六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」
中二病でも恋がしたい!SS
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六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」
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第1話「天使のお告げ」
現実は小説より奇なり。
そんなわけがない。
奇跡なんて軽々しく起きるはずがない。
でも今日は、学校帰りの今日は、ちょっと違うらしい。
ラッキーくじを引いたのか、アンラッキー地獄くじを引いたのか今の俺には見当がつかない。
なぜか俺には彼女がいるのに、別の女性の部屋にいるなんて。
丹生谷「入っていいわよ」
丹生谷の部屋の扉レバーを引くと、以前の部屋とは違っておしゃれなピンク一色の配色が多い部屋になっており、クマのぬいぐるみですらピンク色であるため随分TVで見た女のイメージらしい部屋に変化していた。しかも机の隅に手のひらサイズでインテリア用の電子キャンドルが小さくも強い黄緑色の光を放ち、また光るとキャンドルの中の∪模様もこれまたかわいくにじみ浮かぶのが見える。ずいぶんお洒落な部屋カラーだ。実際に見るとこんな現実あるんだなと感心する。
と思いきや?
何だこの段ボールの山は!!!お前引っ越しでもするのかよ!!!!
目の前に多数の雑誌が入った段ボールかける7つの箱が超高層ビルを建設している。丹生谷ともうお別れか元気でな、と思うが雑誌の中に恋愛関係の本で溜まっているのだ。
俺には彼女の、彼女がいるって自分で言うなんて恥ずかしいな。自分で思って自分で羞恥を感じるとはまた高度なプレイである。俺には世界で一番かわいいと思える彼女の、六花がいる。
実は昨日丹生谷から電話がかかってきて、甘えた声で「富樫くん、相談したいことがあるの。皆には内緒だよ♡」と言ってきて、六花がいるのにもしかしたらもしかしてと淡い期待を心の風船に膨らませた俺は、段ボールの中身と、まるでエサの罠にはまって動けなくなった動物を見る猟師のような丹生谷のにやけた不気味なスマイルで粉砕される。
丹生谷「どうぞお茶」
俺が何されるか不明で緊張のあまり正座すると「分かってるんでしょ」と暗い声で言われ、丹生谷はニコニコ顔のままお茶の入ったおぼんを床に叩きつける!おぼんがお茶でびちょぬれになる。俺の幸せな快楽物質は直ちに死に、内心ガクブルで心臓が一瞬停止する。
丹生谷「あんたいつキスすんのー!いい加減しなさいよゲルゾニ!」
足であんたの頭を踏みつけるわよ!と急に脅迫されたため、やばい!と思い俺は幼いサルのように両耳を伏せる。だが、まるで戦利品としてもらってきたかわいい木馬の中からアカイア軍が突然出てきて逃げ回るトロイア市民のように、俺は体が震えて縮こまり動かなくなったがそんなのを省みない非情な神経をしている丹生谷は女性と思えない力強い手で俺の左手をもぎ取り、最近どうなのよ!の声を脳内に共鳴させた。
丹生谷は俺の目に浮かぶ涙を察するとさすがにかわいそうだとおもったのか俺の場から離れる。実はこれ演技である。俺の幼稚園児みたいに体を縮こませ母性をくすぐる戦法にまんまと騙されるなんて愚かだなははは。わずかながらの兵力を託した富樫軍を結集し、間抜けな丹生谷女王を剣で斬る。
勇太「いきなりなんだよ!電話で相談があるから俺も力になりたいと思ってきたのに!」
丹生谷「小鳥遊さんが」
勇太「ん?」
丹生谷「富樫くん、あのね時間は有限だってこと分かる?今11月だしもうすぐ3月になるの。受験で1年間デートする暇がなくなるの」
なんか説教が始まったぞ。しかし内容が不明なので理解に好奇心が出る。だんだん落ちついたトーンで諭すように話しかけるので仕返ししてやろう戦闘意欲も次第に失せ、やけに俺の人生なのに考えてくれるんだなと尊敬する気持ちが温泉のように少し熱く湧いた。この人訳があって怒ったのかもしれない。
丹生谷「でね、あんたは小鳥遊さんのことどう思ってるの?いつファーストキスするの?ほっぺにチュウは聞いたけど」
そんなこと関係ないだろプライバシーポリシーに違反しているぞさっさと死ね。
勇太「できれば、ドラマみたいじゃないか?3年の高校卒業間際に、なんだかんだで関係の結露が実って桜の木の下とかで告白してゴールインみたいな……。かっこいいなー、なんて」
俺も可愛い♡と思うその発想力に、丹生谷は声を鈍器で殺したかのような口調で、は?と言い、俺を人間扱いしないサイコパスな真顔で見つめる。え、なんでこうなるんだよ?
丹生谷「はあ……。これだから中二病は嫌なのよ。なんとかなるーってなんとかしないとならないじゃん。知らなかったの?まあ、ゲルゾニだしねバカだから仕方ない。しかも受け身だし。そこは諦めるわごめんなさい。じゃあね、じゃあね富樫君大学に行く?働くの?それとも小鳥遊さんのイクメンになるの?」
何でさっきお盆たたきつけてと思ったら俺のこと将来まで介入したがるんだようざいよ。心の中で小石を蹴る。あの丹生谷はよく人の心に入りたがるデリカシーのない奴って知ってるけど今日は極めつけだ。甘い言葉に騙されて浮かれていた俺がバカだったよー!誰がこんな奴に答えるか!さっさと帰る!と憤慨する。でも言われればなんとなく不安がなかったというわけでもない。
うーんとしばらく考えて、あっ、今気づいた。将来か~。そっか高校で人生終わるわけじゃないんだよな。実はまだ高校二年生の秋になって大学や社会経験のことはまだボヤっとしか実感がわかないのだ。漫画の中の人の描くストーリーみたいに将来どうするかなんて俺から遠ざかった世にも奇妙な架空話みたいに思える。俺の高校の先生もクラスメイトもこれこれ大学に行きましたと熱く語っていたり、志望校に向けて勉強しているんだと嬉しげに話している友人など聞いただけでその後の続報もないから、大学時代何やるかってこと自体、上の空だ。俺も大人の将来のことなんか知らなくてもいいっていう皆の雰囲気に流されている。例えば、いままで高校生活が順風満帆で将来のことを少年ジャンプの最終回のように俺たちの旅はまだまだ続く!完みたいに考えていなかったのだ。だからその将来性のなさに丹生谷が激怒した、ということか。それなら合点がいくな。
勇太「俺はバカじゃないし。確かにキスもせず毎日無イベントで過ごす俺が悪かった。なんかしらアクションを起こさなきゃって思っていつか起こすよ。そうだな~半年後で良いだろう。ごめんな丹生谷。でも人間関係が原因でチア部辞めて演劇部に入りつつも俺たちの部活に入ってきては不倫するようなお前よりかはるかにましだ。グッバイモリサマー様^o^」
丹生谷はその発言にキレて、逆にキレすぎたのか落ち着いて、拳をグーにして彼女のきれいな肌のおでこに付け小声で変なことを言って、真顔のしおらしい女性の気品を醸し出す端正のある顔つきになる。その大人の女性のモデルのような一面を知らず俺はドキッとなる。
丹生谷「富樫君、小鳥遊さんのこと、本当に好き?」
勇太「うん、恥ずかしいけど正直は」
丹生谷「ねえねえどれぐらい好き?世界の中心で愛を叫びたいぐらい好き?」
勇太「懐かしいなぁあったそれ。えっと……。恥ずかしいから言わなくてもいい?秘密だからな」
丹生谷「そんな態度じゃ他の男性に取られるんじゃないの?」
勇太「ぐっ……。痛いとこを!でも関係ないだろ!」
丹生谷「でも小鳥遊さん、心の中では富樫君待っているわよ?普段顔に見せないだけで富樫君の告白をずっと待ち続けているのよ。いつ来るかな!今日だったらどうしよう!って。小鳥遊さんには富樫君しかいないって知っているでしょ。なのにかわいそう……」
勇太「ああ!わかったよ!!!俺が悪かった!言えばいいんだろ!!今回だけだぞ。はぁ……。すぅ。 誰にも負けないぐらい知ってる!宇宙で一番愛してる!!!! はい言った!」
狂った発言だよなと思うと、体の興奮も恥ずかしさで止まらなくなりその自分を戒めるべく重心の暴れ回る乗り出した体を元に戻す。
丹生谷「へえ~。じゃあその思い、いまから小鳥遊さんにしてみよっか?」
勇太「ええっ!!やだよ~!ほら、そんな勇気無いし。いつか、うん!」
丹生谷「大丈夫よ!大丈夫よ!あんた告白だってできたじゃない!未キスのこと聞いたけど富樫君やるときはやるって私感心しちゃったのよ!今度だってできるわよ!不可能じゃない!フレフレファイト~頑張る男の子に小鳥遊さんメロメロ!勇太の勇は勇気の勇!あんた部活で一番誇れる男の子なんだからできるわよ絶対!」
丹生谷って悪意なく俺のこと真剣に人間を見ていてすごくびっくりした。心臓に刺さる。
勇太「いやいやそんなことないって!そこまで褒められるほど人間出来てないし。丹生谷ほど評判良くないし…….。照れるだろやめろよ///」
丹生谷「じゃあ練習してみよ。六花愛してる。はい!」
急な拒否感が否めない。なんでそこまでして求めたがるんだろう?所詮赤の他人なんだしさ。でもそんな赤の他人に時間を削っておだててくれる。丹生谷ってそういう面あったよな。お節介だけど自分をのし上がらせることせず皆の事誰よりも心配していて。俺一人では怖いがそのやさしさが嬉しかった。俺の事一番知ってそうだし俺のためってわかってる。丹生谷もたくさん友達いるけど俺もその一人に入っているのかな。心のことできるだけ本番以外で言いたくないんだけど、そこまで背中を押してくれるならきっと何かがあっても助けてくれるだろう。甘えちゃダメなのかな。いいやひょっとしたら奇跡を信じてもいいかもしれない。そんな恩師に特別やらないこともない。
勇太「え、今。うーん。だめじゃないけど、そこまでいうならやらないこともないというか」
俺は少し咳払いをして、男の鈍い声を準備しきりっとした表情で、冷静な空間を構築する。
勇太「六花愛してる」
すっごく焼けるように恥ずかしいけど。もう二度と言うか!!
驚いたことに、真顔から高じた丹生谷は手を頬に挟み、頬も突然赤く染まり、目も大きくパッチリした。
丹生谷「えっ!!!!!!!!!!!かっこいいーーーー!!!!!!!きゃーーーーーーーー!」
丹生谷「すごい、富樫君あたしドッキドキになっちゃった!」
えっ!嘘だろ!あの丹生谷に、スタイルも顔もいいしクラスの仲が良くて成績も顔もいいすごいお方に褒められるなんて!俺は顔が赤くなってしまいこんな単純なことで幼稚園児のように喜ぶことがバレたくなくて手で覆い隠し、目にゴミが入ってうつ伏せになっただけなんだポーズをとる。
やったよ~感激だぜ~!あの丹生谷に感激されるなんて!今日は祝いコーラだ!!
よしっ!と親指でガッツポーズを取り、でも幸せすぎて怖くなりファイティングポーズを無意味にシュシュっと隠れて拳を突き出す。でも嬉しいな~!
丹生谷「よし、できてる。完璧」
何が完璧なんだと?疑問に思い、浸った照れと喜びもひっこんで顔を上げると、丹生谷は与えるように口角を上げる。
あっ……お前は……!時すでに遅し、丹生谷の座る後ろから携帯“刺客”を手に取り、じゃじゃーんっと効果音SEの鳴りそうな存在を見せつけた。まさか録音してないだろうなおい!その笑みが不敵に微笑を浮かべ、あーあ録っちゃった逆襲成功♡みたいな軽蔑の顔を見せる。
勇太「違う……。違うんだ!返せ!!!」
まずいまずいまずいまずい!!!こいつ何を企んでやがる!返せ!手を伸ばし避け続ける丹生谷のモノを死ぬ気で取りに行く。丹生谷から髪がなびいて良い匂いもするし、丹生谷のおめめぱっちりでかわいい小顔をドアップで見ると、遠慮したくなる気持ちも湧くがそんなの関係ない。ちょっと止めてキモイ!や!いや!きゃ!の女の子らしい態度を身代わりにしても無駄だ―!俺の黒歴史の代表格であるダークフレイムマスターの存在をあちこち広めやがって!もう俺は中二病から卒業したんだ!こんな笑顔振りまいて後から本心をズタズタに引き裂く心の悪魔に俺の人生を踏みつぶされてたまるか!それ返せ!
押している。この勝負だいぶ優勢だなと優越感に浸るとその思考は正しいのか不安になり、気が付くと戦闘の最中に、丹生谷の肩の上の空間に俺の腕が動き回るほど近くなり半場抱き合あおうとする二人みたいに見て取れる図ができてしまった。もし拍子に俺が倒れたら間違いなく勘違いされるような、セクハラじみた抱き合う状態の姿勢になる。というか俺が積極的に抱き合おうとしてるみたいじゃないか!!丹生谷も冷静になり体を丸めてきゃあああああ!と天井に向かって叫ぶ。知られたら逮捕行じゃんと肩を落とし急に青ざめる。あ、っと思った丹生谷は携帯を自ずから衿をつまんで奈落のホールに落とし、落ちた先の膨らんでいる胸を、下から腕で抱える体勢で胸がバウンドする。どうやら携帯を胸の中に入れたらしい。チャンスじゃん!場所が分かったらもらったあ、と疾風の風圧を押し飛ばし最後の手を伸ばす。
丹生谷「きゃ!」
抱えた胸を遠くに反らし本気でやめてほしい目つきで俺を見てくるので、俺は追うのをやめ手を下げる。
とすると、悲しそうな俺の顔を見て、おらおらみってみなさいよほしいんでしょハッ!と嘲笑みたいに笑みを浮かべる。
くっそーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!あああああああああああああああああ!
こいつ!こいつ卑怯だぞ!俺はぐぬぬ動画を見ているかのようにしばらく反抗的に眉をひそめて丹生谷を睨みつけるけれど丹生谷は口に手を仰ぎ、うんうんかわいそうだよね!と笑いながら見下すように見てくる。
丹生谷「これで分かったでしょ。消してほしかったら私の言うこと聞きなさい」
まるで誘拐犯のように!人の心がないのか!
丹生谷「小鳥遊六花さんに告白しなさい!この1か月間に!できたら私に報告すること!」
この内容だと無理じゃないけど、他人にせかされるなんて!命に代えるほど重要じゃないから放ってもいいか……。でも黒歴史が、しかも六花に先にネタバレされちゃなんかかっこがつかないからやだ!
仕方なく白旗を上げ、鳥の羽にインクをつけ羊毛紙に記載しポツダム宣言を受け入れる俺。
まあでも悪くはない気がする。大学前にキスして離れ離れになっておしまいよりかはキスして高校生活を一日一日大事にするというのも目の前のぼんやりとした不安への唯一の希望ができる。それにマンネリも避けられていいな最近ルーティンを感じてきたし。
勇太「わかった」
というと、なぜかホッとした顔つきになった丹生谷が今度はワクワクしてるのか肩を揺らして体を震わし、何かを考えているかと思えば段ボールから恋愛雑誌のおそらくサンプルだろう、1冊を弟子に伝授するかの如く重たい空気を醸しながら俺に渡した。
丹生谷「いい!わからないことがあったら、雑誌を見なさい!このために買って来たんだから!わかったわね!あんたの命運がかかってるんだからね!」
見出しを見るに風水だとか占いだとかの情報が大半占めてそうだけど。
丹生谷「それと、これ」
ねえ、それってやばい奴なんじゃ。丹生谷の持ってきたその紙、それはあらゆるものや行為を許す金ぴかの代名詞、お金を、しかも3000円を差し出した!
これには目をくらます。責任重大だろ。俺なんかがもらっていいのか働いたわけでもないのに。俺の目を真っすぐ見てくる本気のオーラをくぼみとってしまい思わず気が引けた。丹生谷の金なんだからその分使っちゃえばいいのに。だけど何も恐れずその姿勢を変えない態度に、俺は硬直し、成功を願っている思いが深層心理を動かす。
乱暴な性格でも六花と俺の将来のことを考えてくれる。丹生谷って根はやさしい奴なんだよな。やり方はあれだけどさ。俺にはまねできないけどそんな性格が好きだ。いつか六花にもしてあげたいと思っている。そして冷静になって考える。
いいのか、なんて聞ける立場じゃなかった。手に持っている3000円をしっかり受け取る。俺だって男だからやるときはやりたい。全力で!
丹生谷「絶対に小鳥遊さんを悲しませないでよ。もし電話一本でも貰ったら、もらったらぁあ!!藁人形にあんたの名前を消えないインクで書いて、久遠の因縁まで呪い殺すわよ!!!!!!」
ヒッ!
金銭を身代に告白を成功させろと負荷をかけたのかよ!怖いわ!心が波乱でもやもやするけど。よし、じゃあやってやるよ!そこまで願ってるんだ!誰もが見たことない恐ろしいレベルなんて玉じゃない告白ってもんをなあ、見せてやるよ!
3000円をポケットにしまい、再び顔を向けると一種の不安がよぎる。
そのやさしすぎる信念はあまりにも不気味すぎる。いいこと言っちゃって~実はまた俺からなんかせびり取ろうとしてるんじゃないか。
勇太「なんで俺のことそんなに気にかけてくれるんだ?他人だから関係ないだろ」
丹生谷「勘違いしないでよ。私はね、あんたのことが好きじゃなくって、いやそれに近いけど違うっていうか、不器用な人を見るとつい動きたくなるっていうか、みんな幸せであればそれでいいっていうスタンスで動いてて、そんな性格だから気にしないで」
目をそらした丹生谷は、うまく表現できたのか素敵な笑みを見せる。その笑顔が天使だった。なんだ勘違いか俺の悪い思い込みだったんだ。こんな大事な人を憎んでたなんて。俺にちょっかいかけるのも本当は身に関わっていることだった。嫌われてもいいから他人を助けたいってすごい人だと今気づいた。同時に俺は小さくなった。謝らねばな。俺が謝罪と感謝の意を込めてありがとう雑誌大事にするし今度デートするから期待しててほしいと頭を下げると、丹生谷は言葉を詰まらせ口を一回急にふさいでどういたしましてと好感のある礼儀をしてきた。顔は赤く火照っていた。その顔が裏を隠してお尻まで隠しきれてないような正直なものなんだなと俺でも分かり可愛いらしい。でも、だから気を付けてほしいという意味で忠告してみたいことがある。
勇太「お前気品上手に見えてひもとか無職とかダメ男好きそう」
はっ?と壊れた顔で、な、なな、な、、、なんですってー!と猿のように興奮すると段ボールや雑誌を俺の顔に投げつけてきた!痛い痛い血が出る!お前遠慮をしらないのか!どうして人は真実を告げただけですぐに発狂するんだ!?事実だっ痛い!ダメだ逃げねば殺されるう!と感じ段ボール1箱を抱えて丹生谷の部屋から一目散に、外まで逃げた。
モリサマー教徒布教用の本一式を抱え、安堵のため息をつき気が付くと空は夜になっていた。はあ、もう人はこりごりだよ。
あーあ日曜日をこんなゴミに費やすんじゃなかったと後悔しただいま、と家の扉を開けるとだーくふれいむますたーおかえりーとよちよち歩きのかわいい夢葉が来て合法的に抱き着いてくるので家族っていいなと感動する。あ、断じてロリコンじゃないぞ!あんなのと一緒にするな!
樟葉の作った料理がすでに置かれており、美味しかったと樟葉に伝えて、さあ勝負だ。
机に座った俺は、世界で、いや宇宙で一番かっこいい告白デートと告白内容を考える。一生に一度しかできないぞよく考えろ俺。段ボールから出した本の文下に色インクを塗り付箋を貼る。本やネットで彼女と飽きないデートテクニックものにふむふむと頷き箇条書きにした。人生かかる人って集中力すごいな、これが俺の限界を超えた力かと理解するほど汗を流して集中している。告白文も紙にかいてはくちゃくちゃにしてこれの繰り返し。そしてやっぱり重要なのがデートコースで、船だとか山の山頂のきれいな景色を見せるだとかプレゼントは宝石がいいかとか、滋賀県から出て大阪とか兵庫に行けば六花も喜ぶんじゃないかって、頭の中でゆうた―!きゃ!大好き!♡!の展開を思いついてはニヤニヤしている。こんな自分他人に見せるなどルイ16世並みのギロチンで死んでやる!ほっぺを叩いて真剣に取り組んで、でも告白と言えば「闇の炎に抱かれし者よダークフレイムマスターと恋人の契約を結べ!」ああああああああ恥ずかしい!!!!!頭が痛い。どうしてあんなことを言ったんだ!ああいかんこうしてはいられん時間時間。過去の現実を振り払う。
翌朝に、来週の日曜デートするよ六花と伝えて喜ぶアホ毛を見た後、毎日学校から帰宅するやいなや自室にこもって計画を立てては消しゴムを大量に消費し、愛用の自転車で経路などグーグルを調べてなんとなく曖昧にたどり着くぐらいでいいだろうと来て調査する。お昼に自転車をキコキコさせて近場の場所に行きつつ、でも学校帰りで早く家に帰ってまだ開封してないゲームしたいと思い、遠くから眺めるだけで満足したところもある。手に持った3000円はすぐに消失した。仕方ない、赤字覚悟で行くか。新作ゲームよさようなら。また半年後までさようなら。人生かかってるんだ。丹生谷の件もな。複数記述したデートコースを見てこれだけ弾丸があるなら六花も喜ぶと思った。だけれども、本番デート前夜それでも記述中に不安がよぎり鉛筆を置く。そして認めたくないという思いが噴出して頭を抱える。当日あれしてこれしてこうして、でも俺にできるはずがないんだよー!デートや告白に失敗したら終わりだよな?でもやっちゃうかもしれないよな。第一喜んでくれないかもしれない。それが一番気にかかるな。世の中そんなにうまくいくはずないもんね。奇跡なんて軽々しく起こせるはずがない。宇宙一の告白なんてないよ。ない…….ない……な……。
ああ、これで俺の青春は完結するんだなと思う。もう新しさを生むことも、広がることもないんだと。
その神経がいけなかったのかもしれない。
世界は亀裂を見せ始める。
誰も私を理解してくれない。勇太なら、わかってくれると思ってたのに
第2話「ダーク・ディスティニー・エクスペリエンス(世界がおままごとをする日)」
悪夢を見た。俺は暗闇の中でう~んう~んとうなされる自分、その光景を見る自分がいる、という光景を遠くから見ているというなんとも誰得な気持ち悪い夢を見た。心象は最悪だ。ん、何か音がするな、行ってみようと思うと世界が白くなり。
六花「ゆうた! ゆうたー!」
ん、ここは、現実世界……?
六花「ゆうた?」
目が開く。目の前には巨人のようなふるふる動く目が映っていた。
うわあああああああ!!!
ウサギもびっくりな高速跳力で俺の尻もちを一秒で高く上げ、逃げ足が光り、俺の手は一番遠くに退いていた。あ、とその巨人の姿を観察すると、なんだただの六花か驚かすなと、びっくりで心臓止まりかけになった脳はお怒りになる。
意外な反応すらしない六花は俺に目をくれず、俺のいた逃げる前の机を見渡し特にその絶対に見てはいけないシリーズの資料に目を通しそうになる。やばいーやばいー!!!
見ちゃダメえええええええダメなのおおおおおおお!!!!!!
六花もドン引きするレベルの速さで手で覆い隠し、最近暑いよなと会話しながら資料を集め本の下敷きにした。はぁ、はぁ、はぁ、これなら見れない。よし勝った!
六花は無言であった。恥ずかしい恥ずかしいバレバレじゃねえかよ!!
終始無言の微妙な緊張感が漂う。うっしまった!鳥の鳴き声が聞こえる。無言タイムの中、その静寂に開口したのは六花のほうだった。
六花「今日のデートってどうなったの?」
ん?あれ?変だぞ?まさか……まさか!
俺は時計を慌てて確認する。時計の針は残酷にもAM9時を指していた。
ああああああああ、デートが!動物園がー!ナガシマスパーランドがー!あれだけ朝早く起きて余裕をもって最後の選択をしようと思ってたのに!
というか何で俺の部屋に勝手に入ったんだよ!!今頃気づいたぞ!入るなよ!
俺の頭をわしゃわしゃ発狂する様子を、冷凍庫のような視線で向けられた。
六花「待ってるよ」
と、怒るのかと思いきや冷静な目つきで、某ヒューマノイドインターフェイスのような眉のびくともしない蒼い不変の瞳で俺に言い放ち、そして去った。
扉の閉まる様子を見ると、一人ボケっと見てる自分を知り頬をはたく。やってしまったのは仕方ない。やらなくちゃな。
早速デートに合うように俺も変身をしよう。お風呂に入り大丈夫大丈夫と唱えた後歯磨きをして、六花に見せたかったお気に入りの、闇!Tシャツ!冬バージョン!を着て、復旧不可な計画を再度立て直す。終わったらリビングに朝食がある。朝早くから樟葉が温かい愛をこめて作ったものだ。そのオムライスをむしゃむしゃ食べているがそれでは寂しいのでTVをつける。するとニュース番組に出くわした。
「では次のニュースです。最近世界中で観測されるようになった謎の音波についてです。俗称アポロカリスティックサウンドと呼ばれる音波が動画投稿サイトなどで話題となっております。こちらがその映像です。調査した地質学者の研究によりますと、大陸プレートの断層のズレを引き起こした際に宇宙空間へ反射した振動のサインの現れではないかという報告が上がり、あの東日本大震災とも強い関連性があったのではないかとの懸念がされております。地震と音波の関連におけるメカニズムについて、政府は全国の地質学者や海洋学者等を招集し調査会議を開く予定です」
へえ、アポロカリスティックサウンドかぁ。六花が聴いたら喜ぶだろうな。謎の現象とかってゆうた!ゆうた!ってキャッキャ言ってさ。思い出すだけで世界が喜びの黄色一色になるだろうな。まあでも頑張って日本の安全を守ってほしいとは思う。
今の時間が分かったことに満足した俺はTVを消して集中的に食べ続けようとする。だがそこで現在中学生でありその背丈を持つ妹の樟葉がやってきた。樟葉にどうしても六花の侵入経路について気になることを訊ねる。と、思ったけれどなんだか激怒している様子である。
樟葉「お兄ちゃん!六花ちゃんがね、まだ来てないですかってわざわざ私の方に尋ねてきたんだよ!悲しい顔してたよ!何してるの!」
え、あいつロープで勝手に入ったんじゃないのか!?上の七宮の部屋から勝手にロープで窓からって思ってたけど。俺と六花は同棲だけど、まぬけな寝顔まじまじとみられるのだけは嫌で金輪際ロープを使うな!って言ったきり夜どこも鍵をかけてるけど、たまたま昨日机の上でそれどころでなく爆睡したってことか。あいつ注意をちゃんと守ってたんだな……。
勇太「ごめんごめん。後で言っておく。樟葉にも迷惑をかけたごめん」
樟葉「人と用事するのに寝坊なんてお兄ちゃん失格だよ!」
すまない、ほんとすまないと謝罪し、オムライス難山を直視し高速でかきあげ口にほおばる。胃の中で膨らんでいくスライムの暴れる感触がして食べた気がしない。
目を横にやると樟葉は人差し指を高く上げ、そうだー、と思いついたようだ。
樟葉「お兄ちゃん今日学校じゃないの?」
え?
作業が止まる。今日は日曜日だよな……?
え?と二人の顔が合う。心配になり樟葉に体の向きを合わせると、樟葉は、あ、と思い出した。
樟葉「ごめん!なんか勘違いしちゃったみたい。てっきりお兄ちゃんが変な格好しているから中学の時思い出しちゃって。ははー」
くずはー。顔が赤いぞ。
突如顔に火を灯した樟葉は、許してねって控えめに手を合わせて祈りのポーズしたあと、手を振って違うから私じゃなくて偶然が悪かったんだよーと焦りのガードを張る。
そんなことさせるか!ホルホルしてやる!
勇太「クラスと順調なんて良いな。土日も勉強がしたいとかお兄ちゃん感激するぞ。そんなに学校が好きなら布団を学校に持っていけばいいと思うぞ!」
心に槍がささったのか、そこまで言うことないでしょ!と、むっ!と樟葉は幼稚園児のようにほっぺを膨らまして、私怒ってるんだからね!と示す。
樟葉「ふんっお兄ちゃん知らない!」
そう言い、その小柄な体の小さな足をどん!どん!言わせてリビングから退場し俺を一瞥した後、やっぱり怒った顔になって扉を強く閉める。俺のお母さんが「えーなになに喧嘩?それとも三角関係のアレ?」と、ニヤニヤしながら喋ってくる。それは決して親が言ってはならない第一位のセリフだぞ。帰ってくれ!ブラックジョークこの親にしてこの俺あり。
と、言ってる場合じゃない!急いで完食し、香水を全身および口内に行き渡らせムードを壊さないよう慎重に準備する。
全ての準備が整った後玄関に赴き、きっと一週間前から期待してて、今日のこの日をずっと待っていたんだろうなさあパレードの幕開けだ、おまたせと扉を開ける。
六花は間違いなくいた。六花は確かに笑った。
そして六花は間違いなく歩ける量ではないパンパンのバッグを持って押しつぶされていた。
六花「おはよウォータードラゴン……」
お前夜逃げでもするのかよ!笑顔が苦笑いになってるぞ!
ゴスロリ衣装もこれでは台無しである。ゴスロリ衣装って懐かしいな。俺が初めて六花の家にスマブラとか美味しかった暗黒ケーキを食べたとかの本格的に招待されたとき以来だなそのゴスロリ衣装。そうじゃなくて。
勇太「何で持ってきたんだ!?こんなに!」
六花「いや、デートするからって色々準備してたらいつの間にか」
勇太「あり得ねえぞ!なんでそうなる!」
すぐさま六花のバッグをつかみ取って下ろし、六花のああっという悲しい悲鳴を無視してジッパーを開ける。
こいつ片づけられないタイプの人間かよ。ああ、貴重な時間が、デートが。
中身を見ると、傘が出てきた。
六花「それはダメ。シュバルツゼクスプロトタイプマークツー。末長い相棒。今日は初心に回帰して初代大統領を持っていきたい」
あるか!アメリカ大統領がお前の家にいるのかよ!初号機じゃないのか。でも、マークツーだからー。ん?と六花の方を見ているとキラキラ瞳を輝かせている。
勇太「分かった!分かった!雨になるかもだし、よしとしよう」
歓声を横目に、手を戻すと次はなんだこれ?
六花「ロープ。これは現実世界がエマージェンシーモードにおいて、例えば闇の組織にライフルで狙われたとき自転車を盾に脱出し橋の下に落下すると同時に咄嗟に柱に絡める生命の維持に欠かせない大事な補助アイテム!これは持っていても損はないだろうと確約したい!」
よくそんなことすらすら言えるな。ある意味尊敬する。
ということはさ、実は俺、信用されてないんじゃないのかな。六花が自衛する心がけは良いんだけどさ、彼女を守る彼氏の俺の役割がなくって、じゃあ俺なんかいらないよねって落ち込む。肩が凝るな。信用されてないんだ。自転車の運転とかも何もかも。丹生谷に将来のこと考えていなかったの薄々にも気づかれていたのか。でも、そんなことを表に出して六花を悲しませたくない。ニコニコ笑顔でいいぞって言って、軽く喜んでいる。
勇太「じゃあ……次。これは……」
どうせ信用されてないんだ。
六花「天空に舞い降りし地上を制圧するためのパラシュート。これでいかなる組織の攻撃にも対抗できる!!!
ぴゅうううううううううバーンドドドドド!!」
俺は突如立ち上がり渾身のぐりぐり攻撃を浴びせ、あ~んゆうたー!と泣き叫ぶこの甘えびを粛正すべく「いらないだろ!」と喝を入れる。
うえええん、と泣いて無駄だ!信用どころか何も考えてないじゃないか!そっちの方が心配だよ!気を取り直して元に戻る。
勇太「これは?」
六花「ミニ大仏。窮地に陥ったら救済信仰する。主に宿題が提出に間に合わないとき使用する」
勇太「これは?」
六花「ぬいぐるみのおさるさん。泣きたくなるときがあるかもしれない」
勇太「これは?」
六花「本のカントの純粋理性批判。持ってるとかっこいい!人を殴れる!!」
俺はバッグをひっくり返して、せっかく詰めたのにと言葉に冷たく対応し、ゴミとゴミに分別する。
勇太「いらない!いらない!いらない!いらない!」
六花「ああああああ!!!!!」
六花の荒ぶる手を静止しつつ、最低限必要なものをジャッジメントする。
綺麗にまとまったバッグはすっかり身のこなしができ、俺でさえもうっとりする出来栄えになる。
勇太「ほらよっ」
六花「本当にいるもの?嘘じゃないよね!」
もう何にもコメントする気がなくなった。
六花「かるーい!」
小鳥遊六花さんは、高校二年ちぇいでありながら、軽くしてもらったバッグを背に持ってお尻フリフリダンスをしている。もういやだ。
ところで、時間。あ、そうだデートコースどうしよう。エスコートする時間も場所も、あのときに最終決断してればよかった。全くない。
勇太「六花。話したいことがあるんだけど。今日のデートはどこがいい?」
六花「う~ん。いろいろあるけど~」
勇太「動物園?遊園地?植物園?豪華客船?ビル?都市部?それともほかのところ?ナガシマスパーランドでもいいぞ?」
昨日の晩羅列した項目を滝を流すように話すが、六花はそんなことは聞いていない。
六花「公園に行きたい!」
え~!一週間待ってそれ!毎回行っているじゃん!赤字になっても行く気はあるのに!
もう人生に疲れて、人生ごと休みたい気分なので六花にお任せすることにした。
でも、六花がそう望むなら仕方ないやと思い、俺よりも本人の幸せを優先した。
これが宇宙で一番のデートか……なんかどうでもよくなってきちゃった。
かくして、外に出た俺たちであった。なんだか特別なんてない。ほんの日常。
別に期限は今日じゃない。明日でも来週でもいいし焦らずゆっくりやっていこう。それが俺たちの恋愛スタイルだ。となると一年後までひょっとしたら許可してくれるんじゃないかな。いや怒るよな丹生谷。
薄暗いマンションから出ると、外は光に包まれて、デート適正ばっちしの、偽りのひとつもない雲一つない青空一色の快晴だった。太陽の生暖かい抱擁してくれる母のような日差しが、俺たちの気分を活発的にさせる。長袖だけど風も11月にしては心地よいし、奇麗に彩られた新鮮な緑の草木が俺たちの行く道を迎えてくれる。俺たち二人だけでは釣り合わない素敵な世界を、贅沢にも横断し散策している。
六花「ゆうた危ない!ケーニギン・デア・ナハト!たああ!ふぅ、アタッカーのシールド転換に間に合った……。気を付けて!奴はレーザー使い。不可視境界線の管理局から送られてきた幹部候補のエージェント。耐性のある私の武器で反射を返せるがゆうたでは軽く肉バラにされてしまう!くっ、逃げ足の速い奴め!」
六花「いるんだろう?でてこい。確かに君は強かった。それは私も事実として受け入れよう。だが実態のフォルムを解除し空気中に離散しても、私の持つこの邪王心眼の真の力には透明などとっくお見通し!いでよ!!堕天より生まれし漆黒を大地に開放し、邪悪なサバトの全魔力を吸収したイービル・アイ!!!!頼むぞ、ミネルヴァの可動領域……ダーク・インフェルノ・ファイアバーニング!!!バアアアアアアアア!!!!」
六花「はぁ、はぁ、はぁ。激しい戦いだった……。奴の気体は蒸発した。二度とここには戻らない。呪術に洗脳されし気体より解放されし被害者の魚がボスニア海に姿形共にリターンしたが。なんとかわいそうな奴だ、ちゃんと幸せになるんだよ。今日も地球は救われた。うん、見晴らしがいい!」
とまあ誰も頼んでいないのに地球を救ってくれるのである。
俺は普通に歩きたいけど許さないらしい。ローラーシューズで、まるで俺の足の遅さをおちょくってるかのように六花は俺の周りをグールグル回っている。虚無な外でも元気な奴だ。「ごめん朝約束破って」と言ったがそんなことを聞きすらしない。
六花「勇太みてみて!」
こけたら危ないぞーと言う前に、駐車場の六花は半歩下がって三回転しフィギュアスケート技を披露しお手前の体の柔らかさを見せつける。その後全身を軽く上げて駐車ブロックにふわっとあがり「ほっ!」と笑いながら重力に落ち、それだけじゃなくブロックの左右を、体重をかけた急ハンドルでかわすドリフトで華麗に乗りこなした。最後のブロックを過ぎると一周小回りし体位置を合わせた後、股を強く広げシューズに負荷をかける。
とまって俺を見た顔が最高にスポーティーだ。
六花「どう!?どう!!?」
勇太「かっこいいよ!マジでかっこいい!!!」
言葉で言い表せないほど運動神経抜群だと理解させられるあいつの秀才さが目に見える。まるでプロの滑走をみているかのように無駄のない動きで鮮やかで美しい。
六花「よし、ついに完成したぞ……。これでいかなる闇の組織の銃撃にも無効になる!日ごろの成果を貫徹で、闇の使い手すら唾をのませたということは信憑性が外部から見ても高いということ!つまり完!」
勇太「お前のそういうところで株がガタ落ちしてるんだぞ」
六花「私のSスキル(素早さ)は4から5にレベルアップした!」
勇太「目で分かるのかよ!ああその前におめでとう。じゃなくて!」
六花「溜まったスキルで新たなスキルを開放できる。スキル解放!ダメージ転移!このスキルは自分の弱点を相手に転移することができる!宿題よ!消え去れー!」
勇太「まさかお前やってないのか?」
六花「くそっ、頭から囚われし過去が消えない。錬成失敗か……。うう、体中から血が噴き出してくるー!」
勇太「だーめーだ、もう写させてって言われても愛想が尽きたからな」
六花「そんな……。以前、錬金術で焼き殺したはずなのに、なぜ!?」
勇太「宿題は何度も蘇るわアホ!」
俺は六花の頭を毎度恒例本日初めて頭チョップすると、六花は「痛いよゆうたー!」といつもの涙目で返事してくれるので嬉しいというか安心するというか。
六花「こんなゾンビみたいなやつが正体だったとは……。もっと本体を焼く必要があったか。ゆうた、失われた遺骨”ドクロ”を持ってきてほしい。奴は液状の変異体。私の手布が未熟だったこともあるが。このまま放っておくと生易しいもんじゃない。おそらくこの町にとってまずいことになるよ、いいの?」
俺は遠くで土をついばみよいしょよいしょと頑張っているスズメに愛らしさを感じる。
六花「あーんゆうたー!」
あー、めんどくせ。
華麗に流れる透明な川の中を泳ぐ、レアキャラ率5%を誇る、翼を閉じて川に流されるカモを六花は見ながら目の輝きようが半端なく興奮し、カモ可愛い、こっち見て、飼っていい?と言ってくる。正確には“異方の地から訪問せし悪魔の一派”ふんっ!などと意味の分からんし喋ったらドヤ顔すな!と言わんばかりの知識自慢をしてきた。無論ダメなの分かっててこのセリフ言ってほしいんだろ。はいはいかっこいいなというと、六花はじゃあダイブするね!と言ってきたで、慌てて腕をつかんで強気にチョップを加えた。痛いっ!って言う悲鳴が面白い。
そういえば不思議に思ってたんだけど、こいつ俺と本気で、しかも本番デートで公園に行くなんて普通じゃあり得ないよな。六花といえども重い空気の理解をした反応はさすがにする。デート周期の空き具合から察せられるかとビクビク思ってたのに。今も理解していないかよこいつは。はぁ呆れたやつ。いやちょっと待て。別の方角からも考えられるよな。それも最悪な方に。もしかして俺の事、実は嫌ってるんじゃないか……。俺と金のかからない場所に行ってスピード遊びで業務的に楽しんで早々帰りたいみたいに思ってたりして。俺のトークがつまらなくてけど言えなくて……。うわあ。そう思うと横を歩く六花の姿に寒気を感じてきた。俺の足が六花の体温から遠ざかる。いやだめだ隠し事はなしだ。思えば本当になるんだ。絶対思うな!さすがに考えすぎだよ俺。でも半分、本当だと思いたくない。ええいっ。意を決して六花の肩を突き真実を問う。
勇太「最近学校楽しい?」
「うん!」と帰ってくるんだろうなぁ。
すると六花はなぜか下を向いて何も答えなかった。しばらくじっと立ち止まって。さっきの元気も急に喪失した。図星か!?六花かあ!?なんだよ!いじめられたのか!!?と強く怒鳴る。いじめは怖いけど、命より大事な彼女のためだ!絶対に倒す血みどろにして前歯2,3本、口を開けられないようにしてやる!と戦意に駆られて意気込んでいると首を横に振られた。違うのか……。「心配しないで」って言われても無理だよ。ああもうどうしよう!ところが急に六花は笑顔になり呪文を唱えて、はああ!封印!と言って俺の顔に手から光線を放ってきた!え、ええ!!?なんだこの変わり具合は?!そのあと大丈夫だ、と肩を叩かれる。あの、俺が心配しているんだが。
ああ~嘘だったのか。構ってほしくてやったってパターンか。今までも良くある構い方で時折猫パンチを加えて、魔族は永続、と謎の言葉を言って俺を怒らせてくるアレ。よかった演技で。でも妙にリアルだったよな……。これも演技だとしたら演劇部に入れるぞ。やっぱ違うよな。何か今までとは変なタイプだった。でも六花のことだし、いざとなったら自分から言うだろうな。
気を取り直して散歩している。おや、奇麗に並ぶ新築一軒家の並ぶ魚群住まいの中に、草がぼーぼー生えていて、電気もないだろう屋根がこびつき窓ガラスも古く誰も住んでいないと思われる一軒家を見かける。なぜあそこが取り壊されていないか不安になる。お化けがいたとしたら間違いなくここが除霊の原因だ。
六花「あ、あそこに空き家がある!宝あるかもしれない!」
勇太「ないわ!人の家に興奮すんな!仮に入ると案外住んでいたりしてるぞ」
六花「あそこでイベント発生して「町中の人を喰うモンスターが生まれているので退治してほしい」って掲示板があって、そこに六花率いる闇の魔族一行が退治して、町のみんなから褒められる。スイカとかメロンとかただでくれたら嬉しい」
勇太「あのなあ、その人たちも生活費削って渡してるからある意味悪いことだぞ。市民を苦しめるんじゃない。それに勝手に入るとか不法侵入だし窃盗罪も適応するぞ。第一あのゲームのRPGだから許されるの!考えを話すのもいいけど他の人達の苦労も知れよ」
六花「……」
勇太「たくよっ!」
六花「ゆうたってさ」
六花「ゆうたってさ」
六花「ゆうたってさ」
勇太「なに?」
六花「……。」
六花「夢がないよね」
ぐおおおおお。その言葉に深く突き刺さり地獄の炎に悶え苦しむ。俺は地面を見て失楽し一瞬走馬灯が見えてしまった。俺は一応な、ダークフレイムマスターって設定を持っていて最強の設定でとびっきりのブラックホールで宇宙を制覇したことだってある、ああ、ただの設定がただの飾りになってしまったか。中二病も恥ずかしいけど妄想ですら劣るって存在価値あるの?俺の人生もつまらん設定で終わるのかシクシク……。
六花は落ち着いたのか公園まで普通に歩行している。俺は絶望で死にそうな様である。誰か慰めてくれ。俺は顔を見上げると、のどかで小さな街中に、俺のその鼻先の方に街の人のおじいさんが杖をついて前を歩いている。だが突如、六花が身構える。
六花「ばきゅーん!ばきゅーん!」
やべえ!人に変なことやってる!
勇太「人に銃を向けてはいけません!」
六花「あ、今のかっこいい!」
勇太「かっこよくない!やばい人だったらどうするんだ!」
六花「その人が元グリーンベレー所属の陸軍で、私の撃ったのに素早く反応したらそいつは黒かもしれない!」
勇太「あるか!!そんなこと地球がひっくり返ってもないわ!」
六花「そして秀才をけなされたことから人類に逆怨みを持つことだけに生きてきて、波乱の中で血の滲む鍛錬を積み重ね、やがて富と権力の暴力により東京を恐怖に陥れついには世界を支配する。完璧な復習計画!その伏線を目撃中かもしれない!」
勇太「お前の方がよっぽど危険思想だ!」
六花「でも東京って、よく映画じゃハルマゲドンで消滅してるシーンがあるじゃん」
勇太「あれは映画だからな!」
六花「東京ばっかずるい!もっと別のところとか、私の町を破壊するとかしてほしい!」
勇太「お前どんだけ好きなんだよ!」
面白い奴だ呆れるぜ。
ヒートアップが燃え尽きたため少し無言の間が続く。
疲れてぼーっと歩くと、六花は遠くのぼやけたビルを見て何か思いついたようだ。
六花「あのね、ベル博士からもらった電力綱手で屋上の柱に綱手を飛ばして引っかかったのが分かり次第よじ登るの。夜の消灯を確認し、秘密で内部に侵入、そのあと爆弾を仕掛けてドカーンってやりたい!」
勇太「ベル博士って誰だよ!」
六花「ちなみにAボタン三回押すと空中で三回ジャンプできる」
勇太「うそっ、まじ!?人って空を飛べたのかよ!つうか俺もやりたいよ参加させて!」
六花「いや、う~ん。いいよ。おとり用としては役に立つ」
勇太「お、おとり!??」
恋人仲間だと思ってたのに、所詮は爆破用の一物だと思ってたなんてひどすぎる!!
六花「私の足を……引っ張らないでね♡」
勇太「六花に見放されたー!」
六花「骨だけは拾ってやるよ」
何を偉そうにー!
六花「いや単純にゆうたにケガさせたくないから。爆破に巻き込まれるのは私一人だけでいい。だって、大切なあいぼう?」
俺は冷気を放つ冷たいアイスの感触に当たったかのように口がこもった。こいつはこいつなりに俺を気遣っているんだと。大切にしたい思いが心の中でじわっと熱石のように熱く温まる。俺だって、俺だって!俺だって!!
六花の歩行する片腕を強く突いた。俺の生暖かい右腕が、六花の付属品のように小さくて壊れやすいけどどこまで愛したくてかわいらしいその左腕に熱源を与えた。もちろん彼女がローラーシューズだってこともありそこまでではないけど。
勇太「このっ!」
六花は火照った顔の俺の奇妙な行動に目を見開くが、その行動が愛から生まれたんだと理解したのか、今度は六花の方から俺の右腕に鈍く、だけど優しく当たる。
六花「こいつう!」
その手加減が嬉しくて俺はますますうれしくなる。腕に当たりたい。どんどん触りたい!どんどん知りたい!
俺たちは「りっか!」「ゆうた!」と言いながら腕を体当たりで実質くっつきあってるのだ。気が付いたら六花の顔もドアップで見えるぐらい、どんどん体の距離が小さくなって、彼女の真っ赤に染まった頬を見ると、俺もますます蒸発する。でも好きだなんて照れくさくて、真正面を見ることができないよ。
六花「ゆうた!」
勇太「りっか!」
六花「ゆーた♡」
勇太「りっか♡」
六花「ゆーた♡!!!!」
勇太「りっか♡!!!!」
六花「こっちの方が声が大きいー♡」
勇太「俺の方が声が強いー♡」
六花「こっちっー!」
勇太「おれだー!」
六花「きゃははっ!」
勇太「あはははは!」
六花「……」
勇太「……」
良い雰囲気だよな。手、繋ぐべきだよな……。
俺は心して目を強く瞑って、六花の大事な手にはいより、一瞬彼女の外郭を握ろうと思考が回る。怖さが好奇心を勝るけど。でも!妄想が現実に手を伸ばさせる。
あ、そうだ!思い出した!と六花は叫んでローラーシューズで体ごと回転し、思い出したことがある!と俺に話しかけたのだ。
ああああ……。さっきのムードが台無しじゃねえか!!
六花「ゆうた!あれやってない!本日のバトル!」
勇太「やらねえよ!あれ俺の善意でやってるからな!黒歴史に新たな一ページを加えたくないごめんだね!」
六花はうまくいかない人生にもがき苦しんだように下を向いて、少ししたら急になぜか明るい顔になる。そしてなんやら手をこまねいてこっちにこいよの合図しながら、気味の悪いにやけ顔を俺に向けてくるんだが。顔にスプレーかけたい。
六花「ふっふっふここで怖気づくとは卑怯なものだな少年よ」
勇太「その手には乗らん!」
六花「そうか。じゃあ特別にゆうた君に条件をあげよう。もし君が私の究極奥義“真剣白刃取り”に、ぷっ無様な姿だが突・き・通・せ・ば、君が願いうるすべての条件をかなえて差し上げよう」
勇太「むっかあああ!バカにしやがって!どうせお前負けるだろ!」
六花「怖いんだな?」
勇太「怖い訳がないだろ!じゃあやってやるよ!」
六花「所詮君は私に勝てっこないのだから、夢を見るのは滑稽なことだ諦めたほうがいい。でも報酬も無しに頑張らせるのもかわいそうだから、もしできたらなんでもやろうと思う」
勇太「何でもか?ほんとか?」
その中二病を今すぐ殺せ!殺してやる!DFMと略される前のきらめいた高校デビューを返せ!暗炎龍よ、今ここにさらば!
呼吸を整え、しっかり前を見る。
六花「さあ来い!男に二言はない!」
お前いつから男になったんだよ!俺は男と付き合う趣味はないぞ!
俺は六花のおでこに角度を合わせ、ゆっくりと慎重に片手をチョップの形にした刃を空に向ける。
勇太「ほんとうに、いいんだな?」
六花「ゆうた。ひょっとして本気?」
勇太「いくぞ。容赦はしないって言ったよな!」
六花「あ、あまりいたくしないで」
六花の顔がガタガタ震えて目から恐怖で涙を浮かべている。油断してるな、今だ!!
勇太「てやああああああああ!!!!」
腹から出したものすごい罵声と共に、刃が到達地点まで急加速で駆け寄る。六花の門が閉まる。刹那、六花に達成感のある不気味な笑みが垣間見える。
二つの風が十字に交差し、その風圧は勝者だけにしか分からない。瞬間の動作がパラパラ漫画のようにスライド式になる。門のひびの割れる感触を味わう。
かすかに鈍い音がした。後悔してもきしれないほどに。
銅鐸に打たれるおでこの鈍い音は天高く飛んで行ったのだ。
嘘なく、おでこに刃が透き通った。
六花「」ぱんっ
勇太「」どんっ
六花「いったあああああああああいいい!!!!あああああああああ!!!!」
勇太「やったあ!勝ったぜ!勝ったぜ!それじゃあまずダークフレイムマスターの呼び名永遠に禁止な!ついでに俺の召使になること。俺モンハンするから当番全部してなそれからそれから」
六花「ちょ、ま、あ、この勝負まだ終わっていない!シュバルツゼクスプロトタイプマークツー展開!シュバルツシルト!!グングニール!!!」
傘で俺の腹を突いた。痛い!痛い!
勇太「男に二言はないんじゃなかったのか!」
六花「か弱い女性なのにそんな暴力振るうなんてひどかった!!」
勇太「んなわけあるかー!」
六花「爆ぜろリアル!」
眼帯を開き禁断の金色を開放する。ひとたび晒すと世界に裂け目ができ震撼するらしい。
勇太「弾けろシナプス!」
六花「バニッシュメントディスワールド!!!」
勇太「はぁ、結局こうなるのかよ…...。」
六花はおでこに打たれた戦の傷跡を手で冷やしながらこちらを睨んでいる。
場所を変更しようということで空き地に移動した。
移動が整うとすぐ六花は俺の渋い顔を考えずシュバルツゼクスプロトタイプマークの傘を構えると猪突猛進で突撃してきた。
六花「アヴァロンスマッシュ!!」
正直やりたくないんだよな……デートの最後で体力の消耗が激しくなるの知っているし。
六花「喰らえ!はあああああ!」
俺との距離数センチまで近寄ると傘を俺の腹に突き刺し…..てはなくさすがに手加減で威力を落としてお腹をツンツンした。声の勢いとは裏腹だ。
勇太「やらんからな!」
六花は一瞬しゅん……とした顔になるとまた傘を構えて威嚇した。
すると今度は傘を捨てて掌を見て、俺の体に向けて腕を出した。
六花「ジャッジメントルシファー!!」
勇太「だからやらん!!」
うぅ……!強敵のような精神ダメージを受けるとまた落ち込んだ顔になる。
六花「ゆうたぁ!」
勇太「やりません!」
顎に手を当て少し考えたらしく後、その後手をポンっとして閃くと、再び傘を持ってニヤッと不気味な顔をした。そして傘を、風に任せて後ろに回して勢いをつけると再び前に出して。
六花「ポイズンミサイル!」
俺の心臓のある場所に急所の一撃を与えた。
勇太「あ 」
俺は一瞬で倒れはしなかったが心臓に悪い変化を感じて胸をさすって痛みを冷やす。
六花「はーはっはっは!!!毒の樹液に勝った者はいない!ゆうたは間もなく死ぬ!邪王心眼はいかなるときも最上級!!」
げほっ。げほっ。ごほ。
痛い。痛くて死の安らぎに吸い込まれる。六花……冗談にもほどがあるぞ……。
六花「はーっはっはっは!!もっと苦しめ!盛大に苦しめ!!!」
勇太「だから……やらん」
六花「ではもう一発!」
まずい!!やられる!!
勇太「あー!じゃあやってやる。今回だけだぞ」
勇太「ふっふっふ!待たせたな!邪王心眼よ!我がダークフレイムマスターが文字通り遊んでやろう!!」
六花「なぬ!?」
勇太「行くぞ!!!」
そう思うと世界は変化し、荒野の果てになる。空は曇り、草もなく、ビルの残骸と砂ぼこりが顕著だ。六花が月から飛んで剣をおろしてくる。俺は壊れたビルの屋上から雷を落とす。
六花「うわあああああ!!!!」
しめしめさっきの分を苦しむがいい!!!
プシューとなった六花が地割れを起こして地に落ちた。
六花「エマージェンシーモード・解!!」
すると六花の体から青色の波動が生み出されすべての傷が完治した。
六花「よかろう。相手にとっては不足ない」
そうにやっと笑ったのが印象的だ。
六花「禁断の魔術を解禁する。隠された死者の集いの目!ダーク・アイ3!!」
六花はお凸に埋められた第三の目を開放しその目がにょきにょき出てきた。
六花「アイビーム!!」
そのまんまじゃねえか!!!!
光線を飛ばされた危機感で飛んで逃げ、俺のいたビルを二つに裂いた。
六花「六花隊、出撃!」
大勢のミニ六花が俺に向かってビームを放ってくるが、俺の放つ覇気に押されて煙になった。雑魚め!
六花「ウォータープール!!」
俺を巨大な水泡に入れて窒息死させようとしてきたが泳ぎの天才で助かった。攻撃技と空間の把握のため六花と距離を取るように遠くまで離れる。
六花「逃がさない!!タイム・アウト!」
貴様!この技は何だ!
体が……体が動かないだと!!
六花は右腕で円形を描いた。そのつくった紋章が激しく光る。
すると俺のいるところまで来て、顔と体を使えなくなるまで殴った!!
くそっ!!やり返そうにもやれない!!!
六花は俺の顔の前に来て最後の一撃として、俺の頭上にピンクの玉を生成した。
六花「契約による漆黒の力。これが放たれると世界は滅ぶ!邪王心眼パーフェクト!!!」
うわっ!やられるっ!
勇太「ふふふっ」
六花「!?」
勇太「貴様、良い目をしているな」
六花「あ、」
勇太「説明しようか。俺の闇の力を開放した特殊能力、右目の異端“ギアス”で相手の近距離で接し、直接相手の目を見ると脳内までダークフレイムマスターの全てが洗脳され、お前の意思は永久凍結される」
六花「ああ……」
勇太「さあ心いくまで自分を殴るがいい!!」
六花「うわあああああ!!!!!」
六花は自分で自分を猛烈に殴りみっともない姿をした。
勇太「さあ私を楽しませろ!」
六花「ゆうたぁ……」
するとなんと六花はスカートを上げて白いパンツをちらりと見せてきたってえーーー!!!
六花「サービスシーン」
勇太「いらんわ!」
六花「甘い!」
ん?後ろだ!
勇太「くそっ!」
六花の剣を俺の突如生成した剣で受け止めた。
六花「ゆうた。仮に自分のことが直接相手に伝わるなら、集中できないようにすればいいのこと、命は助かったかもしれないね」
勇太「くそっ!騎士道のないやつめ!」
六花の剣を押し倒し後ろへと追いやると助走をつけてまた追いかけてきた。
勇太「無駄なことを。ダークフレイムマスターソードアロー!!!」
六花は飛んだそれを体ごと回転して避け俺の足元までやってきた。
再び衝突する剣。
勇太「ギアス!」
六花「お前相手に見なくても戦える!!」
勇太「くそっ!教えたのがあだとなったか!!」
六花は横からけりを入れ俺を最果てまで飛ばした。
ガードの魔法陣を展開する前での大技だったので致命傷を負った。
俺とぶつかった岩石が崩れ落ちてしまった。
呼吸がそろそろ持たない。決着をつけよう。
六花「どうした……。もう終わりか?」
勇太「あまり戦ったら後半戦持たなくなるぞデート。いやガチで。だからふふふっ。」
勇太「邪王心眼よ。貴様は強い。世界で最強なことを認めよう。だが所詮この俺様には勝てってこないのだ」
六花「なぜだ!」
勇太「クククッ。良い質問だ。お前の攻撃はあ・さ・いのだよ。それは俺を本気で殺すことのできない証。お前はすでに遠慮している。俺なら本当ならこんな雑魚一瞬で倒すところだったが力がすごかったのでな」
六花「邪王心眼はいつでも最強!」
勇太「その邪王心眼の火力が弱まっているのさ。知らないか!知らないか!フハハハハハ!どうだ他人にずかずかとプライベートを破壊される気分は!俺と一緒に闇落ちしないか!」
六花「だれかこんな卑劣なやつと!」
勇太「よろしい、じゃあ最後の勝負だ。剣を取れ。俺もする。それで世界の行方を決めよう」
俺と六花は意気込んでお互いを構え、風の音がよく聞こえた。
勇太「いくぞ!闇の炎に抱かれて消えろ!」
六花「邪王心眼はお前を超えるんだ~~~~!!!アヴァロンスマッシャー!!!」
鈍い音が交錯し、金属音の光が周囲に拡散し、お互いがそばを横切る。
はぁ……。はぁ……。はぁ……。どうしよう、倒れたほうがいいのか。
勇太「う……」バタッ
すると六花も倒れた。
六花「う……」バタッ
お前は生きろよ俺の分まで!!
そして元の空き地に戻った。
俺と六花は疲れて地面に横たわる。空が青い。汗が飛ぶほどの風が心地いい。
疲れたけど、楽しいな。
こうやってバカやるの楽しいな。
やっぱり俺には中二病の血が受け継がれている。
六花と激しくバトルして楽しくなって、こんなに幸せでいいのかな。
鳥が飛ぶ。天高く。まるで自由を知らない旅人のように。
翼を広げる音に顔をあげると、青空の小さな雲も、暖かな光を送る太陽もゆっくりと形と場所を変えて移動する。路上を見渡せば、青空の下、犬の散歩する人やランナーやおじいさんとおばあさん夫婦だったり自転車に乗る若い女性2名が通過していく。その動きの見方も感じ方も全く異なっては小さく消えていく。向こう側にある風力発電機も回転しては休止の繰り返し。俺にこの瞬間で今しかないその姿を見せたくて現れて、そして消えたのだろうか。なんも意味のなく、ただその流れる姿を知らせたくて。人も、川も、自動車も、全部。だけど急に俺のいるこのタイミングまで恣意的にワープしたとかってのはありえない。ただのすれ違いだ。でも、始まりは必ずあり必ず生まれ育地もある。皆、皆、ここにいる人たちは、動物は、無機物は、どんな生き方をしたんだろう?例えばあのおじいさんは?どうやってここまで生きたんだろう?どうやって人生の波乱を切り抜けてきたんだろう?あの子犬はどこの飼い主のだろう?もともとどこで生まれたんだろう?母親に見守られなくて寂しいと思ったりしないのかな?自転車の2人は?どこで知り合ったんだろう?どうやって仲良く笑う仲になったんだろう?喧嘩が起きたときどう回避したんだろう?観測できたものすべてしばらくすると見えなくなる。傍から見るとのうのうと歩き走り流れる何も苦悩を残さず一本道を通るような姿だ。だけどこの世界は全員に物語があって、それも納得のいく結果が必ずあって、遂行するに値する理由を動機にその過程がたまたま俺たちと遭遇したということ。そして最後は必ず終わり極小の姿になり果てそして見えなくなる。一本の蝋燭のように煌めく存在を明るく示しては勝手にいなくなる。誰にも知らせずに消えていく。六花と俺を置き去りにして。でも、ということは今のこの場所を通りすぎるまで生きられた何らかの理由を俺たちも使えば、きっと幸せに暮らしましたとさと昔話の文面通りに一生を過ごすことができるのだろう。新しく開かれた異世界への道を感じている。光で創られた太い道を前に、俺は少年的な好奇心に強く惹かれて佇んだ。最果ての頂点にある楽園を求めて人間的になる俺は思わずその手を伸ばしたくなる。奇跡的な温かみに触れたくて。それで終わりでいいのか。いや、まてよ。そもそも俺たちはそんなのと同じ人生を望んでいるのか?その道が楽しいなら楽しいで俺は何のために今六花とデートしてるんだ?六花は仮に選んだとして喜んでくれると思うだろうか?六花に選択を委ねる自体正しい行為といえるのだろうか?でもあの者達に憧れを持ったということは関心を捨てられずにはいられなくて。世界危機の概念をかき消す代わりに提供されるまさしく誰もが求める安住の地。六花の横顔を見る俺。流れるものと、六花。本当の道を行く理由を知っているはずなのに、その大切な欠片も理解しているはずなのに、俺の足は一歩も動かない。気が付くと夢の世界の虜となりありもしない虚構の音も聞こえる。踏切横の線路に電車が走っていないのに、一方通行の線路上を蒸気機関車が理解を超えた速度で、黒煙もなく一瞬で5つの車両が通り過ぎる。はっきりとそんな妄想が見える。見てはならない物を見ている気がする。でも食い込まれてしまうんだ。望んだわけじゃないのに、何か意味があるんじゃないかってかすかな期待が胸に警鐘する。そして意図は全く分からない。分からない。分からないから青空を見て、その変わらぬ青さに虚脱感を得た。
鳥が飛ぶ。そしていなくなる。ただ意味なく世界は偶然、その場所を通り過ぎるのみだった。
勇太?と下げた俺の顔の下から覗かれ慌ててにこやかな笑顔をつくった。どうやら偽の世界から連れ戻されたようだ。癖になるからやめようそれも今日に限って。うん、と決意し、あんなこんなやり取りで笑いあった後やっとの思いで公園についた。
かけっこにやや相応しい新緑に尽きる、思ったより広い公園だが期待を裏切られる。ずいぶん殺風景で日曜日なのに誰も園児すら一人もいやしないので、このあたりに行事かあるいは幽霊に食べられたのかってぐらい人工音の一滴も聞こえず、ちっぽけな俺たち二人でこの砂地にあふれた大世界をしばらく支配することに恐怖心を感じた。
情けなく俺の背が震えるのと対照に、世界の裏側の仕組みを知らない無知なる勇敢者は猛ダッシュのローラーシューズでぶっ飛ばし世界を冒険する。
六花「ゆうた!はやくはやく!」
勇太「おーい待ってくれ!」
全く、公園に来ただけで犬の駆け回るようにローラーシューズで何回も周る六花には呆れて嬉しさで満ちる。ある意味人生を楽しむ天才だよあいつは。
六花は砂場掘ったら恐竜の骨が出るかもしれない!と興奮気味に振り向いてダッシュをした後、遊具を目の当たりにして呆然とおぉ~と眺め、少しどれにしようかな♪どれにしようかな♪と体を小躍りさせながら暫くして少し考え、目的に向かって一直線にした。
六花「ゆうたー!すべり台!すべり台!」
勇太「俺走るのきついんだから、待って!」
ローラーシューズもあるのに俺の行き遅れを考慮しないんだからもう。息が苦しい。しかしこの年にしてぜいぜいはあはあいうってやばくない?
勇太「はぁ……。はぁ…….。」
六花「ゆうた!」
俺は両手を膝につけるのも理解しないようでやっと、やっと、ちょっとタンマ。やっとすべり台に……。ついた。
六花「ゆうた来て」
一人ですればいいじゃんとの意見も無視で呼び寄せる。
六花は、俺がそばについたのを確認して小さな歩幅で元気よく一歩一歩右足を上げ、左足を上げ、中間までくると一瞥し、ただ俺の顔をじっと見つめてくる。
登れってこと!?やれやれだぜ。
勇太「どうしてもっていうならこれっきりだからな!」
六花は倫理観がぶっ壊れてるからいいけど、俺は高校二年生にしてすべり台でまさか登るとは思ってなかったよ!卒業したの!六花が喜んでくれるならただでやってやるけどさ。
俺が片足をアルミニウム?に乗っかった音を聞くと、六花はまた一歩上がり最上階まで上り詰める。そして美しい景色に感銘を受けたようで、案の定滑る。滑る。俺なんのためにきたの!?
退屈なすべり台を登ってはやくあのベンチで休もうと思い色鮮やかな街中を眺めていると、サメのように見えない範囲から光速押し駆けジェットで、俺の背中にくっついてきた!
六花「ゆうた!あぶない!」
勇太「ぎゃあああ!お前が危ない!お前ヤバイ!すべり台から転落したらどうする!!」
六花「ちょっと待って、やりたいことあるの。これがやりたいから今日呼んだの。ゆうた、腕を水平にして」
は?は?は??意味が分からない。重要なことなのか?そうは思えんが。とりあえず従っておくか。
両腕をX軸に平行にすると「そのまま」と言われ、六花は空いた脇の下に手をまっすぐ伸ばす。
これって……?まさか!
六花「エンダーーーーーーーーーーーー!!!!!リアーーーーーーーーーーーーーーーー」
六花「エスポパー……ニャアアアアアアアン!ニャアアアアアアアン!!!ホオワアア……」
歌詞覚えてないんかーい!
なにこれ!?どこからどう見たら氷山に衝突する図が描けるんだ!!
六花「高いところに来たら一度はやりたくなるよね☆」
勇太「ならないからならないから!!せめて船の上だって!!そんなことやるの変人ぐらいだ!」
暫く脅迫的にこの形をつくられた後、そろそろやめていい?って雰囲気を出す。
腕がしぼんで終わりかと思ったその時、目がくらんで不意を突かれた。
その垂直な腕がクワガタのように絡めて収束し、俺の腹に優しく絡まる。
その柔らかい絆の手と細い腕は、後ろの頭と一緒にぎゅっと俺の腹を圧迫し、六花の生命の温かさを感じる。俺はこんなバカップルがやることを世界に晒しながら愛に焦げて顔が赤面し、周りに誰もいない運の良さに感謝する。腕の絡みつきはますます強くなる。
無垢で怠惰で嫌だと思ったすべり台は、ふとしたちょっとのきっかけで天国界の頂きに変化を遂げた。六花は無言のまま俺の愛を補給する。
俺は急ににやついた。ひょっとしたらデート史上最高に幸せかもしれない。ちょっといいかもって思った。へへっ!この気持ち誰にもあげないよ!
これが青春か。これが青春なのか?青春バンザイ!!!?(これでいいのかよ!)
さて二人の過熱も消滅したことだし、すべり台から六花と俺を下にした二段ロケット構えで膨大な風を浴び落ちる。六花の叫び声がかわいくて忘れられない。
六花「次は、次はねー、ブランコ!」
どうやらこの公園を支配する小さな国の王女様は一睡も休ませる気はないようだ。
ブランコまで駆け寄った後「ゆうたー!」と呼ぶ声が聞こえる。もっとほしいもっとくれというエロおやじ心丸出しで、今の自分は今の自分でも見てはいけないと思うほど人情の愛に溺れていた。
4人用のブランコに六花が好きなのを選択し、仕組みを理解してる最中なのか立ち止まった後ブランコに座った。なんだ、隣に座っていいのか?それとも背中押してほしいのか!?とその様子を垣間見て、向いた愛くるしい顔つきの方向によると背中を押してほしいようだ。
俺が六花の背まで移動すると、六花はびっくりした顔で「な、なんでわかったの!」と、探偵に犯行を見破られた犯人のように口を丸く開けていたが、当たり前だろ俺は以心伝心の力を授かった。さっきの愛の力でスキルを解放した!と答えると、興奮し拍手をされた。
六花「ゆうた、ついにESP(超能力者)に目覚めた!」
いやそれだけは、世間的にやばいので否定しておいた。
六花の背中をゆっくり押すと、ブランコはゆっくり反射していく。
六花「浮いてる!浮いてる!」
そうか!浮いてるのがいいんだな!よーし!
六花の振り子は、舞い戻るたびに柔らかいその背中を大きい手で空へ飛ばすとだんだん強く激しく周回し、気が付いたら六花は空を飛んでいた。まるでタケコプターか鳥になって上空を飛んでいるかのような、地については一生感じられないふわっとした感触をしているに違いない。
六花「みてみてー!六花宇宙飛行士!無重力の世界になった!宇宙にいるの!今木星の周りを飛んでる!」
あり得ないだろと内心笑いつつ、そうかそうかと六花の漕いでいる足の努力を消すように俺の手で柔らかく受け止め、そして弾く。六花のはしゃぐ笑い声が、世界の広さをドップラー効果みたく駆け巡る。
この光景、なんかまるでお父さんと子供みたいだな、ははっ。
あ、六花にはお父さんがもう……。死んだんだよなお父さん。記憶は幼いころだけだったようで気が付いたらお葬式だったそうだ。十花さんの情報で、お父さんといるときの六花はたいそう幸せだったようで。あいつの笑顔をまた見れてよかった、ありがとう。とイタリアに出国前の十花さんにいわれたときを思い出す。この笑顔はかけがえのない存在だったんだよな。六花はひょっとしたら俺をお父さん代わりに人生を楽しんでいるのかもしれない。ある意味六花にとっては永遠の呪縛、逃れられない悪魔の記憶にうなされ続ているんだろう。だからこんな公園ごときであんなに笑顔で……。
だとしたら責任重大だな。俺がいないとだめなんだ。もう悲しませることのないぐらい冒険をしよう。もう六花に不幸が訪れませんように!
その思いを太陽より強い希望を持って強く押した背中とは裏腹に、予想よりもはやく周回を遂げて黒い影が戻ってきてしまった。
そろそろやめていいって、先ほどと変わらぬセリフを、いや長すぎて飽きてきたんだけどどうしようと思った俺は何もしなくなり、六花が後ろを振り向いても別に思わん。頭がまたぼーっとすると、気が付くと六花はすでに降りていて、すべり台を指さした。
まーーーーたーーーーー!!!俺そろそろ飽きてきたんだけど!
しかし喜ばしいことに俺に「来いよ奴隷」みたいな合図はせず、六花はすべり台の上に登ると最頂の周りの柵を、大きな丸いお尻でよじ登りフワフワするゴススカートの絶対領域をちらっと見せてくるけど恥じらいのないのか気にせず外に降り立つ。そして六花は傘を、シュバルツゼクスプロトタイプマークツーを開くと自信満々な顔を見せて……やべえ!!!これやべえ!!!
俺はさっき老人のように肺活量が劣ってきたと言ったな。あれは嘘だ。本能のままに体が動き出し、全力を超えた神力で疾走し風圧を簡単に吹き飛ばす。俺の頭のハムスターの緊急回転で物体の空間配置を理解すると、六花の「はっ!」と言って傘を広げて空中落下する様の、下の地点まで華麗にスライディングを決める。土がえぐられ砂ぼこりも立つなか、落下した隕石のお尻部分と背中部分を両手で「どっこんじょ!!!」と、腕の骨が2,3本バキバキ折れる音を聞きながら衝撃を和らげ、俺の顔が憤怒の原始姿を取り戻す。世界が静止すると、六花は驚いた顔で俺に向ける。「大丈夫か」って聞くと、六花はうんと答える。
勇太「なんでこんなことしたんだ?」
六花「メリーポピンズのまね。ふわっと上空浮かぶの見てやってみたいと思った。現実って映画と違うよね」
勇太「そっか。もうバカだなあ」
と言って六花の頭に頭突きする。よかったほんとによかった。違和感を感じるだろうが、その笑顔だけで幸せになる。だけどちょっとだけ腕を休ませていいかな……?
勇太「休みましょう!お願いだから休ませてください!」
と嘆願すると、六花は俺に一回振り向くと無言になり前を見て「ドームがあるー!!」って言った。
いやだああああああああああああああああああああああ!!!!
俺は痛んだ腕をぷらんぷらんさせて痛みを11月の風で冷やしつつ、3歳児並みに頭と体力の等しい六花の元に行くが、何やら身構える体制になり後ろに回る。
勇太「ドームにさっさと入れよ」
六花「しっ。聞こえる!」
六花は薄暗いドームの入り口横で、ピストルの形をした手に、銃弾一式を挿入し確認した後リボルバーを回し、銃の命の矛先である射線を目で慎重に合わせる。じっと前を見続けるあまりの変化のなさに六花の画像認識にバグが起こったんじゃないかと心配する。
六花「なんかいる!」
えっ!?誰?
六花「3……2……1…..いくぞ!!」
六花「そこだー!!ばばばばばばばばばばーん!!!!!!」
六花「いた!ばばばばばばばばばーん!!」
六花「ゆうた!後ろから援護!!」
勇太「えっ?ばばばばばばばばーん!!」
六花「ばばばばばばばばばばばーん!!」
銃弾の落ちる音が目立ち、硝煙の匂いが立ち込まり、静寂が世に響き渡る。
六花「倒した!!」
六花「ゾンビが控えていたの!」
勇太「そうなの!?」
六花「やつはAP弾5発入れないと倒れない強敵の分野“クラス”だった。ふう危ない」
勇太「何でそんな奴がここに……あ!もしやこの公園に誰もいないってそういう…..」
六花「いや、全然違う!ゆうた才能ない!」
勇太「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした!」
六花「でも、協力に感謝する。ありがとう」
なんか褒められたし!うれしいけどなんかうれしくない!
謎の銃弾戦?は無事俺たちの勝利に終わり、俺は事の終止符を打たれたことにほっと一息がつく。そうだ、デートの告白の場所は例のあの場所にしよう。時間的にも門限大丈夫だし六花が喜ぶだろうなぁ。その中で勇太大好きって言ってくれたらもう……。
無言が続き、六花の背中をいいことに俺のカオスワールドが建設されニヤニヤしまくる。
俺が目の前の瞬間を見るや否や、前にあった六花のその拳銃の口を俺の目に向け、現実を突き付けられる。
殺される。え、なんで?六花??俺なにかした……?
何も返事をくれないまま、じっと俺の顔を見ている。恐怖で震え何も言葉ができない。少しの間が無限大に感じる。さっきまであった幸せはいとも簡単に死んでしまった。まっすぐ伸びる腕が彼女の本気度を表している。
六花は殺傷処分を下すような予断を許さない暗黒色の見開いた目つきで口を開く。
六花「犯罪係数10000000。執行モード、リーサルエリミネーター。慎重に照準を定め対象を排除してください」
え?なに?何語?
六花「バンッ」
その強く言い放った言葉が俺の心臓を停止させた。胸の中から熱いものを感じる。
勇太「……」
六花「……」
俺は前の光景が見えなくなった。
拳銃を長かった腕とともに折り畳み、そのピストルを空白の帽子に吊り上げると、その先の火をフッと吹き消し、俺の方を見てドヤっとシニカルに笑ってきた。
俺、騙されてたんだ。
六花はその成功したドヤ顔を見せると、再びドームの前に向き、何事もなかったかのようにゆっくりと暗黒の中に入っていく。
愛が、憎しみが、憎悪に変わるってことはこういうことか。ああ、そうなのか。
序列を成す歩き方の六花が一歩二歩、足跡を構築していく。俺はその序列に逆らい、しかし彼女に存在を気付かれないよう静かにその影の最短まで足をのばす。
彼女は一瞬振り向く、それが殺傷の合図だった。
俺は段々侵食していく影の実在へと猛烈に駆け寄り六花の横腹に触る。彼女の抵抗より早く爪の先を肌色に並べ、憎い脂肪を内臓までえぐり音階をつくる。
六花「きゃあああああああああああ!!!!」
クレーターが出没しては消えそれの繰り返しを、目に見えぬ移動速度で凌駕する。
勇太「こーちょちょこちょこちょ!!」
六花「いやあああっはっはっはっはっはははははははは!」
勇太「こちょちょこちょこちょこちょこちょ!」
六花「はははははははやめてきゃははははははは!!!」
勇太「こちょちょこちょこちょちょちょちょん!!」
六花「やはははははははははは、あーはっ、はっはっやん!!!」
勇太「ツンツンツンツンツン」
六花「いやいやあはははははははは、はははははっもうはははは」
俺は逃がすまいと六花の脇腹の前を4本指でしっかりつかみ、六花のしりに俺の下半身が抱くようにくっついて、親指を六花のふっくら柔らかいお腹の中央まで円周を描いて穴に落とす。六花は理性が飛んだあまり唾を止まらず出して、涙を流して顔が最高潮に赤くなる。
勇太「おへそが弱いのか?おへそが弱いのか?ツン!ツン!ツン!」
六花「きゃははははははははっ!あははははは!あん!あん!あん!」
六花のお尻が自由左右に動くせいで、俺の下半身が擦れるたびに刺激される。そして大きく太くなっていくが俺の理性が制御できない!どさくさだ!
俺の親指が深く沈むたびに、六花は「あんっ!」と天井を向いて体が跳ぶ。
勇太「こちょこちょこちょこちょこちょ!!」
六花「おねもうやめはっはっはっはっ!!!あん!はっはっはっはっ!!!!あん!」
勇太「こちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!」
六花「あはははははははははは!!!やん!」
勇太「はあ、はあ、はあこちょこちょこちょ!!」
六花「はあ、はああん!はははははっ!はぁ、はぁ、はぁ……」
勇太「はあ、はあ、こちょこちょ」
六花「やはははあああああ…….はははは……」
勇太「はあ、はあ……」
六花「ゆうた!もうや!」
六花が激怒したので、今日はこれにて終了とする。
腕はしおれ地に落ち、俺と六花は生暖かい空気を吐きながら、暗いアスファルトの中で横たわる。
六花がゆうた……。と呼んでくるその普通の顔が、愛らしすぎて愛くるしすぎて、疲れて髪ごと垂れた涙と唾だらけの懸命に呼吸する六花を、ハグしたくなる。そして優しく包み込む。
六花も拒絶せず、俺を優しく迎えてくれる。興奮が冷めた広大な世界なのに俺一人ぼっちでぽつんといるのが寂しい。誰かがほしくてたまらない。六花の温かさを永遠に感じたい。
しばらくお互いの生温かさを抱いた後、六花の静態にひびができたので俺の腕を元に戻す。六花は立ち上がり明るい表情で俺の顔を伺ったため、俺もそろそろ行こうかなって気分になる。
彼女を差し置いて光の出る先を体で掴もうと出口に行くと、何の拍子も感じぬままお腹の中に衝撃が走る。六花の小さい拳が奇麗に軌道を描いたようで腹の中に一発かまされた。もしやと恐怖にかられると六花は歯をうならせこちらを睨みつけていた。ってやばい!
宇宙の星からやってきた大怪獣の声をうぎゃああああ~~~と両手の指を張り上げ威嚇、その平手打ちを俺の全身に八つ当たりしてきた!いたい!いたい!いたい!いたい!
勇太「ごめんごめん!」
と言う割にあまりに痛かったので、六花の背中を丸めて横からテンポよく張り手を振り下ろし大怪獣の撃退に成功する。
六花「なんか違う!ゆうたが怪獣で私がウルトラマン!」
急に変なこと言いだしたので、お、おうと承知し、俺がうぎゃああ~~♡と両手を天高く上げ威嚇のポーズをとると、自称ウルトラマンさんは光速で俺の目の前に詰め寄り内臓に感触のある鈍い音をつくる。言葉が出なかった。みぞおちだろう。俺は声の出ぬまま正義のヒーロー六花さんの横に静かに倒れ生理的な涙をこぼした。呼吸のできない俺を横目にやったぜ!のどや顔をして腰に手をつけ自身を威張る。目の前がボヤっと薄れる。さっきはごめん、お前の価値は認めるぜ。あと数年は生きたかった……。
気が付くと声が出るぐらいには回復しており、またアスファルトの冷たすぎて露路の地獄にいるような寒さが体に滲むのが嫌で、六花と共についに、ついに、ついに!!ベンチという神様仏様に代表された腰と足の激痛を受け止めてくれる憩いの場にやってきた!!やったああああ!!!!HP全回復できる!!!嬉しくて俺は園児のように駆け寄り一番先に座る。悔しがった六花も慌てて二番乗りを名乗り出る。あ~。この痛みの退いて快楽物質の流れ背もたれに効くし重力に引っ張られるこの感触が心地いいなー。
何にも考えられなくなって無為に時間が過ぎ六花の名前すら思い出せなくなるほど頭がはたらかないのがいい。考えないってほんと最高。
六花「ゆうた」
勇太「ん、なに?」
六花「ゆうたに言わなきゃいけないことがあるの」
勇太「ん?」
六花「あの……私……私……」
やけに六花は顔の紅潮した緊迫する表情で俺に言いたいらしい。なんだろう?
ん?公園でいろいろやり尽し話し尽した六花に未だにやっていない隠し事があるとしたら?もしかして?もしや…..!?
こ……こく……告白!?
うわああああああああどうしよう!!!!!急に告白なんて聞いてないよ!!!!俺なんて告白すればいいのか決めてないし!!!決めたのもあるけど長台詞で今思い出すことなんかできないし!!!!今ここでうんっていっても記憶に残らな過ぎて六花が一番いやなことだし!結婚したらどうしよう!何も考えてないよ!焦って変な対応したら「勇太の最初のプロポーズもっとちゃんとしてほしかったな…...」って、幻滅するかもしれない!!!!!!!!!!そうなると婚約破棄、離婚は確定、これまで六花と話し合って笑って泣いて慰めて試練を数々乗り越えたときのあのときの記憶がパァ!!!!!全部パァ!!!!俺は何のために頑張って来たんだ!?!?六花がいなくなったら俺一人になってしまう!!こんな心の分かる気の合う女性他にはいないだろうし!ずっと一人寂しく死ぬうわああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!
頭の中でニワトリ(弱腰チキン味)が主人から脱走し駆け回る図が想像される!
六花「私!」
覚悟!うっ!
六花「火影になりたい!」
勇太「えっ?」
六花「この年で恥ずかしいけど……影分身が使えたらいいなって」
六花「ゆうたあのね!例えば私の目の前に闇の組織が襲い掛かってきたときとか、多重影分身の術を使えば、ピンチの際に色々便利だから」
六花「でも今更こんな低レベルな領域の技を誰もが知っているのに習得したいだなんて言うとゆうたにバカにされそうだって思って」
六花「でも言えてよかった」
へへっと六花は笑う
勇太「あのなあ、あのなあ……」
六花「なあに?」
勇太「心配かけるなああああああああああああああああああああああああああー!!!!」
俺は猛烈のぐりぐり攻撃を、今まで見たことのないぐらいの質量と硬度を回転させ六花のこめかみを変異するまで執拗に浴びせ、その押さえだけで六花の体重を持ち上げるほど復讐心に駆られていた。
六花「ごめんなしゃ~い!!!ごめんなしゃ~い!!!!!!」
ついには涙を大量に流し鼻水が美少女のあらん姿を崩壊し、ガチで泣き出してしまった。
やっと反省したか。
はぁ。はぁ。はぁ。疲れたもういやだー。
六花は、うえ、ぐっす、ぐっすんと嗚咽が止まらぬようだ。ほら拭けよっと、ティッシュを渡すと素直に応じる。
体裁の整った状態になりそうなので。
勇太「それ幼稚園児が将来はウルトラマンやプリキュアになるー!って言ってるようなものだぞ。現実にいやしないってのに。火影になるんてその該当例。ばかばかしいもう好きにしろ」
呆れてそんな言葉しか出ない。でも、言い返せないというのもムカつくので。
勇太「でもさお前、火影はともかく中二病だろ?忍者だろ?やりたい範囲大きすぎて収集つかなくなるんじゃないのか?どうせお前三日坊主で普通に戻るだろ!?」
六花「中二病でも忍者がしたい!」
勇太「あのなぁ…..」
これ以上言っても無駄か。
六花「邪王心眼に不可能はない!最強の忍びとして空白の8代目に君臨する!!もしなったら、クナイをシュシュシュってしたい!」
勇太「そっちが本音かよ!!」
勇太「あ、そうだ。六花、確か伊賀か甲賀の忍者の里で、薄給で人来ないから忍者募集してた、ってニュースを見たぞ。ここ滋賀県だし近いしやってみるか?」
六花「ほっ、ほんとにあるのーーーーーーーーー!!!!!」
バカでかい声で黄色の歓声なのか憧れなのか、子供の純粋なるキラキラな瞳で、薄汚れた俺の大人の視点を痛々しく刺してくる。う、やめてくれ、やめてくれー!
勇太「ご、ごめんうそ!」
六花「えっ……」
マイナスに功を制したというか、やばいぐらいに落ち込んでる。立ったアホ毛が一瞬で死んでしまったぞ。
勇太「うそ!ほんとはあるぞ!!」
六花「あるのーーーー!!!!!」
勇太「忍者の村にさ、当時の忍者の世界を再現したそういう施設があって、その人たちが上演時間毎に舞台ショーに上がって体で表現するから、運動神経いい六花も役に立つんじゃないのか!」
六花「マルチで取っ組むのはちょっと……キモイ。基本ソロ。あ、ナルトは別ね」
勇太「そっちの好みがあったのかよ!」
その後展開はあらず再度無言になった俺たちは、二人で空を見上げ綺麗だね……と言葉を失った後、ふと腹に激痛が走る。胃の中に硬い縄で限界まで引き締められる痛む俺の腹は食物を欲していたのだ。ようやく出番だな。俺はバッグから弁当箱を持ち出した。
勇太「そろそろお昼にしないか」
六花「なにそれなにそれー!」
今日のこの日のために昨日時間を合間縫って作った最高級愛情弁当だ。樟葉の料理の終わりを見かねてキッチンに入り愛と蒸気で汗を流しつつ早急に仕上げたご飯おかずの二段重ねの特製品。なんとタコさんウインナー付きなのだ!金色を反射し持つと震えるいかにも柔らかそうな卵焼きに六花は驚いたようだ。早速六花は俺が弁当を置く前に箸を持つ。
六花と俺の膝の隙に弁当を置くと二人で青い箸とピンクの箸の二種類で持って弁当を食べる。と言いたいところだが俺が肉団子を頬張り感触を味わうと、なんだか六花はそうじゃないようで。地面を見つめ眉を垂らし先ほど弁当を見せた際の腕の高ぶりも静かに落ちていた。なんとか繋ぎ止めたいと六花の横顔を明るく見つめている。
勇太「なんだよ。どうしたんだよ」
六花「んーん。なんでもない」
六花は俯いている。楽しくなさそうに。じっと動かず俺の気遣いの終わるのを待っているように感じる。元気?って聞いたけどうんって、その顔で言われても嬉しくないよ。急に楽しさをなくすなんてよっぽどのことだ。お前本当にどうしたんだ。なにかあったか。俺の発言で傷ついた痕跡として考慮するもタイミングが不一致だ。不可解に訪れたこの現象をうまく解読することができない。でも愛らしい顔と気分の消失から見て今失望の最中に落とされた心理状態だと確信を持って言える。だがなぜ六花が生命の希望を捨てているのか、過去の映像を探っても見当もつかない。ずっと付き合って長年理解したつもりだったのに六花の気持ちが分からない。くやしい。なんだよ。なんだかもどかしさを感じる。六花の全てを理解しているつもりだったのに全然理解できていない。でも何か彼女の横顔を見ていると遠くの方から草花ではない生暖かい不思議な風や匂いを感じる。今の彼女はどっかでまるで俺が経験したことがあるような引っ掛かりのある何かに縛られた。なぜだろう?この世界の正体を俺は知っている。確実に覚えている……!なにもない空虚で覆われた真っ暗の雰囲気だったことはわかる。大切なクマさんだとかに家出されたときのあの雰囲気に近い。何かが俺を闇に誘うあの空間が懐かしくてぼやけてしまって、しかも今回は何か違うような感じがしてうまく思い出せない。誰かがいるようで誰かがいない、それも人間じゃない、虚構の空間の正体。真っ黒な優しくて、でも辛い……何かだった。封印?そうだ、封印したはずなのに……?黙示録を解放する妄想をするとなぜか俺の体は、まるで長い間遠距離の知人と再会し高揚する気持ちになったかのように躍起になる。でもそんな人も知る由もないし、封印も禁断も関連と一切ない。じゃあ、なんで。俺の身の世界に何かが起こっている。心臓のベル塔の警鐘におびえる俺がいる。公園の不動の周囲から何か恐ろしい敵意を感じる。誰かに見られている感じがする。誰かが俺たちを誘引している気がする。優しいなら、ただ見守っているだけなら臆病になる必要性もないのに。止めよう。知るだけ邪道だ時間の無駄潰しを今日に限ってしたくない。思わず俺もそれに引きずり込まれそうになるが今日だけは別なんだ。例の告白が待っている。それに丹生谷も陰で応援しているし俺の今の行動に間違いはないと思いたい。もし本当にクマさんみたいに失くしたんなら、それなら失くした分も新しいもので埋め尽しちゃえばいいんじゃないか?気軽にハイテンションで行こうよハイテンションで。
命の沈んだ彼女に、慰めにもならないけど大丈夫かって慰める。うん。と答えた彼女は虚ろげな瞳をゆっくりと俺の目に合わす。見上げた顔に太陽の光が差し、髪が風になびいて奇麗なお凸の形を見せる。そして彼女の眼帯と俺の目がぴったりと一致した。
勇太「瞳と瞳があった。これで契約完了だな」
そういうと六花は少し口を緩めて元気になる。
せっかく俺は恋人になったんだから。その意思が俺の腕を動かして、俺の青い箸を卵焼きに挟み六花の口元に優しく持っていく。
その真剣な俺の姿に驚いたのか六花は急に顔が赤くなって、周りの景色を首で確認したあと少しうずくまり、その麗しく柔らかい、卵焼きにも匹敵する唇へと連れて行く。
普遍で不変の悠長な顔で味わう予定が、口元と目元の上がりで台無しになったようだ。
勇太「おいしいか?」
六花「うん」
六花のちょっぴり薄い笑顔を見て嬉しくなったよかったと安堵する。やっぱり体力の尽きたせいだ気のせいだな。人間空腹だとおかしな未来を考えがちだ。六花もこの宇宙で最強の邪王心眼と称しながら本当は人間だった。弱い人間だった。
顔の紅潮を膨らます六花は今度は卵を持ち上げて俺の口に「あ~んして」と指示し、俺の口に大胆にも歯の中まで持っていく。やっぱこれ赤ちゃん扱いされているみたいでかっこ悪い。高校生なのにこんな幼稚なことをしてもらってと思うと胸に針が刺ささっているようでムズムズかゆい。その卵からなぜか口につけてない箸から六花の味がして喜びが止まらない。そして六花は俺の口に入れた箸を自分の口に含みペロッとひとなめする。六花の口に俺の温かい唾液が二色混じっているのを想像する。
勇太「恥ずかしいだろやめろよ!!!」
六花「いいじゃん別に」
と、目を反らしイヤミにニヤっとした表情で彼女は答える。なんか夜のことを想像するからやめろ!!!恥ずかしい!!!!!!
俺は六花に食べ物を持っていき、六花は俺に食べ物を持っていき「あ~ん」と首を伸ばす姿をお互いに愛らしく感じる。トマトを見ると「魔獣の卵みたい」と言われた。お前まだ好き嫌いあるのかよ!と、そう言おうと口を開くとあ~んされた。ふふんっドヤ顔される。策士め!食べ物をあげていく。その六花に持っていくのがあまりにもかわいくてハムスターが懸命にご飯を食べて少しずつ成長しているみたいに思えて「りっかたんご飯でちゅよ~」と言うと、ムッとした表情で口を堅くされた。それはいやなんだな。わるいと言い無言でご飯をあげる。
六花「タコさんウインナー。罪状、ウインナーなのにタコの形に擬態していたため。死刑」
六花「ウサギさんりんご。罪状、プリーステスの弁当を思い出せた。あとかわいすぎて食べるのが憎い。よって死刑」
勇太「ただでさえ食べられるのに罪着せるのひどくない!!?」
六花「ゆうた。死刑」
勇太「うわあ、巻き込まれた!!!」
六花「プ!クスクス」
なんだよそのあざ笑う嘲笑!そんなに俺が憎かったのかよ!おまえほんとおかしいわ!!
それで俺が笑うと六花も笑う。俺がツッコミで肩をポンと叩くと六花も俺の肌に触れる。
二人の気持ちが呼応する。楽しいな、ずっと楽しいな。時間が止まればいいのに。
不安な気持ちも芽生えたけど、最終的には触らずゴールすればいいだけの話さ。
俺は最後のミカンを六花にあげる瞬間、いつまでもこれが続けばいいのにって嫌な気分を感じる。それを笑顔を見せて封じ込めた。
ベンチの座りがそろそろ苦痛に変わって弁当を片付けるとふと六花の横顔が気になる。高校のランクが1つ上がるたびに顔つきが大人の顔に見えてくる。初めの頃より女の顔になったよなと不思議に憧れる。それでも中身は愛おしいのは変わらない。上品さは変わらないけどな。六花の顔が好きだ。中身も好きだけど。六花のとがった鼻を手でツンってしたい。怒られるからやらないけど。それでも知りたい触れたい衝動が抑えきれないほど溢れてくる。
勇太「りっか♡」
六花は、ん?とこちらを振り向くがその姿が愛らしい。俺が何も言わないのを確信すると再び前を向いた。
勇太「りっかー!!」
六花は、少し俺の大きい声に「なーに?」って問うけれどその真面目な顔が可愛い!!!!
勇太「りっかーー♡♡♡!!!」
六花は、何でもないのに呼んでくる大きい声に迷惑し、小さく眉をひそめて「だからなーに!」と強く言って怒っている顔がハムスターみたいでハグしたくなるほどかわいい!!!!!!!!!
勇太「りっかーーー♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡!!!!!!!」
六花「」チッ
怖い……。
舌打ちされた。出会って初めて、こんな恐ろしいオーラ見たことがない。
携帯で時間を確認する。そろそろ3時か。今日のデート日和な快晴の青空は、あと2時間も過ぎればオレンジ色に染まる。冬になるにつれて11月になるにつれて遊ぶ時間がなくなっていく。俺たちの寿命は一定に過ぎていくのになんて残酷な季節なんだ。
そろそろ公園出ようかと提案すると、ちょっと待って!と六花は慌て「ゆうたがいないとどうしてもできないの!」って困った表情になる。じゃあそれと引き換えにラストなっと言うと強気で頷かれた。それほど重要なことなのか!?
六花「あのね、宇宙のTV見てたら、すっごいんだよ!!!」
六花「なんとね!えーと、人が~光の速さで~行くと~過去に行けるんだって!すごくない!?」
勇太「ああ、アインシュタインの奴?相対性理論。一般相対性理論と特殊相対性理論に分類され、特殊相対性理論によれば、もし人間が光速で走ると重力が無限大になって過去に行けるかもしれないってやつ?」
六花「知ってた!ゆうた!ゆうた!」
勇太「高速で移動すると周りの景色が止まったかのように見えて景色が1点に見えるとかなんとか」
六花「時間停止の魔術!」
勇太「魔法なのか?高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない……のか?」
勇太「で、光速でも四次元空間には入れないけど別の空間にワープするらしいぞ。時間と空間は本来一定じゃなくて重力で捻じ曲げられてるって」
六花「んなもんどうでもいい」
勇太「これはアイムソーリー」
六花「いらない奴なんて重力を使用しなくても、不可視境界線の因果にいる同胞の力でなかったこと扱いにしてるから。今の日本の大企業に不祥事が生じているのも全て私の力が作用したもの」
勇太「こわっ!怖すぎてもやもやする。憎まれないように気を付けるわ」
六花「もし速く走るたびにその現象が少しでも観測されるなら光速移動の最中にいることが証明できるはず!ということは私の行きたかった異次元の彼方に行ける!すべての願望も因果の収束で叶う!異次元の世界で凸守とカレーを食べたい!」
勇太「んなもん行けなくてもできるだろ!」
六花「いやいや違うよゆうた。自分で買ったり作るんじゃなくて、異世界で歓迎されてちょっぴり味の変わったカレーを出されたのが食べたいの!邪王心眼の思惑が読み取れないなんてバカじゃない?」
勇太「じゃあ一生バカでいいわ!」
六花「それに…..」
勇太「ん?」
六花「んーん」
お前にも欲深さはあるんだなと胸をなで下ろすと、とにかくと言われ公園の砂場の中央まで来た。
はぁなんで俺がいないとできないのか、つまり二人で周りをグールグル走れってことだろ。俺は加速要員ってことで。じゃあいっそのこと手を繋いで走った方が早いんじゃね?重力を負荷したいんだろ?でも、何度もデート中手を繋いだことのある俺でも、やっぱり最初は勇気のないシャイボーイだ。さっき繋ぎ損ねたしなかなか言い出すにも臆病である。それに人の手を触るだなんてエロスケベ変態の烙印を押されるなんてごめんだ!学校で復讐に愚痴を吐かれかねない。でも、六花なら、ひょっとしたら俺のことを受け入れてくれるはず。手の先を六花まで伸ばして、そして柔らかく小さな手にぷるんっと当たった。六花が目を丸くし急に俺に目線を送るので、慌てて戻ろうと思った。矢先その手は優しく俺を包んでくれた。俗にいう、恋人つなぎってやつ?はぁ。なんだ結局杞憂じゃないか。六花は顔の火照った表情になり俺もつられて笑顔になった。恥ずかしいのか顔を反らされた。
六花「……エッチ!」
顔はわからないがぶん殴りたくなった!こらー!!!人の気になることを!!!
俺は潔白の男の子だし!お前変な顔になってたら絶対に許さないからな!
六花「いこう!手を繋いだら速度は2倍ってパーマンが!できたら恐竜に会いたい!」
ツッコむこと暇なく腕を引っ張られスタートした。砂の広場の中で一緒に回転し初めてでどうすればいいか分からず手がふらついて体ごと引っ張り引っ張られたが、2週目になると二人の距離が分かって同じ速度で走り同じタイミングで旋回し、それはタカを超え疾風の颯と化した。走った広場の足元の砂が空に舞いこんで小さく竜巻ができている。二人の熱い絆は風の厚い障害を容赦なく斬り裂き、重力の中心でもあるため徐々に重くなっているのが一目散に感じられた。
六花「大二宇宙速度展開!たああああ!」
見えるぞ見えるぞ……!歩行者の速度もまるで動いていないように感じ、重力で体ごと手の中に引っ張られる、光速限定の状態が!これ本当に四次元にいけるんじゃないのか!?
そんな、うそだろ!!!
回れ!回れ!回れ!何度も!何度も!何度も!
旋回の飛行機のごとく!光に!いける過去の世界へ!
おええ……。
タンマ!と精を込めて地面に指標を放ち、地面に映像が流動しているように今度は目が旋回している。
六花「おええ……」
お前もじゃねえか…..。なんで止めなかった。進むんじゃねえぞこれ……!?三半規管の器官の弱点の一致に同胞感を感じるがそんなの嬉しくない。
他人に見られたら即通報されるだろう。広場で二人の死体が静かに遺っている。俺の体が限界を超えて砂地に大の字でうつ伏せになっているが、六花も声がしないので無事に死んだらしい。
しばらくっていつを意味しているのか分からない。イエスキリストもびっくりの再生劇を起こし奇跡的に体調を取り戻した。俺は六花のゴス衣装の服についた砂をパンパンと取り払い六花の身長がシャキーンと伸びたのを見て、凝りて早くこの公園から出ようと決心する。
誰にも遊ばれず孤独にあるただ静かに目の前にいるすべり台やお砂場が無性に気になる。公園か……。無人の遊具を見ると懐かしいな。幼稚園児のとき園児服を着てよくすべり台や砂場でお山を掘ってトンネルを開発したっけ。あの時は良かったな。幸せな記憶がするんだから幸せだったんだろう。皆とよく遊んだなあ。それがいつもいつも楽しかった。でも小学生一年生になったとき皆でまたやろうかと思ったらドッジボールで遊ぶ人が大半で、砂場はいつも空気だった。皆いつも遊んでいたはずなのに、気づけば俺一人だけスコップで掘って。あまりに静かに1つ1つ掘って公園に響き渡る音が虚しくて自分も離れてしまった。それ以来もうやっていない。でも好きだと言える趣味もなかった。
それが小学4年生に響いた。俺はクラスメイトに話しかけられ、TVで見ていると言えばなに聞かれた。初めてだった。友達は一応いたが本音を言う仲ではなかったので普段一人で何かしていた。そんな俺にとってこの質問は天の輝きに見えた。俺はアンパンマンやドラえもんを見てるよと単純な発想で、もしやこの話を契機に友達が手に入るんだと心の底では期待したかもしれない。あの人たちの訪ねた真意のその期待と真逆の透かした答えだったのは今の俺からならわかる。いい返事はなかった。次にモンハンとかFFやってない?って言われるのに首を横に振ると、ああそうなんだと軽く微笑を出された後その人たちは友達のところに行ってしまった。正直、ショックだった。俺はまた一人になったことを再認識しさせられた。俺の見るものってそこで感じたもの含めて全部、実は間違いじゃないかって一人白い閉鎖空間に閉ざされた。自分が自分に対する罰。俺の知っていることは皆にとっての役立たずの前提知識。幼稚園児の見るアニメ系ばっかりの低次元のギャグで笑う自分が嫌になった。なんで俺は皆より価値観低いんだ。俺ってそんなにバカなのかよ。俺お前たちになんの悪いことしてないのに、なんで遠くに行っちゃうんだよ。少しは他のことにわいわい楽しんで気にかけてくれてもいいじゃないか。卒業ってなんだよそんなものあるわけがない。なんで幼稚園児が見てて良いのに俺が見ると悪いんだ?高年生対象に難病にでも降りかかるものなのか?あの人達が悪意なくて話しかけてくれたのは知っててうれしいと思った。でもなんか違うんだ。それだけで離れるなんて聞いてないよ。俺の知っている友達の定義と違う。俺は流行遅れの異端派の烙印を押され、趣味界の除け者にされた。流行に乗ればクラスの人気者になり賞賛され、流行に乗らなければ友達になる昇格すらない。無知なる人に自己責任と称し、愛の知を共有しない。おおらかな心を持つ人間は死んでしまった。いやもしくはそれは言語界の生み出した宇宙最初期から存在しない幻だったのかもしれない。最果ての結末、孤高の静寂の檻。その檻の製造主は彼ら。大人になったらゴルフだとかパチンコや芸能に趣味が走る大人って変だけど、どうしてそうなるのか分かってしまった。このときだ、この人たち普通人が狂ってるって思ったときは。でも別にモンハンもFFもやってみたら楽しかったよ。ずっとシリーズ買ってるし買う契機にはなったよ。
でもな、でもな、
どうして人は年を取るたびに狂っていくんだろうって思うんだ。
ずっと一人で遊んでいた。誰かが好きを分かってくれるって甘えた頃もあった。
もうあの楽しみをわかってはくれない。
わかる方が異端なんだ。
スコップも思い出も、全ておもちゃの中の宝箱にしまって。
そんな思い出封印してしまえ。
「ゆうた?ゆうた!」の遠くから強くなる掛け声でここに戻される。心配そうに眉をひそめて大丈夫?って声のトーンを落とされ、どうやら偽りの仮面を見破られ本気で心配しているその顔に気付いた。驚いた俺は何とか楽しいデートを繋ごうと声を高く大丈夫だよっ!と六花に明るくつき返す。さて行こうかとこの顔を反らし二人で手を繋いで公園から出ると、次何しようかと思い次の目的地を歩いて探求する。本屋行こうかな、それとも河原か?
あれこれ場所が浮かんでくる。ん?手を繋ぐ感触がない、あれ?六花がいない。気が付いたら公園の出口のところに座っていた。
勇太「おい何やってんだ!車に轢かれるぞ!」
六花「疲れたー!」
勇太「俺だって疲れたよ!」
六花「疲れたー!やー!」
勇太「帰るぞーバイバイ」
少し振り返る。俺がバイバイと言うたびに振り返るが、六花は一向に動く気配はない。
勇太「帰るからなー!」
はぁ。せっかく歩いたのにもう。たくっしょうがないな。ここ人気なくて良かったな。ここで許すから六花が調子に乗って暴れ「孫とおじいさんみたい」って丹生谷にからかわれるんじゃないかな。でもそんな葛藤どうでもいい。公園の近くの河原で横になろう。新緑の魔力を補給(六花曰く)
無言で背中を貸す俺に、無言で背中に登る六花。
持ち上げるには難ありだったが目的地を目指そうと膝を壊して頑張る。
ゆっくりと背中が上がり、重い足で一歩一歩歩けたことに感動していく。
すると、それに呼応したのか六花から言葉が飛んだ。
六花「あいしてるっ」
…..。
初めて背中に乗る六花を放り投げようと思った。
背中に無賃乗車する河原に突き落としたら面白い声を出しそうな生きていても大して恩恵を感じないお前の眼帯落としたいランキング第一位に輝くキングオブクソカスゴミリッカスゥゥゥゥゥ!は、カスとして輝くために、こうやって必死に精神をすり減らす善良な市民である俺の妨害をすることばかり図っている。
六花「ふー」
勇太「うぅうう!!耳をフーってしてはいけません!」
六花「私ね、小説家になろうと思う。ネットのやつで無料のいいしもべを見つけた!うへへ、ここに来てくれた読者をあんなことやこんなことで痛みつけて、一生社会に出れないようする!」
勇太「その前にメンタルがやられるぞ。十花さんに絞られて終わる」
六花「勿論ゆうたの名前入り!私とダブル主人公だもん!タイトルは『六花は勇者』!」
勇太「お前が救ったら世界が終わる!それって他の意味でアウトだから!それにまずお前がトラックに撥ねられろ!」
六花「行けー!ダークフレイムロボッターZ!!がしーんがしーん!」
六花は俺の唯一立っている健気な毛を(アホ毛ではない)、炎症も考えず強く引っ張って左右に動かしている。
勇太「それ以上やったらあとでお前のアホ毛引っ張って引っこ抜くからな」
顔の青くなったらしい六花は出っ張った俺の毛を元の地毛に戻すように優しく撫でてポンポンと埋める。
勇太「もう遅い!」
六花「私ね、運転できるようになったの!車の!」
え!
えっ!??二重の意味で驚きである!!
六花「カーブとかドリフトとかウインカー付け方とか知ってる!」
勇太「ああ、ゲームの話?DSとかPCゲーム系だったりの運転操作系のゲーム?」
六花「そうだよ。それがねーすごく面白くて。リアルなんだよ私が右に運転すると左によけたりとか。でも特にすごく面白かったのがね、赤信号で待っている人に車で突っ込んで隣の横断歩道までボーリングのストライクみたいに弾け飛んで最高だった!!」
口を開いて言葉を失った。かわいげのある六花ってこんなやつだっけ……。
六花「ねえゆうた同情してよ。宇宙人極秘マニュアルがとうとう休刊になっちゃった」
勇太「ええ!お前全巻持ってるだろ。前にマンネリ化したって聞いたけどとうとう」
六花「うんそうなの……。好きだったよ……。後で火葬しないと」
勇太「なんでそうなるんだよ!マニアならさ観賞用保管用布教用に取っておくべきだろう!こういうのは俺うるさいんだぜ!」
六花「ゆうた総理大臣。本の定価1本につき600並びに50円に対し、我が国家の歳入は100円しかなくこの国は貧乏です。是非DFMさんからの融資を申し出たいのですが」
勇太「俺は銀行じゃねーよ!暴落しろATM!」
そして河原の草原中央までついた俺は、ほら降りろと促してもカメムシのマネって言ってくるリッカスを下敷きに俺の両手両足を草地に伸ばして大の字になり「い、いたい、痛い!」の楽しい声を鑑賞した。俺の背中を殴るように動き出た六花は、目の前の河原の草原に走って満足している。安らかな青空、ああ背中が癒される。時計を見ると時刻は4時30分のそろそろ夕刻を指している。小学生らしき身長の子供が遠くの方で遊んでいるのを音で聞く。そよ風が気持ちいい、とくに背中に六花を乗せたので汗びっしょりだ。何もなく静かで何にも感じない世界。そのとき弁当の時の静かすぎる暗闇を思い出す。あれはなんだったんだろう?なぜ六花はあんなことに?普通じゃないのに普通だと思う謎の理由は?まあそのうち忘れるだろう。でも、ほんとにそれでいいのか……?
ん?そういえば六花は今どこにいるんだ?と、振り向くと車道の近くの草原に触って何かやっているらしい。
勇太「おーーーい!危ないぞ!!」
俺が手を振ると六花は手を振り返してくる。そういう意味じゃないっての!すぐに戻ってきた。六花は、横たわっている俺の腹を片手で上からかざすように回している。
勇太「なにやってんだ?」
六花「治癒魔法」
うい~ういうい~。
皮肉か!皮肉か!やるか!おっ!?
お前のせいで疲れたのに……。
六花のもう片手の方をなぜか背に隠しているので見ると、急に手を後ろに回して何やらして、俺の方に変なものを見せてきた。
六花「みてみてー!花輪できた!ウロボロス状!」
勇太「すげーな!ちゃんと8の字だ!」
ウロボロスといえば∞のマークに同じと覚えている。さすが六花だ、国語と社会と裁縫と運動神経に関しては世界一をとってもおかしくない!
六花はこれと言って、表彰する。平成29年11月うんにち、おめでとう!と俺何にもしてないのに敬具をもらった。俺は頭を下げ∞の冠をかぶりどこかの国の人になった。嬉しいけど嬉しいのかよく分からない。
六花「似合う」
俺の姿を誇るようなその嬉しそうな顔がたまらなく好きで、疲れが一気にちゃらになり、忘れられない一日となった。六花からの愛情プレゼンツはこれでおしまいだと思う。今日は遊びすぎたかな。色々あったよな。一週間待ってもらったお礼にお釣りが出ると思う。また今度草原や公園に来て一緒に遊ぼうよ。進化に向かって一歩一歩だけど。時々方角も間違えるけどでもなんとかなるさ。今も昔も未来もちょっとずつでも六花の進歩をまだ見てみたいと思った。
続き
六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」【後編】


セリフだけのイチャイチャするSSを読んだ方がまし