1 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:46:06.83 2spptsmGO 1/33


拾い集めた

昨日の破片

砕け散った

それはまるで

真っ白な陶器のようで

こんなに綺麗なら

もう一度壊してみたいと

そんな私を

許してね


元スレ
女「ごめんねって…それだけ」男「そっか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513341966/

2 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:48:19.58 2spptsmGO 2/33


「男はさ、『何かを壊したいなぁ』って思うことない?」

夜、部屋でくつろいでる男に訊いた。

「何かって?」

「なんでも。窓とかお皿とか、このマグなんかも」

「どうして壊すの?」

「うーん…なんでかなぁ…なんとなく?」

「なんとなくで壊されるマグの気持ちになってみたら?」

「あはは、冗談冗談。でもさ、本当に思うんだよね」

「壊したいって?」

「うん。実行はしないけど。なんて言うかさ、希死念慮みたいに、ずーっと頭の中にこびりつくんだよね。それでどうしようもなくなっちゃうの」

「あー…それはなんとも……」

「もしかして引いてる?」

「少しね」

「えーやだ……」

「やだって……」

「そうだ、キスしよ?」

「いきなり?」

「いきなり。もう待ちませーん。どーん」

「ちょっ…」

3 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:49:16.98 2spptsmGO 3/33


「ん……ふぁ………」

「あ、おはよ。もうお昼すぎだよ?」

「おはよう。誰かさんが"大変"元気だったもんでね…」

大変、を強調して皮肉たっぷりに言う。

「だってぇ…」

「だってもヘチマもないよ…あれ、コーヒー淹れた?」

「ヘチマって?うん。飲む?」

「あるなら。なんでもないよ」

「ふーん。ほい」

ポットの残りを殆どマグに注いで渡す。

「ありがと…ん、美味しい」

「やりぃ!」

「ふぅ……。あ、朝ごはんは?ってもう昼だけど」

「何も。どうしよっか?」

「んー…どっか行く?で、適当にぶらっとして帰る」

「せっかく外に出るならイルミネーションとか見たいかも」

「じゃあご飯食べてぶらっとしてイルミネーション見て帰ろうか?」

「わ、それめっちゃ恋人同士っぽいね。賛成賛成!」

「よっしゃ準備しよー」

で、2人して大急ぎで支度を済ませた。


4 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:49:51.80 2spptsmGO 4/33



「もうすっかり冬だねー」

「ね。どこ行ってもクリスマスモードだからさ、なんかこう…『んんん~!』ってなるよね」

「あーそれめっちゃなる。なんであんなにキラキラさせんのかなぁ」

「したいからじゃない?」

「それは分かるけどさぁ…あ、どこで食べる?」

「いつものとこがいいかな」

「いいよ。夜は私の行きたい所でもいい?」

「それいいね、そうしよう」


5 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:51:44.32 2spptsmGO 5/33





店員「ご注文はお決まりでしょうか?」

「えと…海老と蟹のクリームパスタと」

「チキンとキャベツのパスタで」

店員「かしこまりました。お飲み物はいかがなさいますか?」

「私、ウーロン茶」

「じゃあウーロン茶2つお願いします」

店員「ありがとうございます。失礼いたします」


6 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:52:28.46 2spptsmGO 6/33




店員「ごゆっくりどうぞ」

パスタを置いて、店員さんは奥へ引っ込んで行った。

「いただきまーす」

「いただきます」

「あ、そっちの一口ちょうだい」

「いいよ、はい」

「わーい。ん、美味しいね。私のもあげるよ」

「ほいほいありがと…あ、美味しい」

「こちらこそ。ね、この後どうする?」

「行きたいとこある?」

「イルミネーションの場所によるよね」

「駅前のと、あと湖のかなぁ」

「湖のだけでお腹いっぱいじゃない?」

「んー確かに…まぁ駅前のは前を通るぐらいでいいかもね」

「ね。そしたら服を見に行きたいな。男は?」

「んー…特には。本屋に少し行きたいかも」

「じゃあ本屋さん行ってから服見に行こ」

「先でいいのに」

「私も行きたかったから」

「そっか、ありがと」


7 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:53:09.36 2spptsmGO 7/33




「ごちそうさまでーす」

「ごちそうさまでした」

店員「ありがとうございました。またお越しください」

店のドアを開けて外へ出る。

「ひゃー…さっむいね…」

「ね」

「えいっ」

「なんでひっつくの?」

「あったかいでしょ?」

「そりゃ…まぁ…」

「じゃあいいじゃん」

「うーん…本屋までなら」


8 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:53:46.70 2spptsmGO 8/33




5分ほど歩いて、私はまた男に訊いた。

「ね、こうしてたら私たちカップルに見えるかな?」

「見えるも何も自分から公言してるようなもんだよ、これじゃ」

「ほんと?」

「男の腕に女性が抱きついてる2人組がいたらそう思うでしょ?」

「確かに…うん、そうかもね…。嫌だった?」

「嫌っていうか…あー、その……」

「あ、本屋さん着いちゃった。ありがと、あったかかったよ」

「あ、あぁ…うん…」


9 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:54:18.84 2spptsmGO 9/33




「あ、これ読んでみたかったんだ。買ってもいい?」

「いいけど…なんで訊くの?」

「なんとなく、かなぁ。ちょっと訊いてみたかったの」

「買えってこと?」

「まさか。それならもっと分かるようにおねだりするよ」

「へぇ…例えば?」

「ね…この本ほしいんだけど…ってなにさせんのよ」

「あはは、ごめんごめん」

「もう。男は読みたい本とかあった?」

「残念ながら」

「なんだ。読みたい本があるから行きたいって言ってるのかと思ったよ」

「別にそうじゃないんだけどさ、好きなんだよね。この雰囲気」

「なんか分かるかも。いいよね」

「うん。他には大丈夫?」

「大丈夫だと思う。お会計してきちゃうね」


10 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:54:49.92 2spptsmGO 10/33




「お待たせ。行こっか」

「うん。行くのってどこ?」

「とりあえず駅ビルの中かな」

「はいよ……手、繋ぐ?」

「どうしたの?」

「寒いかなって…。嫌ならいいよ」

「繋ぐに決まってるじゃん。えへへ」

ニヤニヤしながら男の手を握る。

「うわぁ…これ、思ってたより恥ずかしいね」

「誰もそんなに見てないって」

「それは分かってるけど」

「それにすぐ着くよ?」

「そうだけどさぁ…」

「自分から手を繋ごうって言って照れるの、自虐的だよね。そういう趣味?」

「そんなわけ」


11 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:55:15.29 2spptsmGO 11/33




「何階?」

「下から見て行きたいから3でお願い」

「ん。で、いつまで繋いでるの?これ」

「恥ずかしいの?誰もいないエレベーターの中なのに」

「今は恥ずかしくないけど…ほら着いた」

「離そうか?」

「……いや、このまま行こう」

「ほんと?」

「毒を食らわば、って言うしね」

「あ、そうやって人のこと毒扱いするんだ?」

「例えだよ例え。どっち?」

「こっち」


12 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:55:42.85 2spptsmGO 12/33




「ん、これ似合うんじゃない?」

「あ、可愛い。買っちゃおうかな」

「ご自由に。でも、他にもお店あるよ?」

「こういうのは感覚だからなぁ…。そういうことあるでしょ?」

「ないとは言わないけど…」

「それに前から、こんなのほしいなぁって思ってたんだ。だから買うね」

「ふぅん…。この後イルミネーションを見に行くって忘れてない?」

「忘れてないけど?」

「ならいいんだけど。あんまり荷物増やさないでね」

「なんだ。それなら安心して。これ以外には買わないから」

「そう。他は見てく?」

「一応見たいかな。ざっと見るって感じで。あ、お会計して来ちゃうね?」

「ん。先に上行ってるよ?」

「分かるとこにいてね?」

「レジの辺りで」

「りょーかい」


13 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:56:12.60 2spptsmGO 13/33




「はぁ…ちょっと疲れちゃった」

「確かにね」

「この上にカフェあるから寄って行かない?」

「賛成。あれ、もしかして下から見たのって」

「ありゃ、ばれちゃった」

「いいと思うよ」

「えへへ。行こ」


14 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:56:45.59 2spptsmGO 14/33




「ここ、抹茶専門なの?」

「専門、とまでは…。でも充実してるよね。そっちが抹茶以外のやつだよ」

「ん、ありがと…」

「悩んでるね?」

「いろいろあるからね。もう決まったの?」

「一応」

「どれにする?」

「宇治抹茶パフェと抹茶ラテ」

「じゃあそれにしよ」

「いいの?他にもあるよ?」

「決め切らないからさ、それに同じのにしたら間違いないかなって」

「好みとかあるじゃん?」

「割と似通ってるから大丈夫だよ。すいませーん」

店員「はい、ただいまお伺いしまーす」


15 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:57:14.48 2spptsmGO 15/33




「美味しかった…また来ようかな」

「そんなに気に入ったの?」

「結構ね。甘すぎなくていい感じだったし」

「良かった。ちょうど暗くなってきたし行こうか?」

「うん。あ、そうだ」

「何か思い出した?」

「手」

「あ…バカ…」

「繋がないの?」

「繋ぐ…」

「あったかいね」

「ん…」

「どうかした?」

「さっきはあんなに恥ずかしがってたのに」

「抹茶を食べたから心変わりしたのかも」

「なにそれ」

「さあ?まあいいじゃん。あったかいし」

「そうね…うん、あったかい……」


16 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:57:55.63 2spptsmGO 16/33




「うわぁ…さすがガイドブックに載るだけあって綺麗だね」

街から少し離れた湖。

毎年恒例で、話題になってるらしい。

「そうなの?」

「らしいよ。それにしてもなんて言うか…」

「クリスマス感がすごいよね」

「そのためなんだけどね」

「そうだけどさ…」

私はそのまま黙ってしまった。

沈黙。遠くの街の音が微かに聞こえる。

しばらくして、男が口を開いた。


17 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:58:24.68 2spptsmGO 17/33



「彼氏と来たかった?」

「……かも。そもそも彼氏なんていないけど。男はどうなの?」

「同じかなぁ…彼女いないけど」

「あはは。でもさ、元々そういう話だったじゃん」

「まあね。どっちかに恋人ができたらおしまい。結局できなかったけど。どうだった?」

「どうだったって?」

「この2ヶ月と少しの生活」

「悪くなかったと思うよ。男は優しかったし、割と好みだったから。寂しい時に簡単に穴を埋められたし、言うことはないよ」

「そっか、良かった。僕も同じ感想だよ」

「えへへ。なんか嬉しいな。ね、丘のとこ行かない?」

「あ、良いね。行こ行こ」


18 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:59:27.20 2spptsmGO 18/33




「わぁ…」

丘へ続く階段を登りきり、お待ちかねの光景に思わず声が漏れた。

「間近で見るのも良いけど、こうしてみると壮観だね」

「ほんと…。ね、ちょっと寒いんだけどさ…?」

「あ、ちょうど良いや。これ、気に入るか分からないけど…」

「なにこれ?」

「開けてみて」

「うん……あ、マフラー。どうして?」

「誕生日になにも渡せなかったから…さっき買ったんだ」

「さっき?」

「女が服を買ってる時」

「あ、だから先に上に行ったんだ。うん、あったかい……ありがとね」

「着けてもらえて良かったよ」

「あはは。でもさ…まだ手が寒いんだよね?」

「手袋の方が良かった?」

「分かってるくせに。いじわる」

「ごめんって。つい」


19 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 21:59:54.85 2spptsmGO 19/33



とか言いながら手を繋いでくれた。

なんだかんだ優しいなぁ、なんて思った。

そうだな…やっぱり……。

煌々と輝くイルミネーションを見て、深呼吸。

空を見上げると、イルミネーションにも負けない夜空があった。

なんとなく、見とれてしまった。

前を向いて覚悟を決める。

大きく息を吸って切り出した。

「ね、いつまでこの関係って続けるの?」

「いつまでって?」

「あのね、私、考えたんだけど……もうやめにしたいの」

「…は?」

月の光とイルミネーションで僅かに見える男の表情が強張るのが分かった。


20 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:02:56.95 2spptsmGO 20/33




「昨日さ、カップを壊したくなるって話をしたの覚えてる?」

「うん」

「あれね、本当はカップじゃなくてね、その…」

言いよどんでしまう。

決心したはずなのに。

弱いなぁ、なんて思って泣きそうになる。

「……男との関係なの」

「…ごめん、どういうこと?」

「なんていうのかな…ほら…、男は優しいじゃん。それに甘えちゃう自分が嫌だったり、なんとなく後ろめたくて逃げ出したくなったり、そういう風に思うことがあるの。それで、そうやって男との関係を壊すぐらいなら、いっそって…」

「よく分からないけど、自分がもう助からないって知って、苦しむ前に死のうとする、みたいな?」

「多分、そんな感じ。それでね、壊したいなって、でも男とは離れたくないなってずっと思ってて、それでどうにかしなきゃって思ったの」


21 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:03:22.07 2spptsmGO 21/33



「でも、なんでこんな急に?」

「私ね、とっても弱いんだ。だから、何か区切りがないと何もできないの。イルミネーションを見ながらだったら言えるかもって思って…。理由らしい理由もないんだ」

「…まぁ、だいたい分かったよ。それで?」

「それでって?」

「やめるの?この関係」

「やめたくは…ない…。けど、このままだと、どんどん男に依存しちゃうし、そのくせそれが嫌になって逃げ出して、男との関係を壊すぐらいなら……もういっそ、ここで終わらせたい。……ごめんね?自分勝手で」

「んー…」


22 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:03:51.47 2spptsmGO 22/33



男はそのまま黙ってしまった。

怒っただろうか。

それとも呆れただろうか。

分からない。

何も。

私は、男のことを何も知らなかった。

それに気がつくと、涙が出てきた。

「ちょっ…どうしたの?」

声が漏れたのだろうか。

男がこちらに気がついて、声をかけてきた。

「ううん、なんでもないの…なんでもないから…」

「なんでもなくないって、ほら」

必死で取り繕う私にそう言って、抱きしめてくれた。

遠くで、何かが崩れる音がした。


23 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:04:20.97 2spptsmGO 23/33




「落ち着いた?」

「うん…ごめんね……」

「ん、いいよ。星見てくるからさ、落ち着いたらおいでよ」

「…行かないで」

「いいけど…」

「ん…」

「なんでひっつくの?」

「寒い…」

男は何も言わなかった。

沈黙。

やっぱり、怒ったんだろうか。


24 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:05:23.09 2spptsmGO 24/33



「ね、男」

「なに?」

「やっぱり怒った?」

「どうして?」

「勝手なことばっかり言ったから、それで怒ったかなって…」

「怒らないよ?」

「よかった…ありがと」

「どういたしまして」

「あのさ…、私、考えたんだけど」

「さっきの話?」

「うん。やっぱり…やめよう?」

「んー…その前に一つ質問いい?」

「…なに?」

「この関係ってさ、最初に女が寂しいって言って始まったじゃん。あの時に好きだった人のことって今も好き?」

「ん…分かんない」

「じゃあ、今好きなのは?」

「……バカ」

「光栄だね。それで、答えは?」

「今は…男……かもしんない」

「よかった」


25 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:05:56.82 2spptsmGO 25/33



「何が?」

「だったら、やめる必要はないよ」

「どうして?私は、男との関係をいつか壊すから、そうなる前に終わらせようって言ってるじゃん?」

「壊さなければいいだけだよ。女が何をしても許して、どこまでも付き合えばいい。違う?」

「それは……でも………」

「でも?」

「だって…そんなの男にメリットがないよ。一方的に私の都合で振り回して、付き合わせるなんて…」

「それでいいじゃん」

「それに、どうしてそんなに言ってくれるの…?」

26 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:06:26.97 2spptsmGO 26/33



「女が好きだから」

「は…?」

「知らなかった?」

「ぜんぜん。いつから?」

「半年ぐらい前」

「え…待って。ってことは、私の恋愛相談に乗ってくれてた時も、私が寂しいって言った時も、私のことが好きだったの?」

「んー…そうなるね」

「男が私のことを好きだって知ってたら何も言わなかったのに…」

「どうして?」

「だって…そんなの辛いだけだから…。好きな人の、自分に向くことはない恋愛の話も、寂しいからって寄りかかる相手にされるのも…本当にごめんなさい……」

「やだなぁ、謝らないでよ」

「なんで…?」


27 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:06:58.21 2spptsmGO 27/33



「したくてしたことだから。話を聞くのも、こんな関係の相手になったのも」

「でも…」

「少なくとも、辛くはなかったよ。好きな相手と一緒にいられたわけだし、むしろ喜んでるぐらいだし。ていうか、なんで好きだって知ってたら寄りかかる相手にしなかったの?」

「男が辛いだろうからっていうのと…その……」

「その…?」

「あー…ううん、これは言わないでおく」

「どうして?」

「自分でも引くぐらいの発言だなって思ったから」

「いいよ。今さら引く余地もないって」

「ほんとに…?」

「ほんとのほんと」


28 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:07:33.81 2spptsmGO 28/33



「じゃあ…うん、その……お互いに気持ちがなければ割り切れるかなって…」

「あー確かに。一理あるね」

「引いた?」

「ううん。その通りだなって」

「よかった…って言っていいのか分からないけど」

「いいと思うよ」

「ありがと…」

「うん。それで、どうする?」

「この関係?」

「そう。やめる?」


29 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:08:10.08 2spptsmGO 29/33



「やめる前に、二つ言いたいことがあるんだけど、良い?」

「いいよ」


30 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:08:36.03 2spptsmGO 30/33



「じゃあ、一つめね…。あー……私のこと好き?」

「それはもう」

「私が依存して、どうしようもなくなっても?」

「どうなっても」

「じゃあ…私と付き合ってくれる?」

「…喜んで」


31 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:09:07.83 2spptsmGO 31/33



「あはは、なんか照れるね、これ。ありがとう」

「こちらこそ。それで、もう一個は?」

「期待してよ?」

「期待?」

「うん、すっごいの」

「分かった」


32 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:09:47.73 2spptsmGO 32/33






「ごめんねって…それだけ」

「そっか」


33 : ◆nRrk0j/cII - 2017/12/15 22:15:10.00 2spptsmGO 33/33



これにて。お付き合いありがとうございました。


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