「どう、さっそくきてみたのだけど、にあうかしら?」
そういって、おひめさまは、だいじんに"じまんのすがた"をみせつけました
「ひ、ひめさま、いったい!?」
だいじんは、かおをまっかにして、したをむいてしまいました
「あら、どうかしたのかしら?」
おひめさまは、そんなだいじんをふしぎそうなかおでみつめました
「ひ、ひめさま、そんなにちかづかないでください」
だいじんは、まっすぐじぶんをみてくる、そんなおひめさまのかおが
"ちょくし"できませんでした
元スレ
姫「"ばかにはみえないふく"を、つくってもらったの」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1511677241/
「あら、せっかく"とくしゅなきじ"でつくったふくで、"ぜんしん"をそろえてみたのよ」
おひめさまは、"むねをはり"、さいど
じぶんのすがたを、だいじんにみせつけました
「なにか、かんそうとかないのかしら」
だいじんはうつむきながら、かんがえました
ばかにはみえないふく?なにそれ?
それが、だいじんのわたしに、みえない?
いや、そんなはなし、でたらめにきまっている
いや、しかし……
「ねえ、まさかだいじんのくせに、わたしのふくがみえないんじゃないでしょうね」
こんらんするだいじんに、おひめさまは、
まるでねらっているかのような、
"おとこのぷらいど"をしげきするひとことをいいはなちました
「そ、そんなこと、あるわけないじゃないですか」
「そうよね、あたりまえよね、だいじんなのだから」
だいじんはおもいきって、おひめさまをちょくししました
「っ!!」
だいじんはますますかおをあかくし、またすぐにうつむいてしまいました
だめだ、まともにみれない
「ねえ、ここにつけてもらった"ぽけっと"がおしゃれだとおもうの」
おひめさまはそういうと、じぶんのむねのあたりをゆびさし、
だいじんにちかづきました
「ねえ、ちゃんとみてくれてる?」
「っ!!」
"ひ、ひめさま、かおがちかいです"
それと、むねも……
だいじんは、はずかしさのあまり、なにもいえなくなってしまいました
「もう、なによ、ぶすいなおとこね、ふくのかんそうひとつ、いえないのかしら」
おひめさまはそういうと、だいじんにせなかをむけ、どこかへあるきはじめました
「も、もうしわけありません」
だいじんはこごえで、つぶやきながら、おひめさまにめをむけました
うしろすがたなら、なんとかちょくしすることができました
まさか、うつくしいおひめさまの、"こんなすがた"をみることがあろうとは
だいじんは、ひっそりとそのうしろすがたをめにやきつけました
「しかたない、ほかのひとにみせてくるわ」
おひめさまはざんねんそうなこえで、そういうと、
だいじんのいたへやをあとにしました
――
「……ふう、やれやれ」
ようやくだいじんがおちつきをとりもどすと、
おひめさまがむかっていった
ほうこうのことをおもいだしました
そちらには、へいしたちのいるへやがあったのです
まさか……
だいじんのあたまに、これいじょうないふあんがおそいました
「ちょ、ちょっとおまちください、ひめさま」
だいじんはいそいで、おひめさまをおいかけていきました
だいじんが、せいいっぱいいそいで
へいしたちのへやへむかいましたが、
だいじんがついたころには
おひめさまは、すでにたくさんのへいしのまえで、
"じまんのすがた"をひろうしていました
へいしたちも、だいじんどうよう、
"ぱにっく"をおこしているさいちゅうでした
「ひ、ひめさま、いったいなにをしてらっしゃるのですか?」
「あら、なにかしら?」
だいじんがこえをかけると、おひめさまは、
なんのちゅうちょもなく、だいじんのこえのするほうへ
ふりむきました
「っ!!」
だいじんは、ふたたびかおをあかくしましたが、
こんどはひめさまから、めせんをはずしませんでした
「ひめさま、おたわむれはよしてください!」
「あら、わたしは"じまんのふく"をひろうしているだけよ、なにがだめなのかしら」
おひめさまは、かれいに"いっかいてん"し
じぶんのすがたをまわりにみせつけました
そのすがたの"うつくしさ""かわいらしさ"に
だいじんや、まわりにいたへいしたちのだいぶぶんは、
おもわずみとれてしまいました
「ひ、ひめさま、それは、"ばかにはみえないふく"なのです
だれかにみせるときには、じゅうぶんちゅういされてください」
だいじんは、ひめさまにおもいきってちゅうこくをしました
「ここにいるへいしたちは、ほとんどが"がくのない"ものたちです
ひめさまのふくがみえないものには、ひめさまの、
だ、"だいじなすがた"がみえてしまいます」
だいじんはかおをまっかにしたまま、いいました
しかし、それをきいたおひめさまのかおは、
もっとまっかになっていました
「ちょっとだいじん、なにをいっているの!」
ひめさまは、へやじゅうのへいしたちにきこえる
おおきなこえで、いいました
「ここにいるひとたちは、たしかに"べんきょう"はあまりしてこなかったかもしれない」
でも、だからといって"ばか"だなんて、わたしはおもわないわ」
そう、おひめさまはおこっていたのです
「へいしさんたちは、ひごろ"いのちをかけて"くにをまもってくれているのよ
そんなひとたちに、なんてことをいうのよ」
おひめさまのねつべんがとまりません
「すくなくとも、わたしにとっては、とってもだいじなひとたちだわ
だから、だいじなおようふくを、みてもらいたかったの
へいしさんたちのおしごとのじゃまをしたなら、あやまるわ
だけど、へいしさんたちのわるくちをいうのは、やめてくれるかしら」
まわりにいたへいしたちは、おもわずききいってしまっていました
「もし、あたまをつかうことがにがてだったとしても、
それは"ばか"とはちがうわ
こんなすてきなひとたちのなかに、"ばか"なひとなんてきっといない
そうしんじているから、わたしは、はずかしさなんてかんじることはないわ」
おひめさまは、まだまだつづけます
「ううん、へいしさんたちだけじゃなく、このくにではたらくひと、
みんながそうだと、わたしはおもっているわ」
「だいじんだって、いつもこのくにのために、がんばってくれているでしょう
だからわたしは、あんしんしてこのふくをみせることができるのよ」
きがつくと、だいじんはうっすら"め"に
"なみだ"をためていました
「ひめさま……そこまでこのくにのことをおもっていたなんて……」
まわりにいたへいしたちも、ひめさまのことばに
かんげきしてしまっていました
「ふんっ」
おひめさまは、おこったまま、そのばをあとにし、
じぶんのへやへむかっていきました
「ひめさまのふく、きれいだったよな」
「ああ、まったくだ」
「センスがよかったよな」
おひめさまがさったあと、へいしたちはくちぐちに
こういいました
「たしかに、あの"ぽけっと"かわいらしいかったですな」
だいじんまで、こういいだしました
おひめさまのねつえんに、かんげきしたへいしたちは、
そのうわさをまわりにつたえはじめました
そんなにひろくないおしろでしたので、
じょうないではたらくひとたちへは、あっというまにひろまっていきました
くにをおもうきもちに、おうさままでかんげきし、
おひめさまをげきれいしました
おうさまは、おひめさまが、その"とくじゅなふく"を
なんぱたーんもつくってもらったとはなしていたこともきき、
"まいにち"きるように、おねがいをしました
こくみんをおもうきもちを、"そんなかたち"であらわすなんて、
すばらしいことだとかんげきしていました
すうじつごには、おひめさまが"そのすがた"で
せいかつすることがあたりまえになっていました
はたらくひとたちへの"しんらい"というかたちで、
"ばか"にはみえないふくを、なんのはじらいもなくみせている
それがみんなにもつたわっていましたので、
"おひめさまのふく"がみえなかったひとは、
そのことをいいだすことは、できませんでした
おひめさまがこんなにじぶんたちをしんらいしてくれているのに、
なんでじぶんにはみえないんだ
"みえなかったひと"はそうじぶんをせめて、
みえるふりをしていました
「ちょうしにのりすぎた」
あるひ、おひめさまは、ひっそりとつぶやきました
ばかにはみえないふく?
そんなのあるわけないじゃない
「はぁ……」
おひめさまは、きょう"なんどめ"かのためいきをつきました
なんでこんなに、すんなりとみんながしんじてくれたのか、ふしぎでした
ほんとうは、みんなきがついていて、
わたしをばかにしてたらどうしよう
さいきんは、そんなことが、ずっとあたまのなかをめぐります
ごめんなさい、ちょっと"すりる"をあじわってみたかっただけなの
ほんの、できごころだったの
おひめさまは、いまさらあとにはひけなくなってしまっていました
なんで、こんなことしてしまったのか
そのきっかけをふりかえってみることにしました
――
すこしまえ、おひめさまがじぶんのへやで
"きがえ"をしていたときのことでした
「しつれいします」
"のっく"とともに、だんせいのこえがしました
「どうぞー」
"おつきのじょうせい"がついうっかり、はんしゃてきにへんじをしてしまいました
きがえていたさいちゅうのおひめさまは、
はいってきた、だんせいと"め"があいました
おひめさまに、しょうげきがはしります
「っ!!しつれいしました」
だんせいは、かおをまっかにしながらとりみだし、
いそいでとびらをしめました
おひめさまは、おとこのひとに、そんなすがたを
みられたことははじめてでした
「も、もうしわけありません、おひめさま、もうしわけありません」
おつきのじょせいのあやまるこえなど、みみにはいらず
おひめさまは、じぶんのむねのたかなりをきいていました
つぎのひは、とってもかぜがつよいひでしたが、
おひめさまは、あえて"すかーと"でがいしゅつをしました
「きゃっ」
かぜで"すかーと"がめくれたとき、
おひめさまは、てで"すかーと"をおさえることはせず
ちかくにいただんせいが、はずかしそうにめをそらす
ようすを、どきどきしながらながめていました
そして、つぎのひは、
わざとそとでころび、ようふくのおしりのぶぶんをやぶいてしまいました
おひめさまは、やぶれたぶぶんをかくすようなことはせず、
しばらくそのまますごしていました
わざとふくがやぶれていることには、"きがつかないふり"をして
まわりのはんのうを、どきどきしながら、よこめでみていました
そしてつぎのひも、にたようなことをし、
だんだんと"えすかれーと"していきました
おひめさまはかんじていました
みんながじぶんとはなしをするとは、
みんな"かしこまって"はなしをします
おひめさまは、みためがうつくしく、ふだんはまわりから
"ひんこうほうせい"にみられていたため、"おかたい"こえの
かけかたしか、されませんでした
じぶんのまえで、だれかが
あんなにとりみだし、かおをあかくするすがたなど
ひさしくみていませんでした
その"こうい"がだんだんと、"くせ"になって、やめられなくなっていました
そして、ふとおもいついたのです
"ばかにはみえないふく"の"あいであ"を
おひめさまは、われながら"てんさいてき"な"あいであ"だと
おもいながら、ねりにねった、そのさくを、じっこうしました
ほんとうは、どこかでだれかにたしなめられ、
おこられて、すぐにおわるだけのよていでした
"だれかにおこられる"ことも、
おひめさまはあまりなかったのです
へいしたちのへやでの"ねつべん"は、
つい、うっかりというか、
つい、はなしだしてしまったら、とまらなくなってしまったというか
つい、ちょうしにのってしまったというか
――
「おひめさま、おはようございます」
"とくしゅなふく"をきたおひめさまに、だいじんがこえをかけました
「お、おはよう」
おひめさまは、えがおでへんじをしました
へいせいをよそおっていますが、
ほんとうははずかしくてしかたがありません
だいじんの"め"が、すごく"きをつかっため"に
なっています
みんな、"ふくがみえない"とおもわれたくないようです
まさか、おうさままで、"ふくがみえる"ふりをするなんて
おひめさまは、みんなへのもうしわけなさで、いっぱいになりました
だってだって
みんな、きょりがとおいんですもの
えんりょして、だれもちかずいてくてなかったんですもの
だれも、きさくにはなしかけてくれなかったんですもの
そんなきもちとはうらはらに、おひめさまのなかに、
あるかんじょうが、めばえはじめていました
「おひめさま、きょうも"すてきなふく"ですね」
「そう、いいでしょ、きょうはこんなふくもいいとおもって」
きゃー、なにをいっているのかしら、わたし
ほんとうはきがついていたら、どうしようかしら
おひめさまは、むかしから、"すたいる"のよさを
ひとしれずがんばって、いじしていました
"ごめんなさい、みんな"
そうおもいながら、
"もっとみて"というきもちがおさえられませんでした
むねのどきどきが、とまりませんでした
おひめさまは、めばえている、かんじょうの
しょうたいが、"はいとくかん"だということに
きがつくまで、しばらくじかんがかかりました
おしろをあるいていると、おひめさまは、
じぶんのことを"ぎょうし"しているへいしに、きがつきました
「へいしさん、いつもおつかれさまです」
おひめさまは、"えがお"でそういいながら、
そのへいしへ、ちかづいていきました
「あ、いや、ど、どうも」
そのへいしは、すこしあわてながらも、つい
おひめさまの"むね"から、しせんがはずせませんでした
「あら、わたしのふくに、なにかついているかしら」
そのしせんにきがついたおひめさまは、あえてこんなことをいってみました
「このあたりについているの?どこかしら?」
そういいながら、じぶんのむねをゆびさしながら、
つきだし、へいしにみせつけました
「い、いえ、おひめさまの"すてきなふく"に、ついみとれてしまいまして」
へいしは、あわてながら、こんないいわけをしました
そのひっしなすがたをみると、
おひめさまは、こうふんがおさまりません
「そうそう、"このふく"おきにいりなのよ」
とういいながら、おひめさまは、いぜんのように
かわいらしく"いっかいてん"しました
へいしは、そのかわいらしさに、みいってしまいました
「この"ふりる"が、いいとおもわない?」
そういって、おひめさまは、こしのあたりで
てをひらひらとして、へいしに、かはんしんをみせつけました
「は、はい」
へいしは、きょどうふしんになりながらも、
こんどはおひめさまの、かはんしんをぎょうししました
「そうそう、この"ふりる"、うしろに、ぼたんがついているのも
かわっているでしょう?」
そういいながら、こんどはへいしにせなかをむけ、
おしりをつきだしてみせつけました
へいしは、それをまたぎょうししながら、
こころの"おくそこ"で、ひっそりとおもいました
"おれ、ばかでよかった"
"ばかでよかったよ"
「いつまでやっているんだ、あの"ばかむすめ"は」
そういいながら、おうさまは
そんなおひめさまのようすを、ひややかにみつめていました
じつは、おうさまは、とちゅうからきがついていました
おうさまは"せんじつ"、
おひめさまにこえをかけたとき、おひめさまのかたに
てをおきました
そのとき、たしかにかんじたのです、おひめさまのかたのぬくもりを
"みえない"だけなら、かたのかんしょくが
つたわるはずがないのです
おそれおおくて、じっさいにおひめさまに"ふれる"ことは
ほかにだれもしていないようすでした
そこでおうさまはれいせいになり、かんさつしてみると、
まわりのしせんに、おひめさまが、あきらかに"はんのう"
していると"かくしん"したのです
おうさまは、あきれかえっていました
みえをはって、いつまでもきがつかない、しろのにんげんに
あんなうそに、いっときでもだまされてしまったじぶんじしんに
そして、おひめさまの"ばか"さに
なにもいわず、しばらくようすをみることにしていたのです
――
「おひめさま、こんにちは」
「おひめさま、きょうも、すてきなふくですね」
「おひめさまのふくは、"せんす"がいいわ」
さいきん、おひめさまにはなしかけてくるひとが、
かくだんにおおくなりました
いぜんのおひめさまは、"おじょうひん"で"あたまがよく"
そのかわりに、"とっつきにくい"ぶぶんがありましたので、
おひめさまにはなしかけてくるひとは、だいじんなど、
いちぶのきまったひとにかぎられていました
こんなにたくさんのひとたちに、こえをかけられるのは、はじめてでした
そういういみでも、おひめさまはよろこびをかんじていましたので、
ほんのすこし、こうおもってもいました
"はだかのおひめさま"も、わるくないわね
おひめさまは、"おげひん"で"ばか"なことをやっていますが、
ほんのすこし、"とっつきやすく"なったようでした
よくじつ
「きょうも、すてきなふくですね、おひめさま」
またひとり、じょせいがおひめさまに
はなしかけてきました
「ありがとう」
そうえがおでいいながら、おひめさまは
じぶんにはなしかけてくるひとのいうことが、まいかい、にかよっている
ことにきがつきました
おひめさまの"えんぜつ"に、じゅんすいに
こころをうたれたひともいましたが、じっさいに
"きさく"に、はなしかけてくるひとは、
"ふくがみえる"とあぴーるがしたいひと
"ひらきなおって、おひめさまのはだかがみたいひと"
が、たいはんだったのです
ここで、おひめさまは、じぶんの"こころ"が
はだかになっていないことに
はじめてきがつきました
おひめさまは、いままで、つねに"かんぺき"をめざしていました
"りそうのおひめさま"をめざして、まいにちがんばっていました
しかし、その"がんばり"と、"きもち"とはうらはらに、
なぜかひとがはなれていきました
"たにんに、すきをみせたくない"
おひめさまは、いままでそうおもってこうどうして
いましたので、そのせいかもしれません
いまは、その"かんぺきさ"にたえられなくなり、
ぼうそうしてしまったおひめさまですが、
"はだか"になったいまでも、
"なるべくきれいなすがた"をみせつけたい
そうおもっていました
しかし、そうやってたどりついたさきには、
おひめさまが、ほんとうにめざすものはなかったのです
おひめさまは、あるけついをかためました
そのよくじつは、おしろでだいじな"しゅうかい"がありました
じょうないのひとや、こくみんもあつまってきていました
その"しゅうかい"のなかで、おひめさまが、こくみんへむけて、"すぴーち"をする
じかんがもうけられていましたので、
おうさまは、きがきではありませんでした
きょうのしゅうかいは、ぶだんのおしろとはちがって、
こどもたちもくるよていでしたので、
もしきょうも、おひめさまが"とくしゅなふく"でくるようでしたら
おもいきって、ちゅういしようとかんがえていました
しかし、おひめさまは、じぶんが"すぴーち"をする
じかんちょくぜんになっても、なかなかあわられません
みんなのまえにすがたをあらわすと、
こくみんは、すこし、おどろきました
ひめさまのおかしなかっこうにたいしても、そうですが、
それより、みんなはこうおもいました
"きょうは、ようふくがみえる"と
「みなさん、こんにちは」
おひめさまのはなしが、はじまりました
「きょうは、じつは、いつもの"ばかにはみえないふく"はきてきませんでした」
「というか、じつは……」
いきなり、いちばんきになっていた"ふく"のはなしになりましたので、
こくみんのちゅうもくが、いっきにあつまります
「わたし、"ばか"なんで、じつは、わたしにも"あのふく"はみえていませんでした」
「だましてごめんなさい、あっはっは」
おひめさまは、てをたたきながら、みんなのまえで
おおごえでわらいました
とつぜんのことに、みんなあたまがおいつかず、
かいじょうがあぜんとしてしまいました
「ばかなむすめだ、わっはっは」
ちかくにいたおうさまが、みんなにきこえるこえで、おおごえで
わらいだしました
「この、"へんたいひめ"が、はっはっは」
おうさまは、おおごえで、さらに"つっこみ"をいれました
「そうです、わたし、へんたいなんです」
そういって、おひめさまは、こくみんのまえで、
"おもしろへんがお"をし、おどけてみせました
おひめさまが、はじめてこころを"はだか"にしたしゅんかんでした
「くすっ」
かいじょうから、ちいさなわらいごえがきこえました
それをかわきりに、こくみんは、おおごえでわらいました
「わっはっはー」
「なんか、へんだとおもったよー」
あるものは、みえをはっていたじぶんがはずかしくなり
あるものは、"ばかなひめさまだ"とおもったり
それぞれのりゆうで、おおわらいしました
こくみんのこころも、そのいっっしゅんだけ
"はだか"になりました
わらいがひととおりしずまると、おひめさまの
"すぴーち"がつづきます
「ほんとうにごめんなさい、でも、"ばか"ってわるいことでは
ないとおもうの、わたしがいちばんいいたいのは、それ」
こくみんは、ふたたびおひめさまにちゅうもくしました
「いままで、わたしはどうみえていたかしら
おかたい、"かしこいおひめさま"かしら
でも、そんなわたしでも、こんなぶぶんがあるの」
「みえをはったり、いいぶぶんだけをみせようとしても、しかたないわ」
おひめさまは、じぶんにもいいきかせるようにして、いいました
「ばかでもなんでもいいじゃない、まえをむいて、おもいきっていきましょう
みんなも、それでいいとおもうわ、だって……」
「このくにのひめだって、こんなに"ばか"なんだもの」
おひめさまはそういうと、ふたたび
"へんがお"をひろうしました
こくみんは、ふたたびおおわらいしまいた
そのひから、おひめさまが"とくしゅなふく"を
きることはなくなりました
そのかわりに、
"へいみん"がきるものとおなじようなふくをきていたり、
また"きじゅつし"がきるようなおもしろいかっこうをしたり、
いままできていたごうかなふくは、めったにきなくなりました
――
あるひは、"はだか"までいかなくても、
ちょっと"ろしゅつのたかいふく"をきていました
「ちょっとひめさま、そういったこういはひかえてくださいな」
「わー、またひめさまが、へんたいになったー」
まわりのかけるこえは、あきらかにいぜんとちがっていました
おひめさまも「いやーん」などと、
ふざけたりあくしょんで、ふざけたりしていました
「こんなことをされては、"おうぞくのけんい"が……」
だいじんは、あたまをかかえていました
しかし、そんなきもちをよそに、
おひめさまは、すがしがしいきもちでいました
たしかに、"けんい"をたもつために、
"かしこいすがた"や"りっぱなすがた"をみせることは、たいせつだけれど、
ひとりくらい、したしみやすい"ばかなおうぞく"がいても
いいんじゃないかとおもっていました
それいご、おひめさまは、ちゃんとふくをきていたにもかかわらず、
"はだかのおひめさま"とよばれつづけました
おひめさまのそんなすがたを、
おうさまは、すこしうらやましいようすでみていました
「わしも、"はだかのおうさま"をめざそうかな、はっはっは」
そんなことをいって、おおわらいしました
――
こんご、おひめさまが、めざめた"せいへき"と
おひめさまの"せいへき"をにんちしているひとたちとの、
ぼうそうばなしがあるのですが、
それはまた、べつのおはなし
82 : 以下、5... - 2017/11/26 23:21:06.094 n5pWqG3P0 39/39ねるので、いったんおわり
おやすみなさい

