1 : SS寄稿... - 2011/12/12 20:03:11.38 xmES8XTDO 1/47


幼なじみ「朝だから起き――」

「ているよ、朝ご飯も作ってくれているんだろ? ありがと」

幼なじみ「――なさいって、ふぇ? あの……」

「おっと、あんまり走るなよ? 牛乳の入ったコップが落ちるからな」

幼なじみ「う、うん……、わかった」


元スレ
男「“明日が来ない件について”っと」カタカタ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1323687791/

2 : SS寄稿... - 2011/12/12 20:14:55.02 xmES8XTDO 2/47


「おはよう男、今日は――」

「父さんが遅くなって、母さんは友人達と遊んで来るんだろ? 冷蔵庫に入っている作り置きのカツ丼を食べるよ」

「え、えっと……、あんた何で今日はカツ丼を作っていくって事を――」

「手元にある醤油に気をつけて」

「へ? おっとと、危ない危ない……って、ちょっと男――」

「今日は俺も遅くなるかも知れないから、俺の分はいらない。あ、今日は確か」

4 : SS寄稿... - 2011/12/12 20:25:41.40 xmES8XTDO 3/47


幼なじみ「ねぇ男、さっきのは――」

「今日の運勢、一位が天秤座、二位が山羊座、三位が水瓶座、四位が乙女座、五位が蟹座、六位が射手座七位が魚座、八位が双子座、九位が蠍座、十位が牡牛座、十一位が牡羊座」

「それで十二位は、お前と俺に該当する獅子座、ラッキーカラーは黄色だ」

幼なじみ「えっ? これは?」

「黄色いハンカチ、デザインは俺と違うけど色はお揃いだな」

幼なじみ「ふぇ? お揃い///」

「時間だ、早く行くぞ」

5 : SS寄稿... - 2011/12/12 20:37:21.42 xmES8XTDO 4/47


幼なじみ「あれ、何処に行くの? 今日は日曜日だよ?」

「あぁ、今日はちょっと用事があるんだ」

幼なじみ「そうなの? じゃあ早く行かなきゃね(二人きり……、デート///)」

「まぁ、今回はもう一人ついてくるんだけどな」

ピンポーン

男友「連絡してないけど遊びに来たぞーって、何で睨む幼なじみ」

「あれだよ、あの日なんだよ」

男友「そうか、あの日か」

幼なじみ「おまえら庭に来い」

6 : SS寄稿... - 2011/12/12 20:49:42.65 xmES8XTDO 5/47


幼なじみ「なんでアンタが着いてくるのよ」ボソボソ

男友「周囲でカップルが出来たら別れさせるのが礼儀だろ常孝」ボソボソ

幼なじみ「そんな礼儀は無いわよ!!」

「どうした突然怒鳴りだして、やっぱりあの日か?」

幼なじみ「アンタもしつこいわよ!!」

男友「まぁまぁ、ここは俺の顔に免じて――」

幼なじみ「あらそう、じゃあ遠慮なく殴らせてもらうわよ!!」

男友「ぐぼぉ!?」

「確か今日は図書館でイベントがあるようだから、そっちに行くぞ」

9 : SS寄稿... - 2011/12/12 21:22:11.30 xmES8XTDO 6/47



―――
――――
――――――――

男友「まさかイベントが」

幼なじみ「子供騙しの祭りで」

男友「何か食べれるとか、貰えるとかではなく」

幼なじみ「輪投げとか、的当て等の幼児向けの遊びばかり」

男友「しかも、タダで店番とか」

幼な男友「はぁ……」

「まぁまぁ、いいじゃないか。おまえらの目の保養にはなっただろ?」

幼な男友「俺(私)はロリコン(ショタコン)じゃない!!」

「そぉかい、まぁこんな時間だし解散とするか」

幼なじみ「まったく、片付けまで手伝わされるとは思わなかったわよ」

男友「そうだな、今度何か奢って貰わな――」



グサッ

10 : SS寄稿... - 2011/12/12 21:31:57.80 xmES8XTDO 7/47


幼なじみ「へ? ねぇ男、何しているの? 何で男友が倒れいるの? ねぇ、なんで男友の背中からナイフが――」

「悪い幼なじみ、死んでくれ」

幼なじみ「いや!! 来ないで来ないで来な――」

グサッ


「“二十九回、男友と幼なじみを殺したが、変化は訪れなかった”か……」チラッ

男友「」

幼なじみ「」

「……帰るか」

11 : SS寄稿... - 2011/12/12 21:47:27.97 xmES8XTDO 8/47



―――
――――
――――――――

「うぐ!? ■■■■■■■■■■■」

 朝起きてすぐに俺は、凄まじい不快感をトイレに吐き出した。

 殺した、あの二人を殺した感覚が手にまだ残っている。

 肉を、骨を、血液を、ナイフに触れた感覚が手に伝わっている事を俺は“記憶で”覚えていた。

「ハァハァ……、そろそろ、あいつが来る時間か」

 俺は急いで洗面所で口を洗い、自室の布団に潜った。

13 : SS寄稿... - 2011/12/12 21:53:48.42 xmES8XTDO 9/47



幼なじみ「朝だから起き――」

「ているよ、朝ご飯も作ってくれているんだろ? ありがと」

幼なじみ「――なさいって、ふぇ? あの……」

 幼なじみは全てを見透かしている状態の俺に動揺する様を、俺は“毎回”楽しんでいる。

「おっと、あんまり走るなよ? 牛乳の入ったコップが落ちるからな」

幼なじみ「う、うん……、わかった」

 そう言って、俺は自室を出てそっと扉を閉める。

15 : SS寄稿... - 2011/12/12 22:01:00.54 xmES8XTDO 10/47


 気付けば俺は、無表情で涙を流していた。

 淡々と“三回も殺した”罪人の癖に何故泣いているのか、涙を流すべきは自分ではないのに。

「“三十回目”か、どうすればいいんだよ……」

 俺はもう耐えられなかった。

16 : SS寄稿... - 2011/12/12 22:11:43.99 xmES8XTDO 11/47


 一日を繰り返す。

 口にしてみれば軽々しくて、その重さや恐怖を知らなかった俺は『その程度』と、危険視などしなかった。

 しかし、いざ自分が味わってみれば、それは想像を絶する苦痛で何十回も発狂してしまった。

 むしろ、壊れたかった、精神など崩壊してくれた方がマシだと思うくらいに、それは苦痛でしかなかったのだ。

 原因なんてなかった。

 俺はいつもの平和な日常、大して目立つ様な変化かんて起こした変化なんてなかった筈だ。

18 : SS寄稿... - 2011/12/12 22:20:17.55 xmES8XTDO 12/47


 一回目は大して気にせず過ごし、一日を終えたが二回目で俺はようやく変化に気付く。

 一回目では確か朝、母親がきゅうりを切っている時にうっかり肘で醤油をこぼし、包丁で指を切って絆創膏を貼っていた。

 だが翌朝になると、母の指には絆創膏など貼っていなく、それどころか傷一つ無かったのだ。

 様子見の為、三回目になるまで一回目と似た行動をとったが、全く昨日と同じ行動をとっていた。

 事態の変化に気付いた俺は三回目、四回目をループ脱出の為に費やしたが無駄骨に終わった。

19 : SS寄稿... - 2011/12/12 22:30:24.33 xmES8XTDO 13/47


 だが、五回目になると精神が少しおかしくなってきてしまう。

 些細な事に苛々してしまい、爆発した俺は幼なじみの顔の右半分をカッターで縦に切り裂いてしまった。

 自分でも分からなかった。

 俺は何をしている?

 俺は自分が分からなくなっていた。


 その時、幼なじみは悲痛な悲鳴を上げて部屋を逃げようとした所を俺は――

 ――手に持っていたカッターで頸動脈を切り裂いた。

20 : SS寄稿... - 2011/12/12 22:41:51.38 xmES8XTDO 14/47


 真っ赤な血溜まりに浮かぶ幼なじみを見て俺は、身体を恐怖で震わせ、顔は真っ青になっていた。


 その時だ、幼なじみの悲鳴を聞いて男友が部屋に飛び込んで来たのだ。

 男友は部屋の状態に驚いたが、俺の姿を見つけるとその胸ぐらを掴み、大声で疑問をぶつける。

『これは一体どういう事だ!?』

『何故、幼なじみがこんな事になったんだ!?』

『まさか、お前が殺したのか?』


 その時の俺は精神的におかしな状態で、気付けば俺は――

 ――カッターで男友の身体を滅多刺しにしていた。

 その日俺は、家族全員と友人達を皆殺しにして自室に閉じこもる。

22 : SS寄稿... - 2011/12/12 23:05:39.22 xmES8XTDO 15/47


 そして目が覚めると、再び幼なじみが自室に入ってきた瞬間、俺は彼女を殺した記憶が過り発狂した。

 血溜まりに沈む彼女、悲痛な表情で叫ぶ悲鳴は俺の耳で何度も、何度も繰り返して俺の心を圧迫する。

 罪悪感や悲しみ、そんな軽々しく言葉では計りきれない程の感情は、そっと囁く。

 なんで私達を殺したの?

 その後の記憶は無く、七回目にようやく精神が安定してきた。

 しかし……、手遅れだった。

23 : SS寄稿... - 2011/12/12 23:16:42.36 xmES8XTDO 16/47


 七回目、俺は恐ろしい程に冷静に徹した。

 自分の中の何かが壊れた、そういう自分を“演じる”ていなければ、いずれ本当に壊れるかもしれないからだ。

 ループから逃げ出す方法を考え、図書館や古本屋に行ってみるが方法は無く諦めかけたが、タイムリープ物の漫画に書かれていた文章に釘付けとなる。

『ゲームと同じで、ある条件を満たせば変化が起こる可能性がある』

 最初は馬鹿馬鹿しく思っていたが、すぐ後に方法は全て試さなければという考えが浮かび、行動に移した。

29 : SS寄稿... - 2011/12/13 09:22:25.60 bAnfhf9DO 17/47


 ここから先は箇条書きにさしていただこう。

七回目・図書館に行く途中の道路、目の前で小学生が轢き殺された。変化無し。

八回目・図書館に行く途中の道路、前途の小学生を救出。変化無し。

九回目・図書館に行く途中の道路、小学生を見殺しにして素通りすると、目前の女性が通り魔に殺された。それ以外は変化無し。

十一回目・小学生を救出し、尚且つ通り魔を撃退。変化無し。

十二回目・小学生と女性を見殺しにしたその直後、新たに警察が暴徒と化し、銃を乱射。周辺の人間が大量に殺され自分も流れ弾に直撃。変化無し。

十三回目・気が付くと自宅の布団で寝ており再び発狂、あまりの壮絶さに精神病院に連れていかれそうになったが、なんとか誤魔化す。その後、銃を乱射していた警察の自殺が報道されていた。変化無し。

 ここまでで分かる事は、俺が人を救出した後見殺しにすれば、何らかの変化が起こる事。

 ならば“俺が殺したら”どうなるのだろうか?


32 : SS寄稿... - 2011/12/13 12:41:31.11 bAnfhf9DO 18/47



十四回目・あたかも因果が狂ったかのように、車に轢かれる筈の小学生が信号待ちをしている。俺はその背中を押した。その後起こる筈の事件が起こらない。変化無し。

十五回目・道路で信号待ちをしていた小学生の姿は無く、変わりに通り魔が女性を襲おうとしていたので、そのナイフを引ったくって俺が変わりに殺した。変化無し。

十六回目・前回同様信号待ちの小学生は居らず、引ったくりも女性も居なかった。俺は因果が変化している事を確信した。

 その後、警察が銃を乱射しようとしていたので、それを奪い、変わりに俺が乱射した。

十七回目・夢の中で自分が殺してきた人間の視点になり、自分に殺される夢を見た。それを見て何も動じない事に対して、自分が人外である事を確信する。

 外に出ると人は疎らにしか居らず、変わりに銃を乱射しようとしている警察がいたので、その銃を引ったくり警察を撃ち[ピーーー]。変化無し。

十八回目・その日から俺は幻覚を見たり、幻聴を聞くようになる。

 被害者の悲鳴が頭の中で鳴り響き、視界の端に鮮血に沈む死体が見えたり、 酷い時には発狂して道行く人間を殺そうとしてしまう程、自分に異常が生じていた。

 俺は恐れていた。

 例え俺が道行く人間を、殴ろうが切り裂こうが絞めようが突き飛ばそうが、犯そうが抉ろうが燃やそうが晒そうが……

 巻き戻れば結果は無くなるが、罪悪感や感覚は残る。

 俺は考えた、自分がループから抜け出そうとすればする程、俺は化け物になっていくのではないか?

 例え抜け出せたとしても、何かの拍子に人を殺してしまうのではないか?

 その日から俺は、部屋に閉じこった。

35 : SS寄稿... - 2011/12/16 04:15:32.46 Wyp3NPgDO 19/47


十九回目~二十五回目・引き籠もっていた為、変化は無し。


 しかし引きこもっている間の全員からの言葉を無視した結果、一語一句違わぬ台詞を吐く事が新たに分かった。

 それはまるでRPGの住人同様、あらかじめ設定されているかの様で、とても不気味だった。

 しかし、いつまでも埒が開かないので再び行動を開始する。


二十六回目・久しぶりに外に出ると、相変わらず変わらぬ街並みに、正体不明の凄まじい違和感。

「なんでだ……、なんで“曇り空”なんだよ……」

 通常ならば気にも留めない程些細な事柄だが、今の俺にとって異様な程不気味な物だ。

 俺今までループしていた時の空は、雲一つ無い青空が広がっていた筈。

 言葉で言い表わせない程の恐怖を胸にしまいこんだが、やはり足が震えてしまう。

 だから、

 背後の人物に気が付けなかったのだ。

36 : >>33>>34 - 2011/12/16 04:31:52.88 Wyp3NPgDO 20/47


「おっとt――、ひっ!?」

 それは一瞬の出来事、もし俺の足がよろけてバランスを崩し、しゃがまなかったら後ろの人物の凶刃に掛かっていただろう。

「お前、まさか……」

 無機質なガスマスクに頭を被う不気味な黒いコート、それに合わせた黒い手袋に持つはサバイバルナイフ。


 九回目のループから現れた、通り魔だった。


通り魔「……」

「う、うぁあああああ!!!!!?????」

 明確過ぎる殺意を俺に向ける通り魔は、その凶刃を俺に向けた。

 奴にとって俺は初めて出会う獲物に過ぎないが、俺にとっては何度も殺人現場を奴に見せられている為、恐怖心は人一倍ある。

 その為、一目散に逃げた。

37 : >>33>>34すまない風邪引いていた。 - 2011/12/16 05:02:00.28 Wyp3NPgDO 21/47


 まさか自分が標的になるとは。

 自虐的な思考を胸中にしまいながら必死に逃げているが、一向に奴から距離を離せない。

 それどころか徐々に距離を詰められている。

 俺は自分の惨殺死体を鮮明に思い浮かべながら、走り続けるが目の前に絶望する。

「行き……止まり……、ふっざけんな!! まだ死ぬ訳にはいかない!!」

 その時の俺はかなりの錯乱状態に陥っていた。

 だからだろうか、

 気付けば俺は原型を留めずに顔面の皮を剥がされ、抉られた両目を口に咥えて絶命している通り魔の心臓部を、サバイバルナイフで滅多刺しにしていた。

 きっと、今の俺の目は異常者の様な目付きをしているだろう。

「は、はは、は……、ループすれば無かった事に……ア、アハハハハハハハ!!!!!!!!! ア゙ァアアァァアアア゙ア゙ア゙ア゙!!?!?!!!!?!!!」 

 分からない。

 どんなに殺しても無実。

 どんなに抉っても無実。

 どんなに刺しても無実。

 どんなに絞めても無実。

 どんなに剥がしても無実。

 どんなに犯しても無実。

 俺は、2ンgeんなのだロうか?


45 : SS寄稿... - 2011/12/16 23:09:46.79 Wyp3NPgDO 22/47


二十七回目・気付けば再びいつもの布団で寝ていた。

 確か前回は、通り魔が玄関付近で待ち構えていた事を思い出し、咄嗟に跳ね起きる。

 俺は二階にある自室の窓から外を眺めると、相変わらずの曇り空と、予想通り庭の影からドアを監視して獲物を狙っていた。

 その時点で命の危機を肌で感じたが、それ以上に不安が過る。

 幼なじみが来ない。

 それは今まで起こっていた事柄の中で、一番変わらない物だった。

 だが、それが無い。

 俺の頭に一抹の不安が過る。





50 : 上条さんが憑いているお陰で不幸が連発、携帯、充電器共に負傷。思う通りに投下出来なくなってきた。 - 2011/12/19 02:19:25.83 +jCkRc2DO 23/47


「イヤァアアァアアァァアアアアアア!!!!!!?!?!!?!?」

 突如として響く母の悲鳴、その声に反応して自室を飛び出すとリビングには誰も居なく、虚しくテレビの音だけが鳴っていた。

「誰も居ない……、玄関か?」

 正直言えば先ほどから嫌な胸騒ぎがしているので近付きたくは無いが、万が一の可能性を考えてリビングの扉を開く。

 すると、錆びた鉄の臭いが俺の鼻を刺激し、俺の不安をより一層高める。

「おい母さ――」

 俺は目の前の現実に動揺し、言葉を途切らせる。


 玄関全体が赤で染まっていた。

52 : SS寄稿... - 2011/12/19 15:54:23.05 +jCkRc2DO 24/47


「また……、お前かよ……」

通り魔「――」

 奴の足元には右腕を切り離された母の死体と、首を切り離された幼なじみの死体が転がっていた。

「また殺さなきゃいけないのかよ……」

通り魔「――」

 通り魔は俺の発言に疑問を抱いた様だが、戯れ言として受け取ったようで、手に持つサバイバルナイフで斬り掛かってきた。

「なぁ、何で俺の家を狙った? お前にこの家との関係性は無いと思うんだよ。俺は」

 念のために台所から持ってきた包丁をちらつかせると、通り魔は一瞬動揺して足を止める。

 俺はその一瞬を狙って足払いを掛けた。

通り魔「――!?」

「匿名性って言葉は便利だな、だって知らない奴なら罪悪感を少しに留めておけるからさ」

 俺は通り魔に馬乗りになって、包丁の刃を胸に突き刺した。

53 : SS寄稿... - 2011/12/19 16:09:09.00 +jCkRc2DO 25/47


 生々しい感触をその手に感じながらも、俺は通り魔の心臓部を何度も突き刺す。

 通り魔は何回かに渡って身体を痙攣させたのち絶命し、肉の塊に変わる。

「今回は誰だか調べさせて貰うぞ――!?」

 俺は極めて冷静に淡々とした動作で通り魔のガスマスクを剥がすが、すぐにその行為を後悔する。

「な、んで、お前が……、何でお前なんだよ!?






       男友ぉおおぉおおおお!?!!??!!!!!!!」

56 : SS寄稿... - 2011/12/21 23:46:34.74 pHMokdrDO 26/47


 俺の心臓が大きく跳ね上がる。

 あり得ない、通り魔の正体が男友であるという結果は俺に凄まじい違和感を孕んだ。

 何故なら、

 七回目から十一回目までは、確実に男友と通り魔が別々に現れていたからである。

 分からない、では今まで現れていた通り魔は一体誰だったのか。

 俺は二十九回目に男友の動きを確認し、尚且つあの通り魔の正体を聞き出そうとした。

 しかし、上手くいかなかった。

57 : SS寄稿... - 2011/12/21 23:55:16.46 pHMokdrDO 27/47




二十九回目・前回と違い通り魔が居ない、いつも通りの日常にほっと息をつく。

 しかし、やはり油断出来なかったので念のためのへそくりを財布にしまい幼なじみを待った。

 いつも通り、幼なじみがモーニングコールに来たので妨害してリビングに向かう途中、今日の町でやっているイベントを検索した。

 タイミングよく図書館で小規模の祭りがやっている様なので、そこに行く事を決める。


58 : SS寄稿... - 2011/12/22 00:05:29.27 RgFWmXiDO 28/47



 リビングに行くと全く変わらぬ内容のニュースと、すでに記憶してしまった星座占いがテレビに流れていた。

 最下位の俺と幼なじみはラッキーカラーが黄色、そして幼なじみはハンカチを忘れていたので、黄色のハンカチを用意する。

 少し遅れて幼なじみがやってくるのを見越して言葉を遮り、ハンカチを渡す。

 すると幼なじみは顔を真っ赤にしていたので、俺は“表情”だけ笑った。

59 : SS寄稿... - 2011/12/23 00:07:16.36 E8nmXDbDO 29/47


“警戒すべきは男友”

 俺はそれだけを頭にインプットして行動すればいい。

 俺は自分に言い聞かせていると、突如扉が開き人が入ってくる。

 男友だ。

 俺は一瞬心臓を捕まれた様な感覚に陥るが、すぐに持ち直すが動機が速くなっている。

 一応表面上は冷静を保っていられている為、そのまま目的地に向かった。

60 : SS寄稿... - 2011/12/23 00:22:58.31 E8nmXDbDO 30/47



「そぉかい、まぁこんな時間だし解散とするか」

 幼なじみ達は文句を言いながらも、張り切って楽しんでいたよう“だった”。

 “だった”というのは、幼なじみ達が祭りの店番に気を取られている隙に、俺は万が一の為サバイバルナイフを買ってきたからだ。

幼なじみ「まったく、片付けまで手伝わされるとは思わなかったわよ」

 幼なじみはブツブツと愚痴っているが、俺はそれを気に留めず男友の動きに注意していた。

男友「そうだな、今度何か奢って貰わな――」


 十字路で分かれ俺達に背を向ける男友、だが一瞬ミラーに写るポケットからナイフを取り出す瞬間を俺は見逃さなかった。

 だから俺は、



 躊躇いも無く殺した。

63 : SS寄稿... - 2011/12/23 01:07:37.13 E8nmXDbDO 31/47



―――
―――――

「“その後、幼なじみを殺して現在ループ三十回目だ”っと」カタカタ

 結局今何をすればいいのか分からない俺は、不特定多数からの意見が欲しい為、ネットカフェに来ている。

 普通なら誰かに相談すればいいが、母親や幼なじみに相談すれば黄色い救急車を呼ばれるかも知れない。

 かといって、男友は危険過ぎる為外れる。

 その為、素性の分からない人間から意見を得るのに最適なパソコンを利用する為、ネットカフェに来たが残念な事に通り魔、もとい男友に追われた。

 一応なんとか撒いたが、いつ見付かるかは時間の問題なのでかなり焦っている。

 スレタイは、

「“明日が来ない件について”っと」カタカタ

 万が一の保険を掛け、複数の掲示板に立てていた。

64 : SS寄稿... - 2011/12/23 02:49:23.53 E8nmXDbDO 32/47


「やはり釣り扱い、か」

 全てのスレに俺に対する誹謗中傷が目立つ、しかしそれが狙いだった。

「お? 八割は“自殺をしろ”一割は“もう一度寝てみろ”最後一割は“幼なじみを犯せばwww?”か……」

 自分の考察から言えば、強姦と睡眠には希望が持てる要素は無い。

 だからといって自殺という案は危険過ぎる為、最後の最後に使う事にしよう。

「さて、どうするか」

 ここに来る前、俺はサバイバルナイフを購入し、その後無人の交番から拳銃と弾丸を盗み出した。



70 : SS寄稿... - 2011/12/23 23:01:09.70 E8nmXDbDO 33/47



――
―――――

「やはり着いて来るか」

 店内を出て数分、何か言い知れない恐怖を感じた俺は一瞬ミラーを確認すると、例の通り魔が尾行してきているのが分かる。

 一応人通りの多い道を選んで歩いているので、奴は中々俺を[ピーーー]タイミングが図れていない様だ。

「さて、そろそろか」

 突如、俺は真横の裏路地に入り迷路の様なその道を駆けていく。

通り魔「……」

 通り魔は俺の予想外な行動に驚いた様だが、それも一瞬で俺の跡を追う。

72 : SS寄稿... - 2011/12/23 23:17:08.78 E8nmXDbDO 34/47


「この辺りで……、さぁ来るか?」

 ある程度走り抜くと行き止まりに到達、俺は素早く弾倉に弾を装填し構える。

通り魔「……」

「なぁ男友……、いや待て、お前は誰だ?」

 右手にナイフを構えながら姿を現した通り魔に違和感を覚え、俺は引き金から指を離す。

「確か男友は左利きだ、だがお前は“右手”でナイフを構えている」

 二十八回目では、確かに左手でナイフを持ちその凶刃を振るっていた。

 しかし目の前の男は、右手でナイフを構えている。

「今更情けで教えて貰おうとは思わない、だから」

「力ずくで正体を暴かせて貰う」

 俺は再び、引き金に指を掛けた。

73 : SS寄稿... - 2011/12/23 23:59:16.36 E8nmXDbDO 35/47


(狙うとしたら……、膝か)

 俺は奴の動きを封じる為に銃口を向けた。

 しかし予想外な事が起こる。

(あれ、なんで、手が勝手に)

 手は俺の意思に反して銃口を、奴の脳天に狙いを定めた。

 待て、それでは奴が……!?

 俺は渾身の力を振り絞り銃口を上に上げた直後、勝手に引き金が引かれ弾丸が射出された。

 弾丸の軌道は少し曲がって、ガスマスクの左半分に直撃して、マスクを弾き飛ばす。

 それにより通り魔の顔面が顕となった。

「……おい、何やってんだよ、……親父!!」

「まさかバレるとは思わなかったな、男」

 無機質な仮面の下には肉親の顔があった。

77 : SS寄稿... - 2011/12/24 15:06:03.04 DGl4k+pDO 36/47


「しかし驚いた、まさかお前の口から彼の名前が出るとは」

「質問に答えろ、なんで親父が通り魔の格好をしてんだよ!! だって通り魔は――」

「――男友君か、全く不思議だよ。何の目的かは知らないが、彼は何故か私の猿真似をしているのだよ」

 俺はその言葉を聞いて確信する。

 この男が元凶、ならば……、

 ならば……、

 あれ、なんで俺は親父を殺すつもりでいるのだろうか。

 俺の手は自らの異常性に気付き、震える。

「ほう、私を殺したいのか。男」

「あぁ、殺したくてたまらない」(そんな訳無いだろ!!)

 俺の意思とは別、何者かの干渉を受けているかの様な感覚はここぞとばかりに顕となり、俺の身体を乗っ取る。

78 : SS寄稿... - 2011/12/24 15:51:23.08 DGl4k+pDO 37/47


「取り敢えず、両手両足は壊しておくわ」(おい待て、なんで身体が)

 右手に拳銃、左手にナイフを構えた俺は親父の元へ駆け出し、途中右手の拳銃を発砲した。

「銃口から身体を反らせば当たらないに決まっているじゃない、か!!」

 親父は高齢者とは思えない様な素早い動きで身体を反らし、異常な瞬発力で俺を迎え撃ち、蹴を放った。

「かはっ!! ……捕 ま え た!!」(おい!? 止め――)

 親父が蹴を放った直後、左手のナイフを捨てて咄嗟にその足を掴み、頭部に銃口を突き付ける。

「ふっ!! まさかここまで出来たとはな、父親として喜ぶ所か」

 引き金を引いた瞬間、親父は頭をずらし俺の腹部にナイフを突き刺した。

 それにより、親父は左耳を失う。

80 : SS寄稿... - 2011/12/24 16:06:01.51 DGl4k+pDO 38/47


「黙れ!! 俺は殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すゥゥウウウゥウウウウ!!!??!?!!!!!!!!!!!!!!」(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いィィギャァァアアア゙ア゙ア゙ア゙!!!!???!!!!!!!!)


 余りの激痛に俺はのた打ち回りたかったが、身体がそれを許さず銃口を親父に向ける。

「流石だ、急所を外しているからとはいえまだ動けるとは……、ならこれはどうだ」

 親父は腹部に刺さったナイフを真横に動かし、俺の腹部を切り開き、手を突っ込む。

「があ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!??!!?!?!!!!!」(■■■■■■■■■!!!!!!!!!???!?!!!!!!)

 身体の方は言葉で悲鳴を出しているが、心の方は声という領域を超えていた。

「さぁ見ろ、これがお前の臓物だ」

 親父は俺の腹からズルズルと赤黒い臓物を引き摺り出し、俺の目前に近付ける。

86 : 描写的に必要かと思いまして、苦手な人申し訳ない。 - 2011/12/25 17:01:44.34 QGN2fV4DO 39/47


「もう壊れたか、つまらん」

 親父は俺の腹から伸びた臓物を握り潰し、内部にあった物を絞り出す。

「見なさい、人間の中なんてこんなに醜く汚い」

 そう言って、親父は俺を投げ捨てその場を去ろうとした。

 気絶も出来ず苦痛を味わっている俺、しかし身体は反撃の意志を示して……、


 拳銃の引き金を、引いた。

「かはっ!! き、さま……」

 銃弾は的確に親父の心臓部を貫き、親父はぐったり地に伏せる。

 先ほどから感じている違和感。

 何か上手く行き過ぎている感じがする。


 俺は激痛の中考えたが、身体は予想外の行動を取る。

87 : SS寄稿... - 2011/12/25 17:35:31.20 QGN2fV4DO 40/47


「痛い、痛い、痛い、アイツに怪我を負わされた。許せない」(おい、なにをしている!! おい!!)

 呪咀の様にぶつぶつと唱えながら、俺は自分のこめかみに銃口を突き付ける。

「苦しい、痛い痛い痛い痛い痛い、しかしアイツに殺されるくらいなら」(待て!! 一体どういう事だ、これでは俺が……)

 いや、どうせループするんだ。

 また目を開ければ、幼なじみが起こしに来てくれる。





 でも、それが来なかったら?

 俺の中に一抹の不安が過る。


「さよなら、世界」(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!!??!!!?!? 死にたくない、まだ死にたくな


90 : SS寄稿... - 2011/12/26 01:08:38.62 0afSj7ZDO 41/47



―――
―――――――――

「まったく、毎回見ても慣れないねぇ」

 無機質なコンクリートに密閉された部屋に充満する血の匂いに顔を歪ませながら、私は腰を曲げて進む。

 部屋には窓や照明器具が無いため、懐中電灯を点けなければ様子が判らない。

 しかし、私は目的の位置ギリギリの所まで懐中電灯を点けない。

「さて、今回はどうなっているのかな」

 私は意を決して懐中電灯を点けた。

91 : SS寄稿... - 2011/12/26 01:16:19.75 0afSj7ZDO 42/47



――
――――――

「いつ来ても慣れないねぇ、ここは」

 重々しい鉄扉を開くと、無機質なコンクリートに密閉された真っ暗な部屋が覗く。

 部屋の中は凄まじい血の匂いが充満して、私の顔を歪ませるが気にせず進む。

 窓や照明器具が無い為、懐中電灯を点けなければ足元が見えない。

 しかし、私は目的の位置ギリギリの所まで懐中電灯を点けなかった。

「さて、今回はどうなっているのかな」

 私は意を決して懐中電灯を点けた。

92 : SS寄稿... - 2011/12/26 01:17:13.16 0afSj7ZDO 43/47



――
――――――

「いつ来ても慣れないねぇ、ここは」

 重々しい鉄扉を開くと、無機質なコンクリートに密閉された真っ暗な部屋が覗く。

 部屋の中は凄まじい血の匂いが充満して、私の顔を歪ませるが気にせず進む。

 窓や照明器具が無い為、懐中電灯を点けなければ足元が見えない。

 しかし、私は目的の位置ギリギリの所まで懐中電灯を点けなかった。

「さて、今回はどうなっているのかな」

 私は意を決して懐中電灯を点けた。

94 : SS寄稿... - 2011/12/26 01:48:29.65 0afSj7ZDO 44/47



 まず目に飛び込んだのは黒い椅子に座った二十代前半位の男性、しかし頭部と肩に銃痕、腹からは握り潰された腸が伸びている。

「はぁ、最近の若いのが考える事は私には解らんよ」 

「先輩、遅れまし……、うわぁ」

 私が損傷の激しい死体を眺めていると、一人の青年が入ってきた。

「大丈夫、私も今来た所だから。早く片付けてしまおう、死体処理係2君」

死体処理係2「はい、死体処理係先輩」


95 : >>93すまん、少し混乱していた。 - 2011/12/26 02:05:49.60 0afSj7ZDO 45/47


死体処理係2「それにしても凄いですよね、これ」

死体処理係「そうかい、私には単なる悪質な殺人道具にしか見えないよ」

 私が若い時には、この部屋は絞首刑の処刑場だったが、ある物の導入により処刑方法が大きく変わる。

【殺人悪夢】(ナイトメア)

 とあるゲーム会社が開発した“使用者がゲームの仮想世界で遊べる”というヘッドギア型のゲーム機だ。

 本来ならば家庭用ゲーム機として発売も考えられたが、重大な欠陥が発覚して発売が中止された。
 

 このゲーム機、ゲーム内で受けた傷を再現するために、使用者を操り自らを傷つけさせるのだ。

 しかも、この機能は修正出来ない為、販売など不可能だった。

 そんなある日、政府はこのゲーム機に目を付けた。

96 : SS寄稿... - 2011/12/26 02:25:39.42 0afSj7ZDO 46/47


 “誰も手を汚す事無く処刑が行える夢の道具”。

 仮想世界に入れる夢の玩具は、一夜にして“誰でも自殺させる最低最悪の処刑道具”となったのだ。
 

死体処理係2「今回処刑されたのは、元警察だったんですね」

 死体処理係2は懐中電灯を点けて、死体の素性が書かれた紙を読む。

死体処理係「あぁ、父親は殺人鬼で友人はそれを真似して、コイツの前で幼なじみを殺した」

 私は哀れみの目で、黒い機械を頭に付けた死体を見る。

死体処理係「そんな現実に耐えられなかったコイツは両親と友人、街の人間に銃を発砲して自首か」

死体処理係2「はい、それにしても今回の話は凄かったですね」

 殺人悪夢に使われる話は死刑囚の素性を題材として使われる、しかもそれを書いているシナリオライターは素人のバイト。

 時給もいいらしい。

死体処理係「そうか? 私には解らんよ」

 私は椅子に座っている死体のヘッドギアを取り、死体の顔を見る。


 死ぬ直前、彼は涙を流していた様だ。


97 : SS寄稿... - 2011/12/26 02:30:48.72 0afSj7ZDO 47/47


 終わりです。

 無理矢理な終わり方で申し訳ないですが、自分的には終わりです。

 あと、色々端折ったのですがグダグダと長いのは嫌われるかと思いまして、そうしました。

 すいません、面倒臭かったからです。

 この終わり方が許せない方は、乗っ取っても構いません。

 私は寝ます、以上。

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