前スレ
【ガルパン】×【古畑任三郎】 最後の一皿
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515646977/
http://ayamevip.com/archives/51836603.html
※今回はタイトル通りVSあんこうチームです。
※ランサーのように死に続ける役人の活躍にご期待ください。
※田村正和さんの俳優業引退は惜しいです…。
古畑『高い能力を持ってるのに何故か自己評価の低い人っていますよねえ?そういう人は自分を認めてくれた人物や自分の居場所を守るために思いがけない行動に出ることがあります。思い当たる人はご注意を。過信するのはいけませんが、高い能力を持ってる人は相応の自信を持ったほうがいいようです。そう、私みたいに…』
元スレ
【ガルパン】×【古畑任三郎】 VSあんこうチーム
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526775657/
大洗女子学園・戦車格納庫
沙織「いい?いくよ?」
麻子「ああ、思いっきりやってくれ」
沙織「えいっ!」
沙織、麻子を工具で殴打。
沙織「ごめんなさいっ!大丈夫!?」
麻子「ああ…、大丈夫だ…、医務室で診てもらってくる…」
同時刻・BARどん底
カトラス「いらっしゃい、できてるよ」
華「ええ、ありがとうございます」
カトラス「帰港の時に渡すから接岸したら船舶科のゲートに来て」
華「よろしくお願いします、あ、お銀さん、失礼します」
お銀「あれ?生徒会長どうしたの?」
カトラス「ああ、例のアレ貸して欲しいって」
ムラカミ「あんなもん何に使うんだ?」
カトラス「さあ、ストレス解消じゃない?ストレス溜まりそうな仕事だし」
秋山理髪店・優花里の部屋
優花里「西住殿、完成しました。試射も済ませてあります。狙って当てられる有効照準射程はやはり3mくらいだと思われます」
みほ「ありがとう、気をつけるね」
優花里「あの…西住殿、やっぱり私が…」
みほ「ごめん…、優花里さんだけじゃなくて他のみんなでも無理だと思う…。私じゃないと…。それに背負うのは私だけでいいから…」
優花里「西住殿…」
1週間後…
王大河「さあ、本日はここ大洗町からお送りいたします。我らが大洗女子学園と継続高校の交流戦、大洗女子学園は今回より副隊長が3年生の生徒会広報、河嶋桃さんから1年生、澤梓さんに交代した新体制になってからの初めての試合ですが…」
戦車格納庫
みほ「では、最初に決めておいた通りにいきましょう。私たちの未来が掛かった戦いになります」
華「はい、あの方はもう戦車道には関係ない方法で廃校を進めようとしています。今、あの方を排除しなければ私たちがいくら戦車道で勝利しても意味がないんです」
優花里「そんなことはさせません!」
麻子「そうだな」
沙織「華、情報は大丈夫なの?」
華「はい、新三郎や門下の人たちに協力してもらいました。今日あの家に来るのは間違いありません。それにあの時間までは確実に1人だけになるようにしてもらってます」
梓「西住隊長、そろそろお願いします」
みほ「はーい!」
梓「西住隊長、今日はよろしくお願いします!河嶋先輩の後を立派に継げるよう頑張ります!」
みほ「うん、こちらこそよろしくね」
みほ(梓ちゃんごめん…、副隊長として初めての試合なのにこんなことに利用してしまって…)
『両校、隊長、副隊長、礼!』
ミカ「やあ、今日はよろしく頼むよ」
みほ「こちらこそよろしくお願いします!」
アキ「あれ?前はそんな戦車帽なんて被ってなかったよね?イメチェン?」
みほ「あ…まあそんなところで…」
ミカ「…」
ミッコ「ミカ、どうしたの?」
ミカ「あ、いや、なんでもないよ」
みほ(気付かれたかな…、ミカさん、相変わらず鋭いなあ…)
『試合開始!』
大洗町某所・文科省の保養所
みほ(競泳水着着用・85式野外無線機所持)「沙織さん、図上C‐12から14に掛けて待ち伏せがいます。北側から背後を衝いてください」
辻「な…なんだ君は…どこから入って…」
みほ、辻を銃で射殺。
みほ(許してくれとか、悪く思うななんて言えませんよね…。でも、もうこうするしか…)
今泉「あっ古畑さんお疲れ様です。ちなみちゃんの復帰イベントどうでした?」
古畑「いやあ良かったねえ、でも大変だよ、主賓とは言えイベントのためにアメリカからわざわざ戻ってきてさあ。しかし便利な世の中になったねえ、アメリカにいながらウェブで日本向けに作品を電子出版出来るんだからさあ」
今泉「今度の作品は戦車道が題材なんですって?」
古畑「うん、あっちでも盛んだからね。で、事件のほうはどんな感じ?」
今泉「はい、いま説明します」
古畑「その前にこの建物は?」
今泉「ここは文科省の保養施設とのことです」
古畑「んー、立派な建物だねえ、スペイン風っていうの?広めのパティオまであってさあ、警察の保養所なんて警察OBの不愛想なおっさんが管理人やってるビジネスホテルを平屋にしたような薄暗いようなとこでさあ、たまに行ってみると公安の恐い人たちが裁判の証人を匿ってたりして全然保養になんなかったりするんだよねえ。就く職業を間違えたかなあ」
西園寺「古畑さん、こちらです。被害者は辻廉太さん、学園艦教育局の局長だそうです。今日は研修目的でここの使用を申請してたそうで、11時ごろに一緒に研修に参加するはずだった文科省の職員の方が遺体を発見しました」
古畑「その人には後で話を聞くとして、なにこの遺体?」
西園寺「はい、銃で撃たれてるようなんですが…」
古畑「んー、こりゃひどい。胸の真ん中に大穴が開いてるねえ、どんな銃を使ったのかなあ?」
西園寺「ショットガンのスラッグ弾か狩猟用の大口径ライフルでしょうか」
古畑「まあそれは鑑識の報告を待つとして、発見者の話を聞こうかな」
西園寺「あちらに待たせてあります。文科省の職員で被害者の直属の部下だそうで、間女プリンさんと仰います」
古畑「んー、なんか生活系まとめサイトみたいな名前だねえ」
古畑「えー、私、警視庁捜査一課から参りました古畑と申します。間女さんでいらっしゃいますね?ちょっとお話を伺いたいのですが…」
間女「はい…」
古畑「こちらにいらしたのは何時ごろですか?」
間女「11時ごろだったと思います…」
古畑「今日は研修だということでしたが…」
西園寺「辻さんとお2人だけだったんですか?他の方はいらっしゃらなかったんですか?」
間女「はい、研修というか、内々の打ち合わせのようなもので…」
西園寺「あの、ちょっとカバンの中を見せていただけますか?」
間女「いえ…それはちょっと…」
古畑「んー、お願いしますよぉ、秘密は守りますから」
間女「ああっ!待って!」
西園寺「うわぁ…、いやらしいデザインの下着が一杯…」
古畑「ねえ、このゴムでできたやつ、これ何に使うものなの?」
今泉「ああ、それはですね!」
古畑「あー、やっぱりいいよ。だいたいの想像はつくから。君、こういうことだけは詳しいねえ」
今泉「ありがとうございます!ほめられちゃった」
西園寺「…」
間女「わかりました!私と局長がそういう仲だったことは認めます!今日ここに来たのもそういう目的でした! でも私じゃありません!私、彼を殺してなんかいません!」
古畑「ええ、わかってますよ。その辺も含めてお話を聞かせてください、出来るだけ正直にお願いします」
間女「はい…」
古畑「えー、あなたが11時ごろここに来た時、玄関は施錠してありましたか?」
間女「はい、呼び鈴を押しても反応がなかったので私が預かってたスペアキーで…」
古畑「んー、西園寺くん、パティオのガラス戸は開いてたんだよねえ?」
西園寺「はい、ですが、敷地の両側の境界は目隠し塀と岩場に囲まれていて、パティオの側、即ち海の方から侵入するのは困難だと思われます」
今泉「いいなあ、ここ、プライベートビーチなんですね」
古畑「あのねえ今泉くん、日本の法律ではプライベートビーチってのは持てないの。私有できる海岸線は最大満潮時の喫水線までってなってて、普通は波打ち際よりずっと陸に入ったとこなの。司法に携わる者ならもうちょっと法律の勉強しときなさい」
西園寺「文科省の保養施設だからこそ出来ることですね」
今泉「玄関に鍵が掛かってて、海の方からも入れないなら、密室殺人ってことですか?」
古畑「いやあ、西園寺くん、海側から入れないっていうのはちょっと早急じゃないかなあ」
西園寺「でも、ボートか何かで海の方から来たとしたら、砂浜に足跡が残るはずですよ」
今泉「わかった!気球かグライダーを使って空を飛んで…」
西園寺「今泉さん、それはないと思いますが…」
古畑「…」
おでこぺチっ
古畑「おや?これ、剪定鋏ですねえ、生け花でもなさるんですか?」
間女「はい、五十鈴流の門下で」
古畑「こちらにいらっしゃる前にも?」
間女「はい、宗家の方に呼ばれて、ちょっと展示会の手伝いを…」
古畑「…」
古畑「んー、この建物って清掃は管理会社に委託されてます?清掃用具のロッカーに管理会社のロゴがありますけど」
間女「はい、そうですが…」
古畑「今泉くん、その会社に連絡して清掃用具の内訳を確認してもらって。おそらくほうきとモップが1つずつなくなってるはずだから」
西園寺「どういうことですか?」
古畑「やっぱり犯人は海から入って来たんだよ。きっとジェットスキーとかエンジン付きのゴムボートとか、砂浜に直接乗り上げることが出来るやつでね」
西園寺「そうか、犯人はビーチから上がって来て被害者を殺害した後、モップとほうきを使って後ずさりしながら自分の足跡を消してまた海に戻って行ったってことですか」
古畑「十中八九そうだろうねえ、おそらくモップもほうきも凶器の銃と一緒に道中で海に捨てたんだろうねえ」
西園寺「まるで戦車みたいですね」
古畑「そうだねえ、戦車が待ち伏せや防空警戒で隠れる時と同じやり方だねえ」
今泉「だったら海保と水上警察に連絡して周辺の船舶から目撃したのがいないか聞いてみましょう」
古畑「んー、それは無駄だと思うよぉ、だってほら、今日は大洗では戦車道の試合やってたんだよ?」
西園寺「そうですね、海への流れ弾を考慮して船舶の航行も制限されてたはずです」
古畑「たぶん陸を行くよりずっと人目につかなかったんじゃないの」
西園寺「犯人は戦車道の関係者かそれに近い人物かもしれませんね」
古畑「そうかもしれないねえ」
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今泉「あれ?古畑さんPCで何見てるんですか?」
古畑「んー、事件のあった日にやってた戦車道の試合。ちょっと気になることがあってさあ」
今泉「女の子目当てですか?古畑さんも若いなあ」
古畑「君と一緒にしないで」
おでこペチっ
王大河『本日の特別交流試合、軍配は我らが大洗女子学園に上がりました!今、表彰台上において、両校の隊長同士によるジャケットの交換が行われています!ではここで本日の試合経過をダイジェストで見てみましょう』
古畑「…」
王大河『当初は継続高校が有利に試合を運んでいましたが、試合の流れが変わったのはやはりここですね』
理事長『ええ、並みのチームでしたら頭から罠にはまるところだったんでしょうが、さすがは西住さんですね』
王大河『解説の児玉さんも仰る通り、あの待ち伏せを見破るとはやはり軍神の異名は伊達じゃないということですね』
理事長『はい、あそこで試合が終わってもおかしくありませんでしたよ』
古畑「…今泉くん、大洗女子学園の学園艦ってまだ停泊してたよねえ?ちょっと話を聞きに行くことになりそうだよ」
今泉「えっ?」
西園寺「古畑さん、解剖の結果、死亡推定時刻はあの日の午前10時から10時半の間とのことです」
古畑「じゃあ、あの、誰だっけ、第一発見者の人、あの人アリバイがあるんだ」
西園寺「はい、彼女の入館する2時間近く前に被害者は亡くなってたってことです」
古畑「凶器の銃の方はどうなってるの?」
西園寺「体内から摘出された弾丸ですが、口径と形状から97式7.7mm実包と思われます。旋条痕はなく、おそらくライフリングを持たない手製の銃から発砲されたと思われるとのことです」
古畑「なるほどねえ、横転弾だったんだ。あの遺体のひどい有様もうなずけるよ」
今泉「あの、それってどういう…」
西園寺「ライフリングのない銃身からライフル弾や拳銃弾を発射すると、弾が銃口を出てから回転せずに横転した状態で飛ぶんです。近距離だったら命中したときにひどい傷になりますよ」
古畑「だからねえ、もう少し勉強しなさいよ。君も一応は刑事なんだからさあ」
古畑「97式7.7mm実包といえば旧日本軍の戦車の車載機銃の弾薬だねえ」
西園寺「そうですね、旧日本軍の戦車を使っている学校といえば、有名なところでは千葉の知波単学園に、竪琴高校、あとは長野の盾無高校、それに…」
古畑「…大洗女子学園。今泉くん、やっぱり大洗の学園艦に行かないといけないみたいだねえ」
杏「西住ちゃん、警察の人が来てるんだけど」
みほ「警察…ですか?」
杏「うん、ほら、試合のあった日に例の文科省のおっさんが殺されたじゃん?あれで聞き込みに来たんだって。今、次期会長の五十鈴ちゃんと副会長の秋山ちゃんが相手してんだけど、戦車隊長の西住ちゃんの話も聞きたいってさ」
みほ「わかりました、すぐ行きます」
杏「うん、頼むよ。あたしも付き合うからさあ」
古畑「いやあ、どうもどうも。私、警視庁捜査一課から参りました古畑と申します」
優花里「あ、西住殿、この人たちが…」
古畑「ああ、次期会長の五十鈴さんと副会長の秋山さんからお話を伺ってました。現会長の角谷さんと戦車隊長の西住さんですね」
みほ「あの…、警察の人が一体…」
古畑「いやあ、先日の試合拝見しましたよ。素晴らしい試合でしたねえ、特にあの待ち伏せを見破って背後から逆に奇襲をかけたとことか」
杏「あの、刑事さん、要点を言ってもらえる?あたしも西住ちゃんもこう見えて忙しいんだよねえ」
古畑「いやあ申し訳ありません。んー、悪いクセだなあ、つい回りくどくなっちゃって。で、その試合のあった日なんですが、もうご存知だと思いますけど大洗町で殺人事件が起こりまして、被害者はみなさんもよくご存知の文科省の辻さんです。それでみなさんを疑ってるとかそういうんじゃありませんけど、まあ関係ありそうな人全員に聞いて廻ってるんですが、あの日の午前10時から11時ぐらいにかけて、みなさんどちらにおられました?」
みほ「あの…、その頃だったら私たちみんな試合中で…」
古畑「あーはいはい、そういえばその通りですよねぇ、愚問でした。どうもすみません」
優花里「私たちもそう言ったじゃないですか」
古畑「いやいや、本当は聞き込みなんて口実みたいなもんで、全国大会優勝校のみなさんに会ってみたくて。私、戦車道の試合見るのが好きなもんで、あの、小石川ちなみちゃんってご存知です?少女マンガ家の。私、彼女と懇意にしてるんですが、彼女、今度は戦車道を題材にした作品を執筆するそうで、なにかネタ作りに協力できたらなあって思ってましてぇ」
華「まあ!小石川ちなみ先生でしたら私も好きですわ。小学生の頃、よく沙織さんのところでカリマンタンの城とかアゼルバイジャンの夜は更けてとか読みました」
みほ「私も黒森峰にいたころ、逸見さんと読んだ憶えがあるな」
優花里「意外ですね、逸見殿って少女マンガ読むようなイメージないですけど」
古畑「そちらのお嬢さん…秋山さんはどうです?
優花里「私はマンガといえば小林源文とか滝沢聖峰とかが好きですね」
今泉「うわぁ…渋い趣味だなあ…」
西園寺「女子高生とは思えませんね…」
古畑「でも先日の試合でちょっと気になったことがありましてねえ。いえ、事件とは全然関係ないんですが、隊長の西住さんの乗っておられたⅣ号戦車なんですが、普段に比べて主砲の発射速度が遅かったように感じられたんですが、何かあったんですか?」
優花里「!」
華「!」
みほ「…」
杏「?」
優花里「い…いや、私ちょっと体調が悪かったもので西住殿にも砲手の五十鈴殿にも迷惑かけちゃって…」
華「そ…そうでしたね。もうお加減の方はよろしいんですか?」
みほ「ほ…本当に無理しないでね?」
古畑「いやあ、そうだったんですかあ、装填手の方が調子悪かったんですかあ。ま、そういうこともありますよねえ。じゃ、他の方にもお話を聞いて回らないといけないんでちょっと失礼します。みなさん頑張ってくださいねえ、応援してますから」
杏「…」
杏「ねえ、あの刑事さん何しに来たの?」
優花里「さあ、事件の捜査と言いながら試合のことばっかりで…」
華「なんだか要領を得ない感じでしたねえ」
みほ「…」
杏「ねえ西住ちゃん、秋山ちゃんと五十鈴ちゃんもだけど、あたしに何か隠してない?そりゃ、もう任期終わりかけだし、頼りないってのはわかるけど、あたしだって今のところはまだ会長なんだしさあ」
優花里「いや、そんな…ねえ?」
華「そうですよ!」
みほ「…」
杏「ならいいんだけどさあ…」
古畑「えー、副隊長の澤梓さんですね?私、警視庁捜査一課から参りました古畑と申します。ちょっとよろしいでしょうか」
梓「あの…、警察の人が何か…」
古畑「いえいえ、大したことじゃないんです。先日の試合の試合を見てて、ちょっと気になったことがありまして。あんこうチーム…、隊長車の搭乗員のみなさんや、副隊長車の搭乗員の方の何人かが戦車帽を被っておられたのが気になって。以前はあんなヘッドギアなんて大洗のみなさんは被っておられませんでしたよねえ、西住さんや秋山さんなんて更にゴーグルや防塵マスクまでしておられましたし」
梓「ああ、あれは試合の1週間くらい前だったかな、冷泉先輩が車内で頭をぶつけて怪我しちゃって」
あや「結構ひどい怪我だったんです、3針ほど縫ったそうで」
梓「それで、武部先輩や秋山先輩が以前から検討していた頭部の保護用装備の導入をあの試合から試験的にk始めるって…」
あゆみ「まあ試験配備なんで取りあえず希望者だけってことで」
桂利奈「優季ちゃんやあゆみちゃんは被らなかったよね」
優季「だってぇ、髪型乱れそうだったしぃ」
あゆみ「それに、デザインがちょっと…」
あや「旧日本軍の戦車帽だっけ?知波単で使ってるのと同じやつ」
桂利奈「あれ、絶対秋山先輩のチョイスだよねー」
優季「でもぉ、武部先輩が率先して被ってたのは意外だったよねぇ」
あや「そうだよねえ、ヘアスタイルとか帽子のデザインとか一番気にしそうなタイプなのに」
古畑「ゴーグルと防塵マスクもですか?」
梓「いえ、あれはⅣ号戦車のベンチレーター…換気扇が試合の直前になって急に故障しちゃって、発砲すると発射ガスが車内に立ち込めるようになってしまったそうで…」
あや「発射ガスって目に入ると痛いんですよ」
あゆみ「そうだよねえ、あと髪の毛や顔がベタベタになるし」
桂利奈「レオポンさんチームのナカジマ先輩たちも、試合の直前だったから修理が間に合わなくって」
古畑「そうだったんですかあ、いやあ、大変参考になりました。ありがとうございます、では失礼します」
桂利奈「ねえ、あの刑事さん何しにきたのかな?」
梓「さあ、何だったんだろ…」
古畑「えー、八九式中戦車の車長の磯辺典子さんですね?私、警視庁捜査一課から参りました古畑と申します。ちょっとお話を…」
典子「はあ…、何でしょうか…?」
古畑「いえねえ、戦車の車載機銃の弾薬についてちょっと…」
アヒルさんチーム一同「!!」
妙子「キャプテン!どうしましょう!」
忍「ああ…ついにこの時が…」
あけび「私たち、捕まっちゃうんですか?」
古畑「あの、どうなさいました?よければ話してください。悪いようにはしませんから」
典子「もうこうなったら正直に話すしかない。お上にもお慈悲はあるだろうし」
西園寺「時代劇じゃないんですから」
典子「あの…私たち、数を数えたりするのがどうも苦手で、試合や練習が終わった後で機関銃の弾が撃った数と残った数が全然合わないことがよくあって…」
古畑「んー、機銃弾や砲弾って何発使って何発残ったか連盟に報告しないといけないんですよねえ、どうしてたんですか?」
典子「はい…、私たちが困ってたのを見てたアリクイさんチームの猫田さんが見かねて弾を何発か都合してくれて…」
あけび「八九式の機銃は本来なら九一式6.5mmなんですが、ここのは弾薬や交換部品の互換性を考えてアリクイさんチームの三式と同じ九七式に換装してあって…」
古畑「三式中戦車の車長の猫田さんですね、私、警視庁捜査一課から参りました古畑と申します」
ねこにゃー「あちゃー、ついに来たか…。機銃の弾のことですかにゃ?」
古畑「はい、そのことなんですが」
ねこにゃー「あれは、磯辺さんがあんまり困ってたからボクも見かねて…」
古畑「磯辺さんに弾をわけてあげてから、ご自分の方はどうしてたんですか?」
ねこにゃー「それは、小山先輩に替わって主計を担当することになった武部さんと秋山さんに…」
ぴよたん「秋山さんが自分のコレクションの空薬莢からリローダーを使って再生してくれたのを…」
ももがー「でもでも!こんなのどこの学校でもやってることナリ!」
古畑「ええ、確かに仰る通りですねえ。いえ、ちょっとお話を聞きたかっただけですので。連盟には内緒にしときますから」
今泉「たいした収穫はありませんでしたね」
古畑「んー、そう?私には結構な成果があったんだけどねえ」
西園寺「でも、あの眼帯の子も言ってましたけど、連盟の検査に備えて員数外の弾を確保しておくなんてどこでもやってることですよ」
今泉「これからどうします?」
古畑「対戦相手だった継続高校に行ってみようか」
古畑「えー、警視庁捜査一課から参りました古畑と申します。継続高校の隊長のミカさんですね?」
ミカ「やあ、警察の人が来るなんてどんな風が吹いたのかな?」
アキ「ちょっとミカ!今度はなにやらかしたの!」
ミッコ「本当にすんません、ほら、ミカも謝って!」
ミカ「2人とも、私をなんだと思ってるのかな?」
古畑「いえ、今日はそういうのじゃなくて、先日の大洗女子学園との試合についてちょっとお話を伺いたくて」
アキ「お話って?」
古畑「なんでも結構です、何か変わったことがありませんでしたか?」
ミッコ「なんでもって言われてもなあ」
アキ「あの待ち伏せを見破られたのはショックだったけど、それ以外はこれといってないかな」
ミッコ「西住さんたちがイメチェンしてヘッドギアしてたくらいで」
ミカ「私は西住さんたちからなんだか嫌な風が吹いてたような気がしたけどなあ」
古畑「それはどういう意味でしょう?」
アキ「ミカ、なにバカなこと言ってんの、刑事さんたち困ってるじゃないの」
ミッコ「刑事さん、厨2病患者の戯言ですから聞き流してください」
ミカ「ひどいなあ…」
古畑「いえいえ、大変興味深いですねえ。詳しく聞かせてください」
ミカ「嫌な風…、というより何か強い違和感を感じたんだ。試合中も、試合が終わった後もね」
アキ「あの2人、なんか仲良しさんだね」
ミッコ「変わり者同士、気が合うんじゃないの?」
西園寺「…」
今泉「…」
古畑「いやあ、大変参考になりました。今日のところはこれで失礼します」
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今泉「ここも収穫はありませんでしたね」
古畑「いやいや、私以外にも違和感を感じている人がいたって確認できただけでもよかったよ」
ミカ「ああ、古畑さん。よかった、まだいてくれた」
古畑「ミカさん、どうしました?」
ミカ「さっきの違和感の正体に気付いたんだ。匂いだよ」
古畑「匂い?」
ミカ「ああ、表彰式でジャケットを交換した時、ほんの微かにだったけど、潮の匂いが…」
古畑「潮…ですか…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
西園寺「やっぱり古畑さんの睨んだ通りでしたよ、試合のあったあの日、競技本部から報道関係者向けに貸し出されてた試合経過確認用のタブレットが一つ紛失してます」
古畑「やっぱりねえ、恐らく西住さんはそれを見ながら戦車の中じゃなくて別の場所から指揮を執ってたんだよ。多分あの保養所、そして移動していた道中でね。流石だねえ、軍神の異名は伊達じゃないってことかあ。きっと冷泉さんの仕業だろうねえ、あの5人の中で試合開始前のアリバイがはっきりしないのは彼女だけだし、広報の武部さんが担当者の気を引いてる間に抜き取ったんだろうねえ」
西園寺「だとしたら今頃は他の証拠と一緒に海の底でしょうね」
古畑「だろうねえ、銃なんかと一緒にね」
今泉「それで、どうするんですか?」
古畑「もう一度学園艦に行くよ。ちょっと気になる情報があってね、学園艦の駐在所の巡査が、えーっと、佃島くんだっけ?」
西園寺「向島さんです」
古畑「そうそう彼、うん、もう覚えた。彼と懇意にしててね、いろいろと協力してくれたんだ、聞き込みとか」
西園寺「じゃあ早速…」
古畑「慌てることはないよ、まだしばらくは港に停泊してるから」
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古畑「いやあ西住さん、先日はどうも」
みほ「あの…、今日は一体…」
古畑「いえねえ、駐在所の巡査に呼ばれましてねえ。たいした用じゃないんです。良ければちょっと話しません? 西住さんみたいな有名な選手とお話してみたかったんですよ」
みほ「はあ…」
古畑「それにしても、こう言ったら失礼かもしれませんが、西住さんって戦車道の選手で指揮官としては変わってるというか、独特な感じですねえ。普段の穏やかな感じの時と戦車に乗って指揮を執ってる時と別人のようです。まあ私も刑事としては変わってるってよく言われるんですが」
みほ「それ、優花里さんや沙織さんに言われたことがあります。戦車に乗ると人が変わるって」
古畑「私は普段の控え目で謙虚な人柄の方が素の西住さんだと思いますよ。まあ全く付き合いのない私みたいな他人の言うことですけど」
みほ「お姉ちゃ…、姉に言われたんですが、もっと自信を持った方がいいって…、お前は自分で思ってるよりずっと強い人間だって…。でもとてもそう思えなくって、それで逸見さんなんかともうまくいかなくなっちゃって…」
古畑「『鉄の掟、鋼の心』ってわけですか…」
みほ「私、なに言ってんだろ…。古畑さんって聞き上手なんですね」
古畑「いやあ、そうかなあ。でも、私もお姉さんと同意見ですよ、あなたは強い人ですし、もっと自信を持つべきです。まあ過信したらまずいですけどねえ」
みほ「古畑さん、あなたが私たちを疑ってるのはわかってます。疑ってる容疑者を励ますなんて、ご自分で仰った通り、変わった刑事さんなんですね」
古畑「ええ、自分でもそう思います」
みほ「あの…、なんて言ったらいいのかわからないんですが、その…、がんばってください!」
古畑「ええ、お互いに。西住さん、あなたやっぱり変わってますねえ、面白い人だ」
大洗学園艦・艦底部
西園寺「大洗女子学園にこんな荒れ果てた場所があったなんて意外ですね」
古畑「んー、そうだねえ、『大洗のヨハネスブルク』とはよく言ったものだねえ」
今泉「あの…、なんかさっきから滅茶苦茶睨まれてるんですけど…」
西園寺「ちょっと今泉さん!ダメですよ拳銃なんて取り出しちゃ!」
古畑「何やってんの君は。危ないからしまっときなさい」
おでこペチっ
今泉「だって、怖くて…」
古畑「私を見なさいよ、拳銃どころか警察手帳すら持ち歩いたことないんだから」
西園寺「古畑さん、それはそれで問題です。服務規程違反ですよ」
古畑「んー、固いこと言わないでよ、小暮さんだって『君に拳銃は必要ない』って言ってくれたんだからさぁ」
西園寺「でも警察手帳は持ち歩いた方がいいですよ、身分証明に必要ですし」
古畑「服が型崩れするのがいやなんだよねえ。あ、着いたみたいだよ」
西園寺「BARどん底…、ここですね」
古畑「はーい、ちょっとお邪魔しますよ」
フリント「2人の恋は~♪終わったのね~♪別れを告げる~♪男の背中~♪…って誰?」
ラム「うほっ、なんか変なのが来たぜ」
ムラカミ「なんだぁ?おっさんたち何者だ?」
カトラス「店に入ったらまず注文しな」
古畑「すいませんねえ、今、勤務中なもんですから」
古畑「あ、申し遅れました、私、警視庁捜査一課から参りました古畑と申します」
ラム「わぁぁぁっ!ついに警察の人が来たぁぁぁっ!」
ムラカミ「手入れか!?ガサ入れに来たのか!?」
お銀「お前らうろたえるな!」
フリント「あっ親分!」
お銀「警察の人が何の用だい?あたしらの方は何の用もないけどね」
古畑「いえねえ、今日は家宅捜索とかそういうのじゃなくて、ちょっとお話を伺いに来ただけで」
古畑「いえねえ、試合のあった日の1週間くらい前に、五十鈴さんがここに来たって聞いたものですから、何の用だったのかなあって思いましてねえ。それでちょっとお話をと思いまして」
お銀「あたしらに仲間を売れって言うの?」
古畑「いや、そんな大げさな…」
ラム「ただじゃ教えらんない。あたいらと勝負して勝ったら教えてあげる」
西園寺「なんか面倒なことになってきましたね」
お銀「キャプテンドレイクも裸足で逃げ出す地獄のノンアルコールペッパーラム、ハバネロクラブ。こいつの呑み比べで勝負よ!」
古畑「んー、こういうの苦手なんだよねえ。今泉くん、お願い」
今泉「えっ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今泉「うわっ!なんだこれ辛っ!」
お銀「なんだい、最初の一杯でもうおしまい?刑事っていっても大したことないわね」
古畑「もう、何やってるの、だらしないなあ。西園寺くん、手伝ってあげて。お姉さん、それ、ボトルごとください」
古畑「西園寺くん、両腕を押さえてて。はーい、飲んで飲んで」
西園寺「今泉さん申し訳ありません、失礼します」
今泉「ちょ…やめ…ぐわぁぁぁっ!辛ぁぁぁっ!」
古畑「もう、汚いなあ。ほら飲んで飲んで」
今泉「ひぃぃぃっ!がぁぁぁっ!」
お銀「うわぁ…うわぁ…」
ムラカミ「あんたら鬼だな…」
フリント「やっぱり警察の人って怖いわぁ…」
カトラス「待って、知ってること教えてあげるからその人いじめるのやめてあげて」
古畑「え?いいんですか?すみませんねえ」
カトラス「確かにあの日、生徒会長がジェットスキーを借りに来たけどそれがなんだっての?ラムやムラカミと違ってちゃんと小型船舶免許持ってたよ?免許証も見せてもらったし」
古畑「んー、無免許で乗ってらっしゃるんですか?」
ムラカミ「バカ!警察相手に何言ってんだよ!」
カトラス「あ、ごめん」
古畑「んー、まあ聞かなかったことにしましょう。海事法違反は海保の管轄なんでねえ。いやあ、お手間を取らせました。今日はこれで失礼します。それにしても、いい声してらっしゃいますねえ。今度ゆっくり歌を聞かせてください」
フリント「ありがとねー♪、サントワマミー♪悲しくてー♪目の前がー♪暗くなるー♪」
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古畑「んー、また一つピースが埋まったねえ」
西園寺「でもこれも状況証拠ですよ」
古畑「それなんだよねえ。…って今泉くん、いつまでふらついてんの。しゃんとしなさいって」
今泉「うぐぐ…おえっ…」
西園寺「…」
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古畑「あれ?芳賀くんじゃないの、今泉くんはどうしたの?」
芳賀「今泉さんだったら当分の間お休みです。持病の痔が再発して入院することになったそうで」
西園寺「なんでも今朝、トイレの中で悶絶していたところを同居しているおばあさんに発見されて、そのまま救急車で病院に搬送されたそうです」
古畑「もう何やってんのあのハゲは。本当に使えないんだから」
西園寺「…」
芳賀「…」
古畑「それにしても、だいぶ証拠が固まってきたねえ」
芳賀「でも、西園寺さんとも話したんですがどれも状況証拠ですよ。それらを繋ぐ物証がないと」
古畑「んー、何か見落としてるような気がするんだよねえ」
西園寺「普通の事件だったら、被害者が銃で撃たれてるのなら容疑者の服の発射残渣を調べるって手もあるんでしょうが、時間が経ってる上に容疑者全員が戦車に乗ってますからね」
古畑「西園寺くん、君、今なんて言った?」
西園寺「いや、被害者が銃で撃たれてるなら容疑者の発射残渣を…」
古畑「んー、んん…お手柄。芳賀くん、悪いけど蟹丸さんのとこ行って家宅捜索令状を取ってきてもらって。大至急」
西園寺「また大洗に行くんですか?」
古畑「いや、違うよ。これから行くのは継続高校だよ」
古畑『えー、軍神の異名をとる天才戦術家の彼女でしたが、犯罪となるとやはり勝手が違うようです。一つだけ大きなミスを犯していました。続きは解決編で。古畑任三郎でした』
次回解決編に続く。
古畑「やあ西住さん、お呼び立てして申し訳ありません、どうしても伝えないといけないことがありまして」
みほ「伝えたいこと?」
古畑「ええ、辻さんを殺害したのはあなた…いえ、あなたたち5人ですね?」
みほ「…」
古畑「実行犯は西住さん、あなた。そしてあとの4人が共犯ですね?」
みほ「あの…あの時間、私たち5人は戦車に乗ってたんです。私は指揮を執ってました。ご存知ですよね?」
古畑「ええ、確かにあの時間、あなたは指揮を執っていました。でもそれは戦車の中ではなく、現場となったあの保養所と、その行き帰りの道中だったんです。あなたは戦車に乗っていなかった、最初から最後までね」
古畑「ちょっと調べてみたんです、試合の始まる前、あなたたちのⅣ号戦車が停まってた場所、ちょうど演習場の排水溝の真上でした。試合が終わって戻って来た場所も同様です。あなたは搭乗すると同時に床下の非常脱出ハッチを使って溝の中に隠れた。そして溝の中を通って格納庫に入り、人がいなくなったところを見計らってあの保養所に向かった」
古畑「あの伏線の張り方は見事でした。冷泉さんはあんな怪我をしてまでねえ。あなたが抜け出している間、車長用ハッチから顔を出していたのはあなたに変装した秋山さんだったんです。秋山さんのお宅は理髪店です、道具も材料も揃ってるからあなたの髪型に似せたカツラを作ることは簡単だったはずです。更にその上から戦車帽とゴーグルに防塵マスクまでしてるんです、お2人は背格好も同じくらいですからよほど近づいて見ないと別人とわからないでしょう。発射速度が遅くなるわけです、秋山さんがあなたの振りをして顔を出してる間、五十鈴さんが1人で砲手と装填手の二役をやってたんだから」
古畑「情報収集と辻さんがあの時間に1人になるように仕向けたのが五十鈴さん、手製銃の制作と弾薬の調達、そしてあなたの替え玉が秋山さん、当日の準備と様々な工作が武部さんと冷泉さん、違いますか?」
みほ「…でも、それって全部古畑さんの憶測ですよね?その…証拠って…」
古畑「ええ、ちゃんとありますよ、動かぬ証拠がね。継続高校に行ってきました。そこでミカさんの物と交換されたあなたのパンツァージャケットを押収しました。それで、硝煙反応を調べたんですよ」
みほ「硝煙反応?あの…被害者の人が銃で撃たれてるからですか?男の人で動いてる戦車に乗ったことのある人ってあんまりいないからだと思いますけど、戦車の中って主砲や機銃の発射ガスが車内に立ち込めて搭乗員はみんな全身に硝煙を浴びるんです。それに、あの時Ⅳ号はベンチレーターが故障してて…あっ…」
古畑「そうです、もうお分かりですね?あなたの着ていたジャケットからは硝煙反応が一切検出されなかったんです。これはどう説明します?」
みほ「…」
古畑「この物証と、数々の状況証拠を併せると、あなたたちを逮捕するに足る十分な容疑が固まったと思います。通常ならこの証拠を上の方に提出、逮捕状を発行してもらって逮捕という流れになりますが、私としては出来ればそれはやりたくありません。容疑が完全に固まる前にご自分から全てを話せば、逮捕されるよりずっと罪が軽くなると思います。どうでしょう、自供してもらえませんか?今ならまだ私の力で自首って扱いに出来ると思います」
みほ「…わかりました」
古畑「ありがとうございます」
古畑「あなたを怪しいと感じたのはあの試合経過を見てからです。継続高校のみなさんの待ち伏せは完璧でした。『戦車道にまぐれなし』というのはあなたのお母さまの言葉ですが、偶然でなかったとしたらどうやってあれを見破ったのか?」
古畑「岡目八目とはよく言ったものですねえ、あなたがあの待ち伏せを見破ったのは、試合経過確認用のタブレットを使ってゲームの様に外から状況をコントロールしていたからです。おそらく苦渋の選択だったんでしょうねえ、待ち伏せがあることを知らせたら、もしかしたら私の様な人間にタブレットを使っていることがバレるかもしれない。だが、あそこで試合が終わってしまったら今度はあなたが戦車に乗っていないことがバレてしまう」
みほ「ええ、確かにそれもありました。でも、あの試合、梓ちゃんが副隊長になって初めての試合だったんです…。どうしても勝たせてあげたくて…」
みほ「私、ずっと周りに流されるばっかりだったんです。ここは…大洗はそんな私が勝ち取ることが出来た初めての居場所だったんです。どうしても守りたくて…。でも、これだけは言わせてください。全て隊長であり車長である私の責任です。あとの4人は何も知りませんし、何もやってません」
古畑「んー、それはどうでしょう?さすがにその言い分は通らないとおもいますよ?」
みほ「いいえ、通してみせます。私、こう見えても結構強引なところあるんです」
古畑「『戦車に通れない路はない、戦車は火砕流の中だって進む』ですか…。まあいいでしょう、お手並み拝見といきましょう。では参りましょうか」
みほ「はい。……パンツァー・フォー」
終
63 : ◆jiNYtuUbgE - 2018/07/22 18:44:45.21 Orfs9SC30 59/59以上です。1クール分くらいできたので次回で最終回、他の人に先を越されたけどVSまほを予定してます。