男「いやいい。ずっと秋でそのまま春が理想」
雪娘「冬が来ないと困るでしょうに」
男「俺寒いの苦手だから」
雪娘「四季あっての日本だよ。今年は本気でいくけど」
男「つーかそもそもお前誰なんだよ」
元スレ
男「そろそろ冬だな」雪娘「そろそろ本気出すね」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1320492387/
雪娘「あれだよ、雪女です」
男「ナチュラルに大嘘つくな不法侵入者め」
雪娘「ホントだよ。若干やる気ないように見えるかもだけど、妖怪です、はい」
男「もしもし警察ですか」
雪娘「させるかアホめ」
男「はっ!?受話器が氷付けに!?」
雪娘「信じたかこのやろー」
男「壊れたな。弁償しろ」
雪娘「えー」
男「どこから入ってきたこの変態」
雪娘「かべ」
男「ちょっと何言ってるか分からないです」
雪娘「壁からこう、すーっと」
男「なにそれこわい」
雪娘「妖怪ですから」
男「疲れているのは俺なのかお前なのか」
雪娘「疲れてないぞー、働きたくないだけで」
男「ニートか」
雪娘「妖怪ニートです」
男「ニートの妖怪なのか、妖怪のくせにニートなのか」
雪娘「後者です言わせんな恥ずかしい」
男「いやに現代に馴染んだ妖怪ですこと」
雪娘「まー、何百年も妖怪やってると適応します」
男「で、電話はいつまでカチコチなわけ」
雪娘「レンジに入れれば溶ける」
男「やかましいわ」
雪娘「てかビビれよー。妖怪だぞー。がおー」
男「うぜぇ」
雪娘「凍った電話見てあたしが妖怪だって信じたかー」
男「夢だな、夢に違いない」
雪娘「豪雪波動拳ー」
男「はっ!!?テレビまでもが謎の攻撃でこおり状態に!?」
雪娘「本気出せばこのくらい」
男「弁償しろこのくそガキ」
雪娘「餓鬼じゃない雪娘だ」
男「そうじゃねぇ」
雪娘「あれだぞ、見た目はこんなんでももう数百歳だぞ。敬えー」
男「ロリババア」
雪娘「てめぇは俺を怒らせた」
男「お前ジョジョ読んだことあるだろ妖怪のくせに」
雪娘「昔から書物くらい読むわアホー。たまたま読んだだけだ」
男「で、何部推し」
雪娘「五部」
男「渋いなお前」
男「で、その自称雪女の見た目白和服幼女が何の用だ」
雪娘「いやね、すげぇナチュラルにお前が独り言言ってたから何気なく答えたら、会話成立したわけ」
男「悪かったなナチュラルに独り言言ってて」
雪娘「だからといってコーディ・・・」
男「お前本当は何者だ!?現代文化詳しすぎだろ!」
雪娘「仕方ないだろー、時代の最先端をいく雪女なんだから」
男「いきすぎだろ」
雪娘「だよねー」
雪娘「で、信じたか、あたしが雪女だって」
男「まぁ・・・電話とテレビを氷漬けにされたら。というか、俺電波だと思われるから伏せてるが霊感あるし」
雪娘「なにそれこわい」
男「お前が怖い」
雪娘「そうか、それであたしが見える、と」
男「幸か不幸か」
雪娘「いいじゃないか、こんないい女と話せて」
男「幼女じゃん」
雪娘「需要はあるだろう。多分」
男「で、雪女さんがなんでこんなところに」
雪娘「正確にはまだ雪娘だけどなー」
男「同じだろ」
雪娘「キャリアが違う。部長と課長並みに違う」
男「中間管理職じゃん」
雪娘「大名と征夷大将軍くらい違う」
男「はんぱねぇけど、最初の課長と部長のくだりいらないじゃん」
雪娘「大統領と首相くらい・・・」
男「お前本当に違い分かってる?」
雪娘「とにかくあたしはまだ半熟者なの、わかったか下等人類」
男「あ、なめられない様に啖呵切ったな」
雪娘「雪娘なめんなよー。その気になればこの国終わるよー」
男「どういった意味で」
雪娘「早い話が、南極とかロシアの端のほう」
男「なんとなく察した。ここでお前を退治する」
雪娘「やーめーろー」
雪娘「あたしは働きたくないんだよー。この国凍らせるとかマジ勘弁」
男「反応しにくい」
雪娘「でもさー、今年冬本気出さないとー、いつまでも雪女になれないわけでさー」
男「なるな」
雪娘「でももう同期のみんな昇格してるし。あたしだけだし」
男「その間ぐだぐだと漫画とアニメ見てたろ」
雪娘「なぜそのことを」
男「自業自得じゃん」
雪娘「だからやばいってんだよー。もう後がないよー」
男「いいだろ別に」
雪娘「よくない。雪娘クビにされちゃう」
男「クビとかあんの」
雪娘「クビって、そのまんまの意味で」
男「は?」
雪娘「首だけにされてしまいます」
男「それ死じゃん」
雪娘「やばいんですよ」
男「シビアな世界なんだな」
雪娘「妖怪ですからー」
男「もっとこう、自由にやってるのかと」
雪娘「お前それいつの時代の話だよー。数百年前とかだろー」
男「いや俺生まれてるわけないじゃん」
雪娘「あれだ、ニンゲンのいうところの、平安時代、だっけ?あそこがピークでした」
男「ピークとな」
雪娘「就職ウハウハ。何してもよかった時代」
男「ん?どっかで聞いたような・・・」
雪娘「それが今や、雪女さえ就職難とか。氷河期だね、雪女だけに」
男「うまくはない」
雪娘「えー」
男「妖怪ですら就職氷河期なのかい」
雪娘「つーか?ニンゲンが?好き勝手しすぎてるせい?みたいな」
男「ほぅ」
雪娘「みんなしてさー、妖怪のこと忘れちゃってるでしょー。傘お化けなんて廃業だよ?」
男「全米が泣いた。わりとガチで」
雪娘「龍ももう絶滅寸前。今空なんて飛んだらFなんとかに撃墜されるんだって」
男「科学ェ・・・」
雪娘「そんなこんなで、妖怪は滅亡寸前です」
男「いいんだか悪いんだか」
雪娘「一昔前にさー、妖怪漫画が流行った時は皆期待したんだけどさー。ブームなんてそんなもんですよ」
男「ちなみに何が好きなんだ?」
雪娘「うしおととら」
男「流兄ちゃん・・・」
雪娘「Cが面白いのかと思いきやBの方が面白いというわな?」
男「そのネタは通じないと思うぞ、普通」
雪娘「というわけで、妖怪は必死です」
男「うん、切羽詰ってるようですもんね」
雪娘「で、いつまでも雪娘のままの私に白羽が立ちました」
男「はい」
雪娘「もう一回派手に暴れて、妖怪ここにあり、って高らかに宣言しようぜ、と」
男「厄介払い+CM効果か」
雪娘「あーあー、聞こえない聞こえない」
男「で、具体的に何をするのさ」
雪娘「この町氷漬け」
男「悪霊退散・・・っ!」
雪娘「でも正直だるいです」
男「いいのかよそれで」
雪娘「いーんじゃない?どうせ耄碌の老害妖怪がのたまってるだけだし」
男「ん?これまたどこかで聞いたような・・・」
雪娘「だいたい、ツンドラとか南極に大雪降らせるだけの仕事であの手取りはおかしいんだよー」
男「いやわかんないわ」
雪娘「やらないといけません。でもやりたくもありません。ジレンマだね」
男「大問題だ」
雪娘「結論として、あたしはここでごろごろします」
男「いやそのりくつはおかしい」
雪娘「平和が一番です」
男「うんそうなんだけど、そうじゃない」
雪娘「いいでしょ、幼女が一人いるだけだって思えばぁ」
男「あ、こいつ逆手に取りやがったロリババアのくせに」
雪娘「合法ろり」
男「ダメだこいつ・・・。はやくなんとかしないと・・・」
男「合法ということは、もし俺がお前を襲っても文句は言えないわけだ」
雪娘「いやーけだものー」
男「緊張感皆無ですねこのくそガキ。いやババア」
雪娘「ニンゲンにゃ負けませんですぅ。ちびニンゲンが調子乗るなですぅ」
男「こいつローゼンメイデンまで見てやがるな!?」
雪娘「何か問題でも?」
男「ない・・・ともいいきれないっ・・・!」
雪娘「まぁまぁ、とりあえず落ち着きましょう。お茶淹れてくださいな」
男「そうだな、それがいい・・・わけあるかボケ」
雪娘「チッ・・・」
男「住み着くわけですか」
雪娘「どちらかといえば住み憑きます」
男「失せろ」
雪娘「冗談です三分の一は」
男「本気が過半数だな。法案通過するぞ」
雪娘「ちょっと何言ってるかわからないです」
男「お茶はやらん」
雪娘「すいません許してください」
男「緑茶でいいのか」
雪娘「あー、別に何でも」
男「ん?つーか、暖かいので平気なのか?」
雪娘「雪娘なめるなよー。百度そこらのお湯なんて触っただけで一瞬で冷めちまうわー」
男「あそう。ほれ」コト
雪娘「んん、ありがと」
男「・・・ふぅ」
雪娘「あちっ」
男「・・・」
雪娘「・・・」
男「今さ」
雪娘「うん、おいしいね。新茶かな新茶だろう新茶だね」
男「いや、今お前さ」
雪娘「いつの時代でも新茶はうまいよねー」
男「ああ、分かった。お前実はバカなんだろ」
雪娘「ちげーし。バカじゃねーし。バカっていうほうがバカなんだしぃ」
男「そうかいそうかい。で、舌火傷しなかったか」
雪娘「なめんな!雪娘なめんな!!熱かったのは唇だしっ!」
男「・・・バカは釣れたようだな」
雪娘「あ」
雪娘「まぁ、誰にでもミスはあるよね」
男「いや、ミスというより油断というか、アホというか・・・」
雪娘「あー!テレビ!!何か面白いテレビやってないかな!!」
男「貴様が凍らせたままだけどな」
雪娘「じゃあ何かゲームしようゲーム!PS3あるじゃん」
男「それはあるがテレビがないな」
雪娘「」
男(こいつホンモノだな・・・)
雪娘「・・・。過去を振り返ってばかりでは前には進めないんだぜ」
男(・・・逃げた)
男「ともかく俺は風呂に入る。お前は大人しくしてろ」
雪娘「ふん、百年の時を生きる私に命令とは、いいご身分だなニンゲン!!」
雪娘「っていねぇし!!風呂入っちゃうの早すぎだぞー!人の話は聞けよっ」
男(お前妖怪だろ・・・)
浴室
男「風呂は命の洗濯だなぁ・・・」
男「しかし・・・。あいつ、何がしたいんだか・・・」
男「妖怪なんて見るの、何年振りだろ。昔はよく爺ちゃんの家で座敷わらしとちゃんばらしたもんだが」
男「その爺ちゃんの家も、数年前に取り壊されちまったがな・・・」
男「妖怪も絶滅寸前、か。あながち嘘じゃないんだろうな」
雪娘「そうだ、苦労してるんだぞー」
男「そうかそうか。てめぇなんで自然に浴室内にいる」
雪娘「コーディネーターじゃないって」
男「黙れ。そして死ね。出てけアホ」
雪娘「ふふふ・・・。そんな強気でいられるのも今のうち」
男「?」
雪娘「こんないい女と」
雪娘「二人だけで」
雪娘「浴室にいるっ!!」
雪娘「どーだ!興奮するだろ!そのまま恥ずかしがって浴槽の中でふやけてしまえ」
男「・・・いや。幼女なら見られても別に」ざばぁ
雪娘「」
雪娘「ばばばばばb」
男「えーと、タオルタオル・・・」
雪娘「」ぷしゅー
男「あれ、雪女の頭から湯気って、少しやばいんじゃない」
雪娘「貴様はアホだな、アホなんだろう!!どーしてそう恥ずかしげも無く破廉恥なものをっ」
男「だって幼女じゃん」
雪娘「だからそれは外見であって中身は」
男「ババア?」
雪娘「・・・」
男「まだ怒ってるのか」
雪娘「れーせーに考えてみたら、あたしもうおヨメに行けない」
男「妖怪も結婚するの」
雪娘「つーか、お前もう一回昔話の雪女聞きなおしてこい」
男「まぁいいんだけど。ロリババアならそれなりに貰い手いるって」
雪娘「つぎにろりばばあっていったらおまえをこおらせてたたきってべんじょにながす」
男「すいません調子乗りました」
雪娘「やはり着衣が問題だったかなぁ・・・」
男「え?」
雪娘「一人反省会だー」
雪娘「まぁともかく。あたしはニンゲンにガツンと思い知らせないとならないんですよ」
男「それも性急に、と。あ、ビール飲む・・・わけないか」
雪娘「日本酒が好きなんだけど、まぁビールでも」
男「・・・。妖怪って酔うのか」
雪娘「なめんなー、妖怪なめんなー。大抵はザル並みに飲みますぅ」
男「で、いつガツンとやるんだよ」プシュッ
雪娘「あー、出来れば今年」プシュッ
二人「乾杯」
男「ぷはぁ。今年は随分急だろ」
雪娘「ぷは。そーはいっても、死活問題だし?」
男「いやそれは俺たちもそうだろ」
雪娘「そーかもしれんけど、まぁ必要な犠牲だと思って」
男「思えるわけがない」
雪娘「ですよねー」
男「さっきチラって聞いたけど、妖怪今そんなにやばいのか」
雪娘「そりゃもう。龍はさっき言ったよね、F91に撃墜されるって」
男「いや初耳。まさかMS実用化されてるなんて聞いてない」
雪娘「あとは、河童とか。キュウリ畑ないから泥棒猫の振りして食いつないでるみたい」
男「河童さん・・・。なんて惨めな」
雪娘「天狗はー飛び跳ね出来る木が減ったからよく落っこちて怪我するらしいしー」
男「お茶目」
雪娘「鬼は鬼ヶ島で細々と」
男「あ、鬼ヶ島実在するの」
雪娘「でいだらぼっちは富士山の麓でひざ抱えてぼっちみたいな?」
男「山田くん座布団没収」
雪娘「やーめーろーよー、あたしんだー」
男「そこは拾うのかよ」
雪娘「あとー、いったんもめん氏は電線に引っかかって大怪我した」
男「洗濯物みたい」
雪娘「アズキ洗いは、そもそも誰もアズキ洗わないから自暴自棄になってる」
男「あー・・・」
雪娘「ロクロ首は普通にニンゲンとして暮らしてるんだったかな。口割け女も」
男「年中マスクの女はもしかしたら・・・」
男「あれは、吸血鬼とか、ゾンビとかは」
雪娘「なにそれこわい」
男「え」
雪娘「海外の事情とかしらないし、会った事もないです。怖いから」
男「・・・」
雪娘「メジャーどころはこんなもんですかねぇ。で、雪女は主に豪雪地帯や海外遠征してるみたい」
男「世知辛いな・・・」
雪娘「あたしも赴任先は南極がいいんだけどねぇ。アラスカもいいけど、あそこ熊でるし」
男「妖怪関係ないだろ」
雪娘「えっ」
男「えっ」
雪娘「いやいや、グリズリーやべえから。やべえんだって。人襲うよ、余裕で襲うよ」
男「いやだから妖怪だろお前」
男「ん・・・。なんだもう空かよ。まだあったかな、ビール」
雪娘「ぁー、あたひにもひょうらーい」
男「べろべろじゃないですか」
雪娘「雪娘なめんはひぃ・・・。こんな、余裕っすぅ」
男「ますい、絵的には幼女が酔っ払ってるようにしか見えない」
雪娘「幼女幼女ってぇ・・・。脱いだらすげぇんだぞお」
男「つるぺた」
雪娘「でぃひひ、ほめんなぁ」
男「あー、これダメなヤツだ」
雪娘「ちらりずむぅ」
男「はいはい、肩まで肌蹴させんでもいいから。水飲め水」
雪娘「水ぅ?バカにすんにゃ!!」
男「わお!?水が一瞬で凍りにっ!」
雪娘「しょーちゅーか日本酒よこせー!滅ぼすぞぉ!」
男「・・・。はい、ほら日本酒(水)」
雪娘「!」ぐびぐび
男(アホが酔ってもアホにしかならんか・・・)
雪娘「zzz」
男「はぁ。絡むだけ絡んで寝やがった。何なんだこの雪女」
雪娘「zzz」
男「雪女に布団とかいるのか・・・?何か逆効果な気がするが」
雪娘「zzz」
男「つーか、ホントに居座るつもりだよこいつ。はぁ・・・、寝よ」
翌朝
男「ん・・・?」
雪娘「あたまいてぇ・・・。妖怪としてそれでいいのかよぉ」
男「・・・夢じゃなかったか」
雪娘「あー、お前起きてるなら二日酔いの薬くれぇ」
男「とりあえずあれだ。二度寝しよう」
雪娘「させるかボケェ!ダイヤモンドダストォ!!」
男「あじゃぱーっ!」
男「てめぇ、冗談に対して青銅聖騎士の必殺技打つとかどうなんだ」
雪娘「の割にはノリノリで悲鳴上げたじゃん」
男「違う!あの悲鳴の使いどころは本来は違う!しかし咄嗟にはあれが限界っ!!」
雪娘「とーもーかーくー、薬くれー」
男「はぁ・・・。そもそも人間の薬が妖怪に効くのかよ・・・」
雪娘「多分効くからー、くれぇ」
男「つーかそんなもんうちにあったかな・・・」
雪娘「しーぬー」
男「結果として、頭痛薬しかなかった」
雪娘「鬼畜だ」
男「自業自得です」
雪娘「そうでした」
男「とりあえず飲んどけ。分量は・・・お前いくつだっけ」
雪娘「だから!!幼女じゃないってんだろぉ!成人の分量でいいんだよっ!!」
男「ああ、そうだった。中身ババアだもん・・・」
雪娘「ダイヤモンドダストぉ!」
男「聖騎士に同じ技は通じぬ!これはもはや常識!」
隣人「・・・朝から騒がしいな」
男「というわけで」
雪娘「唐突ですね」
男「主にお前のせいです。俺は今日も大学に行かないといけません」
雪娘「いえーい。いけいけー」
男「張り倒すぞ。ともかく、お前は今日もここにいるつもりなのか」
雪娘「そりゃあそうでしょ。さっさと働いていいなら出てくけど?」
男「いいよ」
雪娘「やったね人類滅亡コース!いいか、止めるなよ」
男「はやくやれよ」
雪娘「絶対に止めるなよ」
男「わかった」
雪娘「やーだー、働きたくないでござるぅ」
男「大人しく留守番してろタコ」
雪娘「えー、あたしも行くしぃ」
男「あ?」
雪娘「だってさ、あたしの姿なんて普通見えるもんじゃないから問題ないよ?」
男「あー、お前妖怪だったな。その設定忘れてた」
雪娘「今設定っていわなかったか」
男「え、じゃあ着いて来る気?」
雪娘「というよりは憑いて行くの方が以下略」
男「来るな。・・・って言っても来るだろお前」
雪娘「きゃー以心伝心?二人の故意つなぐテレパシー?」
男「故意ってなんだ貴様何をする気だ」
雪娘「いやー、学校に行くなんて久しぶりだからさー」
男「遠足気分かよ」
雪娘「修学旅行みたいな」
男「どんな学校だよ」
雪娘「大学に忍び込んだのは・・・、ああ、あの関東のでかい大学が生徒だかに占拠された時以来かも」
男「学生運動ですか、東大ですねそれ」
雪娘「アツイ時代だったね」
男「知らん。遅刻したくないのでそろそろ出ます」
雪娘「雪娘、ガンダムいきまーす」
男「落ちろ」
男「あと、外では俺は話せないからな。うしおととらみたいな状況は現実には痛すぎる」
雪娘「なにそれつまんない」
男「文句言うなら留守番してろ」
雪娘「だが断る」
男「いってきます」
雪娘「無視が一番辛いです」
隣人「・・・ん?ああ、キミかおはよう」
男「ああ、おはようございます」
雪娘「ほぉ、美人な隣人ですなぁ」
隣人「今朝は随分騒がしかったが・・・。Gでも出たか」
雪娘「いやさすがにゴジラはでないでしょ」
男「あーそうなんですよ。ゴキブリが出まして・・・」
雪娘「そっちか」
隣人「ま、うまくいってるようだから大丈夫だな。では先に失礼するよ」
男「あ、はーい」
雪娘「なぜに敬語?」
男「・・・」
雪娘「あー、喋らないんだっけ。でもいいじゃん、周りに人いないしぃ。何で敬語なんだよー」
男「・・・一個上の先輩だから」ボソッ
雪娘「しゃべったぁぁぁぁぁぁぁ!!」
男(・・・もう絶対にしゃべらねぇ)
大学 某教室内
男(しかし・・・。周りに見えないとはいえ、後ろを和服幼女がついてくるのには慣れないな)
友「おー、男。こっちだこっち」
男「おお。悪いな席取らせて」
友「なぁに気にするな。ノートでチャラでいいぜ」
男「調子がいいな」
雪娘「おおお、これが大学かぁ。あの頃から随分と進歩してるんだなー」
友「昨日のドラマ見たか?」
男「あー、それがさ、テレビ壊れてさ」
友「おいぃぃマジかよ!超展開だったんだぞ!PSPに落としたから後で見せるわ」
雪娘「む、あの生徒PSPでモンハンやってる。あ?でもソロプじゃん。PSPもって来ればよかったなー」
男「お前PSP持ってんの!?」
友「おいおい何言ってんだ?いままで散々モンハンやったろ」
雪娘「持ってますー。ちなみにモンハンは千時間越えてますぅ」
男「モンハンも!?しかもそれ、相当やり込んでるじゃん!俺以上じゃん!」
友「お、おいお前大丈夫か?」
男「はっ!!あ、ああスマン、少し寝不足気味でよ・・・」
友「そ、そうか。まぁ寝不足するとボーっとしちまうよな。ガムでも食べれば少しはいいぞ。俺も一個・・・」
雪娘「あ!?あのガキ、マジコンでDSやってる!?叩き割ってやる」
男「バカな真似はよせぇ!!」
友「えええ!?」
雪娘「いやだって割れ厨とかさぁ」
男「バレたらっ!!どうするつもりなんだっ!!面倒じゃ済まされないだろうが!!」
友「あ、ああ、そういえばこの授業の教授、相当面倒なやつだったっけな・・・。悪い、助かった」
男「え!?あ、ああ。いってことよ」(あのくそガキ〆てやる)
雪娘「何だかんだ喋ってるよね」
男(貴様があほな事ばかりしようとするからだろうが・・・)
友「っと、教授のご登場だ」
雪娘「おお、じじいだ」
男(てめぇはババアだろ)
爺「・・・ん?」
爺(気のせいか・・・。あそこに和服の童女が見えるのだが・・・)
雪娘「あ、やべ。あの爺さん死期近い」
男「は?」
友「え?」
雪娘「いやー、死期近い人間の中に、たまーに、極稀ーに、見えてしまうことがあります」
男「・・・」
雪娘「んー、がっつり目が合ってます。オワタ」
爺「えー・・・。どうやら私、今日は気分が優れないようです」
ざわ・・・ざわ・・・
爺「というわけで、申し訳ないのですが今日は臨時休講にします。ところで、そこの一番前の席のキミ。あそこに何か見えるかね?見えない。そうか、ありがとう」
友「なんか知らんが、休講になったな」
男「あ、ああ」
雪娘「幻覚だと思ってるっぽい。ある意味正解」
男「はぁ・・・」
大学内 廊下
男(そうだ、これなら・・・)ごそごそ
雪娘「携帯?電話でもする気?」
男(こうして通話してるふりをすれば・・・)
男「おまえなぁ、ああいう大事なことは前もって言っておけよ」
雪娘「・・・」
男「今回は運がよかったけど、次もこうなるかわかんねぇだろ」
雪娘「・・・」
男「・・・何黙ってんだ?」
雪娘「?え?お怒りの電話?」
男「・・・。お前に言ってんだよ」
雪娘「考えましたなー。これなら問題ないです」
男「はぁ・・・。とりあえず、今日はもう帰るぞ」
雪娘「え、もう?」
男「ホントは授業あるけど、出席とらねぇから一回ぐらい平気」
雪娘「さぼりー」
男「・・・」おとこ の いかり の ボルテージ が あがっていく!!
雪娘「・・・話せば分かります。帰りましょう帰りましょう」
男「・・・」
男 自宅
男「この腐れ雪女ぁ!!」
雪娘「新ジャンル腐雪女!?」
男「違うっ!なんでそうもアホなんですかアホだからだこのアホ!」
雪娘「傷つきました。人間界滅ぼします」
男「どーぞ」
雪娘「働きたくないでg」
男「もういい!この件はもう必要ないと断言するこのダメ妖怪!」
雪娘「いやいや、もしあたしがダメ妖怪じゃなかったら世界終わってるぜ」
男「歴史にIFはないっ」
雪娘「もしシャアがアクシズに留まっていたら・・・」
男「貴様ギレンの野望もプレイしているなっ!何本ゲーム持ってるんですか」
雪娘「貴様は今まで食べたパンの枚数を覚えているのか」
男「山吹色の波紋疾走!!」
男「はぁはぁ・・・。よそう、戦っても何も変わらない・・・」
雪娘「まさか、あたしのラッシュに付いて来れる人間がいたとはぁ・・・」
男「ともかく、お前は大学行くの禁止」
雪娘「堪能したからもう行きませんーだ」
男「ついでに酒も禁止」
雪娘「殺生な!!」
男「・・・甘酒なら許す」
雪娘「ああ、じゃあいいや」
男「甘酒でっ」
雪娘「・・・」
男「・・・」
雪娘「なぁ男ぉ」
男「なんだダメ妖怪」
雪娘「もしも、あたしが働き出したらどうする?」
男「それはない」
雪娘「断言ですか」
男「ま、そうなったらそうなったで考えます」
雪娘「そーですか」
男「少し、窓開けようか」
雪娘「そろそろ寒い季節だけど」
男「しばらくはまだ秋だろ」
雪娘「そうでした」
男「ただいまー、って・・・」
雪娘「zzz」
男「こいつまた寝てるし・・・。どんだけ疲れやすいんだか。買い物行ったの、二十分前くらいなのに」
雪娘「ん・・・」
男(・・・?こいつの寝てる畳、一部凍ってるな・・・。何だかんだ、雪女か・・・)
男「・・・」ぷに
雪娘「zzz・・・」
男(ほっぺやわらけえけど冷たっ!!雪女やべぇ!)
雪娘「・・・ぁ?」
男「起きたか妖怪」
雪娘「・・・一体あなたはそこで何をしているのですか、と雪女は寝ぼけつつも問いかけます」
男「寝起きからこれかい」
二日目 夜
男「というわけで、飯です」
雪娘「あーい、ご苦労」
男「なぜ上から目線」
雪娘「上位種だし」
男「じょういしゅねぇ」
雪娘「なめてるだろ。妖怪なめてるだろお前」
男「いただきます。冷まさなくていいのか」
雪娘「だから平気だってんだろぉ。子供じゃないんですぅ」
男「・・・」
雪娘「ババアでもない」
男「いってないし」
(チャイム音) ピンポーン
男「んぁ?こんな時間に誰だ?」
雪娘「あのねー僕、聞きたいこと、あるんだけぇーれぇーどぉ?」
男「お前ジャンル広すぎ。はーい」
?「あの、すいません。ちょっと聞きたいことがあるのですが」
男(?知らない声だな。女の声だけど)
?「ちょっとブレーカー見せてくれませんかぁ」
男「ブレーカー?」
?「実は最近このアパートに越してきたんですけど、勝手が分からないんです」
男「ああ、そういうことですか。今あけます」(最近越してきた人なんていたかな?)
男「お待たせしまし・・・」
女「あ、すいません夜分遅くに」
男「い、いえ」(美人キター!色白巨乳でロリ顔とかっ!!)
女「それでその、ブレーカーは・・・」
男「ああ、そうでした。『どうぞ中へ入ってください』」
女「くす・・・。ええ。ありがとう」
男「は?」
女「いえ。この国にはあんまり浸透していないようで助かったなって思っただけよ」
男「えっと・・・?」
女「はじめて入る家には、招かれないと入れない身体なのよ」
男「は・・・?」
女「まぁ、気にすることもないわよ。ところで、あんた童貞かしら」
男「てめぇは俺を怒らせた」
女「ふふ、動けるのなら、怒ってもいいわよ」
男「あ?あ、あれ、身体が・・・?」
女「目の魔力、ってヤツよ。あたしがその気になれば、あなたの動き封じるくらい造作ないわぁ」
男「お前、まさか・・・!?」
女「でも童貞なら運がいいわ。噛んでも仲間になるだけだもの。それともあたしで童貞喪失してみる?」
男(妖怪じゃんていうかこの状況的に多分波紋が必要なタイプの妖怪だよ!!)
女「さぁ、酔いしれましょう・・・?それとも、吸血鬼は嫌い・・・?」
男(嫌いじゃないけど嫌いです!!)
雪娘「・・・」こそっ
吸血鬼「・・・あら?まだ奥にニンゲンが、って、違うわね」
雪娘「吸血鬼・・・?実在してたんだぁ」
男(感心!?この状況でそれだけ!?)
吸血鬼「この国のヨウカイってやつねぇ・・・。ってことは、あなた憑かれてるわけぇ?」
雪娘「サインください」
男(アホの子!!アホの子すぎてめまいする!!)
吸血鬼「お姉さん困ったわ。招かれた以上あなたを噛まないといけないけど、先約があるならそっちを優先しないと怒られちゃう」
雪娘「あれですか、妖怪法二十一条の先約権てやつですかぁ」
男(妖怪法ってなんだよ・・・)
吸血鬼「うーん。どうしようかしら」
男(介抱してください。違う、解放してください!)
吸血鬼「力ずくで奪っちゃおうかしら。略奪愛みたいね」
雪娘「え?別に愛してはいませんよぉ」
男(そこじゃない!!そこじゃないんだよ!!)
吸血鬼「まぁいいわ」
男「っと・・・。動きが戻った・・・」
吸血鬼「なんだか妙な状況だし、命拾いしたわねあなた」
雪娘「え?そうなん?」
男「煮だったお湯にぶち込んでやろうか」
吸血鬼「あら、お姉さんとお風呂はいる?」
男「ああそりゃいいって違う!!どうしてそうなるっ!!入りたいけどっ!!」
雪娘「ん?今何か本音が・・・」
吸血鬼「ともかく、どうしようかしらねこの状況」
男「ええと、まとめようか。雪娘が憑いている以上、お姉さんは何も手を出せないと」
吸血鬼「そうね。でもこの子が手を引いた瞬間に噛まないともいけないわ」
雪娘「イカゲソうまい」
男「つまり?」
吸血鬼「ここに住まないといけないわ」
男「ぇぇぇぇぇえええええええええ」
雪娘「エルシャダイ?」
男「大丈夫じゃない、問題だ!」
吸血鬼「あら、どうしてかしら」
男「倫理的にです」ボタボタボタ
雪娘「男、鼻血」
吸血鬼「なめていいかしら」
男「ダメです喜んで」
雪娘「え?」
吸血鬼「大丈夫よ、お姉さんは夜型だから」
男「そういう問題ではありません夜とか何の問題もないうはうは」
雪娘「男壊れてる」
吸血鬼「少しお風呂にでも入って落ち着いたら?」
男「大丈夫だ、問題ない」
吸血鬼「・・・ねぇ、先にお風呂、入って・・・?」
男「ガタッ」
雪娘「男・・・。あたしじゃ興奮しなかったくせに」
吸血鬼「さて・・・」
雪娘「・・・ねぇ」
吸血鬼「?何かしら」
雪娘「WRYYYYYYYYYYYYYYYYY!!とか、無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!て叫んでみて」
吸血鬼「・・・」
吸血鬼「あなた雪のヨウカイ、よね」
雪娘「半熟ですが」
吸血鬼「その割には、おかしくはないかしら」
雪娘「こんな美人が半熟なんて、みたいなー」
吸血鬼「室温の話よ」
雪娘「いやちょっと何を言ってるか分からないです」
吸血鬼「・・・ま、あたしには関係のないことだけど。長くは持たないわよ」
雪娘「さぁて、なんのことだか」
男「お姉さん上がりましたっ!!」
雪娘「ああ、彼女なら棺持ってくるとかで出かけたよ」
男「あそう」
雪娘「あからさまな落胆かよぉ」
男「いや、うん。仕方ないよ男だもん。悔しいけど僕も男なんだよな」
雪娘「幼女体系はダメですか」
男「犯罪です」
雪娘「中身は大人です」
男「考えておきます」
三日目 朝
男「・・・部屋の一角に棺がある光景ってなんだかなぁ」
雪娘「あ、おはよぉ」
男「早いな。布団もたたんだのか」
雪娘「え?あ、うんそう。朝には強いからねー」
男「今日は休日だからもう一眠りしようと思う」
雪娘「・・・ご飯は」
男「適当に食え」
雪娘「・・・」
吸血鬼(・・・)
三日目 昼
男「もう昼だよ」
男「あれ、雪女どこいった・・・?」
置手紙『出かけるー。夕方には戻るからご飯よろしく。追伸、冷蔵庫の中のプリンは全部食べましたあしからず』
男「コロス」
(チャイム音) ピンポーン
男「千客万来だな。また妖怪じゃないだろうな」
隣人「私だ、すこし付き合ってくれないか?」
男「ああ、少し待ってください」
隣人宅
隣人「すまないな、実家が菓子を大量に送り付けてきて、困っていたところなんだ。少しでも消費してくれると助かる」
男「でもいいんですか、お菓子いただいた上にお茶まで淹れてもらって」
隣人「招いたのは私だからな。くつろいでくれ」
男「じゃあ、お言葉に甘えます」
隣人「・・・」
男「・・・」
隣人「最近、賑やかだな、キミの部屋は」
男「え?そ、そうですか?」
隣人「ああ。友人でも来ているのかと思っていたが」
男「あー、まぁそんなところです」
隣人「・・・そうか」
隣人「最近、何か困ったことや変わったことが起きてないか?」
男「・・・。いえ、特に。どうしたんですか先輩」
隣人「いや、キミにこういう話を長らくしていなかったからな。気になっただけだ」
男「・・・そうすか」
隣人「まぁ、問題がないのならそれでいいんだ」
夜 自宅
男「ただいま」
吸血鬼「あら、おかえりなさい。ご飯を一緒に食べる?じゃなくてお風呂を一緒にかしら。それとも、あたしを堪能する?」
男「全部にお姉さんが関わっている・・・だと・・・!?」
吸血鬼「今なら・・・二人きりよ?」
男「フルコースで」(キリッ
雪娘「雪娘@ツイッター 男発情なう」
男「お前いたのかよ!!つーかツイッターやってるし!!」
雪娘「リツイート、お岩さんからきた」
男「妖怪にもツイッターが・・・。つーか何してんのお岩さん・・・」
雪娘「『キモイwww』って」
男「お岩さんに!?お岩さん草早してんの!?」
吸血鬼「本能に従順なのはいいことよ?淫魔なんか来たら大変なことになりそうね」
男「ごくり」
雪娘「ご飯食べたいんだけど」
男「お姉さんは食べなくていいの?」
吸血鬼「お姉さんはあとでキミに食べさせてもらうから///」
男「ははは、またまたそんな」ボタボタ
雪娘「これはひどい」
吸血鬼「もったいないから、こぼさないで・・・っ」
男「ははは・・・。ん?」
雪娘「なに?あたしの美貌に見とれた?」
男「お前、少し痩せたか?」
雪娘「あたし妖怪ですからぁ。痩せるとかないですからぁ。妖怪なめんなってのぉ」
男「気のせいか」
雪娘「で、美貌の件はスルーですね分かります」
男「えと、その・・・」
吸血鬼「そうね。でも、ちゃぁんとリードしてあげるから大丈夫よ」
男「水素ヘリウムリチウムベリリウム・・・」
吸血鬼「それに、童貞くんなら、すぐに・・・ね。手を貸して?」
男「・・・あい」
吸血鬼「ふふ・・・。えい」ムニッ
男「!!!!!?????」
吸血鬼「どお?柔らかいかしら」
男「」ブシャアアアアアアッ
吸血鬼「あんっ・・・。こんなにいっぱい出しちゃって・・・。飲みきれないわ・・・ぁ」
雪娘「確かにあれなら噛まなくても血は飲めますけれども。あのスケベ、凍らせちゃおうかなぁ」
四日目 早朝
男「はっ!?お、俺は今まで気を失って・・・?てことは、あの感触は夢じゃなく・・・」
男 ニヤァ・・・
男「・・・?あれ、雪女のヤツ、もう起きたのか?さすがに布団はまだ敷いたままだけど、トイレか?妖怪もトイレ行くのか?」
男「・・・?」
男「この布団・・・湿ってる?ああ、あいつが寝たから凍ったのか」
吸血鬼(・・・)
同時刻 浴室
雪娘「・・・」
雪娘「あーあ・・・。ただでさえ大きくはない胸なのですが。やっぱりここから減りますか」
雪娘「っ・・・」クラッ
雪娘「・・・ニート万歳、でござるよ」
四日目 朝
雪娘「というわけで起きろやボケェ!」
男「はぁん!?はっ、夢だと・・・!?お姉さんとイチャイチャするあれは夢だったのか・・・っ」
雪娘「だーっ、起きろスケベ!!そしてあたしの美貌に酔いしれるがいい」
男「それはない」
雪娘「そろそろ傷付くぞー。幼女泣くぞー」
男「分かった分かった、可愛い可愛い(笑)。満足か?」
雪娘「サイコクラッシャー!」
男「鳩尾っ!!」
雪娘「ははは、どうだ、幼女体系のあたしに負けた気分は!!」
男「・・・身体ごと鳩尾は卑怯なり・・・」
雪娘「ふん、豪雪波動拳よりましだろー」
男「そのオリジナルネームは一体何なんだ・・・」
雪娘「分かったらさっさと飯作れー敗者!!」
男「覚えてろダメ妖怪・・・」
雪娘「さっさと作らないと凍らせるぞー」
男「オ・ノーレー・・・」
二人「ごちそうさま」
男「で?なんでこんな早くに俺をたたき起こした?今日も祝日で学校はないぞ」
雪娘「暇なんだ」
男「は?」
雪娘「ほら、ニンゲンには確か、なんだっけ、ハザードって呼ばれるものがあるだろぉ」
男「はぁ」
雪娘「男と女が一緒に歩くあれー」
男「それで災害!?どんだけリア充嫌いだよお前!」
雪娘「間違えたー、デートだ」
男「全然違うからね!?文字数すら違うからね!!」
男「で??デートだって?」
雪娘「うむ。というか名目はなんでもいいから外に連れてけ下さい」
男「お前昨日出掛けてなかったか」
雪娘「あ…。あ、あれは雪女関連で一回故郷に戻ったの!!」
男「故郷とな」
雪娘「雪山の中腹、とだけ教えてやんよー」
男「へぇ…。で今日はデートしろと」
雪娘「エスコートしろぉ、童貞くん」
男「数百年生きて処女のやつに言われたくない」
雪娘「なぜばれたし」
男「まさかあたるとは」
男「で街に行くことにしたのだが」
男「俺だけなぜか部屋を追い出されました」
男「どうしてこうなった」
男「雪女がいうには、せっかくだから人間に化ける、とのことでした。意味がわからん」
隣人「いや、一人でぶつぶつ何を言っているんだ」
男「お早うございます先輩」
隣人「ああお早う」
隣人「ここで何をしてるんだ」
男「それが俺にもよく分からんのです」
隣人「・・・まぁいいか。出かけるようだな」
男「まぁ成り行きで」
隣人「デートか」
男「なぜそれを」
隣人「・・・勘だ」
男「さいですか」
隣人「余計なお世話かもしれんが、一つだけ言わせてくれ。時間は永遠じゃない。いつか夢は終わる。忘れるな」
男「・・・?ええ、はい・・・」
隣人「ふふ、女性を退屈させないようにな」
男(・・・先輩こそ、何のために表まで出てきたんだろ)
ガチャ
雪娘「待たせたな」
男「やっと出てき・・・」
吸血鬼「あーだる。どうかしら?あたし監修のメイクに、化けた人間の身体は」
雪娘「うーむ、窮屈な服だ。和服がいいのぉ」
吸血鬼「文句言わないで。あの幼女体系を無理やり成長させたように化けるのはこれが限界だよ」
男「確かに・・・十六歳くらいにしか見えない」
雪娘「視点が高いなぁ。胸は・・・やはりでないけど。貧乳はステータスだ」
男(あれ?あの雪女が成長したようにしか見えないんだが・・・普通に可愛くね?)
雪娘「ん?なにをじろじろ見てるんだー?早く行くぞ」
吸血鬼「あたしはもう一度寝るわ・・・。お楽しみは夜にしましょ」
男「あ、おい、まて雪女!!」
男「街です」
雪娘「おおお!ニンゲンばっかりだ!」
男「そりゃ。妖怪いたら問題ですし」
雪娘「あ、でもよく見たら割と混じってる」
男「えっ」
雪娘「まぁあたしはこの身体でいる限りばれないだろうけど。問題はお前だお前」
男「なんでしょう」
雪娘「妖怪のにおいがこびり付いてんだよー。あの吸血鬼とイチャイチャしてるからー」
男「はぁ・・・?」
男(俺お姉さんとあんまりイチャイチャしてないような)
雪娘「うん、保守感謝だぞー」
男「は?」
雪娘「いや、このUFOキャッチャーの景品にさ、書いてある」
男「マニアックだ」
雪娘「あ、これ欲しいな」
男「『働きたくないでござる!!』いやシャレになってないわ」
雪娘「あたしのためにあると言っても過言ではない」
男「過言であって欲しいです」
雪娘「働いちゃうぞー」
男「やめてくれ」
雪娘「止めてく・・・えっ?」
男「次行こう」
雪娘「31アイスです」
男「もう秋も暮れなのにな」
雪娘「夏に鍋。冬にアイス。これぞ天邪鬼ぅ」
男「お前の場合ただのアホだろ」
雪娘「ライダーキィィック!!」
男「ぼぎゃあ!!」
雪娘「ふっ・・・。お前の罪を数えろ」
男「なっ!!何をするだァ―――――――ッ!!許さん!!」
雪娘「次行ってみよぉ」
雪娘「カフェで一休み」
男「エンヤーコラヤッ・・・あれ?」
雪娘「アイスティーうまぁ」
男「今絶対このノリだと思ったんだが・・・」
雪娘「誰がいかりやだコラー」
男「そこまで言ってないし」
雪娘「メガホンないな」
男「ノリノリじゃないすか」
雪娘「プリクラです」
男「慣れないなぁ。つーかなんでお前操作できんだよ」
雪娘「今時出来ない女子なんて」
男「お前は妖怪だがな」
雪娘「・・・今はニンゲンだー」
男「・・・?そう、だな?」
雪娘「・・・」
男「・・・」
雪娘「笑えー」
男「おー」
ぱしゃ
雪娘「少し微妙な表情です」
男「取り直しますかお嬢さん」
雪娘「まぁこれはこれで?満面の笑みは次の機会で、みたいな?」
男「またあるんですか」
雪娘「ありますあります。きっとあります。とりあえずプリクラデコリますんでー。待機しろぉ」
男「あーい」
男「とはいいつつ、この時間暇なんで、ジュース買いました、二本」
男「で戻ってきてみると」
DQN「可愛いじゃん、俺たちと遊ばない?」
雪娘「遊ばないー」
DQN「彼氏とかいんの?」
雪娘「え?いやそこまでじゃ」
DQN「マジ?じゃあいいじゃん、みんなでカラオケとかさ」
雪娘「いやそれは・・・」
男「・・・one」
DQN「いいじゃんか、ね?奢るから♪」
男「・・・two」
雪娘「ちょっといい加減に・・・・」
男「three。『ライダーキック』・・・!」
DQN「あ?」
男「人の女に手出してんじゃねぇぞこらぁ!!」どごぉ
男「で、・・・逃げました」
雪娘「助けに来るのが遅いー。危なく凍らせるところだったー」
男「カブトのライダーキックには準備動作があるからな」
雪娘「・・・それ言ったらWにはマキシマムドライブがあるぞー」
男「まぁ・・・とにかく逃げ切れてよかった」
雪娘「・・・。これ」
男「あ?ああ、さっきのプリクラ・・・」
雪娘「半分だ。大事に持ってろよぉ」
男「・・・なぁ」
雪娘「え?」
男「お前の名前、初めて知ったわ」
雪娘「・・・そうだったぁ?うっかりしてたわーマジうっかりしてたわー」
雪娘「で、あっという間に夕方ですと」てくてく
男「何だかんだ一日遊んだなー」てくてく
雪娘「疲れた。働いたらこれの何倍疲れるんだー」
男「働かないくせに」
雪娘「働きたくないでござるー。・・・ずっと、働きたく、ないでござる」
男「・・・」
雪娘「・・・」
男「おい」
雪娘「え?」
男「お前の好きにしたらいいと思うぞ。働かないもよし、そうしないのもよしだ。このままグダグダしててもいい」
雪娘「・・・」
男「そういうわけにはいかないのかよ」
雪娘「・・・さぁ、どうだろうなー」
雪娘「世の中には決まりってのがあるからねー。それが例え、どんなに意味不明でも意図不明でも…理解できなくても、守らなきゃいけないんだよねぇ」
男「もしこのまま働かなかったら…」
雪娘「びーくーですよびーくー。晒し首レベルの」
男「でももう秋も…」
雪娘「そうなんですよー。だから、そろそろ決めないとならんのです」
男「どうする気なんだ」
雪娘「…さぁ。自分でも分かりませぬなぁ」
男「迷ってるのか」
雪娘「保留ですよー。返答保留。まぁ、もうすぐ決めますから」
男「…そろそろ、冬だぞ」
雪娘「にひひ、そろそろ本気出すね」
雪娘「とりあえず、願掛けしようかとー」
男「願掛けとな。神社とか??」
雪娘「手を繋げー」
男「ああ手をね…って待て。なぜそうなる」
雪娘「願掛けだ♪」
男「いや願掛けになってんのかそれ」
雪娘「かなり怪しい」
男「自分で言っちゃった!?」
雪娘「いーから早くしろー。早くしないとこの身体も維持できなくなるー」
男「…ままよ」ぎゅ
男「…人間の身体でも、冷え性なのか?」
雪娘「ふん、人間の身体は暖かいな。暑いくらいだ」
男「雪女には毒か?」
雪娘「雪女に毒かは知らんが」
雪娘「悪くない気分だぞっ」
夜
男「ただいま」
吸血鬼「あら、お帰りなさい。その様子じゃ、なかなかいい感じのデートだったみたいね」
雪娘「そうなのかぁ」
男「よく分からん」
吸血鬼「ふふ・・・。でも、童貞と処女は継続なのね」
男「う」
雪娘「いや、それがな・・・。やはりこの身体は負担が大きくて、あ」
ぷしゅうううう・・・
雪娘「・・・元に戻った」
男(・・・いや、何か元より小さくなってないか?今までが大きかったからそう思うだけか・・・?)
雪娘「うーむ、視線が低いぉ」
吸血鬼「さ、男くんは風呂入ってくる!お姉さんお腹ぺこぺこよぉ」
男「あーい」(まぁ気のせい、だよな・・・)
吸血鬼「・・・ひどいわね。もうこれじゃ・・・」
雪娘「問題にゃい、計画通りだ。全部うまくいったよ、今日のデートもさ」
吸血鬼「あなたは・・・」
雪娘「お前は優しいんだな、吸血鬼なのに。石仮面被ったのに自我保つとは」
吸血鬼「・・・被ってないわよ。それに、あなたが消えれば、男くんは私のものになるだけ。だから協力したのよ」
雪娘「分かってるー」
吸血鬼「・・・でも」
雪娘「?」
吸血鬼「・・・あの子の童貞は、あなたに譲るわ」
雪娘「お前・・・」
雪娘「お互い、雪娘と吸血鬼じゃ締りが付かないから、本名を名乗らないか?本来はご法度だが、あたしにはもう関係ない」
吸血鬼「・・・エリスよ」
雪娘「私は―――」
吸血鬼「・・・そう」
雪娘「妙な話だなー。あたし今日初めてあいつに名前教えたよ」
吸血鬼「・・・私たちもね」
雪娘「さぁて、ご飯にしようか」
男「上がったぞー」
雪娘「・・・ふふっ」
夜
男「はい、直りましたよ先輩」
隣人「ああ、すまないないきなり呼んだりして。助かったよ、感謝する」
男「いえ、じゃあ俺はこれで・・・」
隣人「ああ待った。キミにいわないといけないことがある。真面目な話だ。だが時間はとらせない。この時間は二度と戻らないのだから」
男「・・・?」
隣人「単刀直入に言おう。ここまできてはもうオブラートに包む意味もない」
男「なんですか?」
隣人「人間と妖怪の共存は、不可能だ」
男「」
男「え」
隣人「そもそも相容れないもの同士が互いを受け入れることなどあり得ない。絶対にだ」
男「何の、話を」
隣人「キミがいかに親しげになろうとも、雪女や吸血鬼との共存は不可能なんだ」
男「なん、で・・・?」
隣人「すまないが、説明している暇はない。正義のヒーローと悪が相容れないのと同じなんだ」
男「悪・・・?」
隣人「我々が悪か、妖怪が悪かは大した問題じゃないんだ。コインの裏と表、絶対に相容れないんだよ」
男「そんな・・・?」
隣人「キミに何を言っても今さら遅いのかもしれない。だがこれは真理なんだ。雪女とキミは、結ばれない」
男「違う、違いますよ!先輩には分からないかもしれないですが、あいつはそんなんじゃないんです!」
隣人「・・・あとは、キミの選択だ。何を選ぶか、キミが決めろ」
男「・・・失礼します」
男「・・・ただいま」
雪娘「おかえんなしゃい」
男「・・・?棺がない?お姉さんは?」
雪娘「今日は外に用事があるから、外泊だって」
男「そおか・・・」
雪娘「・・・二人きりです」
男「え?あ、うん」
雪娘「夜です。デート明けです」
男「・・・だね」
雪娘「襲ってもいいんですよ」
男「いやそれはないわ。それはないわ」
雪娘「二度も拒否した・・・」
男「お前がさっきみたいな身体を本当に手に入れたら襲うわ」
雪娘「この幼女体型では満足できんと・・・」
男(いや、絶対入らないもん)
雪娘「な、ならせめて添い寝してもらおう!!」
男「・・・まぁそれくらいなら」
雪娘「きた、私の時代ッ!!ダーイブッ!!ズサササーッ!!」
男「・・・ふ・・・ははは」
男(そうさ、結ばれないなんてことはない。この時は永遠で、こいつはここにいるのだから・・・)
男「よし、電気消すぞ」
雪娘「あい!」
同時刻 ??? EX
隣人「私は余計なことを言ったと思うか」
吸血鬼「いいえ、人間も捨てたものじゃないと久しぶりに思えたのは事実よ」
隣人「お互い苦労するな、宿敵同士だというのに」
吸血鬼「あら、あたしは悪い気はしなかったけれど?この後あの二人がどんな選択をするのか、楽しみよ」
隣人「吸血鬼、エリス・エリザベード・エヴァンシア。ここで塵と化してもらうぞ」
吸血鬼「お断りよ、霊能力者月島夕葵。あなたこそ、神への祈りは済んだかしら。それとも同属になる?」
夕葵「願い下げだな」
エリス「さぁ、遊びましょう・・・?」
男「・・・」
雪娘「・・・暖かいなー」
男「お前仮にも雪女だろ。平気なのか」
雪娘「多分」
男「多分てお前」
雪娘「あたしが自殺するようなたまに見えるー?」
男「・・・そうか、それもそうだな」
二人「死にたいでござる、でも死にたくないでござるー」
男「やっぱりな」
雪娘「そりゃーねー」
男「・・・風が出てきたみたいだな」
雪娘「・・・そ、う?」
男「ああ、音がする。急に冷えてきたな」
雪娘「仮にも・・・雪女もどき、が、横に寝てる、から・・・じゃない?」シュウ・・・シュウ・・・
男「・・・どうかしたか?」
雪娘「あの、さぁ。一つ、お願いがあるんだけどぉ・・・」シュウシュウ・・・
男「なんだ?」
雪娘「キス、してほしい・・・なんて・・・」
男「な、バッ!?」
雪娘「ダメ、かねぇ・・・」
男「そ、そういうのにはもっと段階踏まないと・・・」
雪娘「・・・だ、よね・・・」
男「・・・まぁ、でも。添い寝してるし、デートもしたし・・・。段階は踏んでるのかもな」
雪娘「・・・」
男「分かった腹くくった。準備できた!」
雪娘「」
男「・・・?どうかしたか?おい・・・?」
男「何だ、どこ行ったんだ?ベッドから落ちたのか?」パチリ
男「あれ・・・?電気つけたのに、どこ行ったんだ?」
男「うわ布団ビショビショ・・・パジャマもだ。何で気がつかなかったんだろ」
男「人肌に温まったるのかこれ。でも何で・・・?」
男「あれ・・・?」
男「俺・・・」
男「何か、すげぇ大事なことを考えていたような気がする・・・。でも・・・何を?」
最後の日 朝 normal ver
男「大雪とか勘弁してくれ・・・。パジャマも布団もびしょびしょで最悪だし・・・」
男「風邪引いたらどうすんだ雪のバカやろう」
男「・・・?」
男「あれ、このプリクラ、俺とこれ・・・誰だ?文字がかすれて見えないな、これ名前だと思うんだが・・・」
男「うーん、分からん。とにかく、雪やまないとどうしようもないぞこれ」
男「しかし、雪女でもいるみてぇな大雪だなぁ・・・」
Bad end
198 : ◆.zeSrWjK2c - 2011/11/06(日) 02:53:42.37 NYkoRSgS0 103/121
ちょい休憩して、もう一個のエンディング書くぜ
やっぱり一回落とさないとだぜ
ごめんてこういうのも書いてみたかったんだって男死ねばいいのに
>>187
男「・・・どうかしたか?」
雪娘「あの、さぁ。一つ、お願いがあるんだけどぉ・・・」シュウシュウ・・・
男「なんだ?」
雪娘「キス、してほしい・・・なんて・・・」
男「顔上げろ」
雪娘「え?」
―――。
男「はい、終わり」
雪娘「・・・。びっ、くりしたぁ・・・」
男「大体さ、お前つっこまなかったけどさ、俺あのDQNにライダーキックしたときさ、なんて叫んだよ」
雪娘「あ・・・」
男「今さらなんだよー。もう少し大きくなったら襲うっていったばっかりだしさ」
雪娘「・・・そう、だよね・・・」
雪娘「うむ、ごっつぁん、です・・・」シュウシュウ・・・
男「・・・雪姫?」
雪姫「忘れる、なよー・・・、今のキ・・・ス・・・」
最後の日 朝
男「・・・」
男「あのやろうキスしたときに何か流し込んだな。薬か妖怪的ななにか知らんが」
男「おかげで朝までぐっすり。あのロリババア、見つけたら〆てやる」
男「・・・で外は大雪、と。分かりやすいな畜生」
男「どこにいる、雪姫ぇ!!」
雪姫「・・・」
雪女「まったく、お前が溶けかけの姿でここに来た時は驚いたもんだが、ちゃんとやる気になったようだね」
雪姫「・・・問題ないさー。ちゃんと妖怪ここにあり、っていう宣戦布告してやるから」
雪女「おお、怖い怖い。男に捨てられたか?それこそ昔話のように」
雪姫「っ・・・」
雪女「でもそんなことは関係ないんだ。この街を凍らせれば凍らせるほど、お前は強く、成長もする」
雪姫「・・・まだだ。まだ足りない。こんな身体では意味がない。力も足りない!」
雪女「いい心意気だねぇ」
雪姫「・・・」
雪女「そもそも、お前を捨てた男はお前のことを忘れているさ。雪女とはそういう生き物さ」
雪姫「・・・でしょうね」
雪女「その男もろとも、この街は氷漬けになって死ぬ。些細な問題さ」
雪姫「ええ、そうですね」
雪女「これでお前も、半人前の雪娘から昇格できるよ。しかも宣戦布告を成功させれば、赴任先も決め放題だ」
雪姫「それなら、もう決めてあります」
雪女「へぇそうかい。少しはあやかりたいものだねぇ」
雪姫「・・・」
男「先輩もいない、お姉さんもいない。かつこの雪の中、どうやってあいつを探せっていうんだよ・・・!」
男「獣の槍はどこだぁぁっ!!」
男「アイツのいそうなところ、虱潰しにいくしかないか・・・」
男「けどま、なんとなく・・・察しは付いてるけどな・・・!」
雪女「・・・だいぶ積もったね。もう一息だよ。あんたの身体も、ほら。もうすっかり大人のそれだよ」
雪姫「・・・まだです。まだ足りません」
雪女「恨みとはかくも恐ろしいねぇ。いいよ、好きなだけやりな。花火は派手な方がいい」
雪姫(・・・バカ、早く見つけに来いよっ)
男「ここでもない、となると、くそ、まさかあそこかよ!!」
雪姫「・・・」
雪女「さて、そろそろ死人が出始めるころあいだね。調子はどうだい?」
雪姫「答えるまでもないでしょう」
雪女「そうみたいだねぇ。・・・ん?」
男「くそ、案の定この辺はひどい雪だ・・・っ!」
雪姫「!!」
雪女「人間の男が、なぜこんなところに一人で・・・?」
男「いるんだろ雪姫ぇ!!ここに、この場所に!!」
雪姫「・・・」
雪女「雪姫・・・?なんであの男がお前のことを?」
雪姫「・・・遅いんだよー・・・」
男「!?雪が、止んだ・・・」
雪姫「あたしは、ここにいるぞっ!!」
男「!!」
雪女「お前何を!?」
雪姫「お前の女は、ここにいるっ!!」
雪女「お前まさか、謀ったのか!?」
雪姫「にひひ、坊やだからさ」
雪姫「ま、あたしが本気出せば、ざっとこんなもんよ」
男「バカヤロ、早く降りて来い!!」
男「あの時みたいに、こっから手ぇ繋いで帰ろうぜ!!」
雪女「お前自分がなにをしたのか分かってるのかい!?」
雪姫「あー、ほら赴任先は決まってるっていったじゃんかー」
雪女「な、な・・・!!」
雪姫「あたしはアイツと、一緒になる道を選ぶっ。最初からこの道しかないんだけどねぇ!」
雪女「他のすべての妖怪を敵に回すよ!?人間からも迫害されて、居場所なんて!!」
雪姫「にひひひひ、あたしの居場所?そんなの、もうあるんだなぁ」
男「ああ、悪いな、俺のここは、開いてるんですよ」
雪女「なめるな!!一族の恥はここで切り捨てるよ!」
雪姫「なっはっは、それをさせっと思うかい?チョローンと無理な話じゃないかな?」
雪女「バカめ、狙うのはニンゲンのほうよ!!」ばっ!!
男「うわあああ!?」
雪女「死にな!!」
男「うわあああああ!!
―――なんつって?」
雪女「!?」
男「one two three!!『ライダーキック』・・・!!ぅおりゃぁぁあぁぁぁぁあああ!!」
雪女「バカめ、遠距離から凍らせてやればそんな蹴り!!」
男「・・・ほーら、引っかかった」
雪女「!?」
雪姫「豪雪波動拳!!」
雪女「ぐぁ!?後ろ・・・!?」
男「伏線なんだなぁ、あれもこれもさ。・・・うぉりゃああああああああ!!」
ごっ
雪女「蹴、り・・・!!」
雪姫「ダイアモンドダスト!!」
雪女「!」
男「偉い人は言いました。『長いものに巻かれろ』と。おばあちゃんは言っていた。『良いと思ったものは、迷わずパクレ』ってな」
雪姫「サイコクラッシャー!!」
男「あ、それは真似しなくともよいぞ、うん」
雪女「バカな、こんなことをしても何も・・・」
?「どうかな。人と妖怪が分かり合える。そして共存出来る。その可能性をはじき出せるのは、今のところ彼らだけだ。それは十分脅威だろうね」
雪女「誰だ!?そんな事が可能であるはずがない!!相容れないもの同士が分かり合うなど!!」
?「あら、従来の可能性に縛られない考え方、お姉さんは好きよ?」
雪女「くっ・・・!!」
雪女「覚えておくがいい、お前たちは必ず不可能な壁にぶち当たり、迫害され、裏切られ、蹂躙されて犯される!!だがその時、お前たちの帰る場所などもうないのだぞ!!」
男「関係ないね。共存できるんだから、他の可能性は考える必要すらないさ」
雪姫「これが、あたし達の選んだ道だからねぇ」
雪女「おのれ・・・わからん小童どもめが・・・」
男「まだ、抵抗するのなら!」
雪姫「俺のこの手が光って唸る・・・!!」
雪女「このままで終わりにはしないよ・・・。覚えておきな!!」びゅん!!
男「・・・はぁ」へたり
雪姫「ふぅぅ・・・」
男「お前、少し大人になったな」
雪姫「・・・成長期ですからー」
男「でもお前・・・はは、力使いまくったせいか、た十六歳くらいに戻ってるぞ」
雪姫「えぇ!?・・・ばかな」
男「でもま・・・悪くない」
雪姫「いい女だろ、見とれて良いぞ」
男「却下」
雪姫「!?」
―――。
雪姫「・・・。だから、唐突すぎると」
男「アドレナリン出まくりだからなぁ・・・。まさかパクリ技の応酬で勝てるとは思わなかった」
雪姫「ニートなめんなよ、と」
男「つーかお前よ、こんだけ出来るなら最初から働けよ!!」
雪姫「え?ああ、だって面倒じゃん」
男「はぁ・・・。ダメだこりゃ」
雪姫「二度と・・・働きたくないでござる」
EX
月島「まぁそんなこんなで、妖怪さんたちの宣戦布告は阻止されました、と」
?「実際危なかったのぅ。向こうさんと一触即発の中、そんなことが起きてしまっては本当に戦争になる」
月島「実際小競り合いは続いているからな。またいつどこで争いの火種が生まれるか」
?「自然への敬意を忘れるべからず。物への敬意を忘れるべからず。そこには神や妖怪が住む。それがこの国だからのぉ」
月島「では私は次に行く。エリスの話じゃ、吸血鬼に怪しげな動きを見せる一派があるそうだ」
?「んん。頼んだぞ月島くん」
月島「ていうか、仕事しろ長老」
男「冬だねぇ」
雪姫「冬だねぇ」
男「寒くて明日の朝は確実に布団から出たくありません」
雪姫「あたしは暑いですけど」
男「溶けるのは勘弁」
雪姫「半人前の頃ならいざ知らず、今は溶けねぇよ。雪女なめんな」
男「お前、冷たいよな」
雪姫「お前暖かいじゃん」
男「プラマイゼロか」
雪姫「ところで、誰も試したことのないことに挑戦しないかBOY」
男「何だ俺の嫁」
雪姫「人間と雪女との子作り、とか」
男「・・・。蕩けるなよ」
雪姫「」///
fin・・・?
236 : ◆.zeSrWjK2c - 2011/11/06(日) 04:01:42.97 NYkoRSgS0 119/121
とりあえずこの話はこれで終わりです
保守感謝です
張りまくった伏線を回収するかどうかは未定という罠
またいつか(多分近々)お会いしましょう
244 : ◆.zeSrWjK2c - 2011/11/06(日) 04:06:47.82 NYkoRSgS0 120/121
色々補足させてもらいます
この話は以前書いた別なSSの後の話という時系列になってます
元々月島夕葵さんはそっちの登場人物でした
どうせ同じ心霊物なら繋げちゃえということでこうなりました
終わり方にもあるように、多分このさらに後の話を書くと思います。多分吸血鬼の話です
関連?
女「ねぇ、天秤座今日何位??」男「12位」
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イケメン「肝試し行こうぜ」彼女「えー…怖いよ」
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