まゆり「来週は~、オカリンの誕生日なのです!」
紅莉栖『……ふむん』
まゆり「それでね~ それでね~、みんなでお誕生日会を開こうって…… ねぇダルくん?」
ダル「そうだお。それで牧瀬氏はアメリカで忙しいだろうから、せめてこうやってビデオ通話でオカリンを祝って欲しいってまゆ氏が」
まゆり「そうなのです!」
元スレ
紅莉栖「岡部の誕生日?」まゆり「そうなのです」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1513250675/
紅莉栖『なるほどね。わかった』
まゆり「わー、やっ――」
紅莉栖『行くわ』
まゆり「へ?」
ダル「行くって、どこにだお?」
紅莉栖『どこって、そっちよ』
まゆり「そっちって?」
紅莉栖『日本に決まってるじゃない』
まゆり「えぇぇ~~」
ダル「ちょっ、牧瀬氏どうしたん?」
紅莉栖『どうって何よ?』
ダル「デレすぎじゃね?」
紅莉栖『デレとらんわっ!』
紅莉栖『ちょうど日本に用があったしついでよ、ついで』
ダル「あるあ……ねーよ。牧瀬氏さすがにそれは無理があるお」
紅莉栖『本当よ』
ダル「ツンデレ乙」
紅莉栖『だから違うと言っとろうが!』
紅莉栖『とにかく、なるべく早く行くからよろしく。またね、まゆり』
まゆり「は~い」ブチッ
ダル「僕への挨拶がなかった件について」
まゆり「クリスちゃんはツンデレさんなのです」
(注)α世界線の状態まま紅莉栖もまゆりも助けることに成功した世界線でのお話です
紅莉栖はα世界線で岡部と共に戦った記憶を保持したままでいます
*
【3日後 空港】
岡部「それでクリスティーナは本当に来るのか?」
まゆり「なんかね~、日本に用事があるんだって~」
ダル「まさか本当に来るとは思わなかったお」ヒソヒソ
岡部「まったく、ラボメンでありながらこの俺に連絡もよこさずに帰って来るとは」
まゆり「でもでも~、まゆしぃはクリスちゃんに会えて嬉しいのです」
ダル「牧瀬氏が乗ってる便、これなはずだお」
岡部「クリスティーナはどこにいるのだ?」
まゆり「あれじゃないかなぁ~ おーい、クリスちゃ~ん」
紅莉栖「……!」
まゆり「あ、やっぱりクリスちゃんだぁ。トゥットゥッルー♪」
紅莉栖「ハロー、まゆり。久しぶり」
岡部「クリィィスゥティィナッ、俺になにも言わないで帰って来るとは、ラボメン失格――」
紅莉栖「ハイハイ。いま疲れてるから、後ね後」
岡部「なっ―― この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真にむか――」
紅莉栖「はいはいワロスワロス」
岡部「――もしもし、俺だ。……どうやら助手が機関の手に落ちてしまったようだ。ああ、ひどく洗脳されてしまっている。至急対策を講じてくれ。……エル・プサイ・コングルゥ」
紅莉栖「久しぶりに聞くとホントうざいわね、それ」
岡部「なにぃぃ、そもそもファーストクラスのセレセブが疲れているはずがないだろう」
紅莉栖「セレセブ言うなっ!」
ダル「まゆ氏まゆ氏、僕たちなにを見せつけられてるん?」
まゆり「オカリンとクリスちゃんは仲良しさんなのです」
岡部・紅莉栖「「仲良しじゃない!」」
ダル「あ、もしもし壁殴り代行さんですか? はい、二時間コースでお願いします。オプションはメリケンサックで」
*
まゆり「クリスちゃんはこれからどうするの?」
紅莉栖「そうね、今日はもう疲れたからホテルに行くわ。明日は午前中は行く場所があるから、ラボに顔出せるのは午後になるかな」
まゆり「お掃除して待ってるね~」
ダル「オカリンのプレゼント買いに行くのかお?」ヒソヒソ
紅莉栖「なっ/// ついでよ、ついで」ヒソヒソ
ダル「ツンデレ乙。てことは買いに行くってことでFA」ヒソヒソ
紅莉栖「くっ……///」
岡部「ふむ、よかろう。助手よ、用を済ませさっさとラボに来るがよい。サボっていたこの数ヶ月分、存分にこき使ってやろうではないかッ!」
紅莉栖「お生憎様。私はあんたのお遊びに付き合ってあげられるほど暇じゃないの。他をあたってちょうだい」
岡部「な、なんだと。助手の分際で!」
紅莉栖「だから私は助手でも、クリスティーナでもないと言っとろうが!」
ダル「またこれかお…… 壁殴り代行さんが過労死するお」
まゆり「二人は本当に仲良しさんだねぇ」
岡部・紅莉栖「「だから違う!」」
ダル「夫婦漫才乙」
*
【翌日 デパート】
紅莉栖(岡部が欲しいものねぇ……)
紅莉栖(それにしてもクリスマスフェアで、どこもかしこもカップルばっかりね)ハァ......
紅莉栖(そもそも岡部は私のことどう思っているのかしら)
紅莉栖(キスまでしておいて、私がアメリカに帰った後なんの連絡もないとか、なんなの? 馬鹿なの? 死ぬの?)
紅莉栖(ったく……)
紅莉栖「あ、これとかあいつが喜びそうね」
紅莉栖(嘘発見器とか、こういう下らない機械好きそうだものね)
紅莉栖「あ、これも」
紅莉栖「これもいいわね」
紅莉栖(でも誕生日プレゼントなのよね……)
紅莉栖(男の人ってなにが欲しいのかしら?)
紅莉栖(でも岡部だし、普通の男の人ではないか……)
紅莉栖(そもそも私、誕生日プレゼントなんて、家族と先輩くらいにしか渡したことないし……)
岡部『フゥーハハハ! クリスティーナよ、どうせお前は誕生日パーティーなど行かず、一人で実験にでも勤しんでいたのだろう? この実験大好きっ娘めッ!』
紅莉栖(あいつならこんなこといいそうね)クスッ
岡部『そんな哀れな助手に、特別にこの狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真がこの腐敗した世界に堕とされた日を、祝わせてやろうではないかッ!!!』
紅莉栖(うわ、言いそう……)
紅莉栖(なんかイライラしてきたわね)
紅莉栖(そもそもあいつこんな冬でもあの白衣なんて、寒くないのかしら?)
紅莉栖(バカは風邪ひかないって言うけど)
紅莉栖「あ!」
紅莉栖「そうね、これでいいかも」プルルル
まゆり『トゥットゥッルー♪ もしもし、まゆしぃです☆』
紅莉栖「ハローまゆり。頼みたいことがあるんだけど……」
まゆり『え! なになに~』
紅莉栖「実はね……」
【誕生日当夜 ラボ】
まゆり「オカリ~ン、お誕生日おめでと~」
フェイリス「おめでとニャン、キョーマ 」
るか「おめでとうございます。岡部さん」
岡部「なっ……」プルルル
岡部「――俺だ。ああ、ラボメンの様子がおかしい。奴らが俺の誕生日を祝うなど…… 調査を開始してくれ。迅速にな。――エル・プサイ・コングルゥ」
紅莉栖「……ったく。素直に喜びなさいよ」
ダル「牧瀬氏に同意」
岡部「ぐぬ……」ピロ-ン
萌郁『岡部くんお誕生日おめでとう♪ まったく~照れ屋さんなんだから~(^ ^)』
岡部「ぐぬぬ……」
鈴羽「アハハ! 集中攻撃だね岡部倫太郎」
岡部「……フッ……フゥーハハハ! そくか、なるほど、なるほどな。ラボメンが日頃の感謝をこの鳳凰院凶真に示すのであろう? それでは仕方あるまい。大人しく寛大な心で受け入れてやろうではないかッ! ……フゥーハハハ!」
紅莉栖「なんでそんなに偉そうなんだ」
フェイリス「仕方ないニャ。これでこそキョーマニャ」
岡部「助手よッ、ドクトルペッパーをもて! この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真がこの世界に堕とされた日を、盛大に祝うのだッ!」
紅莉栖(うわ…… 本当に言った……)
紅莉栖「はいはい、どうぞ自称狂気のマッドサイエンティストさん」
フェイリス「ほら、料理もあるニャ」
岡部「……ほぉ」
まゆり「じゃーん!」
ダル「おっ、すげー。これ全部まゆ氏が作ったん?」
まゆり「えへへ……、実はね、……これは~ 全部クリスちゃんが作ったのです!」
岡部「――なん……だと」
るか「牧瀬さん頑張ったんですよ」
岡部「じょ、助手が作っただと?」
紅莉栖「……///」
岡部「お、おいダルよ、マイフェイバリットライトアームよ。早く逃げるのだ。助手が作った劇物だと、これは俺たちを陥れるための機関の罠に違いない。さあ、早く」
紅莉栖「!!!」カチン
るか「お、岡部さん……」
岡部「助手の作った料理だぞ? そんなものを口に含めば、このラボは阿鼻叫喚の地獄へと落ちてしまう」
ダル「ちょっ、オカリン」
紅莉栖「何よその言い方!」
岡部「実験大好きっ娘が作った劇物など危険だと言ったのだッ!」
紅莉栖「――ッ」
紅莉栖「もういい! 勝手にすれば!」バタン
まゆり「ク、クリスちゃん!」
フェイリス「出て行っちゃったニャ」
ダル「オカリン、さすがに今のはないっしょ……」
るか「岡部さん……」
岡部「――なっ、放っておけばいい。どうせそのうち帰って――」
ダル「カバンも持って行ったし、もう帰ってこないと思われ」
岡部「ぐぬ……」
ブラウン「おう、やってるか? ……ってなんだこの空気…… そういえば今赤髪の姉ちゃんが出て行ったが、なんだったんだアレ?」
綯「紅莉栖お姉ちゃん泣いてたよ……」
岡部「ぐぬぬ……」
鈴羽「やっちゃったね岡部倫太郎」
ブラウン「岡部ぇ、お前またなんかやらかしたんじゃないだろうな?」
岡部「ぐ、ぐぬぬ……」
るか「牧瀬さん、まゆりちゃんに料理教えてもらって、一生懸命作ってたんですよ……」
岡部「なっ、しかし――」
フェイリス「こんな寒い中上着も着ないで出て行ったら風邪ひいちゃうニャ」
岡部「ぐ、ぐぬぬぬ……」
まゆり「オカリン、まゆしぃはね、悲しいのです」
岡部「ぐっ…… ああ! もう、わかった! 行けばいいのだろう? 行けば!」
ダル「そうしたほうがいいと思われ」
フェイリス「それでこそキョーマニャ」
るか「でも、行くなら早くしないと」
鈴羽「店長、牧瀬紅莉栖はどっちの方に行ったの?」
ブラウン「ん、ああ、確か――」
*
【公園】
紅莉栖(……何よ、別にあそこまで言わなくてもいいじゃない……)
紅莉栖(そもそもアイツにはデリカシーってものが……)
紅莉栖(……寒い)
紅莉栖「――ッ、白衣……」
岡部「……風邪引くぞ」
紅莉栖「……岡部っ…… 何よ、今更」
岡部「いやっ、その…… すまなかった!」
紅莉栖「……えっ」
岡部「紅莉栖と話してると、その、だんだん舞い上がってきて、つい調子に乗ってしまうんだ…… 本当にすまない」
紅莉栖(……紅莉栖……名前)
紅莉栖「もういいわよ。……ごめん、私も……少し言いすぎた」
岡部「いや、俺が悪いんだ。紅莉栖といるとつい増長してしまう」
紅莉栖「もうわかったから。はい、この話はこれでおしまい」
岡部「ああ、すまない」
紅莉栖「ったく、いつまでしょげてるんだ? 狂気のマッドサイエンティスト、なんでしょ?」
岡部「……ッ」
岡部「フッ、フゥーハハハ! この程度で機嫌を直すとは実にちょろいな、クリ――」
紅莉栖「調子に乗らない」
岡部「ハイ、スミマセン」
紅莉栖(まったく、白衣も私にかけちゃって…… こういうとこだけ優しいのよね……)
紅莉栖(それにしても白衣がないと普通の人みたいね)クスッ
紅莉栖「ほら、これ」
岡部「ん? なんだこれは?」
紅莉栖「プレゼントよ」
岡部「それは、料理ではなかったのか?」
紅莉栖「料理だけじゃプレゼントっぽくないじゃない」
岡部「開けていいか?」
紅莉栖「……どうぞ」
岡部「……」ガサガサ
岡部「これは、マフラー?」
紅莉栖「そうよ、それもまゆりに教えてもらったの。ほら、あんたいつもそんな格好で寒そうだから…… 時間がなかったしちょっと歪だけど……」
岡部「いや、そんなことないさ。ありがとう」
紅莉栖「どういたしまして」
紅莉栖「どういたしまして」
岡部「なんだか、思い出すな」
紅莉栖「え?」
岡部「ソーイングセット」
紅莉栖「……ああ」
岡部「あの時は結局ピンクだったか」
紅莉栖「暗かったから仕方ないじゃない」
岡部「――今年は、本当にいろんなことがあった。あの夏は今までの人生とは比べ物にならないくらいの、長い長い二週間だった」
紅莉栖「そうね。アンタたちに出会って、ラボメンに勝手に入れられて、電話レンジにタイムマシン…… そして…… ――本当に今までに経験したことない夏だったわ」
岡部「紅莉栖」
紅莉栖「何?」
岡部「ありがとう」
紅莉栖「なっ……と、突然何を言い出す!?」
岡部「あの二週間、お前はいつだって俺の隣にいてくれた。いつだって俺の言葉を信じて、一緒に悩んでくれた。苦しんでくれた。俺があの二週間を乗り越えられたのは、紅莉栖のおかげだ」
紅莉栖「……私だって…… まゆりも助けられて、それで私も…… 私が今ここで生きていられるのはアンタのおかげよ。まゆりたちと一緒に笑って過ごせているのもそう。……だから、ありがとう。岡部」
岡部「……ああ」
紅莉栖「――ねぇ」
岡部「ん?」
紅莉栖「アンタは私のことどう思ってる?」
岡部「――ッ。そ、それは前に言ったではないか」
紅莉栖「あの後何も言ってこないじゃない。あんなことまでしておいて……」
岡部「ご、誤解を招く言い方はよせ」
紅莉栖「とにかくアンタは私のことどう思ってるのよ」
岡部「そんなことを言ったら、お前だってあの時返事をしなかったではないか」
紅莉栖「わ、私は――」
岡部「ああ、もうよい! 早く帰ろう!」
紅莉栖「なっ、逃げるな!」
岡部「ほら、寒いだろう。このマフラーを貸してやる」
紅莉栖「それは私があげたマフラーだろ!」
岡部「早く帰らなくては。紅莉栖の料理が食べられなくなってしまう。ほら、早く」
紅莉栖「……!! ……別にそんな急がなくても、これからはいくらでも作ってあげるわよ」
岡部「ほら、早―― ん? 今なんと言った?」
紅莉栖「だから、これからはいくらでも作ってあげるって言ったのよ」
岡部「それはどういうことだ?」
紅莉栖「どうって、そのままの意味だが?」
岡部「しかし、紅莉栖はアメリカに帰――」
紅莉栖「今度うちの大学が前から進めていた人工知能のプロジェクトを、日本の企業と共同で取り組むになったの」
岡部「ほぉ」
紅莉栖「それで元々そのプロジェクトに関わっていて日本人でもある私と、もう一人私の先輩が日本での共同開発の担当になったっていうわけ」
岡部「それは、つまり日本に住むということか?」
紅莉栖「まあしばらくはそういうことになるわね。長期的なプロジェクトだし。今回はその下見も兼ねて日本に来たのよ」
紅莉栖(まあ、かなり無理を言って日にちを早めてもらったわけだけども……)
岡部「そ、そうなのか」
紅莉栖「その会社の研究所は池袋にあるから、その近くに住むことになるわね。だからラボにも頻繁に行ける」
岡部「俺の実家の近くだな……」
紅莉栖(!!!)
紅莉栖「へ、へぇ。そうなの///」
岡部「そうか、日本に住むのか」
紅莉栖「何よ。その顔?」
岡部「いや…… もう一つ最高の誕生日プレゼントをもらったなと思ってな」
紅莉栖「バカ……///」
63 : 以下、5... - 2017/12/14(木) 21:05:30.79 1pcVzRGs0 54/54これでおしまいです
ここまで付き合ってくださった方ありがとうございました。
何かありましたらTwitterまでお願いします
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普段は地の文ありのオリジナルのお話を書いているので、よろしければそちらも是非お願いします
「最適な時間の戻し方」「十年前から電話がかかってきた」などいくつかあります
最後宣伝みたいになってしまって申し訳ありません