フリーザ「ザーボンさん、ドドリアさん、帝京平成大学をご存じですか?」
ザーボン「は……?」
ドドリア「なんですかそれ」
フリーザ「ほっほっほ、ではお教えしましょう」
フリーザ「帝京平成大学のここが凄い!」
二人「!?」ビクッ
元スレ
フリーザ「ほっほっほ、帝京平成大学を受験してみることにしました」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1551780305/
フリーザ「学生数一万人以上! 東京と千葉県に四つのキャンパス! 創立30年超!」
フリーザ「充実したイギリス留学制度! プロ野球チームとコラボした授業!」
フリーザ「さらに、国家試験合格者数は全国有数で、徹底した実学教育を行っているのです!」
ザーボン「おお……!」
ドドリア「すげえ……!」
フリーザ「これぞ帝京魂!」
フリーザ「まさに宇宙の帝王である私に相応しい大学といえるでしょう」
フリーザ「なので、私は帝京平成大学を受験してみることにしました」
フリーザ「帝京平成大学を卒業し、さらに完璧な宇宙の帝王となるのです!」
ザーボン「さすがフリーザ様!」
ドドリア「そうなったらもう怖いものなしですぜ!」
フリーザ「ほっほっほ、それではさっそく模試を受けてみましょうか」
フリーザ「まあ、私ならば合格間違いなしでしょうが……」
E判定
フリーザ「……」
フリーザ「バ、バカな!? この私が……!」
ドドリア「ザーボン、E判定ってなんだ?」ボソッ
ザーボン「受かる見込みが低いってことだ」ボソッ
フリーザ「ザーボンさん、口は災いのもとですよ」ギロッ
ザーボン「も、申し訳ありませんっ!」
フリーザ「こうなったら仕方ありませんね……すぐ帝京平成大学へ向かいなさい!」
フリーザ「あなたが学長さんですね?」
学長「はい」
フリーザ「さっそくですが、あなたに頼みがあります」
学長「どのようなご用件でしょうか?」
フリーザ「このフリーザを……帝京平成大学に入学させなさい。試験なしでね」
学長「お断りします」
フリーザ「な、なにっ!?」
学長「私はそのような不正入学を受け入れるつもりはありません。正規のルートでご入学下さい」
フリーザ「ほっほっほ、面白い。この私に逆らうおバカさんがいらっしゃったとは……」
フリーザ「花火になりたいのですか?」
学長「たとえ花火になろうとも考えは変わりません」
フリーザ「いちいちカンに障る学長だ!!!」ギャウッ!
ガシィッ!
フリーザ「む!?」
学長「ぬうう……!」
グゴゴゴゴゴゴ……!
パッ
フリーザ「なるほど……腕に覚えがあるようですね。大した戦闘力です」
フリーザ「しかし、私が変身できることはご存じでしょう?」
学長「ええ、あなたが変身すれば、おそらく私も敵わないでしょう」
学長「ですがそれでも、私はあなたには屈しません。入学は認めません」
フリーザ「くっ……!」
フリーザ「どうやら、あなたや帝京平成大学を力ずくで支配するのは不可能なようですね……」
フリーザ「分かりました、別の手段を考えましょう」
フリーザ「というわけで、ナメック星のドラゴンボールを貸して下さい」
最長老「いいでしょう」
最長老「ナメック星の言葉でなくても、ポルンガを呼び出せるようサービスしておきました」
フリーザ「これはこれはご丁寧にどうも」
ザーボン「不老不死はよろしいのですか?」
フリーザ「不老不死などより、帝京平成大学に受かることの方が大事です!」
ザーボン「は……!」
ポルンガ「どんな願いでも三つだけ叶えてやろう」
フリーザ「この俺を帝京平成大学に受からせろーッ!!!」
ポルンガ「残念だが、それはできない」
フリーザ「な、なぜ!?」
ポルンガ「帝京平成大学の偏差値は、私の力を大きく超えている」
フリーザ「くっ! ドラゴンボールでもダメなのか!」
最長老「フリーザさん……とやら。これで分かったでしょう?」
フリーザ「!」
最長老「大学受験というのはとても難しいものなのだと……」
最長老「それにたとえ大学に不正入学したところで、得るものはなにもありません」
最長老「もし入れたとしても、不正した実力では授業についていけないでしょうし」
最長老「なによりも心に“不正した”という十字架を一生背負うことになります」
フリーザ「あなたのおっしゃる通りですね」
フリーザ「分かりました……ドラゴンボールに頼ることもやめましょう」
ポルンガ「三つの願いはどうするのだ?」
フリーザ「ではご迷惑をおかけしたナメック星の方々にお茶菓子を三つ」
フリーザ「さあ、さっそく勉強を始めますよ!」
ザーボン「家庭教師はお任せ下さい、フリーザ様」
フリーザ「お願いしますよ、ザーボンさん」
ドドリア「俺は頭が悪いんで、せめてコーヒーでも淹れてきます」
フリーザ「ありがとうございます、ドドリアさん」
ギニュー「フリーザ様!」シュザッ
フリーザ「おや、ギニューさん、どうしました?」
ギニュー「フリーザ様が帝京平成大学を受けると聞き、部下ともども飛んできたのです!」
ギニュー「ギニュー特戦隊でお役に立てることがあれば、なんでもお申し付け下さい!」
フリーザ「わざわざありがとうございます」
ギニュー「あ、そうだ!」
ギニュー「よろしければ、勉強のダンスを踊りましょうか!」
フリーザ「そ、それはまた次の機会に……」
フリーザ「……」カリカリ…
フリーザ「ふむふむ、この問題はこういうことだったのか」カリカリ…
コルド大王「精が出ておるな、フリーザ」
フリーザ「パパ……!」
コルド大王「お前が帝京平成大学を受けると聞いてな。夜食を買ってきたぞ」
フリーザ「これはファミチキ……! ありがとうございます」
コルド大王「勉強を頑張るのもいいが、無理はするなよ。体を壊してはなんにもならん」
フリーザ「分かってますよ、パパ」
フリーザ(深夜に食べるファミチキというのもなかなかいいものですね)モグモグ
受験当日――
フリーザ「さあ、いよいよ今日が試験です」
フリーザ「皆さん、行って参ります」
ザーボン「お気をつけて!」
ドドリア「フリーザ様なら絶対合格できますよ!」
コルド大王「とにかく悔いが残らないようにな」
ワイワイ…
ギニュー「よろしければ、私が祈願のダンスを踊りましょうか!」
フリーザ「そ、それはまた次の機会に……」
試験官「始めっ!!!」
バババッ
フリーザ(よし、この問題は分かります!)
フリーザ(この問題は……分からないから飛ばしましょう!)
フリーザ(大学受験で重要なことは難問を解くより、取れる問題を絶対に落とさないことですからね)
フリーザ(パパの言う通り、悔いが残らないよう全力を尽くすのです!)
カリカリ…
フリーザ「ふぅ……やっと試験が終わりました」
ザーボン「お疲れ様です、フリーザ様!」
ドドリア「手応えはどうでした?」
フリーザ「まあまあ、といったところですかね」
コルド大王「ほら、ファミチキだ」
フリーザ「これはどうも。結果がどうなるにせよ、とりあえずホッとしましたよ」
ギニュー「よろしければ、私がホッと一息のダンスを踊りましょうか!」
フリーザ「そ、それはまた次の機会に……」
合格発表の日――
フリーザ「……」
フリーザ(私の番号は……)
530000
フリーザ「あ、あった!」
フリーザ(やった……! 私は帝京平成大学に受かったんだ!)
ザーボン「おめでとうございます、フリーザ様!」
ドドリア「やりましたね!」
コルド大王「うむ、さすがは我が息子……よくやった!」
コルド大王「今日は奮発して、お祝いのプレミアムチキンだ」
フリーザ「どうもありがとうございます、パパ」
ザーボン「ご覧下さい、部下たちも喜んでますよ」
ドドリア「ぐへへ……みんなフリーザ様が頑張ってる姿を見てるからな」
フリーザサマバンザーイ! バンザーイ! バンザーイ!
フリーザ「……」
コルド大王「どうした、フリーザ?」
フリーザ「私は今回の一件で、不正をしたり、力で支配することの愚かさを知りました」
フリーザ「私に屈しなかった学長のような高潔な精神を持たなければ、真に上に立つ者にはなれません」
フリーザ「帝京平成大学で目一杯勉強して、皆に慕われる宇宙の帝王になってみせます!」
フリーザ「これこそ帝京魂!!!」
コルド大王(成長したなフリーザ……もうワシなど足元にも及ばん……)
ギニュー「あの……フリーザ様」
フリーザ「なんでしょうか?」
ギニュー「よろしければ……私が喜びのダンスを踊りましょうか?」
フリーザ「……」ニコッ
フリーザ「ええ、是非お願いします」
おわり


