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夢野「大人の事情とは生着替えじゃったか」
茶柱「それは目隠しが必要な事情ですね」
最原「…おい、白銀つむぎ」
江ノ島53世「ノンノン!アタシの名は江ノ島盾子53世!!」
江ノ島53世「白銀つむぎなんてだっさい名前とキャラは忘れちゃってー。このキャラは嘘だからさ!」
江ノ島53世「どうせいないだろうけど、彼女のファンはご愁傷様でしたー」
キーボ「…あの、何故ボクの方を見て言うんですか?ボクは別に白銀さんのファンになったつもりはないのですが…」
江ノ島53世「そんな…ハッキリ言わなくてもいいじゃないですか…」
東条「…これは、一体どういうつもりなのかしら?」
江ノ島53世「え?何が?」
東条「私達をおちょくっているつもりかしら?」
江ノ島53世「おちょくるっていうか、正体を表しただけだけど?」
江ノ島53世「白銀つむぎはアタシが演じてただけの嘘の存在…。首謀者であるアタシの隠れ蓑…」
江ノ島53世「うぷぷ…それも知らずに赤松さん茶柱さん達ったら庇ってくれちゃって、笑っちゃうよねー」
江ノ島53世「笑っちゃおーっと!あはははははははははっ!」
赤松「白銀さん……」
茶柱「ほ、本当に白銀さんがこのコロシアイを企んだ首謀者の正体なのですか…?」
最原(彼女の正体は小松未可子のハズ…。さっきの反応から見て多分それは本当だ)
最原(江ノ島盾子ってなんなんだ…?)
春川「ていうか江ノ島盾子って誰なの」
真宮寺「彼女が二重人格という可能性もあると思うヨ。白銀つむぎが普段表に出ている大人しい人格で、この江ノ島盾子という人格が凶暴な人格…とか」
江ノ島53世「ブッブー!二重人格じゃありませーん!そんなことしたら腐川さんと丸々設定が被っちゃうじゃん!設定被りとかマジ絶望的なんですけど!!」
江ノ島53世「本当は…こんなハズじゃなかったんですよ…」
江ノ島53世「もう少し貴方方を絶望に貶めるべく、長期的に有る事無い事様々仕込ませていただくつもりだったのですが、思ったより優秀な方が多かったようで、江ノ島盾子に関する記憶に辿り着く前に追い詰められてしまいましたね。絶望的です」
最原「……お前が何を言ってるのかよくわからないけど、追い詰められたことを認めるんだな?」
江ノ島53世「おう!男らしく認めるぜ!!」
最原「だったら今すぐ僕達を出口に案内しろ。もうこのコロシアイゲームは終わりだ」
江ノ島53世「え〜?別に案内してもいいんだけどぉ、このままだとキミたちはここを出た後困ることが色々あるんだよぉ〜?先に色々話を聞いた方がいいと思うよぉ〜?」
最原「お前の話なんて…」
東条「いえ、聞きましょう。時間はまだたっぷりあるのだし、本人が首謀者だと認めている限りこの事実は覆らない…。私達が不利になることはきっとないと思うわ」
天海「俺も…、首謀者には訊きたいことがあるんで、このまま話し合いを続行してくれたら嬉しいんすけど」
百田「いや、こんなとこはとっとと出ようぜ」
夢野「あやつがいきなりウチ達に襲い掛かってくるとかいうわけでもないなら、ウチはこのまま話し合っても構わんぞ」
茶柱「夢野さんがそうおっしゃるのなら、転子もこのまま話し合い続行でも構いませんよ」
ゴン太「ゴン太も気になるかな…。このまま外に出てゴン太達が困ることって何なんだろう…」
星「相手はただのコスプレイヤーだ。このままここで話し合いを続けても何もビビることはねーと思うぞ」
アンジー「神さまもつむぎの話が気になるって言ってるよー」
江ノ島53世「だーかーらー!江ノ島盾子53世って言ってるじゃない!白銀つむぎのことはもう忘れてってば!」
真宮寺「僕としても彼女の存在は興味深いヨ…」
春川「赤松はどうする?」
赤松「えっと…、うん。私もやっぱりこのままじゃ終われないかな…」
春川「そう。じゃあ私も白銀の話しを聞くよ」
キーボ「ボクの内なる声も、彼女の話を聞くべきだと言っています」
王馬「内なる声?」
キーボ「ええ。ボクが選択に悩んだ時に体の奥から聞こえてくる声のことです」
王馬「近くの変な電波でも拾ってるだけじゃないの?」
キーボ「無線じゃないですよ!」
入間「スヤァ…」
東条「…多数決の結果、このまましばらく彼女の話を聞いてみるということでいいわね?」
最原「まあ…別にいいよ」
百田「…チッ、仕方ねえな…」
東条「それでは……江ノ島さん、話をどうぞ」
江ノ島53世「ど・れ・に・つ・い・て・は・な・そ・う・か・な?」
江ノ島53世「モ・ノ・ク・マ・さ・ま・の・言・う・と・お・り」
江ノ島53世「グングニルが降ってザクザクザクー!」
夢野「聞いたことがないパターンの神さまの言うとおりじゃな…」
茶柱「どこの地方のものでしょうか…」
東条「オリジナルだと思うわ」
江ノ島53世「はい決まった!まずは超高校級狩りについて話すわね!」
ゴン太「そ、そういえばそういうこともあったね…」
星「確か…、あれから俺達は逃げてたんだったな」
茶柱「よくは思い出せませんが、そうでしたね…」
江ノ島53世「2XXX年…、人類は核の炎に包まれた…」
最原「は?」
江ノ島53世「っていうのは嘘だけど、なんやかんやあって人類は滅びかけたのでした!」
江ノ島53世「まあそんな時、あんたら超高校級は人類の希望となり、種の保存の為宇宙船に乗り込んでヤバイ地球から脱出したのです!」
最原「……話にならないな」
江ノ島53世「あら、悪いわね。オマエラのようなザコドモには私様の高尚な説明だとついてこられないようね!」
江ノ島53世「そこでこちらを用意しました。思い出しライトです」テーブルニドンッ!
江ノ島53世「百聞は一見にしかず…、そちらで見ていただく方が迅速にご理解いただけるかと」
最原(思い出しライトか…。確か、これでみんなは超高校級狩りのことを思い出したとか言ってたんだよな…)
最原(でもライトを浴びなかった僕は、超高校級狩りの話を東条さんから聞いても全く思い出せなかった…)
最原(…確かに、この下手くそな説明を聞くより見た方が早いとは思うけど…)
最原(…………どうする?使った方がいいのか?)
思い出しライトを
①使う
②使わない
↓1
442 : 以下、名... - 2017/07/10 22:08:55.00 bQ1GzY2Io 946/16551
最原「……仕方ないね、使ってみようか」
王馬「本気で言ってるの?」
最原「あの下手くそな説明をずっと聞いてたら理解するまでに日が暮れるよ」
王馬「いやでも…」
東条「大丈夫よ。以前にもあれと同型のライトを使用したけれど、特に体に異常は出ていないわ」
江ノ島53世「人体に影響なんて出ないから、安心して使っちゃってよ!」サングラス装備
百田「終一、さっさと点けてくれや」
最原「うん、わかったよ」カチッ
最原(点けた途端部屋の中がまばゆい光に包まれた)
最原(そして…、僕達は地球に降り注ぐ隕石のこと、不治のウイルスのこと、ゴフェル計画に選ばれたものの一度は辞退し超高校級狩りに追いかけられたこと、結局ゴフェル計画にのり地球を離れたことを、全て思い出した…)
全員「…………」
江ノ島53世「うぷぷ、どうだった?」サングラス外し
赤松「…な、なんなのこれ…!?」
江ノ島53世「なんなのも何もないでしょ。あんたらが思い出したそれが全てなのよ!」
江ノ島53世「夢じゃありません……!現実です……!これが現実…!」
ゴン太「こ、これ本当なのかな…!?本当に人類は滅びちゃったのかな…!?」
夢野「本当に決まっとるじゃろう…!だって…、それはウチらが1番よくわかっておるじゃろう…!」
茶柱「転子の師匠や両親はどうなってしまったのでしょうか…。転子の記憶では死んだ記憶はありませんでしたが…」
江ノ島53世「さあ、死んだんじゃない?」
茶柱「そんな…!」
夢野「ウチの師匠もか!?」
江ノ島53世「そんなこといちいち知らないわよ。でもあんたらの大切な家族や友達はどうせみーんな仲良く死んじゃってると思うわよ」
最原「……まだわからないことがある」
最原「お前はどうしてこんなコロシアイを始めたんだ?お前も一応ゴフェル計画のメンバーに選ばれた1人だったんだろう?」
江ノ島53世「人類の最後の生き残りの16人がコロシアイなんて、最っ高に絶望的だからに決まってるじゃない!」
最原「……」
赤松「意味分かんないよ!こんなことして何になるっていうの!?」
江ノ島53世「別にあんたらに理解してもらおうなんて思ってないから、そのままでいいわよ」
春川「…ねえ、何でこのタイミングで全部記憶を返してくれたわけ?」
江ノ島53世「外に出ようとするあんたらの希望を打ち砕いてあげようかと思ってね」
江ノ島53世「お陰でオマエラのとびっきりの絶望顔が見れて私様は満足よ!まあ一部、絶望顔見せてくれない人も居るけどね!」
アンジー「ねえ外ってどうなってるのー?新しい住める星に着いたからアンジー達は目覚めたのかなー?」
江ノ島53世「どう思う?外出てみる?実はまだ外は宇宙空間でした!とかなったらあんたらは即効死んじゃうけど大丈夫?出る?アタシ的には全然いいんだけどね?」
アンジー「んー…、神さま的には外出ても大丈夫だって言ってるんだけどねー…」
星「やめとけ夜長。取り返しのつかないことになるぞ」
最原「おい江ノ島盾子53世。お前が僕達から奪った記憶はこれで全部か?」
江ノ島53世「ええ、これで全部かと思われます」
最原「そうか」
江ノ島53世「……ねえ最原、あんた何考えてるの?」
江ノ島53世「もう答えは出揃ってるんだよ?他に何を考えることがあるの?」
江ノ島53世「さっさとあんたも絶望顔見せなさいよ!ねえ!」
最原「ちょっと黙ってろよ」
江ノ島53世「ねぇ最原クンってちょっと感じ悪くなぁ〜い?そんなんだからモテないんだよぉ〜?」
春川「……思ったんだけどさ、私達はもう使命を思い出したんだし、あとはコイツを宇宙空間だかなんだか知らないけど外に放り出せば、もう後は平穏無事に過ごせるんじゃない?」
真宮寺「春川さん、こんな人でも数少ない人類の生き残りなんだヨ。その意見には賛成しかねるヨ」
百田「おいテメーら!なんでもうこの事を事実として受け止めてるんだよ!?」
百田「おかしいだろうが色々と!」
茶柱「な、何かおかしなことがありましたかね…?全部事実だと思うのですが…」
百田「これが事実だとすると、俺達がマザーを調べてわかったダンガンロンパって何だったんだよって話になんだよ」
天海「俺の記憶が未だにスカスカなのも気になるんすよね。今思い出した記憶の時系列も正直よくわかんないことになってて、ちょっと頭の中ゴチャゴチャになってるんすよね」
最原「思い出した記憶は確かにどれも僕が体験してきたものなんだけどさ…、デスロードの出口の先の状況や厨房の食材、そしてこの僕ら自身にも疑問が残るんだよね」
ゴン太「えっと…、最原くんはデスロードの出口の先に行ったの…?」
最原「デスロードの出口の先に行ったのは僕じゃなくてキーボくんなんだけどね。僕は彼の撮った写真を見させてもらって話を聞いただけなんだけど…」
キーボ「そ、そういえばあの出口のハリボテは何だったんでしょうね…?」
最原「……もし仮にこの記憶が首謀者の仕組んだ嘘の記憶だとすると、この記憶に信憑性を持たせる為のセットなんじゃないかな?」
江ノ島53世「あの記憶が嘘だと?ハッ!愚かなザコドモですわね!」
江ノ島53世「貴方方が事実だと認めてしまっている以上、この記憶は事実以外の何者でもありません。捏造の記憶を貴方方に事実と認めさせるのは現代の科学では困難です」
最原「あくまで仮定の話なんだけど、話に割りいって否定するなんてやっぱりちょっと怪しいよね」
江ノ島53世「そうやって小さな希望に縋りつこうとするなんて…凄く絶望的に醜いですよ…」
夢野「のう最原よ。先ほど言っておったウチら自身にも疑問が残るとはどういうことなんじゃ?」
最原「ゴフェル計画の目的をよく考えてみてよ。選ばれたこのメンバーに疑問を感じることはない?」
夢野「んあ?女子8人、男子7人、ロボ1体で男女比のバランスもおかしくないし、種の保存には問題ないのではないか?」
最原「いや、どう考えても少なすぎるんだよ」
夢野「根気よく子作りしてればその内増えるじゃろ?」
最原「そういう問題でもないんだよね。2世代目はいいとしても、次の世代、その次の世代では血のつながりが近くなって、奇形児が生まれてくる確率も高くなってしまうからさ…」
王馬「そう。だから本気で人の種の保存を考えているなら、男はEXILEを1グループ分、女はAKBを1グループ分必要になるんだよ」
茶柱「そ、そんなに必要なんですか!?」
ゴン太「EXILEって何人グループなの?ゴン太バカだからわからないんだ…!」
王馬「えーっと確か今は19人とかじゃなかったっけ」
最原「人数もそうだけど、国籍も気になるよね。アンジーさんはよくわからないけど、ゴフェル計画っていかにも世界的な計画っぽいのに、どうして僕ら日本人ばかりなんだろう」
王馬「アンジーちゃんも夜長って名字てきに日系ハーフっぽいし、選抜メンバーは実質全員日本人だよね」
東条「それぞれの国でゴフェル計画を行っているという可能性もあるんじゃないかしら?」
最原「分かれる意味がないよ。さっきも言ったけど、とにかく人数が必要なんだよこの計画は」
春川「人数が少ないって言うけど、たまたまこの人数しかウイルスに抗体を持った人間が居なかったとかじゃないの?」
最原「世界中で日本人の15人(+ロボ1体)の高校生だけって不自然だよ。国籍もそうだけど、他の年代が居ても良いはずだよ」
赤松「た、確かに…」
星「なるほどな。確かにこの話はおかしいことになる」
星「だがこれは事実だ。俺達のこの記憶が何よりの証明だろ」
江ノ島53世「そうそう!事実は小説より奇なりってね!」
最原「…そもそもこの記憶って本物なの?」
真宮寺「…ゴフェル計画は理論的には疑わしく、僕らが思い出したこの記憶も白銀さんが用意した思い出しライトによるもの…」
真宮寺「確かに、充分疑わしく思えてしまうよネ…」
江ノ島53世「その記憶が嘘っていう証拠はないでしょ?」
最原「本物っていう証拠もないんだよ」
江ノ島53世「あのさぁ…、自分の記憶まで疑っちゃったらオマエラは一体何を信じるの?」
最原「お前やモノクマ達に絶対に弄られてない範囲の記憶や、感じたことは信じられるよ」
最原「さっきお前は、捏造の記憶を僕らに事実と認めさせるのは現代の科学では困難だと言ったけど、ゴフェル計画が事実にしろ嘘にしろ思い出しライトを使わせるまで、それまでの外の世界でのここに来るに至った直前の記憶を綺麗に消している」
最原「そんなピンポイントに記憶喪失をさせ、その後にゴフェル計画の壮大な記憶を一瞬で思い出させるなんて、充分オーバーテクノロジーだよ」
最原「だから、嘘の記憶を植え付けることだって不可能じゃないと思う」
江ノ島53世「虚無の推理ですね。貴方は『人類は滅びていない』と思いたいがために、自分に暗示をかけながら願望でそのようなことを言っている様に思われます」
最原「僕の推理が虚無だって言うなら、人類が本当に滅びたっていう証拠を見せろよ」
最原「言っておくがデスロードの出口がハリボテだってことはキーボくんが写真に撮って証明済みだし、お前の用意した思い出しライトなんてもう食らう気にはなれないから、それ以外の物的証拠を提示しろよ」
江ノ島53世「んー、それ以外の証拠ねぇ…」
最原「証拠が無いなら、思い出しライトで思い出した記憶は全て嘘ってことで処理するよ」
江ノ島53世「……やるわね人間!いいだろう!ゴフェル計画の穴をそこまで綺麗に指摘されては私様もそれは嘘の記憶だと認めざるをえないわ!」
茶柱「な…!あれが嘘の記憶なんですか…!?」
江ノ島53世「おう!」
夢野「ど、どこまでなんじゃ!?どこからどこまでが嘘なんじゃ!?」
江ノ島53世「ぜーんぶ嘘なんだよー!!」
天海「……やけにあっさりと認めるんすね」
江ノ島53世「綺麗に痛いとこ突かれちゃったし、なんかもうゴフェル計画ネタは飽きちゃったんだよねー」
百田「つーことは…」
江ノ島53世「それに、あんたらを絶望に叩き落とせるネタならまだあるからね!」
東条「まだ私達を惑わせる気なのね」
江ノ島53世「惑わせるなんてとんでもない!今からアタシが言うことは事実よ」
江ノ島53世「あのねー、百田くんはもうすぐ死んじゃいまーす!!」
百田「…………」
赤松「……な、なにそれ…」
最原「……どういうことだ?」
東条「白銀さんが攻撃してくるかもしれないから、貴方を守るわね」百田の側に行く
天海「昨晩の約束的にはエグイサルは来ないとは思うっすけど、一応警戒してくださいっす」
江ノ島53世「別に攻撃するとかじゃないから、それは安心していいよ?」
赤松「じゃあどういうことなの!?」
江ノ島53世「百田くんは病気なんだよぉ〜!コロシアイが始まる間に死に至るウイルスを体内に注射したからぁ、そろそろそれがタイムリミットなんだよねぇ〜!」
春川「百田、そうなの?」
百田「いや、そいつのハッタリだ!そいつの言うことなんて信用すんな!!」
赤松「そ、そうだよね…?急にそんな、死に至るウイルスなんて…」
江ノ島53世「そんなの本人の強がりに決まってるじゃない。優しい嘘ってやつだよね」
江ノ島53世「うっうっ、泣かせてくれるじゃないの…!」
百田「くだらねえ!ゴフェル計画が丸々嘘ってことがわかった以上、マジでこんなところにいつまでも居る理由なんてねーだろ!テメーらさっさと外出るぞ!」
百田「おい白銀!さっさと出口に案内しやがれってんだ!」
王馬「何急に焦ってんの?」
百田「焦ってなんかねーよ!このままこいつの嘘に付きやってやる必要なんてねーだろ」
赤松「そ、そうだよね!それにもし百田くんが病気だったとしても、病院に行けば…」
江ノ島53世「残念でしたー!病院でもなんともなりませーん!!」
江ノ島53世「な・ぜ・な・ら!それは百田くんの為に特別に用意したウイルスなので、そのウイルスを殺せる薬なんかこの世に出回ってないからなのでーす!」
東条「たった1人の為にそんなものを作るとは思えないけど…」
江ノ島53世「アタシの用意した思い出しライトのオーバーテクノロジーっぷりを忘れたの?可能だしできちゃったのよ、そんなウイルスが」
江ノ島53世「そして実際にウイルスを入れちゃったのよ、アンタの体に」ビシッ
江ノ島53世「あ、絶望しちゃった?ウイルスを殺す薬がこの世に出回ってないって絶望しちゃった??」
江ノ島53世「でも安心して!アタシもそこまで鬼じゃないから!」
江ノ島53世「薬はこの世に出回ってないってだけで、ちゃーんと作ってはいるんだよ、治療薬!」
百田「!?」
江ノ島53世「欲しい?こっちが提示する条件を飲んでくれるならあげるわよ」
百田「べ、別にいらねーよ…。そんな病気とかじゃねーし…」
江ノ島53世「あら、強がり。ホントは辛くて苦しいんでしょ?認めちゃいなよー」
最原「…ちなみに病気の症状って、どういうのなの?」
百田「病気じゃねーって言ってんだろ終一!」
江ノ島53世「えっとー、体がだるくなって血反吐はいて体の内側からジワジワ蝕まれていってポックリ逝く感じ?ウイルスを入れた時期的に血反吐は吐いてると思うわよ」
最原「なるほどね…」
百田「オレは血反吐なんて吐いたことねーだろ、ほら見ろまた白銀の嘘だ」
最原「…解斗くん、念のためにキミの部屋に行って血痕が無いかベッドとか確認してくるから、部屋の鍵をかしてくれないかな?」
百田「!?テメーはオレを信じねーのか!?」
最原「勿論信じたいけど、解斗くんは優しいから僕らに嘘をついてる可能性があるよね?」
百田「オレは嘘なんてついてねーよ!」
最原「えっと、勿論キミの事は信じてるけど、万が一ってこともあるし…」
百田「万が一もクソもねーよ!ボスが違うって言ってんだからちげーんだよ!」
最原「でも…」
百田「でもじゃねえ!!」
最原「……そ、そうだよね…。疑ってごめんね…」
百田「…わかればいいんだよ」
王馬「じゃあ代表でオレが調査に行ってきまーす」ドアガチャッ
百田「!!?おい待て王馬!!」
王馬「まあすぐ戻ってくるからさ!」ドアパタンッ
百田「勝手にオレの部屋に入んじゃ…!」
東条「待ちなさい、百田君」腕掴み
百田「離せ東条!」
東条「あまり頑なだと、ウイルスに感染していることを肯定することになるんじゃないかしら?本当に違うのであれば堂々と待っているべきよ」
百田「っ…!」
江ノ島53世「うぷぷ…。じゃあ彼が帰ってくるまでゆっくりコーヒーでも飲みながら待とっか。王馬くんは入間さんと違って話し合いにちゃんと貢献してるから、勝手に話進めたらなんか悪いしねー」コーヒーゴクゴク
江ノ島53世「まあ心配しなくても、彼ならすぐ血痕を見つけて戻ってくると思うわよ」
百田「血痕なんて出るわけねーだろ!吐血なんざしてねーからな!」
江ノ島53世「あのさぁ、百田くん。アンタって勢いで押し切ろうとしてるだけだから、馬鹿以外には態度だけで伝わっちゃってるよ。本当は病気なうってさ」
百田「な…!」
江ノ島53世「それに、証拠が出ないようによっぽど気を使ったからか証拠が出ないことにやけに自信があるみたいだけど、部屋の中で吐血してしまったことがあるなら、それを誤魔化すなんてほぼ100%無理みたいよ」
赤松「な、何でほぼ100%無理なの…?」
江ノ島53世「王馬くんがこの食堂から出て行った直後にぃ、すぐドアの開閉音がしたんだよねぇ〜」
江ノ島53世「彼は速やかかつ確実に血痕を発見しなければいけないという使命を負っていることを考えますと、恐らく倉庫にルミノール試薬を取りに行ったものだと思われます」
アンジー「ルミノール試薬って何ー?」
江ノ島53世「いいだろう、ザコドモにもわかりやすいように説明してやるわ!」
江ノ島53世よくサスペンス物のアニメやドラマで出てくる、シュッと吹きかけたら暗いところで光る血の跡が出て来るやつがあるでしょ?あの化学反応を引き起こす物のことよ」
江ノ島53世「ほら、コナンくんとかがよく『ルミノール反応が云々』言ってるでしょ?アレよ、アレ!」
アンジー「なるなるー」
茶柱「えっ!アンジーさんってコナン知ってるんですか!?」
アンジー「アンジーの島でも放送やってるんだよー」
夢野「島にもテレビがあったんじゃな…」
アンジー「テレビどころかみんなスマホだって持ってるよー」
江ノ島53世「ちなみにルミノール試薬って、高いのよ」
夢野「いくらぐらいなんじゃ?」
江ノ島53世「そうですね。1グラム1000円以上するんですよ」
茶柱「本当に高いですね…」
江ノ島53世「だからあんたらが今後ルミノール試薬を使う時があったら、なるべく無駄がないように丁寧に使いなさいよね!」
茶柱「中々ありませんよ、使う機会なんて」
江ノ島53世「あ、東条さんコーヒーおかわりおねがーい」
東条「淹れてくるわね」
茶柱「いや、コロシアイ生活の首謀者の為にコーヒーなんて淹れなくてもいいですよ東条さん!!」
東条「大丈夫よ、みんなのおかわりを淹れるついでだもの」
茶柱「そういう問題ではないと思うのですが…」
ーーー
王馬「ただいま」ドアガチャッ
東条「おかえりなさい、こっちの議論は現在中断中よ」
王馬「そうみたいだね。東条ちゃん、オレにもコーヒーちょうだい!」
東条「ええ、すぐに淹れてくるわね」
赤松「……誰もツッコまないから私がツッコむけど、王馬くん何で百田くんのジャケット着てるの?」
最原「あ、ほんとだ解斗くんのジャケットだ。変なふうに着てなかったから全然気づかなかったよ」
百田「マジじゃねーか、何勝手に着てんだよ」
王馬「え、これ変なふうに着てないと持ち主さえ気づかないの?何この無駄で謎なステルス能力」
百田「んなのどうでもいいから、何で勝手に着てんのか理由言えよ」
赤松「そうだよ、ずるいよ!私も着たいよ!」
最原「…そのジャケットに血痕が見つかったの?」
百田「よく見ろ終一!血なんてどこにもついてねーだろ!」
最原「うん、一見した感じではついてないようだけど…」
百田「じゃあそのジャケットは関係ねーってことだろ!」
天海「まあまあ解斗君。とりあえず小吉君の話を聞きませんか?」
天海「小吉君、血痕は見つかったっすか?」
王馬「うん、バッチリ見つかったよ」
天海「ということはやっぱり…」
百田「……悪い。言い忘れてたんだけどよ、オレ昨日鼻血が出たんだよな!だから王馬が見つけたのは多分それの痕跡だと思うぜ」
最原「……」
王馬「…鼻血ね…。じゃあその鼻血はどこで出血を起こしてしまって、どこに血液が付着しちゃったのか教えてもらってもいい?昨日の出来事なら覚えてるでしょ」
百田「えーっと…、マジわりい、大した出来事じゃなかったからよく覚えてねーんだわ。まさかこんなおおごとになるなんて思わなかったからよ…」
王馬「見た目には血の痕跡なんて見当たらなかったから、他人が万が一部屋に来ても良いようにって考えてか拭き掃除と洗濯がされてたみたいなんだけど、そんなに丁寧に処理した癖に本当に覚えてないって言うんだ?」
百田「覚えてねーもんは覚えてねーんだよ!物覚えが悪くて悪かったな!」
王馬「鼻血ならティッシュ使うと思うんだけどさ、血の付いたティッシュなんて無かったよ」
百田「部屋のゴミはこまめに捨ててんだよ」
王馬「ティッシュの箱は勿論、ゴミ箱にも血液の痕跡は一切見つからなかったんだけど?」
百田「たまたま血が付着しなかっただけだろ、んなもん…」
最原「…王馬くん、どこにルミノール反応が出たのか教えてくれないかな?」
王馬「反応があったのは枕と、部屋にあったタオルと洗面台。それにクローゼットの中にあった百田ちゃんの予備の制服のジャケット…つまりオレが今着てるこれの腕の部分だね」
百田「あ?ジャケットの腕のとこなんて光ってねーじゃねーか!」
最原「解斗くん、ルミノール反応ってずっと光ってるわけじゃなくて、結構すぐ消えちゃうものなんだよ」
百田「そういうもんなんだな」
百田「…あと洗面台の血は多分、オレがヒゲを整える時にミスってカミソリで切っちまった時のもんだ」
王馬「え?どこを切ったって?」アゴジーッ
百田「切ったのは結構前だからもう傷は治ってんだよ」
王馬「百田ちゃん、よくもまあホイホイと嘘がつけるね。嘘つきの才能あるんじゃないの?」
百田「嘘じゃねーよ!!」
王馬「ふーん。じゃあ残りの枕とタオルと制服のジャケットの血液の説明もしてみせてよ」
百田「その必要はねーよ。だってそもそも衣類からルミノール反応が出るってこと自体おかしいだろ!」
王馬「え?何かおかしいことある?」
百田「仮に衣類に血がついちまったとしても、洗濯しちまってんならもう反応なんてしねーはずだろ!つまり衣類からルミノール反応が出たってのはこいつの虚言だ!」
最原「……あのね解斗くん、布に付着した血痕っていうのは洗濯して見た目が綺麗になったとしても、ルミノール反応が出るんだよ」
百田「何だと!?」
王馬「そもそもルミノールの発光は何に反応して起きるのかって言うと、血液の場合なら赤血球の中に含まれるヘモグロビンだよ。ヘモグロビンにはヘムっていう鉄錯体が含まれているんだけど、このヘムが触媒になってルミノール反応が起こるんだ」
王馬「つまりヘムが残っている限りルミノール反応は起こるから、どうしてもルミノール反応をさせたくないっていうなら、このくっそ小さいヘムを取り除く必要があるから例え見た目が綺麗でも細胞は残ってるものだから、3回は洗濯しないと反応が出ると思ってもいいよ」
王馬「まあ目視だと2回くらいでもわかりにくくなるかもだけど、特別な設備とか無くてもデジカメとかあったら感度を上げて液晶画面を見ればかなり発光が見えやすくなるよ。試してみなよ」
茶柱「試しませんよ、わざわざ…」
王馬「ともかく、百田ちゃんは多分見た目が綺麗になるまでしか洗わなかったんだろうね。そのせいで該当箇所でルミノール反応が起こったんだよ」
王馬「あ、なんなら実演しよっか?ジャケットはここにあるし、ルミノール試薬もあるし。多分2回目でも反応するんじゃないかな?知らないけど」ジャケットのポケットから試薬を取り出す
百田「……思い出したぜ、王馬」
王馬「ん?」
百田「オレが昨日鼻血を出した時、ジャケットにも血がついちまったんだよ。だからそのジャケットから反応が出たって言うのは鼻血がついたせいだ」
王馬「百田ちゃんがみんなに心配かけたくないってのはわかったけどさ、いい加減吐血してるって認めなよ」
王馬「あんまり頑なだとこっちが逆に迷惑するんだけど!首謀者との話が進まないから!」
百田「だから全部鼻血の跡だっつんってんだろ!それでこの話は終わりだ!」
百田「それでもテメーが吐血説を推すってんなら、ルミノール反応で出た痕跡を鼻血じゃねーって証明してみやがれ!」
王馬「はいはい、わかったよ。本当に全部鼻血だって言い張るんだね?」
百田「言い張るじゃなくて事実だ事実!」
王馬「じゃあ百田ちゃんは部屋で鼻血が出てもティッシュを使わずに変なふうにジャケットでぬぐっちゃうタイプの人なんだね。珍しいねー」
百田「だからティッシュは、たまたま周りに血の跡がつかなかっただけっつってんだろ!」
最原「…変なふうにジャケットでぬぐっちゃうって、どういうこと?」
王馬「このジャケットの血の跡は、左腕の肘の内側辺りにベッタリついてたんだよね」
最原「肘の内側辺りにか…」
百田「アメリカでは鼻血が出た時は、肘の内側で鼻を押さえつけて止血するんだぜ」
赤松「へー、そうなんだね」
東条「そんな常識、初耳なのだけれど。お召し物が汚れてしまうから鼻血を服につけるだなんて有り得ないわ」
赤松「えっ!嘘なの!?」
百田「嘘じゃねーよ!少なくともオレの周りの奴らはみんなそうしてたぜ!」
王馬「他の宇宙飛行士訓練生が風評被害被ってるぞー」
最原「流石に言い訳が苦しいよ、解斗くん…」
夢野「というか、吐血にしろそんな場所に血が付くなんておかしいのではないか?」
茶柱「そうですよ!何故吐血した血が肘の内側に付着するというのですか!?」
王馬「吐血をしたからというか、咳をしたからつい癖で押さえちゃったんじゃない?」
ゴン太「な、なんで咳をしたらそんなところで押さえちゃう癖があるの…?ゴン太全然わからないよ…」
王馬「海外ではクシャミや咳をする時には、こうやって腕とか肘の内側とか、肩で受け止めるのが常識なんだよ」
王馬「百田ちゃんはアメリカに居たから腕でクシャミや咳を受け止める文化が根付いちゃって、多分初回の吐血の時の咳でもつい いつもの癖でそうやって咳を受け止めちゃって、ジャケットに血がついちゃったんじゃないかな」
星「なるほどな。それなら百田の言っていた鼻血を押さえる方法とかいうもんよりよっぽど現実的な回答だな」
アンジー「神さまも小吉の解答がぴったんこカンカンだって言ってるよー」
赤松「……百田くん、やっぱり吐血してるんだね…?」
百田「……」
王馬「沈黙はイエスと同義だよね!」
江ノ島53世「だから私様が最初から百田は病気だと言っているだろう!」
江ノ島53世「まあそもそもぉ、その意見に反論してたのは最初から百田くんだけだったけどね〜」
江ノ島53世「それにしても血の跡ほとんど鼻血とか無理あるんですけど!タオル枕ジャケットに全部血つけてるとかどんな状況よ。事実なら出過ぎだしテンパりすぎでしょ、マジウケるんだけど」
江ノ島53世「そんな雑な言い分では、言いくるめられるのはゴン太くんくらいかと思われます」
最原「江ノ島盾子53世、確認したいことがある」
江ノ島53世「何?」
最原「この病気に感染させた人は他にも居るのか?」
江ノ島53世「ああ、安心してよ。この病気に感染させられてるのは百田くんだけだからさ」
星「ふん、どうだか…」
江ノ島53世「忘れたの?アタシがあんたらにさせたいのはコロシアイなのよ。みんなに感染させてたら最悪の場合、殺し合う前にみんな病死しちゃうじゃん」
江ノ島53世「そんな展開…絶望的に退屈すぎます…」
最原「じゃあ何故解斗くんには感染させたんだ?」
最原「解斗くんだってこのままいけばこの生活の中で病死してしまい、お前の言う絶望的に退屈な展開になるんじゃないのか?」
江ノ島53世「わからない?殺人の動機の為よ」
アンジー「なんで病気になってることが動機になるのー?」
東条「この空間にいつまでも居たらそのまま病死してしまうから、早く卒業してこの学園から脱出して病院にかかるために殺人をするだろう、ってことじゃないかしら」
江ノ島53世「そうそう。モノクマが動けなくなって動機の提示が出来なくなっても、そういう時限爆弾を抱えている奴が居れば卒業の為に自然と殺人は起きるものでしょ?」
江ノ島53世「……普通は」
江ノ島53世「なーんで百田くんは、そのまま野垂れ死のうとしてるんだろうね?あんたは優秀な宇宙飛行士の卵で将来有望なのにさ。なんでこんな場所で命散らそうとしてるわけ?」
百田「テメーはオレがただ野垂れ死のうとしているように見えるってのか?」
百田「テメーは知らねーようだが、オレはほぼ毎日出口を探していたし、テメーを追い詰めてここから出る為にみんなで協力してきた」
百田「ここから脱出する方法は何も殺人だけじゃねー!」
江ノ島53世「なるほど、他の解決策に希望を見出しちゃってたんだね〜、なるなる」
最原「おい江ノ島、お前は確か解斗くんの病気の治療薬はこの世に出回ってないって言ってたけど、それなら解斗くんが仮に誰かを殺して卒業したとしても結局外の世界で死んでしまうんじゃないのか?」
江ノ島53世「その場合は卒業の際に、モノクマから治療薬が渡される手筈になっていましたのでご心配なく」
最原「あくまで外の世界には治療薬は無いって言い張るんだな」
江ノ島53世「言い張るも何も事実だからな!」
最原「そうか」
天海「…ところでさっき、そっちが提示する条件を飲めば治療薬をくれるって言ってましたけど、それってどんな条件なんすか?」
百田「おい蘭太郎、オレの為にわざわざウイルスを作っただなんざ嘘に決まってるだろ。薬は外の世界にもあると思うぜ」
天海「まあでも、訊くだけならタダっすよ?」
江ノ島53世「そうよ!訊いてから何をするのか選んでもいいのよ!?」
王馬「コロシアイの首謀者の提示する条件なんて、どうせろくでもないことだろうけどねー」
江ノ島53世「今あんたらには無限の選択肢があるわ」
江ノ島53世「例えば次の瞬間、アタシの首をはねることだって出来るわね。人によっては」
江ノ島53世「…まあその場合だと、一生出口は分からず仕舞い、薬も手に入らないけどね!」
江ノ島53世「無限にある選択肢の中であんたらが百田の治療薬を手に入れられる方法は次の2つよ。これ以外は受け付けないわ」
東条「その方法は?」
江ノ島53世「方法その1、あんたらはアタシを問い詰めることをやめ、学園からの脱出を諦め、ここでコロシアイ生活をみんなで続けること」
江ノ島53世「ちなみにこの場合、アタシはもう首謀者だってことがバレちゃってるから、今後は裏方に回らせてもらうわね。次あんたらに会う時は、殺人が起きて学級裁判が開廷された裁判場でってことになるかしら」
最原(この選択肢は選ぶ意味が無いな。これを選ぶと今後もう首謀者を追い詰めることが出来なくなり、最後の2人になるまでコロシアイを続けさせられるしかないだろうからね)
江ノ島53世「方法その2、治療薬はあげるし学園からみんなで脱出してもいいけど、その代わりに百田が自分の手で最原を殺すこと!この場でね!!」
全員「!!?」
江ノ島53世「つまり、最原くん以外は学園から脱出できちゃいま〜す!たった1人の死で残り全員脱出できちゃうなんてぇ、超オトク〜!!オススメだよぉ〜!!」
百田「テメーマジでふざけんなよ!ボスが助手を殺すわけねーだろうが!!」
江ノ島53世「え、助手じゃなかったら殺すの?」
百田「殺すわけねーだろ!!誰も殺さねーよ!!」
最原「……ちなみに何で僕なの?」
江ノ島53世「ボスが助手を殺すってとっても絶望的だと思わない?」
江ノ島53世「っていうのはウッソー!半分!!」
江ノ島53世「ホントはあんたがムカつくからよ」
最原「そう」
江ノ島53世「うん」
最原「…………」
江ノ島53世「……なんかもっとリアクションしなさいよ!これだから悟り世代は!!」
最原「ちょっと黙ってろよ、うるさいな…」
江ノ島53世「あんたそういうとこがダメなのよ!とりあえず頭の中で色々考えるの止めて口に出しなさいよ!みんなが分かんないでしょ!」
最原「…………」
江ノ島53世「首謀者なのに無視されるとか絶望的ィ!!」
東条「…とりあえず、どちらの提案も受け入れられないわね」
天海「ですね。これはもう外に薬があることを信じてそのまま脱出するしかないんじゃないんすかね…」
最原「いや、ちょっと待って」
最原「…江ノ島盾子53世、その治療薬を見せてくれないかな。本当に用意してあるならすぐに見せることが出来るはずだろ」
江ノ島53世「はぁ〜?何でわざわざあんたらに見せてやらないといけないわけー?」
最原「本当に治療薬があるのかわからないのに、流石に僕も命はかけられないよ」
百田「!?おい、何考えてんだよ!」
東条「!百田君、少し黙っていてもらえるかしら」
百田「はぁ!?」
江ノ島53世「…まあ、確かに一理あるわね」
江ノ島53世「いいわ、用意したげる。モノクマーズの誰かー、治療薬取ってきてよ」
モノスケ「は?ええんか?」
江ノ島53世「大丈夫大丈夫、アタシだって考えてるから」
最原「……」
モノダム「……取ッテクルネ…」スタタ…ドアガチャッパタン
ーーー
ガチャッ
モノダム「…治療薬ダヨ」アンプルを江ノ島に差し出す
江ノ島53世「ドーモっと」受け取る
江ノ島53世「これがその治療薬よ!」
最原(中身はどうか知らないけど、一応用意はしていたのか…)
江ノ島53世「あ、先に言っておくけど変なことは考えない方が良いわよ?」
江ノ島53世「あんたらの中で変な行動見せるやつが居たら、これを即割るからね」
江ノ島53世「で、どう?最原くん。これで死ぬ気になってくれた?」
最原「…そのアンプルの中身が本当に治療薬かどうか分からないよね?何か中身を証明出来るようなものは無いの?」
江ノ島53世「そのような物、あるわけなかろう!」
夢野「何故威張っておるのじゃ…」
江ノ島53世「だってホントに無いんだもーん。しょうがないじゃーん?」
江ノ島53世「だからこれを本物と証明するには、この内容液を百田くんに注射するしかないってワケ」
江ノ島53世「最初からこんな展開になるって分かってたら証明できる手段の1つや2つ用意してたんだけど、まさかこんなことになるなんて思わなかったからさー。ごめんねー?」
最原(……中身が不明なアンプルか…)
最原(もしあの中身が本物の治療薬だとしても、外の世界に出てちゃんとした機関で調べてもらってからじゃないと使えないな…)
最原(それにしても、あのアンプルを一体どこから持ってきたんだ?)
最原(モノダムが食堂のドアを閉めてからすぐにドアの開閉音が聞こえてきたから、恐らくは倉庫から持ってきたんだろうけど…)
最原(…他にも同じアンプルがあるかもしれないし、何か理由をつけて部屋から出て行って探すべきか?)
最原(ただ、倉庫は僕もある程度は物の位置を把握しているけどあんなアンプルは見かけたことないし、普通に見つけられそうな薬品の棚に置かれているとは考えにくいな)
最原(もし探しに行くなら、何か白銀つむぎを納得させられる理由をつけてしかこのタイミングでは部屋を出られないだろうな…)
最原(何か最もな理由が無いと、薬を探しに行くんだなと普通に察しがつくだろうし…)
最原(開き直って堂々と薬を探しに行けば、もし万が一治療薬が白銀つむぎが今手に持っている1つしか無かった場合、「2つの方法以外は認められないって言ったよね?」と叩き割られてしまった場合に困るな…。くそっ、外の世界に確実に薬があるってわかっていればこんなこと考えずに済むのに…)
最原(もし倉庫にアンプルを探しに行くなら、「自分を殺してもらう為の凶器を選びに行く」とでも言えば比較的怪しまれずに倉庫に向かえるかな)
最原(ただその場合でも、あまり探す時間をかけると怪しまれて人質というか物質のアンプルが割られないとも限らないから、適度なタイミングで捜索を切り上げる必要があるし、もし薬が見つからなければ一度覚悟を決めたように見せかけた手前、取り消しはできないだろうな…。くそっ、白銀が持ってるアンプルの存在が邪魔くさいな…)
最原(まあそれはそれで、殺されかけることで白銀つむぎの注意を僕に向けることが出来れば、隙を見せてアンプルを誰かに奪ってもらう機会が出来るかもしれないな)
最原(それが出来そうなのは、東条さんか星くんかな…)
最原(1人くらいなら多分倉庫に連れて行くことが出来るだろうし、そこで相談してみてもいいかな)
最原(……この作戦の問題点は、解斗くんに僕を殺しかけてもらわないといけないから、なんとか説得しないといけないということと、下手したら本当に死んでしまうということと、存在が唯一かもしれない治療薬が入ったアンプルが作戦の途中で割れてしまうかもしれないという点だな…)
最原(倉庫で他の治療薬を1発で見つけることが出来れば、これらのことは問題にはならないんだけどね…)
最原(……もしくは、「治療薬は世に出回っていない」という白銀つむぎの発言を嘘とし、外の世界に治療薬があることを信じてそっちに賭けるか…)
最原(…外の世界にも治療薬ありそうな気はするんだけど、万が一白銀つむぎの発言が本当だった場合が困るんだよな…)
最原(……どうしようか…)
①倉庫にアンプルを探しに行く(倉庫で見つかるかは倉庫シーンでコンマ判定)
②きっと外の世界にも薬はあるだろうから、この件をスルーする
安価↓1
513 : 以下、名... - 2017/07/14 00:40:45.36 BbMoIJEo0 979/1655V3の話のオチを考えれば2でもいい気がするが……どうなんだろう?
安価↓
514 : 以下、名... - 2017/07/14 00:42:31.92 kPPEY7t6o 980/16551
最原(……うん、やっぱり探しに行こうかな)
最原(もし外の世界に解斗くんの病気を治せる薬がなかったら困るし…)
最原「…決めたよ。解斗くんは僕を殺した方が良いと思うんだ」
百田「!!?なっ、ばっ…て、テメー自分が何言ってんのか分かってんのか!?」
江ノ島53世「へー、そっち選ぶんだ。なんか意外だなー。最原ってもっと冷酷な奴だと思ってたからさ」
最原「その代わり、僕にだって死に方を選ぶ権利くらいはあるはずだよね?だから今から倉庫に行って僕を殺してもらう為の凶器を選びに行こうと思うんだ」
江ノ島53世「凶器探し?オッケーオッケー、いってらっしゃーい」
百田「ちょっと待て!テメーは覚悟が決まったかも知れねーが、オレはテメーを殺すなんざぜってーしねーからな!!」
最原「解斗くん、キミは何も心配しなくていいからね」
百田「いや、何言ってんだよ…」
最原「東条さん、一緒に凶器探してくれないかな?」
東条「…ええ、私は構わないわよ」
江ノ島「待って、なんで東条も連れてくワケ?」
最原「別に…、東条さんにもアドバイスしてほしいからだけど?」
最原「こういう言い方するのもなんだけど東条さんって凄いメイドさんだから、僕の予想もつかないような凶器を見つけられそうだし…」
東条「それに1人で探すより効率的だと思うわ」
江ノ島53世「うーん…」
最原「そっちだって僕の凶器探しにあまり時間は取られたくないでしょ?2人で探しに行ったら効率がいいってだけだよ」
江ノ島53世「まあ、そうねぇ…。じゃあ15分以内に戻ってきなよ。それ以上超えたらこのアンプル叩き割るから」
最原「ちょっと待ってよ、僕らはタイマーも時計も持ってないからそんなこと言われても困るよ」
江ノ島53世「あんたらが目覚まし時計持ち歩いてることくらい、お見通しだっての」
江ノ島53世「ほら、他にも持ってる奴居るでしょ?出しなさいよ、それで時間計るから」
天海「…じゃあ俺のをどうぞ」テーブルの上に置く
江ノ島53世「じゃあ今から15分ねー。はいスタート」
最原「えっ!なんて急な…」
東条「急ぎましょう」タタタッガチャッ
百田「待て終一!」
最原「ごめん、時間が無いから後で聞くよ!」タタタッ
ー倉庫ー
最原「東条さん、あのアンプルと同じ物を探してほしいんだ」
東条「依頼として受け取るわね。やはり薬品棚にあるのかしら?」
最原「それはどうだろう…。そんな安直なところに置くなら僕らをそのまま送り出さずに、アンプル探しを警戒して自分やモノクマーズを見張りにつけてきそうな気もするんだけど…」
東条「一理あるわね」
最原「多分、それなりにわかりにくいところか取りにくい場所にあるんじゃないかな?さっきモノダムが駆け足で退室してアンプルを持って来てたけど、5分くらい往復でかかってたから…」
東条「とりあえず手当たり次第に探してみましょう。時間の2分前になったら倉庫の入口の前に集合、切り上げよ」
最原(時間が短いけど…、見つかるかな…?)
↓1のコンマ01〜20、またはゾロ目でアンプル発見
523 : 以下、名... - 2017/07/14 01:21:21.89 L1IddJAiO 984/1655難易度高いな
最原(くそっ、見つからないな…)
東条「最原くん、そろそろ時間よ!戻りましょう」
最原「…東条さん、見つけられた?」
東条「ごめんなさい、依頼を全うすることが出来なかったわ」
東条「時間が十分にあれば見つかるまで探したのだけれど…」
最原「そもそもここにあるって思ったのは僕のただの予想で、ここに確実にあるってわけじゃないからね…」
最原「それじゃあ東条さん、次の依頼をしてもいいかな?」
東条「それは構わないけど、要件は手短にお願いするわ」
最原「この後僕は解斗くんに殺してもらうように説得するつもりなんだけど、その時に白銀つむぎの注意を僕の方に向けることが出来ると思うから、隙を見て彼女からアンプルを奪ってくれないかな?」
東条「…最原くんなら知っていると思うけど、アンプルはカット線が入っているから割れやすくできている物なのよ」
最原「勿論それは知ってるけど、それでもやってみてくれないかな?」
東条「わかったわ。白銀さんと揉み合いにでもなって割れてしまったらごめんなさいね」
最原「もしそうなったら、その時また別の作戦を考えてみるよ…」
最原「じゃあ戻ろうか、もう1分前だし…」
東条「…凶器は何か適当に見繕えたかしら?」
最原「ううん、必要ないよ。本当に殺されたら困るし…」
最原「でも大丈夫、考えてるから」
東条「そう。じゃあ戻りましょう」ドアガチャッ
ー食堂ー
最原「戻ったよ」ドアガチャッ
江ノ島53世「も〜、最原くんってば焦らし上手ね!時間ギリギリすぎて今まさに叩き割ろうかと思ってたわよ」
最原「割ってないだろうな?」
江ノ島53世「そんなことしてないってば、ほら!」アンプルを見せる
江ノ島53世「割るわけないじゃん。もしかしたらこれから面白くなるかもしれないっていうのにさ」
東条「…あら、江ノ島さんのコーヒーもう残り少ないわね。淹れなおしてくるわね」厨房に行く
江ノ島53世「ん?ああ、気が利くじゃん。さっすが超高校級のメイド」
江ノ島53世「で、凶器は何にしたの?見せてよ」
最原「それなんだけど…。色々見てて思ったんだけど、どうせなら物なんて使わずに殺してほしいかなって思ったんだよね」
江ノ島53世「んー?つまりどういうこと?」
最原「……扼殺されたいなって思って…」
アンジー「ヤクサツって何ー?」
真宮寺「手や腕で頸部を圧迫することを扼頸(やくけい)と呼び、扼頸による殺人のことを扼殺(やくさつ)と呼ぶんだヨ」
アンジー「ケーブ?」
真宮寺「頸部は首のことだヨ。ちなみに自分の手で自分の首を締めることは出来ないから、扼頸による自殺は不可能だヨ」
真宮寺「余談だけど、縄等を巻きつけて頸部を圧迫して呼吸が出来ないようにすることは絞頸(こうけい)、絞頸による死を絞死(こうし)、絞頸による殺人は絞殺(こうさつ)と呼ばれるネ」
アンジー「手で首絞めも紐での首絞めも全部絞殺かと思ってたよー。呼び方違うんだねー」
アンジー「ところで是清、詳しいねー?」
真宮寺「ククク…、こういう知識も民俗学にも通じる所があるからネ」
アンジー「なるなるー。民俗学って色々知ってなきゃいけないんだねー」
百田「呼び方なんてもんはどうでもいい!どんな名前の死に方だろうがオレはぜってー誰も殺さねーからな!勿論終一、テメーもだ!」
最原「解斗くん…。気持ちは嬉しいけど、外の世界に本当に治療薬があるかわからない以上、貰っておいた方が良いと思うんだ…」
百田「外の世界にねーって決まったわけじゃねーし、オレは誰かを殺してまで生き延びて―なんて思っちゃいねえ!!」
東条「江ノ島さん、新しいコーヒーよ」コトッ
江ノ島53世「ん、サンキュー」
百田「東条!テメーものんきにコーヒーなんて淹れてねーで終一を説得しやがれ!」
東条「ごめんなさいね百田君。私が今最原君から受けている依頼の都合でそれは出来ないの」そのまま江ノ島の側に立つ
百田「倉庫で前もって邪魔すんなって念推されてたのかよ、クソッ」
赤松「ね、ねえ、最原くん…。確かに薬が手に入るにこしたことはないけど、百田くんが言うように他の可能性だってまだあるのに、命をかけるなんてことはないと思うよ…?」
赤松「それに、最原くんが殺されても良いって言っても、殺す方も勇気のいることだし、人を殺しちゃったらその人は一生その咎を背負わなくちゃいけないんだよ?」
赤松「そんなの絶対ダメだよ…!」
最原「確かに僕も解斗くんを殺人者になんてしたくないけど…」
最原「……でも、他にいい方法なんて無いでしょ?」
赤松「うん、ないよ!でも首謀者の提案に乗るなんて絶対ダメだよ!!」
最原「代案が無いなら部外者は発言を控えてくれないかな」
赤松「部外者って……、私達は仲間でしょ!?」
百田「そうだ!ここに居るみんなは全員同じ境遇の仲間だ!部外者なんて呼ぶんじゃねえ!」
最原「同じ境遇ではないし、少なくともこの件に関しては僕と解斗くん以外はみんな部外者だよ」
王馬「…本人が良いって言ってるんだから、ありがたく殺したら?早く殺さないと終一ちゃんの気が変わっちゃうかもだよ?」
百田「なんでそんなこと言えんだよ!テメーは特に終一と一緒に居る時間が長かっただろうが!終一とは仲間でダチじゃねーのかよ!?」
王馬「えぇっ!?折角大好きな百田ちゃんの為を思って後押ししてあげてるのに、こんな暑苦しい説教されるなんて…」
王馬「酷いよぉおおおおお!!ウェアアアンヴ(ジュル)ヤェャァァァ↑アイィヤエ↑ヤゥィゥ!!」
百田「だーもう!誰か他に一緒に終一を説得してくれる奴はいねーのかよ!?」
最原「どんなに説得されたって、僕の意思は変わらないよ」
百田「何でだよ!?テメーこないだまで真宮寺のヤローに殺されかけてピーピー泣いてただろうが!!それが何で突然そんなこと言ってんだよ!!」
赤松「えっ、真宮寺くん…?」
茶柱「はぁ!?な、何やってるんですかこの男死は!!?」
真宮寺「ククク…、この展開は予想外だヨ…」
江ノ島53世「なにそれアタシ知らないんだけど!?ウソ!?ちゃんとコロシアイあってたの!?マジで!!??詳しく!!詳細キボンヌ!!!てか何で真宮寺が最原を!??」
最原(解斗くんが余計なこと口走るから、また面倒なことに…)
真宮寺「ちょっと勘違いをしてしまってネ、つい殺してしまいそうになったんだヨ」
星「一体何を勘違いしたらそんなことになるんだ」
江ノ島53世「まさかとは思うけど……いや、まさかね…?」
茶柱「ふん!どうせ初回特典に目がくらんだだけでしょう!?」
茶柱「夢野さん、さあこちらへ!あんな男死の近くに居ては危ないですよ!!転子がお守りしますから!」
夢野「んあ…」
真宮寺「安心していいヨ。今は殺人する気なんて無いからサ」
赤松「というか否定しないんだね、真宮寺くん…」
真宮寺「まァ事実だからネ。でももうすぐ外に出られる判っている以上、ここで殺人をする理由は無いから安心してくれて構わないヨ」
ゴン太「やっぱり、初回特典なんてものがあったからいけなかったんだね…」
真宮寺「そうだヨ。僕は初回特典に目が眩んでしまっただけなのサ。自分でもなんて愚かな事をしてしまったんだろうと反省しているヨ」
最原(こいつ……まあいいや。後でここを脱出して白銀つむぎを捕まえた後に、監視カメラのデータを証拠にしてこのサイコパスを訴えてやろう。上手く機会があれば)
最原(今はとりあえずここで話を終わらせよう。経緯の説明が面倒すぎるし)
江ノ島53世「ねえ、事件の詳細ちゃんと教えてくんない?特に最原がピーピー泣いてたくだりが私、気になります!」
最原「黙れ。この件についてお前に話すことは何もない」
江ノ島53世「いけずぅ!まあいいわ、後で監視カメラの映像見るもーん」
最原「……とにかく解斗くん、僕はあの時とは変わったんだよ。僕は強くなったんだ」
百田「違う。命を粗末にするのと強いってことは違うぜ、終一」
最原「……キミは将来有望な宇宙飛行士で、僕はただまぐれで過去に1件殺人事件を解決しただけの探偵だ」
最原「どっちの命がより重いかなんて、誰が見ても一目瞭然だよね?」
百田「違う!人の命は平等だ」
最原「そんなわけないだろ。綺麗事言わないでよ」
百田「…テメーにだって大事な家族やダチが居るだろうが。そいつらの為にも生きたいって思えよ」
最原「僕の帰りを待ってくれてる人なんて誰も居ない。…って言ったら、解斗くんは折れてくれるの?」
百田「……ここを出たら、みんなで飯食いに行くって約束しただろ」
最原「そんな約束、身に覚えがないよ。キミの勘違いじゃないかな?」
百田「……そうかよ」
百田「…………」
最原「…………」
王馬「…百田ちゃーん、そろそろ殺したら?」
百田「…例え相手がどんな奴だろうがオレは人なんて殺さねーよ」
王馬「終一ちゃん、それ以上嫌われようとしても無駄らしいよ」
最原「…………」
江ノ島53世「……終わり?何、結局殺さないわけ?」
百田「聞こえなかったのかよ。オレは例え相手がどんな奴だろうが人なんて殺さねえ」
江ノ島53世「じゃあこの治療薬はいらないの?」
百田「ああ、いらねえ」
最原「ダメだよ解斗くん!」
百田「うるせえ!助手がボスの意見に口出ししてんじゃねえ!!」
最原(まずいな…。白銀つむぎはずっとアンプルを握っているから近くにいる東条さんも手を出せずにいるし、このままだとアンプルを割られてしまいそうだし…)
赤松「…ねえ、江ノ島さん。ちょっと質問があるんだけどいいかな?」
江ノ島53世「何?」
赤松「江ノ島さんは『百田くんが自分の手で最原くんを殺すこと』が治療薬を手に入れる条件だって言ったよね?」
江ノ島53世「うん」
赤松「じゃあさ…、例えば私が百田くんの手の上から力を込めて最原くんの首を絞めて殺す…とかいうのもアリかな?」
百田「おい赤松何言ってんだ!?」
江ノ島53世「ほほう、なるほどなるほど。確かにそれでも百田くんの手で最原くんを殺すことになるわね、一応」
江ノ島53世「うんオッケ〜!いいよ〜!」
江ノ島53世「私様的にはその方法でも最原もちゃんと死ぬ上、人殺しが百田1人だけでなく+赤松もなるわけだし、NGな理由なんて何も無いわよ」
赤松「そっか、よかった」
江ノ島53世「でもその方法でちゃんと殺せるの?」
赤松「うん大丈夫。私、力には自信があるから」
百田「おい赤松!何考えてやがる!!」
赤松「百田くんは手を添えてるだけでいいからね。人殺しは私だけだから…、心配しないで」
春川「赤松、やめなよ」
百田「そうだ!何考えてやがる!?」
春川「あんたがそんなことする必要なんてない。どうしてもやるって言うなら…私があんたの代わりに最原を殺すよ」
赤松「えっ!?」
百田「はぁ!?どいつもこいつも何言ってやがんだ…!」
春川「私ならあまり苦しませずに最原を殺す事が出来る。だから最原にとってもそうしてもらうのが1番いいと思う」
最原(いや、すぐに殺されるのは困るぞ…。そもそもすぐに殺されない為に凶器の検討を止め、死ぬのに時間のかかる扼殺にしたというのに…)
最原(…というか、春川さんのその自信は何なんだよ…。まるで殺しのエキスパートみたいな言い方は…、厨二病ってやつか?)
最原(とにかく、このままじゃ本当に埒が明かないな。なんとか解斗くんと2人きりになって作戦を伝えて、首を締めてくれるように頼むしかないかな…)
最原「江ノ島さん、ちょっといいかな?」
江ノ島53世「よくない」
最原「話くらい聞いてくれてもいいんじゃないかな」
江ノ島53世「嫌よ、聞かない」
最原「……解斗くんを説得したいからちょっとの間2人きりになりたいんだけど、いいかな?」
江ノ島53世「聞かないって言ってんのに勝手に喋るなんて生意気ね」
江ノ島53世「ていうか許可するわけないじゃない。何企んでんの?」
最原「企むなんてそんな…」
江ノ島53世「話ならこの場でしなよ、ほらほら」
江ノ島53世「…出来ないってことは、アタシに聞かれたらまずい話なんでしょ?」
最原「そういうわけじゃないよ。ただちょっと、最期の会話なんだし他人に聞かれたくないっていうか…」
最原「…必ず説得してみせるから、3分だけでいいんだ。頼むよ。廊下なんて出ないで厨房の方で話を済ませるからさ」
江ノ島53世「ダメだってば」
最原「お前としても僕を死なせたいんだろ?必ず説得するって言ってるんだから許可してくれてもいいんと思うんだけど」
江ノ島53世「あんたがもう少し馬鹿っぽい感じなら許可したんだけどねー」
最原「後生だからさ…」
江ノ島53世「どうだか…」
東条「別に2人きりにしても構わないんじゃないかしら?」
東条「3分程度なら厨房の隠し通路から移動して何かをして戻ってくるなんてことはできないだろうし、江ノ島さんとしてもこのままみんなの話し合いが止まってしまうのは良くないと思うのだけれど…」
江ノ島53世「そりゃあアタシだって、いつまでもこのままじゃツマラナイけどさ…」
東条「わかったわ。それなら貴女に損をさせない提案をしましょう」
江ノ島53世「それってどんな提案?」
東条「貴女はこう考えているのでしょう?最原君が百田君に何か話を持ちかけてこの場を逃れ、あわよくば治療薬までも手にしようとしているんじゃないかって」
江ノ島53世「ええ、そうよ」
東条「じゃあこうしましょう。もしも最原君が死ぬこと無く治療薬を手に入れてしまうことがあれば、その代償として私が貴女の言うことを何でも聞いてあげるわ」
江ノ島53世「えっ!何でも!?」
最原「……」
東条「ええ、何でも。私は超高校級のメイドよ、その誇りにかけて嘘はつかないわ」
江ノ島53世「言ったわね!?じゃあいいわよ!最原いってらっしゃーい!なんならもう2分サービスしちゃうわ!5分間厨房の方で話し合いでも何でもしてもいいわよ!」
最原「お前は東条さんに何をさせる気なんだよ。…まあ、いいけど…」
江ノ島53世「うぷぷ…、知りたい?アタシも迷ってるんだよね―!何してもらおっかなー!」
最原(僕が何かしでかすのを見越して、もうそんなこと考えるんだな…。…どうやら首謀者っていうのは、思ったより頭はよくなさそうだな)
最原「じゃあ解斗くん、厨房に行こうか」
百田「助手がボスに指示出してんじゃねーぞ」
最原「何怒ってるの?早く行こうよ」
百田「ぜってー行かねーからな!」
最原「(何に怒ってるのかよく分からないけど)ごめんって。だから行こう?」
百田「行かねーって言ってんだろ!」
最原「お願いだよ協力してよ、時間が勿体無いでしょ」
百田「うるせえ!」
最原「一生のお願いだから来て!」腕引っ張り
百田「一生の願いなんざ今使うんじゃねぇ!!」抵抗
最原(めんどくさいなぁ…)
最原「とりあえず僕の話を聞いてよ、あっちで」腕グイー
百田「テメーの今生の別れの言葉なんざぜってー聞かねーからな!」
最原「あーもう!蘭太郎お兄ちゃん手伝って!!」
天海「可愛い弟の頼みじゃ仕方ないっすね。解斗くん、厨房に行くっすよ」百田の背中押す
百田「やめろ蘭太郎!!」厨房に押し込まれる
春川「ふーん、最原と天海って兄弟だったんだ」
赤松「多分違うと思うけど…」
ー厨房ー
最原『それじゃあ話すよ』小声
百田「…何で小声なんだよ」
最原『他人に聞かれたら困る話をするからだよ。解斗くんも小声で話してくれると嬉しいんだけど…』
百田『…わーったよ…』小声
最原『とりあえず、僕は死ぬつもりなんてないから安心していいよ』小声
百田『は?それじゃあさっきまでオレを説得してたのは何だったんだよ』小声
最原『僕に注意を向けて白銀つむぎの隙を作らせようとしたんだよ。隙ができたら東条さんがアンプルを奪ってくれる手筈になってたからさ』
百田『でもあいつずっとアンプルを握ってたぜ?これ以上問答してても無駄だと思うんだけどよ』
最原『うん。だから問答じゃなくて、本当に僕を絞め殺そうとしてほしいんだよね』
百田『は!?テメーさっきと言ってることが全然ちげーじゃねーか!死ぬつもりなんてねーんじゃなかったのかよ!?』
最原『うん、死ぬつもりはないよ。でも問答してても無駄だってわかったでしょ?』
最原『だから…、白銀つむぎは何故か僕を目の敵にしている感じがするし、そんな僕が苦しそうにしていれば確実にアンプルから気が逸れると思うんだ』
百田『な、なるほどな…』
最原『勿論、この作戦が成功する保証はないんだけどね。東条さんが白銀つむぎからアンプルを奪おうとして割れちゃう可能性だってあるし…』
百田『そうなっちまったらまあ、しゃーねーだろ…』
百田『そんなことより、もしその作戦成功しちまったら、それはそれでやべーんじゃねーのか?』
百田『さっき東条は白銀に、もし終一が死なずにアンプルを手に入れることがあったら白銀の言うことを何でも聞くって言ってたぞ』小声
百田『白銀が何命令するかわかったもんじゃねーだろ…』
最原『ああ、そのことなら多分大丈夫だと思うよ』小声
百田『なんでそんなこと言い切れんだよ。あの真面目な東条がメイドの誇りにかけて誓ったんだぜ?そんな東条だから白銀も信じてオレらの密談を許可したんだろ』
最原『うん、東条さんも嘘はつかないと思うよ。でも大丈夫だよ』
百田『なんで嘘つかねーのに大丈夫なんだよ…』
最原『ごめん、余計な話題を悠長に話している時間はないんだ』
最原『解斗くんは後のことは考えなくても大丈夫だから、とりあえず食堂の方に戻ったら僕の首を絞めてくれないかな?』
最原『もしまた解斗くんが嫌がったら赤松さんか春川さんが僕を殺そうとするハズだから、キミは断れないよ。嫌でしょ?女子にそんなことさせるの』
百田『わ、わかったよ…。とりあえず余計な力が入んねーように気をつけるぜ』
最原『ううん、力は込めてもいいんだよ。むしろ力入れてくれないと困るんだ』
百田『なんでだよ…』
最原『中途半端な演技をして白銀つむぎに見破られたら困るでしょ』
百田『そりゃあ困るけどよ…』小声
最原『じゃあしっかり絞めてね。大丈夫だよ、そんなにすぐ死ぬもんじゃないから』小声
百田『…ちなみに、どれくらい絞め続けたらヤバイんだ?』
最原『そういうことはキミは気にしなくて大丈夫だよ。あいつは必ず隙を見せるから、キミは東条さんがアンプルを奪ったら離してくれたら良いから、それまで続けてよ』
百田『そこまで言うってことは何か作戦があるんだな。わかった、テメーを信じるからな』
最原『うん、ありがとう』
百田『他に何かオレに言うことはあるか?』
最原『……ううん、何もないよ』
百田『そうか。じゃあそろそろ戻らねーとな』
最原『そうだね』
ー食堂ー
最原「お待たせ」スタスタ
江ノ島53世「説得は出来た?」
最原「うん」
赤松「百田くん…」
百田「心配すんな、赤松」
江ノ島53世「んー?何で心配しなくてもいいの?」
最原「別にただ、僕の命を無駄にはしないってことでしょ。ね?」
百田「お、おう」
江ノ島53世「ふーん…。ま、そういうことにしてあげるわ」
江ノ島53世「じゃあ早速ほら、殺っちゃいなよ」
最原「……じゃあ…」
江ノ島53世「あ、待って。その前に最原、あんた学ラン脱ぎなさいよ」
最原「は?何で?」
江ノ島53世「あんたが扼殺を指定したのが気になるのよね。ひょっとして倉庫で東条に学ランの襟に細工でもしてもらったんじゃないかと思って」
最原「別にそんなことしてもらってないけど…。まあ、いいよ」上着を脱ぐ
最原「だいぶ疑ってるみたいだし、シャツの第1ボタンも開けて首を見せてやるよ」
江ノ島53世「キャーセクシー!」
東条(まずいわね…。白銀さんはずっとアンプルを握っているから全然取りに行けないわ…)
東条(さっき私とあんな約束をしたから、もっと油断してくれるものだと思っていたのだけれど…)
東条(申し訳ないけれど、最原君には少し苦しんでもらいましょうか…)
東条(もしギリギリになっても白銀さんがアンプルを手放さないようだったら、一か八か無理矢理奪ってみることにしましょう)
春川「最原、百田。あんた達は本当にそれでいいの?」
最原「うん、これで大丈夫だよ」
百田「…終一も覚悟が決まってるって言ってることだし、こんなこと女にやらせるわけにもいかねーからな…」
赤松「私は別に…」
百田「テメーのその手はピアノを弾くためのもんだろうが。もう今後ふざけたこと抜かすんじゃねーぞ」
赤松「……」
百田「じゃあ…、えっと、どうしたらいいんだ?」
最原「扼殺の方法は2つだよ。被害者と向き合って手のひらを使って首を絞める方法と、被害者の後ろから腕を回してそのまま首を締める方法」
最原「…好きな方でいいよ」
百田「好きじゃねーよ、どっちも…」
最原「…だよね」
百田「……じゃあ、前から行くぜ?」
最原「うん、どうぞ」床に正座する
百田「…何で正座してんだよ…?」
最原「立ってたら、僕の体の力が抜けた時に解斗くんに迷惑かけないとも限らないからね…」
百田「…そうかよ」膝をついて首に手を伸ばす
百田「……それじゃあ、力入れるぜ?」
最原「……ごめん」
百田「あ?」
最原「僕爪しばらく切ってないからさ、だいぶ伸びちゃってて…。抵抗しちゃって引っ掻いちゃったらごめんね…」
百田「…そんなこと気にしてる場合かよ…」手に力を込める
東条(静かな食堂の中で、最原君の苦しむ声だけが空間に響いている…)
東条(白銀さんはその様子を訝しむように見ていた)
東条(確かに首は絞まっている。けれど、百田君ならもう少し力が込められそうなものだけれど、手加減が見られるわね)
東条(彼女はアンプルを所持したままおもむろに椅子から立ち上がり、百田君の背後に立った)
江ノ島53世「ねえ百田、あんた手加減してるでしょ?」
百田「…そんなことねえよ…」
江ノ島53世「あんまり時間かけて苦しめると〜、最原くんか可哀想だよ〜?」
江ノ島53世「だからさ、ほら!」百田の背中を蹴る
百田「ぐっ!?何しやがる!?」
江ノ島53世「そんな言い方はないでしょ?折角手伝ってあげてるのに」ヒールグリグリ
江ノ島53世「ほら!もっと体重かけて!首に全体重乗せる勢いで!ほら!!」ゲシゲシ
赤松「やめてよ白銀さん!!何でそんなことするの!?百田くんはちゃんとやってるでしょ!?」
江ノ島53世「はあ〜?ちゃんとやってるように見えないから、アタシが手伝ってあげてるんでしょ」
東条(……もう見ていられないわね。一か八かアンプルを奪いに行くしかないかしら…)
赤松「…白銀さん、その足をどけて」
江ノ島53世「んー…、わかったわかった。足をどければいいのね?」背中から足をどける
赤松「……」
江ノ島53世「じゃあ、こうしちゃおーっと!」百田の背中に飛びつく
最原「うっ…!」
百田「!?わ、わりい!」首から手を離す
最原「げほっ、ごほっ…」
江ノ島53世「は?何手離してんの?」
百田「テメーが急に飛び乗るからだろうが!!」
江ノ島53世「いやいや、最原くん殺す気なら別にそのままでもいいでしょ?」
江ノ島53世「やっぱり殺る気なかったのね?」立ち上がる
江ノ島53世「残念。じゃあこのアンプルとはサヨナラでーす」アンプルを持っていた手を離す
東条「待っ…!」
東条(思わず手を伸ばしたけれど、私の位置からは届くはずが無かった)
東条(割れてしまう……)
東条(…そう思ったけれど、何秒経ってもガラスの割れる音なんて聞こえてこなかった)
東条(不思議そうに白銀さんはアンプルが落下しただろう位置に視線を向けるが、やはり何もそこには落ちていない)
東条(その場に居る全員がアンプルの行方を目で探していると、ある生徒が不意に声を発した)
星「探しもんはこれか?」アンプルを見せる
アンジー「およ?いつの間に竜馬が手に入れたんだろうね?」
夢野「これは魔法じゃな。あやつも魔法使いであったか」
江ノ島53世「…なんであんたがそれ持ってんのよ」
星「縮地を使ったのさ」
キーボ「縮地、ですか?」
江ノ島53世「縮地か。そういえばそんなもんあったわね」
江ノ島53世「あーあ、普通に落とさずに手で割れば良かったかしら」
星「フン、そんなこと言ったって後の祭りだな」
江ノ島53世「そーね、まあ仕方ないか」
星「先に言っておくが、俺からこれを取り戻そうったってあんたには無理だぜ」
江ノ島53世「でしょうね。まあそんな物、もうどうだっていいわよ」
春川「どうだっていい?アンプルがあったから誰もあんたに手出し出来なかったようなものなのに?」
江ノ島53世「百田くんの病気の話題が随分長くかかっちゃったけど、あんたらにはまだまだ聞いてもらうべき話があるんだから。全部聞いてもらうまであんたらをここから出してあげないんだからね。アタシは脅されてもあんたらザコドモには屈しないから!」
赤松「もう聞く必要なんてないよ!あなたの話なんて!」
江ノ島53世「えーどうして?絶対知っといた方がいいって!ほら、百田くんの病気のことだって知れて良かったでしょ?」
江ノ島53世「彼の病気のことをこの場で暴いてなかったら、そのアンプルだって手に入れられなかったんだし、結果オーライじゃない?」
真宮寺「外の世界に彼の病気の治療薬が本当に無ければ、確かに結果オーライかもしれないネ」
茶柱「かなり疑わしいですけどね」
江ノ島53世「そういえば、最原が生きているのにアンプルがそっち側に渡っちゃったってことはさ、東条さんはアタシの言うことを何でも聞いてくれるんだよね?」
東条「ええ、そうね」
赤松「東条さん!こんな人の言うことなんて聞く必要なんてないよ!!」
江ノ島53世「メイドの誇りにかけたんだし、約束は守ってもらえるんでしょ?」
東条「約束は守るわ」
江ノ島53世「よーし!聞いてもらう命令を決めたわ!」
江ノ島53世「東条斬美!あんたには夢野秘密子を殺してもらうわ!」
茶柱「はあああああ!!!!!????」
夢野「んああああああ!!!???な、何故急にウチなのじゃ!?」
夢野「ここは普通、今恨みを買った星ではないのか!?」
江ノ島53世「この中で1番力の弱い少女がみんなの前で無力に殺されるなんて、最高に絶望的な光景じゃない?」
茶柱「させません!!させませんよ!?」
茶柱「東条さん!夢野さんに手を出そうというのなら先にこの茶柱転子を倒してからにしてくださいね!!」
東条「安心してちょうだい、茶柱さん。私は夢野さんを殺す気はないわ」
江ノ島53世「はああああああ!!!!?????」
江ノ島53世「あんたたった今『約束は守る』って言ったばかりじゃない!何考えてんの!?」
東条「約束は守っているわよ、今もこうして」
江ノ島53世「は?」
王馬「白銀ちゃん、東条ちゃんとした約束をもう1度ちゃんと思い出してみたら?」
江ノ島53世「白銀じゃなくて江ノ島だけど」
江ノ島53世「えっと…、思い出すも何も『アタシの言うことを何でも聞いてくれる』っていう約束でしょ?」
王馬「わかってるじゃん」
江ノ島53世「ん?」
東条「約束通り、貴女のどんな話も私のこの耳でちゃんと聞いているわ」
江ノ島53世「……えっ。それマジで言ってるの?」
東条「大真面目よ」
江ノ島53世「ふざけないでよ!?子供の約束じゃないんだから!」
東条「ふざけてはいないわ。文字通りの約束でしょう?」
王馬「勝手に勘違いして勝手に喜んでた白銀ちゃんが馬鹿だったって話だよね」
最原「…けほっ……」
天海「だいぶ落ち着いてきたっすね。お水持ってきましょうか?」背中さすり
最原「ううん、大丈夫。それより解斗くんの方こそ大丈夫?」
百田「オレか?オレは別に何ともねーよ」
最原「大丈夫なわけないでしょ。白銀つむぎに背中蹴られてたじゃないか」
百田「確かに蹴られた時は痛かったが、今は別に問題ねえよ」
最原「女性のヒールは凶器なんだよ?骨だって折れるんだからさ…。結構な勢いで蹴られていたようだし、打撲はしてるんじゃないかなって思うんだけど…」
百田「なんともねーって…」
天海「解斗君の『なんともない』は信用ならないっすからね…。ジャケット失礼しますよ」ジャケット脱がせる
天海「…特にシャツに血が滲んでるとかは無さそうっすね」
百田「だから言っただろ」
天海「確かこの辺蹴られてたっすね」背中を触る
百田「いっっっっってぇ!!?」
天海「打撲っすかね?」
最原「骨折とかじゃないといいけど…」
最原「東条さん、ちょっとこっち来てもらっても良いかな?」
東条「ええ、構わないわよ」スタスタ
江ノ島53世「ちょっと!?東条!まだ話は終わってないわよ!!」
東条「耳は貴女の方に向けているから、安心して話を続けてもらっても構わないわよ」
江ノ島53世「体ごとこっち向けなさいよ!」
東条「最原君、首は大丈夫かしら?」
最原「うん、僕は大丈夫だよ」
江ノ島53世「東条にまで無視されて絶望的ィ!」
最原「それより解斗くんの背中を診てあげてくれないかな」
東条「ええ、わかったわ。百田君、とりあえずシャツを脱いでもらってもいいかしら?」
百田「診察できんのかよ…」シャツを脱ぐ
東条「ええ、メイドだもの」
天海「メイドさんって凄いんすね…?」
江ノ島53世「あんたら無視も大概にしなさいよ!まとめて背中蹴っ飛ばすわよ!?」
赤松「東条さん達の邪魔はさせないよ!」
春川「白銀、殺されたいの?」
江ノ島53世「ぐぬぬ、春川セコムめ…」
東条「触診した限りだと、骨折はしていないようね。打撲だけのようよ」
最原「良かった…」
東条「打撲は応急処置の基本、RICE処置で対応するのよ。RICEは ①Rest(安静にする) ②Ice(冷却する) ③Compression(圧迫・固定する) ④Elevation(挙上する) の頭文字から来ているの」
東条「見た目には出血していないけれど内出血しているから、打撲の場合でも心臓より高い位置に患部を持っていくと効果があるのだけれど…、今回は背中だからこれはあまり意味がないわね」
東条「冷却とテーピングで圧迫をして、安静にしてもらいましょうか」
天海「じゃあ俺は氷嚢を作って持ってきますね」
東条「それなら2つお願いするわ」
最原「2つ?」
東条「打撲の手当と痣の手当は似ているのよ。最原君、貴方首に痣が出来ているわ」
最原「えっ」
百田「わりぃ、気つけてたんだけど白銀にちょっかいかけられちまってたから、その時に力が入っちまったみてーだな…」
最原「大丈夫だよ。キミの背中の方が痛いだろうし…」
東条「じゃあ私は倉庫に救急箱を取りに行ってくるわね」スタスタ
江ノ島53世「一体アタシはいつになったら続きを話せるのよ…!」
赤松「とりあえず、怪我人の手当が終わるまではダメだよ」
江ノ島53世「まあいいわ。こっちはこっちで次の準備するから。モノクマーズ、例のデータが入ったパソコン準備してー」
モノキッド「ヘルイェー!モノダムが持ってこいよ!ついでに焼きそばパンもな!」
モノダム「……」トテトテ
ーーー
東条「救急箱を持ってきたわ」
天海「氷嚢も持ってきたっすよ」
東条「百田君は先に手当をするから、彼の分の氷嚢をそちらに置いておいてもらえるかしら」
天海「じゃあここ置いとくっすよ。終一君はどうぞ先に冷やして下さい」つ氷嚢
最原「ありがとう。…ところで天海くん、鏡とか持ってない?」
天海「鏡っすか?ありますよ、どうぞ」つ鏡
最原「天海くんほんと女子力高いね、ありがとう」鏡で首を見る
天海「…あー。結構痣酷いっすけど、ちゃんとしてればすぐ消えるんで大丈夫っすよ」
天海「内出血の痣は、3日間はこまめに冷やしてたほうが良いらしいっすよ。あとちょっと入浴は控えたり…、温めるのは良くないらしいんで」
天海「患部を強くマッサージするのも良くないんで気をつけてくださいっす。あと紫外線に晒すと消えやすいらしいんで、首が見える服装なんかするといいかもっすね」
最原「なるほど。つまり、首を紫外線に晒されないようにしてしっかり温めて患部をマッサージすると痣が残るんだね?」
天海「まあ、逆のことをすれば残りやすいでしょうね」
最原「ちょっと倉庫行ってくるね」
天海「…何取りに行くんすか?」
最原「カイロ」
天海「……なんでこの流れで温める物を取りに行くんすかね?」
最原「こんなものでも解斗くんがくれたものだから、なるべく大事にしたいなと思って」
天海「なるほど、ちょっとわからないっすね。とりあえず解斗君、何か終一君に物をプレゼントしてあげてください」
百田「お、おう。ここから出たらな」
最原「えっ!何かプレゼントくれるの!?やった!」
春川「最原は何でわざわざ痣を残そうとしてるの?馬鹿なの?」
赤松「きっとまだ脳に酸素があんまり行ってなくて、よくわからない発言しちゃってるだけなんだよ」
王馬「ただメンヘラってるだけじゃない?」
江ノ島53世「待つのに飽きました…。そろそろ話し合いを再開しても宜しいですかね…?」
東条「もう少し待ってちょうだい」テキパキ
江ノ島53世「絵面が代わり映えしなくて絶望的ィ!」
天海「解斗君、さっきまで俺が寝かせられていた布団にうつ伏せで寝たら、背中に氷が置けていいんじゃないんすかね」
百田「ただの打撲だろ?そこまでしなくても…」
東条「横になっても話し合いには参加できるのだし、その方がいいと思うわ」
赤松「さっき東条さんも打撲は安静にした方がいいって言ってたし、横になった方がいいと思うよ」
春川「赤松に心配かけさせてんじゃないよ」
最原「いや、解斗くんの心配しようよ」
春川「首謀者が後ろに立っても特に何も警戒しなかった百田も悪いから、自業自得の怪我だと思うけど。私ならもっと上手く立ち回れたよ」
最原(春川さんってやっぱり性格悪いな…。おまけに厨二病だし)
赤松「ちょっと春川さん、そんな言い方したらダメだよ!」
春川「本当のことでしょ」
江ノ島53世「ねーまだー?」
最原「なんか勝手にお前は僕達のことを待ってるみたいだけど、お前の話なんてもう聞かないぞ」
江ノ島53世「怪我人の手当が終わったらいいんでしょ?」
赤松「手当が終わるまでは話しちゃダメとは言ったけど、終わったら貴女の話を聞くなんてことは言ってないよ」
江ノ島53世「赤松にまでそんなこと言われるなんて絶望的ィ!」
江ノ島53世「まあいいわ!あんたらが聞くまいが勝手にアタシは話すから」
江ノ島53世「そもそも貴方方は私の話を聞くまでこの学園から脱出することは叶いません。話が終わるまで出口の場所を教えませんので、否が応でも聞いていただきたいと思います」
江ノ島53世「耳の穴かっぽじって、よーく聞いとけよぉ!?」
江ノ島53世「あんたらは既にこのコロシアイがダンガンロンパっていう名前のゲームだってことは知っているみたいだけど、それってつまりどういうことか分かる?」
百田「?言ってる意味がよくわかんねーよ。ダンガンロンパってのはただこのコロシアイゲームに付けられた名前ってだけじゃねーのか?」
江ノ島53世「確かにそうだけど、それだけじゃないのよ。ダンガンロンパっていうのはね、フィクション作品の名前なのよ」
東条「確かダンガンロンパのナンバリングの初期の物はゲームだったりアニメだったりだったのよね。そういう意味ではフィクション作品と呼べるのかもしれないけれど、でも今行われているこれは現実のものでしょう?」
東条「現実に行われているものをフィクションと呼ぶのは、少し違うと思うわ」
江ノ島53世「その”現実”っていうのは、あくまであんたらにとってのよ」
春川「…言っている意味がよくわからないんだけど」
江ノ島53世「あのねー、この世界はフィクションで塗り固められた嘘の世界なんだよ~?」
江ノ島53世「フィクションで塗り固められた世界で行われる、現実の命を使ったコロシアイ…」
江ノ島53世「つまり今行われているこのダンガンロンパは”究極のリアルフィクション”なのよ!!」
キーボ「究極の…リアルフィクション?」
ゴン太「ごめん!ゴン太バカだから白銀さんが言っていることがよくわからないんだ!」
最原「ゴン太くん安心していいよ、僕も彼女の言うことはよくわからないから」
最原「現実の僕達が現実の命を使って現実のコロシアイをする…。そのどこにもフィクション要素なんて無いと思うんだけど」
江ノ島53世「あんたらは現実じゃないよ?」
最原「は?」
江ノ島53世「まあでもそんなこと、オマエラは気にしなくてもいいのよ」
江ノ島53世「キミ達はこの才囚学園の中に居る限りは~、キミ達にとっては現実の存在みたいなもんなんだからさ~」
江ノ島53世「だから外の世界に行くなんてやめてさ、ここで生活を続けなよ。悪いことは言わないからさ」
茶柱「今更引き止められるとお思いですか!?」
赤松「…というかやっぱり、白銀さんが言っている意味がよくわからないんだけど…」
江ノ島53世「要するに、外の世界から見たらあんたらこそがフィクションの存在ってことなのよ」
最原「…どういう意味だ?」
最原(外の世界から見たら?それじゃまるで…)
最原「……まさかとは思うけど、このダンガンロンパを、外の世界から誰かが見ているのか…?」
江ノ島53世「ピンポーン!だいせいかーい!賞品は特にありませーん!」
天海「…一体誰がこんなものを見ているっていうんすか?」
江ノ島53世「そりゃあ勿論、世界中に居る視聴者の皆様よ!」
江ノ島53世「うぷぷ…、見せてあげよっか?」指パッチン
夢野「んあ!?部屋が暗くなったではないか!?」
茶柱「安心して下さい!夢野さんは転子が守りますよ!」
江ノ島53世「何もないので安心してください。そんなことより皆さんあちらにご注目下さい」
アンジー「プロジェクターが白い壁に投影されてるねー」
星「…何か映ってるな」
キーボ「なんですか?あの人達は…」
江ノ島53世「そこに投影されているのはほんの一部だけど〜、あの人達が視聴者様なんだよ~」
江ノ島53世「彼らはずっとオマエラのダンガンロンパを見ていたのよ!」
赤松「…あの人達って今も見てるの?」
江ノ島53世「うん」
赤松「そ、それじゃあ…!お、お願い!助けて!!私達、無理矢理こんな所に連れてこられたの!!誰か警察に通報してください!!」
江ノ島53世「何やってるの?」
赤松「何って…、助けを求めてるんだよ!外の世界の人達に!」
赤松「誰か助けて…!!」
最原「…そんなことしても無駄じゃないかな」
赤松「どうして!?これはフィクションじゃないんだよ!?本当に誘拐されてきて、本当にコロシアイを強要されていて…!」
赤松「だから、あの人達に助けを呼んでもらわなきゃ!!」
最原「…もし本当に誰かがこれを見ているとしても、彼らは赤松さんのアピールを本気に取らないか、僕達が困ってるこの状況を楽しんでるんじゃないかな?」
最原「見世物にされてるんだよ…僕達は」
江ノ島53世「そうよ!それもとっても平和な世界の人達にね!」
江ノ島53世「外の世界は争いやらとは無縁の平和そのものの世界で、その世界の連中がこうしてこのダンガンロンパに夢中になってるのよ」
江ノ島53世「だからそんな風にあの人達に助けを求めたって、無駄ってわけよ!」
江ノ島53世「だってあの人達はみーんな、あんたらが苦しんだり葛藤したりしながら殺し合う様を見たがってる人達なんだからね!!」
赤松「……嘘でしょ?」
ゴン太「な、なんでそんな平和な世界の人達がこんなコロシアイを求めているの!?」
江ノ島53世「平和な世界…、それは言い換えればとっても退屈な世界ってことなのよ。だからみんな刺激を求めてるの」
江ノ島53世「で、このダンガンロンパっていうのはそのニーズに応えるためにコンピュータゲームからこの”究極のリアルフィクション”まで発展していったてわけ!」
赤松「……どうして…」
江ノ島53世「ちなみに今作のサブタイトルは”みんなのコロシアイ新学期”でーす!」
江ノ島53世「……って、今回全然コロシアイしてないじゃない!タイトル詐欺で絶望的ィ!!」
天海「……今回は、何回目のダンガンロンパなんすか…?」
江ノ島53世「うぷぷ…、何回目だと思う?」
天海「俺が前回参加させられたのが52回目だったんで、少なくともそれより大きなナンバリングっすよね…」
王馬「53回目だろうね。こいつずっと自分のこと『江ノ島盾子53世』ってうるさく名乗ってたし。江ノ島が何者かよくわかんないけどさ」
江ノ島53世「仕方ないわねー、それじゃあ教えてあげるけど、江ノ島盾子っていうのは初代ダンガンロンパの黒幕のことなのよ!」
最原「ふーん」
江ノ島53世「反応薄いですね…、正直凹みます…」
最原「どうでもいい情報すぎて特にリアクション取ることないし…」
江ノ島53世「まあいいわ。とにかく、これでわかったでしょ?」
江ノ島53世「確かにアタシはあんたらにコロシアイを強要している首謀者なんだけどさ、それを求めているのは外の世界の人達なのよ!」
江ノ島53世「つ・ま・り!あんたらにこれをやらせている黒幕は外の世界の人達ってわけ!」
江ノ島53世「だから外の世界の人達に助けを求めても無駄なのよ、あっかまっつさん!」
赤松「……嘘でしょ…」
江ノ島53世「嘘じゃないわよ?アタシがダンガンロンパの世界を作っているのも、あんたらにコロシアイを強要しているのも、全部外の世界が求めているからなのよ?」
江ノ島53世「まあ”アタシが”っていうか、”このプロジェクトに関わる全員が”だけどね」
春川「プロジェクトに関わる全員がって…」
星「おいおい、一体何人バックに居るってんだ」
江ノ島53世「具体的な人数をあんたらに言ったってしょうがなくない?」
江ノ島53世「それにみんながみんな凶悪なことしてるわけじゃないのよ?厨房の食材の補充や倉庫にある物の管理とか、あんたらが生活に困らないようにしてくれてるのも全部ウチのスタッフなんだからさ」
江ノ島53世「…”チームダンガンロンパ”っていう運営会社のね!」
キーボ「チームダンガンロンパ…ですか…」
江ノ島53世「あ、歴代ロンパの紹介映像流そっか?」
江ノ島53世「各1分ダイジェスト映像だから、今までの52作分+外伝分で60分くらいの映像になるけど」
茶柱「長すぎですよ!もっと編集を頑張ってくださいよ!!」
最原「…そんなもの見る必要はない」
江ノ島53世「あ、そう?」
最原「もうお前なんかに付き合う気もない」
最原「そもそも、こんな場所で話されたってお前の言うことがどこまで本当かわかったものじゃないからな」
江ノ島53世「ゴフェル計画は確かに嘘だったけど、アタシがチームダンガンロンパの社員として世界中のみんなの娯楽の為にダンガンロンパを作っているっていうのは本当のことよ?」
最原「外の世界がこんなことを求めているなんて、嘘も大概にしろよ!」
夢野「そうじゃ!いつまでもこんな嘘につきあわせていないで、さっさとウチを家に帰してくれ!」
キーボ「その意見に同意します!ボクも一刻も早く博士の元へ帰りたいです!」
アンジー「アンジーもそろそろ島に帰らないとー、ずっと留守にしているわけにもいかないからねー」
天海「俺も2度もこんなコロシアイに巻き込まれるなんて思わなかったっすけど、解放して二度とこれに関わらないようにしてくれるだけでいいっすから、早く出口に案内してください」
ゴン太「ゴン太もそろそろ家に帰らないと、作らなきゃいけない虫さんのレポートが色々あるんだ!」
東条「貴女の言うそのチームダンガンロンパが本当に実在するとして、私がここから出た後それを放っておく保証は出来ないけれど、今からでも私達を丁重に扱えば悪いようにはしないわよ」
赤松「…そうそう!早く私達を解放した方がいいよ!まあ、出すとこ突き出すけど!」
最原「早く解斗くんを病院に連れて行きたいし、アンプルの中身も調べたいからね…」
百田「病院か…、まあしかたねーな」
茶柱「転子は正義のヒーローですのでこんな悪の組織は放置できませんが、とりあえず速やかに解放してください!後で100倍にして仕返しに来ますが!」
星「外に出たら、か…」
春川「……」
王馬「あ、そろそろ脱出する雰囲気?入間ちゃん起こす?」
真宮寺「雰囲気的にはそうだネ、起こしたほうがいいだろうネ」
王馬「じゃあ…、いつまで寝てんだこのメス豚ァ!!」
入間「ブヒィイイイ!?……ん?なんだ?もう終わった感じか?」
王馬「おいテーブルにヨダレ垂らしてんじゃねーぞ。汚えだろうが」
入間「すみませぇん…」フキフキ
入間「……って、あのビッチはなにもんだ?」
江ノ島53世「グッモーニン入間さん!アタシの名前は江ノ島盾子53世!」
王馬「あいつは白銀つむぎだよ」
江ノ島53世「オマエの為に私様が3行で説明してやろうぞ!」
江ノ島53世「天海・最原・百田が勝手に負傷した」
江ノ島53世「このコロシアイは全世界生中継されている」
江ノ島53世「話を切り上げて勝手に帰ろうとしているオマエラなう」
江ノ島53世「ってところね!」
入間「うわっ、キャベツのキャベツ部分に包帯巻かれてんじゃねーか。何があったんだよ…」
天海「そろそろまともに呼んでくれないっすかね?」
江ノ島53世「とりあえず、入間さんも折角起きてくれたところ悪いんだけどさ、あんたらは外の世界に帰れないのよね」
入間「あ!?何で帰れね―んだよ!?」
江ノ島53世「あんたらに帰る場所なんて無いからよ」
最原「帰る場所がない…?」
キーボ「ボクにはちゃんと帰る場所があります!今も飯田橋博士がボクの帰りを待っているはずです!」
江ノ島53世「残念!待ってないわよ」
キーボ「な、何故ですか…?何故あなたにそんなことがわかるんですか!?」
江ノ島53世「あんたらはね、この江ノ島盾子と一緒なの」
夢野「んあ?どういうことじゃ?」
最原(江ノ島盾子って確かさっき、初代ダンガンロンパの黒幕だって言ってたよな…)
最原(初代ダンガンロンパはまだコンピュータゲームだったから、つまり江ノ島盾子はフィクションのキャラクターで…)
最原「……お前はまさか、僕らもフィクションの存在だって言いたいのか?」
江ノ島53世「またまた正解!そうでーす!あんたらはみーんなフィクションなのよ!」
最原「違う!僕らはリアルだ!ここにいる…生身の人間だ!」
百田「そうだ!フィクションなわけねーだろ!」
江ノ島53世「いいえ!あんたらは江ノ島盾子と同じ、フィクションの存在なのよ!」
赤松「…そ、そんなわけないでしょ!?」
江ノ島53世「それがそんなわけあるのよ。あんたらはコロシアイをする為だけに生み出されたフィクションの存在でしかないのよ」
春川「な、何言ってるの…?」
ゴン太「え!?ゴン太はちゃんとここに存在しているよね!?現実に存在しているってことは、フィクションなんかじゃないよね!?」
江ノ島53世「確かにあんたらは肉体はあるけどさ、でもそれだけなのよ」
江ノ島53世「あんたらがこの才囚学園に最初にやって来た時は、その姿じゃなかったのよ?」
江ノ島53世「その時のあんたらこそが本当の姿で、今のあんたらは作られたフィクションの存在でしかない…。それが”真実”なのよ!」
最原「…………」
アンジー「ん?それってつまりどゆことー?」
江ノ島53世「こう言ったらわかるかしら?あんたらは元々”超高校級”の才能なんて持たない”普通の一般人”だったってこと!」
全員「!!?」
江ノ島53世「あ、でも安心して!あんたらのその顔は本物だからさ!よかったじゃんほぼ天然美男美女で!」
王馬「えっ!?キー坊も!?」
江ノ島53世「あっ、ごめん。キーボくんは人工加工100%の顔だったわー。忘れてたわごめーん」
キーボ「王馬クン!ふざけてる場合ではないでしょう!?」
入間「おい、アジ顔も混ざってんぞ」
夢野「アジ顔…、一体誰のことなんじゃろう?」
茶柱「居ませんよね?そのような顔の生徒は」
江ノ島53世「”ほぼ”天然美男美女と言いましたから。全員とは言っていませんから」
最原「…そんなことはどうでもいい。話を続けろ」
江ノ島53世「さっきまであんなに聞きたがらなかったのに、今度は続きが気になっちゃうんだ」
最原「別にお前の話を信じたわけじゃないが、話の量は多い方が判断材料になるからな」
江ノ島53世「しょうがないわねー。じゃあ続きを話してあげる」
江ノ島53世「さっきも言ったけど、あんたらは元々ただの外見が良いだけの高校生」
江ノ島53世「でもこのダンガンロンパっていうのはね、主要の登場人物に一般人は居ないものなのよ」
江ノ島53世「だからあんたらには、ダンガンロンパの登場人物になるために相応しいキャラクターが与えられた」
江ノ島53世「で、あんたらはそのキャラクター設定を最初の思い出しライトで思い出して…」
王馬「最初の思い出しライトって、オレと終一ちゃんが受けなかったアレのこと?」
江ノ島53世「違う違う。アレは超高校級狩りを思い出すだけのライトだったから」
王馬「だよね。アレ浴びる前から超高校級の自覚はみんなあったし」
最原「ってことは、アレの前にも僕らは思い出しライトを浴びせられたっていうんだな?」
江ノ島53世「そうよ。体育館に集合する前、あんたらがそれぞれ目覚めた場所があると思うんだけど、思い出しライトを浴びせられて才能や生い立ちとかのキャラクター設定を思い出した…というか与えられたあんたらは、着替えさせられた後にそれぞれ初期配置に意識を失った状態で転がされてたってわけよ」
茶柱「ちょっと待って下さい!一体誰が転子達を着替えさせたというのですか!?男死ですか!?女子ですか!?」
赤松「気になるポイントそこ!?」
茶柱「大事なことでしょう!?転子達は年頃の女子なんですよ!?」
江ノ島53世「着替えはオーバーテクノロジーな道具使ってちゃちゃっとやられてるだけだから、一瞬で終わるからその辺は大丈夫よ。人の手なんて加わってないから」
茶柱「それなら安心ですね」ホッ…
江ノ島53世「ちなみに、セーラームーンの変身みたいな感じで着替えさせられてるわよ」
茶柱「開発者は変態じゃないですか!!」
最原「着替えの方法なんてどうでもいい。それより…」
茶柱「どうでもよくありませんよ!!」
東条「…それより、『才能や生い立ちとかのキャラクター設定が与えられた』とはどういうことなのかしら?」
江ノ島53世「そのまんまの意味だけど?」
江ノ島53世「あんたらの個性であるその超高校級の才能は、フィクションってことなのよ!」
江ノ島53世「まあ勿論、最初からある程度の適正はあんたらにもあったんだけどね?」
江ノ島53世「じゃないと~、例えば星くんのテニヌ技とかちょっとやばいし~…」
江ノ島53世「って言っても所詮は適正程度。それを超高校級に伸ばしたのは思い出しライトの力なのよ!」
入間「このオレ様の黄金の脳細胞が、テメーらに植え付けられた物だとぉ!?」
江ノ島53世「そうよ!思い出しライトを浴びるまでのあんたらは文字通りザコドモだったってわけ!!」
江ノ島53世「ちなみに~、才能だけじゃないんだよ~?」
江ノ島53世「貴方方の性格や生い立ちや家族構成思い出、その何もかもが思い出しライトで作られたフィクションの設定でしかありません」
天海「ちょっと待って下さい!俺の妹達もフィクションだって言うんすか!?」
江ノ島53世「うぷぷ…。勿論12人の妹なんて当たり前にフィクションよ!ギャルゲじゃないんだからさ!」
真宮寺「…まさかとは思うけど、君は僕の姉さんもフィクションだって言うのかい!?」
江ノ島53世「ええ。貴方の愛したお姉さんは、この世にもあの世にも貴方の中にも存在しません。ただの設定です」
江ノ島53世「他のみんなもそうよ」
江ノ島53世「あんたに師匠なんて居ないし、あんたが身代わりになった親友なんて居ないし、あんたを巫女と崇める島の人達なんて居ないし、あんたを愛してくれた恋人なんて居ないし、あんたを作った博士なんて居ないし、あんたの大好きな組織なんて存在しないし、あんたを育てた山の家族なんて居ないし、あんたの思い出の中の沢山の自慢の友達は全員フィクションだし、あんたに仕事を手伝わせてくれる叔父さんなんて居ないし、あんたにとんでもない依頼をしたあの依頼人も存在しないし、あんたの為に書類を偽造した友達なんて居ないし…」
江ノ島53世「…………」
江ノ島53世「…ごっめーん!入間さんの分は思い付かないわ」
入間「はぁ!?オレ様にだって大切な奴の1人や2人…!」
入間「……いや、待ってくれてる発明品があるんだからな!!オレ様がメンテしなきゃアレは誰がメンテしてやるんだよ!!?」
江ノ島53世「寂しい設定の入間さんは置いとくとしてー…」
江ノ島53世「あんたらには大切な人なんて存在しない」
江ノ島53世「その肉体は現実に存在する本物だけど、その他の部分、人格も性格も才能も過去も全てフィクションなオマエラ…」
江ノ島53世「それでもキミ達は自分がフィクションじゃないって言い切れるの~?」
赤松「…証拠がないでしょ!私達が本当にフィクションの存在だっていう証拠が!!」
赤松「証拠を見るまで、私はそんなの絶対認めないよ!!」
百田「赤松の言うとおりだ!テメーが本当にオレらのことをフィクションの存在だとかいうふざけた言い分を通したかったら、証拠を見せやがれ!!」
江ノ島53世「証拠ね、オッケー!勿論準備してあるわよ!」
キーボ「あるんですか…!?こんなことを証明できる証拠が…!?」
江ノ島53世「うん。あんたらはね、自ら望んでフィクションの存在になってこのダンガンロンパに参加したのよ」
最原「そんな馬鹿げた話、あるわけないだろ!」
入間「なんでオレ様が、こんなコロシアイに自ら望んで参加しなきゃなんねーんだよ!?」
アンジー「そもそもダンガンロンパなんて知らないのに、ダンガンロンパに参加したいなんて思えないよー」
江ノ島53世「ダンガンロンパに関する記憶は、あんたらにキャラクター設定の記憶を植え付けた時に消えちゃってるだけなのよ」
江ノ島53世「証拠を見せたげる。モノファニー、例の映像を流してちょうだい!」
モノファニー「わかったわ」プロジェクターに繋げてるPCカチカチ
モノファニー「それじゃあ、真っ先に証拠を見たがってた赤松さんの分から流してあげるわね」カチカチッ
赤松「私の分…?」
赤松?『…128番、▲○☓です』
赤松「!?」
キーボ「プロジェクターで壁に投影されている映像に映っているのは、赤松さんですね…」
赤松?『私はダンガンロンパのナンバリングを全部観てます。特に気に入ってるのは25作目ですね』
赤松「え?え??」
赤松?『スルメ作品って言われてるけど、私はあれはあれで良いと思います。古いナンバリングから観ていくとなんか、希望に向かっていくだけのエンディングっていうのも飽きてきた頃だったんで、ああいうのも新鮮でいいなって思ったんですよ』
赤松?『ダンガンロンパに参加できるなら、私は才能はピアニストがいいなって思います』
赤松?『ピアニストっていかにも女の子らしい感じの才能で、なんか他の参加者も油断してくれそうですし…』
赤松?『ほら、1作目でアイドルの舞園さんが桑田くんを呼び出せたのも、女の子のアイドルだからですよね?』
赤松?『そんな感じで、「まさか温厚で可愛いピアニストの彼女が人を殺すなんて…」みたいな枠を狙いたいなって思ってるんですよね』
赤松?『多分、私ってコロシアイに向いている性格だと思います。基本的に人の事を信じてないんで』
赤松?『もしクロでおしおきされることになったら、舞園さんのボツおしおきみたいな……』プツッ
星「映像が消えたな…」
赤松「…………」
最原「…赤松さん、今のってキミだよね?」
赤松「ち、違うよ!!私こんなの知らない!!」
赤松「こんなの何かの間違いだよ!!」
百田「赤松…」
赤松「違う!あれは私じゃないの!!お願い信じて!!」
春川「……CGとかじゃないの?」
最原「CG…なのかな…?」
赤松「絶対CGだよ!だって私、身に覚えがないもん!!」
モノスケ「確かにアレは赤松はんやないで」
赤松「ほら!!」
モノスケ「あれは今のキサマになる前のキサマやからな」
赤松「えっ…?」
モノファニー「あのビデオの赤松さんは、思い出しライトで今の才能や記憶を植え付けられる前のキサマなのよ」
赤松「…わ、私が元はあんな性格だったって言うの…!?」
春川「赤松、落ち着いて。あれは多分CGで作られた映像だから」
赤松「…そう、だよね…?」
春川「うん。だから落ち着いて」ギュッ
モノキッド「キサマラが落ち着いていられるのも今のうちだぜ!今から順番に全員分流してやるからな!!」
モノファニー「それじゃあ次は百田くんの分ね」
最原「待て。その前に、この映像は一体何なんだ?」
江ノ島53世「何って…、オーディションテープだけど?」
星「オーディションテープだと?」
ゴン太「えっと、なんのオーディションなの…?」
江ノ島53世「そりゃあ勿論、このダンガンロンパの参加者になるためのオーディションよ!」
天海「ダンガンロンパの…オーディション…?」
キーボ「嘘です!そんなものに参加した記憶はありません!」
江ノ島53世「だーかーらー、記憶がないって思ってるのは最初の思い出しライトを受けた時にダンガンロンパに関する記憶が消えちゃったからだって言ってるでしょ」
江ノ島53世「そういう訳ですから、貴方方の為に今から全員分のオーディションテープを流して差し上げると言っているのですよ」
茶柱「今のが…全員分あるんですか…?」
江ノ島53世「だから、そうだって言ってるじゃない!」
モノファニー「それじゃあ改めて、百田くんの分流すわね」カチカチッ
百田?『89番、□☓●☓だ』
最原(よく出来たCGだな…)
百田?『学級裁判のダンガンロンパもいいけどよ、俺は3の未来編みてーな奴が好きだぜ。やっぱりああいうアクション物はいいよな』
最原(声も似てるけど、どうやってるんだろう…。まあ思い出しライトとかあるくらいだし、声を似せる機械とかあるんだろうな。きっと蝶ネクタイ型変声機みたいなやつでスタッフが声当ててるんだろ…)
百田?『オレが参加することになるダンガンロンパも、ああいうアクション回だといいんだがな』
百田?『まあダンガンロンパっていやぁ裁判だし、勿論普通に裁判回も悪くねーけどよ』
百田?『どっちにしろ、もし参加できたらみんなの印象に残るように色々してやるぜ!』
最原(こいつ馬鹿っぽいな…。解斗くんはこんなに馬鹿じゃないぞ)
百田?『念願のダンガンロンパに参加するだけじゃねぇ!殺しまくって勝ってやる!』
百田?『そうすりゃあ、名誉も金m…』
最原「解斗くんはこんなこと言わない!!」PCガッシャーン!
江ノ島53世「ちょおおおおおお!!!!?????」
モノキッド「ヘルイェー!ノーパソを床に叩きつけて壊すなんざ、中々ロックじゃねえか!!」
モノファニー「ううっ…、最新のMacBookが……」ゲロゲロゲロゲロ…
モノスケ「なにすんねん!?弁償せえや!!」
江ノ島53世「そういう問題じゃない!!」
江ノ島53世「最原!あんた何してくれてんの!?」
最原「解斗くんはあんなこと言わない。ふざけるな」
江ノ島53世「どこぞの幽白女子を彷彿とさせる発言ですね…」
百田「終一…」
春川「そんなことをやるなら、別に赤松の時からしてくれても良かったんだけど」
江ノ島53世「てか結局1.5人分しか流せなかったとか絶望的ィ!!」
アンジー「まあ壊しちゃって良かったんじゃないかなー?見ても何も良いことないって神さまも言ってるよー」
江ノ島53世「その神さまもフィクションなのよ!」ビシッ
アンジー「…そんなことを言う つむぎにはバチが当たるよ?」
江ノ島53世「モノダム!早く代わりのパソコン持ってきて!」
最原「何度だって壊してやるぞ」
江ノ島53世「お願いやめてマジで。もうあの映像は流さないからホント頼むわ」
モノダム「…持ッテキタヨ」つノーパソ
江ノ島53世「ありがとー、プロジェクターに繋いでー」
最原「……」
江ノ島53世「もうオーディション映像は流さないってば!!パソコンに近寄らないでよ!!」
最原「……」スタスタ
江ノ島53世「プロジェクターに近づくのもやめて!!」
最原「じゃあ次は一体何を流すんだよ。何か投影するためにまたパソコンを持ってきたんだろ」
江ノ島53世「うーん…。じゃあ視聴者コメントでも流そうかな、とりあえず」
キーボ「視聴者コメントですか?」
江ノ島53世「そう。このダンガンロンパはさっきも言った通りリアルタイムで放送してるんだけど、視聴者は映像を見ながらコメントを書いて流したり、アンケートに参加したりできるのよ」
天海「アンケート?」
江ノ島53世「まあ、その辺の話は追々するとして…」
モノファニー「はい、コメントが流れるようになったわよ」カチカチッ
モノスケ「ここが裁判場なら、もっとスタイリッシュに映像もコメントも流せたんやけどなぁ…」
モノスケ「…なあ、今からでも裁判場に移動せえへん?」
王馬「敵の指定した場所なんかに行くわけねーだろバァーカ!」
モノスケ「王馬はんはホンマくっそ生意気なクソガキやな。あんさんの分のオーディション映像も流したかったでホンマに」
王馬「オレが『くっそ生意気なクソガキ』なら終一ちゃんはどうなるの?」
モノスケ「アレはなんかもう次元が違うわな。アレと比べたらあんさんはただの可愛い無害ショタやで」
最原「ちゃんと名前で呼べよ。なんでアレ呼びなんだよ」
王馬「無害呼びってことは、オレがプールの入口のドアガラス割ったり、マザーモノクマの部屋を無理矢理こじ開けたり、幾度となくモノクマの破壊を企てて実行した件は許してくれたんだね!」
モノスケ「あー…、やっぱ王馬はんもアカンかったわ。最原はんが強烈すぎて忘れとったけどあんさんも大概やな。昼時間マザー見張りペア最悪やんけ」
キーボ「あっ!誰ですか今『空気ーボ』とかいうコメントを流した人は!!」
キーボ「ボクは空気じゃありません!ちゃんと体があります!!」
星「フン、程度が知れるコメントばかりだな」
入間「なんでオレ様を褒め称えるコメントがねーんだよ!?おかしいだろうが!!」
コメント『お兄ちゃん、見てるー?w』
天海「あれはひょっとして…」
江ノ島53世「ただの視聴者の悪ノリですね。貴方の妹はフィクションの存在ですので」
入間「おい頑張れよ入間ファン!画面を埋め尽くす勢いでもっとオレ様を褒め称えるコメント流せよ!!」
茶柱「一体誰ですか!?転子のおヘソしか見てないとかコメントを流している人は!!」
アンジー「終一ー、お前の鼻はキューピットらしいぞー?」
最原「何そのコメント、気持ち悪っ…。てかなんで鼻?」
赤松「……ここに流れているコメントって、本当に今これを見ている視聴者のものなの?」
江ノ島53世「だから、そうだって言ってるじゃない」
赤松「…そう…。これが、外の世界の人達のコメントなんだ…」
百田「赤松、外の世界に居るのはこんな奴らばっかりじゃねーぜ」
春川「そうだよ。こんな悪趣味な番組見てるのなんて、ごく一部のまともじゃない奴らだよ」
最原「こんな人ばっかりだと、たまったもんじゃないよね…」
真宮寺「是清、首謀者に惑わされてはなりません。私はずっとここに居ますよ」
真宮寺「あァそうだよネ、姉さん…。姉さんはここに居るんだからフィクションなわけがないよネ…!」
百田「…真宮寺の奴は、さっきからずっと1人でブツブツ言っててやべえな…」
キーボ「マスクをつけたり外したりしてて、いつも以上に不気味ですね…」
東条「精神が衰弱しきっているようね…」
春川「なんであいつは口紅塗ってんだろ」
入間「そんなの、そういう趣味だからに決まってんだろ」
最原「そんなことより、本題に戻ろう」
江ノ島53世「そうね。それじゃあさっきまでの話題に戻るけど…、さっきの赤松と百田のオーディションテープを見てもらったからわかるだろうけど、まあ残りのみんなもあんな感じでダンガンロンパのオーディションを受けたのよ。もう記憶にはないだろうけど」
東条「…とてもじゃないけど、信じられないわね」
王馬「そもそもオレ達が本当にフィクションかどうかなんて、確認する手段がないもんね」
江ノ島53世「オーディションの映像さえ流せられれば1発で…」
春川「だからそれはCGって私達の中で結論が出てるでしょ。何人分の映像が流されたって無駄だから」
江ノ島53世「じゃあまあ、外に出れば嫌でもわかるわよ。あんたらの家は無いし、通ってた学校も無いし~、あんたらは…」
江ノ島53世「ぜ~んぶフィクションなのよ!ぜ~んぶ嘘なのよ!」
江ノ島53世「あんたらがこのコロシアイ生活で経験してきたことも、何もかもぜーんぶ嘘!なのよ!!」
江ノ島53世「アタシが外の世界を代表して言ってあげる!あんたらは全員!その肉体以外全て!フィクションの存在なのよ!!」
ゴン太「本当に…、ゴン太が経験してきたことは全部嘘なのかな…!?」
百田「しっかりしろゴン太!そんなわけねーだろ!!」
江ノ島53世「うーん…。やっぱりこれまでにこの生活の中で誰も死んでないせいか、アタシの言葉に全然説得力が足りないみたいね、残念」
江ノ島53世「アタシの言うことが本当って思えないんでしょ?どうせアタシの言うことなんて全て、ただの愉快犯の嘘って思ってるんでしょ?」
東条「ええ、そうよ。貴女の言う言葉、出す証拠は何もかも信じられたものではないわ」
江ノ島53世「じゃあやっぱり、みんなには外の世界に出てもらうしかないかしらね?アタシの言葉が信じられないって言うなら、その足で家に帰ってみてもらうしかないのかしら?」
夢野「家に帰してくれるのか!?」
江ノ島53世「帰すっていうか、…まあ外の世界に出してあげても良いんだけどさ…」
江ノ島53世「でもさあ、その後はどうするの?帰る場所がないことを確認した後は」
夢野「後…じゃと…?」
江ノ島53世「そうよ。あんたらはこの才囚学園から出たら、家もお金も知り合いも、何も無いのよ」
江ノ島53世「あんたらは、どうやって生きていくつもりなの?」
赤松「私達がフィクションだなんて、貴女の嘘でしょ!?」
江ノ島53世「まあまあ、とりあえずそういう様子を想像してご覧なさいよ」
江ノ島53世「あんたらはまだ高校生。すぐにいい仕事なんて見つからないわよ?」
江ノ島53世「そもそもお金も持ってなくて、まともな仕事も確保できてなくて学校にも通っていない未成年が保証人なしにアパートの部屋を借りることも厳しいだろうし…」
江ノ島53世「橋の下や公園に寝泊まりでもする?あんたらは若くて外見だけはいいんだから、変な事件に巻き込まれなきゃいいわね」
江ノ島53世「今これを見ている視聴者の中にも当然ろくでもないこと考えている奴も居るだろうし、あんたらが外の世界に出て行った後、当然あんたらが困っているだろうってことを見越して変な話持ちかけてくる奴も居るだろうし…」
江ノ島53世「あんたらが手っ取り早くお金稼ぐなら、臓器売ったり援助交際したりとかしかないんじゃいかしら?」
江ノ島53世「外の世界は平和な世界とは言ったけどさ、当然ちょっとした事件とかは普通にあるからね?勿論、表沙汰にならない事件とかもあるし」
江ノ島53世「あ、先に言っておくけど、外に出て家がないことを確認した後にこの才囚学園に出戻るっていうのは無しよ。現実はそんなに甘くはないんだから」
江ノ島53世「……ね?そんなの嫌でしょ?ほら、外の世界に出るのなんて絶対止めといたほうがいいって!」
江ノ島53世「あんたらみたいなフィクションの存在は、この中でしか生きられないんだからさ!素直にフィクションの中で生きてフィクションの中で死になよ!!」
江ノ島53世「素直にこの才囚学園の中で生きるなら、あんた達には安定した衣食住が提供されるし、ここは清潔な環境だし、娯楽だってある!」
江ノ島53世「それにこの世界の中でならあんたらの超高校級の才能は紛れもない本物!」
江ノ島53世「まあご覧の通り、ちょーっと他人に生活を見られちゃうけどさ、……他に何か困ることがあるの?ここでの生活で」
江ノ島53世「…選びなよ。外の世界に出るか、このまま才囚学園に留まるか」
キーボ「…………色々考えてみたのですが、皆さん、ボクとしてはこのままここに残った方がいいと思うのですが…」
百田「な、何言ってんだよ!?」
百田「ここに残るってことはオレらでコロシアイをしろってことなんだぞ!?」
キーボ「コロシアイをしなければいいと思います。現状維持が最も良い選択です…」
王馬「ロボットの癖に何びびってんだよ」
キーボ「外の世界に何があるかわかったもんじゃないでしょう!?それにボクは食事はしませんが、充電をしなければ動けなくなってしまいます!」
王馬「その辺の自販機のコンセント引っこ抜いて充電させてもらったら?」
キーボ「犯罪ですよ!それに自販機なんかに借りを作りたくないです!!」
王馬「借りって…」
アンジー「んー…、でもアンジーもキーボの案に賛成かなー?実際もし家が無かったら困っちゃうしねー」
春川「…白銀の言うことは全部嘘で、家は本当はあったらどうするの?」
アンジー「その時はその時じゃないかなー?才囚学園にこのまま残れば少なくとも現状より酷くなることは無いしねー」
江ノ島53世「あ、ちなみにここに残ることを決めた人は、これまでのここでの記憶を消して、また最初この学園に来た時の状態にさせてもらうからね」
夢野「なんじゃと!?それでは互いに決して殺し合わないようにしようなどと取り決めを決めても意味がないではないか!」
江ノ島53世「えーっと、正確には54回目のダンガンロンパが開催される時に、ね」
江ノ島53世「それまでは今の状態でここで生活してて良いわよ」
星「54回目のダンガンロンパだと?」
江ノ島53世「そう。例えば1人が外の世界に出ることを選んだら、残りのアタシを含めた15人は、新たな1人の超高校級が補充されるまでここで休戦状態で居て良いのよ」
江ノ島53世「こっちにも色々準備ってもんがあるし、多分半年は安全に暮らせると思うわよ」
江ノ島53世「でも1人補充されたら、その時みんなはまた初期の状態になってもらって、そこから54回目のダンガンロンパの放送が開始されるってわけ」
江ノ島53世「なんでそんなことするかって言うとまあ、リサイクル的な?折角生きてるんだし使わなきゃ勿体無いもんね」
赤松「その補充される1人って、どこから来るの?」
江ノ島53世「またオーディションで選ぶのよ」
江ノ島53世「まあ仮にあんたら全員が外の世界に出ることを選んだとすると、補充されるのは黒幕枠を除いた新規15人、実質完全に新たなダンガンロンパになるわね、次回作は」
江ノ島53世「この番組に出たがる高校生は大勢居るのよ?幾らでも補充することが出来るわ」
江ノ島53世「で、どうする?みんなはどっちにするか決めた?アタシとしてはどっちでもいいんだけど」
天海「俺らの存在が本当にフィクションにしろそうでないにしろ、とりあえず解斗君は外の世界に出るしかないっすよね?病気があるんで」
江ノ島53世「ああ、そのことなら心配ないわよ。ほら、さっきのアンプルあったでしょ?あれマジで治療薬だから安心して使っていいわよ。注射器は倉庫にあるし」
最原「首謀者のお前の言うことなんか、そう簡単に信じられるわけないだろ」
江ノ島53世「じゃあ、百田くんがすぐ死んじゃったらアタシを殺しても構わないわよ」
赤松「そんなに言うってことは、あのアンプルの中身は本物なのかな…?」
江ノ島53世「で、どうするの?あんたらは出て行くの?ここに残るの?」
最原「こんなところ、全員出て行くに決まってるだろ!」
最原「何でわざわざここに残って、また次のダンガンロンパに参加しなくちゃいけないんだよ!?」
江ノ島53世「最原くん、勝手に決めつけちゃダメなんだよ~?ちゃーんとみんなの意見を聞いてあげなくちゃ!」
最原「……居るのか?誰か、ここに残りたい人が…」
全員「…………」
最原(またダンガンロンパに参加させられると知っている上で、ここに残りたがる人なんて…)
夢野「…んあ…、ウチはここに残るつもりじゃ…」
最原「えっ…!?」
茶柱「夢野さん!?何故です!?」
茶柱「あ、安心して下さい!外に出てもし何かあっても、夢野さんのことは転子がお守りしますよ!?」
最原「こんな所に残っちゃ駄目だよ夢野さん!こんな番組は続けさせちゃいけないんだ!」
夢野「ウチが残ろうが残るまいが欠員は補充され、ダンガンロンパは続くではないか!」
最原「いや、続けさせない!僕らは外に出て、この番組を訴えてこんな会社は潰せばいいんだ!」
最原「その前にまず当事者の僕らがダンガンロンパを否定しないと…!」
キーボ「訴えると言っても、外の世界ではこの番組は受け入れられているんですよね?」
キーボ「そのような世界では訴えても無駄だと思われるのですが…」
最原「いや、無駄じゃないかもしれないよ」
キーボ「というと?」
最原「外の世界の人達は、このダンガンロンパをドキュメンタリーとして見てない可能性もあるんだ」
入間「はぁ?外の世界の奴らはこれを生放送だって思ってるし、生放送だからこそ今こうやってコメントを書き込んでんだろ?」
入間「もし生放送じゃなきゃ自分の書いたコメントは一向に流れてこねーし、流石に変だと思って制作会社に電凸すんだろ」
最原「入間さん、生放送だからってドキュメンタリーものだとは限らないよ」
天海「終一君は、このダンガンロンパが外の世界の人達にモキュメンタリー作品だと思われてる可能性があるって言いたいんすね?」
最原「うん、そうだよ。まあ実際はどうかなんていうのは、外に出てから調べてみないとわからないけどね…」
キーボ「そのモキュメンタリーと言うのは、一体何なんですか?」
最原(キーボくんはロボットだから娯楽には疎いんだろうな…)
百田「…オレは勿論わかってるが、キーボや他の奴らにも解るように説明してやってやれよ終一」
最原「うん!わかったよ解斗くん」
最原「えっとまず、ドキュメンタリーの意味は解るよね?」
キーボ「流石にそれくらいは解ります。野生動物の記録映画とか、警察24時みたいなやつですよね?」
最原「まあ要するにそういう作品を指す言葉なんだけど、虚構を用いらずに実際のままを記録した媒体のことだね。つまり、ノンフィクション映像ってことだよ」
天海「ちなみに最初期の映画は全部記録映像…いわばドキュメンタリー作品なんすよ。最初はストーリーなんて無くて、ただ実際の風景を記録した短い作品ばかりだったんで」
キーボ「…それで、モキュメンタリーというものは?」
最原「モキュメンタリーは、架空の事件や出来事を、あたかもノンフィクションであるかのように作っている映像作品のことだよ」
最原「つまり、パット見はドキュメンタリーに見せかけてるけど、本当はちゃんと脚本のあるフィクション作品ってこと」
入間「つまり、詐欺ドキュメンタリーってことだな?」
最原「入間さん、モキュメンタリーっていうのはちゃんとそういう1つのジャンルとしてあるんだよ。視聴者を騙しているわけじゃなくて」
天海「そうっすよ。ちゃんとした一種の芸術表現なんですから、詐欺とかとは全然違うっす」
天海「有名なモキュメンタリー映画だと、『パラノーマル・アクティビティ』とか『REC/ レック』とかっすかね」
天海「日本の作品だと、白石晃士監督の作品が確か殆どモキュメンタリー作品っすよ。白石監督作品なら『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』がオススメっす、長いっすけど。まあどれも面白いんで観てみたらいいっすよ」
百田「ふーん、機会があったら観てみるか」
最原「…止めといた方がいいよ。どれもホラー作品だから」
百田「そ、そうなのか。じゃあほ、ホラーなんてバカバカしい物に時間使ってられねーよな」
天海「ホラーだからって馬鹿にしちゃ駄目っすよ?面白いんで、今度一緒に観ましょうね」
百田「えっ、いやっ…」
最原「…ともかく、これでなんとなくモキュメンタリーって言う物がわかったかな?」
キーボ「まあ、なんとなくは…」
最原「うーん、もっと身近な例で説明すると……ほら、よく夏になったら心霊番組とかあったりするじゃないか。あれの視聴者投稿ビデオみたいなやつの心霊映像、あれもモキュメンタリーだよ」
キーボ「ああ、そういう番組ありますね。なるほど、それならわかりやすいです」
キーボ「幽霊なんてどう考えても非科学的なのに、どうしてあたかも本当であるように振る舞うんでしょうね?」
最原「まあ、ああいうのは季節を感じながら雰囲気で楽しむものだからね…」
真宮寺「幽霊…霊魂は実在するヨ」
真宮寺「自分がその様な体験したことないからといって頭ごなしに否定するのは愚かな行為ですよ」
キーボ「えっと…、すみません…」
最原「……まあ個人の考えだからそういうのは否定はしないけど、ああいう番組に出ている映像は大体作られたものってだけの話だよ」
百田「そ、そうだったんだな…。まあオレは幽霊なんて最初から信じてね―けどよ」
真宮寺「だからさァ」
百田「てか何でさっきから例えが全部ホラーなんだよ!?」
最原「言われてみたら何でなんだろう…。ホラーとモキュメンタリーの相性がいいからかな」
入間「ともかく、そのモキュメンタリーってのがフィクションってことならダンガンロンパはちげーだろ!?」
最原「…僕が最初に言ったこと、もう忘れたの?」
最原「ダンガンロンパは実際にはドキュメンタリー映像なんだけど、モキュメンタリーとして世間に公表してる可能性もあるんじゃないかって言ってるんだよ僕は」
最原「チームダンガンロンパがこの様子を放送している内容をモキュメンタリーものだとしているのなら、殺人だろうがなんだろうが、何やらかしてもそういう表現を含んでいるただのフィクションとして見られるからね」
最原「加えて、あの流れていくコメント…」
最原「多分、地上波じゃなくてブラウザ上で見るタイプのネット放送だよね」
王馬「ずっと生放送してるなら地上波なんて使ってられないもんね、専用チャンネルでもない限り」
最原「しかも専用チャンネルを作ったとしたら、ダンガンロンパをやってない期間が勿体無いからね…」
最原「見ての通り下品なコメントも多いし…、多分ネット生放送だと思う」
最原「地上波じゃなくてネットなら多少過激な表現をしても放送コードになんて引っかからないからね」
最原「そもそもこんな番組には好き物しか観に来ないだろうし…」
最原「というかこんな番組がお茶の間に流れているとしたら、いよいよ幻滅するよ外の世界に」
天海「その時は俺らの世界の放送コードを訴えかけた方がいいかもしれないっすね。コロシアイなんて、子供の教育に良くないですし…」
王馬「そうしたら表現の自由を尊重しろ厨が湧く未来が容易に想像できちゃうね」
最原「ともかく、そういうことだよ。わかった?入間さん」
入間「なんでオレ様だけに振るんだよ!?」
最原「だから僕達は外に出たらまず、ダンガンロンパが世間にどう思われているのか調べる必要があるね」
最原「モキュメンタリーとして思われているのなら、これはドキュメンタリーだと世間に伝えなきゃいけない」
最原「伝わればきっと外の世界の人達も立ち上がってくれて、この会社は終わると思う」
最原「仮にドキュメンタリーだと理解された上で趣味の悪い奴らがこの番組を見ているんだとすると、もうあとはただこの番組…というか会社をどうにか潰すだけだよね」
江ノ島53世「あんたらみたいなザコドモが本気でこの会社が潰せると思ってるの?」
江ノ島53世「片腹痛いわ!」
最原「どんな方法を使ってでも絶対潰してやるからな…、見てろよ…」
江ノ島53世「それにさっきも言ったけど、あんたらはここから出たらまずどうやってこの先生きのこていくかっていう問題に直面するのよ?」
江ノ島53世「ぶっちゃけ、チームダンガンロンパになんて構ってる暇ないと思うけど」
最原「仮に僕らのこの才能がお前らに植え付けられたものだとしても、僕らは超高校級の才能を持った集団だ。どうとでもなるさ」
最原「だから夢野さん、僕と一緒に外の世界に出てくれないかな?」
夢野「……んあ…」
最原「…他にも迷っている人が居るなら、その人もよく考えてほしいと思う」
最原「チームダンガンロンパなんかの言いなりになってここに残って次のコロシアイに参加するか、チームダンガンロンパを潰す為に僕と一緒に来てくれるか…」
最原「どっちがいいか、よく考えてほしい」
東条「私は勿論、外へ出るわ」
東条「この団体を潰すことにも、もし家が無かった場合の貴方方のサポートにも全力を尽くさせてもらうわ」
最原「ありがとう。東条さんにそう言ってもらえると、とても心強いよ」
茶柱「転子も勿論出ます!こんな団体にいつまでも囚われているくらいなら死んだ方がマシですから!」
天海「死ぬのはどうかと…。まあ、俺も外に出るっすけど」
天海「東条さんだけじゃなくて、是非お兄ちゃんにも頼ってくださいっす」
最原「天海くんもありがとう」
天海「お兄ちゃん呼びを……」
王馬「オレも勿論、外に出るよ。悪の総統がいつまでも別の団体に捕まってるとかカッコつかないしね」
ゴン太「ゴン太も出るよ!もし家が無かったら、ゴン太がみんなに山での暮らし方を教えてあげるね!」
王馬「えー!?オレ超都会っ子だから山とか勘弁してほしいんだけど!」
ゴン太「大丈夫!食べられる野草とか結構いっぱいあるんだよ!」
王馬「そういう問題じゃねーよ!野草食うくらいならプライド捨ててコンビニに廃棄弁当貰いに行った方が全然マシなんだけど!」
春川「…赤松はどうする?」
赤松「出るよ、勿論」
赤松「先のことはどうなるかわからないけど、私だってダンガンロンパを潰したいもん」
春川「そう」
赤松「春川さんはどうするの…?」
春川「私も出るよ。ここに居ても何のメリットも無いし…」
春川「フィクション上等だよ」
赤松「春川さん…。…えへへ、嬉しいな」
春川「それに、私が居ないとあんたも困るでしょ?おっちょこちょいだし」
赤松「おっちょこちょいって…。…まあでも、そうかも…」
赤松「ふふ、春川さんってなんだかお姉ちゃんみたいだね。私はお姉ちゃん居たこと無いからよく分かんないけど、多分居たらこんな感じだったのかなって思うよ」
春川「お姉ちゃんか…」
赤松「…もしかして、私みたいな人間のお姉ちゃんなんて嫌だった?」
春川「別に」
赤松「よかったぁ!」ダキッ
入間「な、なんでお先真っ暗かもしれないのに、そんなに余裕ぶっこいてイチャついてんだよぉ…テメーらは…」
赤松「…もしかして入間さんは、ここに残るの?」
入間「あ、当たり前だろ!?なんで自分の居場所がねーかもしれねー場所に出られるんだよ…!?」
赤松「みんなきっと入間さんのことを心配してるよ?一緒に出ようよ!」
入間「みんなって誰だよチクショウ!いねーよそんなヤツ!!」
最原「…発明品が待ってるんでしょ?」
入間「無機物がオレ様を待ってるなんて思ってくれてるわけねーだろ!?」
最原「……入間さんにだって親は居るでしょ?流石に…」
入間「そ、そりゃぁ居るけど、オレ様がフィクションの存在だった場合は家も親もいねーんだろ?」
入間「じゃあ無理ぃ…。それに別段親と仲良かったわけでもないし…」
最原「……一応訊くけど、恋人とか友達は?」
入間「…………」きのこ頭
最原「…………友達も居ないのか…」
入間「…オレ様が天才すぎる故だな…。感性が合わねーんだよ、凡人共と」フッ
最原(困ったな…。特に入間さんの才能にはこの先色々頼るつもりだったのに…)
最原(なんとかして外に出てもらわないとな…)
入間「オレ様には大切なヤツなんて居ないし、野生の世界でなんか生き残れる気はしないし……」
入間「外に出るより、ここに居た方がまだ長生きする気がするし……」ウジウジ
入間「あ、そうだ!オレ様はここに残るけどよ、もしテメーらが外の世界に出た時にフィクションってのが嘘だってわかったら、オレ様に伝えに来いよ!」
入間「フィクションってのがコスプレビッチの嘘だったら、オレ様もここから出るからよ!」
最原「みんな覚悟決めて外に出るっていうのにお前だけ安全策取るとか、ふざけるのも大概にしろよ」
江ノ島53世「てか、そんなのがまかり通るわけないでしょ」
入間「ふえぇ……」
最原「…………」
最原「……入間さん、ゴン太くんが居るから少なくとも野生の世界では生き残ることができると思うよ」
入間「オレ様をあんな野生児なんかと一緒にすんじゃねぇよ!見ての通りオレ様はもっと繊細なんだよ!!」
最原「…………じゃあ、誰か大切な人が居ればいいの?」
入間「だから居ねえっつってんだろ!!そもそもマジでフィクションだとしたら、記憶の中の親だって居ね―かもしれねーってのに…」
最原「…僕じゃダメかな?」
入間「へっ!?」
最原「僕は入間さんの大切な人になれないかな?」
入間「きゅ、急に何言ってんだよテメーは…!?」
最原「駄目かどうか訊いてるんだけど」
入間「え、えっと…」
最原「早く答えて」
入間「……大切な人って、そういう意味なんだよな?」
最原「うん、勿論(大切な仲間って意味だよ)」
入間「てか童貞原の癖に生意気言ってんじゃねーぞ!?///」
最原「…そうだよね。ごめん、もう言わないから忘れてくれていいよ」
入間「えっ!?諦めちゃうの!?」
入間「…………わ、わかった。しかたねーから、テメーの為に外に出てやるよ…///」
最原「本当?ありがとう入間さん」手ギュッ
入間「!?て、手なんか握ってんじゃねーよ!///」
最原「ごめん、馴れ馴れしかったよね」
入間「いや、別にいいんだけどよ、手くらい…」
最原(どっちだよ。というか思ったよりかなりチョロくて助かったな…)
最原「他のみんなは…どうするの?」
星「俺は外に出るぜ。俺の過去が本当にフィクションだとしたら、もう俺は何にも囚われる必要なんてねーからな」
星「もしフィクションなんていうのが嘘っぱちでこの記憶が現実なら、その時はお役目を全うするだけさ」
最原「星くん……」
百田「…勿論オレも出るぜ」
百田「ここから出てさっさと病気なんか治して、とっととダンガンロンパなんかぶっ潰してやるぜ!!」
最原「……うん、必ずやりとげようね」
最原(あとはアンジーさん、真宮寺くん、キーボくん、夢野さんか……)
最原「………………真宮寺くんはどうするの?」
真宮寺「ンー…、悩むところだよネ…」
真宮寺「……最原君は、シュレディンガーの猫は知ってるよネ?」
最原「…勿論知ってるけど、それが何?」
真宮寺「僕達は今、自分達の存在がフィクションである状態とそうでない場合の2つの状態が重なっているんだヨ」
真宮寺「箱を開ければそのどちらかがわかる…」
真宮寺「でもネ、僕はこの箱を開けるのが凄く恐ろしいんだヨ…。もし猫が死んでいたらどうしようかと思ってネ…」
真宮寺「だったらいっそ、箱は開けずにそのままにしておくのも1つの選択肢かなって思ってサ…」
最原「そっか、わかったよ。それで良いと思うよ」
百田「食いつかねえのか!?」
最原「本人が残りたがってるのに、あんまり言うのもどうかなと思って」
キーボ「あんまりも何も、全く引き止めませんでしたよね…?」
最原「僕を殺そうとした奴を気にかけられるほど、僕は心に余裕がないからね。仕方ないでしょ」
百田「……オレは?一応オレも終一を殺しかけたけどよ…」
最原「あれは僕がそうなるように頼んだんだし、元々は白銀つむぎがそうさせたから全然ノーカンだよ。真宮寺くんは自発的だったからアウト」
真宮寺「ククク…、手厳しいネ…」
最原「それじゃあ、アンジーさんはどうする?」
アンジー「うーん…、とっても難しい問題だよねー」
アンジー「そもそもアンジーは今日もいつも通り神さまに体を貸して作品を作りながら過ごそうと思ってたのに、急にこんなことになっちゃうんだもん。びっくりだよー」
最原「…なんか、ごめんね」
アンジー「んーん、終一達はコロシアイ生活を終わらせる為にやってたんだから何も問題は無いって神さまも言ってるよー。ただ急でビックリしちゃっただけだからー」
アンジー「だから、どうしたらいいのか神さまもちょっと迷ってるみたいなんだよねー」
最原「…神さまはどれくらいで考えがまとまりそうだって言ってる?」
アンジー「難しい問題だからねー、半日は考えたいって言ってるよー」
キーボ「神さまなのに考える時間が必要なんですね…」
最原「ごめん、そんなに待ってられないんだ。キミが今決めてくれないかな?」
アンジー「うーん…。でもでもー、神さまの言うことに間違いはないんだから、神さまが決めるまで待つのが良いと思うよー?」
夢野「…アンジーよ、ウチと共にここに残ってはくれぬか?」
茶柱「えっ!夢野さん…、結局残っちゃうんですか!?」
夢野「う、うむ…」
最原「どうして…」
夢野「…アンジーの神さまも言っておったが、このような重要な問題はそうやすやすと決められるものではない…。ウチもこの考えが正解かどうかなんてわからん…、数日後には後悔することになるやもしれん…」
夢野「じゃが今は…、真宮寺が言っておった通り、ウチは真実を知るのが恐ろしいのじゃ…」
夢野「何も知らなければ外にはウチの知っておる日常が、居場所があると思える。希望があるんじゃ」
夢野「ウチはこの記憶が嘘などとは思いとうない!別に河原暮らしが嫌だというわけではない、魔法使いのウチを認めてくれる人が外に居なかったら嫌というだけじゃ…!」
夢野「面倒くさがりなウチが唯一打ち込んできた魔法を、その成果を誰も見てくれていないなんて、本当に今までの人生が全て否定されたことと同じではないか…!」
夢野「もしウチのこの才能が嘘だとすると、ウチの人生は一体何だったというんじゃ…!」
最原「…まだ、僕らの存在がフィクションだと決まったわけじゃないよ」
夢野「確かにそうじゃ。じゃが、もし外に出てウチらが全て設定付けられた存在だったとしたらどうするんじゃ?」
夢野「代わりに最原が何か責任を取ってくれるというのか?」
最原「…いや…」
夢野「ウチはお主とは違い、自分の才能に誇りを持っておる…。フィクション説が嘘という保証も無いのにそう簡単に外には出れはせん…」
茶柱「外の世界はどうか知りませんが、少なくとも転子は夢野さんの魔法を認めておりますし、立派な魔法使いだと尊敬していますよ!」
夢野「仮にウチらがフィクションだとすると、ウチは…、同じフィクションの転子にそのようなことを言われても嬉しくないわい…。そんなの、ただの慰めあいではないか…」
茶柱「…転子のこの気持ちはフィクションではなく本物なのですが、…それでもいけませんかね…?」
夢野「何もかもがフィクションというなら、その気持もフィクションである可能性もあるじゃろう…」
茶柱「…そう言われると、何も言えなくなっちゃいますね…」
最原「例え僕らがフィクションだとしても、人工的な才能かもしれないけどキミのマジk…魔法の才能は本物なんだし、キミが才能にだけこだわっているというなら、そんなに気にするほどのことでもないんじゃないかな?」
夢野「じゃから、お主とウチでは才能の価値観が違うんじゃ!ウチにとっては人生そのものなんじゃ!」
最原「外に出て、また1からマジシャンとして活動するっていうのは駄目なの?」
夢野「…それじゃ駄目なんじゃ」
夢野「そもそもウチは師匠の為に魔法を続けてきた…。じゃが、全てがフィクションだとすると、ウチの魔法の師匠は外の世界には居ないということになる」
夢野「師匠の居ない世界で魔法を続けても……」
茶柱「では今後は、自分の為に魔法を使ってはどうでしょうか?転子達が設定だとしたら、もうその設定に縛られる必要なんてないと思うんです」
茶柱「だから、与えられた物を好きに利用しちゃえばいいと思います!」
夢野「…お主はポジティブじゃな…」
茶柱「ええ!転子の取り柄ですから!」
夢野「では…、もうすこし考えさせてはもらえぬか?」
最原「一応言っておくけど、ここに残れば確かにフィクションかの確認は取れないし、次のコロシアイ開始の時にこの記憶を失って自分をフィクションと疑うことは無くなるだろうけど、キミみたいな小柄な女の子はコロシアイ生活が始まったら真っ先にターゲットにされてもおかしくないんだからね」
夢野「……」
茶柱「ちょっと!怯えさせないでくださいよ!」
最原「外に出たくなるようにアドバイスしてるだけじゃないか。それに、知り合いが殺されちゃったら流石に寝覚めが悪いし…」
最原「それじゃあキーボくん、キミはどうする?」
キーボ「…皆さん、殆ど外に行かれてしまうのですね…」
天海「ええ。だから君も一緒に外に行きましょうよ」
キーボ「……ボクの内なる声は、ここに残れと言っているんですよね…」
王馬「そんなに自販機に頼りたくないの?」
天海「じゃあちょっとお金かかりますけど、カフェの充電コーナーを使わせてもらうとか、カラオケボックスに入って充電するとか…」
キーボ「いえ、別に充電を気にしているわけでは……まあ、少しは気にしてますけども…」
キーボ「ボクが選択に迷った時には、ボクの内面から聞こえてくる内なる声がいつも導いてくれるんですよ。その内なる声がハッキリとここに残るべきだと言っているんです」
キーボ「…正直、ボク自身としては迷っているのですが…」
王馬「だからそれはラジオかタクシーの変な無線拾ってるだけだってば。うざいし切っちゃいなよ」
キーボ「だから無線じゃないですってば!切れませんよ!」
入間「じゃあテメーはここに残るって言うのか?」
キーボ「うーん…。どちらかと言うと、ボクとしては外に出て飯田橋博士に会いたいとは思うのですが、内なる声が残るように指示してくれているのが気になるんですよね…」
入間「ここに居る間はオレ様は大体マザーモノクマにかまけていてテメーを弄れなかったからなぁ…。弄りてーんだよなぁ、超高校級のロボット…」
王馬「じゃあ今弄らない?その変な呼びかけする回路切っちゃおうよ」
キーボ「止めてくださいってば!飯田橋博士が付けてくれた機能なんですよ!?」
アンジー「その内なる声って言うのは、きっと神さまの声だねー」
キーボ「えっ!これが神さまの声なんですか…!?」
アンジー「うん、きっとそうだよー。アンジー以外にも神さまの声が聞こえる人に会うのは初めてだなー」
最原(キーボくんは人じゃないし、その声は神さまの物でもないと思うけど…)
アンジー「でもアンジーの神さまとは別の神さまだろうねー。アンジーの神さまはハッキリそんなことは言ってないからねー」
最原(アンジーさんって多神教だったんだな…)
アンジー「キーボの神さまとちょっとお話したいなー。どうしたら話せるのかなー?」
キーボ「えっと…、どうすればいいんでしょう…」
王馬「ロボットにお告げする神さまとかどこの神さまだよ」
キーボ「……機械神?とかでしょうか」
最原「神なのに機械仕掛け?なんだ…」
天海「デウス・エクス・マキナっすかね?」
最原「それはまた違うよね…」
天海「勿論、ちょっとボケてみただけっすよ」
江ノ島53世「まあ番組的にはデウス・エクス・マキナが欲しかったよねー」
最原「心にもないこと言うなよ。僕らをコロシアイをさせようとした癖に」
江ノ島53世「え~、本音だよ~?勿論キミ達にはコロシアイをしてほしかったけどー、みんなにはその死と裁判を乗り越えてご都合主義的に希望に向かってほしかっただけなんだよ~?」
江ノ島53世「今回の場合だと天海君かキーボ君辺りが皆さんを導いて輝かしい未来へ導いてくれれば万々歳でしたね。まさかこんなことになるとは思いもしませんでしたが、まあこれはこれでレア回ですね。…GMとしては消化不良になってしまいましたが」
最原「…アンジーさん、キーボくんのその内なる声ってやつとは話せないと思うよ」
アンジー「そっかー、残念だなー」
最原「キーボくんはさ、どっちかって言うと外の世界に出たいんでしょ?ならそんな内なる声なんて無視して出ちゃったら良いんじゃないかな?」
キーボ「しかし…」
最原「その飯田橋博士って人に会いたいんでしょ?」
キーボ「はい、とても会いたいです…。飯田橋博士はボクにとって親も同然の方なんです」
キーボ「ですがボクの中から聞こえる声は、今も外に行くべきではないと言い続けています…」
キーボ「普段は一言伝えれば声は止むのですが、今は繰り返しここに居るように言ってきてるんです」
キーボ「これはきっと何かあるから、いつもと様子が違うのではないかと思うんですよね」
王馬「それ、ただバグってるだけじゃない?」
キーボ「……多分、バグとかではないと思います」
最原「多分なんだ」
キーボ「……ここに監禁されてしまっているせいで最近はメンテナンスをやってもらっていないので、ちょっと断言は出来ないんですよね…」
最原「まあ…、さっきアンジーさんにも同じこと言ったけど、キミが決めた方が良いんじゃないかな。わけのわからない声に頼るより」
キーボ「ムムム…。…今までボクはこの声に従ってきて間違ったことは無かったと思うので、ここは声が言うようにここに残…」
最原「へぇ、キミの飯田橋博士に対する思いはそんなもんなんだね」
キーボ「そ、そんな意地悪な言い方しないでくださいよ!」
百田「言い方は意地が悪いが、終一はテメーをここに残しておきたくねーんだろうよ」
最原「うん。折角キーボくんとも友達になれたのに、こんなところでお別れだなんて寂しいからね」
最原「一緒に外に出てキーボくんともっと仲良くなって色々思い出作りたいし、是非その飯田橋博士を紹介してほしいな。キーボくんを作った人なんだから、きっと素敵な人なんだろうね」
キーボ「最原クン……そんなこと言われても、ボクはチョロくないですよ」
最原「そっか」
王馬「終一ちゃん、ロボットに心に響くような言葉をかけたって無駄だよ。だってロボットに心なんてあるわけないもん」
最原「言われてみれば確かにそうだね」
キーボ「お2人とも、機会がありましたらまとめて然るべき機関で訴えさせていただきますからね」
最原「もう理由それでいいや、僕達を訴えたかったら一緒に出ようよ。訴えてもいいけどチームダンガンロンパの件を先に片付けてからね」
キーボ「不思議な交渉をしますね…」
最原(チームダンガンロンパを倒すのには時間がかかりそうだし、倒し終わった頃にはキーボくんも忘れているか、今まで一緒に協力してきた仲間を訴えようなんて思わないだろうしね)
最原(というか、ただロボット差別を止めてほしくて脅しで言っているだけな気がする)
キーボ「…………そうですね…。先ほどの夢野さんの言葉をほぼそのまま借りることになりますが、…このようなことはそう簡単に決められることではありません。ボクはこの選択が正解かどうかは現状では判断しかねますし、数日後には後悔してしまうかもしれません」
キーボ「…ですが、ボクはどうしてもこの内なる声に従った方が良いような気がするんです…。というか、あまりこの声に逆らいずらいというか…」
最原「……そっか、わかったよ。じゃあ僕はもう何も言わないね」
キーボ「すみません…、折角外に誘っていただいたのに…」
最原「ううん、別にいいよ。キミが決めたんだから謝ることじゃないよ」
最原「…ロボットの破壊って人を殺すより罪悪感が無いものだから、頑張って次回最後まで生き残れたら良いね」
キーボ「夢野さんの時といい、一々脅してきますね…」
最原「そんな…、心配してるだけだよ」
キーボ「受け手が脅しと感じたらそれは立派な脅し行為ですよ」
最原(本当に心配して言ってあげただけなのに…、キーボくんってロボットだからか面倒くさいな…)
最原「……アンジーさんと夢野さんも、そろそろ答えは決まった?」
夢野「んあ…、もう決めなければならん時間か…」
アンジー「んー、どうしよっかなー」
アンジー「……じゃあアンジーも外に出よっかなー!」
夢野「…何故アンジーは出ることにしたのじゃ?参考までに決め手を教えてもらえぬか?」
アンジー「殆どみんな外に出るからだねー。アンジーはねー、神さまが意見くれない時は仕方ないから民主主義的に決めるんだー」
最原(アンジーさんの島ってもっと宗教による独裁政治的なイメージあったんだけど、思ったよりまともな文化がありそうだ…。それでも神さまの意見が第一みたいだけど)
アンジー「それに、みんなと神さまが居ればどんな場所でもきっとなんとかなると思うんだー」
夢野「そうか…」
夢野「…………」
夢野「ウチは……すまぬ。ここに残ることにするわい」
茶柱「な、何故ですか…?」
夢野「理由は先に言った通りじゃ。外に居場所が無かったら嫌なんじゃ」
夢野「ここはコロシアイが強要される最悪な場所じゃが…、こんな場所じゃが、ここには超高校級の魔法使いの居場所があるからの……」
茶柱「夢野さん……」
夢野「これは時間が無いなりに、頭が良くないなりに、ウチが一生懸命考えて導き出した結末じゃ。これ以上説得を試みようとしてウチを惑わそうとせんでくれ」
夢野「もう、あれこれ考えるのはめんどいんじゃ…」
茶柱「……そう、ですか…」
茶柱「……例え外の世界がフィクションだったとしても、夢野さんが次外に出られる時までに夢野さんが安心して過ごせる居場所、転子が作っておきますね!」
夢野「…………」
江ノ島53世「えーっと、これで全員分の意見が出たわよね?」
江ノ島53世「留年するのは夢野さん、キーボくん、真宮寺くんで、残りは全員卒業希望ってことでOK?」
最原(全員がうなずいた…)
江ノ島53世「では御卒業の皆様、出口へ御案内致しますのでこちらへどうぞ」
王馬「あ、ちょっと待って」
江ノ島53世「なによ」
王馬「部屋に物を取りに行きたいんだけど」
江ノ島53世「はぁ~?」
入間「あー、オレ様も研究教室にちょっと物取りに行きてーな」
最原「僕もちょっと…」
赤松「じゃあ私も行こうかな」
春川「私も」
江ノ島53世「な、何言ってんのよ!これからって時に!」
東条「そうね…、私はみんなの為にお弁当を作りましょうか。みんな、リュックやバッグ類は倉庫の入って1番右の棚のところにあるわよ」
江ノ島53世「ピクニックじゃないんだからさぁ…」
東条「安心して頂戴、切って詰めるだけにするつもりだから時間はかからないわ」
江ノ島53世「いや、そういう問題じゃないから!」
王馬「ケチケチしないでよ。てかモノタロウの充電器取りに行かないと充電できなくなって大変じゃん」
江ノ島53世「なんで当たり前のように、ウチの備品持って行こうとしてるのこの子!?」
王馬「モノタロウはオレの組織に入るんだよ、ねー?」
モノタロウ「あれ?オイラそんな約束したっけ…?」
王馬「えっ!忘れたの!?酷いよ…」
モノタロウ「ご、ごめんね!なんかそんな約束した気がしてきたよ!」
王馬「ってことで、もうオレと雇用契約が成立してるからコイツは連れて行きまーす」
江ノ島53世「目の前で詐欺が繰り広げられたようにしか見えなかったんだけど」
王馬「いや、マジでそういう話したから。コイツが忘れてるだけでさ」
春川「…赤松、今のうちに部屋に荷物取りに行こう」手グイッ
赤松「あ、うん!」タタタッ
江ノ島53世「あー!ちょっとぉ!?」
江ノ島53世「…ああもう!30分だけ時間あげるから、あんたらさっさと準備してきなさいよ!もう!」
江ノ島53世「卒業希望者で30分後ここに居なかったら、居ないヤツは置いてくからねー!?」
王馬「じゃあオレも行こーっと」モノタロウ抱え
江ノ島53世「あんたは待ちなさい」
王馬「モノクマーズはあと4体もいるんだから、1体くらいいいじゃん」
江ノ島53世「バランスってもんがあるのよ。てか何でよりにもよってレッドを連れて行くのよ。センターじゃん」
王馬「そんなの知らないよ。てか時間無くなるからオレもう行くね」テテテッ
江ノ島53世「……絶望した!私は首謀者なのに参加者に舐められまくってて絶望した!!」
モノスケ「なんでどっかの先生みたいな言い方なんや。折角絶望なんやから江ノ島っぽく喋れや」
モノファニー「元気出して白銀さん。ほら、『今回の首謀者かわいい』ってコメントも流れてきてるわよ?」
江ノ島53世「その『かわいい』は…、決して褒め言葉ではないですね…。あと、白銀じゃなくて江ノ島ですね今は…」
江ノ島53世「…あ、『コスプレのクオリティだけはいい』?ありがとうございます…」
最原(白銀つむぎが頭にキノコを生やして、流れていくコメントに適当に返事をしている…。不気味だ…)
最原(みんな荷造りの為に食堂を退室して行っている。…僕も準備をしてこよう…)
最原(僕は先ほど床に叩きつけて壊したパソコンを拾い、自室に行く前に倉庫に寄った…)
ー赤松の研究教室ー
赤松「……」
春川「ここに何か忘れ物でもあるの?」
赤松「ううん、忘れ物は無いんだけどね」スタスタ
赤松(私はしゃがんで、ピアノの下辺りの床をペタペタと触ってみた)
春川「確かその辺に隠し通路があるんだっけ」
赤松「うん。…でもわかんないね、隙間とか無いし」
春川「多分天海のものっぽい血痕が落ちてるし、そこにあるのは間違い無さそうだね」
春川「でもその隠し通路って食堂から一方通行とか言ってたし、こっちからじゃ開かないんじゃないの」
赤松「そうだね」
赤松(私はリュックを床に降ろし、先ほど倉庫から持ってきた物を取り出した)
赤松(はぁ、とため息をついてピアノを触る)
赤松「…こんなことして、ごめんね」
赤松(私は手に持った細身の彫刻刀でピアノの底の木を削り出した)
春川「何してるの?」
赤松「『コスプレイヤーがいたらその人が首謀者』って彫ってるんだよ」
赤松「こんなことしても無駄かもしれないけど、ここに書いてればもしかして次回誰かが気づくんじゃないかと思って…」
赤松「ペンで書いたら塗りつぶされちゃうかもしれないからね。彫ってれば、これをチームダンガンロンパが消そうとしても周りを均等に削り取る必要があるし、そんなことしたら違和感があるだろうから……」
赤松「…まあ、模様替えとかピアノ撤去とかされちゃう可能性もあるけどね…」
赤松「でもグランドピアノって高級品だし、そう簡単に買い換えたりとかはしないと思うから、次回も誰か音楽系の才能持ってる人が居たらこのピアノが研究教室に置かれると思うんだよね」
赤松「だから、まあ……肝心の次回のコロシアイ参加者に気づいてもらえなかったりする可能性もあるけど、このままここにピアノが置かれていれば、もしかしたらこの下の隠し通路を見つけた人が気づいてくれるかもしれないし……」
赤松「……私にはこんなことしか出来ないけど、次巻き込まれちゃう人の助けになれたらいいなぁって…」
赤松「あんまり時間もないし無駄になるかもしれないのに、こんなことして私って馬鹿でしょ?だから先行ってていいよ、春川さん」
春川「ほんとあんたって馬鹿だよね」
赤松(そう言った春川さんはそのまま立ち去るのかと思いきや、私の隣に膝をついてしゃがんだ)
春川「彫刻刀貸して、私が彫るよ。あんたは不器用なんだから危なっかしくて見てられないよ。彫るのも遅いし」
赤松「いいの?」
春川「うん。その代わりにモノパッドの光で照らして。ピアノの下暗くて見づらいから」
赤松「わかったよ」
赤松(私はモノパッドの明かりを点けてピアノの下の板を照らした)
赤松(春川さんは、なるべく深く彫りこんでくれた)