ピンポーン
「すみませーん、宅配便でーす」
男「あ、ちょっと待ってください」ゴソゴソ
ガ ガチャッ
男(うわっ!箱でか!)
宅配「すみません、配達中に箱が汚れちゃって…」
男「え?あ、あー、なんか黒くなってますねぇ…」
宅配「上においてあった箱から出てきた汁で汚れたみたいで…すみません!」
男「…ま、いいですよ。中身さえ無事なら」
宅配「え?」
男「中身を確認しますんで、ちょっと待っててもらえますか?」
宅配「あ、はい」
男「そこに居てくださいね?」
宅配「はい」
パタン
元スレ
男「…へ?」 幽霊幼女「だかぁね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310654070/
男(カッターを準備して…汚れてるのは尼損の外箱だけみたいだな。中身はっと)シャーッ パカッ
男(うんうん、全体がプチプチで覆われてて、中までは汚れてないな。エロゲはパッケージも大事だからな!)
男(で、初回特典の抱き枕もビニールが掛かってて、汚れとかはなさそうだな)
ガチャ
男「中は汚れてなかったんで、もういいですよ」
宅配「あ、はい。ありがとうございます!」
男「さて、箱は後で潰すとして…準備準備♪」
・
・
・
男「扇風機よし!ティッシュよし!飲み物よし!」
男「パンツ脱いでPCのスイッチオー…ん?画面の端っこに白い影が…え?」クルッ
幽霊幼女 ジー
男「………と、とりあえず、パンツ穿いていいかな?」
幽霊幼女 コクリ
男「ついでに手を洗ってきても…」
幽霊幼女 コクリ
男「あああ、ありがと。じゃあちょっと行ってきます」
ジャー
男(まいったなぁ…そりゃガキの頃は霊感あったけどさぁ…最近はまったく見なくなったから、霊感なんてとっくになくなったと思ってたのに…)
ジャバジャバ
男(小さい女の子の幽霊…こんなにはっきり見えるって…よっぽど強い怨念かなんかかな?)
男(…大学に入学してここに住んで1年ちょっとだけど、その間一回も出なかったのに…)
男(てか怖いよね?普通に怖いよね?メチャクチャ怖いよね?)
フキフキ
男(戻らずに逃げる…訳にはいかないよなぁ…近くに泊めてくれるような友達もいないし…)
男(しょーがねーなぁ…)ハァ…
男「…ただいま」
幽霊幼女 ジー
男(うわぁ…メチャクチャ見てるよ…気まずい…)
男「…え、えっと、聞いてもいいかな?」
幽霊幼女 パチクリ コクコク
男(な、なんかびっくりされたみたいだけど…)
男「じゃ、じゃあさ、俺、今まであんたを見たこと無いんだけど、ずっとこの部屋にいたのかな?」
幽霊幼女 フルフル
男「違うのか…じゃあ、いつからいたんだ?」
幽霊少女 スッ…
男(何を指差して…尼損の箱?ひょっとして…)
男「この箱についてきたのか?」
幽霊幼女 コクリ
男「そっか…」
男「ゴメン、ちょっとどいて。箱視るから」
幽霊幼女 コクッ
男(箱の上と横、それと下のほうに何かが流れたような汚れがある以外は取り立てて何にも…ん?テープのところに何かくっついてる)
男「…これは…髪の毛?」サラサラ
男「…3本ほど細くて長い髪の毛が…これは君の?」
幽霊幼女「うん」
男「え!?」
幽霊幼女「え?」
男「…うわっ!!」
幽霊幼女「ひっ!」ビクッ
男「あ、ごめんごめん。驚かせちゃったか」
幽霊幼女「…び、びっくぃしたあ!」
男「あははは。あ、俺は男って言うんだ」
幽霊幼女「…ようじょです」
男「幼女か。かわいい名前だな」
幽霊幼女「…え?ようじょのこえ、きこえぅの?」
男「うん、さっきから聞こえてるよ」
幽霊幼女「でも…ここにきたとき、いっぱいいっぱいよんだのに…」
男「え?声が聞こえたのはホントについさっきだよ?ってことは…」
サラッ…
男「この髪の毛を触ったから…なのか?」
幽霊幼女「…?」
男「わかんねーか…でもこれでおはなし出来るようになったわけだ」
幽霊幼女「あっ!うん!!」ニパッ
男「じゃあ、いろいろ聞きたいことがあるんだけど…」
幽霊幼女「ようじょもー!」
幽霊幼女「あのね、あのね!ようじょね、だぇかとおはなししたかったの!!でもね、だぇもおはなし…できなかったの…」
男「そ、そうなんだ…じゃあ、どうして幼女はここにk」
幽霊幼女「だかぁね、おとこにおはなしきいてほしいの!」
男(聞く気がまったくねぇ…ダメだこりゃ…)
男「わかったわかった。じゃあ、幼女のこと、いろいろ教えてくれるかな?」
幽霊幼女「いぉいぉって?」
男「うん、幼女はどこから来たのかな?」
幽霊幼女「あのね、えっとね……………あぇ?」
男「どうした?」
幽霊幼女「…わかんない…」
男「おいおい…それじゃ名前…はさっき聞いたか。じゃあさ、辛いこと聞くぞ?」
幽霊幼女「…どんなこと?」
男「…幼女はさ、いつ死んだの?」
幽霊幼女「…………え?」
男(あ、やべっ!やっちまったかも!?)
幽霊幼女「…ようじょ、しんだの?」
男「えっと…見たままのこと、言っていいか?」
幽霊幼女「…うん」
男「じゃあ…幼女さ、ふわふわ浮いてるんだ」
幽霊幼女「…ふわふわういてぅの?」
男「うん。あ、そうだ。幼女は何歳だ?」
幽霊幼女「ごさい」
男「そっか。俺は20歳になったばっかなんだけどさ、幼女、全然上を見上げてないだろ?むしろちょっと下向き加減じゃん」
幽霊幼女「…」
男「俺はまあ、標準的な身長だからさ、下向き加減ってことは、幼女は俺より高いところに居ることになっちまうんだ」
幽霊幼女「…そっか…ようじょ、ういてぅんだ…」
男「それと…幼女、手、出して?」
幽霊幼女「?」スッ
男「…このペットボトル、取ってみ?」
幽霊幼女 スカッ スカッ
男「…」
幽霊幼女「なんで?…とぇない…とぇないよぉ…おとこぉ…」
男「…わかったか?」
幽霊幼女「うぅ…うぇええ…うわぁぁぁん!!…」
ヒュン!
男(え?空き缶とかペットボトルとかが…飛んでる!?)
ヒュン! ヒュン!
男「わ!…こらっ!やめなさいって!!こらー!!」
ドサドサッ
幽霊幼女 ボー…
男「…落ち着いた?」
幽霊幼女 コクン
幽霊幼女「…ごめんなさい」
男「ん?ああ、俺のほうこそゴメンな。無神経なことしちまって…」
幽霊幼女「ううん…あのね?」
男「ん?」
幽霊幼女「ようじょ、なんかへんっておもってたの…」
男「ん」
幽霊幼女「ここにきたのも、おじちゃんがそのはこ、ここにもってきたかぁなの…」
幽霊幼女「そのはこにひっぱぁぇてぅみたいだったの…」
男(つまり、この箱が幼女の基点で、この箱が移動すると幼女も移動するのか?でも箱と幼女の因果関係が…)
男「…あれ?ってことは…」
幽霊幼女「?」
男「幼女、ちょっと憑いてきてくれるか?」
幽霊幼女「え?でも…」
男「いいからいいから」
幽霊幼女「…うん」
男「いいか?外にでるぞ」
幽霊幼女「でも…はこが…」
ガチャッ
男 スタスタスタ
幽霊幼女 フワフワフワ
男「…やっぱり」
幽霊幼女「…あぇ?」
男「どうだ?」
幽霊幼女「…おとこにひっぱぁぇてぅみたい…」
男「俺の推測が当たったみたいだな。つまりさ、幼女の起点はこの髪の毛があるところなんだ」
幽霊幼女「?」
男「…難しかったか?つまり、幼女はこの髪の毛があるところからそう遠くにはいけないってこと」
幽霊幼女「…よくわかんない…」
男「んー…とりあえず一回部屋に戻ろうぜ。昼飯にしよう」
幽霊幼女「うん」
男(幼女の移動範囲はこの髪の毛から3m以内ってとこか…この髪の毛は和紙にでも包んで持ち歩いたほうが良さそうだな)
~男の部屋~
男「おにぎりだけなんだけど…食べるか?」
幽霊幼女「うん!」
男「はい、どうぞ」
幽霊幼女「いただきます」
男(食べるったってどうやって…あ、あれ?普通に食べてる?けど皿の上にはおにぎりが乗ったままだぞ?)
幽霊幼女「…どうしたの?」
男「あ、いや。うまそうに食べてるなって」
幽霊幼女「うん!おいしーよ!!」
男「そっか、よかった」
男(皿におにぎりが残ったままって事は、幼女が持ってるのはおにぎりの霊みたいなもんか?ってことは…)
幽霊幼女「ごちそーさまでした」ペコッ
男「…なあ、その皿の上に残ってるやつ、食べてもいいか?」
幽霊幼女「うん」
男「じゃあ、とりあえずお皿片付けるぞ」
幽霊幼女「はーい」スカッ (´・ω・`)
男「あ、俺が持っていくからいいよ。幼女は休んでて。な?」
幽霊幼女「…うん」
男(で、幼女が食ってたこのおにぎり…)パクッ
男(…味がない)
~大学~
男「うー、今日は来ないつもりだったんだけどなぁ…」
幽霊幼女「…ひとがいっぱい…」
男「迷子になるなよ?」
幽霊幼女「うん」ホワッ
男「うぉい!手、繋ぐなら一言いってくれ!!」
幽霊幼女「なんで?」
男「こんなとこ人に見られたら…あ」
幽霊幼女「…」
男「…ごめんな。他の人に見えるわけ無いんだよな…」
幽霊幼女「うん…」
~校内地図の前~
男「えーっと…」
モブ友「お、男じゃん。めずらしいなー」
男「ああ、ちょっと野暮用でね」
モブ友「お?面倒くせーことが嫌いな男が出てくるんだ、ただの野暮用じゃねーな?」
男「いや、気にしないでくれ」
モブ友「いやマジでさ、何があったんだ?」
男「あー、オカルト研究部ってあっただろ?」
モブ友「ああ、801研か?」
男「そう、その部室ってどこだか知ってるか?」
モブ友「ん、この辺かな?」
男「お、さんきゅー」
モブ友「そんなとこに何の用だよ?」
男「…夏が近いから心霊ネタの収集?」
モブ友「あ、俺ダメ。無理」
男「はは、じゃあな」
モブ友「またゲーム貸してくれよ」ノシ
男「おう」ノシ
~801研もといオカルト研究部の部室~
コンコン
男「失礼しまーす…」
女「だから!あたしはこんなとこに入部するつもりはありませんってば!!」
部員A「そこをなんとか!女さんのその霊感を我が部のために生かしてくれ!!」
部員B「そうそう、何もUFOやUMAは僕達に任せて」
部員C「お、女さんきれいだし…///」フヘッ
女「最後の関係ない!あたし帰ります!!」
男「あのー…」
女「!?」
女「あんた遅かったじゃない!ほら、早く行くわよ!!昼御飯おごってくれるんでしょ!?」
男「…へ?あ、あれ?」
女「ほら!早く早く!!それじゃあ皆さん、さようなら~」ノシ
バタン
男「あ、あの~」
女「しっ!黙って歩く!!」
男(…なんでこーなるの?)
~校内の自販機コーナー~
コトッ
女「はい、缶コーヒー」
男「…え?」
女「さっきのお礼。まったくあいつら、あたしの霊感のこと、どこで聞きつけたのかしら…」
男「霊感?」
女「そ。で、入部しろってうるさいったらありゃしない!挙句の果てに無理矢理引っ張られて…」
女「でもさ、あんたのおかげであの部屋から出るキッカケが出来て助かったよ。だからお礼」
男「は、はあ…」
女「で?あんた、何しにあんなとこに?」
男「あ、いや。心霊現象とかに詳しい人がいないかなーって思って…」
女「あそこの連中に相談しても無駄無駄。相談したって変な風に洗脳されるだけだよ?」
男「いやでも」
女「だってさ」チラッ
幽霊幼女 ジー
女「あんた、霊が憑いてんじゃん。それにも気付かないような連中ばっかなんだよ?」
男「え?見えてんのか!?」
女「あ、自分に霊がついてることは分かるんだ。あんたも霊感あるほう?」
男「まあ、たぶん…」
女「ふーん…で?あの部室に行こうとしたのは、その霊のせい?」
男「ああ、まあ…」
女「除霊ならいいとこ知ってるから紹介しよっか?」
男「いや、そうじゃなくて…」
女「はっきりしないなぁ…じゃあなに?その霊と一生いっしょにいるつもり?」
男「そんなつもりは…」
女「じゃあどうしたいの?」
男「この子…幼女って言うんだけどさ、成仏させてあげたいんだ…」
女「…やめときなよ」
男「え?」
女「同情でそんなこと言ってるんならやめときなよ」
男「なんでだよ」
女「あんたが思ってるほど霊を相手にするのは楽じゃないんだよ?」
女「あんたがどのくらいの覚悟でその霊と付き合うつもりなのか知らないけど、下手したらあんた、死ぬよ?」
幽霊幼女・男「「!!」」
女「で?どれぐらいの覚悟があるの?」
男「…俺は死にたくない」
女「ふーん…」
男「けど、幼女のことはほっとけない」
女「はぁ?」
男「…ってことで」
女「…あんた、あたしの話聞いてた?」
男「ああ」
女「それでもその霊を成仏させたい?」
男「もちろん」
女「…その霊と話ができたらいいんだけどなぁ…そこまでの霊力は無いし…」
男「話するか?」
女「どうやってさ」
カサカサ
男「これ、触ってみ?」
女「え?…何これ、髪の毛?」
男「幼女、挨拶して」
幼女「…ようじょです」
女「…え?」
男「聞こえたか?」
女「え?え?なになに?なにこれ?何で聞こえるの?しかもさっきまで白い塊だった霊が小さい女の子に見えるし!」
男「やっぱり…どうやらこの髪に触ると幼女と話が出来るみたいなんだ」
女「…」
男「ん?どしたん?」
女「…こんのアホー!!!」ペシン!
男「痛っ!なんだよもう!!」
女「なんだじゃないわよ!こんなことして!!」
男「こんなこと?…ああ、髪の毛のことか?」
女「そうよ!こうなったら何が何でもその子を成仏させないといけないじゃないの!!」
男「…へ?なんで?」
女「もしその子が成仏できずに悪霊になっちゃったら、関わりが深い人間ほど捕り憑かれやすいのよ!!」
男「は、はあ」
女「だから!あたしもその髪の毛触っちゃったから関わりが深くなっちゃったの!!」
男「えーっとぉ…」
女「…はぁ…こんなことになるんだったら、あんたなんかほっとけば良かったわ…」
男「なっ!そっちが最初に巻き込んだんだろ?」
女「はいはい、あたしが悪うございました!」
幽霊幼女「…けんか、だめだよ?」
女・男「「…」」
男「…なあ、頼むよ…」
女「はぁ…しょうがないわねぇ。協力するわ」
幽霊幼女「あぃがとー!」
女「…ふふっ、いい子だね、幼女ちゃん」ナデナデ スカスカ
幽霊幼女「えへへ」
女「じゃあさ、いろいろ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
幽霊幼女「どんなこと?」
女「幼女ちゃんは、いつ、どこで死んだのかな?」
男「ちょ!ストレートすぎ!!」
幽霊幼女「…わかぃません…」
女「…そっか。じゃあ、なんであいつと一緒にいるの?」
幽霊幼女「おはなしできたかぁ!」ニパッ
女「…ずっとあいつと一緒にいたの?」
幽霊幼女 フルフル
女「じゃあ、いつからあいつと一緒にいるの?」
幽霊幼女「…ようじょ、くぁいおへやにいたの。そしたぁ、どあがあいておじちゃんがはこをもってったの」
幽霊幼女「そしたぁはこにひっぱぁぇて、おとこのへやにいったの」
女「なるほど…ちょっとあんた、その箱はどうしたの?」
男「へ?おれ?」
女「さっさと答える!」
男「は、はい!俺の部屋に転がってます…」
女「じゃあ、後で確認するとして」
男「は?」
女「で、幼女ちゃん?その暗いお部屋にはどうやって行ったのかな?」
幽霊幼女「…わかぃません…」
女「…そう、わかったわ」
女 チョイチョイ
男「ん?」
女(これ、犯罪の臭いがしない?)コソコソ
男(やっぱりそう思うか?)コソコソ
幽霊幼女「…どうしたの?」
男「…幼女の話を聞いててさ、なにか事件に巻き込まれたんじゃないかって」
幽霊幼女「…じけん?」
男「そ、じゃないとさ、幼女が俺と一緒にいる理由が思いつかないんだ」
幽霊幼女「?」
女「事故とか病気だとさ、殆んどその場所から動くことは無いみたいなの。でも、幼女ちゃんは結構動いてるでしょ?」
男「そして幼女の髪の毛が俺の箱に着いた理由を考えると…」
幽霊幼女「…」
男「だから、この髪の毛に何か理由があると思うんだ。例えば…」
女「事件に巻き込まれたときに抜け落ちた…とか?」
幽霊幼女 ザワッ
男「お、落ち着け、幼女。な?」
幽霊幼女 フッ
男「…幼女?」
女「たぶんね、暴れそうになったから一時的に姿を消したんだろうね」
男「…へ?」
女「見た目の割にしっかりしてるよ、あの子」
幽霊幼女 スゥ
男「幼女?」
幽霊幼女「…もうだいじょーぶ…」
男「平気か?」
幽霊幼女「つかぇた…」
男「はは、あとでジュース飲もうな」
幽霊幼女「うん!」
女(幼女ちゃん、相当あいつを信用してるね。…しょうがないか…よし!あたしも覚悟決めるか!!)
女「あたしもー!」
男「…へ?」
女「今度はあんたのおごりだよ!」ペシペシ
男「痛い痛い、叩くなって」
女「あははは。はぁ…あ、自己紹介が遅れたね。あたしは女。2回生だよ。よろしくね」
男「俺は男。同じく2回生。ヨロシク」
幽霊幼女「ようじょ、ごさいです。よぉしくおねがいします」ペコッ
女「あんまり馴れ合いたくないけど…ま、よろしくね」ニコッ
女「で?これからどうするの?」
男「うーん、とりあえず手掛かりを掴んでくしかないと思うんだけど」
男「今のところ、ダンボール箱以外の手掛かりはないんだ」
女「で?」
男「だからその…心霊現象に詳しい人に聞こうと思ってあそこに…」
女「…」
男「…お、女さん?」
女「こりゃ難しいね…こうなったら幼女ちゃんの記憶が頼りなんだけどあの様子じゃあ…」
幽霊幼女 ジー
男「ん?どうした?何見てんだ?」
幽霊幼女「…あそこのまど…」
男「ん?あ、男子トイレだな」
幽霊幼女「こっちみてぅ…」
男「え?」
幽霊幼女「ほぁ!」ホワッ
男(ん?幼女が俺の手を包み込んで…え?)
男「…見えた」
女「…あ」
幽霊幼女「ね?…ようじょ、あそこいく」
男(え?トイレにいるってことは…きっとあの人だろ?)
幽霊幼女「ねーってばーっ」
女「いってらしゃーい♪」
男「人事だと思って…」
~男子トイレ~
カチャッ
男(ほっ。誰もいなかった)
幽霊幼女「こんにちはー!」
男「ちょ!幼女!!声でk…そうか、他の連中には聞こえないんだったな」
花子「へぇ、あんた、その子と話が出来るんだ」
男 ビクッ!
花子「傷つくなぁ、そんなにびっくりしなくてもいいじゃん」
幽霊幼女「おねーちゃん、はじめまして。ようじょです」ペコッ
花子「お、礼儀正しいねぇ。あたいは花子だよ」ナデナデ
幽霊幼女「えへへ♪」
男(花子さんって、ホントに小学生ぐらいなんだな…)
花子 ジロッ
男 ビクッ
花子「で?何で来たの?」
幽霊幼女「あのね、あのね?おはなししよ?」
花子「はあ?」
幽霊幼女「あのね、あのね!」
花子「ちょっ!ちょっと待った!!おーい死神!」
死神 フッ
幽霊幼女「うわぁ、まっしろ!」
男「え?何にも見えないけど?」
花子「当たり前だろ?死神が見えるのは死人だけなの。なあ死神、この子、どういう扱いなの?」
死神「---、----、----。」
幽霊幼女「…え?」
花子「あー、なるほど。おいあんた!」
男「ははは、はい!」
花子「ここまで係わっちまってんだ、ぜってー成仏させてやれよな」ギロッ
男「はは、はい!」
花子「よーし。おい死神、この子外に連れって遊んでやっててよ。は?うっせーな、あたいはコイツと話があんの!」
幽霊幼女「…でも、おとこからはなぇぁぇないよ?」
花子「死神はこれでも神様なの。だから大丈夫。幼女ちゃんは死神と一緒に遊んどいで。あたいはコイツに話があるから」
幽霊幼女「…はーい」
男「あ、あの」
花子「ん?」
男「もう一人仲間がいるんですけど…」
花子「ちっ…しょーがねえな…」
男「すんません」
ガチャッ
女「あ、おとk…?」
花子「なんだぁ?おまえ、そのナリで彼女がいんの?このこのぉ♪」
男「いえ、女さんは彼女ではなくてですね…」
女「ちょ、ちょっと男!」
ザワザワ ナニアレ ヒトリゴト? キモーイ
花子「…作業棟2階の女子トイレに来な」
男・女((はい))
~作業等2Fの女子トイレ~
男 キョドキョド
女「…男、落ち着きなよ」
男「いやだって…ここ、女子トイレだよ?」
花子「ここに来るやつは掃除の業者ぐらいだって」
女「そうそう。作業棟なんてオトコしかいないでしょ?」
男「けど…」
花子「お前、男だろ?ドーンと構えろって」
男(いや、無理だって…)
花子「ま、いいや。本題にうつろうか」
女「そうですね」
花子「…さっき成仏させろって言ったけどよ…ちょーっと難しいかもな」
男・女「「え?」」
花子「死神に聞いたんだけど、あの子、この近隣の子じゃねーみたいだし」
男「そうなんですか?」
花子「で、あたいがあんたらに言いたいことはさ、あの子、本懐を死神に申告してねーんだってさ」
男「ホンカイって?」
女「もとから抱いている願い」
花子「…お前、ホントに馬鹿だな…」
男「うぅ…」
女「どういうことか、説明してもらえますか?」
花子「詳しいことは省くけど、人は死ぬと7日間のうちにそのまま成仏するか、居残るかを決めるのさ」
花子「で、居残りを決めたら、本懐…居残る理由を死神に申告するんだ。居残る奴は大体理由があるから」
花子「で、その理由が認められたら居残ることが出来る。認められなきゃ強制連行だね」
花子「そして本懐を成し遂げたら、はれて成仏できる。成仏できればまた生まれ変わることが出来る」
花子「問題はあたいらみたいな奴…つまり、いつまでたっても居残る理由が解決しない輩なんだけど」
花子「そういう奴は浮遊霊か自縛霊になって、やがて悪霊って言われるようになって、人々に忘れられたら『魂の浄化』が行われる」
花子「『魂の浄化』のあと、どうなるかは…死神も知らないそうだ」
花子「…大体こんなところかな」
男「じゃあ、花子さんは人に忘れられないようにするためにこうやって脅かしてるんですか?」
花子「まあそうだね」
女「そんな…」
男「でもその話が本当なら、幼女も何か理由があって…だからそれを解決すれば!」
花子「それがそう簡単じゃないんだわ」
女・男「「え?」」
花子「さっき言ったろ?あの子の場合はまだ申告して無いらしい。と言うか、居残りたい理由すら分からないみたいだな」
花子「ただ漠然と『やり残したことがある』って感じなんだろ」
男「…じゃあ、このままだと幼女は…」
花子「まあ、強制連行だね」
女「そんな!」
花子「でかい声出すんじゃないよ!まったく…まあ、アレだ。期限が来るまでにあの子の本懐を思い出させてやればいいんじゃないか?」
男「…協力してもらえますか?」
花子「おいおい、勘違いしてもらっちゃ困るね」
男「…へ?」
花子「あんた、あたいのこと知ってるよな?」
男「はあ、まあ…」
花子「あたいは悪霊なんだ。しかもトイレにしか移動できない。人助けなんてまっぴらだね」
女「でも!…じゃあどうしたらいいんですか?」
花子「さあ?ま、あたいの仲間紹介するからさ、そっちに頼めば?」
男「仲間って?」
花子「…あんた、ケータイの画面見てみな」
ヌウッ
男「うわぁあああ!!!画面から女の顔がぁああ!!!!」
貞子「…」
花子「馬鹿はほっといて…さーちゃん、死後記憶を無くした時ってさ、どうすればいいんだっけ?」
貞子「…遺体の…頭を…触る…」
花子「だってよ」
女「遺体を捜せってことね…」
貞子「…詳しいこと…マスク姉さんなら…知ってると思う…」
女「マスク姉さん?」
貞子「…あの道の先…地蔵のところに…居ると思う…」
女「ありがとう。男、行くよ」
男「う、うん…あ!幼女は?」
女「もう!早くつれてきなさい!」
~大学の外・地蔵像~
男「はあ、はあ、…」
幽霊幼女「…おとこ、だいじょーぶ?」
男「はあ、はあ…ああ…」
女「情けないねぇ…」
男「お、女さんは後ろに乗ってただけじゃねーか…」
女「だってあたしはか弱い乙女なんだもの♪それに今日は自転車がパンクしちゃっててさ」
男(反論する元気もねえ…チャリの二人乗りでこんなに息が上がるとは…)
女「ほらほら、シャキっと起きる!」グイ
男「もうちょっと休ませ…あ」
口裂け女「いらっしゃい」ニコッ
男「あ、どうも。男です」
幽霊幼女「ようじょです」ペコッ
女「女です。貞子さんから教えてもらって…」
口裂け女「ええ、聞いてるわよ。そのおチビちゃんのことでしょ?」
男「あ、はい。でもどうして…」
口裂け女「私達はね、念を飛ばして会話するの。携帯電話みたいなものね」
口裂け女「だからあなたたちのことも、貞子ちゃんから聞いて知ってるわ」
幽霊幼女 ジー
口裂け女「あら、どうしたの?」
幽霊幼女「…おねーちゃん、きぇい…」
口裂け女「…これでも?」ゴゴゴゴ…
幽霊幼女「うん♪」
口裂け女「…え?」
幽霊幼女「おねーちゃん、おめめ、とってもきぇいだもん♪」ニコッ
男「まあ、二次元だと口の大きい女の子もいるし?」
女「キメの細かい滑らかな肌…いいなぁ、うらやましいです…」
口裂け女「…ありがと」
女「男、口説くんじゃないよ?」クスッ
男「えっ?いやその…」
口裂け女「…私が怖くないの?悪霊なのよ?」
男「いや、まあ…」ポリポリ
女「慣れですね」
口裂け女「そう…自信なくすわ…」
幽霊幼女「だいじょーぶ?」
口裂け女「優しいのね…大丈夫よ」ナデナデ
幽霊幼女「えへへ」
口裂け女「で?何か聞きたいことがあるんじゃないの?」
男「あ、はい。実は幼女、記憶をなくしてるんです」
女「それで花子さんたちに相談に乗ってもらって…」
男「そしたらあなたに聞けばいいって言われて…」
口裂け女「あら、でもごめんなさい。私が知ってることも花ちゃんやさーちゃんと同じようなものなの…」
男「そうですか…」
口裂け女「…あ、そうね、もしかしたら…ちょっとまってて?」
口裂け女「地蔵菩薩さまぁ~、起きてくださーい」
地蔵「ん~~?zzz…」
口裂け女「この子達が聞きたいことがあるんですってぇ。起きてくださいってばぁ~」
地蔵「んふー…zzz…」
口裂け女「…ふんっ!」ドゴォ!
地蔵「ふごぉ!!!」
口裂け女「お目覚めですか?」ニッコリ
地蔵「げほっ…げほっ…」
男(なあ、今の…脇腹に…)コソコソ
女(ええ、膝がモロに入っていたわね)コソコソ
口裂け女「…なにかしら?」ニコッ
女・男「「い、いいえ!」」ガクブル
幽霊幼女「だいじょーぶ?」サスサス
地蔵「げほっ…す、すまんの。もう大丈夫じゃ。…おや?」
幽霊幼女「?」
男「あ、男といいます。こっちは女さん」
女 ペコッ
幽霊幼女「ようじょです」ペコッ
地蔵「ワシは地蔵じゃ。そうか、お前が幼女か」
男「!?知ってるんですか?」
地蔵「いやなに、さっき死神が愚痴をこぼしに来おっての。あまりにも退屈な話でついつい寝てしもうたんじゃ」
男「は、はぁ…」
地蔵「で、わしに聞きたいこととは?」
女「はい。幼女ちゃんの記憶を取り戻す方法を教えて欲しいんです」
地蔵「貞子から聞いとるじゃろ?」
女「いえ、それが難しそうなので、他の方法があったらと思って…」
地蔵「…まあええ。すぐに記憶を取り戻す方法は貞子のゆうた方法以外には無いんじゃ」
女「え?じゃあ…」
地蔵「まあ、そう急くでない。記憶を取り戻すためにはきっかけが必要なんじゃ。いっぺんに記憶を取り戻すには遺体の頭を触ればええ。それが無理なら…少しずつ素材を集めるしかないのぉ」
女「素材?」
地蔵「体の一部…例えば切り落とした爪や抜け落ちた髪の毛なんかにはその前後の記憶の一部が残っておるんじゃ。他には身に着けていたもの、思い出の品、強い感情を伴う出来事なんかじゃな。そうやって少しずつ記憶を取り戻すんじゃ」
女「そうですか…でもそれしか方法が無いんなら…」
地蔵「それとの。こっちゃこ」
幽霊幼女「?」フワリ
地蔵「ぬん!」ボワッ
幽霊幼女「ひっ!」
地蔵「童子よ、おぬしの状態を調べておるのじゃ。しばし辛抱せい」
幽霊幼女「うぅ…はい…」
地蔵「ふぅ…この童子は死後三日目じゃな」ナデナデ
男「そうなんですか?」
地蔵「今日を入れてあと五日のうちに本懐を申告せんとの」
男「…強制連行」
地蔵「そうじゃ…」
女「どうしよ?あんまり時間ないよ?」
男「まずはうちにきた箱を調べよう。今のところ手掛かりはそれだけだし」
女「わかった」
男「よし、幼女、行くぞ」
幽霊幼女「はーい。じゃあね、おじぞーさま、おねーちゃん、ばいばーい」ノシ
口裂け女「困ったらいつでもここに来なさい。相談ぐらいは乗るわよ」
男「はい。ありがとうございます。失礼します」
~男の家~
男「この箱なんだけど…」
女「上、横、それと下の角が汚れてるね」
幽霊幼女 キャッキャ
男「…例えばさ、これが人の血だって証明できたら警察が動いてくれないかな?」チラチラ
女「まず無理でしょ。警察が動くには証拠が少なすぎるわ」
幽霊幼女 ポヨーンポヨーン
男「けどさ、ひとつずつ積み上げてかないと、先に進まないだろ?」チラチラ
女「そりゃそうだけどさ」
幽霊幼女 ゴロゴロゴロ
男「幼女」
幽霊幼女「なあに?」
男「憑依して遊ぶのはいいけどさ…頼むから傷つけたり穴あけたりしないでくれよ?その抱き枕、今日届いたばっかなんだからさ…」
幽霊幼女「はーい♪」
男(はぁ…あの抱き枕以外幼女が遊べるようなものはないしなぁ…はぁ…)
男「えっと…どこまで話したっけ?」
女「…あんたが抱き枕にご執心だってとこまでかしら?」
男「言葉に棘があるんですが…」
女「ソンナコトナイヨー」
男「…と、とにかくさ、明日大学の分析室でこのシミを調べてもらおうよ。な?」
女「…そうね。他にできることはなさそうだしね」
男「それじゃ、今日は解散ってことで」
幽霊幼女「え?おねーちゃん、かえっちゃうの?」
女「うん。ここ、あたしの分までお布団なさそうだもん」
男「悪かったな」
幽霊幼女「そっか…」
女「明日の朝10時に大学の正門で落ち合いましょ」
男「了解です。じゃあ送ってくよ」
女「え?いいよ、まだ9時前だし」
男「いやでもなぁ…この箱の上に幼女の箱があったってことだろ?」
女「そうね」
男「だったらさ、もしかしたら…凶悪犯が近くに居るってことじゃね?」
女「あ」
男「だから…な?」
女「急に怖くなってきたじゃない!男、送りなさい!!これは命令よ!!!」
男「最初から言ってんじゃん…」
幽霊幼女「ようじょもいくー!」
女「あははは。ありがと、幼女ちゃん」ナデナデスカスカ
~真夜中・男の家~
男「じゃあ、そろそろ俺は寝るわ」
幽霊幼女「ん…ようじょも」モソモソ
男「だー!布団の中に入ってこないで!!」
幽霊幼女「えー?」
貞子 ジー
男「のわっ!」
幽霊幼女「あ、さーちゃんだぁ♪」
男「怖いからテレビの画面から出てきてください!」
貞子 ズリッ ノソノソ
男「なんでここに居るんですか!」
貞子「…監視」
男「…へ?………いやいや!そんな必要ないから!!」
幽霊幼女「どーしたの?」キョトン
貞子「マスク姉さんに…言われた…男、ロリコン?…」
男「ち、ちげぇよ!」
花子「え?ちがうの?」
幽霊幼女「あ、はなちゃん!」
花子「おー、げんきそうだな」
男「いや、その表現は微妙だろ」
幽霊幼女「はなちゃんもこっちくぅ?」
花子「…いや、あたいはトイレから動けないからさ」
幽霊幼女「そっか。じゃ、ようじょがいくね?」フワリ
男「なんかもう…幽霊屋敷じゃん、これ…」
貞子「もう寝なさい…明日から…大変…」
男「怖くて寝られません!頼むからほかの部屋に行っててください!!」
貞子「…」スゥ…
隣の部屋:『ギャー!オバケー!!』
男「いや、キッチンとかのつもりで言ったんだけど…はぁ…もう寝る!おやすみ、幼女」
幽霊幼女「はーい、おやすみなさーい」
~残り四日・大学の正門前~
女「おはよー…どうしたの?目の下クマができてるよ?」
男「なんでもない…ただの寝不足だから…」
幽霊幼女「おはよーございます」ペコッ
女「はい、おはようございます」ペコッ
幽霊幼女「ほぁ、おとこもごあいさつしなきゃ」
男「…おはようございます」
女(これじゃどっちが保護者かわからないわね)クスッ
女「それじゃ、分析室に行きましょ」
~分析室~
女「---。----。」
男(眠い…)
幽霊幼女「…おとこ、どーしたの?」
男「あ、いや。眠いだけだから」
女「お待たせー。…何だらけてんのよ!」
男「しょーがねーじゃん…」
女「大体ね、貞子さんたちは協力者なのよ?怖がってどうするの!」
幽霊幼女「おとこ、さーちゃんこわいの?」
男「あー、うん。ちょっと合わないタイプかも」
女「はぁ…あ、分析の結果は昼前に出るってさ」
男「じゃあそれぐらいにまたここに来ればいいんだな?」
女「そうね。じゃあ講義があるから」ノシ
男「俺も行くわ」ノシ
幽霊幼女「ようじょは?」
男「あー、俺について来て」
幽霊幼女「はーい」
~昼食中~
男(講義中に寝たから少しマシになったな)
男「幼女、きつねうどんセットにしたけど、オニギリ食うか?」
幽霊幼女「うん!」
男「はは、ほら」
幽霊幼女「あぃがと。いただきます!」ニコッ
男「いただきます」
カタン
女「おまたせー、ゴメンね?カレーコーナー混んでてさ」
男「ちょ!そんな大声出すと…」
ザワザワ オンナサンガオトコト? ナンデ? ヒソヒソ
女「気にしない気にしない♪」
男「いや、無理っす…」
幽霊幼女 ハムハム
女「…幼女ちゃん、オニギリおいしい?」
幽霊幼女「うん!でもおとこのおにぎぃのほうがおいしーよ!!」
女「そうなんだ。じゃあ、今度あたしにも作ってよ」
男「へいへい」
女「やったぁ!約束だかんね!!」
男「それより、早く食べようぜ。みんなの視線が痛い…」
女「あたしは平気だけどなー」
~男の部屋~
幽霊幼女「ただいまー」
男「やっぱりここが一番落ち着くなぁ」
女「人の目を気にし過ぎだって」
男「ほっとけ…それより…分析の結果は想像通りというか…」
女「うん…人間の血の反応があったね…」
男「で、この先どうする?」
女「闇雲に動き回っても時間の無駄だもんね…整理して考えよっか」
男「賛成。っと、その前に座るところとつまみと飲み物を…」
幽霊幼女「ようじょは?」
男「一緒にいて、思い出したことがあったら教えてくれるか?」
幽霊幼女「うん、いいよ」
男「よしよし。じゃあまず、証言から」
女「花子さんの情報で、幼女ちゃんの住んでたところはこの近隣ではない」
男「お地蔵さんによると、幼女ちゃんは死んでから今日で四日目…つまり、時間は今日を入れてあと四日しかない」
女「…幼女ちゃんの記憶を取り戻す方法は二つ。ひとつは遺体の頭を触る」
男「もうひとつは記憶の素材を集めていく」
女「で、今のところ素材はこの箱と」
男「幼女の髪の毛…」
女「オッケー、大体整理できたね。じゃあ次は…」
男「…仮説?」
女「ぴんぽーん。よく出来ました」
幽霊幼女「おとこ、えぁいね♪」ナデナデ
男「はは…」
女「ふふ。じゃあ、仮説を立てていくよ。まずは一つ目」
女「事件性は無く、幼女と接触したときに偶然箱に血がついた。テープに髪の毛がついたのも偶然」
男「箱は尼損の配送センターから直接家に送られているので、幼女と箱が接する機会がない。よって×」
女「うん。あたしも同じ意見。つづいて二つ目」
女「宅配便の集配センターに犯人がいて、犯人が持ってきた荷物から漏れた血がこの箱についた」
男「配送する前に伝票と不一致が出て荷物を調べられるんじゃないか?そんなリスクを犯す意味が無い。よって×」
女「まあそうだよね。伝票に無い荷物が増えてるんだから、すぐに問題になるでしょうね。受け取りにも問題があるし…」
男「で、三つ目。宅配便のトラックの運ちゃんが犯人」
女「△。大体、そんなヤバイ荷物と他の荷物を一緒においとくわけ無いじゃん。よっぽどのバカでない限りさ」
女「しかも荷物から血が漏れて、下になってた男宛の箱が汚れてるのに、それを正直に男に話すとも思えないしね」
男「じゃあ、四つ目。犯人は荷物を宅配便で輸送。で、その荷物から漏れた血と髪の毛が、たまたま下になってたこの箱についた」
女「これが一番有力だね。運ちゃんも言ってたんでしょ?」
男「ああ、上に積んであった箱から汁が漏れて汚れたって。だから髪の毛は何らかの要因でその箱の底についていたものが、擦れているうちにこの箱のテープについたと考えられるな」
女「…あたしの推理、言っていい?」
男「うん」
女「…幼女ちゃんも聞いてくれる?」
幽霊幼女「…うん」
女「じゃあ…犯人は他の場所で幼女ちゃんを…そして箱に入れて宅配便で送った。そしてこの町のどこかでその箱を受け取った」
幽霊幼女・男「「…」」
女「宅配便のトラックの中では、幼女ちゃんが入った箱から漏れ出した血が下にあった男宛の箱についた。と同時に、幼女ちゃんの髪の毛も男宛の箱のテープにくっついた」
男「…液体が漏れ出したタイミングは?」
女「おそらく集配センターを出た後じゃない?でないとセンターの人が気付いて謝罪文ぐらいつけるでしょ?」
男「…てことは…宅配便のトラックの荷台を調べれば…」
女「そうね、何か見つかるかもね」
ピンポーン
女・男「「!?」」
男「…はーい?」
?『宅配便でーす』
男「あ、きっとDVDだ。ちょっと待ってくださいね」
女「昨日と同じ人?」
男「え?…あっ、ちょっとまって。覗き穴から…うん、そうみたい」
女「だったらあたしが話をするからさ、荷物を受け取ったら代わってよ」
男「ん?いいけど?」
ガ ガチャ
宅配「ここに判子お願いします」
男「はいはい、ちょっと待っててくださいね。あ、女さん、ちょっと…」
女「うん、おっけー。…すいません。ちょっとお話し聞いてもいいですか?」
宅配「え?は、はい」
女「じゃあですね、他にこの地区担当の人はいます?」
宅配「いえ、自分だけですが」
女「昨日もこの家に配達に来ました?」
宅配「はい。大きな荷物だったんで覚えてますよ」
女「…すみませんが、昨日、あなたが配達した家の場所を教えて欲しいのですが」
宅配「は?…いや、それは無理です。会社クビになっちまう…」
女「それじゃ、トラックの荷台を見せてもらっていいですか?」
宅配「え?いやいやいや」
女「あら?じゃあサポートセンターに『箱に汚い汁をつけられた!』って連絡してもいいですよね?」
宅配「ええー?いやいやいや!!」
幽霊幼女「…きたないの?」
男「今のは言葉のアヤだから。幼女は汚くないぞ?」
女「オッケー。荷台の中、見れるわよ」
男「よし、行こう、幼女」
幽霊幼女「…うん」
~宅配トラックの荷台~
宅配「早くしてくださいよ?」
女「わかってますって。…どう?」
幽霊幼女 フワフワ
男「…そこか?」
幽霊幼女 コクン
男「ちょっと上がりますよ」ダッ
宅配「あ!ちょっとちょっと!!」
男「…あった」
女「見つかったの?」
男「ああ」
宅配「勝手に上がらないでくださいよ!警察呼びますよ?」
女「いいですよ?と言うか、呼んでください」
宅配「は?何開き直ってんですか!マジ警察呼びますよ!?」
女「だから早く呼んでください」
宅配「い、言ったな?Pi Pi Pi あ、もしもし?男女二人組みが宅配の荷物を荒らしてるんですぐに来てください。場所は~~~です。じゃ」Pi
宅配「警察呼んだからな?知らねーぞ、どうなっても!」
男「…なあ、あんた。これ、何だと思う?」
宅配「はあ?何言ってんだコイツ?ただの黒いシミじゃねーか」
男「これさ、俺の箱にもついてたんだけど…人の血なんだ」
宅配「……は?」
男「あんたさ、このトラックで死体を運んだんだ」
宅配「はは…んな馬鹿な」
女「あーあ、これであんたも重要参考人だねぇ」
宅配「・・・え?ちょ…」
男「早く上司に電話したら?代わりの人、よこしてもらわなきゃいけないでしょ?」
宅配「あ、う…」Pi…Pi…
幽霊幼女「…おとこ」
男「ん?どうした?」
幽霊幼女「おとこのいえにいくまえにね、ひっぱぁぇそうになったはこがあぅの…」
男「え?…幼女、もしかして、何か思い出したのか?」
幽霊幼女 コクン
キーッ
男「ん?宅配トラック?」
宅配「すんません、トラックの荷物積み替えるんで、ちょっとどいてください」
女「あーあ、そんなことしたら証拠隠滅の疑いまでかけられるのになぁ」
宅配「うっ」
男「…女さん、そろそろ勘弁してあげたら?」
ファンファンファンファン
女「ようやく来たみたいね、警察」
・
・
・
~夜・警察署前~
女・男「「…」」
男「…もう真っ暗だな」
女「そうね。今日はもう解散かしら?」
男「それにしても…」
女「警察なんて役に立たないってわかったでしょ?」
~~~~~~~~~
刑事「でもねえ、証拠が血のついた箱だけなんでねえ」
刑事「箱を作ってるときに何かに引っ掛けて出血したのかもしれないしねえ」
刑事「小さい子供の捜索依頼?そりゃ調べられないことも無いけどねえ」
刑事「ま、死体でも出たらねえ…あ、今のオフレコだから」
~~~~~~~~~
男「…だな。全然やる気なかったし」
女「ま、お役所仕事なんてこんなもんよ。死体でも出りゃあ別なんでしょうけどね」
幽霊幼女「…したい?」
女「あ、ゴメン…」
宅配「あ、あの…」
男「あ、すいません、巻き込んじゃって」
宅配「…もういいです…それでですね、これ…」
男(ん?これは…手書きの地図?)
宅配「…それ、汁が漏れてた箱を届けた家です」
男「え?…いやでも…そんなことしたら…」
宅配「いいんすよ。住所や名前は教えちゃいけないけど、地図を渡しちゃいけないってことは言われてないですから」
男「…ありがとう。でもなんで?」
宅配「…被害者…小さい女の子なんですよね?」
女「ええ、警察は信じてくれなかったけどね」
宅配「…自分、幼稚園の姪っ子がいるんですよ。だから…」
男「…でも、俺たちが嘘ついてるのかもしれませんよ?」
宅配「はは…嘘のためにあんだけのことする人はいないですよ」
宅配「それに、仕事のほうも何とか大丈夫だったし…」
男「…ありがたく頂いておきます」
宅配「それじゃ」ペコッ
女・男 ペコッ
男「…じゃあ、もう遅いから、女さんは帰ったほうがいい。ここからだと近いだろ?」
女「うん。明日はどうする?ってか、やることは決まってるよね?」
男「ああ、この地図のところに行く。下手すると犯人と遭遇かもな」
幽霊幼女「…はんにん?」
男「あ、そういえば幼女、何か思い出したんだよな?」
女「え?ホント?」
幽霊幼女「あのね?えっとね、ようじょ、おとこのいえにいくまえに、ちがうはこにひっぱぁぇてたの」
幽霊幼女「でもね、こわかったかぁ、ついてかなかったの」
男「…そうか」
男(ということは、トラックのシミも素材だったってことか)
女「はぁ…焦るわ」
幽霊幼女「だいじょーぶ?」
女「ん…大丈夫よ」
男「…女さん、明日は11時に俺んちでどうかな?」
女「ん、わかった。じゃあね、おやすみ~」ノシ
男「おやすみ」ノシ
幽霊幼女「おやすみー!」ノシ
男「…幼女、ちょっと寄り道するぞ?」
幽霊幼女「え?」
~地蔵尊の前~
男「幼女、マスク姉さんいるかな?」
幽霊幼女「うん、いるよ?」
男「よし。…マスク姉さん、出てきてくださーい」
ボゥ
口裂け女「なあに?デートの誘いかしら?」クスクス
男「そうじゃなくて!もう見張りなんてやめてください!!」
口裂け女「あら?私はあなたのためを思ってやってるのよ?」
男「なにが俺のためですか!」
口裂け女「…ねえ、あなた。あなたは幼女ちゃんが暴れるかもしれないってこと、考えたことあるかしら?」
男「え?…そりゃあ…」
幽霊幼女「…ようじょ、あばぇたことあぅ…」
口裂け女「…幼女ちゃん、急に辛い記憶を思い出したらメチャクチャに暴れるかもしれないのよ?無意識のうちにあなたを殺しちゃうかもしれないの」
男「あ…」
口裂け女「…さっき、あなたのためって言ったのはそういうことなの」
男「すみません…俺、全然理解してなかった…」
口裂け女「いいのよ」ニコッ
幽霊幼女「ふたぃとも、むずかしーこといってぅ…」
口裂け女「みんな幼女ちゃんを大事にしていますってことよ」ナデナデ
幽霊幼女「そっか!あぃがとー、みんな」ペコッ
口裂け女「ふふふ。…で?何か進展はあったのかしら?」
男「それが…」
口裂け女「あら?なにもなかったの?」
男「あ、いえ。幼女の血がついた箱の受取人がいる場所の地図を手に入れました」
口裂け女「へえ…ちょっと見せてくれないかしら?」
男「…呪ったりしません?」
口裂け女「ダメなの?」
男「当たり前です!」
口裂け女「でもねえ、私達は悪霊なの。人を呪うのが本業なのよ?」
男「あ…で、でも!まだ犯人と決まったわけじゃないし!それにこの犯人だけは法の裁きを受けさせたいんです!!」
口裂け女「…それはなぜかしら?」
男「…犯人をそんなに簡単に死なせたりしたくない。少しでも長く苦しみを与えてから…」
口裂け女「…あなた、悪霊になる素質があるわね」クスッ
男「…」
口裂け女「わかったわ。犯人を呪わなければいいのね?約束するわ」
男「…わかりました。これです」カサカサ
口裂け女「ふーん、あの辺りね…」
男「くれぐれも…」
口裂け女「わかってるわ。安心して」
男「はい…じゃあ今日は…」
口裂け女「はい、さようなら。幼女ちゃんも」
幽霊幼女「ばいばーい!」ノシ
口裂け女「…約束だから呪わない。でも呪わなければ…うふふふ」
~残り3日・男の部屋~
カチカチ カチ ウィーン ウィーン…
男「よし、地図の印刷完了!」
幽霊幼女「おー!」パチパチ
ヌウッ
男「うわっ!」
女「どうしたの!?」
男「い、いや…PCの画面から…」
貞子「…」ニヤッ
女「…今日はどうしたんですか?」
貞子「マスク姉さんから伝言…今日は…お稲荷さんの縁日があるから…地蔵尊にくるように…」
男「は?」
貞子「幼女ちゃん…気分転換…」
女「あ、そういうことね」
貞子「じゃ…」スゥ…
男「何回見ても心臓に悪い…」
幽霊幼女「さーちゃん、どーしたの?」
男「あー、うん。マスク姉さん達からお祭りに誘われたんだ」
幽霊幼女「おまつぃ!?」キラキラ
男(そ、そんな期待いっぱいの目で見ないでぇ!)
女「…ま、いいんじゃない?」
男「え?」
女「楽しむことで思い出す記憶もあるかもしれないでしょ?」
男「なるほど…じゃあ」
幽霊幼女「おまつぃいくの!?」
男「う、うん…」
幽霊幼女「やたっ!」
男「けど!明るいうちは情報収集だからな!」
幽霊幼女「はーい♪」
女「ふふ。よかったね、幼女ちゃん」
幽霊幼女「うん!」
女「じゃあ、自転車に乗って出発だー!」
幽霊幼女・男「「おー!」」
~汚れた箱の届け先~
男「このアパートの1階の…表札も出てないな。情報どおりだ」
幽霊幼女「…」
ピンポーン
女「!?」
男「…留守かな?」
女 ベシッ!
男「ってえなぁ、なにすんだよ!」
女「あんた馬鹿!?いきなり呼び鈴押して中から人が出てきたらどうすんの!」
男「どうって…普通に話すけど?」
女「どんなことを?」
男「あ…」
女「まったく…留守みたいだからよかったものの…」
幽霊幼女「…おとこぉ」
男「ん?」
幽霊幼女「…ここ、いや…くぅしい…」
女「…とにかく一回ここから離れようよ。いろんな意味で急ぎすぎてるかもね」
男「…マスク姉さんもそれを見越してたのかもしれないな。だから俺たちを縁日に誘ったのかも」
女「そうだね…冷静にならなきゃね」
~近くの公園~
男「まあ、あの部屋の住人が何かしら関係している可能性が高いことは確かだな」
女「そうだね。幼女ちゃんの様子から見てもね」
幽霊幼女「ごめんなさい…」
男「いやいや、怒ってるわけじゃないんだ。むしろ幼女の反応を見て確証を得たぐらいだから」
幽霊幼女「?」
女「幼女ちゃんのおかげで、あそこの人が怪しいってことが分かったってこと」
幽霊幼女「…ふーん?」
女「で、どうするの?」
男「うん、とりあえず、もう一度あのアパートの周りを調べてみようと思う。なにかあるかもしれないし」
女「それ、あたしがしようか?」
男「え?いやいや。俺がしてくるよ。女性に危ないことさせるわけには…」
女「あたしはそれより男がまた馬鹿なことしないか、そっちのほうが心配なのよ」
男「う…」
幽霊幼女「おとこ、ばかなの?」
男「ちがう!…と思いたい…」
女「あははは。とにかく、あたしが先に行ってくる。男はそのあと。いいわね?」
男「…はい」
幽霊幼女「…おとこ、だいじょーぶ?」
男「ああ、ありがとな」
幽霊幼女「ううん…」
サワサワサワ…
男「いい風だな。7月とはいえ、木陰で風がふくと気持ちいいな」
幽霊幼女「…きもちいいの?」
男「ああ。幼女は?」
幽霊幼女「ようじょ、わかんないの…」
男「そっか…」
男(そうだよな…考えてみれば、幽霊なんだよな…生きてる頃とは感覚がまるで違うんだろうな…)
幽霊幼女「…おとこ」
男「ん?」
幽霊幼女「おとこ、どーしていぉいぉしてぅぇぅの?」
男「あー…なんでだろうな?自分でもよくわかんねーや。ははっ」
男「けど、なんだろう…同情?いや、使命感?まあ、とにかくやらないといけないような気持ちになっちまったんだな」
幽霊幼女「ふーん…」
男「…まあなんだ、これも運命ってやつかもしれないし」
幽霊幼女「そっか」
プルプルプルプル
男「お、TEL」Pi
男「もしもーし。…え?いいや、こっちは変わりなし。…ん?そっか。そっちも収穫無しか」
男「で、部屋のほうは?…留守か。…分かった。とりあえずそっちに行くわ。じゃあ」Pi
幽霊幼女「おんな、どーしたの?」
男「ああ、めぼしいものが見つからなくて進展なしだって。それと幼女、今からもう一度あの部屋に行くぞ?」
幽霊幼女「え?でも…」
男「辛いかも知んないけど、今のところそれしか手掛かりがないんだ。頼む」
幽霊幼女「…うん」
~地蔵尊の前~
口裂け女「それで?」
女「幼女ちゃんが苦しがったんでそこからいったん離れました。で、幼女ちゃんが落ち着いてからもう一度行ったけど…」
口裂け女「収穫なし?」
女「はい」
貞子「…あやしい…」
女「はい、でも証拠が…古井戸にも移動できるんですね」
貞子「…ぶい」
口裂け女「…それで?明日からどうするの?」
女「もう一度あの部屋に行ってみようと思います。とにかく怪しいのは確かなんで」
口裂け女「そう…それじゃ、今日は楽しみましょ♪」
女「なんか嬉しそうに見えるんですけど」
口裂け女「あら、奢ってくれないの?」
女「それは男の役目です。ていうか、食べれるんですか?」
口裂け女「私は食べれるわよ?」
女「そうなんですか…じゃあ…」Pi Pi Pi…
~縁日・散策中~
幽霊幼女「おとこー!はやくはやくー!!」
男「ちょっと待ってくれよ。女さんから食い物買って来いってメールが…」
幽霊幼女「あー!きんぎょー!!」キラキラ
男(ははっ…幼女が楽しそうでよかった)
幽霊幼女「あー!はなびしてぅー!!」
男「おー、夏の風物詩やねぇ~」
幽霊幼女「おとこおとこー!わたあめー!!」
男「ん?おお!なつかしいな!!」
幽霊幼女「ようじょ、たべたーい!」
男「あはは。おばちゃん、綿菓子ひとつ!」
綿菓子屋「あいよ」
~地蔵尊の前~
幽霊幼女「ただいまー!」
女「あ、おかえり…すごい買ったのね」
男「ああ、ちょっと持っててくれ」ガサゴソ
女「うん。綿菓子とタイ焼き貸して」
幽霊幼女「あのね、あのね!きんぎょさんみたの!はなびしてたの!!すごくたのしかったの!!」
口裂け女「そう、よかったわね」ナデナデ
男「たこ焼きはっと…お地蔵さんにひとつ、それから…はい、どうぞ」
口裂け女「え?いただけるのかしら?」
男「ええ、もちろんです。マスク姉さんにはホント、いろいろと世話になってますから」
女「ひゅーひゅー♪」
口裂け女「…呪っていいかしら?」ニッコリ
女「ごご、ごめんなさい」ガクガクブルブル
幽霊幼女「どーしたの?」モグモグ
口裂け女「なんでもないわ」ニコッ
男「あ、タイ焼きも食べます?」
口裂け女「ええ、いただくわ」
女「はふはふ…男、さっきからなにも食べてないみたいだけど?」
男「あ、俺はいいんだ。アレを貰うから」
幽霊幼女「はふはふ…おいしー♪」
女「…え?あれ?」
男「そ。幼女が食べた後のやつ」
女「ふ~ん…」
口裂け女「彼、いいお父さんになりそうじゃない?」
男「ぶっ!」
女「あはは。そうですねー」
男「女さんまで…」
幽霊幼女「おとこ、おとーさんになぅの?」
男「いやいやいやいや!ならないならない!!相手がいないって!!」
口裂け女「あら、そんなこと無いわよ。ねえ?」
女「う~ん、どうですかねえ。あははは」
~夜・男の部屋~
男「じゃあ、そろそろ電気消すぞー」
幽霊幼女「ちーさいでんきは?」
男「点けとく」
幽霊幼女「えへへ。おとこ、あぃがと」
男「いえいえ、どういたしまして」
モゾモゾ
幽霊幼女 キョロキョロ
男「ん?どうした?」
幽霊幼女「さーちゃん、いないね」
男「ん?あ、そういえば…どうしたんだろ?いつもこの時間には来てるのに…」
幽霊幼女「ねてぅのかな?」
男「そうかもな。こっちも久しぶりに安心して寝られそうだ。おやすみ、幼女」
幽霊幼女「おやすみー」フワリ スゥ…
~残り二日・男の部屋~
男(残り二日…気は焦るけど進展なし…)
幽霊幼女 モグモグ
男(やっぱ直に会わないとだめなのか?)
幽霊幼女 ジー
男(危険な賭けだけど…やってみるしかないか?)
幽霊幼女「…おとこ?」
男 ビクッ
幽霊幼女「どーしたの?」
男「あ…いや、なんでもない」
幽霊幼女「ふーん…」
男「あ、幼女」
幽霊幼女「なあに?」
男「今日さ、もう一度あのアパートに行くぞ」
幽霊幼女「…え?」
男「部屋の主がいたら、会ってみようと思うんだ」
幽霊幼女「…」
男「それでな?幼女も一緒に会って欲しいんだけどさ」
幽霊幼女「………………がんばぅ」
男「そうか、ありがとう。…ゴメンな?」
幽霊幼女「ううん、おとこ、ようじょのためにがんばってくぇてぅんだもん。ようじょもがんばぅ」
男「幼女…じゃあ、そろそろ行くか」
~汚れた箱の届け先のアパートの近く~
女「ここからは自転車、押していきましょう」
男「…幼女、大丈夫か?」
幽霊幼女「ん…まだだいじょーぶ…」
女「無理しないでね?」
幽霊幼女「…」
男「…見えてきたな」
女「じゃあ、ここから気合入れていきますか!おー!!」
幽霊幼女「…おー!」
~汚れた箱の届け先のアパート~
女「まずは裏から様子見ね」
男「…そうだな」
コソコソ
男「あ、自転車」
女「昨日はなかったよね?ってことは…」
男「居る可能性が高い…か」
幽霊幼女(…あれ?なんだぉ?…え?)フワフワ
女「…玄関のほうに…」
男「ああ…」
男(今日は部屋に居るってことか…あー!ドキドキしてきた!!)
女「…男」
男「わかってるって!ちょっと待ってくれって!!」
男 すぅ~~~ はぁ~~~…
男「…よし!」
ピンポーン
男「……………あれ?」
ピンポーン
女「…どうしたの?」
男「いや、出てこないんだ。それに、部屋の中から人の気配が…幼女は?」キョロキョロ
女「え?」
男(見える範囲には居ない…ってことは3m以上離れてる!?)
女「こっちのほうにはいないみたい…」
男(じゃあ、もしかして…裏か?)
女「あ、待ってよー!」
~汚れた箱の届け先のアパート・裏庭~
幽霊幼女「…おとこ」
男「え?…なんでその自転車の傍に?」
幽霊幼女「こぇ…」スッ
男(なんだ?…自転車の荷台?あれ?なんか揺れてるぞ)
男「…髪の毛?」
幽霊幼女 コクン
女「…どういうこと?なんで荷台から…あ!」
男「…どうやらこの自転車で幼女を運んだらしいな。幼女、触ってみ?」
幽霊幼女 コクッ スッ…
ブワッ!
幽霊幼女「!!」
男「うおっ!なんだ!?」
幽霊幼女 ボー…
男「…お、おい、大丈夫か?」
幽霊幼女 コクン
幽霊幼女「…あっち」スッ
男「え?」
幽霊幼女「あっちに…いくの」
男「お、おい、ようj」
女「しっ!黙って幼女ちゃんの言うとおりにしよ?ね?」
女「あっちって…あの山のほう?」
幽霊幼女 コクン
男「そうか…何か思い出したんだな?」
女「…違うと思う」
男「…へ?」
女「前にお地蔵さんが言ってたじゃん?髪の毛にはその前後の記憶の一部が残ってるって」
男「ああ、言ってたな」
女「だからさ、髪の毛の記憶が幼女ちゃんの中に流れ込んできたんじゃないかな?」
幽霊幼女 フワフワ
男「…とにかく行ってみよう。幼女が行こうとしてる場所に」
女「うん…」
~山道~
幽霊幼女 フワフワ
男「はあ…はあ…」
女「男ー!だらしないぞー!!」
男「…はあ…はあ…女さんのは…はあ…変速機…つきじゃねーか…はあ…はあ…こっちは…はあ…安い…ママチャリだってーの!…はあ…」
女「すごい崖だね…落ちたらひとたまりもないでしょうね…」
男「見たくねーし…」
幽霊幼女 フワリ
女「あ…男!幼女ちゃんが!!」
男「はあ…え?崖の外に?」
幽霊幼女「…おとこ…このした…」
男「…へ?」
女「…幼女ちゃん、この下に何が…」
幽霊幼女「ようじょの…かぁだ」
女・男「「!?」」
男「…下に降りる道を探そう」
女「うん…」
~崖下に降りる獣道~
幽霊幼女 フワフワ
ガサガサガサ
男「…」
女「きゃっ!何これ!!…くもの巣!?」
男「…」
女「いったーい!足ひねっちゃったよぉ~」
男「…」
女「…ねえ」
男「ん?」
女「…なんか言ってよぉ…怖いんだよぉ…」グスッ
男「…ごめん」
ギュッ
女「え?」
男「俺もだ…」
女「…うん」
ガサガサガサ
男「あ…」
女「…何これ!テレビとかタイヤとか家具とか…不法投棄の山じゃない!!」
幽霊幼女「おとこ…」
男「ん?」
幽霊幼女 フワリ
男「…そこか?」
幽霊幼女 コクン
男「…女さん、そこで待ってて」
女「…はい」
男「さて…」
ガッ ポイッドサッ
・
・
・
男 ガサッ
幽霊幼女「おとこ、それ…」
男「はあ…はあ…これか?」
幽霊幼女 コクン
男「よし…女さん、ちょっと退いて」
女「ん…」
男「テープをはがして…開けるぞ?」
幽霊幼女・女 コクン
バリッ!
男「!!」
幽霊幼女「…」
男「…う…うぅ…ぐふぅ…」ポロッ
女「…男、どうs」
男「くるな!!!!」
女 ビクッ
男「…お、女は…見ないほうがいい…」
女「…わかった」
男「くぅぅぅ…うぅぅ…」
幽霊幼女「…おとこ…」
男「…んはぁ…そうだな…幼女…触れるか?」
幽霊幼女「…こぇ…ようじょの…かぁだなんだね…」
男「…そうだ。そしてこれが幼女の…あ、頭だ」
幽霊幼女「…うん」
男「ほら…」
フワリ
幽霊幼女「…おとこ…おんなも…あぃがと」
女「うぅ…」グスッ
幽霊幼女 スッ
バンッ!
幽霊幼女「ううう…きゃああああああ!!!!!」
フワッ スゥゥ…
男「幼…女?」
女「…幼女ちゃん、消えちゃったね…」
男「うん…」
女「…本懐、遂げられるといいね」
男「うぅ…」
女「…男、行こ?」
男 コクッ
~崖の上~
女「はあ…はあ…やっと…自転車…見えてきたよ」
男「はあ…はあ…よっと…ようやく…道路まで戻ってきたな」
女「はあ…はあ…うん…」
ファンファンファンファン
女「…パトカー?」
男「…」
ガチャ
刑事「おやぁ?こんなところで会うなんて奇遇ですねぇ」
女「…クズ刑事」ボソッ
男「…何しに来たんですか」
刑事「そんな睨まなくてもい~じゃな~い?」
女・男((古っ!))
刑事「…昨日、小さな女の子を殺したって言うオトコが自首してきたんですよ」
女・男「「!!」」
刑事「ですがねえ、供述におかしなところがありましてねぇ?」
男「…どんなことですか?」
刑事「…トイレから手が出てきただとか、テレビから女が出てきたとか、口の大きな女が追いかけてくるとか…」
女・男((マスク姉さん達だ!))
刑事「で、そのオトコの供述に沿ってここに遺体を捜索しにきたらおたく達がいたってわけ」
男「…遺体なら…ここにあります」
刑事「…はい?」
女「ちょ!ちょっと男!!」
男「この崖の下で見つけました…」
刑事「…ちょっと失礼…」
パカッ
刑事「…おたく、これ見た?」
男「俺は見ました。女は…」
刑事「そう…見事に五体バラバラだわ。部下、ちょっとこれ…」
部下「はっ!」
男「…じゃあ俺たちはこれで」
刑事「ちょっと待ちなさい!!」
男「…まだなにか?」
刑事「自首して来たオトコの供述と、おたくが前に警察で話した内容があまりにも一致してるんだよねぇ。だから重要参考人として署まで御同行願おうと思って」
女「そんな!」
刑事「あなたも。自転車はあとで取りに来させるから安心して」
女「い、いやよ!離して!!」
男「女!」
女 ビクッ
男「俺たちは何もしていないんだ…きっとすぐに帰れるから…」
女「…わかった」
ファンファンファンファン…
~二日後・警察署前~
男「んー!久しぶりの外の空気だぁ!!」
女「あ、男ー!」ノシ
男「あ、女」ノシ
女「お疲れ様でした」
男「あー、でも容疑が晴れてよかったよ」
女「男、アリバイ証明難しいもんね。大学に来てるときはともかく、一人で部屋にこもりがちだったし」
女「モブ友君が証言してくれなかったらまだ留置場の中かもね」
男「くくく、そうかもな」
男「あ、女のほうは?」
女「あたしのほうはすぐにアリバイが証明されたし」
男「…そうだな、女は美人だからどこにいても目立つし」
女「まあね」
男「…だから、もう俺なんかとは一緒に居ることもないだろ」
女「は?」
男「いやだからな?」
ペシッ
男「ってえなぁ。なにすんだよ…」
女「…あたしは、あたしが居たいところに居るの!」
男「は?」
女「だから男の傍にいる!!」
男「いや、訳分からんのだけど…なんで?」
女「なんでもいいじゃん!」
男「さっぱりわからん…」
女「わかんなくていい!!」
男「…まいっか」
女「…男、幼女ちゃんのこと恨んでる?」
男「怨むなんて…俺は自分がしたいようにしただけなんだしさ」
女「そう言うところがいいの!」
ギュッ
男「…へ?」
女「…昨日ね、刑事さんから聞いたんだけどさ…幼女ちゃん、明日お葬式なんだって…」
男「そっか…」
女「それでね、ご両親から来てほしいって…」
男「…女はどうする?」
女「男に合わせる」
男「俺は…これで幼女ともお別れだもんな」
女「そうだね…」
男「…何時にどこでやるんだ?」
女「ふふ…そう言うと思った」
男「スーツはあるから…黒い腕章とネクタイ、買わないとな」
女「じゃ、今から買いに行こう?ね?」
男「そうだな」
~夜・男の部屋~
女「カッター、アイロンあてたよ」
男「お、さんきゅー。これで明日の準備は完了っと」
女「もう20時か…あたし、そろそろ帰るね。明日朝早いし」
男「そうだな。式場、二つ隣の県だもんな。女のほうの準備は?」
女「あたしのほうはすぐに釈放されたからさ、もう準備はできてるよ」
男「そっか」
女「じゃあ…その前に、トイレ借りるね」
男「おう。さて…」
貞子 ジー
男「…ってことはトイレには…」
貞子「…驚いてよ…」シクシク
女「…あ」
花子「よう」
男「そして…」
口裂け女「お邪魔してるわよ」
男「…なんなんですか!俺達、明日は早く起きなきゃいけないんです!!」
花子「まあまあ、ちょっと報告にな」
女「報告?」
花子「ああ。死神に聞いたんだけどさ、あの子、本懐を申告して認められたんだってよ」
男「そうですか…」
貞子「男…暗い…」
男「貞子さんには言われたくありません!」
口裂け女「どうしたの?」
男「あ、いや…幼女の本懐ってなんだったんだろうなーって…」
花子「それは分かんねーけど」
男「そうですか…」
口裂け女「…幼女ちゃん、今はご両親といっしょに居るみたいよ」
女「そうなんですか…よかった…」
口裂け女「…あなた、随分頑張ってたじゃない?だからお礼を言いたくて」
男「え?…いやいや、そんな大したことしてないからいいですよ」
口裂け女「…ありがとう」
花子「最初はすっげー頼りなくてどうなるかと思ったけど…ありがとな」
貞子「…ありがとう…」
男「みんな…そ、そんなこと言われたら…あ!」
女「どうしたの?」
男「マスク姉さん、約束破ったでしょ!」
口裂け女「約束?」キョトン
男「犯人を呪わないって!」
口裂け女「あら、呪ってないわよ?」
男「…へ?」
口裂け女「私たちは脅かしただけ。だから約束は守ってるわよ?」
男「!」
女「でも、それで犯人じゃなかったら…」
口裂け女「それはないわ。だって私たちには確証があったもの」
男「確証?」
口裂け女「私たちぐらいの霊になるとね、残留思念を読み取ることができるの」
口裂け女「それで、あのオトコが犯人だってわかったから…ね?」ニコッ
女「…でも、正直助かりました。あの日、犯人が部屋から出てきて襲いかかってきたらどうしよう?って思ってましたから」
男「そうだな、俺たちだけじゃ犯人を逮捕するところまで行かなかったかも…ありがとう」
口裂け女「ふふっ。実はね、あなた達を縁日に誘ったのも作戦だったの」
男「え?」
口裂け女「私たちはあの男が犯人だってわかってたから、脅かすことに決めたの」
口裂け女「でも、そうなると幼女ちゃんの見張りができなくなるでしょ?」
口裂け女「だから、縁日で楽しく過ごせば、幼女ちゃんがもし記憶を取り戻して暴れても、あなたを襲わないか持って考えたのよ」
男「そこまで考えて…ありがとう。感謝します」
花子「よしなよ。生身の人に感謝される悪霊なんて聞いたことが無いよ」
口裂け女「ふふっ。…もうお別れね」
女・男「「え?」」
花子「だってもうあたい達があんたらに姿を見せる理由が無いしな」
女「そっか…そうですね…」
口裂け女「…ねえ、最後に乾杯しましょう?男さん、お酒ないかしら?」
男「あ、買ってきましょうか?何がいいですか?」
口裂け女「私は日本酒で」
花子「チューハイレモン!」
貞子「…焼酎…芋…」
男「はーい。女はビールでいいか?」
女「任せるわ」
男「5分で行ってきます!」
ガチャ バタン
口裂け女「…行ったみたいね」
花子「よっし!女に質問!」
女「え?」
花子「男の奴、女のこと呼び捨てにしてっけど、いつからなんだ?」
女「んー、いつからだろ?気がついたら呼び捨てだったしね。たぶん男自身も気付いてないかもね」
貞子「女…にやけてる…」
口裂け女「まんざらでもないみたいね、うふふ」
女「まあねー、最初の頃は馬鹿だし優柔不断だし頼りないし、正直イラついたりしたんだけどねー」
女「嘘はつかないし真面目だし、なんだかんだで優しいし…」
女「…まあ、もうちょっと一緒に居てもいいかなーって…ね?//」
花子「…ま、いいんじゃないの?わかんないけど」
貞子「女…いいやつ…」
口裂け女「そうね…じゃあ、ガールズトークはこれくらいにしましょうか。もうそろそろ…」
ガ ガチャ
男「ただいまー。お待たせー」
花子「待ちくたびれたぜ」
男「えー!?全速力だったのに…」
女「まあまあ♪」
男「…まいっか、女。酒とつまみ、みんなに配って」
女「はいはーい」
花子「みんな行き渡ったか?それでは!男と女の頑張りに敬意を表して!!」
一同「「「かんぱーい!」」」カチーン!
・
・
・
花子「んく…んく…ぷはあ!しみるー♪」
男(花子さん、見た目は小学生だけど、おっさんくさいリアクションだな)
貞子「きゃはははは!それでねそれでね!」
男(貞子さんは酒が入ると陽気になるし…てか、髪をあげて顔が見えるとかなりかわいいんですけど!?)
口裂け女「こくっ…こくっ…ふぅ…」
ドキッ
口裂け女「…あら?どうしたの?」
男「あ、いえ…さっきお酒飲んでるときの顔がすごくキレイだったんで、つい見とれて…」
口裂け女「…え?」
男「あ、いや…//」ポリポリ
口裂け女「うぅ…」ポロッ
花子「あー!男が姉さんを泣かしたー!!」
男「ちがうちがう!ってか、花子さんトイレから出てきてるし!!」
花子「え?あ、あれ?ホントだ!」
女「おーい男、あれ見てみ?」
男「へ?…うわっ!俺の抱き枕!!」
貞子「ふらいんぐぼでーあたーっく!」
男「ちょ!マジやめてー!!」
女「おぉ!」パチパチ
男「そこ!拍手しない!!」
花子「さーちゃん!もっとやれー!!あははは」
口裂け女「さーちゃんたら、しょうがないわねえ」クスクス
貞子「きゃははははは!!!あいむちゃんぴおーん!!!!!!」
男「お、俺の抱き枕が…」
女「まあまあ」
男「うぅ…」
・
・
・
口裂け女「それじゃ、そろそろお開きにしましょうか」
花子・貞子「「え~!?」」
口裂け女「明日は二人とも朝が早いのよ?幼女ちゃんのお葬式だから」
花子・貞子「「…は~い」」
女「あ!そうだ!」ゴソゴソ
女「じゃーん!みんなで記念写真撮ろうよ。ね?」
口裂け女「え?でも…」
女「いいじゃん、みんな友達なんだし。ね?」
口裂け女・花子・貞子「「「!!」」」
花子「…いいね!」
貞子「撮ろう撮ろう!」
口裂け女「みんなもう…悪乗りしちゃって…」
男「世にも恐ろしい写真になりそう…」
女「ほら、みんな!並んで並んで♪」
男「だー!貞子さん、上に乗らないで!!」
女「いくよー。はいチーズ!」
カシャ
女「どれどれ?…おー!うまく撮れてるー♪」
男「へぇー、あ、ホントだ」
女「花子さんと貞子さんの足が透けてるけどいい写真だわ♪」
男「マスク姉さんもきれいに撮れてますよ」
口裂け女「…ちょっと照れるわね」
女「ふふっ…あ、そういえば皆さんに聞きたいことがあったんです」
口裂け女「どんなことかしら?」
女「皆さんはどうして、こんなに協力してくれたんですか?」
口裂け女「簡単なことよ。私達は悪霊だけど、霊には変わりないの。だから幼女ちゃんを放っておけなかったの」
花子「そういうこと」
貞子「あたしもぉ、あの子がぁ、かわいそうだったからぁ」
男(貞子さん、ギャル口調になってるし…)
口裂け女「…さ、もう行かないと」
男「これで最後なんて言わないでさ、またゆっくり飲みましょうよ。もうみんな友達なんだしさ」
口裂け女「…ありがとう。それじゃ、男さん、女さん、さようなら」ノシ スゥゥ…
花子「…友達…か。いいな、それ。じゃ、幼女ちゃんにヨロシクな」ノシ スゥゥ…
貞子「名残惜しいけどぉ…ばいび~☆」ノシ スゥゥ…
男「…ホントに、また会えるといいな…」
女「…男、あたしもそろそろ…」
男「送ってくよ」
女「…送り狼?」
男「自慢じゃないが俺にはそんな根性は無い!」
女「あはは、冗談だよ♪」
ギュッ
男「!?」
女「エスコートよろしく♪」
男「はいはい」
~幼女の葬式~
摩訶般若波羅蜜多心経~~~
男「…人、少ないな」
女「考えてみれば悲惨な事件だもんね…」
刑事「おやあ?おたく達も来たのぉ?」
女「…クズ」ボソッ
男「まあ、御両親にも御挨拶したかったですしね…」
刑事「ふぅ~ん…まあいいけど。あ、そうそう。容疑者、全部自白しましたよ」
男「そうですか…」
刑事「…反応薄いねぇ。まあいいけど」
刑事「おたく達、容疑者のこと、何か知ってる?」
女「いいえ…」
刑事「そう。…最近歳のせいか独り言が多くてねえ…」
刑事「容疑者、見てくれが悪くてね、女性達に相手にされなくて小さい子に暴行しようとしたらしいねぇ」
刑事「この容疑者、計画的でさぁ…わざわざふたつも離れた県まで行って、ウィークリーアパートまで借りてたみたい」
男「…」
刑事「でもね、あの子があんまりにも泣き喚くんで、頭を鷲掴みして枕に押し付けてたら窒息して…」
女「幼女ちゃん…」グスッ
刑事「で、念入りに首をその…で、後はお風呂場でバラバラにして、ゴミ袋に入れて箱詰めして宅配したんだって」
男「なんで宅配便なんですか?持って帰れば…」
刑事「…駅で調べられる可能性があるからでしょ?ほら、不審な荷物が有りましたら…ってよくアナウンスしてるし」
刑事「それにもし駅で声をかけられたら一巻の終りじゃない?しかも2時間程乗ってなきゃいけない。途中で汁漏れしたら怪しまれるし…リスクだらけでしょ?」
男「車とかは…」
刑事「免許はねぇ…適正検査でねぇ…で、持ってなかったんだわ」
男「そうですか…」
刑事「で、容疑者は自宅で荷物を受け取って」
刑事「あとは自転車でおたく達が遺体を見つけた崖に運んでってポイってね?」
女・男「「…」」
刑事「…独り言はこの辺にして…ほら、いま門をくぐってきたのが御両親」
女・男「「あ…」」
両親 ペコッ
女・男 ペコッ
父親「…その節はお世話になりました。刑事さん…」
刑事「いえいえ、仕事ですから」
父親「…こちらの方は?」
刑事「こちらの二人が第一発見者の…」
男「男です。こちらが女です」
父親「そうでしたか…わざわざ来ていただき、ありがとうございます」フカブカ
母親「うぅ…グスッ」
女「そんな!お二人とも、お顔をあげてください」
父親「…お前は先に行ってなさい」
母親「はい…うぅぅ…」トボトボトボ…
父親「…せっかく来ていただいているのに十分なお持て成しができなくて申し訳ありません…」
男「いえ、こちらこそ突然押し掛けてすみません」
父親「…幼女を見つけていただいたのも何かの縁です。幼女の顔を見てやってください…」
女・男「「はい」」
・
・
・
男「…出棺したな」
女「うん…グスッ…幼女ちゃん…綺麗な顔だったね…」
男「ああ…」
女「うぅ…グスッ」
男「そろそろ行くか?」
女 コクン
幽霊幼女「…おとこ」
女・男「「!!」」
幽霊幼女「…おんな、ないてぅの?」
女「…あは、居たんだね」
幽霊幼女「うん…おとこ、あのね?」
男「どうした?」
幽霊幼女「おとこにおねがいがあぅの」
男「おねがい?なんだ?」
幽霊幼女「うん、ようじょが…どーしてもしたかったこと…おてつだい、して?」
女・男「「!」」
男「そんなの…あたりまえじゃないか!」
女「そうよ、幼女ちゃん」ニコッ
幽霊幼女「…あぃがと」
男「で?何をすればいいんだ?」
幽霊幼女「うん、あのね?~~~」
・
・
・
~1週間後・幼女の家~
ナムナムナムナム…
父親「ありがとうございます。幼女も喜んでいることでしょう…」フカブカ
母親 ボー…
女「…あの…奥さんは…」
父親「…幼女の葬式以来ずっとああなんです…幼稚園の母親達とお茶会をしてて…それで幼女があんな目にあったんだって自分を責めてしまって…」
女「そうなんですか…」
父親「私はそんなことはない、私たち夫婦、同じように罪深いんだと言っているんですが…」
女「そんなことないですよ!」
父親「いいえ。私たちがしっかりしていればこんなことには…幼女も私たちを憎んでいることでしょう…」
女(…男、ほら!)コソコソ
男(分かってるって!)コソコソ
父親「…どうかされましたか?」
男「いえ…はい。今日はお二人にお渡ししたいものがありまして…奥さんにも一緒に見てほしいのですが…」
父親「え?…呼んできますからちょっと待っててください」
父親「ほら、お客さんが来られているから、挨拶しなさい」
母親 ヨロ…
父親「…それで、どういったものでしょう?」
男「はい、これです」
コトッ
父親・母親「「?」」
女「近くの田んぼの中に落ちていたものです」
男「稲が伸びてて見つけるのが大変だったんですが何とか…泥を落としたりしてきれいにするのに時間がかかっちゃって…遅くなってすみません」ペコッ
女「額縁は僭越ながらあたし達で用意させていただきました。どうぞ風呂敷を開けてみてください」
フサァ
父親「こ…これは…」
母親「あぁ!!」
男「幼女ちゃんがどうしてもお二人に見せたかったものです」
父親・母親「「うう…」」
男「お父さんとお母さん、それに幼女ちゃんの3人で楽しく食事をしている絵です」
女「幼女ちゃん、この絵を幼稚園の先生に褒められて…すごく嬉しくて、早くお二人に見せようと一人で先に帰って行ったそうです」
男「幼女ちゃん、その絵をどうしてもご両親に見せたくて…そのことが心残りで…それで俺たちを導いたんだと思うんです」
父親「…わ、私たちは…ずっと幼女に…怨まれているとばかり…」
女「そんなことありませんよ。そうでなければあたし達は今ここに居ませんから」
男「幼女ちゃんは今でもお二人を愛しています。この絵がその証拠です」
父親・母親「「うう、うわああああ!!!!!」」
・
・
・
男「それでは俺たちはこれで」ペコッ
父親「…ありがとうございます。私たちはあなた方に救っていただきました。御恩は一生忘れません」フカブカ
母親「本当に…ありがとうございました」フカブカ
女「いえ…失礼します」ペコッ
テクテクテク…
女「…よかったね」
男「ああ。これで幼女も成仏できるな」
幽霊幼女「あぃがと、おとこ。おんな。」
男「幼女!?」
女「…お礼なんていいのよ?」
男「そうだぞ?それより…よかったな、どうしてもしたかったこと、できたな」
女「うんうん、おめでとう、幼女ちゃん」
幽霊幼女「ううん、おとことおんなのおかげだよぉ」
男「!」
女「男!幼女ちゃんの体が!!」
男(幼女がだんだん透明になって…)
幽霊幼女「…もうおわかぇだね」
男「そう…なんだな…」
幽霊幼女「おんなもあぃがとう」ペコッ
女「う゛ん…う゛ん!」グスグス
幽霊幼女「…そぇかぁね、おとこ…」
男「…なぁ、もう行っちまうのか?」
女「ちょ、ちょっと、男!」
幽霊幼女「…」
男「幼女が居ないこの何日か…結構寂しくてさ」
幽霊幼女「…ごめんね?」
幽霊幼女「ようじょもおとこといたいけど」
幽霊幼女「しにがみさんと、おやくそくしたの…」
幽霊幼女「おやくそくはまもぁないと…おやくそく、まもぇなかったぁ…」
幽霊幼女「そしたぁようじょ、わぅいこになっちゃうの…」
幽霊幼女「わぅいこになぅと、おとこがたいへんになっちゃうんだって」
男「そっか…」
幽霊幼女「…ようじょ、おとこにあえてよかったよ?」
幽霊幼女「…おめめさめたぁ、くぁいへやにいて…」
幽霊幼女「ようじょ、ひとりぼっちでこわくて、ずっと泣いてて…」
幽霊幼女「はこにひっぱぁぇて…おじちゃんについていったぁ、おとこのとこにきて」
幽霊幼女「いくぁよんでもみてくぇないかぁ、またみつけてもぁえないのかなっておもってたけど、おとこがみつけてくぇて」
幽霊幼女「おとことおはなしできて、いーっぱい、うぇしかったんだよ?」
幽霊幼女「…おとこ、おそといやなのに、がんばっておそとでてくぇて…」
幽霊幼女「いっしょにあそんでくぇて…ようじょのかぁだ、みつけてくぇて…」
幽霊幼女「おとーさんとおかーさんにのところにつぇていってくぇて…」
幽霊幼女「ようじょがどうしてもしたかったこと、かわぃにしてくぇて…」
男「そんなこと…俺がしたかっただけだし…」
幽霊幼女「…もういかなきゃ…おとこ」
幽霊幼女 フワッ チュッ
男「…へ?」
幽霊幼女「だかぁね」
ニコッ
幽霊幼女「あぃがと…ばいばい」ノシ
スゥ…
女・男「「……」」
女「…幼女ちゃん、いっちゃったね…」
男「ああ…」
女「…男、よかったじゃん。幼女ちゃんにちゅーされてさ…」
男「…幼女のやつ、まだ言いたいことがあったのに行っちまいやがって…」
女「もういいじゃん。…幼女ちゃん、男のいいたいこと分かってたみたいだし…」
女「グス…男が幼女ちゃんのこと…ヒック…好きだって言うのはさ…」
女「…だ、だからさ…ヒック…よ、幼女ちゃんのためにさ、笑って見送ってあげようよ?…ヒック…ね?」
男「…ああ、そうだな…」
女「ばいばーい!」ノシ
男「生まれ変わったら幸せになるんだぞー!」ノシ
女・男「「…」」
男「…帰るか」
女「…うん」
ギュッ
男(…さようなら、幼女…)
【エピローグ】
~6年後~
男「…よし!仕事終了!!」
同僚「お、帰るのか?」
男「ああ、お先ー」ノシ
同僚「お疲れー」ノシ
男「さあて、今日はどんなお土産にしようかな?」
・
・
・
男「ただいまー!」
女「あ、おかえりーっとと!」ガシッ!
男「うっ、今日も捕まった…」
女「あたりまえでしょーが!外から帰ってきたらうがいと手洗い!!何回も言ってるでしょ!?」
男「はーい…」
・
・
・
男「ただいま娘ちゃ~ん♪」
娘「アー」
女「じゃあお父さん、娘ちゃんの面倒ヨロシクね?あたしはご飯の用意をしてくるから」
男「はーい、じゃあ娘ちゃんと一緒に遊んでるわ」
女「遊んでって…まいっか」
男「娘ちゃん、今日もお土産、あるんだぞ~♪」
娘「うっ?」
男「じゃーん!ぷーさんのぬいぐるみー!!」
娘「ブー」
男「ぶー、じゃなくてぷーさん」
娘 ペシペシ
男「ああ!叩かないでー!!」
女「お父さん、ご飯だから娘ちゃんを連れてきて」
男「はーい。じゃあ、おてて持っててあげるから、あんよしていこうか?ほら、あんよは上手♪あんよは上手♪」
娘「アーウー」ヨタヨタ
男「お~よしよし、大分歩けるようになったな♪えらいえらい♪」スリスリ
女「もう!お父さんったら娘ちゃんにベタベタしないの!!」
男「娘ちゃん、お母さんがヤキモチ焼いてまちゅよ~♪」
娘「キャッキャ♪」
女「ホント、非の打ち所の無い親馬鹿だわ…離乳食準備してくるね」
男「はーい」
男「娘ちゃん、お父さんって言ってみ?」
--出会いは偶然だった
娘「う?」
--怖いとは思わなかった
男「うーん、まだ無理か」
--恐ろしいとも思わなかった
娘「…おとー」
--ただ不思議だった。
男「!」
--同情した
娘「おとー」
--辛くなった
男「おい!娘が喋ったぞ!!」
--どうしても助けたいと思った
女「え~?そんなわけないでしょ。まだ1歳になったばっかりなのに」
--触れられないのがもどかしかった
男「だって今確かに『おとー』って!ほら!早く早く!!」
--別れのとき、寂しさを感じた
女「はいはい、お父さんの勘違いですよね~、ねー娘ちゃん♪」
--次に生れてくるときは、幸せになれるように祈った
娘「おーな」
--そして、幼女は帰ってきた
女「…え?」
--俺達の子供として
男「…い、いまのは…」
--もう辛い思いはさせない
娘「おとー、おーな、たーいま」
--絶対に守ってやる
男・女「「!!」」
--絶対に幸せにしてみせる
女「うぅ…」グスッ
--だから…
男「…お帰り、幼女」
~END~
188 : ◆doBINqA5W6 - 2011/07/16 01:45:14.10 WJMdYxp8o 171/223これで終わりです
今回は夏向き(?)の幽霊話でした
このような駄文を読んでいただきありがとうございます
>>1です 乙ありがとうございます
おまけ、置いときますね
【おまけ】
幽霊幼女 フワフワフワ
死神「…もうよいのか?」
幽霊幼女「うん。またせてごめんね?」
死神「あやまらずともよい。これが私の仕事だからな」
幽霊幼女「まってぅのが?」
死神「そうだ」
幽霊幼女「ふーん…たいへんだね」
死神「…そうだな」
フワフワ フワフワ
幽霊幼女「…しにがみさん、かみのけもおかおもふくもまっしぉだね」
死神「…我に彩など必要ない」
幽霊幼女「…しにがみさんだかぁ?」
死神「そうだ」
死神「…主は尋ねぬのだな」
幽霊幼女「なあに?」
死神「…いや、よい」
死神(どのような者でもこれからどこに行くか、なにをするかなどを尋ねるものばかりと言うに…この子は…)
死神「…主は怖くはないのか?」
幽霊幼女「こわい?」
死神「…この先、どのようなことが起こるのか。自分はどうなるのか」
幽霊幼女「うーん…でも、しにがみさんといっしょだかぁ!」ニパッ
死神「…そうか」
幽霊幼女「あっ!」
死神「どうした?」
幽霊幼女「あそこのしろいのはなあに?」
死神「…『浄化の火炎』だ」
幽霊幼女「じょーかのかえん?」
死神「…汚れの強い魂は『浄化の火炎』により清められ、その先にある『因果の祠』に進むのだ」
幽霊幼女「いんがのほこぁ?」
死神「そうだ」
幽霊幼女「…まっくぁでこわい…」
死神「主はあそこには行かぬ。安心せい」
幽霊幼女「…あのね?」
死神「…どうした?」
幽霊幼女「どんなひとがあそこにいくの?」
死神「己が欲におぼれたもの、現世から逃げるために命を絶ったものなどだ…」
幽霊幼女「いんがのほこぁのさきはどうなってぅの?」
死神「それは我にも分からぬ」
幽霊幼女「そっか…」
死神「これより『浄化の火炎』の横を通る」
幽霊幼女「はーい」
メラメラ…
幽霊幼女「…あつくない」
死神「さ、ゆくぞ」
幽霊幼女「はーい」
死神「…主はイザナミの尊の神殿に向かっておる」
幽霊幼女「いざなみのみこと?」
死神「そうだ。黄泉の国を統治しておられる、偉いお方だ」
幽霊幼女「せんせーよぃえぁい?」
死神「ああ」
幽霊幼女「…こわい?」
死神「よい子であれば、怖くはない」
幽霊幼女「うー…」
死神「如何した?」
幽霊幼女「こわいかも…」
死神「何故に怖がる?」
幽霊幼女「だって…ようじょ、しんじゃったかぁ、おとーさんとおかーさん、いっぱいなかせたもん…」
幽霊幼女「だからわぅいこだもん…」
死神「…主は優しいのだな」
死神「主は尊の御前で、転生の選択を行うのだ」
幽霊幼女「てんせーのせんたく?」
死神「…次はどのような生き物に生まれ変わるのかを決めるのだ」
幽霊幼女「ようじょ、ひとがいい!」
死神「何故だ?このような辛い目にあっても人がよいのか?」
幽霊幼女「だって…あのね?おみみかして?」
死神「…ここには主と我しか居らぬ。そのようなことをせずとも…」
幽霊幼女「…はずかしいかぁ…//」
死神「…ふっ」
死神「…ここが神殿の入り口だ」
幽霊幼女「うわぁ…おっきーね!」
死神「あそこの広場で順番が来るのを待つのだ」
幽霊幼女「…いっぱいいぅ…」
死神「主は小さい。我がついていよう」
幽霊幼女「あぃがとーしにがみさん!」
?「あれ?幼女ちゃん?」
幽霊幼女「え?あー!おねーちゃん!!」
口裂け女「しばらくぶりね。どう?したかったこと、出来たの?」
幽霊幼女「うん!あのね!おとことおんなにてつだってもぁって、ちゃんとできたんだよ!!」
口裂け女「そう、よかったわね」ナデナデ
幽霊幼女「…はなちゃんとさーちゃんは?」キョロキョロ
口裂け女「あそこにいるわよ?はなちゃーん、さーちゃーん」
花子「っんだよ…幼女ちゃんか!?」
貞子「そうだよ!幼女ちゃんだよ!!元気だった?」
幽霊幼女「うん!」
死神「死んでいるのに元気とは是如何に」
幽霊幼女「おねーちゃんたちもえっと…じょーぶつ?したの?」
口裂け女「ええ、3人とも本懐を遂げて…ね」
幽霊幼女「えと、えっと…」
口裂け女「どうしてもしたかったことが出来たの」
幽霊幼女「そっかー!よかったね!!」
口裂け女「ありがとう」ニコッ
死神「主らの本懐など叶うことなどないと思っていたが…」
花子「ま、普通はそう思うだろうな。なんせ、あたいの本懐は友達を作ることだったし」
貞子「あたしはぁ、おともだちとぉ、人目を気にすることなく馬鹿騒ぎすることだったのぉ。とっくに体は供養してもらったしぃ、怨みもはらしちゃったけどぉ、それだけが心残りでねぇ」
花子「貞子んち、両親とも厳しかったらしいからなぁ」
口裂け女「私は男性に心からキレイだといって欲しかった…」
死神「しかし…」
花子「そ。あの二人が叶えてくれた」
死神「…きゃつら、何者だ?」
口裂け女「あ、私達の番ね」
花子「じゃ、先に行くな」ノシ
貞子「ばいび~♪☆」ノシ
幽霊幼女「いってぁっしゃーい」ノシ
死神「…さて、主の番が来たようだ」
幽霊幼女「はーい」
フワフワ フワフワ
幽霊幼女「…すごいおうちだね…」
死神「めずらしいか?」
幽霊幼女「うん!」
フワフワ…
ギュッ
死神「…どうしたのだ?」
幽霊幼女「…ひとぃだったぁ迷子になぅかも…」
死神「そうならぬように我がついておる。安心せい」
幽霊幼女「うん」
死神「この先にイザナミの尊がいらっしゃる」
幽霊幼女 ギュッ
死神「…大丈夫だ。主は悪い子ではない」
幽霊幼女「…ほんと?」
死神「ああ。行くぞ」
イザナミの尊「主が幼女かや?」
幽霊幼女「はい」
イザナミの尊「面を上げよ」
幽霊幼女「…きぇい…」
イザナミの尊「ふふっ。世辞には及ばぬ」
イザナミの尊「さて、主は幼くして生を断じた。本来であれば現世での行為にて転生を決するのだが、主はまだ幼い」
イザナミの尊「さらには幼くして生を断ずる宿命を負っておる。よって、主の希望を聞こうと思うのだが…」
幽霊幼女 …スゥ…スゥ…
死神「ね、寝るな!」ユサユサ
幽霊幼女「…ふぁ?」
イザナミの尊「…主には難しかったかや?」
幽霊幼女「…ごめんなさい」ペコッ
イザナミの尊「よいのだ。噛み砕いて言おう。主は大きくならないうちに生を断つ宿命にあるが、それでも生まれ変わるとしたら、何に生まれ変わりたいのだ?」
幽霊幼女「えっと、あの、ますくのおねーちゃんたちは?」
イザナミの尊「ふむ。あの三名は本来ならば浄化されるはずだったのだが、主のために尽力した功績を認め、人間に生まれ変わる」
幽霊幼女「よかった…」
イザナミの尊「主はどうするのだ?」
クイクイ
死神「ん?」
幽霊幼女「…いってもいいの?」
死神「ああ。はっきりと言いなさい」
幽霊幼女「うん!あのね、ようじょ、おとことおんなのこどもになぃたい!」
イザナミの尊「…彼のもの達はいまだ婚儀に至っておらぬが?」
幼女「でも、ふたぃのこどもになぃたいの!」
イザナミの尊「更には、縁者の元には転生できぬが習わし。よってそれは出来ぬ」
幼女「で、でもぉ…」じわぁ
地蔵「お待ちくだされ!」
幼女「…おじぞーさん?」
地蔵「彼のもの達はそこなる幼女を成仏させたのみならず、浄化の定めであった先の三名に善行をさせ、更には成仏させておりまする!」
地蔵「習わしとは言え、定められた法もあるでなく、積み上げられた過去に縛られておるだけではありませぬか?」
イザナミの尊「…では御菩薩殿は、これなる幼女の希望をかなえよと申すか?」
地蔵「御意に」
幼女「おねがいします」ペコリ
イザナミの尊「…あいわかった。しかし、それでよいのか?主の生は…」
幼女「いーの!おとことおんなだったぁ、きっとだいじょーぶ!!」
イザナミの尊「…もう何も言うまい。主は意志が強い。或いは命運が好転するかも知れぬな」
幼女「?」
イザナミの尊「…いや、よい。では転生の庵に行くがよい」
地蔵「良かったの、幼女や。はよう行け」
幼女「うん!あぃがとー!!」ノシ
男「娘ちゃん、お父さんって言ってみ?」
--…ここ…は?
「う?」
--…ようじょ…うまぇかわったの?
男「うーん、まだ無理か」
--あ、おとこだ
『…おとこ』
男「!」
--あ、きこえなかったのかな?もういっかい!
『おとこ!』
男「おい!娘が喋ったぞ!!」
--むすめ?
女「え~?そんなわけないでしょ。まだ1歳になったばっかりなのに」
--そっか。でもね…
男「だって今確かに『おとー』って!ほら!こっちにきてよ!!」
--むすめだけど…ようじょだよ?
女「はいはい、お父さんの勘違いですよね~、ねー娘ちゃん♪」
--あ、おんなだ
『おんな』
女「え?」
--あ、わかってくぇたかな?
男「…い、いまのは…」
--そうだよ。かえってきたよ
『おとこ、おんな、ただいま』
~【幼女転生編】END~
226 : ◆doBINqA5W6 - 2011/07/18 01:26:47.10 FNevjVKto 194/223もういっちょおまけいきます
~男の家~
娘「おとーさーん!おきてー!!」
男「ん…zzz…」
娘「いーてんきだよー!おそといこーよ!!」ペシペシ
男「ん?ん…ふあぁ…おはよう、娘…何時だ?」
娘「おはよー!くじはんー!!」
男「そっかー…じゃあ、そろそろ起きないとな」
娘「おかーさーん!おとーさんおきたよー!!」トテトテトテ
男「日曜の朝ぐらいゆっくり寝たいもんだが…起きるか」モゾッ
~リビング~
男「おはよー」
女「あ、おはよう。ちょっと待ってね、男子の離乳食が終わったら準備するから」
娘「おとーさん、ぱんやけたよー」コトッ
男「おー、ありがと」
娘「はい、ぎゅーにゅー。いただきますしてください!」
男「はい。いただきます」
女「ふふっ。娘ったらすっかり世話焼きさんだね」
娘「だっておねーちゃんだもん!」
男「早いもんだなー。娘も、もう5歳か…」
女「ん?何しんみりしてんの?」
男「いや、幼女のこと思い出してな」
女「あ…」
娘「おとーさん!あさごはんたべたぁあそぼーよ!!」
男「お?なにして遊ぶ?」
娘「おにごっこー!」
男「へ?」
女「ふふっ。娘ね、幼稚園の鬼ごっこですぐに捕まっちゃうから、特訓したいんだって」
男「あー、なるほどね」
女「ね、もうすぐ洗濯も終わるからさ、みんなで公園に行かない?」
男「それでいいか?」
娘「うん!」
男「よし!じゃあお父さんはオニギリ作っちゃおっかな~?」
娘「わーい!おとーさんのおにぎぃだー!!」
女「お父さんのオニギリ、おいしいもんねー♪」
~公園~
男「違う違う。もっと腕を振らないと!」
娘「こう?」
男「そうそう!」
?「フヒヒヒヒ…」カシャ カシャ
男「よーし、今度は急に向きを変える練習だ!」
娘「はいっ!」
男「よーい、どん!」
タタタタ
男「ここでターン!」
クルッ ピラッ
カシャカシャカシャカシャ
?「フシュシュシュ!よよよよよ、幼女のパンチラゲットォォォ!!!!」
男「おい」
?「!?」
女「なにしてるんですか?」
?「ななななな、なにもしてましぇフヒヒヒヒ」
男「…いいカメラだなぁ、望遠レンズもついてるし。どんな写真撮ってるんですか?」
?「どどど、どんなって?」
女「さっき撮ってた写真、見せてくれません?」
?「フヒ?」
男「うちの娘を撮ってたでしょう?カメラ貸してください。データー消しますから」ガシッ
?「いいい、いやだぁああああ!!!」ジタバタ
女「男、そのまま抑えといて」
ヒョイ
?「カカカカカメラ返しぇー!」
女「…ふーん、結構きれいに撮れてんじゃん」
?「かかか、勝手にみるなぁああ!!」
女「返して欲しかったら名乗りなさい」
?「ひっ!!」
女「名乗りなさい!」
?「いやd」
女「名乗りなさい!!」
?「…」
女「これが最後よ?…名乗りなさい」
娘(おかーさん、こわい…)コソコソ
男(ああ、俺達は怒らせないようにしような?)コソコソ
娘(そだね)コソコソ
?「……………キキキ、キモピザ…ピピピ、ロリ雄…」
女「ロリ雄さんね?はい、カメラ返すわね」
ロリ雄「…はぇ?」
女「名乗ったから返します。でね?お願いなんだけど」
ロリ雄「ははは、はい!」
女「これとこれとこれとこの画像、すごくよく撮れてるから印刷して家に持ってきてよ。ね?」
ロリ雄「ふへ?」
女「うち、あそこのマンションの○○号室だから。明日にでもマンションの入り口の郵便受けに入れといて。で、郵便受けに入れたら部屋番号の呼び出しボタン押してくれる?取りに行くから」
ロリ雄「いいい、いy」
女「イヤだって言うんなら、このまま警察に突き出すわよ?」
ロリ雄「………ははは、はい…」
女「ありがとう。じゃあ、頼んだわよ♪」
ロリ雄「はは、はい…」
男「へ?それで終わり?」
女「あ、言い忘れてたわ」
ロリ雄「…?」
女「今度からは最初に断ってから写真を撮りなさい。分かったわね?」
ロリ雄「…ははは、はい?」
男「いや、そうじゃないだろ…」
女「いいのよ。写真を撮っただけなら実害はないし。それに、実際あたし達が撮るよりきれいに撮ってるから」
男「…ま、まあ、お母さんがそれでいいんなら…」
娘「おとーさん、おなかすいたー!」
男「はいはい。じゃ、おてて洗っておいで」
娘「はーい♪」
女「ロリ雄さんも一緒に洗ってらっしゃいな」
ロリ雄「はぇ?」
女「オニギリしかないけど、一緒に食べましょ?」
男「おいおい…」
女「いいじゃん。ロリ雄さん見てると昔のお父さんを思い出しちゃってさ」
男「俺は太ってなかったぞ!」
女「男は痩せてたけど、ヲタクだったし似たようなもんでしょ?」
男「いや、ヲタとロリは違うと思う…」
女「ま、男の場合はちゃんと更生したからいいじゃん。ね?」
男「まあいいけど…お、娘たちが帰ってきたみたいだ」
娘「ただいまー!ごはんー!!」
女「はいはい、そこに座って?」
娘「はーい。あ、ろりおおじちゃん、いっしょにすわろ?」ニコッ
ロリ雄「はぇ?…ははは、はい!」
女「はい、オニギリ。喉につめないようにね」
娘「いただきまーす♪」
ロリ雄(ままま、まごう事なき天使ちゃんだぁ!)
~翌日~
先生「あら?よく描けてるわねぇ、娘ちゃん」
娘「ほんと!?」
先生「うん、ホントよ。これは…みんなでご飯を食べてるところ?」
娘「そうだよ。おとーさんとおかーさんと、だんしちゃん!」
先生「そうなんだ。へぇ~」
娘「だんしちゃんはおとーとなんだよ」
先生「かわいく描けてるわねぇ」
娘「うん!だんしちゃん、ほんとーにかわいーんだよ!!」ニコッ
先生「そうだね。さあ娘ちゃん?そろそろ帰る支度、しよっか」
娘「はーい」
~マンションのエントランス~
トテテテテ
娘「えっと…おへやのばんごーのぼたんをおして…」
ピンポーン
娘「………あぇ?」
ピンポーン
娘「…おかーさん、おかいものかな?なかにはいれないよ…」
ペタン
娘「…おかーさん、はやくかえってこないかなぁ…このえ、はやくみせたいのに…」
シュルシュル
娘「えへへー♪おかーさん、よろこんでくぇぅかな?」
? ニヤッ
怪しい人「お譲ちゃん、どうしたの?」
娘「おかーさん、まってぅの」
怪しい人「そっかー。お譲ちゃん、お名前は?」
娘「むすめです」
怪しい人「なあんだ、お譲ちゃんだったのか」
娘「?」
怪しい人「おじさん、お母さんに頼まれて娘ちゃんって言う女の子を迎えに行ってくださいって頼まれたんだよ」
娘「おかーさんが?」
怪しい人「そうだよ?お母さん、駅前のお店で娘ちゃんを待ってるんだ。さ、一緒に行こう?」
娘「…おじさん、おかーさんはひとぃでまってぅの?」
怪しい人「そうだよ」
娘「…いかない」
怪しい人「は?」
娘「おかーさん、ひとぃでおかいものしないもん!だんしくんといっしょだもん!!」
娘「だかぁ、ここでおかーさんまってぅ!」
怪しい人「…このガキャあ!!」
娘「ひっ!」
怪しい人「いいからこい!」
娘「いやー!!はなしてー!!!」
~同時刻・マンションの手前~
ロリ雄「フヒヒヒヒ」
ロリ雄(むむ、娘ちゃんのパンチラ写真!)ハァハァ
『いやー!!はなしてー!!!』
ロリ雄(フヒ?いいい、今のはむむむ、娘ちゃんの声?)
ドスドスドス
~マンションのエントランス~
ロリ雄(はあ、はあ、はあ、はあ、んごっ、こここ、これは?)
怪しい人「黙れ!このクソガキ!!」
娘「はなしてっ!はなしてよー!!」
ロリ雄(むむむ、娘ちゃんが!?どどど、どうする!?)
怪しい人「黙れ!」
ロリ雄(ここここわいこわいこわいこわい!!)
クルッ ドスドスドス
ロリ雄(ききき、きっと誰かが助けりゅ…ぼぼぼ僕はなにも見ていない!)
~~~~~~~~~~~~
娘「はーい。あ、ろりおおじちゃん、いっしょにすわろ?」ニコッ
ロリ雄「フヘ?…ははは、はい!」
女「はい、オニギリ。喉につめないようにね。はい、ロリ雄さんも」
娘「いただきまーす♪」
~~~~~~~~~~~~
ロリ雄「…」
クルッ ドスドスドス
怪しい人「黙れっつってんだろ!」
ロリ雄「なななななな何をしてるんでしゅきゃ!?」ガタガタブルブル
怪しい人「は?」
カシャカシャカシャカシャ
怪しい人「て、てめえ!!」
ロリ雄「しゃしゃしゃ、写真をとっただけっしゅよ?」
娘「ろりおおじちゃーん!!」ダッ トテテテテ
怪しい人「あ!こら!!」
娘「おじちゃーん!」ギュッ
ロリ雄「ももも、もう大丈夫だきゃら」ナデナデ
怪しい人「…そのカメラをよこしやがれ!!」ダッ
娘「ひっ!」
ロリ雄「ににに、逃げて!!」
怪しい人「てめえ!!」
ロリ雄「ふんぬ!」タックル!
怪しい人「おごっ!」ズササー
ロリ雄「いいい、行かせない!!」
怪しい人「て、てめえ!は、離せ!離しやがれ!!」ガスッ ゲシッ ドスッ
ロリ雄(ははは離すもんか!ぜぜぜ絶対離さない!!)
~マンションの近く~
娘「あ、おかーさん!!」トタタタタ
女「あ、ゴメンゴメン。スーパーで保護者会の会長さんとばったり会っちゃって。あの人話が長いのよ」
娘ちゃん「はやくきてー!おじちゃんが!!」
女「どうしたの?」
娘「おじちゃんがしんじゃう!!」
女「!! 娘!後ろに乗って!!」
娘「はいっ!だんしくん、ちょっとごめんね」
女「とばすよ!」
~マンションのエントランス~
怪しい人「いいかげんにっ!離せっ!!つってんだろっ!!!」ドスッ ゲシッ ボクッ
ロリ雄「…」
女「なにやってんの!」
怪しい人「!?」
女「警察に連絡したわ。もうすぐ来るわよ」
ロリ雄「…フ…ヒヒ…」ガクッ
怪しい人「くっ!」ズボッ ダダダダ…
女「ロリ雄さん!ロリ雄さん大丈夫!?」
ロリ雄「…む…娘ちゃん…は?」
女「…無事よ。ロリ雄さんのおかげでね」
ロリ雄「よよ…よかった…」
女「…メガネが…それにすごい傷…ありがとう、ロリ雄さん。娘を守ってくれて…」
ファンファンファンファン
女「もー!警察遅すぎ!!」
警官「不審者が暴れているとの通報で…身柄確保!」ガシッ
ロリ雄「…フヘ?」
警官「さ、立つんだ!」
女「ちがーう!この人は娘を助けてくれたの!!」
警官「はっ!失礼しました!…では不審者は?」キョロキョロ
女「逃げてっちゃいましたよ。あんた達が遅いから!」ギロリ
警官「うっ…で、では、不審者の特徴を…」
ロリ雄「…こここ、このカメラに…撮ってありまりゅ。あ…」
女「レンズが割れちゃってる…」
警官「ではお借りs」
女「うちでCD-Rにデーターをコピーしますから貸してください」
女(警察にばれたら困るもの撮ってない?)コソッ
ロリ雄「ああああります…」
警官「…分かりました。あとでデーターを派出所まで持ってきてください」
女「わかりました」
娘 コソッ
ロリ雄「ふぅ~…いたた…」
娘「ろりおおじちゃん、だいじょーぶ?」
ロリ雄「…デュフフフ、だだだ大丈夫…痛っ」
娘 チュッ
ロリ雄「…へ?」
娘「ありがと、おじちゃん」ニコッ
ロリ雄「娘ちゃん…」
娘「たてぅ?」
ロリ雄「フヘ?う、うん。よっこらせっ…」パンパン
女「大丈夫?」
ロリ雄「ははははい。…あ、こここれ、写真でしゅ」
女「ありがとう…ん、やっぱりキレイに撮ってくれてるね」
ロリ雄「…じゃじゃじゃ、ぼぼ僕はこれで」
女「はい。今度家にいらっしゃいな。お礼するからさ」
娘「またねー。ばいばーい」ノシ
ロリ雄(ききき決めた!ぼぼ僕はむむ娘ちゃんを守るっ!!)
~数年後~
モブ童男「おっちゃんおはよー」
ロリ雄「だだだ誰がおっちゃんだクソガキども。さっさと渡れ!」
モブ童女「おはよー」
ロリ雄「おおおはよう。ききき気をつけて渡るんだぞ?フヒヒ」
娘「今日も見守り、ありがとうございます」
娘「でも、ロリ雄おじさん、女の子だけ贔屓しすぎだよぉ」
ロリ雄「お、おはよう娘ちゃん。ああ相変わらずかわいいねぇ♪」
娘「は、恥ずかしいからそういうこと言うのやめてよぉ…」
ロリ雄「ははは。いってらっしゃい」
地蔵「ふぉっふぉっふぉ。ロリ雄の奴め、やりおったわい。娘の宿命を断ち切りおった」
地蔵「もっとも、女がピザ雄を受け入れなんだら、こうはならんかったんじゃがの」
地蔵「わしの判断も間違っておらなんだ」
地蔵「…え?なになに?お前がロリ雄を差し向けたんだろうって?」
地蔵「さあて、どうじゃったかの?」ポリポリ
地蔵「まあ、なんじゃ。ロリ雄の奴も子供たちを守るために体を鍛えておるし」
地蔵「…バツ一の母親とでも出会わせてやるかの」
地蔵「なんでバツ一かって?そりゃあ可愛い女の子が一緒のほうがロリ雄も嬉しかろう?」
地蔵「…さて、ではそろそろ道端にもどるかの?ふぉっふぉっふぉ」
地蔵「では皆の衆、さらばじゃ」
~【宿命解脱編】END~
255 : ◆doBINqA5W6 - 2011/07/18 02:05:12.37 FNevjVKto 222/223これで終わりです
おまけは本編を書き溜め中に思いつきました
これでこのSSは終わりにしたいと思います
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます
なお、過去の作品は↓に置いています
http://blog.livedoor.jp/ssdobin64/
気が向いた方はお立ち寄りください
それでは、おやすみなさいノシ
過去の作品
男「…へ?」 姉「だからさ」
http://ayamevip.com/archives/52297369.html
姉彼「・・・え?」 姉「だからさ」
(※『男「…へ?」 姉「だからさ」』の番外編)
http://ayamevip.com/archives/52297378.html
男「…へ?」 喪女「だから…」
http://ayamevip.com/archives/52299117.html
池面「…え?」 池カノ「だからぁ」
(※『男「…へ?」 喪女「だから…」』の番外編)
http://ayamevip.com/archives/52299137.html
男「…へ?」 従姉「だからね」
http://ayamevip.com/archives/52303042.html
男「…へ?」 幼女「だかぁね」
http://ayamevip.com/archives/52306724.html
男「…へ?」 童女「だからね」
http://ayamevip.com/archives/52309942.html
男「…へ?」 少女「だからね」
http://ayamevip.com/archives/52314010.html