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赤松「マッド赤松絶望のデスロード?」最原「もしくは安価でif1章」【ロンパV3】
ーデスロード出口前ー
キーボ「はぁ…、本当に来れましたね、ゴール…」
百田「だから言っただろ」
キーボ「でも途中、かなり危なかったじゃないですか」
キーボ「百田クンは石を投げるのが下手すぎます!」
百田「う、うるせー!無事辿り着いたんだから良いだろうが!」
キーボ「…まあいいでしょう」
キーボ「で、この扉がその偽の外の世界へ続く出口ってやつですか?」
百田「ああ。行けそうか?」
キーボ「いえ、まず開けてもらわないと行けるかどうかもわかりませんから…」
百田「それもそうか」
百田「だがここを開けちまうとオレら人間は呼吸が出来なくなって会話出来なくなっちまうからな」
百田「今のうちに言っておくべきことを言っておくぜ」
キーボ「ええ、お願いします」
百田「昨日も言った通り、この先にある光景は何故か滅んだ地球だ」
百田「だがたったの数日で地球が滅んじまうわけがねえ!」
百田「よってこの先にあるのはモノクマ達が用意した偽の空間だ」
百田「いいか、偽物の空間だからな!」
キーボ「そんなに何度も言われなくてもわかってますよ…」
百田「で、この先の空間は空気が汚染されていてオレら人間には調査することが出来ねえ」
キーボ「それでボクを誘ったんですもんね」
百田「ああ」
百田「お前にやってほしいことはズバリ、この先の空間が偽物ってことを暴くことだ」
キーボ「えっと…、具体的にはどうやったら偽物って暴けるんですかね?」
百田「あえて空気を汚しているんだとしたら、この中は室内のハズだ」
百田「だからスミまで歩いて行きゃ背景が描かれた壁にぶつかったり、瓦礫を登ってみれば空が描かれた天井にぶつかったり、またはどっかからか汚染された空気が排出され続けている通気口みたいなもんが見つかると思うんだ」
百田「そんなもんを見つけたら、証拠としてこの使い捨てカメラで撮影してきてほしいんだ」つ使い捨てカメラ☓3
百田「一応3つ倉庫から持ってきたが、27枚撮りだから残りのフィルム枚数に気をつけて撮れよ」
百田「使い方はわかるな?」
キーボ「ええ、把握しています」
百田「あと一応懐中電灯だ、電池は入れたばかりだから多分大丈夫だろ」つ懐中電灯
百田「それとタイマーだ」つタイマー
百田「外に出ちまうと、もしかしたら外からこの扉を開けることが出来なくなるかもしれねーからな…」
百田「タイマーの残り時間が0になったら、オレは一度この扉を開ける」
百田「さっきも言った通りここを開けるとオレは呼吸が出来なくなるから、開いたらできるだけ早く中に入ってきてほしい」
百田「もしドアを開けてもオメーが見当たらなかった場合は、一度扉を閉めて、それから10分後毎に扉を開ける」
百田「だから、探索途中だろうがなるべく遅刻すんなよ!オレが無駄に疲れるだけだからな」
キーボ「気をつけますね」
キーボ「ところで百田クンは当たり前のように扉を開けるだの閉めるだの言ってますが、あのドアの横の機械で操作するんですよね?」
キーボ「以前開けた時も百田クンが操作して開けたのですか?」
百田「いや、前はモノクマーズが開け閉めしてたんだが…」
百田「安心しろ!ちゃんと操作の時の手元を見ていたし、単純な操作だったからどこを押せばいいとかは分かってるぜ!」
キーボ「その言葉、信じていますね…」
百田「それじゃあまずはタイマーは1時間にセットしよう」自分の分のタイマーセットポチッ
百田「中の広さが全然わかんねーからな」
キーボ「わかりました」ポチッ
キーボ「なるべく終了の5分前には扉の前で待機できるようにしておきますね」
百田「じゃあそろそろ扉を開けるぜ」
百田「行けると思ったらそのまま進んでくれ」
百田「もし駄目そうなら手を上げてくれ、そうしたらすぐに閉める」
キーボ「はい」
百田「キーボ、準備は出来たか?」
キーボ「ええ。受け取った物も石を入れていたポシェットに入れましたし…」
キーボ「はい、大丈夫です」
百田「よし、開けるぜ!」ポチポチ
ゴゴゴゴゴ…
百田「キーボ、安心しろ!お前が帰ってくるまでオレはずっとここで待機しているからな!」
キーボ「は、はい…!」
百田(キーボは開いた扉に向かって歩き出した)
百田(やっぱりキーボはここの空気は大丈夫みたいだな)
百田(キーボが出ていったのを見送ると、オレはもう一度機械を操作し、扉を閉じた)
百田(オレには待つことしかできねーが、キーボならきっとこの外の世界の重要な証拠を見つけて帰ってきてくれるはずだ…)
百田(オレはその場にあぐらをかき、時間が経つのを待つことにした)
ープールー
最原(さて、モノクマーズは帰ったし王馬くんも体育館を調べに行ったし…)
最原(入口のドアのガラスを出入りに支障がないように撤去したし…)
最原(よし、僕も調査を始めよう)
最原(…足元のガラスは別にそのままでいいよね?)
最原(気をつけてドアをくぐって…)
最原「…プールか…」
最原(高級ホテルや高級マンションの屋上にあるような感じのプールだね)
最原「やけに水が少ないな…?」プールを覗き込み
最原(飛び込み台もあるのに…こんな水位だと大怪我してしまうよね)
最原(あとは…、あの窓は体育館の窓かな?)
最原(なるほど、体育館とプールは隣接しているのか)
最原(…これは秘密の通路には関係無さそうだな)
最原(そもそもこのプールには秘密の通路に関するものは無いと思うんだよね…)
最原(僕ら生徒の中に黒幕が居るとすると、ここはさっきまで封鎖されていて鍵穴も無かったから、黒幕でさえ出入り不可能だったろうからね)
最原(まあ調べられるから一応調べるけどさ)
最原(これは、プールでの注意事項だね)
最原「夜時間は遊泳禁止か…」
モノクマーズ「「おはっくまー!」」
最原「うわ、また出た…」
モノファニー「夜の水場は事故が多いわ、事故で命を落とすような事があったら大変だもの」
モノスケ「コロシアイで命を落としてもらわんとな!」
モノタロウ「夜時間にプールに来るだけならいいけど、水に触れた時点で校則違反だからね」
モノタロウ「あ、これ…大事なことだから、念のために校則にも追加しておくよ」
モノスケ「あ、せや!未開放箇所をむりやりこじ開ける行為の禁止の校則も追加しとくで!」
最原「遊泳禁止も何も、ここは水が少なくて泳げないんじゃ?」
モノファニー「ちゃんと泳げるだけの水はあるわよ、深いプールだから水が少ないように見えるだけなの」
最原「へぇ…」
モノクマーズ「「ばーいくまー!」」
最原「校則の追加か…」モノパッドポチポチ
最原「あ、ほんとだ、追加されてるね」
最原「……『学園長の都合により校則は順次増えていく場合があります』ね…」
最原「…学園長はモノクマであって、モノクマーズは学園長じゃないんじゃ…」
モノクマーズ「「おはっくまー!」」
モノスケ「確かにワイらは学園長ではないけど、お父やん不在時はワイらが学園長みたいなもんやで!」
モノキッド「校長の座を狙う教頭みたいな立ち位置だな!ヘルイエー!」
最原「そういう話、漫画の中でしか聞いたことないけどね…」
モノファニー「まあ似たようなものよね、漫画もこれも」
最原「えっ」
モノクマーズ「「ばーいくまー!」」
最原「…何で僕はモノクマーズとこんなやり取りしてるんだろ…」
最原(モノクマーズも暇なのか…?葬式中なんじゃ…?)
最原(…あんなやつらのことなんて気にしないようにしよう)
最原(こっちの扉は何かな?)ガチャッ
最原「…用具室か…」
最原「ビート板、水球用ボール、ゴム製の浮き輪…」
最原(特に気になるものは無いかな…)パタン
最原(こっちのドアは更衣室か…)
最原「……まあどんなもんか、男子更衣室の方だけ覗いとこう」チラッ
最原(女子更衣室は……性転換したら入ろう、今のところ予定はないけど)
最原「さてと、これで一通り見終わったかな」
最原(ここにはきっと秘密の通路は無いし、ここの探索はこんなもんでいいんじゃないかな)
最原(中庭の調査に戻ろう)スタスタ
東条「あら、最原くん」
最原「あ、東条さん」
東条「ちょっと訊きたいことがあるのだけど、いいかしら?」
最原「何かな?」
東条「このドアのガラスを割って、ここの床にガラスを散らかしたままなのは最原くんかしら?」
最原「!!?」
最原(確かに僕はガラスを放置したけど、これを割ったのは王馬くん…)
最原(なんて答えよう…)
最原(多分東条さんにちょっと怒られて時間をロスしそうだな…)
①自分のせいと言う
②王馬のせいと言う
>>↓1安価
249 : 以下、名... - 2017/04/13 00:22:09.79 edQ6sY1gO 177/16552
最原「それ、さっき王馬くんが割っていったんだよね」
最原「僕はそれを見て、この先が行けるようになったからちょっと中を見てたんだけど…」
最原「割れたガラスをそのまま置いとくのは危ないと思ったんだけど、先に中を覗いてからどうにかしようと思って…」
最原(嘘はついてないぞ…)
東条「そう、王馬くんがやったのね」ガラスガチャガチャ
東条「じゃあここを掃除し終えたら王馬くんを叱りに行かなくちゃいけないわね」掃除テキパキ
東条「ついでにここを今後出入りできるように、ツタも切っておきましょうか」ジョキジョキ
最原「そういえば東条さん、食堂のテーブルはもう直ったの?」
東条「ええ、ただ今はまだ塗ったペンキが乾いてないと思うから、昼食は別の場所で食べることをオススメするわ」粘着シートで床コロコロ
東条「夜までにはペンキも乾いて使えるようになっていると思うわ」
最原「そうなんだね、わかったよ」
東条「さて、これで今後ここの出入りがしやすくなったわね」
最原(!ドア枠に残っていた残りのガラスの除去と床に散らばったガラスが無くなり、プールの看板から垂れていたツタが完全に無くなった…)
東条「みんな校則にプールのことが追加されたのを知ったはずだし、これで安全に使う事ができるはずよ」
東条「えっと…、王馬くんは体育館に居るのね」モノパッドマップチェック
東条「じゃあ私は行くわね」スタスタ
最原(30分くらいで怒られるの解放されたらいいけど…)
最原(まあ、僕は僕の仕事をやろう)
最原(まずはこのままプール側の校舎の外壁に怪しい箇所がないか探そう…)壁ペタペタ
アンジー「あ、終一ー、やっはー!」
最原「アンジーさん…と、赤松さん…どうしたの?」
アンジー「なんかねー、プールが解放されたってモノパッドにあるから、プールの様子を見に来たんだよー」
アンジー「そしたら終一がなんか怪しいことしてるのを発見したからアンジー達は声をかけたのだー!」
最原「怪しいことって…;」
赤松「えっと、学園の調査だよね、わかってるよ」
アンジー「学園の調査ー?」
最原「うん、えっと、なんとなく怪しいとこないかな?って今は中庭の調査をしてるんだよね」
最原(細かいこと話すわけにもいかないしね…)
最原(あれ?そういえば何で赤松さんがここに居るんだろう)
最原(今日はデスロードに行かないのかな?)
アンジー「調査かーなるなるー」
アンジー「探偵は大変だねー」
赤松「えっと、私も手伝おっか?」
最原(誰が黒幕か分からない以上、安易に仲間を増やすわけにもいかないしな…)
最原「いや、大丈夫だよ」
最原「僕が好きで調査してるだけだからさ」
赤松「…そっか」
赤松「…やっぱり私は誰の役にも立てないのかな…」
最原「え?」
アンジー「楓ー、アンジー達もそろそろプールの調査行こっかー」
赤松「うん、見に行こっか」
赤松「それじゃあ最原くん、頑張ってね」スタスタ
アンジー「ぐっばいならー」スタスタ
最原(赤松さん、やっぱり百田くんと何かあったのかな…?)
<わぁ!豪華なプールだね!
<女子誘ってみんなで泳いじゃおっか―
<そういえば倉庫に水着があったよ!
最原「……」
最原「…いやいや、僕は学園の調査が…」壁ペタペタ
最原「…くそっ!なんでコロシアイ生活なんてさせられてるんだよ僕達は…!」壁ダンッ!
最原「平和な生活なら…!!」壁ダンダンッ
最原「絶対に許さないからな黒幕め…!」壁ベシベシッ
最原「何でコロシアイなんだよ!恋愛観察バラエティとかでいいじゃないか!!」壁ペチペチ
最原(そのまま僕はお昼ごはんの時間まで、プールの側の壁と地面を叩いたりしながら調査しまくった)
最原(お昼ごはんは、倉庫にあったカップ麺のカレーうどんをさっさと食べて済ませた)
最原(さて、午前中はプール内部とプールから裏庭へ続く壁と地面を調べ終わったんだよな…)
最原(カップ麺を選んでる時女子が水着を選んでいたから、女子は恐らく今頃プールで遊んでるんだろうなぁ…)
最原(つまり今プールに行くと…)
最原「……」
最原(いや、何を考えているんだ僕は…)
①プール周辺をもっとよく捜査すべきだと思う
②真面目に捜査を進めよう…
>>↓1安価
256 : 以下、名... - 2017/04/13 01:33:35.45 qwSQIkYZo 183/16552
最原(……裏庭の調査をしよう)
最原(正直、屋外で何か仕掛けがあるとしたらプールの側…つまり図書室の上辺りが怪しいと思ったんだけど、期待外れだったな…)スタスタ…
最原(僕が食堂のテラスを通って屋外へ出ると、王馬くんと鉢合わせてしまった)
王馬「あ、最原ちゃん!さっきはオレ、東条ちゃんに怒られて大変だったんだからね!」
最原「元々王馬くんがガラスを割ったままどっか行っちゃったからだよね…」
王馬「最原ちゃんが片付けしてくれたら良かったのに」
最原「えぇ…」
最原「…ていうか何で王馬くんが外からこっちに来たの?」
王馬「ん?オレもそろそろお昼食べようと思って来ただけだけど?」
最原「いや、何で食堂に来たかじゃなくて、王馬くんって屋内調査組だったよね?」
王馬「ああ、さっきまで肉…入間ちゃんの研究教室に行ってたんだよね」
最原「また何か頼みに行ったの?」
王馬「うん、次のモノクマ出現対策をまた頼んできたよ」
最原「連続で入間さんに任せても大丈夫なのかな…」
王馬「でもやっぱり発明品でドカンとやるのが確実にモノクマを屠れる方法だと思うんだよね」
最原「まあそりゃそうだろうけど…」
最原(……ていうか入間さんはプールに行ってないんだな…)
王馬「入間ちゃんがエグイサルでオシオキされないための対策も一応考えてるから大丈夫だよ」
王馬「上手くいくかは知らないけど」
最原「えぇっ…」
王馬「あ!てか食堂のテーブルまじで復活してるじゃん!さっすが東条ちゃんだね!」テーブルペタッ
最原「…ペンキ塗りたてらしいよ?」
王馬「先に言ってよ!」ペンキベターッ
最原「王馬くんが不用意に触るから…」
最原「まあ、肘つける前で良かったんじゃないかな、手だけだし」
最原「…てか東条さんからペンキの話聞いてないの?」
王馬「エンカウントして怒られ始めて速攻逃げたからね」
最原「逃げたんだ…」
最原「触ったとこのペンキ剥げちゃったから塗り直しだね、これ」
王馬「最原ちゃん塗り直してよ、オレ不器用だから」
最原「いや、東条さんに素直に言って塗り直してもらうのが1番だよ」
最原「ということで王馬くん、東条さんに言っておいで」
王馬「ガラスの件とまとめて怒られるやつじゃん!」
最原「自業自得だよね…」
王馬「怒られるのに時間使ってたら探索する時間無くなっちゃうよ」
最原「まあ、元々1日で探索できるものじゃなかったし、ちょっとくらいいいんじゃないかな?」
最原「…本当は東条さんにも事情を言えたら良いんだけどね…」
東条「私が何か?」スタスタ
最原「あ、いや、何でも…」
東条「あら、テーブルのペンキが…」
王馬「最原ちゃんがさっき触ってたよ!」
最原「えっ」
東条「…王馬君、嘘をつくなら手のペンキを洗い落としてから言うものね」
王馬「くっ、洗ってれば良かった…」
東条「ついでに先ほどのガラスの件についても話をさせてもらうわね」
最原「…じゃあ僕はこれで」ギィッバタン
最原(僕は2人を食堂に残し、テラスのひしゃげたドアを閉じて裏庭の探索へと向かった)
ー裏庭ー
最原(さて、頑張って探索するぞ)
最原(図書室部分の地上に当たる部分に何もないのだとしたら、屋外で次に怪しい所と言えばこの裏庭だからね)
最原(デスロードを作るついでに、近くに隠し通路を作っていてもおかしくはいはずだ)
最原(僕は、間違ってもマンホールの穴から落ちたりしないように気をつけながら裏庭の探索を開始した)
ーーー
最原(探索を開始して少し経った頃、天海くんが僕の元に来た)
天海「お疲れ様っす」
最原「天海くんもお疲れ様」
最原「何か見つかったの?」
天海「あ、いえ、そろそろセンサーのリモコンの交代をしないとなと思って来ただけっす」
天海「探索に夢中で、ちょっと渡すのが遅くなってしまって申し訳ないっす」
最原「…そっか、そういえば交代するんだったね」
最原「僕もすっかり忘れてたよ」
天海「お互い様だったようで安心したっす」
天海「じゃあこれ、確かに渡しましたよ」つリモコン
天海「最原くんが次それの交代するのは夜時間なってからっすから、夜時間にはみんなで集まりますし次もうっかり忘れてても誰か覚えてるでしょうし、大丈夫そうっすね」
最原「うん、そうだね」
天海「ところで最原くん、探索は今のところどんな感じっすかね?」
最原「えっと、プールの中とプール前の道〜裏庭までの校舎の外壁とその近辺の地面を調べ終わって、今はこの裏庭を調べているんだけど…」
最原「今のところ隠し通路の入口らしきものは見つけられてないよ」
天海「そうっすか…」
最原「天海くんは今どんな感じ?」
天海「俺は地下への階段の方から調べていってるすけど、廊下の床と壁を調べながら、今は玄関ホールすね」
天海「教室Aはずっと俺らが交代で見張ってたんで、ここに何かあるっていう可能性は無いと思うんで飛ばしてるんすけど、結構慎重に調べてるんで進捗遅くてすみません」
最原「…僕ももうちょっと慎重に調べを進めたほうが良かったかな?」
天海「でも屋外に何か入口がある可能性って少ないと思うんで、今のままで良いと思うっすよ」
天海「屋外だと、天気が悪くなったら出入りしづらくなっちゃいますからね」
天海「だから外壁のチェックだけでも問題ないと思うっす」
最原「そっか、そうだよね」
天海「ただこの裏庭は一応天井と壁に囲まれた屋内なんで、ここはしっかり捜査頼みますね」
最原「うん、そのつもりだよ」
天海「王馬くんの方は捜査どんな感じでしょうかね…」
最原「朝は体育館の方を調べてたみたいだけど、昼頃に東条さんに捕まってて、今はどうだろう…」モノパッドマップチェック
最原「……自室に居るようだね」
天海「もしかして眠気に耐えかえねて昼寝っすかね?」
天海「まあいいんすけど」
最原「もしくはまた東条さんから逃げてたりして…」
天海「昼頃の東条さんに捕まってたって、そういう意味だったんすね…」
天海「まあどっちにしろ元々昼夜逆転してたのを今昼に無理に行動させてましたし、サボってても攻められないっすね」
最原「そうだね…」
天海「午前は体育館を調べてたならキリ良く調べ終わってから寝てると仮定して、最原くんは18時以降は体育館以外の王馬くんの担当エリアの調査をお願いするっす」
最原「その時間なら食堂には人が居そうだから、そうだね…、体育館からの廊下辺りを調べることにするよ」
天海「屋内は特に念入りにお願いするっす」
最原「うん、僕は一応探偵だから任せてもらっても大丈夫だよ」
天海「…そうっすね、最原くんはあの図書室の隠し部屋を1人ですぐに見つけてましたしね」
天海「っと、立ち話はこれくらいにしてそろそろ探索に戻るっすね」
天海「それじゃあ最原くん、お気をつけて」スタスタ
最原「うん、天海くんもね」
最原(天海くんが裏庭から出ていくと、僕はまた1人でのここの調査に戻った)
最原「……あれ?これ何だろう…」
最原(僕は壁に謎のスイッチでもないかと壁を調査していると、草に覆われていて見づらいものの、高いところの壁に何か白い色で文字が書かれているのを発見した)
最原「何だろう…」草ガサガサ
最原「えっと…、『ろは』……『ふたご』……?」
最原(続きは何が書いているのだろうと壁の周りの草をかき分けたが、これ以上文字は続かないらしい)
最原(ただの落書きか?でもこんなところに…?)
最原(それとも何かしらのメッセージや暗号の類だろうか…)
最原(ろは……『Ha』読みなのか『Wa』読みなのかでも意味が変わってきそうだな…)
最原(今のところ暗号が必要になりそうな場所は見つかってないけど……)
最原(…とりあえずシーザー式暗号で意味が成り立つところを探してみるか)
最原(『わひ へちご』『をふ ほつご』『んへ まてご』……)
最原(……)
最原(武田信玄式に考えてみると『レデシク オエトラアウ』……)
最原(濁音がネックだな…)
最原(PCのキーボードでは『すらくち くなかちきら』…)
最原(『_f 2qb』……)
最原(…全く駄目だな)
最原(アナグラムかな?『ふろはたご』『ろごはふた』『たごはふろ』……)
最原(……さっぱり意味がわからない)
最原(携帯の文字キーだと……)
ーーー
最原(駄目だ、よくわからない…)
最原(結構時間をかけて色々考えてみたけど、これの存在自体を考えてみると、ただのイタズラ書きって可能性もあるし、深く考えるのはよそう…)
最原(僕は『ろは ふたご』を一応頭の隅に置いておいて、隠しルートの探索を再開した)
ジリリリリリリリ…
最原「あ、セットしてた目覚ましが鳴ったね」カチッ
最原「もう18時か…、そういえば暗くなってきたな…」
最原(ここは一応室内とはいえ、天井がガラスで覆われているからね…)
最原(よし、体育館側の廊下の探索をしよう…)スタスタ
カン…カンカンカン…
最原「ん?」
最原(どこからか金属音が聞こえてくる)
最原(……デスロードから?)
最原(今日はお昼に赤松さんを見かけたから結局デスロードには行ってないものかと思ってたけど、いつの間に…)
最原(僕はデスロードへの入口であるマンホールを覗き込むと、彼と目があった)
キーボ「あ、最原クン!」
最原「え、キーボくん?」
最原「な、なんでキーボくんがデスロードから?」
最原(あまりにも意外な人物の登場に、僕は一瞬嫌な考えが脳裏をかすめた)
最原(実はデスロードの入口辺りに秘密の通路があり、キーボくんは実は黒幕なのではないか…と)
最原(しかし僕の考えは、その直後聞こえてきた人物の声によって掻き消えた)
百田「なんだ、最原が居るのか?」
キーボ「ええ」
最原「…百田くんも一緒なのか」
最原(彼らは金属製のハシゴを登りきり、ようやく僕の前に姿を見せた)
百田「何で最原がこんなとこに?」
最原「ああ、僕は今この学園を調査しているからね」
最原「それでたまたま今はこの裏庭に居たってだけなんだ」
キーボ「何か見つかりましたか?」
最原「…いや、何も」
百田「落ち込むこたあねえぜ」
百田「それは調査をして『ここには何もない』ってことが分かったってことだからな」
百田「それが分かって初めて他の場所の捜査が始められるんだから、無駄な時間を過ごしたなんてこたあねーんだぜ」
最原「うん、そうだね。ありがとう」
最原「それにしても2人がデスロードに行ってたなんて気がつかなかったな」
最原「途中モノパッドの地図を見たけど、2人のアイコンは表示されてなかったし…」
キーボ「デスロードがあるのは深い地下ですし、GPSが弱すぎてモノパッドが反応しなかったんでしょうね」
最原「それもそうだね」
最原「…ところでさ、何でキーボくんまでデスロードに?」
キーボ「えっと…」
キーボ(あの外の世界の件はまだ口止めされているんですよね…)
百田「オレが誘ったんだ」
百田「キーボはロボットだし、コイツと一緒ならデスロードの攻略が捗るだろうからってな」
キーボ(あ、まだ攻略中ということにするんですね)
キーボ「『ロボットだし』というのは少々引っかかりますが、まあ、そうですね」
最原「なるほどね」
最原「じゃあ、今日のデスロードの攻略に赤松さんが居ないのはどうしてかな?」
最原「元々デスロードの攻略って、赤松さんが言い出して、赤松さんが1番頑張って取り組んでいたよね?」
百田「あー…、デスロードの攻略が中々難しくてな、表向きは諦める方向性になったんだよ」
百田「でも諦めるのも癪だからな、こうしてオレは赤松に内緒でキーボを組んで攻略してるってわけだ」
キーボ(そういう方向性で行くんですね)
最原「…それは百田くんの嘘じゃないかな?」
最原「僕にはあの赤松さんがデスロードの攻略を諦めるようには、到底思えないよ」
百田「…確かに赤松は諦めなかった」
百田「オレが赤松を諦めさせたんだ」
最原「どうして?」
百田「んなのデスロードがあぶねーからに決まってんだろ!」
百田「あんなとこに女連れて行けるわけねーだろ!」
最原「それは確かに最もだけど、でも昨日までは一緒に攻略してたよね?」
最原「何で急に考えを変えたの?」
百田「えーっと、それは、あれだ」
百田「デスロードの攻略を進めていくと、これまでより危険なトラップが設置されるようになったからだ」
百田「ケガしてからじゃおせーからな…」
最原「そのトラップって、どんなトラップなのかな?」
最原「入間さんの例の発明品じゃ防げないレベルなの?」
最原「だとしたらどうやってそのトラップを百田くん達が乗り越えているのか聞かせてほしいな」
最原「難易度がとても高いとはいえ、生身で乗り越えられる程度のトラップしかこのデスロードには設置されてないと思うけどな」
最原「だってこのデスロードは、入間さんの発明品を使うことを前提とはしていないからね」
最原「……百田くん、本当は赤松さんと喧嘩しちゃったとかじゃないの?」
最原「それなら早く百田くんが折れて謝ったほうが良いと思うよ」
最原「喧嘩っていうのは長引くと良くないから…」
キーボ(人間関係のアフターケアまでやってる探偵が言うと、重みがありますね…)
百田「…いや、ケンカじゃねえよ」
最原「本当に?」
百田「ああ」
百田「あぶねーから赤松を諦めさせたってのも本当だ」
最原「デスロードの道中に仕掛けられたトラップ以外に何かあったってことたよね」
最原「…何があったの?」
百田「デスロードの出口の先がちょっとヤバくてな…」
最原「…一応クリアはしたんだね」
最原(外に出て助けを呼んでこれない事情があるんだな…)
百田「詳しいこたあまだ話せねーが、とにかくちょっとヤバイ空間に繋がってるんだ、あそこは」
最原「…デスロードの先にある『出口』っていうのは、外の世界のことじゃないんだね?」
百田「…ああ、多分そうだと思う」
百田「今はあの空間が外の世界じゃねーって証拠を集めてる段階だ」
最原「キーボくんを相棒にして連れて行った理由は、『生身の人間じゃ行けないような空間』ってことなんだね…?」
百田「流石超高校級の探偵、鋭いじゃねーか」
最原「……」
百田「…わかるだろ?そんな危険な空間を調査するために、出口のドアを開けたり閉めたりしてるんだ」
百田「あんなあぶねーとこに赤松を連れて行ったら、あいつの健康に害が出るかもしれねーだろ」
百田「あいつは未来あるすげーピアニストなんだ」
百田「だからあんなとこに連れて行ったらあいつの為になんねー」
最原「…百田くんのその行動が赤松さんのことを思っての行動っていうのは分かったよ」
最原「でも赤松さんは百田くんの意図には気づかず、ただ自分のことを無力だと勘違いしちゃってるみたいだよ」
百田「いや、あいつはすげーやつだ…」
最原「だったら、ちゃんとそのことを伝えてあげないと」
最原「考えていることは言わないと伝わらないよ」
最原「だってこう言っちゃなんだけど、赤松さんも百田くんも脳筋だし」
最原「察することは得意じゃないと思うんだ」
キーボ(!?もっとソフトな言い方あったのでは!?)
最原「そもそも百田くんが赤松さんに何て言ったかは知らないけど、多分言葉足らずだったり勘違いさせるようなことを言ったと思うんだよね」
最原「カッコつけてるからこんな風に思いのすれ違いみたいなことが起こるんだよ」
最原「赤松さんなんてどう見ても1回思い込むとそれ以外の可能性が考えられない猪突猛進タイプだよ」
キーボ「…最原くんって意外とズバズバ言うタイプなんですね」
最原「僕は人間関係を修復する為なら結構ハッキリ言うよ、オブラートに包んでも伝わりにくくなるだけだし」
最原「それに相手が百田くんだからね」
最原「相手が東条さんや天海くんだったらもっとかなりソフトに言ったけど、百田くん相手ならわかりやすくハッキリ言うべきだと思って」
キーボ(最原くんってもっとオドオドしたイメージがあったんですけど、仕事モードなんでしょうか…?)
百田「あの時、あの外の世界を見た赤松の精神が疲弊していたから、オレとしては気を使ってたつもりだったんだが…」
百田「…なるほどな、確かに一理あるかもな」
百田「あんまり恩着せがましくあいつのことを心配してるなんてアピールみたいなことはしたくねーと思ってたんだが、あんまり言わないことであいつがよりストレスを抱えちまってたんだな」
百田「わかった、もう一度オレの意図を赤松に話してくることにするぜ」
最原「百田くんが良い人だってことは僕にもわかるからさ、全部思ってることを言うことがポイントだよ」
最原「考えてることを隠してたらまた余計なトラブルを引き起こすんだからね」
最原「僕の経験談だよ」
キーボ「何があったんですか…」
百田「よーし、じゃあ最原!オレが普段テメーに思ってることもついでに言うぜ」
最原「え?何か僕に思うことあった…?」
百田「その帽子、取ったほうが絶対男前だぜ!」帽子取る
最原「そういうのは他人のプライバシーに踏み込む行為だから止めた方がいいよ」帽子取り返して被る
百田「!?思ったことを言ったのにダメなのか…」
最原「何でもかんでも言って良いもんじゃないから」
百田「難しいな…」
最原「赤松さんに意図を伝える時にも、言って良いことと駄目なことをどうか間違えないようにね」
最原「ていうか百田くん、今のノリ、ハゲ隠ししてる人にもやらかしそうだよね」
最原「頭の問題は本当にデリケートだから触れないほうが正解なことが多いよ」
最原「下手したら訴訟問題だから」
百田「そ、そうか…、わかった、頭に関しては気をつけることにするぜ」
最原「ついでに言っとくけど、同性異性に関わらずボディタッチをしたりボディタッチを求める行為も控えたほうが懸命だよ」
最原「特に女子相手だと下手したら逮捕だから、本当に」
百田「タッチがダメなんだな、わかった」
最原「具体例を上げると、ハグしたり肩組んだり背中叩いたりおぶったりを相手の許可なくすることは日本では止めた方が良いよ」
最原「なんか百田くんはいつかやらかしそうな気がするから言っておくけど」
百田「!?そんなの海外じゃ当たり前のことだろ!?」
最原「ここは日本だからね」
百田「…わかった、日本に居る間は相手に1回訊いてからやることにする」
キーボ「背中叩くのにも許可を求めるのですか…、シュールですね」
百田「まあとりあえず、折角最原がアドバイスしてくれたことだし、写真の現像を誰かに頼んでから赤松のとこに行くか」
最原「写真の現像?」
百田「ああ、例の外の世界の偽物の証拠をキーボに撮ってきてもらったんだ」
最原「そうなんだ。ロボットが使い捨てカメラを…」
キーボ「何か問題でも?」
最原「ねえ百田くん、誰に現像を頼むつもりなの?」
百田「んー、とりあえずアンジーだな」
百田「写真だって芸術表現だし、もしかしたらできるかもしれねーからな!」
最原「アンジーさんって写真や映像は専門外な気がするけどね…」
百田「じゃあ東条だ!超高校級のメイドに出来ないことなんてねーはずだ!」
最原「過度に期待するのもどうかと思うけど、まあ東条さんならできそうな気がするね…」
最原(…そもそもこの才囚学園内でフィルムカメラを写真として引き伸ばすことができるのか…?)
百田「よーしキーボ行くぜ!」
キーボ「はい!」
最原「あ、待って百田くん」
最原「写真が出来たら僕にも見せてほしいんだけど、いいかな?」
百田「…わかった、テメーを信頼してるからな!」
最原「うん、信頼してくれてありがとう」
百田「今度こそ行くぜキーボ!」ダッ
キーボ「あ、待って下さい!」タッタッタッ
最原(熱い人だなぁ…)
最原「じゃあ僕も移動して体育館前の廊下の探索しようかな」スタスタ
ー体育館前廊下ー
最原(さて、移動してきたけど…)モノパッドマップチラッ
最原(…うん、王馬くんは相変わらず部屋に居るね)
最原(そろそろ起きないと夜また眠れなくなるんじゃないかな…)
最原(…天海くんは今は男子トイレに居るね)
最原(トイレの捜査か…)
最原(……女子トイレも調べるのかな?)
最原(…天海くんに限ってそんなこと、しなさそうだよな)
最原(まあ流石にトイレに隠し通路なんてあるわけないしね)
最原(よし、廊下の探索頑張ろう)壁ペタペタ
ー食堂、厨房ー
百田「おーい東条」
東条「あら、夜ご飯を食べに来たのかしら?」
東条「ごめんなさいね、あと30分ほど待ってちょうだい」
百田「まあ飯も食うけどよ、東条に頼みたいことがあって来たんだ」
東条「何の依頼かしら?」
キーボ「えっと、この使い捨てカメラを現像してほしいんですけど、できそうですかね?」つカメラ
東条「ええ、手順はわかるからやることは可能だけれど…」
東条「現像に必要な材料や機材があるのか把握していないから、一晩時間を貰ってもいいかしら?」
東条「倉庫の中を探してみたいと思うの」
キーボ「まあ、あるとしたらあの中くらいですからね…」
キーボ「ボクもお手伝いしますよ」
百田「頼んだのはオレ達だからな、勿論オレも手伝うぜ!」
東条「ふふ、ありがとう」
東条「でも百田君、貴方は夜は休んだ方が良いと思うわ」
東条「どうせまたデスロードに行ったのでしょう?」
百田「な、何でわかんだよ…」
東条「貴方の疲労具合から見て、なんとなくそう思っただけよ」
東条「安心して、依頼を引き受けるからにはなんとしても現像してみせるわ」
百田「ま、無理はすんなよ」
東条「百田君も無理は禁物よ」
東条「ところで、何を撮ったのかしら?」
キーボ「え、えっと…」
百田「あー…、デスロードの内部の写真だ」
百田「トラップが難しいとこがあってよ、そこの攻略を考えるために部分的に撮影したんだ」
東条「…そう、わかったわ」
東条「もし倉庫内で現像に必要な材料が揃わなかった場合は、後日入間さんにお願いしてみるから、写真の引き渡しまでに時間がかかってしまうかもしれないから、それだけは理解してほしいわ」
百田「ああ、わかった」
百田「それじゃ、また飯が出来るくらいの時間になったら来るぜ」スタスタ
東条「ええ、また」
東条「キーボ君、私は20時頃から倉庫で現像に必要な材料集めを始めたいと思っているのだけれど、それで良いかしら?」
キーボ「はい、ボクはそれで大丈夫ですよ」
東条「ではそういうつもりでお願いね」
ー寄宿舎ロビーー
百田(次は赤松のやつに説明だったか…)
百田(…最原の言ってた『言って良いことと悪いこと』ってなんだよ、わかんねーな…)
百田(うだうだ悩んでてもわかんねーし、とりあえずまずは会うか)ピンポーン
赤松『はーい?』ドア越し会話
百田「赤松、オレだ」
赤松『百田くん…』
百田「話あるんだけどよ、いいか?」
赤松「うん、いいよ」ガチャッ
赤松「…デスロードの話だよね?どうぞ」ドアを開けきる
百田「おう、邪魔するぜ」スタスタ
赤松「……」ドアパタン
赤松「えっと、今日はキーボくんと一緒にあの外の世界を調べてたんだよね?」
赤松「どうだった…?」
百田「その前に先に話したいことがあるんだけど、いいか?」
赤松「何?」
百田「さっき最原に聞いたんだけどよ、お前今日随分落ち込んでたみたいじゃねーか」
赤松「…そりゃあ昨日、あんな光景見たんだもん」
赤松「落ち込みもするよ」
百田「それだけじゃねーんだろ?」
赤松「……わかってるんだね」
赤松「わかってるなら、私も連れて行ってほしかったな…」
赤松「確かに私があそこに行っても何の役にも立たないかもしれないけど、それでも仲間はずれにされたら寂しいよ…」
百田「お前、そんなこと思ってたんだな」
百田「わりい、仲間はずれにしようとかそんなこと思ってたわけじゃねーんだ」
赤松「うん、わかってるよ、心配してくれてたんだよね…」
赤松「それでも…、私、みんなの役に立ちたかったんだよね」
赤松「私はピアノしか才能がない馬鹿だからさ…」
百田「赤松のピアノを聴いて感動したり救われる人がこれから先幾らでも居るだろ」
百田「お前は才能あるピアニストなんだからよ」
百田「そんなお前があんなところに行って変な空気吸いまくってよ、健康に害でも出たら大変だろ」
百田「オレはそれが心配だったから赤松には残ってほしかったんだ」
赤松「…私が好きで弾いてるだけのピアノでそんなこと思ってくれる人、居るのかな?」
百田「居るに決まってんだろ!」
百田「それとも何だ、お前の好きなピアノは人の心を動かせないもんなのか?」
赤松「…少なくとも私はピアノで心動かされるけど、でもそれは私がピアノ馬鹿だからってだけだよね」
百田「そんなこたねーよ!」
赤松「じゃあ訊くけど百田くんは一昨日私の演奏を聴いてくれたけど、心動かされてくれたの?」
百田「ああ、勿論だ」
赤松「具体的にどう思ったの?」
百田「なんつーか、オレはうまく文章にすることが得意じゃねーから上手いこと言えね―かもしれねーけどよ」
百田「赤松がオレの興味が湧くように『惑星』を薦めてくれて解説してくれたり語ってくれたりしてくれてよ、オレはマジでクラシックに興味が湧いたんだぜ」
百田「他にも、色々メディアで聴くような曲も弾いてくれて興味をそそってくれただろ」
百田「赤松のお陰でそんな曲のタイトルやエピソードを色々知れたし、お前が楽しそうに弾く姿は見ていてこっちも楽しくなってきたんだ」
百田「赤松の弾く他の曲も聴きてえと思ったんだ」
百田「勿論、元々クラシックに興味があったわけじゃねーぞ」
百田「オレは中学の時の音楽の時間のビデオとか、うたた寝してたくらいだしな」
百田「それまで興味なかったのに、お前が弾いたから興味が湧いたんだ」
百田「これは充分心動かされたってことだろ!」
百田「まさかオレの感情まで否定する気じゃねーよな?」
赤松「…それ本当?」
赤松「本当に私が弾いたからクラシックに興味持ってくれたの?」
百田「ああ、本当だ」
赤松「…私はさ、物心ついた時にはもうピアノが身近にあって弾いてたからさ、そういうクラシックにハマったきっかけみたいなのが無いんだよね」
赤松「それに私の演奏を聴きに来る人達はみんな、元々クラシックが好きだから聴きに来る人達ばかりだからさ」
赤松「それが本当だとしたら凄く嬉しいよ」
百田「安心しろ、宇宙に誓って本当だ!」
赤松「…じゃあ本当だね」
百田「だからよ、クラシックに興味が無かったオレにクラシックの魅力を伝えられたお前なんだから、これから先他のやつの心も動かすだろ?」
赤松「…うん、そうかもね」
百田「かもじゃなくて、ぜってー動かすんだよ」
百田「お前は他人の人生観を良い方に動かす才能の持ち主なんだ」
百田「もっと自信持っていいんだぜ」
赤松「…なんか百田くんが言うと本当にそうなる気がしてくるね」
百田「なんせオレは宇宙に轟く百田解斗だからな!」
百田「まあそんなお前だからよ、間違ってもあんなところに行って変な病気にでもなっちまったらダメだろ」
百田「だからお前はオレを信じてここで待っててほしかったんだ」
百田「間違ってもお前が使えないやつだとか邪魔だとか除け者にしようとか、そんなこと思って置いてったわけじゃね―からな」
百田「わかったな!?」
赤松「うん、わかったよ」
赤松「…励ましてくれてありがとうね」
百田「励ますっつーか、本音だぜ」
赤松「うん、本音言ってくれてありがとう」
赤松「…でも、私のことをそう思ってくれてるならさ、百田くんも無理しちゃダメだよ」
赤松「百田くんだって宇宙飛行士になって宇宙に行くんでしょ?」
赤松「百田くんこそ、変な病気になったりしないようにね…?」
百田「…ああ」
百田「よし、飯食いに行くぞ!」
赤松「え?あ、ちょっと待って」
赤松「今日のデスロードの調査結果も訊きたいんだけど、いいかな?」
赤松「私はデスロードのあの奥には行けないけど、仲間でしょ?聞く権利はあるよね!」
百田「ああ、そうだったな」
百田「えーっと、キーボにあの世界を調査させて、あの世界の作り物っぽい部分を使い捨てカメラで撮影してもらったんだけど、今はその現像待ちなんだよな」
赤松「なるほどね」
百田「一応キーボに口頭で聞いた内容によると、あの中はまあまあ広いらしくて今日1日じゃ全部は調べきってないが、やっぱり本物の世界というには怪しいらしいぜ」
百田「だからあれはやっぱり偽物の世界なんだと思う」
百田「あとは出来上がった写真を見て判断になるだろうな」
赤松「…そっか、そうだよね!」
赤松「良かった、やっぱり世界は滅びてなんかいなかったんだね!」
百田「だから最初に言っただろ!」
赤松「うん、流石百田くんだね!」
赤松「あ、写真が出来たら私にも見せてね!」
百田「おう!赤松も仲間だからな!」
赤松「うん!」
百田「よし、それじゃ今度こそ飯食いに行くぜ!」
赤松「よーし、いっぱい食べちゃうよー!」
赤松「朝と昼はなんだかんだ落ち込んじゃってて、あんまり食べられなかったからね…」
百田「意外とそういうとこ繊細なんだな」
赤松「もう!百田くんは私のこと何だと思ってるの」
百田「わりいわりい」
ー夜時間、寄宿舎ロビーー
最原(さっき放送があったし、そろそろお互いの調査結果を話し合う為に天海くんの部屋に行くか…)スタスタ
最原(結局あの後、廊下では何も見つけられなかったな…)ピンポーン
天海「どうぞ」ガチャッ
最原「お邪魔します」
王馬「最原ちゃん、遅かったね」
最原「え?夜時間の放送はさっきあったし、遅いってほどでもないと思うけど…」
王馬「やっぱり5分前行動くらいしないと」
天海「…王馬くんは5分前どころか10分前にオレの部屋に来て、勝手に部屋の調査しだしたんすよね」
最原「…まあそれで天海くんの黒幕疑惑の疑いが晴れるなら…」
天海「特に怪しいものは見つからなかったそうっすけど、疑いも晴れてないそうっす…」
王馬「流石に10分の探索じゃ疑いは晴れないよー」
王馬「というわけで早速だけど最原ちゃん、シャワールームの天井裏調べてよ!」
天海「…それで気が晴れるならどうぞ」
最原(僕何しにこの部屋に来たんだっけ…)部屋の椅子をシャワールームに持って行く
最原(シャワールームは使われてまだ間もないようで、床が濡れていた)
最原(滑らないように注意しないとな…)
最原(靴を脱いで…っと)
最原(確かに、ここはちょっとした物を隠すのに便利な場所なんだよな)ガコッ
最原(えっと……)手を突っ込んで探る
最原(……)モノパッドの明かりで中をチェック
最原(…うん、何も無いな)
最原「何も無いようだよ」
王馬「なんだー、カードキーの1枚や2枚くらい見つかると思ったのにー」
天海「気が晴れましたね?じゃあそれぞれの捜査報告するっすよ」
最原(僕は椅子を元あった位置に戻し、そのまま椅子に座って報告会を行うことにした)
天海「じゃあまず王馬くんからどうぞ」
王馬「えっと、オレは体育館しか調べられなかったんだけど、何もなかったよ」
王馬「体育館は夜時間に閉まるってことだったから、てっきり何かあると思ったんだけどさ」
天海「そういえば、食堂が夜閉まるのはその間に食材調達をするためってのは分かるっすけど、何で体育館も夜閉まるんすかね」
王馬「さあ…、特に何もないようだったしね」
最原「うーん…、体育館内に生えている植物に水をやったりして維持しているとか?」
最原「体育館の屋根は開いていないから例え雨が降っても水が得られないし…」
天海「何のためにそんなことを?」
最原「…何のためだろう…、景観維持…?」
最原「…ごめん、僕も適当に言っただけだから気にしないで」
最原「じゃあ次は僕が報告するね」
最原「僕が調べたのは今日解放されたプールと、中庭のプールの前から裏庭に続く道、裏庭の3箇所だよ」
最原「プールには元々鍵穴がなかったのを王馬くんがガラス割って開けたから、黒幕が僕ら生徒の中に居るんだとしたら、ここを利用したっていうのは考えにくいから軽くしかチェックしてないけど…」
最原「まあ至って普通の、リゾート地にあるようなプールだったよ」
最原「プール前から裏庭の調査は、外壁とその近辺の地面を調べたけど、こっちも特に何もなかったな」
最原「で、裏庭なんだけど…」
最原(…あれのことは言ってもいいか、僕にも何だか分からなかったし…)
最原「壁に『ろは ふたご』っていう文字を見かけたくらいで、後は怪しい所は見つからなかったよ」
天海「…何か暗号っすかね?」
最原「僕もそう思ってぱっと思いつく暗号でちょっと考えてみたんだけど、しっくりくる文字には変換されなかったんだよね」
王馬「どこかに入力するパスワードとか?」
最原「でもそういうパスワードを入れるようなところ、今のところ見かけてないし…」
天海「この学園にはまだ解放されてない場所も色々あるっすから、そういうとこで今後使うやつかもしれないっすね」
最原(…百田くんがデスロードをゴールしていたことについては言う必要は無いよね)
最原(まだ詳細な情報がわからないし…)
最原「うん、僕はそれくらいだよ」
天海「じゃあ最後は俺っすね」
天海「俺が調査したのは教室Aの廊下からトイレの前までと、男子トイレの中っす」
天海「怪しい所…一応あったんすけど、ちょっとどうにもしようがないとこなんすよね」
王馬「ん?女子トイレとか?」
天海「いや、玄関ホールっす」
天海「女子トイレはちょっと流石に調べらんないっす…」
最原「玄関ホールのどこが怪しいの?」
天海「外から玄関ホールに入ってきて、ど真ん中の辺りの床っすね」
天海「敷き詰められている床石の隙間から風を感じたっす」
天海「気になったんで、石の隙間を倉庫にあったヤスリでちょっと削って中に小さい砂利を落としてみたんすけど、落ちた砂利の音的に、床下に地下のような空間があるんじゃないかと思うっす」
最原「地下か…」
最原「ひょっとして、そこが黒幕が出入りしている秘密の通路かな?」
王馬「入間ちゃんに爆弾でも作ってもらって、床を壊して中に入ってみる?」
天海「いや、それだと今日追加された『未開放場所を無理矢理こじ開ける行為の禁止』の校則に引っかかるっす」
王馬「『未開放場所』って『未だ開放してない場所』ってことだよね」
王馬「つまり、『そのうち開放する気がある場所』ってことだね」
王馬「もしその玄関ホールの地下が『オレ達普通の生徒には解放する気のない場所』だとしたら、この校則は当てはまらないんじゃないかな?」
最原「でも、玄関ホールの地下が『追々解放する予定のある場所』だとしたら校則違反になっちゃうよ」
最原「校則違反になる可能性がある以上、下手なことはしない方が良いと思う」
王馬「その辺りは『学園長への暴力の禁止』の校則違反してる時みたいにさ、適当に事故に見せかけて言いくるめるのとかどうかな?」
天海「今やってるその学園長への暴力行為でさえ結構ギリギリだと思うんで、あんまり問題起こすのは控えた方が良いと思うっす…」
王馬「消極的だなー」
最原「無理矢理開けなくても、どこかに開けるためのスイッチみたいなのがあるかもしれないし、慎重に行くべきだと思うよ」
王馬「あーあ、最原ちゃんが何もないプールを無理矢理開けるからこんな校則に苦しめられてるんだよね」
王馬「謝ってよ最原ちゃん!」
最原「プールのドアを開けた…もとい、壊したのは王馬くんだよね…」
王馬「あれ?そうだったっけ?」
天海「じゃあ明日やること決めましょうか」
王馬「今日とあんまり変わんないんじゃない?」
王馬「みんな自分の担当箇所の探索終わってないんだし」
天海「そうっすね」
天海「俺は明日はあとトイレの前の廊下から2階への階段までっすから、午前くらいで担当箇所の探索が終わりそうっすね」
天海「午後からは玄関ホールにスイッチのような仕掛けが無いか、以前にも増して徹底的に調べてみたいと思うっす」
王馬「…女子トイレは?」
天海「調べられるわけないじゃないっすか…」
天海「誰に会ってしまうかもわからないですし…」
王馬「じゃあ今から調べたら?」
王馬「夜時間だし、ほらモノパッド的にもみんな寄宿舎に居るから誰にもエンカウントしないよ!」
天海「いやいや…」
王馬「じゃあ最原ちゃんいってらっしゃい!」
最原「え!いや、流石に調べられないって…」
最原「そんなに気になるなら王馬くんが調べてきなよ…」
王馬「えー、嫌だよ!あんなとこ調べたら変態じゃん!」
最原「そんな風に思ってるなら僕らにも調べさせないでよ」
王馬「んー、なんていうか、天海ちゃんはイケメンセーフみたいなのが働くかなと思って」
天海「どうセーフになるんすかね…」
王馬「最原ちゃんは探偵だから、ほら、ね?」
最原「王馬くんは探偵を何だと思ってるの…」
王馬「他人のことを赤裸々に暴く仕事?」
最原「……」
最原(僕らがそんな風に雑談をしていると、僕が持っていたセンサーのリモコンが突然鳴りだした)
天海「えっ!?」
王馬「ん?」
最原「誰かが本棚を動かしたんだ!」
最原(僕は真っ先に部屋を飛び出して図書室へ向かった)
天海「よくわかんないっすけど、俺達も行くっすよ!」
王馬「…おかしくない?」
王馬「だって黒幕は秘密の通路を使ってるっていうことじゃなかったっけ?」
天海「考えるのは後にするっすよ!」
天海「今なら取り押さえられるかもしれないっす!」
王馬「……うん、天海ちゃん行ってていいよ、オレはここに居るから」
天海「そんなこと言って俺が居ない隙に部屋を調べるつもりっすね!?」
天海「さっさと行くっすよ!」小脇に抱えて部屋を飛び出す
王馬「いやそうじゃなくt…」
王馬(いきなりオレ抱えて走り出すから舌噛んだ…)
ー図書室ー
入口のドアバンッ
最原「くそっ!もう本棚は閉まってる…」
最原「カメラのフィルムは……2枚減ってるな」
天海「遅くなったっす、どうっすか?」
最原「駄目だよ、僕が着いた時にはもう本棚は閉まってたよ」
天海「ていうことは今黒幕は中に居るんすかね?」
最原「さあ…」
天海「センサーが鳴ったということは今は入った状態だと思うんで、このままここで待ってれば出てきた黒幕と対面できるんじゃないっすか?」
最原「そうだといいけど…」
王馬「……今頃秘密の通路通って出てるって可能性もあるよ」
天海「そもそも本当にそんな通路あるんすかね?」
最原「どっちにしても、フィルムは消費されているから、これを現像すれば黒幕の姿が写っているんじゃないかな?」
王馬「うーん…、写ってるのかなぁ…」
最原「それは現像してみればわかるよ」
王馬「とりあえず天海ちゃんはそろそろおろして」
天海「あ、忘れてたっす」抱えていたのを降ろす
王馬「それで、これからどうするの?」
天海「とりあえず、中から黒幕が出て来るのを待てばいいんじゃないっすか?」
最原「そうだね、とりあえず10分くらい待機してようか」
最原「もしそれでも黒幕が出てこなかった場合は、2人をここに残して1人が寄宿舎に戻り、誰が部屋に居ないのかを調査すればいいと思うよ」
最原「一応、モノパッド的には今全員寄宿舎に居ることになってるけどね」
最原「でもそんなものは鍵でいくらでも偽装することができるしね」
最原「ちなみに2人残す理由は、黒幕に襲われた時の為だよ」
天海「はい、それでいいと思うっす」
王馬「ねえ、何でこんなタイミングで黒幕がこの部屋に入ったと思う?」
最原「…図書室の中にも教室Aにも見張りが居なくなったからじゃないのかな?」
最原「更に今は夜だし、他の人に会うこともないだろうし」
最原「今までの辻褄が合うように考えると…」
最原「そもそもこの部屋にあるのは元々モノクマを製造する施設ではなく、別の何かで、今それを利用する必要があるから黒幕はこの中に入ったんじゃないかな?」
最原「モノクマを製造する施設は、きっと別の隠し部屋にあるんだ」
最原「だから今までモノクマは生産することが出来た」
最原「…じゃないかな?推測だけど」
天海「どっちにしろ、黒幕がここから出てきたところをとっちめれば全部わかることっすね」
ー10分後ー
最原「…そろそろ10分が経ったね」時計確認
天海「遅いっすね、黒幕」
最原「案外この奥から外の世界に繋がっていて、黒幕が何かをしに外の世界へ出かけているだけ…とも考えられるね」
王馬「それじゃあ、2人がここに残ってあと1人が寄宿舎に戻って誰が居るのか確認するんだったよね」
王馬「オレが寄宿舎に確認に行ってくるよ」
最原(確かに、ここから出てくる黒幕に襲われる可能性があるとすると、1番小柄な王馬くんがみんなの確認に行った方がいいのか…?)
最原(…どうする?王馬くんに任せる?)
①最原が寄宿舎に行く
②王馬に寄宿舎を任せる(王馬視点映りません)
>>↓2安価
318 : 以下、名... - 2017/04/15 04:48:39.26 tjtFCuJwO 227/16551
最原「いや、僕が行くよ」
王馬「まあ最原ちゃんなんてここに残ってても、いざ黒幕と対決ってなったら何の役にも立たなそうだしね」
最原「流石に王馬くんより僕の方が力もあると思うけど…」
王馬「でも最原ちゃんって女子相手だと何もできなそうだよね」
最原(……ちょっと否定できないかもしれない…)
最原「…行ってくるね」
天海「一応、部屋を訪れた理由とかは適当に嘘ついてほしいっす」
最原「勿論本当のことなんて言わないよ」
天海「あと、部屋を訪れたことも他人に他言しないように言っておいてくださいっす」
最原「うん、わかったよ」
最原「…寝てる人も居るだろうから、なんだか悪いなぁ…」
王馬「まあ仕方ないよね」
ー寄宿舎ロビーー
最原(さて、来たぞ)
最原(まずは男子の部屋から行くか…)ピンポーン
最原「……」
最原(寝ちゃってるかな?)ピンポーン
最原「……」
真宮寺『…はい』ドア越し会話
最原「あ、真宮寺くん」
最原「ごめんね、ひょっとして寝てたかな…?」
真宮寺『寝ていたけど、別に構わないヨ』
真宮寺『ところで何の用かナ?』
最原「あ、えっと…、実は僕もさっきまで寝てたんだけどさ、その、不吉な夢を見て…」
真宮寺「不吉な夢?」ドアガチャッ
最原「いや、ただの夢だから気にしないでほしいんだけど…」
最原「…その、真宮寺くんが怪我しちゃう夢だったんだよね」
最原「妙にリアルな夢だったからさ、ちょっと気になって顔見たくなって来ちゃったんだ」
真宮寺「…へェ、そうだったんだネ」
真宮寺「見ての通り、僕は健康そのものだヨ」
最原「うん、そうみたいだね」
最原「安心したよ」
真宮寺「……用事はそれだけかイ?」
最原「うん、そうだよ」
最原「本当にごめんね、こんな用でこんな時間に部屋に来ちゃって」
真宮寺「別にそれは構わないヨ」
真宮寺「それじゃあ…」ドア閉め
最原「あ、ちょっと待って!」
真宮寺「…何だイ?」
最原「その、お願いがあるんだけど…」
最原「僕がこうやって真宮寺くんの部屋を訪れたことを、他の人に他言しないでほしいんだよね」
真宮寺「…どうしてだイ?」
最原「こんな理由で君の部屋に行ったってことがみんなに知られたらちょっと恥ずかしいってだけだよ」
真宮寺「フーン…」
最原(…表情や仕草を観察されている気がする…)
最原(真宮寺くん相手の会話って緊張するな…)
真宮寺「…まァ、別に構わないヨ」
最原「ありがとう…」
真宮寺「それじゃあ、おやすみ…」ドアパタン
最原「うん、おやすみなさい…」
最原(無駄に緊張しちゃったな…)
最原(……これ、全員分の部屋周り終えた頃には精神が擦り切れそうだ…)
ーーー
最原(よし、次はキーボくんだ…)ピンポーン
最原「……」
最原「……?」ピンポーン
最原「……」
最原(……キーボくんって睡眠しないと思ってたけど、ロボットでも寝たりするのかな?)ピンポーン
最原(…はっ!まさかキーボくんが黒幕だったとか…!?)
最原(もしキーボくんが黒幕だとすると、本格的に人間対ロボットでターミネーターじゃないか…)
最原(……それか、今は完全にスリープモード中で、事前にセットした時間になるまで絶対に起きない仕様だとか…?)ピンポーン
最原(…その可能性もあるよな…)
キーボ『…はい、誰でしょう?』ドア越し会話
最原(あ、良かった、居た…)ホッ…
最原「あの、僕…最原だけど」
キーボ『こんな時間にどうしたんですか?』
最原「ちょっとキーボくんに関する不吉でリアルな夢を見ちゃったから、無事かなー?って気になっちゃって様子見に来たんだよね…」
キーボ『えっ、どんな夢見たんですか?』
最原「えーっと、僕の目の前でキーボくんがプレス機に潰される夢なんだよね」
キーボ『えぇっ…』
最原「でも無事なようで良かったよ」
キーボ『…そんな夢を見るということは、最原クンはボクをプレス機で潰したいと思っているのですか…?』
最原「いや、そんなことないよ!」
最原「むしろ心配だったからこうして見に来たんだし…」
キーボ『…その言葉、信じますね』
最原「まあだから、えーっと、キーボくんの無事も確認できたことだし、僕もう帰るね、起こして(?)ごめんね、じゃあね!」
最原「あ、今キミの部屋を訪れたこと、誰にも言わないでね」
最原「こんなことで部屋を訪れたってみんなに知られたら恥ずかしいからさ」
キーボ『あっはい』
最原「それじゃあね、おやすみ!」
最原(…似たようなことをずっと言ってるから、我ながら段々雑になってきたな…)スタスタ…
ーキーボの個室ー
キーボ(……一体何だったのでしょうか…)
東条「キーボ君、誰だったの?」シャワールームノドアガチャッ
キーボ(…最原くんには口止めされましたし、言わないほうがいいでしょうね)
キーボ「いえ、大した用事じゃなかったので大丈夫です」
東条「そう。それじゃあ引き伸ばし機のセッティングも終わったから、これの使い方を教えるわね」
キーボ「はい、よろしくお願いします」
東条「…ごめんなさいね、私は引き受けた依頼なのにキーボ君にも手伝わせることになってしまって」
キーボ「いえ、ボクが手伝うと言ったんですから大丈夫ですよ」
キーボ「それに東条さんはフィルムの現像までは1人でやってくれたじゃないですか」
東条「1人じゃないわ」
東条「キーボ君も液体の温度を測るのを手伝ってくれたり、タイマーを見ててくれたじゃない」
東条「キーボ君はとても正確に測ってくれるから、私も作業が楽になったわ」
キーボ「お役に立てたようで良かったです!」
キーボ「それに、カメラ3つ分と作る写真の枚数も多いですし、ボクも作業手順を覚えて分担した方が早く済みますしね」
キーボ「手順を1度で覚えてみせます、引き伸ばし作業も任せて下さい」
東条「ふふ、頼もしいわ」
東条「じゃあまず明るい状態で機材の説明をするわね」
キーボ「はい!」
ー寄宿舎ロビーー
最原(…よし、赤松さんもOKだね…)
最原(次は入間さんだな)ピンポーン
入間「おせえじゃねーか!テメーは遅漏かよ!」ドアバンッ!
最原「えっ?」
入間「ん?なんだ、ダサイ原じゃねーか」
入間「オレ様に何の用だ?」
入間「…待て、当ててやるよ」
入間「ヤローがこんな時間にオレ様の部屋に来るってことは…」
最原「いや違うけど」
入間「まだナニもイってねーだろうが!せめて言わせやがれ!!」
最原(入間さんの相手は真宮寺くんとはまた別の意味で疲れるから、早く引き上げよう…)
最原「ごめん、部屋を間違えたよ」
入間「はぁ!?」
最原「ドアの上の絵柄をよく見てなかったんだ、どうやら寝ぼけてたみたいで…」
最原「ごめんね、おやすみ」ドアバタンッ
入間『ちょっ…』
最原(……どうやら入間さんはドアをまた開けることはないようだ)
最原(結果的にも時短になって良かったかな)
最原(さて、次は白銀さんの部屋か…)
最原「……」ピンポーン
最原「……」
白銀『はーい?』ドア越し会話
最原「…最原だけど…」
白銀『最原くん?今開けるね』ガチャッ
白銀「最原くんがこんな時間にわたしに会いに来てくれるなんて、嬉しいなぁ」
最原「……ごめん、大した用じゃないんだけど…」
最原「実は夢で白銀さんを見てさ…」
白銀「ほうほう、ナンパかな?」
最原「えっ、あ、そうじゃなくて…」
最原「ちょっと悪い夢だったから、白銀さんが無事か気になっちゃってさ」
白銀「ふーん、最原くんはそんな理由で部屋に来ちゃうんだね」
最原「やっぱり迷惑だったよね、ごめん」
白銀「ううん、感動しちゃったんだよ!」
白銀「やっぱり最原くんって優しくて素敵な人だよね」
最原「そ、そうかな?ありがとう…」
最原「じゃあ、もう無事も確認できたことだし…」
白銀「ねえ最原くん」手ガシッ
最原「…な、何…?」
白銀「最原くん、今日ずっと学園のこと色々調べてたよね」
最原「う、うん…」
白銀「わたし達の為にやってくれてるんだよね、ありがとう」
最原「えっと、どういたしまして…」
白銀「でもあんまり無茶はしないでほしいな、わたし心配なんだよね」
最原「心配してくれるのは嬉しいけど、僕は一応探偵だからさ、ちょっとくらい危険なことでも大丈夫だよ」
白銀「でも最原くんに何かあったらと思うと…」
最原「大丈夫だよ、僕には頼れる仲間が居るから」
白銀「へえ、1人じゃないんだね」
白銀「じゃあわたしも仲間に入れてよ!最原くんの役に立ってみせるからさ」
最原「……その気持ちだけで充分だよ、ありがとう」
最原「危険なことかもしれないから、キミは巻き込めないからね」
白銀「…そっか」
白銀「それじゃあエールだけ送るとするね」
白銀「最原くん、頑張ってね!」
最原「うん、頑張るよ、ありがとう」
最原「それじゃあ、起こしちゃってごめんね、おやすみ」
白銀「うん、おやすみ」
最原「あ、えっと、白銀さんの部屋に僕が来たこと、他の人には言わないでほしいな」
最原「こんな理由でこんな時間に女の子を部屋を訪れるなんてどう思われるかわからないし…」
白銀「かりこまり!だよ」
白銀「じゃあまた明日ね」
最原「うん、また明日」
ドアパタン
最原(次は東条さんか…)スタスタ…ピンポーン
最原「……」
最原(寝ちゃってるのかな?)ピンポーン
最原(……東条さんなら、寝ちゃっててもチャイムが鳴ったらすぐ起きてきそうなイメージだけどな)
最原(あーでも、人前に出る前に髪や服装を整えてる可能性もあるな)ピンポーン
最原(完璧なメイドさんだし…)
最原「…東条さーん?」ピンポーン
最原(…おかしいな、勝手なイメージだけど、東条さんなら寝ていても他人を待たせることはしなさそうだけど…)
最原(…一旦後回しにして、他の女子の部屋を先にまわるか…)
ーーー
最原(…アンジーさんの相手に少し手間取ってしまった…)
最原(白銀さんといいアンジーさんといい、最近の女子高生はこわいなぁ…)
最原(よし、もう1回東条さんの部屋のチャイムを押そう)ピンポーン
最原「……」ピンポピンポーン
最原(出てこないな…)
最原(この部屋に今居ないのか…?)
最原(みんなの部屋をまわってきたけど、東条さんだけが出てこない…)
最原(つまり東条が黒幕ということなのか…?)
最原(…とりあえず、一度図書室に戻ろう)
ー図書室ー
天海「王馬くんの負けっすね」
王馬「いや、『ん』から始まる言葉はまだまだあるよ!」
王馬「だから天海ちゃんが『ん』から始まる言葉を思いつかなかったらオレの勝ちってことだね」
天海「『ん』がついても続いたらしりとりのルールが破綻するんで、そろそろ止めません?」
最原「戻ったよ」ドアガチャッ
王馬「最原ちゃんおっそーい!」
最原「ごめん、意外とみんなと話すのに手間取っちゃって…」
天海「で、どうでした?」
最原「…熟睡してる可能性もあるけど、東条さんだけ何度インターホンを押しても反応しなかったよ」
天海「後の人は応対したんすね?」
最原「うん」
王馬「ということは東条ちゃんが黒幕なのかな?」
王馬「でもなんか意外だなー」
天海「俺的には、生徒の誰が黒幕でも意外としか思えないっすけどね」
天海「あ、でも真宮寺君とか王馬君が黒幕って言われたら納得しちゃうっす」
王馬「確かにオレは悪の総統だけど、真宮寺ちゃんと並べられるのはちょっと心外だよ!」
最原「王馬くん、そういう言い方は真宮寺くんに失礼だから」
天海「王馬君が黒幕っぽいかは置いとくとして、仮に東条さんが黒幕だとすると、これからどうするのがいいっすかね」
天海「…ちなみにあれからそこの隠し扉は開いてないっすよ」
最原「あれから結構時間経ったと思うけど、まだ開かないんだね」
王馬「やっぱりあの中にもう居ないんじゃない?」
最原「それなら東条さんはどこに行ったんだろう…」
最原「鍵は寄宿舎にあるようだけどさ」
王馬「まあとりあえず、あの隠しカメラのフィルムを現像して黒幕の確認と動かぬ証拠をさっさと押さえちゃうのがいいんじゃない?」
天海「まだ東条さんがここから出てくる可能性もあるっすから、ここの見張りも居た方が良いと思うっす」
王馬「とりあえず写真を見てみないと、東条ちゃんが本当に黒幕かどうかもわからないけどね」
天海「フィルムの現像なら、確か倉庫で道具が一通り揃ってるのを確認済みっす」
最原「前倉庫で色々探してた時に、物の位置とかは結構把握したもんね」
王馬「じゃあ物の位置を把握している2人が現像してきなよ、オレはここで見張ってるからさ」
最原「でも現像なんて出来ないよ…」
天海「あ、俺出来るっす」
最原「!?」
天海「一時期フィルムカメラ趣味にしてたんで、現像や引き伸ばしも出来るっす」
最原「ハイスペックかな…?」
天海「ただ俺はモノクロ写真専門にやってたんでカラーはちょっと自信ないっすけど、まあほぼ工程は同じですし、本見ながら確認するんで大丈夫っす」本棚から写真の本を取り出しながら
王馬「何で本の位置把握してんだよ…」
天海「図書室内を見張りした時にたまたま見つけたんで」
最原「じゃあカメラ取り外すね」ガムテープベリベリ
天海「それまだフィルム結構残ってるんすよね?」
最原「うん」
天海「フィルムカメラは、全部フィルムを使い切って巻ききっちゃわないと取り出しにくいんで、巻けなくなるまで適当に撮影して下さいっす」
最原「え、じゃあ、天海くんハイチーズ」カシャッ
天海「!今の油断してたんでもっかいお願いするっす」キリッ
王馬「適当に撮影しろって言ったのは天海ちゃんなのに何キメ顔してんの」
天海「まあ写るからには折角ですし」キリリッ
最原「あ、王馬くんも写る?」カシャッ
王馬「むしろ最原ちゃん写してあげるから、ちょっとカメラ貸してよ!」カメラ奪い取り
最原「え!僕写真映り悪いから…」帽子で隠す
王馬「早くフィルム使い切らなきゃいけないんだから、ほら顔見せてよ」
天海「最原くんかっこいいんで大丈夫っすよ」
最原(ていうか何してるんだろうこれ…)
天海「あ、フィルム使い切ったっす」ジッジッ
最原「それじゃあ行こうか」
王馬「待って最原ちゃん、一応カードリーダーのホコリ確認しといてよ」
最原「うん、じゃあ一応…」
王馬「センサー切った?」
最原「うん、図書室に最初駆けつける時に切ってずっとそのままだよ」本棚ズズズ…
最原「…やっぱり、ホコリは落ちてるね」ジーッ
最原「形を確認するまでもないよ」
王馬「ふーん」
最原「念のため新しいホコリ入れとくかな」
王馬「それはしなくていいんじゃない?」
王馬「だって後はオレがここ見張ってるしさ」
最原「まあでも一応ね」ホコリ詰め
最原「それじゃあ今度こそ行くから」
王馬「あ、待って」
最原「今度は何?」
王馬「センサーのリモコン渡してよ」
王馬「今日は元々の見張り時間で、交代で管理するんだったよね?」
最原「でももしまたここが開いて黒幕が出てきた時、このセンサーを持ってれば僕らが駆けつけることができるけど、持ってなかったらここが開いてもわからないし、王馬くん危ないよ」
王馬「大丈夫だって」
天海「いや、流石に渡せないっすよ」
王馬「そんなにオレのことが信用出来ないんだね!酷いよ!」
天海「心配してるだけなんすけど…」
最原「はあ、じゃあ今度こそ行くからね」
王馬「うん、2人とも頑張ってね!」ベシッ
最原「うわっ!?」
王馬「じゃあねー」
最原「な、何なんだよ…」
天海「深夜のテンションってやつだと思うっす」ドアバタン
王馬「…最原ちゃんはちょろいなー」
ー入間の研究教室ー
王馬(あった、これこれっと)
王馬(よーし、早く移動しないとね)
ー寄宿舎ロビーー
ピンポーン
王馬(……やっぱり東条ちゃん居ないのかな?)
王馬(まあいいや、最原ちゃん達が来る前に早く寄宿舎での用事済ませよう)スタスタ
ピンポーン
入間「また根暗原か!?」ガチャッ
王馬「残念!オレでしたー!」
入間「テメー今何時だと思ってやがる!」
王馬「いやー、遅くなってごめんね?」
王馬「でもオレも色々あったんだよねー」
入間「まあいい、さっさとイってさっさと終わらせるぞ!」工具箱担ぎ
入間「で、そろそろどこでナニすんのか教えやがれ!」部屋の鍵閉め
王馬「おい肉便器、もう夜中なんだから少し声のボリューム落とせよ」
入間「す、すみましぇぇん……うぅ、肉便器ぃ…」
王馬「……」バシッ
入間「ひぐぅ!?」ビクッ
王馬「…服にゴミついてたよ?」
入間「…お、おう、気が利くじゃねえか…」
王馬「あ、オレちょっと自分の部屋に忘れ物あったこと思い出したからさ、先に行っててくれない?」
王馬「場所は図書室だから」
入間「図書室ぅ?あんなとこにナニがあるってんだよ」
王馬「まあまあ、先に行って中で待っててよ」
入間「ナカだな、外じゃねーんだな」
王馬「良いから早く行けよ」
入間「はいぃ〜、早くイきますぅ…」スタタッ
ー図書室ー
入間(クソッ、何で大天才のオレ様があんなツルショタにこき使われなきゃなんねーんだよ!)室内ウロウロ
王馬「はいおまたせー!」ドアガチャッ
入間「はうぅっ!?」ビクッ
王馬「で、やってもらいたいのっていうのがね…」スタスタ
王馬(さっき最原ちゃんからスッたリモコンでセンサーのスイッチを切ってっと…)
王馬「この本棚の裏にある」本棚グイッ
王馬「このカードリーダーなんとかしてもらって、ここを開けてほしいんだよね」
入間「……お、おい、この黒と白の扉って、もしかしてモノクマに関係あるんじゃねーのか…?」
王馬「さあ、偶然そういうデザインになっただけじゃない?」
入間「……なあ、本当にここ開けて大丈夫なのかよ?」
入間「追加されたばっかの校則で『未開放場所を無理矢理こじ開ける行為の禁止』ってあるじゃねえか…」
入間「あのエグイサルにオシオキされるなんて、冗談じゃねえぞ!?」
王馬「ここは未開放場所じゃないから大丈夫だよ」
入間「はぁ!?開かねーから今オレ様に頼んでんだろうが!」
入間「テメーはバカか!?」
王馬「ここを出入りしている生徒が1人居るらしいんだよね」
入間「へ!?」
王馬「生徒っていうか、生徒に紛れた黒幕らしいけど」
入間「えっ」
王馬「まあ一応生徒が既に出入りしているんだから、ここは既に解放された場所だよ」
王馬「ただ、正規の方法じゃない方法でここに入ろうとしてるだけだから問題ないよ!」
入間(…本当にそういうことでいいのか?)
入間(うぅっ…、このカラーリング的にぜってーモノクマ関わってんだろ…)
入間(オレ様はただでさえ1回モノクマをぶっ壊しちまって、目付けられてるかもしれないってんのに、これ以上モノクマに目つけられてたまっかよ…!)
入間(オレ様は無事ここを卒業して、ぜってー外の世界に出てやるんだからな!)
入間(……卒業?待てよ…?)
入間(『みんな揃って卒業』っていうのは無理だけどよ、『オレ様だけが卒業』することは出来るよな)
入間(初回特典を誰もまだ使ってないわけだし…)
入間(初回特典があれば学級裁判なんてめんどくせーものしなくて済むから、現場やアリバイを偽装する必要もねーし…)
入間(…今は夜中、ここには2人だけ、こいつはオレ様より体格が小さい…)
入間(肌も真っ白だし、どう見てもインドアな奴だろうし…)
入間(……これは、殺すなら今なんじゃねーのか…?)
入間(チャンスだろこの状況!)
入間(殺せそうな道具も…この工具箱に色々入ってるわけだしよ…)
入間(で、でも、確かにコイツはムカつく野郎だけどよ、別に殺したいってほどでもねーし…)
入間(そ、それに人殺しなんてアタシ無理ぃ…)
入間(…でも人を殺さねーとここから出られねールールだし、折角初回特典なんてあるし……)
入間(…うぅっ……)
王馬「質問はもう無いかな?」
王馬「無いならさっさと作業に取り掛かってほしいんだけど」
入間「え、えっと…」カードリーダーを見る
入間(…まだ中を見てないからなんとも言えねーけど、このタイプなら開けられそうだな…)
入間(……この扉、本当に開けていいのぉ…?)
入間「……」王馬の方チラッ
王馬「何?出来ない?そんなこと言いたいならとりあえずそれの中開けて仕組みの確認するくらいの素振りはしてほしいんだけど」
入間「……」工具箱を開ける
入間(……駄目だ、全部凶器に見えてくるぜ…)
入間(うぅっ、どうしよう…)
①これはチャンスだ!殺そう!
②人殺しは流石にダメだよな…
>>↓1安価
388 : 以下、名... - 2017/04/16 21:27:35.50 8cVEIdmj0 253/16552
入間(スパナ丸鋸圧着ペンチ電動ドリルマイナスドライバーはんだごて延長コード……)
入間(1番グロくなさそうなのは延長コードで絞殺か、スパナで撲殺か…)
入間(……うっ、死んだ姿想像したら気持ち悪くなってきた…)
入間(やっぱりやめとこう…)
入間(そ、それに、殺人は流石にねーよな…)
入間(こいつにも家族とか居るだろうし、オレ様もそのままここから出られたとして、誰にもオレ様が人を殺したと知られないとしても、こいつの死を振り切って生きていけるとはとても…)
王馬「はーやーくー作業してよー」
入間(こいつ人の気も知らないで…)
入間「……電子工具を使うかもしれねーから、とりあえず電源の確保をしてーんだけどよ、この部屋のコンセントはどこにあるんだ?」
王馬「それならそこの本の山の近くと、そっちの奥の廊下側のドアの近くにコンセントあったよ」
入間「お、あった。延長コードを挿して隠し扉の前まで引っ張ってきてっと…」
入間(…とりあえず、今はこいつのここを開けて大丈夫だって言葉を信じて開けてみるか…)
入間(いざとなったらこいつを盾にして全力で逃げよう…)
ー倉庫ー
天海「これで一応全部揃ったっすね」
最原「じゃあ早速現像しに行こうか」
天海「俺が引き伸ばし機とこっちの道具運ぶんで、最原くんはこっちお願いするっす」
最原「わかったよ。よいしょっと……ゔ、重い…」
天海「液体類が色々あるっすからね」
天海「一応、レンズに気をつけてくださいね」
最原「う、うん」
天海「それにしても…」
最原「どうしたの?」
天海「ああ、いや、引き伸ばし機ってもっと台数あったと思ったんすけど、こんなもんでしたっけ」
最原「台数まではよく覚えてないけど、確かにここに空きスペースがあるね」
最原「何か置いてあったんだろうけど、誰かが持って行ったんだろうね」
天海「…まあ考えてもわかんないですし、早く行きましょうか」
最原「場所は?」
天海「まあ、俺の部屋が良いと思うっす」
最原「わかったよ」スタスタ
ー寄宿舎、天海の個室ー
天海「じゃあ俺は今から部屋の方でダークバッグ使ってフィルムを現像タンクに移すんで、最原くんはシャワールームで液体の準備をお願いするっす」
天海「温度計はそれぞれの液体につき1本ずつ使用して下さい」
天海「まあ後はこの本の通りに」つ本
天海「すぐ終わらせてそっち手伝うんで」
最原「えっと、メスカップに発色現像液と漂白液と定着液を準備か…」
最原(液温安定用の水は…まあここはシャワールームだし、いつでも水でもお湯でも出せるから準備しなくていいかな…?)
天海「あ、流水ずっと使う工程あるんで、床濡れると思うんで先に靴下脱いでて下さいっす」ダークバッグゴソゴソ
最原「うん、わかったよ」
ーーー
天海「…よし、定着が終わったんで、後は本水洗だけっす」流水ダバー
天海「これで10分放置っす」
最原「10分だね」タイマーセット
天海「この工程が終わったら、あとはフィルムを吊るして乾かして現像は完了っす」
最原(ちょっと時間があるな…)
①10分くらいすぐ経つし、このまま待機
②東条の部屋にもう一度行く
③図書室に様子見に行く
>>↓1安価
395 : 以下、名... - 2017/04/16 22:30:36.60 2szrUgmao 258/16552
最原(よし、東条さんの部屋にもう一度行ってみよう)
最原「天海くん、僕はもう1回東条さんに部屋に行ってみるよ」
天海「…あれからセンサーが鳴ってないということは、まだ図書室の隠し扉は開いてないんで、東条さんは帰ってきてないと思うっすよ」
天海「仮に何かしらの方法で東条さんが部屋に戻ってきてるとしても、彼女は今1番黒幕の可能性が高いと思うんで、1人で行くのが危険だと思うっす」
天海「だから、最原くんが行くっていうなら、俺もついて行くっすよ」
最原「ありがとう」
最原「でも、もしかしたら話とかしたら10分以上時間かかるかもしれないよ?」
天海「本水洗の工程は時間が長引いても大丈夫なんで問題ないっす」
最原「そうなんだね」
最原「じゃあタイマーの残り時間と現在の時刻をチェックして、タイマーは止めておこうか」
天海「誰も居ないのに鳴ったら困りますしね」
最原「…よし、じゃあ行こうか」
天海「はい」
ピンポーン
最原「……」
ピーンポーン
最原「……」
天海「…出ないっすね」
最原「…まあ、夜中だから…」
ピンポーン
天海「…やっぱり東条さんは…」
東条『どちら様かしら?』ドア越し会話
最原「!あ、最原です」
東条『今開けるわ』ガチャッ
東条「あら、天海君も…」
天海「どうもっす」
東条「2人して、こんな夜中に何のご用かしら?」
最原「えっと、大した用事じゃないんだけど…」
最原「……」
最原「実はさっきも東条さんの部屋を訪れたんだけど、結構チャイムしたんだけど出てくれなかったけど、熟睡してたりした…?」
東条「別の時間にも来たのね」
東条「それなら丁度外出していた時だったのかもしれないわね」
天海「何でこんな時間に外出なんかしてたんすか?」
東条「外出と言っても、寄宿舎内よ」
最原「ひょっとして誰かの部屋に遊びに行ってたの?」
東条「遊びに、ではないけれど……」
東条「……」
最原「?どうしたの?」
東条「最原くん、ひょっとして何かあったのかしら?」
最原「えっ、何で?」
東条「まるで私のアリバイを調べているみたいな訊き方をしているもの」
最原「そ、そんなことないよ」
東条「最原君、正直に言って頂戴」
東条「勿論、もし何か事件が起きたのだとしたら私は全力で貴方に協力するわ」
最原「えっと、別に事件は起きてないよ」
最原(まずいな、変に勘付かれてしまった…)
最原「…何か誤解させてしまったみたいでごめんね」
最原「ほら僕探偵だからさ、ちょっと気になることがあったらつい訊いちゃうんだよね」
東条「なるほど、職業病なのね」
最原「だから一応、えっと、気になっちゃうからさ、教えてほしいんだ」
東条「それは依頼ね?引き受けさせていただくわ」
最原「ありがとう」
最原「…東条さんは誰の部屋に行っていたの?」
東条「キーボ君の部屋よ」
天海「キーボ君っすか」
東条「ええ。実は夕方に百田君とキーボ君にデスロード内を撮影したフィルムを現像して写真にするように依頼されたのよ」
東条「キーボ君は私の作業を手伝ってくれるというから、キーボ君にフィルムの…プリントの仕方を教えていたのよ」
東条「2人で分担すればそれだけ早く終わるもの」
東条「多分、丁度そのタイミングで最原君は私の部屋を訪れたのだと思うわ」
最原(そういえば百田くん、東条さんに頼むって言ってたっけ)
最原(東条さん、こんな夜遅くまで依頼の為に作業していたのか…)
最原(キーボくんの部屋に行っていたなら、後でキーボくんにまた会って確認すればすぐ裏が取れるな)
東条「他に質問はない?」
最原「…プリント作業を分担していたということは、東条さんも今その作業をしていたんだよね?」
最原「もし良かったら部屋を見せてくれないかな?」
天海「えっ、流石にこんな夜中に同級生の女子の部屋に入るのは…」
最原「…あっ、いや、違うんだ東条さん…!」
東条「いえ、構わないわよ」
天海「構わないんすね…」
東条「どうぞ」ドアを大きく開ける
最原「お、お邪魔します…///」
東条「シャワールームを暗室にして作業していたの」
東条「紙はケースに戻してあるから感光の心配はないわ、ドアを開けて電気を点けてもも大丈夫よ」
最原「じゃ、じゃあ失礼します…」シャワールームノドアガチャッ電気パチッ
最原(…確かに、天海くんの部屋に持ち込んだ引き伸ばし機と同じ物だね)
最原(完成した写真の何枚かが写真バットに入れられているね)
最原(確かに東条さんはここで作業をしていたみたいだ)
最原(後はキーボくんに確認が取れれば、東条さんは図書室の隠し扉が開閉した時にアリバイがあったことになるな)
最原(勿論、キーボくんも)
最原(つまり、東条さんは黒幕じゃないんだ)
最原(でも、だとすると一体誰が…?)
東条「写真が出来る仕組みが気になるのかしら?」
東条「気になるようなら教えるけれど」
最原「あ、いや、大丈夫だよ」
最原(考え込んでいたら、勘違いされてしまったみたいだ)
最原「うん、写真ってこういう風にできるんだね、凄いなぁ」
最原「アナログ写真って時間がかかって大変だよね」
東条「でも世界で初めての写真は、1枚撮影するのに8時間もかかったのよ」
最原「え、撮影の段階で!?」
東条「ええ」
天海「それを撮影されたのは1827年で、フランス人の発明家ジョゼフ・ニセフォール・ニエプスが撮影したっす」
天海「撮影されたのがその年ってだけで、カメラの原型自体は15世紀にはもうあったっす」
天海「カメラの原型であるカメラ・オブスクラは絵を描く為の装置として芸術家の間で活用されていて、あのレオナルド・ダ・ヴィンチも写生に利用したそうっすよ」
天海「あと日本人の大好きな画家であるヨハネス・フェルメールもこれを利用して絵を描いてるっすね」
天海「最原君が写真史に興味あるっていうなら今度もっと教えるっすよ」
最原「あ、うん、ありがとう…」
最原(天海くんは他人に勉強教えるのが本当に好きなんだね…)
天海「ちなみにフェルメールの名画『真珠の首飾りの少女』を題材にしたイギリス映画『真珠の首飾りの少女』はオススメっす」
最原「あっはい」
東条「……最原君、いいかしら?」
最原「うん、どうぞ」
東条「私は最原君の質問に答えて、こうして部屋まで見せたわけだけれど、もう大丈夫かしら?」
最原「うん、大丈夫だよ、ありがとう」
最原「それじゃあ僕らはこの辺で…」
東条「待ってちょうだい」
東条「私はまだ最原君が私を訪ねてきた用事を聞いていないわ」
東条「そもそも、最原君が少し前に訪ねて来た時に何をしていたか、しかまだ話していないわ」
東条「最原君に天海君、貴方達は何故私の部屋に来たの…?」
最原(…そういえばまだ訪問理由を話してなかったっけ…)
天海「ほんと大した用事じゃないんすけど…」
東条「遠慮しないで言ってちょうだい」
天海「明日の晩御飯のリクエストに来ただけっす」
天海「カレーがいいっす」
東条「カレーね、了解したわ」
東条「でもそれなら明日言ってくれても良かったんじゃない?」
天海「カレーは仕込みに時間がかかりますし、明日いつ会えるかもわかんないっすからね」
東条「なるほどね」
東条「甘いものが好きな人や辛いものが好きな人、様々居るでしょうし、色んなカレーを作らないとね」
天海「色々作るならバイキングみたいにして食べても美味しいかもっすね」
東条「色々な種類が作れるかはこの学園にある香辛料と相談してみるわね」
最原(カレーか…、最近食べてないし、東条さんの作るカレーなら絶対美味しそうだ…)
最原(というかこの時間にこの会話は飯テロだな…)
東条「…でも、天海君がカレーのリクエストをしたかっただけなら、どうして最原君まで私の部屋に来たのかしら?」
天海「それは俺が最原君と部屋で雑談していて、ふと明日の夜ご飯はカレーが良いっすよねって話しになって、そのまま流れで頼みに来ただけっすから、大した理由はないっす」
東条「なるほどね」
天海「まあそんなわけで、明日の夜ご飯、期待してるっす」
東条「ええ、任せてちょうだい」
最原「それじゃあ東条さん、おやすみなさい」
天海「おやすみなさいっす」
東条「2人とも、あまり夜更かしはしないようにね、おやすみなさい」ドアパタン
天海「…そう言う東条さんも夜更かし確定っすよね」
最原「まあ仕方ないよ」
天海「それじゃあ次は、キーボ君の部屋にアリバイの確認っすね」スタスタ
最原「うん」スタスタ
ピンポーン
天海「……」
ピンポーン
最原「…東条さんの時もそうだったけど、2人とも起きてるのに出て来るの遅いよね?」
天海「それはあれっすよ」
天海「2人とも暗室作業中なんで、部屋の出入りをするためには印画紙を直さないと出入りで紙が駄目になっちゃうっすからね」
天海「または、印画紙を現像液とかに漬けてる作業中かもしれないっすね」
天海「うっかり部屋の方の電気をつけっぱなしにしてたり、タイマーの残り時間が色々キリ悪いとほんと出てこれないっすから」
最原「フィルムの現像が終わった後も時間のかかる工程があるんだね」
天海「そんなわけなんで、ちょいちょいインターホン押して待ってるアピールしながら気長に待つっす」ピンポーン
キーボ『お、お待たせしました』ドア越し会話
最原「あ、僕だけど…」
キーボ『また最原クンですか…、今度は一体どうしたんですか?』
最原「いや、ちょっとキーボくんに訊きたいことがあってさ」
キーボ『訊きたいことですか…?』
最原「キーボくんって今何してるの?」
キーボ『えっ…?デスロードで撮影した写真のプリント作業ですよ』
最原「そうなんだね」
最原「ちなみにいつからその作業しているの?」
キーボ『えーっと、夜8時に東条さんと倉庫で待ち合わせをして、そこで必要な道具を集めて、それから東条さんと一緒に作業してましたよ』
キーボ『まあ今は分担して作業していますが…』
最原(夜8時からか)
最原(東条さんのアリバイは問題ないかな…?)
最原(まあ、合間に席を外したりもしてるだろうけど、彼女が真っ黒な黒幕っていうのから、他のみんなと同じグレーにまでなったかな)
最原(あんまりキーボくんに質問していると怪しまれるだろうし、この辺にしておこう)
最原(それにしても、東条さんが黒幕でないとすると、隠しルート説がまた浮上することになるな…)
最原(だって僕らは隠し扉のセンサーが鳴ってからすぐに駆けつけたけど、道中は誰も会わなかったし、その後隠し扉から誰も出てきてないしね…)
キーボ『…最原クン、ボクが自室で何をしているのか気になってボクの部屋に来ただけですか?』
キーボ『用事はそれだけですか?』
最原(キーボくんからしたら、忙しいのにいきなり僕が来てわけのわからない質問をしているわけだよな…)
最原「えっと、勿論それだけじゃないよ」
最原「ただキーボくんが出てくるのが遅かったから、何してるのかな?って気になっただけなんだ」
キーボ『そうですか、それで用事とは?』
最原「えぇっと、実はあの後、またキーボくんがプレス機に潰される夢を見ちゃって…」
キーボ『!?』
天海「実は俺もっす」
キーボ『え、天海クンもですか!?』
天海「はい、だからこれはきっと何かあると思って、不安になってキーボ君の確認に来たってわけっす」
キーボ『あれ?話を聞くと2人ともさっきまで寝てたんですよね?』
キーボ『何で2人一緒にボクの部屋に来たんですか?』
天海「それはあれっす」
天海「2人ともたまたま同じタイミングでキーボ君の身を案じて、たまたま同じタイミングで部屋を出てちょっと雑談して『同じ夢見てる!』ってなったから一緒にキーボ君の部屋に来たってだけっす」
キーボ『そうなんですね。…不吉ですね…』
最原「キーボくん、くれぐれも気をつけてね!」
最原「近々プレス機で潰されちゃうかもだよ」
キーボ『不安になること言わないで下さい!』
天海「用心するに越したことないっすよ」
天海「ところでキーボ君は、何で部屋から出てこないでずっとドア越しに会話してるんすか?」
キーボ『いや、だって…、仮にも今はコロシアイ生活中じゃないですか…』
キーボ『こんな夜中に不用心にドアを開けたりしないですよ…』
最原「え、キーボくんって殺せるの?」
キーボ『馬鹿にしないで下さい!』
キーボ『ボクだって人間と同じように死ぬんですよ!』
最原(ロボットが死ぬとは…?)
天海「見た目に反して結構軟弱な作りなんすね?」
キーボ『飯田橋博士の作ってくれたボクの体を馬鹿にしないで下さい!』
キーボ『もう!ボクは忙しいんですから、用事が無いならもう帰ってくださいよ!』
最原「なんかごめんね、じゃあ今度こそおやすみ」
キーボ『はい、おやすみなさい』
天海「おやすみなさい」
天海「…部屋に戻るっすか」
最原「うん、そうだね」
ー寄宿舎、天海の個室ー
天海「とりあえず、東条さんがグレーになって良かったっすよね」
最原「彼女の作ったご飯を食べてるわけだしね…」
最原「そしてこれで分かったことが1つあるね」
最原「僕らは隠し扉のセンサーが鳴ってからすぐに図書室に駆けつけた」
最原「道中では誰も会っていない」
最原「つまり、あの扉の中に繋がる隠し通路がやっぱりあるんだ」
天海「また隠し通路探ししないとっすね」
最原「でも、フィルムの現像の結果次第ではすぐにでも黒幕を追い詰められるよ」
天海「あ、そういえばそろそろ本水洗終わってるんじゃないっすか?」
最原「うん、10分経ったね」
天海「じゃあフィルムを取り出すっすよ」シャワールームノドアガチャッ
天海「それじゃあフィルム吊るすんで、そこのクリップ取って下さいっす」フィルムシュルシュル
最原「あ、はい」つクリップ
天海「シャワールームの壁に取り付けた突っ張り棒に引っ掛けたS字フックにクリップを引っ掛けて吊るして…っと」
最原「現像結果はどう?」
天海「ちょっと待って下さいっす」
天海「フィルムに水滴の跡がつくとやばいんで、先にスポンジで水をある程度拭くっす」
天海「よし、あとはこのまま自然乾燥するっす」
最原「フィルム見ていい?」
天海「フィルムに触らないように気をつけたら見ても良いっすよ」
最原「わかった、気をつけるよ」
最原「えっと、最初らへんのフィルムはこっち側か…」ジーッ
最原「…………」
天海「…どうっすか?」
最原「ネガだからちょっと見にくいけど…」
最原「…おかしいよ…」
天海「どうおかしいんすか?」
最原「扉の開閉を写してるフィルムだけど、人が写ってないように見えるんだ」
天海「……それはおかしいっすね」
天海「フィルムが小さすぎて人が居るのがわかりにくいだけじゃないっすか?」
最原「いや、人は確かに写っていないよ…」
最原「…つまり、こうだ…」
最原「黒幕は隠し通路を通り、あの隠し部屋へ入った」
最原「その後、中からあの図書室側の隠し扉を開閉させてカメラに写したんだ」
天海「ちょっと待ってくださいっす」
天海「カードリーダーのホコリは落ちてたんすよね?」
最原「それは多分、カメラのインターバル中にカードキーを通してホコリを落としたんだ…」
天海「インターバル?初耳っすけど」
最原「……ごめん、いい忘れてたんだけど、あの発明品は一度シャッターが押されたら、次に自動的に撮影するのは30秒後なんだ」
天海「……なるほど」
最原「隠し通路があるのにわざわざ図書室の隠し扉の開閉を行い、わざとセンサーに反応させ写真に写したり、カードリーダーのホコリを落としたりできたのは…」
最原「…どこに仕掛けられているのかわからないけど、きっとこの学園のそこら中に隠しカメラや盗聴器があって、全部盗み聞きしてたんだろうね…」
天海「まあ、学級裁判をやるとか言ってるくらいですし、犯人やトリックを見張って判定する必要があるから、当然と言えば当然っすよね」
天海「でも黒幕は何でこんなことをしたんすかね」
最原「僕らをおちょくっているのか、あるいは別の狙いがあったのか…」
最原「それはわからないけど、でもこれで隠し通路があることはほぼ確定したんだ」
最原「きっと僕らが黒幕を追い詰めているハズだよ」
天海「そうっすね」
天海「…ちなみにこのフィルム、引き伸ばしはもう必要ないっすかね?」
最原「いや、一応引き伸ばしてくれないかな?」
最原「実は目立たないだけで、本当は黒幕が写ってる可能性もあるし」
天海「了解したっす」
天海「それじゃあフィルムの乾燥が終わったら早速作業するっすね」
ー図書室ー
隠し扉のドアウイーン
入間「やった!やっと開きやがった!」
王馬「意外と時間かかったね」
入間「しかたねーだろ!機材が揃ってね―んだからよ!」
王馬「まあ、入ろうか」スタスタ
入間「じゃあオレ様は片付けするか」イソイソ
王馬「片付けなんて後でいいじゃん、先こっち調べようよ」ドア閉まらないように押さえながら
入間「えぇっ!?オレ様もそのナカに入るのか…!?」
入間(冗談じゃねえ!これ以上ヤバそうなことに関わってられっかよ!)
入間「な、中はらめぇええ!!」
王馬「早く行くよ」腕グイグイ
入間「い、イきたくないのぉおおおお!!」ズルズル
ー隠し部屋ー
入間「あん!入っちゃった…」
王馬「中は案外広いね」
入間「ケッ!趣味わりー部屋だな」
王馬「そう?メス豚ビッチちゃんより全然良い趣味してると思うよ」
入間「め、メス豚ビッチぃ……?」
王馬「うーん…、首謀者の姿は見当たらないね」
入間「えっ!居るパターンもあったのかよ!?」
王馬「じゃあまず、あのいかにも怪しい赤い布取ってよ」
入間「赤い布…」
入間(あの部屋の奥のど真ん中にある、でけーやつにかかってる布のことか…)
入間「な、何でオレ様がそんなことしなくちゃいけねーんだよ…」
入間「気になるならテメーがイけよぉ…」
王馬「まあまあ、いいじゃん」
入間「うぅっ…」ビクビク
入間「か、被ってんじゃねーぞ!クソが!」赤い布を勢い良く剥ぎ取る
マザーモノクマ「あ、見つかっちゃったね」
入間「ぎゃあああああああああああああああああ!!!!!?????????」ドテーン
王馬「うわー、おっきいね!もしかしてコイツもモノクマなのかな?」
マザーモノクマ「ボクはただのモノクマじゃないよ」
マザーモノクマ「このコロシアイをコントロールし、全てのモノクマの祖となる存在であるボクには…マザーモノクマという、特別な名前が与えられているんだ!」
入間「や、やっぱモノクマなのか…」
入間「こ、こんなに大きいの、初めて…!///」
マザーモノクマ「それにしても思ったより早くここに来たね」
マザーモノクマ「確かに入間さんはチートな存在だけど、よく彼女に任せたよね」
マザーモノクマ「彼女のメンタル的に、ちょっと面白いことになるんじゃないかと期待してたけど、何にも起きなくてガッカリだなぁ…」
王馬「『全てのモノクマの祖』ねぇ…」
王馬「お前がモノクマーズの言ってた、この学園の中にあるモノクマのスペアを作れる設備ってやつ?」
マザーモノクマ「ピンポーン、せいかーい!」
マザーモノクマ「ほら、ボクの背後にある素晴らしい機械が見えるでしょ?」
マザーモノクマ「この機械でモノクマの型を作り出し、そこにボクの思考をコピーすることで、ボクはボクを産み出しているのだー!」
入間「ま、まじかよ…」
入間「モノクマって滅茶苦茶ハイスペックロボットっぽいのによ」
入間「つーか、思考をコピーってことはやっぱりあれは自立型AIってことなんだな」
入間「あんまり言動やモーションが自由だから、てっきり誰かが遠隔で操作してると思ってたけどよ…」
入間「…まあ、キーボも大概すげーか」
王馬「キー坊は量産できないけどね」
マザーモノクマ「ね?ボクって凄いでしょ?」
入間「だけど流石にあんなレベルのロボットを作るってなると、すげー時間かかっちまいそうだよな」
マザーモノクマ「ところがどっこい!スペアは簡単に作れちゃうんだよ」
王馬「…じゃあやって見せてよ」
マザーモノクマ「…………」
入間「ん?どうしたんだよ、さっさとヤれよ」
マザーモノクマ「愛もないのに、産める訳ないじゃない!」
マザーモノクマ「ちゃんと産んだ後のこととか考えてるの!?」
マザーモノクマ「無責任に産めだなんて言わないでよね!」
王馬「入間ちゃん、なんかこのマザーモノクマと芸風ちょっと被ってるよ」
入間「オレ様のは芸じゃねーし、ここまで重くねーよ!」
王馬「マザーモノクマちゃん!オレがちゃーんと責任取るからさ、モノクマを産んでみせてよ!」
マザーモノクマ「どうせそれも嘘なんでしょ!?」
マザーモノクマ「認知してくれるの!?養育費払ってくれるの!?」
王馬「認知するよ!」
マザーモノクマ「養育費は!?」
王馬「ちゃんと払うよ!入間ちゃんが!!」
入間「お、オレ様がかよ!?」
王馬「認知もするし養育費も払うって言ってるのに、なんで産んでくれないんだよー!うわああああああん!!」
マザーモノクマ「そんなの、愛がないからに決まってるじゃない!」
王馬「クソッ、どうしろってんだよ!」
王馬「愛ってなんだよ!」
入間「哲学かよ…」
マザーモノクマ「ていうかボク、王馬クンのことタイプじゃないんだよねー」
マザーモノクマ「だから認知も何も、最初からスタートラインに立ててないっていうか」
入間「辛辣だな」
王馬「なんだー、タイプじゃないなら仕方ないね」
入間「納得すんのかよ…」
王馬「じゃあさ、オレ、マザーモノクマの為に頑張って努力するからさ、どんな子がタイプなのか教えてよ!」
マザーモノクマ「そんなの教えられないよー!」
王馬「ヒントだけでも!」
マザーモノクマ「だめだよ、ダメー」
マザーモノクマ「教えられませーん」
王馬「ちぇー、ケチー」
王馬「…こんなに言っても産んでくれないってことは、お前がモノクマのスペアを作る設備っていうのは嘘なんだね」
マザーモノクマ「嘘なんてつかないよ、ボクは王馬クンじゃないんだから」
王馬「……」
王馬「マザーモノクマ、生徒の中に紛れているお前側の人間は誰か教えなよ」
マザーモノクマ「あ、ストレートに訊いちゃうんだ」
王馬「教えた方が身の為だよ?」
マザーモノクマ「え、ボクに脅し?」
王馬「はい、これなーんだ?」
入間「あ!それはオレ様が先日モノクマを、じ、事故で壊しちまったヤツと同型の発明品じゃねーか!」
入間(あの赤いコードを抜くと、半径3mが爆発するやつ…)
入間(モノクマは破壊できだが、あのマザーの耐久度がわかんねーからなんとも言えねーが、マザーの後ろにセットすれば後ろの機械もろともいい感じにダメージ与えられそうだな)
入間(マザーの方と違って、ガラス?で保護されてない後ろの機械の方はひとたまりもねーだろうな)
入間「って、なんでオメーがそれ持ってんだよ!」
王馬「ここに来る前に、入間ちゃんの研究教室から持ってきちゃった!」
入間「『持ってきちゃった』って…」
王馬「お前がもし本当にスペアのモノクマを作ることが出来るってんなら、これ使われたら困るんじゃない?」
マザーモノクマ「や、やめて!産めない体になっちゃう!」
入間「オメーは最初から体はねーだろうが!」
入間(ていうかコイツ、ほんと校則もへったくれもねーな…)
王馬「嫌でしょ?じゃあ早く黒幕だか裏切り者だかの名前を教えてよ」
マザーモノクマ「あのさあキミ、ボクが嘘をつく可能性は考慮しないわけ?」
王馬「ん?マザーモノクマはオレと違って嘘はつかないんだよね?」
マザーモノクマ「……」
マザーモノクマ「キャー!助けて我が子よー!」
モノクマ「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!」ボヨヨーン
モノクマ「マザーの子、ボクです!」
王馬「さっきここの扉を開けられたってことだからさ、どうせスペアも作られてると思ったけど、やっぱりか…」
モノクマ「お客様お客様お客様!!困ります!!あーっ!!!お客様!!」図書室の方へ追い出しグイグイ
王馬「うわっ、ちょっと!まだ全然ここ調べられてないのに!」
王馬「あー、くそっ!」赤いコードブチッ、マザーにポイッ
モノクマ「ぎゃー!!危ないマザー!!」マザーを庇って発明品キャッチ
ドカーンッ
王馬「やったか!?」
入間「何でわざわざフラグ立ててんだよ!」
マザーモノクマ「ふう、危なかった…」
マザーモノクマ「やっぱり持つべきものは身代わりだね!」
入間「ほら、フラグ立てやがったから!通常のモノクマは壊れたみてーだが…」
モノクマーズ「「おはっくまー!」」
モノタロウ「うわー!?またお父ちゃん死んじゃったよー!!?」
モノスケ「最早死に芸やな」
モノキッド「流石に今回は普通に校則違反だよな!」
王馬「いや、校則違反じゃないよ」
モノファニー「ぷんぷん!この期に及んでまだ言い訳する気!?」
王馬「だってオレが狙ったのはマザーモノクマの方だよ?」
王馬「それを勝手に通常のモノクマが庇って死んだんじゃん」
王馬「事故でしょ」
モノタロウ「でもマザーモノクマだってモノクマだよ!」
モノタロウ「モノクマを狙ったってことは立派な校則違反なんだよ!」
王馬「そもそもモノクマっていうのは、お前らのパパなんだろ?」
モノファニー「うん、そうよ!」
王馬「そしてそのモノクマは、自分のことを『マザーの子』って言ってたよ」
王馬「つまりマザーモノクマは、キミ達にとってのおばあちゃんだね」
モノダム「…オバア…チャン…?」
王馬「暴力しちゃいけないこの学園の学園長っていうは、愛くるしい見た目のキミらのパパであって、おばあちゃんのことではないよね」
モノタロウ「うん、そうだね!」
モノキッド「あんなグロ生首がミー達のお父ちゃんなんて勘弁だぜ!」
マザーモノクマ「あのさぁ…」
王馬「つまりオレが狙ったのは あのグロ生首おばあちゃんだからさ、校則違反にはならないよね」
モノファニー「うん、そうね!」
モノスケ「お父やん自身がマザーモノクマのことを、親認識してるならしゃーないわな…」
モノスケ「でも今回は、ただ言いくるめられるだけのモノクマーズやないで!」
モノスケ「その件に関しては譲ってやるけど、代わりに校則を追加しといたからようチェックしときや!」
王馬「校則…」モノパッドポチポチ
王馬「『図書室の本棚を勝手に動かす行為を禁止とします』…」
モノファニー「そういうことよ!」
王馬「最早ここのこと隠す気ないね」
モノファニー「手段は選んでられないわ!」
モノキッド「よし、とりあえずキサマラはいつまでも そのドアのとこ突っ立ってねーで、そのまま図書室の方に下がりやがれ!」
モノタロウ「本棚を元の位置に直さないといけないからね」
モノキッド「こっちの言い分を聞かねーってんなら、今すぐにでもエグイサルを呼ぶぜ?」
入間「ひぃいいいいいいい!!!!」図書室へダッシュ
王馬「…まあいいけどさ」スタスタ
モノダム「…………」
モノタロウ「よーし、図書室の本棚閉めるよー」ゴゴゴ…
モノスケ「これでここは開かずの扉っちゅーわけやな」
王馬「ふーん、開かずの扉ね」
モノファニー「はい、閉じたわ」
モノファニー「キサマラ、もう夜もかなり遅いんだし、あんまり夜更かししちゃダメよ?」
モノクマーズ「「ばーいくまっ!」」
入間「うぅっ、寿命が縮まったぜ…」ドキドキ…
王馬「あ、そうだ。忘れない内に言っておくけどさ、この事他の人に言っちゃダメだからね!」
入間「あ?このこと…?」
入間「い、色々ありすぎてわかんねぇよ、どのことだ?」
王馬「この図書室に来てからのこと全部だよ」
入間「こんなピンポイントな校則追加されておいて、隠すもクソもねーと思うぜ」
王馬「言わなきゃ馬鹿にはわかんないって」
王馬「馬鹿に言う必要はないし…」
王馬「言うべき人にはオレが言うから、入間ちゃんは勝手しないでね」
入間(勝手にそっちが巻き込んだんだろ!)
王馬「言ったらただじゃおかないからね」
王馬「はい、それじゃあ今日はもう帰ってもいいよ、おつかれー」スタスタ
入間(うぅっ…、周りが全部おっかねぇ…)
入間(はぁ、教育番組もねぇ、ネットもねぇ、アタシもうこんな学園嫌だよぉ…)工具片付け
ー寄宿舎、天海の部屋ー
天海「また校則が追加されたみたいっすね」モノパッドポチポチ
最原「こんな夜中に…」
天海「…『図書室の本棚を勝手に動かす行為を禁止とします』っすか…」
天海「…まさか、王馬くんが本棚動かして何かしたんすかね?」
最原「でも本棚にはセンサーが仕掛けられていて、そのセンサーをオンオフできるリモコンは僕が今持ってるし…」
最原「……あれ?」ポケットゴソゴソ
天海「……」
最原「……ない…」
天海「…これで2度目っすよ」
天海「最原君、ポケットガバガバすぎじゃないっすか?」
最原「……」
天海「最原君が図書室を出て行く際に落としたのか、王馬君が取っていったのかは知らないっすけど、まあそのリモコンでセンサーを解除して何かやっちゃったんでしょうね」
最原「…多分、取っていったんだろうね…」
最原「僕が図書室を出て行く時に王馬くんが背中を叩いてきたのは、ポケットからセンサーのスイッチを抜き取るのに気がつかせない為かな…」
最原「手癖悪いなぁ…」
天海「とりあえず、何があったのか知る為にも1度図書室に行くのが良いっすね」
天海「フィルムも当分乾かないんで」
最原「じゃあ行こうか…」
ピンポーン
天海「誰か来たっすね」
天海「どちら様っすか?」
王馬『オレでーす』ドア越し会話
天海「……」ドアガチャッ
最原「…ちょうど図書室に行こうと思ってたよ…」
王馬「そうだったんだね!いやー、オレ達って以心伝心しちゃってる?」スタスタドアパタン
最原「校則の件を話に来たんだよね?」
王馬「あ、追加された校則見た?」
最原「見たよ…」
王馬「あんな校則が出来たからさ、もうあそこ見張る意味ないなと思って戻ってきたんだよ」
王馬「恐らく今後は黒幕も、あそこを出入りすることは無いんじゃないかなと思うし」
最原「確定はできないけど、黒幕も生徒である以上あそこを出入りしづらいだろうし…」
最原「他に隠し通路があれば、そっちを確実に使うだろうね」
天海「…王馬君、そろそろ何があったのか話して下さいっす」
王馬「ん?何があったのかって?」
天海「この校則が追加されるに至った原因があるハズっすよね?」
王馬「まあ立ち話も何だし、座っていい?」
天海「どうぞ」
王馬「まあ察してると思うけど、あの隠し扉を開けて、ちょっとあいつらを怒らせるようなことしちゃったんだよね」
最原「ちなみにどうやって開けたの?」
王馬「入間ちゃんに開けさせたんだよ」
天海「は!?何やってるんすか!」
天海「あそこはモノクマに関係してるかもしれない重要な部屋な可能性があるのに、事情をよく知らない生徒を巻き込むなんて…」
天海「…もしくは、入間さんにだって黒幕の可能性はあるんすよ!?」
王馬「どこにあるかわからない隠し通路を延々と探すより、あの扉開けたら手っ取り早いと思って、昼に夜時間を空けとくようにお願いしてたんだよね」
王馬「夜に開けさせようと思った理由は、やっぱり他の生徒の人目が気になるからだよね、何があるかわからないし」
王馬「勿論、約束の時間まで詳しいことは何も言ってないし、さっきも隠し部屋のことは口止めして別れたよ」
天海「…ならせめて、実行する前に俺らに一言相談してほしかったっすね」
王馬「相談したら絶対賛成してくれなかったよね?」
王馬「天海ちゃんは慎重すぎなんだよ、それじゃ何もできないよ」
王馬「だから勝手にやったんだよ」
天海「王馬君が勝手にやったことによって、また校則が追加されたっすよ」
最原「でもこの校則の追加によって、隠し通路の存在が決定的になったんじゃないかな」
最原「元々、東条さんの黒幕疑惑が晴れた時点で隠し通路の存在はほぼ確定的になってたんだし、今回追加された校則に関しても、黒幕が不利になるような校則が追加されるとは考えにくいからね」
天海「何で最原君はそっちの味方なんすか」
最原「黙ってた王馬くんにもちょっと問題はあると思うけど、そんなことずっと責めても仕方ないよね」
最原「僕としては早くこの話を切り上げて、隠し扉の中の情報を知りたいからね」
王馬「さっすが最原ちゃん!効率厨すぎてクールというかドライだね!」
王馬「貶してないよ?オレは好きだよ!ここを出たらオレの秘密結社に入ってよ!」
最原「こういう会話も不毛だから王馬くん、早くあの隠し扉の中の情報を教えてくれないかな」
天海「さては最原君、眠いだけっすね…」
天海「早く情報聞き出して寝たいんすね…」
最原「そうだよ」
天海「でも俺の方が起きてるんすからね」
天海「朝6時から今までずっと起きてるんすよ」
最原「天海君の寝てないアピールとかどうでもいいよ」
最原「僕は1日最低8時間は寝てないと、頭が働かなくなるしイライラしてくるんだ」
天海「健康的な生活送ってるんすね…」
王馬「ぐっすり探偵なんだね」
王馬「オレの組織に入れば食欲性欲睡眠欲も渇く事なんて一切…」
最原「僕は就職先には困ってないから、早く経緯を簡潔に詳しく教えてってば」
王馬「簡潔なのか詳しくなのか…」
ーーー
王馬「…って感じかな」
最原「そのマザーモノクマの言うことが嘘じゃなければ、やっぱりあの隠し扉の奥にモノクマのスペアを製造できる装置があったんだね」
天海「ということは、やっぱり隠し通路があったんすね」
王馬「マザーモノクマの部屋から出ていく時、パッと部屋の中を見渡したけど、ドアや通路みたいなものは見当たらなかったけどね」
王馬「…ちゃんとは見れてないけど」
最原「更に隠してある可能性もあるね」
最原「あと部屋の内装が気になるから、明日でいいから紙にでも描いて見せてくれないかな?」
最原「多分倉庫に行けば紙と色鉛筆くらいあると思うから」
王馬「オレの画力に期待しちゃいけないよ」
最原「うん、期待してないよ、大体がわかればいいから」
最原「じゃあ今のを踏まえて明日の方針決めようか」
王馬「待って、次はオレが話を聞く番だよ」
王馬「さっき最原ちゃんが、東条ちゃんの黒幕疑惑が晴れたって言ってたけどさ、オレが居ない時にそっちでも何か進展があったってことだよね?」
王馬「それの話しを聞かせてよ」
最原「それについては後で天海くんが話してくれるよ」
天海「え、俺っすか」
最原「王馬くんは今はとりあえず、東条さんの黒幕の疑いは晴れ、あそこに繋がる隠し通路がほぼ確実に実在するという事実だけ頭に置いてくれたらいいよ」
天海「さては最原君、明日の方針が決まったらさっさと寝るつもりっすね?」
最原「うん、いい加減眠くて眠くて…」
天海「でも俺もかなり眠いんで…」
最原「そっか」
最原「じゃあそういうことだから王馬くん、東条さんの疑いが晴れた経緯は明日話すね」
王馬「ええっ…」
最原「で、明日やることだけど、今日の昼時間のと同じだね」
最原「自分の受け持った場所の探索の続きだよ」
天海「22時頃にも言ったように、俺は明日はトイレの前の廊下と2階への階段辺りを午前で終わらせて、午後からは玄関ホールをもう1度徹底探索するっす」
王馬「女子トイレも頼んだよ」
天海「王馬君のその、俺に女子トイレを調べさせようとしているのは何なんすか…」
王馬「マザーモノクマの部屋が女の部屋っぽい感じだったから、なんとなく女子が怪しいかなと思って」
最原「特に意味は無くて、ただの部屋のデザインじゃない?」
最原「教室や階段だってよくわかんないセンスの壁紙とかしてるし…」
天海「『マザーモノクマ』とかいう名前なくらいですし、単純にクイーンのイメージなだけかもっすよ、トランプ的な意味で」
王馬「そう言われると何も言えないよね」
最原「僕も明日は、校舎の周囲の外壁と地面の探索は終わりそうかな」
最原「18時になったらまた校舎内の探索の手伝いをするよ」
最原「あ、それと天海くんはどのタイミングでもいいけど、できれば早めにフィルムから写真にしといてもらえるかな」
天海「わかったっす」
最原「あと王馬くんは適当なタイミングで、天海くんに東条さんの疑いが晴れた話を訊きに行ってね」
天海「…何か俺やること多いっすね…?」
天海「王馬君、最原君の方に訊きに行ってもいいんすよ?」
最原「いや、僕もやることがあるから手が離せないかもしれない」
最原(百田くんとキーボくんに例の写真を見せてもらって、偽の外の世界の説明を受けときたいし…)
最原「王馬くんは明日はまだ校舎内の探索場所が多いから、それだけで終わりそうだね」
王馬「だね」
最原「そっちも忙しいかもしれないけど、マザーモノクマの部屋の図を描くことも忘れずにお願いするよ」
王馬「うん、わかったよ」
最原「はいそれじゃあ質問ある人居る?」
最原「なければ解散して寝ようか」
王馬「今質問してもどうせ『明日答える』って言われそうだから、何もないよ」
天海「俺も無いっす」
最原「うん、じゃあお疲れ様、おやすみ」スタスタスタドアガチャッバタン
天海「直帰する新入社員みたいな帰り方っすね…」
王馬「そんなに眠かったんだね」
天海「王馬君はお昼に寝てたから俺らの気持ちがわかんないかもしれないっすけど、かなり眠いっす」
王馬「そうなんだね!」
王馬「それじゃあ今から何する?ババ抜き?」
天海「いや、だからかなり眠いって言ってるじゃないっすか…」
天海「王馬君も部屋に帰って下さいっす…」
王馬「オレまだ眠くないんだよねー」
天海「夜ご飯直前まで寝てるからっすよ…」
天海「…じゃあ倉庫に色鉛筆と紙でも取りに行って、記憶が鮮明な内にマザーモノクマの部屋の図でも描いたらどうっすかね」
王馬「そうだね、そうしよっかな」
王馬「じゃあ天海ちゃん、おやすみー!」ドアガチャッ
天海「はい、おやすみなさいっす」ドアパタン
ー寄宿舎ロビーー
入間「あ、鬼畜ショタ!」
王馬「あれ、まだ部屋に帰ってなかったの?」
入間「そ、それがぁ、部屋の鍵失くしちゃったみたいで入れなくてぇ…」ウッウッ
入間「だからさっきドライ原に一緒に鍵探してもらおうと思って声かけたんだけどぉ、他の女子の部屋に泊めさせてもらえばとか言ってぇ…」グスッ
王馬「入間ちゃんの部屋の鍵なら開いてるよ?」
入間「へ!?」
王馬「何で1度はノブを回してみなかったの?馬鹿なの?」
入間「あ、ホントに開いてやがる!」ガチャッ
入間「あ!入ってすぐの床に鍵も落ちてやがる!」
入間「な、なんでぇ…?」
王馬(隠し部屋を開けるのを手伝ってもらう為に呼び出した時、他の人にコイツのGPSで行動を勘付かれないようにと思って、鍵取って部屋に置いたからなぁ…)
入間「何だかよくわかんねーが、これで他の貧乳どもの部屋で泊まらずに済むってわけだ!」
入間「オレ様が貧乳と同じ空気を吸って、オレ様まで貧乳になったら世界の損失だからな」
王馬「どういう原理なんだよ」
王馬(ていうか、オレが鍵取ったって何で気づかないんだろ…)
入間「ところで眠気原といいオメーといい、何ですしざんまいの部屋から出てきたんだよ?」
王馬「まあ色々あってね」
入間「エロエロ…?」
王馬「もうお前口閉じてろよ、無駄に二酸化炭素を吐き散らかしてんじゃねーよ」
入間「い、息しててすみましぇぇん…」
王馬(さっさと倉庫に寄って自室に帰ろう)スタスタ
ー朝、食堂ー
東条「そろそろ食器を片付けるからみんな、流し台のところに持ってきてちょうだい」
赤松「はーい!」食器運び
白銀「……はぁ…」
アンジー「どうしたー?つむぎー」
白銀「えっ?えっと、なんかそろそろいつものパターン的にモノクマ来そうだなーと思って…」
白銀「なんかいつも朝ご飯の時に来てたし、日が開いたからそろそろかな?って…」
アンジー「大丈夫だよー、神さまも言ってるよー」
アンジー「『今日は安全日だ』ってー!」
白銀「なんか別の意味に聞こえるね…」
東条「…今朝はみんなの集まりが悪いけれど、残りの朝ご飯をどうしようかしら…」
星「腹が減ったら冷蔵庫なり鍋の中なり見に来るだろ」
星「そのままでいいと思うぜ」
赤松「はぁ…、最原くんって本当に食事にルーズだね…」スタスタ
百田「オレからしたら飯を抜くなんて、あんま考えらんねーことなんだがなぁ…」
真宮寺「朝食に来てないのは、最原君、入間さん、天海君、王馬君、キーボ君だネ」
東条(キーボ君、まだプリント作業をしているのかしら…?)
東条(後で様子を見に行って、場合によっては手伝わないと…)
夢野「キーボのやつは食事をせんから来ないのは気にならんのじゃが、他の奴らは一体どうやって昼まで腹をもたせる気なんじゃろうな」
茶柱「転子なんて朝にお鍋を食べても、お昼までお腹ギリギリしかもちませんよ」
夢野「いくら運動しているとはいえ、燃費の悪い体じゃの…」
ゴン太「そういえば今朝起きたら、校則が追加されてたよね」
ゴン太「あれって何で追加されたんだろう?」
春川「どっかの馬鹿が本棚を倒したとか、滅茶苦茶にしたとかじゃないの?」
春川「校則なんて元々意味わかんないのばっかじゃん」
春川「気にしたってしょうがないよ」
春川「それに、本棚なんて元々動かす予定なんてないし、どうだっていいよ」
ゴン太「そっか。ゴン太も本棚を動かす予定は無いし、気にしないことにするよ」
夢野「し、しかし、こういうのが追加されると、いざ本を取ろうとして本棚から抜いた拍子に本棚が倒れてきたらと思うと、恐くて触れんのう…」
東条「本がきっちり入ってしまっている棚から本を抜いても、倒れることはないと思うから安心しても良いと思うわ」
夢野「そ、そうか…」
東条(倒れることはないけれど、この校則の追加を考えるに、どこかに動かせる本棚があったということね)スタスタ…
東条(先日のプール開放時に追加された校則のことを考えると、この校則は何かあった時、すぐ追加反映されるようになっているようね)皿洗いカチャカチャ
東条(そして今回のこの校則が追加されたのは夜中ね)
東条(私が自室のシャワールームで作業を始める前に最後モノパッドを確認した時何も異常は無かったのに、プリント作業が終わって寝る前に確認した時には校則の追加がされていた…)
東条(つまり、夜中に誰かが図書室で本棚を動かして、何かをしていたということね)
東条(当然この校則というのは、モノクマ達や黒幕には不利な条件を追加するとは思えないし、むしろ黒幕側に有利に働こうとしていると思われるから、その本棚を動かした誰かが黒幕に不利益なことをもたらした為、校則が追加されたのよね)
東条(一体誰が何をしていたのかしら…?)
東条(夜中といえば、最原君と天海君が尋ねてきたわね…)
東条(…しかも最初は最原君だけが、私の居ない時間にも尋ねてきたようだし…)
東条(当然、晩御飯のリクエストの用事ではないでしょうね)
東条(あの時最原君は私に、どこで何をしていたのか訊いてきたけれど、それと何か関係することなのかしら?)
東条(朝食に来ていないのは、最原君、入間さん、天海君、王馬君、キーボ君の5名…)
東条(キーボ君は写真のプリント作業をしているだろうけど、他のみんなはきっと夜更かしをしていたのでしょうね)
東条(すると…、図書室の本棚をあの時間動かして何かをしたのは、最原君と天海君、入間さん、王馬君の誰かの可能性が高いわね)
東条(そもそも、図書室の本棚を動かして何になるのかしら…)
東条(本棚の上には本が積まれていたし、動かすとその本が落ちてきて危ないと思うのだけれど…)
東条(…いえ、私がよく覚えていないだけで、ひょっとして上に本が積まれていない本棚があったのじゃないかしら)
東条(…むしろあったのでしょうね、動かせる本棚があるということなのだから)
東条(本棚を動かして……何か黒幕が物を出し入れしている隠し金庫でもあったとか?)
東条(もしくは、初日だかに食堂でモノクマーズが言っていた、学内にあるという『モノクマを製造する機械』が本棚の裏に置いてあったり…?)
東条(きっと黒幕側の何かを見つけてしまって、それが校則によって取り締まられてしまったということね)
東条(誰かが私の知らないところで黒幕と戦っているのね…)
東条(一体誰なのかしら…?)
東条(…………)
東条(…入間さんは、彼女の性格的に違う気がするわね…)
東条(王馬君は何を考えているのか、よくわからないわ…)
東条(やはり最原君と天海君かしら?)
東条(最原君と天海君は昨日の昼時間で校舎の建物を調査していたようだし、可能性は充分あるわね)
東条(本人達に直接訊くのが1番かしら)
東条(決まりね)
東条(キーボ君の手伝いを終え、私のプリントした写真を渡したら最原君達に訊きに行きましょう)
東条(私はみんなに仕えるメイドだもの、彼らのお手伝いしましょう)
ー寄宿舎、最原の個室ー
最原「…ふあぁ…ぁ…」ムクリ
最原(今何時だろう…)目覚まし時計チェック
最原「朝?の10時半か…」
最原「今日は朝の放送があっても、全く気がつかなかったな…」目ゴシゴシ
最原「ご飯は朝昼兼用で少し早めに食べようかな…」
最原(…2人とももう起きて調査してるのかな?)モノパッドマップチェック
最原(寄宿舎に居るね)
最原(でも2人の場合、自室でやる作業を先にやってる可能性もあるし、なんとも言えないか…)
最原「……とりあえず顔洗って、ご飯食べに行こ…」ノソノソ…
ー食堂ー
最原(この時間は中途半端だから誰も居ないか…)
最原(ご飯炊けてるし、お鍋に味噌汁があるからそれついで、あとはサラダでも食べようかな)
最原(火通すの面倒くさいから、生で食べられるやつを…)冷蔵庫ゴソゴソ
最原(…野菜切る為に包丁握ったら、目が覚めてきたな…)ザクザク
最原(盛り付けて和風ドレッシングかけて出来上がりっと)食堂のテーブルに運ぶ
最原「……」モシャモシャ
最原「……」モグモグ
最原(…食べ終わったら何始めようかな)ゴクゴク
①屋外の探索の続き
②百田とキーボにデスロード出口の話を聞きに行く
③天海の部屋に写真が出来たか様子を見に行く
④その他(リクエスト)
>>↓1安価
462 : 以下、名... - 2017/04/19 22:07:51.86 OYDIwXTKO 310/16552
最原(うん、百田くん達に話を聞きに行こうかな)モグモグ
最原(東条さんとキーボくんが昨日現像してたし、そろそろ写真全部出来上がってる頃じゃないかな)
最原(キーボくんに会いに行けば、写真が出来上がってるかそうかもわかるし、キーボくんに会いに行こう)モノパッドマップチェック
最原(百田くんもキーボくんも寄宿舎に居るようだね)
最原(食べ終わって片付けたら会いに行こうかな)
最原(デスロードの出口の話を聞いて、何かこの学園の謎解きに進展があればいいけど…)
最原(…今色々考えたって仕方ないよね)
最原(まずは百田くん達に話を聞いて、それから考えよう)
最原(よし、食べ終わったし片付けよう)カチャカチャ
ー寄宿舎ロビーー
ピンポーン
キーボ『はい』ドア越し会話
最原「最原だけど、今いいかな?」
キーボ『いいですかね?……はい、大丈夫ですよ』
最原(誰か中に居るんだろうね)
キーボ『今開けますね』ガチャッ
最原「えっと…」
百田「よう、最原」
最原「あ、百田くんも居たんだね」
赤松「私も居るよ!」
最原「赤松さんまで…?」
百田「キーボが写真出来たっていうからな、今からそれについて話し合おうとしてたんだ」
最原「そうなんだね」
最原「丁度よかったよ、僕もデスロードの出口の話を聞きたいと思って来たんだよね」
最原「もし良かったら僕も話に混ぜてくれないかな?」
百田「最原とは元々約束してたし、勿論いいぜ」
キーボ「まさに今から話を始めるところだったんですよ」
キーボ「さあ、入って下さい」
最原「お邪魔します」スタスタ…ドアパタン
キーボ「では、こほん」
キーボ「昨夜、東条さんに手伝っていただきまして、使い捨てカメラ3台分の写真のプリントが完了しました」
キーボ「…ボクが作業を終わらせたのは今朝ですけどね」
キーボ「東条さんは特に写真のことには触れずに、自分の担当分の写真を渡してくれました」
キーボ「恐らく、この崩壊した世界の写真を見てもデスロード内のセットの一部だと思ってくれたんだと思います」
百田「なあ、勿体ぶってねーで、とりあえず写真を見せてくれよ」
キーボ「…では、こちらになります」テーブルの上に置く
キーボ「一応、撮影順に並べてありますので、なるべく順番を崩さずに見て下さい」
最原(百田くんが写真の束を手に取り、それを一枚一枚見ていく)
最原(僕と赤松さんは百田くんの後ろから、それらの写真を覗き込んで一緒に見ていく)
最原(部分部分を写したものや、その周辺の全景を写したもの、色々な写真がある)
赤松「…改めて、酷い光景だね…」
最原「あの出口の先はこうなってたんだね…」
百田「……」
最原(…まるで現実感のない光景だな…)
最原(ポストアポカリプスものの映画の中のワンシーンみたいだ)
最原(…写真を全て見終えた)
百田「見終わったぜ」写真をまたテーブルの上に置く
キーボ「それではお話していきますね」
キーボ「まず、こちらが入ってすぐの全景写真で、こちらが外から見た出口のドアの写真です」
最原(そうしてキーボくんは写真の解説をしていった)
最原(81枚も写真があるので、解説や僕らの質問にキーボくんが受け答えをしていると、あっという間に数時間が経過していた)
最原(途中、おもむろに赤松さんがサンドイッチを取り出してその場でお昼ご飯を済ませているのを見た時は、いくら偽の外の世界と言われているとはいえ、神経図太いなと思った)
最原(ちなみに百田くんも一緒にサンドイッチを食べていた)
キーボ「…って感じですね」
最原「なるほどね…」
最原「確かに、これを屋外と呼ぶにはちょっと厳しい点が幾つかあったね」
キーボ「ちょっと上のことはわかりませんが、周囲は確かに壁に囲まれていました」
キーボ「出口の位置からは見えませんが、奥に歩いてビルの間を見てみると、横道は全てすぐ途切れていましたし、壊れかけのビルの中にも恐る恐る入ってみましたが、建物がガワだけで中に物は一切ありませんでした」
キーボ「また、出口から出て直線の道は距離が長かったですが、そのうち壁に突き当たってしまいましたし」
キーボ「その壁はよく見ると巨大な液晶モニターで、映像が映し出され続けていました」
キーボ「なので、これは室内だと思われます」
百田「だろ?オレの言った通りだろ!」
キーボ「ええ、手前の方しか荒廃した光景が作り込まれていませんでした」
赤松「出口なんてモノクマ達の嘘だったんだね」
赤松「デスロード、頑張ったのになぁ…」
百田「まあでも良かったじゃねえか、あの世界が偽物ってことが確定してよ」
最原「というかあのデスロードの下を流れている水、綺麗だったしね…」
最原「食堂の野菜や果物も毎日補充されているし、きっと外の世界の普通に無事な農家で作られているんだろうね」
最原「もし外の世界が滅んでいるとしたら、モノクマ達が才囚学園のすぐ隣接した隔離された広大な土地で様々な種類の野菜や果物を作っているってことになるし…」
最原「厨房にある食料の中には魚もあったしね」
赤松「…モノクマ達がTOKIOみたいにしているのを想像したら、ほんの少しだけ和んでしまった自分が悔しいよ…」
最原「それにしても、この写真を見たりキーボくんの話を聞いてみると、デスロードの外って意外と広いんだね」
キーボ「ええ、結構広かったですね」
最原「…これはいよいよ、政府の陰謀説とかあるんじゃない…?」
百田「おいおい…」
最原「僕もこういう話につきものな陰謀説って馬鹿げてるとは思うんだけどさ…」
最原「広大な土地に立派な施設、整えられた環境…」
最原「ここで僕らの行動を観察して何か実験を行ってたりとか、可能性としては無くもないんじゃないかな」
赤松「か、考えすぎだよ…」
赤松「そんな、フィクションの話じゃないんだからさ…」
百田「そうだぜ、第一オレたちはみんな、政府に認められた超高校級の高校生なんだぜ?」
百田「政府がそんなことしてたまっかよ」
キーボ「そうですよ、きっとどこかの悪趣味なお金持ちがボク達を閉じ込めてるだけです」
赤松「それも結構フィクションじみてるけど…、でも、政府陰謀論より現実的?かな…」
最原「現実的って何だろう…」
最原「ここでは僕らの常識なんて何も通じないんだし…」
最原「…それにここに来て結構経つけど、未だに警察も自衛隊も助けにこないし…」
赤松「……」
最原「そもそも、若者が閉じ込められてコロシアイを強要されているって時点で既にフィクションじみてるよね」
キーボ「た、確かにそうですが…」
百田「おい、こんなこといつまで考えたってしかたねーだろ」
百田「デスロードの出口がハズレだった以上、今のオレ達に出来ることは、新たな出口を探すことだけだ」
百田「黒幕の正体なんざ知ったこっちゃねえよ」
百田「誰が相手だろうが、オレ達のやることは変わらねえ、そうだろ?」
百田「食品の搬入が出来てるってことは、必ずどこかが外と繋がってるってことだからな」
赤松「…うん、そうだね!」
赤松「新しい出口が見つかるまでどれだけかかるか分からないけど、このままコロシアイが起きなければ、いつかきっとみんなと外に出られるんだもんね」
赤松「私、頑張って探すね!」
百田「勿論オレも探すぜ!」
キーボ「…そうですね、いつまでも助けを待っているだけじゃいけませんよね」
最原(新しい出口か…)
最原(…それよりも、この生徒の中に紛れている黒幕側の人間を見つけて訊き出す方が早そうだな)
最原(出口探しは彼らに任せて、僕は僕の方法でここからの脱出を図ろう)
百田「勿論最原も出口探すだろ?」
最原「うん」
最原(せっかく結束を高めているところだから、空気読んで嘘をつこう…)
最原(『互いに出口を探し合おう』そう約束して僕らは解散した)