ライト「え……?」
粧裕 「ちょっと何驚いてるのお兄ちゃんw」
ライト(お、落ち着け…おそらくこのリビングも、監視カメラと盗聴器で筒抜けなんだ…)
ライト「あぁいや、粧裕はコンソメ味嫌いじゃなかったかと思って」
粧裕 「そうなんだけどさ、流河旱樹がCMやり始めて、なんかおいしそうだなぁなんて…ハハ」
ライト(くっ…なにもこんな時期に……仕方ない、ここは冷静に…)
ライト「はは、まったくミーハーだな、粧裕は。でも、あれは受験勉強の夜食なんだ。」
粧裕 「えー、ケチー」
ライト「明日また買ってきてやるよ…」
元スレ
夜神粧裕「たまには、コンソメ味食べてみよっかな」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1296996928/
粧裕 「……………………」ニヤリ
ガバッ!ダダッ!
ライト「!?」
粧裕 「へっへー頂きー♪」
ライト「ば…やめろ!開けるな!!」
粧裕 「わはは、もう遅いわー!」
ベリベリッ!!
ライト(なっ…この馬鹿………!!)
粧裕 「いーじゃん全部食べるわけじゃないんだか…あれ?」
ライト「さ、粧裕、それ返し
粧裕 「ぎゃっ、なにこれぇ!液晶テレビ!?と…鉛筆?あっ、なんか紙切れも入ってる!」
ライト(馬鹿が!!くそっ…なんとか誤魔化せ!僕ならできる!)
~モニタールーム~
L 「……いつも息子さんはああいうポテチを?」
総一郎「さぁ…。」
ライト(ここで焦ってひったくれば怪しまれる…かといってデスノートの切れ端を粧裕が触
粧裕 「やだっ、もしかしてこれ、大当たり!?紙になんか書いてあるかも!」
ライト(カンガエテルヒマガナイマッテマッ
粧裕 「当選おめでとうございまーすなんて…ってきゃあああああああ!!」
リューク「あ~あ、いつもの長すぎる独白がアダになったなあライトw」
ライト(黙れ死神…僕はまだ諦めちゃいない…!)
ライト「ど、どうした、粧裕!?」
粧裕 「なにコレ…この…ばけものぉ……」
リューク(げっ、この娘泣きそう…)
リューク「俺は死神リュークだ。安心しろ、俺はお前に何もしない。」
粧裕 「死…神…?」
ライト「死神!?なにを言っているんだ粧裕!」
ライト(頼む黙れリューク!ああー面倒くさいぃぃぃ!!面倒くさすぎる展開だ…!)
粧裕 (お兄ちゃんには見えていない…?でもさっきこの死神、確かにお兄ちゃんに話しかけた…わたしが突然、幻覚をみるなんていう可能性より…そう、おそらくこれは実在する死神! そんなものの存在を認めろと言うの!?でも、そう考えるのが今は一番論理的…! だとしたらお兄ちゃんは見えないフリをしている…なぜ?そういえばさっきからなんだか顔が必死…!ポテチを取られたくらいで必死になるってギャグだと思ったけど、考えてみればお兄ちゃんはそんなにユーモアのセンスがある人ではない…隠しているんだ…死神の存在…そしてリュークの言葉から、二人の付き合いは短くはないことは確実!死神と共にする行動といえば…魂を吸い取る………そう、殺人!とくれば…)
粧裕「キラは夜神月」
ライト「え?」
~モニタールーム~
L 「え?」
総一郎「え?」
粧裕 「そんな…お兄ちゃんがキラだったなんて…」
ライト(何…?……何っ!?何!?しばらく硬直してたと思ったら、コイツ一体何を…!?)
ライト「な、なんて事だ…粧裕が錯乱しているっ!きゅ、救急車を…救急車を呼ばないと……!」
粧裕 (ポテチのCMでは液晶テレビの事なんか何も言ってなかった…それにそんなもの、外から触ればすぐに解ってしまう。これはキャンペーンなんかじゃない、お兄ちゃんの工作! なぜそんな事を?とにかく確実なのは、鉛筆と紙切れ、液晶テレビを人目につかせたくなかった…。キラが人目につかせたくないもの、それは殺人の道具! そういえばリンド=L=テイラーの生放送では、Lは殺されななかった…おそらくキラは殺人に顔と名前が必要!そうか、だから液晶テレビが…いや、しかし人目につかないというだけなら、わざわざこんな工作は不要のはず…考えられる理由は………監視カメラ!! そうか…もう警察…いやおそらくLの捜査は、そこまで進んでいる……)
ライト「…粧裕?………粧裕~。」
リューク「俺にはお前が錯乱してるように見えるぜ、ライト。」
粧裕 (液晶テレビは標的の顔と名前を確認するため。となると鉛筆と…いや、おそらくあの紙きれ、あれこそ殺人の道具!キラの持つ情報は顔と名前だけだから、どちらかをあの紙切れに鉛筆で書く…すると書かれた者が死ぬ!殺人紙切れ!! しかし似顔絵を描くと死ぬなんて、あまりに無理がある…となると、顔を認識している者の名前を書くことが殺しの条件!)
ライト「粧裕、大丈夫かっ!返事をしてくれっ!」
ライト(コイツ絶対いま余計なこと考えてる!すごく嫌な予感する!)
粧裕 (だけどキラの犠牲者の全てをあの紙切れにかくなどとても…そういえば罫線が引いてあった…そうか、おそらくあれはノートの一部!)
粧裕「殺人ノート…!」
ライト「あぁぁぁー!ほら言わんこっちゃない!!」
リューク「ちょ、声出てるぞライト!」ゲラゲラ
粧裕 (ここでお兄ちゃんを追いつめる方法はひとつ…だけど死神に殺されれば元も子もない…いや、死神はおそらく単なる傍観者。お前になにもしないと言ったのは嘘じゃないようだし、嘘ならとっくに殺されてるはず……ここはやるしかない)
粧裕「お兄ちゃん………いいえ、キラ!」
ライト(もうやだ…逃げたい……)
ライト「粧裕…さっきからおかしいぞ。一体どうし」
粧裕 「観念しなさい!どう言い逃れられるというの!?」
ライト(くそっ!監視カメラさえなければすぐにでも消してや……いや、粧裕が死んだりしたら僕への疑いはより深まる…コイツそれを計算済みで…?まて、落ち着くんだ。なんとかうまく切り抜けられるはずだ……考えろ!)
ライト「……粧裕、かわいそうに、きっと疲れているんだな。」
リューク「会話の遅い兄妹だな…」
ライト「粧裕が何を考えたのかわからないが、その液晶テレビは、深夜番組をみるためなんだ。」
粧裕 「………?」
ライト「仕方がないから白状するよ。僕は受験勉強はもう充分だと踏んで、大好きな深夜番組を毎晩みていたんだ。だけど、下らない深夜バラエティが大好きなんて僕には恥ずべき事なんだよ、粧裕。だからこっそり観て、母さんが急に部屋に入ってきてもカモフラージュできるように、ポテチに細工しておいたんだ。そう丁度今日からね! 気に入ったギャグは忘れないようにすぐにメモして、大学で披露する…僕は新生活の人気者になる!」
粧裕 (………それは少し、苦しすぎる……!)
リューク(え、それはさすがに苦しいだろライト)
~モニタールーム~
L 「苦しい言いわけですね。」
総一郎「矛盾だらけで見苦しいな。」
ライト(こうして恥ずかしい秘密を打ち明けられることで、大抵の人間は満足する…もしまだ疑われていたって、証拠を押さえられない限りキラは捕まらない…勝った!)
粧裕 「あと横棒二本。」
ライト「ヨコボー?」
粧裕 「書き終える…お兄ちゃんの名前。この紙切れに。」
ライト「!!」
粧裕 「あと一本…。」
ライト「わ…わわ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ボカッ!!
粧裕 「くっ…!」
ライト「ふざけるなーっ!!何をやってる!?」
粧裕 「やはり…キラは夜神月。」
ライト「………ふふっ……ふははははははは!! ははははっ!はははははは!はは…オッ……ゲホッ………んはははは!!はは! そうだ僕がキラだ。」
~モニタールーム~
L 「夜神さん!残念ですが私の推理によれば、ライトくんがキラである可能性は100%です。凶器は名前を書かれれば死ぬ、殺人ノート!!史上最悪の殺人兵器です(キリッ」
総一郎「推理って、粧裕の受け売りじゃな
L 「ライトくんを確保します。捜査本部の者全員をご自宅に向かわせてください。」
ライト「お前のせいだぞ、粧裕……!」
粧裕 「………」
ライト「お前のせいで新世界は………犯罪のない、心の優しいものだけの世界は消える! わかるか!?全ての人間の希望を、世界の希望をお前は絶ったんだ!」
粧裕 「世界の希望…?」
ライト「そうだ…これがどれだけ罪深いことかわかっているのか!? ………………だがまだ遅くはない。策はある。償え粧裕!まだ間に合う! お前はリュークとある取引をするんだ!そして
粧裕 「笑わせるなっ…」
ライト「!?」
リューク「!?」
粧裕 「世界の希望などではない…それは、お前の希望だ。」
ライト「……!」
粧裕 「同定するな!………それに、償うのはお前の方だ!」
リューク「ウホッ!言うねー」
粧裕 「お前はさっき私が名前を書きそうになったとき、えも言われぬ恐怖…戦慄を感じたはずだ…だから殴ってでも私を止めたのだろう? 死のノート…デスノートとでも呼ぼうか…これを手に入れたただの人間が、なぜその恐怖を、人に与える権利がある…。死にたくないという純粋な本能を無視する権限が、自分にあるとなぜ考える…?」
ライト「……なにを知った風なクチを…!」
粧裕 「されて嫌なことは人にするな…それは、ただの子供をしつけるための文句じゃない。その本当の意味がわからないうちは、お兄ちゃんもまだまだ……」
ピーポーピーポーピーポー………
粧裕 「子供って事なんだよ……」
ピーポーピ ブツッ…… パーポーパーポー
ドタドタドタッ……
総一郎「ライトっ………!お前をっ………!たい
L 「逮捕します!」
ガチャリ!ガチャリ!
リューク「…ライト、意外に早かったが、お前はもう終わりだな。」
ライト「ちくしょう…殺す…みんな殺してやる…!」
リューク「聞こえちゃいないか?まぁとにかく、最初の約束通り、お前の名をノートに書くぜ…」
粧裕 「させるかっ!」
ボウッ!!
リューク「うわっ、油断した!あ、俺のノートが!燃えちまったっ!」
粧裕 「他のノート、切れ端も、既にジェバンニが燃やしてくれた。」
リューク「おい、お前、これはさすがに怒るぞ。」
粧裕 「すまないな、リューク。死神にまで、人間の考えのもと説教する気はない。だがお兄ちゃんを殺すことは、妹として止めた。許せ。」
リューク「あぁ~あ、面倒くさいことしてくれるなあ。まったく。いったん死神界に戻るしかねぇか………。じゃあな、けっこう、おもしろかったぜ。」
バサッバサッ……
粧裕 「死神か…もう降りてくるなよな……」
幸子 「ただいま~……ってこれ一体なんの騒ぎ!?」
粧裕 「こうしてキラ事件は幕を閉じた。未成年であるお兄ちゃんが、どう法に裁かれるのかはわからない。私にできる事は二つしかない。ただ待つことと、ただ信じること。お兄ちゃんはいつか、純粋な悪も、純粋な正義も、空想の中にしかないということに気づくだろう。キラは正義でも悪でもあり、だからそこ自分は戦わねばならなかったのだということに。そして、いかに勝つかではなく、いかに戦わねばならない状況を回避するかが、私たちの課題であることに。世の中を一気に良くしようとすれば、必ず失敗する。キラはそのことを、身を持って世界に示したのだった。」
幸子 「『のだった。』じゃないわよ粧裕!買い物に行ってる間に何があったの、説明しなさい!」
L 「完!!」