわ……」

魔女「死にかけが一人に死に損ないが一人、か。どうしたもんかのう」

女「……」

少女「魔女さん、ですよね……? この森に住んでるっていう……」

魔女「ん? おお、いかにも。妾が恐ろしい魔女であるぞ」

少女「お願いします……! この子を助けてください! わたし、なんでもしますから!」

魔女「おー、なんでもしてくれるか! それはありがたい! 実はこの猪共に食わせる餌を探しておったのじゃ! いやーちょうどいいのう!」

女「……」ジトー

少女「エサ、ですか……。わかりました。猪さんが好きそうなもの、必ず集めてきます! だからどうか!」

魔女「お、おう……。なんじゃこやつ……天然か……?」

女「あっははは! 意地悪失敗だね!」

魔女「うるさいわ馬鹿者!」

少女「えっと……?」

女「この魔女さんはね、君に猪の餌になれって言ってたんだよ」

少女「えっ……? ひぃぃぃ……」プルプル

魔女「むぅ……。なんだか昔を思い出すのう……」チラッ

女「私とどっちがかわいい?」

魔女「……うるさいわ馬鹿者」

25 : 以下、?... - 2019/04/16 23:34:01.845 G8UWy/1b0 21/36

魔女「こほん! ……あー、その、こやつのことは助けてやろう」

少女「本当ですか!?」

魔女「ああ」パチン

幼馴染「……ん」

少女「え……?」

幼馴染「あ、れ……? あたし……?」

少女「ふぁ……! あぁぁっ……!」ガバッ

幼馴染「ちょっ!? 苦しっ、待っ……!?」

少女「よ゛かっだあ゛ぁぁぁっ!」ギューッ

女「……試すなんてことしないで早く助けてあげればよかったのに」

魔女「ふん。これは自業自得の結果であった。舐めたことを言うようなら見捨てようと思ったのじゃが」

女「助けてあげたってことは……?」

魔女「……」

女「あはは! 素直じゃないんだから」

少女「あの、あの! ありがとうございますっ!」

幼馴染「えっと……ありがとう、ございます」

魔女「うむ」

女「さて……君たち。なんでこんなことになったか、分かる?」

26 : 以下、?... - 2019/04/16 23:37:42.273 G8UWy/1b0 22/36

幼馴染「あたしが……! あたしたちが……この森のルールを破ったから、です……」

少女「ルール……?」

女「ふーん? 気がついたんだ?」

幼馴染「あたしたち……きっと魔猪たちの縄張りに足を踏み入れちゃった……。森の入り口近くで襲われたのは、縄張りに入らなせないようにするため……」

女「それもあるわね。でもそれは、この子たちにも悪いところはある」

魔女「そうじゃな。そなたら、浮かれて勝手に縄張り広げたろ?」

魔猪たち「グルゥ……」

女「……」

幼馴染「えっと……じゃあ……?」

女「君が、猪夫婦の子供を傷付けたからだよ」

小魔猪「グォン……グォン……」

少女「この猪……矢傷を受けた……」

幼馴染「あたしが矢を放ったあの猪……子供だったんだ……」

女「君たちは、この子たちが何よりも大切にしているものを傷付けた。だから、こうなった」

幼馴染「で、でも……! あたしたちは身を守ろうと思って……!」

女「まあ、そうだろうね。でもこの子供は何もしてない。君たちが岩と間違えて座って、そのあと一方的に攻撃したの」

少女「……」

女「親猪たちがその気になれば、君たちみたいな子供は瞬きひとつする間も無く消し飛んでるよ?

少女「そ、そうなの……?」

幼馴染「……そうかも」

27 : 以下、?... - 2019/04/16 23:40:14.114 G8UWy/1b0 23/36

女「分かるかな? 君たちは一方的に襲われたんじゃないの。これはね、ケンカなんだよ。お互いに傷付け合う、ケンカ」

幼馴染「……ごめんなさい」

女「うんうん」ニコニコ

少女「わたしも……ごめんなさい……」

魔女「……と、謝っておるが。そなたらは?」

魔猪たち「グルルン……」

魔女「悪かった、じゃとよ」

幼馴染「あの、子猪の怪我も治してあげられませんか?」

魔女「ふふふ。妾を誰じゃと思っておるのじゃ。もう──」

女「さっきこっそり治してたわよ?」

魔女「あーっ! 妾が格好良く決めるところじゃろうがー!」

女「あははは! ごめんごめん!」

幼馴染「……よかった」

女「じゃあほら、そろそろ家に帰らないと。みんな心配してるよ」

少女「そ、そうだ……! 早く帰らなきゃ……!」

幼馴染「父さんに謝らないと! それとおじ様にも! あわわ……すっごく怒られるわよ……!?」

少女「えへへ、一緒に怒られようね!」

魔女「ふん、さっさと帰った帰った。もう来るんじゃないぞ」パチン

少女「はい、ありが──」

シュン──

28 : 以下、?... - 2019/04/16 23:44:05.868 G8UWy/1b0 24/36

女「ふはぁ~……。カッコつけるのも楽じゃないね~」

魔女「まったくじゃの。じゃ、じゃがそなたの勇ましい姿も、その……」

女「あはは! ありがと♪ あなたもとっても素敵だったわよ?」

魔女「む……」

女「でもちょっと焦っちゃった……。女の子の一人が血を吐きながら吹っ飛んだときは、血の気が引いたわよ……」

魔女「そうじゃそうじゃ。おい、貴様ら!」

魔猪たち「フゴッ」ビクッ

魔女「あの幼子が死んだらどうする気じゃったのじゃ! 妾とこやつが居らんかったら大惨事じゃったぞ!」

大魔猪「フゴ……」

魔女「はぁ? 怖かった、じゃとぉ? なーにを馬鹿なことを。そなたの鼻息一つで人間なんぞひとたまりもないんじゃぞ?」

大魔猪「フゴォ……」

魔女「言い訳するでないわ。大体そなたらが縄張りを広げたりせねばこんなことにはならんかったじゃろうが!」

女「鹿さんから苦情があったっけ」

大魔猪「フォン♪ フォォン♡」スリスリ

ゴリゴリゴリゴリッ

魔女「やめっ、媚びを売るでないわ……! 痛いっ! そなたの身体は屈強なんじゃからっ!」

中魔猪「フゴフゴ♡」スリスリ

小魔猪「プー♡」スリスリ

魔女「いだだだだ……! 潰っ、潰れるっ! 助けてーっ!」

女「……」ジトー

魔女「た、助けてくれ……」

女「……なんかおもしろくない」ジトー

魔女「ばっ、そなた、何を妬いておるのじゃ!? 妾の気持ちなぞ今更言わんでも分かるじゃろ!?」

女「たまには言ってほしいもん……」

魔女「ええいっ! 妾はそなたがとても大切じゃ! この命、捧げても惜しくない程にな!」

女「えへへ……♪」

魔猪たち「ヒューッ!」

魔女「やかましいわっ!」

30 : 以下、?... - 2019/04/16 23:47:11.976 G8UWy/1b0 25/36

~七日後~

少女「こんにちはー!」

コンコン

幼馴染「こんにちはー! 魔女さーん! いますかー!」

ガチャッ

女「はいはいなんでしょうか、ってこの前の女の子たちっ!」

少女「今日は先日のお礼に来ました」ペコッ

女「……あっちでコソコソしてるのは?」

父「うぅ……」コソコソ

少女「お父様です」

幼馴染「おじ様ー! どうしたんですかー?」

父「あ、あの……こんにちは……」

女「はい、こんにちは、領主様♪」

少女「お父様、どうしたの?」

父「俺は昔、この人たちにとても酷いことをしてしまってね……。今でも申し訳なさで押し潰されそうなんだ……」

女「あはは! たくさん謝ってくれたじゃないですかー。私も、あの人も、もう気にしてませんって!」

幼馴染「……何したのかしら?」ヒソヒソ

少女「……知りたいような知りたくないような」ヒソヒソ

魔女「騒々しいな……。なんじゃあ?」

少女「魔女さんっ!」

魔女「む、そなたらはこの間の……。とにかく上がったらどうじゃ? そんなところで立ち話もなんじゃろうし。ほれほれ」

女「そうだね。三人とも、どうぞ上がってください」

31 : 以下、?... - 2019/04/16 23:50:37.033 G8UWy/1b0 26/36

父「先日は、娘たちを助けていただいてありがとうございましたっ!」ペコッ

少女「ありがとうございましたっ」
幼馴染「ありがとうございました!」

魔女「礼なんぞいらんよ。妾の気まぐれで結果的に助かったというだけの話じゃ」

父「いやしかし──」

少女「そういうわけにはいきませんっ!」

魔女「む」

少女「まずこれです」

ドサドサッ

女「うわわっ! こんなにたくさん食べ物を……!」

少女「これは猪さんたちのご飯です。書物で調べて、あの猪さんたちでも食べられそうなものを持ってきました!」

幼馴染「あたしたちで狩った獲物もあるんですよ!」

魔女「あー……餌か……。妾が言ったんじゃったな……」

少女「次はこれです!」

ポフッ

女「……っ!」

幼馴染「あたしのお祖父さんからアドバイスをもらいまして」

少女「その、ぬいぐるみがお好きだって聞いて……。わたしたちで作ってみたんです」

女「く、くれるの……? 私に……? もらって……え? もらっていいの……?」キラキラ

魔女「ふふ、よかったのう。こやつは無類のかわいい物好きだからの。うむ、よくやった、そなたたち」

32 : 以下、?... - 2019/04/16 23:54:22.141 G8UWy/1b0 27/36

少女「えっとそれから……」

魔女「……」ソワソワ

少女「よかったらみんなでご飯を、と思って……。あの、イヤじゃなければ……」

魔女「宴を催すとな? うーむ、宴かー」チラッ

父「うっ……」

女「はいはい意地悪しない。いいねー、みんなでご飯!」

幼馴染「この子、とってもお料理上手なんですよ! あたしの自慢なんです!」

少女「えへへ♪ あなたのために頑張って腕を上げてるんだよっ」

魔女「ええい、いちゃいちゃするでないわっ!」

女「この人はひねくれ者だからわかりづらいけどね、今とってもはしゃいでるんだよ!」

少女「そうなんだぁ……!」ニコニコ

幼馴染「あぁ……あたしちょっと憧れちゃう……! 魔女さんって、とっても素敵なんだもの!」キラキラ

魔女「むぅ……余計なことを……! こやつもな、格好つけておるが、普段はふにゃふにゃの甘えん坊なんじゃぞ」

女「あーっ! なんでみんなの前で言っちゃうのよー! あなただって、私が仕事から帰ってくるときドアの前で待ってるくせに!」

魔女「のわーっ!? やめんかーっ!」

少女「……とってもお似合いの二人だよねっ♪」

幼馴染「あ、あたしたちだって……仲の良さなら負けないんだから」

少女「えへへ……えへへへへ……♪」

ワイワイ ガヤガヤ

33 : 以下、?... - 2019/04/16 23:58:37.003 G8UWy/1b0 28/36

~三月後~

少女「いってきまーす!」

父「くれぐれも気をつけるんだよ。いってらっしゃい」

少女「お父様もお仕事頑張ってね!」トテテ

トテトテトテ

少女「おーい……! おまたせー!」

幼馴染「別に待ってないわよ。……それで?」

少女「えーっと?」キョトン

幼馴染「当然、持ってきたのよね?」

少女「あっ、もちろんだよっ! 今日も腕によりをかけたから期待してね♪」

幼馴染「うふ……ふふふふ……! じゃ、じゃあ行きましょうか? ふふ……」

少女「今日は、あなたが一人前の狩人になれたのか見極める試験の日……! わたしまで緊張しちゃうよ……!」

幼馴染「ありがと。でも心配いらないわ。だってあなたが見ててくれるんだもの。それだけであたしは強くなれるんだから」

少女「見てるだけなのが歯痒いよぅ……」

幼馴染「ふふん、すぐに安心させてあげるわ!」

少女「ダメだよー、油断したらー」

幼馴染「これは油断じゃなくて自信よ! 今なら魔猪にだって負ける気がしないわ!」

少女「えへへ、頼もしいねっ♪」ニコニコ

34 : 以下、?... - 2019/04/17 00:00:15.356 GhbdxRyH0 29/36

少女「それじゃあ頑張ってね! わたしとおじさまは離れて応援してるから!」

狩人「分かっていると思うが──」

幼馴染「危ないと思ったらすぐに逃げる、でしょ。……身に染みてるわ」

狩人「ふふ、成長したな。よし、それでは始めよう」

少女「終わったらお弁当、食べようね!」

幼馴染「ええ。行ってくるわね」スタタッ

少女「……信じてるよ」

ガサガサ

女「あれ? 奇遇だねー」

狩人「おや、こんなところで会うとは」

少女「えへ、こんにちは! 魔女さんは一緒じゃないんですか?」

女「今日は私一人だよ」

狩人「君が一人で来るということは……まさか……」

女「はい。ちょーっと悪い魔物退治を、ね。この辺りに隠れてるらしいんです」

少女「……! その話、詳しく聞かせてください!」

女「えっ? あ、うん。実は──」

35 : 以下、?... - 2019/04/17 00:03:53.857 GhbdxRyH0 30/36

少女「はぁ……はぁ……。大丈夫、ここの地形は頭に入ってる……。あの子が辿るルートもわたしなら分かる……!」

トテテテテッ

少女「……見つけたっ!」

幼馴染「……」キョロキョロ

少女「なにか様子が変……? あっ……!」

魔物「グルルルル……」

少女「木の上に魔物が……! あの子、気付いてない……! すぐに知らせる方法は──」

幼馴染「……」キョロキョロ

少女「すーっ……。わぁぁぁぁっ!」

幼馴染「……!」

魔物「グッ……!?」

ガサガサッ!

幼馴染「魔物っ……!? てりゃっ!」

ヒュヒュンッ──ストトッ

魔物「グゲェェッ……!?」

少女「やったっ!」

幼馴染「逃げるよっ! 走って!」

少女「えっ? えっ?」

タタタタッ……

少女「はぁっ……はぁっ……! や、やっつけたんじゃないの……?」

幼馴染「いいえ、あれはかなりの力を持った魔物だわ。あたしじゃ倒しきれない。不意を突いて隙を作っただけよ」

少女「そうなんだー」ジーッ

36 : 以下、?... - 2019/04/17 00:06:54.049 GhbdxRyH0 31/36

幼馴染「な、なによ……」

少女「かっこいい……!」

幼馴染「はぁ!? あんた何言ってるの!?」

少女「だってだって! 魔物相手にすっごく落ち着いてるし! 颯爽とわたしを助けてくれたし!」

幼馴染「……あんただってあたしを守ってくれたじゃない」

少女「わたしが?」

幼馴染「あたし、魔物に狙われてるの気が付かなかった。あの時あんたが教えてくれたから、あたしはこうしてあんたを守れたのよ」

少女「そっかぁ……!」パァァ

幼馴染「ところで、父さんは? 一緒じゃなかったの?」

少女「あっ、それはね──」

魔女「あそこじゃよ。あそこ」

幼馴染「ひゃあっ!?」

少女「魔女さん!?」

魔女「静かにせんか。見つかってしまうじゃろうが。それより見てみい」

魔物「グルルルル!」

幼馴染「魔物っ……! もうこんなところまで……」

少女「に、逃げないと……!」

魔女「大丈夫じゃよ。そなたの父親と、妾の大事な怪物が討ち取ってくれる」

狩人「行くぞっ!」

女「はいっ! 確実に仕留めます!」

ズドドドドッ! ズバーッ!

魔物「ギャアアアア……」

37 : 以下、?... - 2019/04/17 00:10:50.469 GhbdxRyH0 32/36

魔女「どうじゃ? ん? どうじゃ? あやつ、妾のためと言ってどんどん強くなりおる」

少女「怪物って言った……」

幼馴染「怪物って言ったわね……」

魔女「律儀で堅物で、じゃが真っ直ぐで純粋じゃ。とても愛らしくてのう……」デレデレ

少女「あのあの、どうして魔女さんがここに?」

魔女「決まっておるじゃろ。あやつに何かあったらどうする」

少女「心配なら一緒に来ればいいんじゃ……」

魔女「子供扱いするなと怒るんじゃよ……。それに妾だって少し恥ずかしいし……」

幼馴染「うんうん、分かるわ」

魔女「むっ。二人がこちらに向かってくる。……今話したことは全て他言無用じゃぞ? 妾が居たことも話すでない。ではの」パチン

シュン──

少女「あっ、行っちゃった」

幼馴染「さて、父さんたちと合流しましょ」

少女「う、うんっ……! 悪い魔物がいるって聞いて居ても立っても居られなくて……。きっと二人に心配かけちゃった……」

狩人「おーい! もう大丈夫だぞー!」

少女「おじさまーっ! ここだよーっ!」

女「よかった、二人とも怪我はなさそうね♪」

38 : 以下、?... - 2019/04/17 00:15:28.550 GhbdxRyH0 33/36

女「仕事も片付いたことだし、じゃあ私は帰るわね。待たせてる人がいるの。またね!」

シュタッ

少女「もう行っちゃった! よっぽど早く帰りたいんだね。でもその気持ち、分かるなぁ……」チラッ

幼馴染「それにしてもあの人、信じられないくらい強いのね」

狩人「それはそうだ。なんせあの魔女さんを倒したって話だからな」

幼馴染「えーっ!? う、嘘でしょ……?」

狩人「本人が嬉しそうに喋って回ってたぞ。魔女さんも否定しなかったそうだし」

少女「すごい人なんだね……!」

幼馴染「ほ、本当に怪物なのかしら……?」

狩人「ところで魔女さんはもう帰ってしまったのかな?」

少女「えっ!? どうしてモガモガ」

幼馴染「こらっ……! 内緒にするんでしょ……!?」ヒソヒソ

少女「モガッ……! そ、そうだった……」ヒソヒソ

狩人「ん? どうした?」

少女「ナンノコト カ ワカリマセン」カチコチ

狩人「はっはっは! 隠さなくていい。街の大人たちはみんな知っているよ、あの二人はいつも一緒だとね」

幼馴染「そ、そんなカマかけに引っかからないわよ!」

狩人「はっはっはっは! 帰ってしまったのならまあいいか。……それでは試験の結果を発表する!」

幼馴染「えぇっ!? 試験終わり!? そんなぁ……」ガックリ

39 : 以下、?... - 2019/04/17 00:18:40.349 GhbdxRyH0 34/36

少女「えへへ……えへへへへぇ……」ニコニコ

幼馴染「んぐんぐ……なんか釈然としないわ。あ、これ美味しい」

少女「えー? 合格は合格だよ?」パクパク

幼馴染「『狩人に大切なのは獲物を狩る力ではない。どんな危険に遭遇しても、冷静に乗り越え帰還することだ』……ですって」ムシャムシャ

少女「あの魔物に付いてた傷跡は実に見事であった~とも言ってたよ? 腕もちゃんと認められてるのに」

幼馴染「でも、狩人なんだからやっぱり狩りたいじゃない? ……これもらっていいかしら?」

少女「はい、あーん。……わたしはあなたが無事な方が嬉しいもん」

幼馴染「……ま、あんたが悲しむよりは手ぶらで帰る方がいいか」

少女「あなたのことだから、きっと手ぶらで帰ってきてもすぐ次の狩りに行っちゃうんだろうけど」

幼馴染「当たり前でしょ。成果なしじゃ、あんたがひもじい思いをしちゃうじゃない」

少女「……えっと? わたしのために狩ってきてくれるの?」

幼馴染「あっ、いやっ、違うわよ! 今のは……言葉の綾というか……」

少女「えへへ、嬉しい♪ けど、あなた一人に頑張らせたりなんてしないよ? 二人で一緒に、ね?」

幼馴染「そ、そうね……! あたしとあんた、二人で……」モジモジ

少女「約束だからねっ! これからもずぅーっと、一緒だよっ♪」

幼馴染「ええ。後になって嫌だなんて言っても絶対離してあげないんだからね! ……ってなんだか恥ずかしいわね!」

少女「そうかなぁ? わたしはとっても嬉しいよ?」

幼馴染「あたしだって嬉しいけど……あーっ、もうっ! やっぱり恥ずかしいからこの話終わりーっ!」



おしまい

41 : 以下、?... - 2019/04/17 00:25:06.135 GhbdxRyH0 35/36

>>5のひとつ目の話はこの話の12年前、ふたつ目の話はそれよりも70年ほど昔の話

45 : 以下、?... - 2019/04/17 01:01:12.606 GhbdxRyH0 36/36

余計なアレかもしれないけど
魔女の見た目は人間の年相応じゃなくて、年齢を人間換算した猫みたいな感じで考えてる

大体6歳くらいまでは人と同じスピードで成長するけど、それからは緩やかになって周りより幼くみられるようになる
15歳になる辺りで急成長して一気に人間の大人と同じような見た目に変わるから、大抵その時魔女バレして殺されちゃう
それからはほとんど見た目に変化はなくなるけど、別に年をとらないわけじゃない、っていう設定

好きに容姿を想像できるのが良さだと思ってるから、あくまで俺の考えた設定として

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