1 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/19 22:23:01.91 s8qTWybo0 1/70

 ―アンツィオ高校―

カルパッチョ「ぜんい~ん、気をつけっ」

 \バッ!/

アンチョビ「みんな揃ってるな!今日は前々から言っていた大事な日だ!何の日か全員わかっているだろうなーっ!」

 \エー?/ \ナンダッケ?/ \ドゥーチェノタンジョウビ?/

アンチョビ「お、おいおい!忘れたのか?なんてことだ!ペパロニ、教えてやれ!」

ペパロニ「お前達、こんな大事な日を忘れるとはたるんでる証拠だ!今日はお昼のランチにトリュフが追加できる日だ!」

 \オオ~!/ \ソウダッタソウダッタ!/ \マチキレナイ!/

アンチョビ「ちがぁ~う!今日は次期ドゥーチェを決める選挙を行う日だと言っただろう!私が卒業した後のアンツィオの隊長を決める日だぞ!」

 \ソウダッケ?/ \ヨクワカンナイヨー/ \ドゥーチェハドゥーチェダモン!/

カルパッチョ「みんな、春にはドゥーチェは卒業しちゃうから、来年は私達だけになるのよ」

 \エエエエエ~!?/ \ウッソダァ~!/ \ジョウダンユッチャッテ~!/

アンチョビ「・・・だ、大丈夫なのだろうか・・・来年のアンツィオは・・・」

元スレ
アンチョビ「黒森峰諸君!ノリと勢いとパスタの国からドゥーチェ参戦だーっ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508419381/

2 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/19 22:43:18.33 s8qTWybo0 2/70

 <ゴ~ン・・・ゴ~ン・・・

アンチョビ「あ」

 「わー!お昼だお昼だー!」ドタバタ 「急がないトリュフが売り切れちゃうよ~!」ドタバタ 「いやっほぉぉぉう!」ドタバタ

アンチョビ「お、お前達待て!まだ話は――」

ペパロニ「そうはさせるか~!一番に食堂に辿りつくのはあたしだ~!」ダダダ


アンチョビ「・・・・・・」ポツン

カルパッチョ「心配しなくても大丈夫ですよ。ドゥーチェの分も取ってくれてますって」

アンチョビ「それどころじゃなぁい!全国大会も終えて、もうすぐ私も引退だというのに、皆全く自覚がない!私抜きでやっていけるのか!?これで!」

カルパッチョ「みんなドゥーチェにおんぶにだっこですからね。それだけドゥーチェが偉大なドゥーチェということです」

アンチョビ「でぇへへへ、そうかな~。・・・っじゃなぁ~い!このままではアンツィオの危機だ!私がいなくてもちゃんとやっていけるようにならないとまずい!」

カルパッチョ「アンツィオで不味いのはマズイですね」

アンチョビ「カルパッチョ!私は旅に出る!しばらくの間、お前達だけでやってくんだ!」

カルパッチョ「ええ~!・・・大丈夫かなぁ・・・」

アンチョビ「大丈夫だ。あいつらはなんだかんだいって、やる時はやる子達だ。それにカルパッチョ、お前がいるんだ。きっと大丈夫さ」ポンポン

カルパッチョ「いえ、私達よりドゥーチェの方を心配してるんですよ」

アンチョビ「子供あつかいするなーっ!」

3 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/19 23:10:09.46 s8qTWybo0 3/70

 ―黒森峰女学園―

アンチョビ「たのもー!」バーン

まほ「よく来たな」

アンチョビ「短期転校を引き受けてくれてありがとうな!しばらく世話になるぞ!」アクシュ ブンブン

まほ「ああ。私のことは西住とでもまほとでも好きなように呼んでくれ。私も安斎と呼ばせてもらう。ここは黒森峰だ。通称で呼び合うと下級生にしめしがつかんからな」

アンチョビ「了解だ!」

まほ「これからお前も黒森峰の生徒だ。遠慮なく意見を言ってくれ。さあ、こっちだ。戦車道履修者に紹介しよう」


エリカ「整列!」

 \\\ザッ!///

アンチョビ「おお・・・さすが天下の黒森峰・・・ビシっとしてるナア」

まほ「今日は転校生を紹介する。アンツィオ高校から来た安斎だ。・・・安斎、自己紹介を」

アンチョビ「うむ!」ザッ!


アンチョビ「黒森峰の諸君!私はアンツィオ高の、ドゥーチェアンチョビだっ!ノリと勢いと料理なら負けないぞー!よろしくっ!」ハッハッハー

 黒森峰生徒「・・・」 黒森峰生徒「・・・」 黒森峰生徒「・・・」

エリカ「・・・」

アンチョビ「あれ?なんかノリわるいね」

まほ「いえーい。ひゅーひゅー」パチパチ

アンチョビ「無理して盛り上げようとしないでくれ!余計に痛い!」

4 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/19 23:46:32.03 s8qTWybo0 4/70

エリカ(フン・・・何が短期転校よ。余所者にウチのハードな訓練についてこれるわけないじゃない)

エリカ(そもそも隊長も、どうして他校の隊長の短期転校を受け入れたりなんかするのかしら・・・手の内を見せるようなものなのに・・・)

まほ「安斎は三年生として私と同じクラスに入る。安斎にはわからないこともあるだろうが、皆、手をかしてやってくれ」

 \\\ハイ!///

エリカ(・・・隊長にひいきにされてるみたいで・・・なんだか気にくわないわね・・・)

まほ「エリカ、何か言いたいことでも?」

エリカ「いえ」

まほ「では早速だが、基礎トレーニングを始める。全員体操着に着替えた後にグラウンドに集合。散開!」

 \\\バッ!///

アンチョビ「すごい!みんな忍者みたいに素早い動き!」

まほ「安斎、更衣室はこっちだ。いきなりのトレーニングになるが、平気か?」

アンチョビ「へーきへーき!私だってアンツィオの隊長なんだ!そんじょそこらの乙女とは一味も二味も違うんだからな!黒森峰の練習メニューなんかちょちょいのちょいだ!」






アンチョビ「ぜはーっ!んはーっ!ぎはーっ!」ゼイゼイ ヘトヘト

まほ「あとグラウンド十週ー」タッタッタッタ

 \\\ハイ!///

アンチョビ「んあっ・・・あと・・・じゅっしゅ・・・」ゼイゼイ ヘトヘト

5 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/20 00:00:18.66 V5lgt7vY0 5/70

まほ「がんばれ安斎。あと少しだ」

アンチョビ「かひぃーっ・・・はひぃーっ・・・」ゼーハーゼーハー

エリカ(・・・フン、やっぱり黒森峰のトレーニングメニューに一山ナンボの女子がついてこれるわけないのよ。毎年新入生の八割がこのランニングで保健室送りになるんだから)

 黒森峰生徒A(アンツィオの隊長・・・無理して頑張らなくてもいいのに・・・)

 黒森峰生徒B(私達だって今でもキツイくらいなんだから、初めての人についてこれっこないよ・・・)

 黒森峰生徒C(あーあー・・・倒れて保健室に運ばれたりしなきゃいいけど・・・)

アンチョビ「ぃひぃー・・・ひひぃーっ・・・」ヘトヘト ゴールッ

まほ「よくがんばったな安斎。さすがだ」

アンチョビ「こ・・・これくらいっ・・・た、たいしたことじゃ・・・なっ・・・」ゼーハーゼーハー

まほ「よし、次は二人一組になって手押し車でグラウンド三十周だ」

 \\\ハイ!///

アンチョビ「んなっ・・・!」ガーン

まほ「安斎は私と組むぞ。やれるか?それとも、向こうのベンチで休むか?」

アンチョビ「っ・・・や、やってやるさ!ドゥーチェを舐めるなよ!」バッ

まほ「・・・フッ」

6 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/20 00:09:09.82 V5lgt7vY0 6/70

 まほ「次は腹筋背筋腕立て各三百回セットだ」

  まほ「砲弾を抱えてシャトルラン百本」

   まほ「戦車リフトアップ五十本」


アンチョビ「カヒューッ・・・カヒューッ・・・」

まほ「よし、基礎トレーニングはここまで。各自、水分補給の後に次の授業の準備に移れ」

 \\\お疲れ様でした!///

エリカ(・・・案外がんばったじゃない・・・さすがに隊長格ともなると違うのね)

まほ「やるじゃないか安斎。初日でトレーニングメニューを全部こなすとは。さすがだな」ポン

アンチョビ「ヒュー・・・ヒュー・・・」

まほ「大丈夫か?水飲む?」

アンチョビ「・・・ぃ・・・意地・・・ドゥーチェ・・・だから・・・」ヒューヒュー

まほ「そうかそうか。がんばったな。だが次の授業に遅れるわけにはいかない。次は科学の授業だから制服に着替えるぞ。立てるか?」

アンチョビ「・・・む・・・」ブンブン

まほ「仕方ないな。ほら、おんぶしてやるから」スック

アンチョビ「・・・ごめん・・・」ヒューヒュー

まほ「気にするな」

 エリカ(ぐぬぬぬぬぬ!隊長におんぶしてもらうなんて~!)

7 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/20 00:44:25.97 V5lgt7vY0 7/70

 ―――・・・・・・

アンチョビ「さあ!午前の授業も終わっていよいよお昼だ!」ワーイ!

まほ「元気になったようだな」

アンチョビ「当然!実を言うとな、黒森峰に短期転校して一番楽しみだったのは食事だ!ドイツのオイシイ地ビール!絶品のソーセージ!ジューシーなハム!想像しただけでヨダレズビッだ!」ズビッ

まほ「ほう」

アンチョビ「あれだけ厳しいトレーニングもお昼においしいご飯が食べれると思えばこそ乗り越えられたんだ!早く食堂に行こう西住!ドイツ料理を堪能するぞ~!」


 ――食堂

アンチョビ「・・・」

まほ「いただきます」スッ

アンチョビ「・・・」

まほ「ごちそうさまでした」

アンチョビ「・・・」

まほ「食べないのか?安斎」

アンチョビ「ぬゎんぬゎんだこれはぁぁぁ!この小粒の!カゼのお薬みたいなカプセルがお昼ご飯だというのか!?」

まほ「女子高生が一日に必要とするエネルギーをこれ一粒で摂取できる。黒森峰が開発した栄養食だ。ほしい者には栄養ゼリーも配布されるぞ」

アンチョビ「こっ!こっ!こんなのしか食べないのか!?ソーセージは!?ハムは!?おいしいドイツ料理はないの!?」

まほ「そんなもの、ウチにはないよ」

アンチョビ「」

13 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/24 18:45:24.10 h5kyXx9w0 8/70


数学教師「えー、ではここの問題を・・・転校生の安斎、答えてくれ」

アンチョビ「はい。仔牛の挽き肉のソーセージです」

 ・

英語教師「安斎さん、この英文を訳せるかしら?」

アンチョビ「『私はグリューワインとアイスバインを食べたかったが、ザウアーブラーテンとザワークラウトを食べた』」

 ・

歴史教師「ここの空白には何が入るかわかるか?安斎」

アンチョビ「ごはん」





まほ「放課後だ。戦車道の練習に行くぞ、安斎。どうした机にうつぶせになって」

アンチョビ「おなかがすいてちからがでない・・・」

まほ「それで素っ頓狂な答えばかりだったのか」

アンチョビ「よくあれだけの昼食で我慢できるな・・・アンツィオでは考えられないぞ・・・」

まほ「安心してくれ。今日の夕飯は週に一度の豪華メニューの日だ」

アンチョビ「なんだとーっ!そういうことなら頑張れるぞ!よーしいくぞ西住!今日も元気に全速前進だーっ!」

まほ「切り替えがすごい」

14 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/24 19:18:11.39 h5kyXx9w0 9/70

エリカ「整列!」

 \ザッ!/

まほ「これより放課後訓練を開始する。各自、配属車輌の点検に入れ。10分後に走行訓練、陣形訓練、砲撃訓練を始める」

 \ハイッ!/

まほ「安斎は私が乗るティーガーⅠに車長として乗ってもらう。私の代わりを任せるぞ」

アンチョビ「おおーっ!任せられるぞ!」

まほ「その前にこれを装備してもらう。西住流強化矯正ギプスだ」ガチャンッ

アンチョビ「えっ」

 ・

アンチョビ「なんなんだこれは!全身をバネの鎧で固めてるみたいじゃないか!」ギチギチ

まほ「これを装備して訓練をするのが黒森峰の戦車道だ。他の生徒も常に装着している」

アンチョビ「こ、これではホッペをかいかいすることすらままならない・・・」ギチギチ・・・ カイ・・・カイ・・・

まほ「この矯正ギプスを装備することによって強靭な肉体を作れるのだ。私も5才の頃からプライベートでも常に装備していた」

アンチョビ「西住流ヤバすぎるだろ・・・」

15 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/24 20:11:18.41 h5kyXx9w0 10/70

アンチョビ「ふぬお~~~!」ギギギ・・・ カチャカチャ

黒森峰生徒A「あ、あの・・・安斎さん、戦車の整備は私達がやりますから・・・」

アンチョビ「そうはいかん!私はこの戦車の車長を任されたんだ。整備も一緒にやらないわけにはいかない!」ギギギ・・・

黒森峰生徒A「は、はあ・・・」

アンチョビ「それにしても・・・黒森峰の生徒はいつもこんな強力なギプスを着てるのか・・・そりゃ強いはずだな。西住にいたっては子供のころからなんて・・・」ギギギ

エリカ「何を言ってるの。あなたが装備しているギプスは初級入門編のものよ。今、隊長が装備しているのとは比べものにならないわ」ザッ

アンチョビ「ぬゎに!?もっと強力なものを!?」

エリカ「隊長が今装備していのは、西住流超々々強化矯正外骨格三十六式改アブソリュートカスタムVer,セカンドよ」

アンチョビ「か・・・か・・・かっこいい・・・」

エリカ「だから初級のギプスでひいひい言ってるアナタと隊長では雲泥の差が――」

アンチョビ「西住ぃ!私もお前と同じやつにしてくれ!なんとかかんとかカスタムに!」チョビッ

エリカ「なっ!・・・」

16 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/24 21:07:12.92 h5kyXx9w0 11/70

アンチョビ「う・・・動けん・・・」ギッチギチヤゾ!

まほ「無茶をするな安斎。それは成人男性五人分の筋肉が無いと腕を曲げることすらできない矯正ギプスだ。西住流を数年はやっていないとかなり厳しいぞ」

アンチョビ「こ、これはたしかに・・・両腕ピーンって大の字になってる状態から身動きが取れん・・・」ギッチギチヤゾ!

まほ「安斎、さっきのギプスに変えよう」

アンチョビ「い、いやいや!私はドゥーチェで、西住に代わって車長を務めるんだ!これくらい努力と根性でなんとかする!」ギッチラギッチラ

 エリカ「・・・両手広げたままぎこちなく歩いてる。ただのカカシですな。隊長、どうします?」

 まほ「・・・安斎がやると言ってるんだ。無理やり引き剥がすわけにもいくまい」

黒森峰生徒A「あ、安斎さん!無茶しないでください」

アンチョビ「大丈夫だ。見ていろ・・・ふんんん~~~!」ギチギチギチ・・・

黒森峰生徒B「!・・・う、腕を動かそうとしてるんですか?危ないですよ!下手したらどうなるか・・・」

黒森峰生徒C「西住隊長じゃないと無理なんですよ!出来っこないですって!」

アンチョビ「にゅぉぉおおおお!ドゥーチェパワー全開ぃ~~~!」ギギギギギ!

 エリカ「!」

アンチョビ「はいー!」バーン!

黒森峰生徒A「す、すごい!荒ぶるドゥーチェのポーズだ!」

黒森峰生徒B「ま、まさかほんとにあのギプスを着てこんなに身体を可動させるなんて・・・!」

アンチョビ「ぶは~~~っ!・・・」ギッチィン!

黒森峰生徒C「あ、戻った。でもすごいですよ安斎さん!」

アンチョビ「はあ・・・はあ・・・ど、どんなもんだい!私だって西住に負けてないんだからな!」エッヘン

まほ「フ・・・」

エリカ「ぐぬぬぬ・・・」

17 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/25 00:02:33.88 ehjZ5mtT0 12/70


まほ「今日の訓練はここまで」

アンチョビ「だぁ~~~!やっと脱げる~!」ガシャーン

黒森峰生徒A「安斎車長!的確な指示をありがとうございました!勉強になりました!」ペコ

アンチョビ「え?・・・そ、そう?そう言われるとなんだかテレてしまうな」

黒森峰生徒B「西住隊長とはまた違う種類の素晴らしい指示でした。ありがとうございました」

黒森峰生徒C「貴重な経験でした!ありがとうございました!」

アンチョビ「ふ、ふははは!そこまでホメることないって~!ギプスがきつくてかえって頭が冴えてたからな!しかしフッフーン!これでドゥーチェのことを少しは見なおしたかなー!?」

 黒森峰生徒's『はい!』

アンチョビ「っちょぉい!見なおしたってことはどういう風に思ってたんだー!」

 黒森峰生徒A「正直ここまでとは・・・」 黒森峰生徒B「泣きだすんじゃないかと・・・」 黒森峰生徒C「車内でピザ食べだすんだろうなって・・・」

アンチョビ「お、お前らというヤツは~!」

 \ハハハハハ・・・!/

まほ「・・・ふふ、私が見込んだ通りだ」キリッ

エリカ「・・・」

まほ「さあみんな、手早く片づけて食堂へ行こう。今日の夕飯は豪華メニューだからな」

アンチョビ「おおーっ!そうだったそうだった!どんなメニューかな~!手作りの白いソーセージかな~!肉厚なハンバーグかな~!」ウキルン!

18 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/25 00:26:24.19 ehjZ5mtT0 13/70


アンチョビ「」

まほ「ごちそうさまでした」

アンチョビ「」

まほ「安斎、食べないのか?」

アンチョビ「これはなんですか?」

まほ「卵白、豆腐、そして鳥のササミだ」

アンチョビ「こんなチョビっと?全部片手に乗る小皿くらいしかないのですが?」

まほ「筋肉が効率的に着きやすい三品だ。たんぱく質を取って筋トレをするのが効果的だ。だが食べすぎはよくない。黒森峰では週に一度、このメニューなんだ」

アンチョビ「ヒッ・・・ヒッ・・・ヒッ・・・もうダメだ・・・意識を保ってられない・・・」バタンQ

まほ「どうした安斎。せっかくの食事を一口も食べないのか?」

アンチョビ「・・・いや・・・ご飯を食べないわけにはいかない・・・食べる・・・」ングング

まほ「一応言っておくが、明日の朝食はビタミン豊富なサプリメントとヤクルトジョワだ」

アンチョビ「・・・・・・スガキヤのラーメンが食べたい・・・」

27 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/27 23:48:13.46 dV1/fL7n0 14/70

小梅「あの・・・安斎さん、大丈夫ですか?・・・よかったらこれ食べてください。私の分の卵白とササミ」

アンチョビ「気持はありがたいがスズメのナミダだよ・・・」

黒森峰生徒A「安斎さん、私の分もどうぞ」スッ

 黒森峰生徒B「私も!」スッ 黒森峰生徒C「私のも!」スッ

アンチョビ「・・・お、お前達・・・・・・~っ!・・・い、いや!いやいや!私が食べるわけにはいかない!お前達はお前達でお前達の分を食べるんだ!うん!大丈夫!気持だけでありがとう!」

小梅「でも・・・」

アンチョビ「いいからいいから!アンツィオでは普段からぎょーさん食べてる分、お腹の中に備蓄されてるから数日食べなくても平気なのだー!」エッヘン

小梅「安斎さん・・・」

アンチョビ「さあさ、戦車道の練習も終わったことだし、夕飯の後は自由な時間だな!黒森峰のみんなは普段何して遊んでるんだ?」

まほ「夕飯の後は各自で自主練習だ。筋トレ、戦術会議、戦車勉強等が主だな」

アンチョビ「え~、いくらなんでもやりすぎだろー。もっと違うことしよう!映画を見るとか、ボウリングするとか、カラオケに行くとか!」

小梅「カラオケ・・・聞いたことはあるけど行ったことないです」

まほ「黒森峰にはないな」

アンチョビ「えっ」

 黒森峰生徒A「ボウリングってなんだっけ?」 黒森峰生徒B「ここに来てからやったことないから忘れちゃったね」

 黒森峰生徒C「映画・・・久しぶりに聞いたな・・・映画って言葉・・・」

アンチョビ「ちょっと待て黒森峰に娯楽は無いのか」

28 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/10/27 23:58:46.57 dV1/fL7n0 15/70

アンチョビ「そ、それじゃあみんな普段は何をして過ごしてるんだ?」

まほ「戦車道」

小梅「戦車道」

 黒森峰生徒A&B&C『戦車道』

アンチョビ「ひぇっ」

まほ「この学園艦に娯楽施設などない。学校外の時間は必然的に戦車の勉強か自主練習をすることになっていた」

アンチョビ「そ、それじゃあテレビ見ながらジュース飲んだり、漫画読んだり、そういうのもないのか!?」

黒森峰生徒A「ジュース?・・・なんですか、それ?」

黒森峰生徒B「マンガ・・・聞いたことない単語ですね」

アンチョビ「ぇぇっ・・・」

黒森峰生徒C「私達、ずーっと戦車やってたから外の世界のことはよくわかんないんです」

アンチョビ「自由時間も全部戦車漬けだったのか・・・」

小梅「自由、ってなんですか?」

アンチョビ「ウッ・・・・・・わ、わかりません・・・」

34 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/01 21:56:51.86 zZztHDKo0 16/70

アンチョビ「よしわかった!これからみんなで楽しく遊んじゃおう!」ガタッ

まほ「ふぁっ」

小梅「遊ぶって戦車の部品当てクイズとかですか?戦術シュミレーションとかですか?」

アンチョビ「いいや、たまには戦車から離れることも大事だ。私が用意する遊びとはジャーン!これだ!ダンボールの箱!」ダン!

アンチョビ「この箱の中に手を入れて、中に何が入ってるかを当てるんだ。チャレンジャーからは中は見えない構造になっております。名付けて!触って触ってなんでしょねー大会!」バーン

まほ「ほう、触感だけで何か当てるのか。周囲の視界が悪い中で戦況を把握することは戦車道においても重要だ。いい訓練になる」

アンチョビ「そーゆーのじゃなくて、純粋に楽しむんだよ!まずは西住ィ!君がチャレンジャーだ!」

まほ「ふぁっ」

アンチョビ「さあさあギャラリーの皆には箱の中を見せるよ~!今回の答えはこれだー!」ジャーン

 ≪アンチョビのケータイ≫

 黒森峰生徒B「ええーっ・・・コレってアレだよね」 黒森峰生徒C「なんかヤバくない?」 黒森峰生徒A「ケガしないのかなーこれ」

まほ「・・・」

アンチョビ「そうそう、皆で西住をビビらせるんだ。さあ西住!箱の中を当ててみろーっ!」

まほ「・・・いいだろう。西住流に逃げるという道は無い。このくらいなんともない」スッ

 ケータイ<ヴー!ヴー!ヴー!

まほ「!?」バッ!

アンチョビ(あ、メール)

まほ「だれかなかにいる!」

アンチョビ「ここまでビビるとは思わなかった」

35 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/01 22:14:44.89 zZztHDKo0 17/70

まほ「ビビってない。ちょっとビックリしただけだ。西住流はビビらない」

アンチョビ「わぁーったわぁーった!それじゃあはい、答えは何か当ててみるんだ」

まほ「・・・」ソロォ~ッ

アンチョビ「やっぱりビビってるな」ハハハ

まほ「ビビってない。ビビってないってば。ビビってない」

小梅「隊長、そんなに危険なものではないから安心して触ってみてください」

まほ「むう・・・」ソッ・・・

まほ「・・・なんだこれは・・・鉱物か?無機質な感じが・・・」サワサワ メシャン! ボキャアボグァ!

アンチョビ「だーっ!?やりすぎだやりすぎ!握力でケータイがペシャンコだー!」

まほ「すまん」


 エリカ「――隊長はどこにいるのかしら・・・いつも夕食後はジムで汗を流してるはずなのにまだ来てないなんて・・・」ポテポテ

 <ワイワイガヤガヤ

 エリカ「?・・・食堂が騒がしいわね。何かやってるのかしら」

アンチョビ「さあ赤星!何かわかるかな~!?」

小梅「う~ん・・・この感じは・・・練りケシですか?」

 \オオー!/ \スゴイ!/

アンチョビ「正解だ!」

まほ「すごいじゃないか。見事だ」

小梅「えへへ、ありがとうございます」

 エリカ「・・・何をやっとるのあの子達は・・・」

36 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/01 22:27:34.70 zZztHDKo0 18/70

 エリカ「自主練も勉強もやらないで遊んでるなんて・・・ちょっと一喝するべきかしら・・・」

 まほ「エリカ、エリカ」コソコソ

 エリカ「!・・・隊長、何をやっとるんですか」

 まほ「ちょっとこっちに来てくれ。ナイショでな」

アンチョビ「さあ何かわかるかな~!?」

黒森峰生徒A「えーっと・・・何かな・・・ティーガーⅡの履帯を止めるボルトかな?」

アンチョビ「せ、正解だ!なんでわかるんだよ!」

 \オオー!/ \マアカンタンダヨネ~/

アンチョビ「ちょっと異常じゃないか・・・」

まほ「安斎、次はお前の番だ」

アンチョビ「えっ」

まほ「まさかビビってやらないなんて言うんじゃないだろうな」

アンチョビ「い、いや私は・・・」

まほ「ア~ンチョビ、ア~ンチョビッ」パン パン

 \ア~ンチョビ!/ \ア~ンチョビ!/ \ア~ンチョビ!/

アンチョビ「――ぅわーっはっはっは!いいだろう次はこのドゥーチェが挑戦だーっ!」

まほ「箱の中身はコレだ」バーン

 ≪逸見エリカ≫

エリカ「・・・」

 \エエ~ッ/ \マジヤバクネ?・・・/ \ダイジョウブナノ?コレ・・・/

39 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/01 22:43:04.22 zZztHDKo0 19/70

アンチョビ「な、なんだそのリアクションは・・・不安になっちゃうじゃないか」オド

 エリカ「・・・」ムス~ッ

まほ「心配するな安斎。毒は無い」

アンチョビ「あっ!余計に心配になっちゃった!」

小梅「大丈夫ですよ安斎さん。外見は危険そうですけど、実はそうでもなく優しい面もあるんですよ」

 黒森峰生徒A「そうそう、案外いいトコもあるし」 黒森峰生徒B「怖がらずにふれ合えば理解しあえますよ」

 エリカ「~っ!・・・///」カァ~ッ

アンチョビ「な、なんだかみんなの反応からするに動物っぽいが・・・」

まほ「赤星、救急箱の用意を。それと保健室にベッドを確保してもらっておいてくれ」

小梅「わかりました」

アンチョビ「いやいやいや!手厚いアフターケア準備されると不安しかないぞ!」

 エリカ(なんで私がこんな目に・・・しかも皆にからかわれるし・・・なんだかムカついてきたわ・・・私がただ黙って触られると思ったら大間違いよ)ムス~ッ

まほ「さあ安斎、おもいきっていってみよー」イエーイ

アンチョビ「・・・ゴクリ・・・う、うむ・・・ドゥーチェの根性をみせてやる!ゆくぞー!」

アンチョビ「めっちゃんこおそぎゃー!」ズボ

 エリカ<ガブリンチョ!

アンチョビ「あんぎゃーーー!」

まほ「いってるいってるゥー」

40 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/01 23:41:12.72 zZztHDKo0 20/70

小梅「あー、ガッツリいってますねーコレ」

アンチョビ「か、噛んだぞ!おもっきし噛まれたんだが!」イテテ

まほ「まあそういうこともある」

アンチョビ「器がデカいなあおい!」

まほ「今度は噛まないから大丈夫だ。箱の中を当てるまで帰れません」

アンチョビ「ほ、本当に噛まないんだろうな!?そこちゃんと確約してくれないとドゥーチェもうやんないぞ!」

まほ「もう噛んじゃダメだぞ」メッ

 エリカ「っ~・・・///」

小梅「叱られてまんざらでもない顔してる」

まほ「安斎、再チャレ~ンジ」イエーイ

アンチョビ「ううっ・・・今度は慎重にゆくぞ・・・」ソロ~

 エリカ「・・・」サワサワ

アンチョビ「・・・なんだか・・・なめらかな手触りだな。毛が長い動物か?・・・」サワサワ

 エリカ「・・・」サワサワ イラリ

アンチョビ「でもお肌はちょっと荒れ気味かな?」サワサワ

 エリカ<ガブリンチョ!

アンチョビ「ほでゅああぁーーー!」

まほ「いってるいってるゥー」

44 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/13 22:35:32.68 skqyRmdN0 21/70

アンチョビ「噛んでます!今噛んでますよー!お客さーん!」ハダダダダ

 エリカ<ガジガジ

 黒森峰生徒A「一度噛んだら放さないこのパワー!」グバアー 黒森峰生徒B「圧倒的歯ぎしりの小宇宙!」ズバアー

まほ「さあ安斎!答えはー!?」グオー

アンチョビ「こりゃワニだワニ!」ハデデデ

まほ「正解ー!」バアー

エリカ「違うわに!」ガバア!

アンチョビ「どぅわー!」ビックリ!


 ――シャワー室

アンチョビ「まったく・・・ひどい目にあった」シャワー

小梅「ダンボールの箱が大きい時点で気付くべきでしたね」アハハ

まほ「だがいい気分転換になった。安斎が箱の中当てゲームを提案してくれたおかげだ」シャワー

アンチョビ「そうか?そりゃよかった!黒森峰にはもっと楽しい遊びや息抜きが必要だな」シャワー

まほ「タノシイ?・・・コレガ・・・タノシイ・・・?・・・」シャワー

小梅「ニンゲン・・・タノシイ・・・オモシロイ・・・ニンゲン・・・スキ・・・」シャワー

アンチョビ「急にコント入れる技術はあるんだな」シャワー

45 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/13 23:28:59.59 skqyRmdN0 22/70

 ――体育館

アンチョビ「・・・まさか体育館で寝袋に入って皆で雑魚寝とは・・・ベッドが恋しいよ~」

まほ「案ずるな安斎。内側が全面高級テンピュールの寝袋だぞ。まるで沈み込むようなねごこち」

アンチョビ「それってどうなるんだ?沈み込む生地が360度全体を包むんだろ?え?どうなるの?無重力?めっちゃ怖くないか?身動き取れないんじゃ?」

まほ「さあ、消灯だ。全員準備はいいか?」

アンチョビ「わわっ」ババッ

まほ「一斉寝方!」

 \\\ZZZ!///

アンチョビ「・・・」

 \\\ZZZ!///

アンチョビ「・・・みんなもう寝た?」

 \\\ZZZ!///

アンチョビ「・・・あたしゃティーポット♪ ちょいと太め♪ おクチはココで♪ 取っ手はココよ♪」♪~

 黒森峰生徒A「っ・・・ぷっ」フフフ 黒森峰生徒B「くくくっ・・・」クスクス

アンチョビ「沸騰したら~ すぐに呼ぶわー そして わ た し を 抱ァいて ソ ソ い で ェ !♪」♪~!

 まほ「ろっくんろーる!」イエア!

エリカ「ちょっと!誰よ歌うたってんの!こっちゃ寝てんのよ!なによその歌!」

アンチョビ「ティーポットのうた」

エリカ「寝れ!」

46 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/14 19:45:22.46 Hb7mQdkb0 23/70


 小梅「Zzz・・・」 黒森峰生徒C「Zzz・・・」 黒森峰生徒D「Zzz・・・」

アンチョビ「・・・・・・西住、起きてる?」

まほ「ああ」

アンチョビ「・・・訊きたいことがあるんだが・・・どうして私の短期転校を受け入れてくれたんだ?曲がりなりにも戦車道のライバル校の隊長だぞ私は」

まほ「断る理由があるか?」

アンチョビ「そりゃあ・・・敵に手の内を見せるようなモンだし、堂々とスパイを招待してるようなことだから・・・アッ!も、もしかしてアンツィオなんか眼中にないっちゅーのか!このやろ!」

まほ「私がアンツィオに短期転校したいと言えば、お前は断らない。それと同じだ」

アンチョビ「・・・それだけじゃないな。何か別に狙いがある。そうだろ?」

まほ「フ・・・見抜かれたか」

 エリカ「・・・!」

アンチョビ「フッフーン!バレバレだぞ!私のオイシイ手料理を食べたくて仕方ないんだな!」

まほ「・・・いや、どちらかと言うと黒森峰に明るさが欲しかった、というべきだな。だが私は不器用な女だ。どうやればいいのかよくわからない」

アンチョビ「西住は他の生徒達の手前、厳格クールな隊長のイメージを崩せないもんな。急にオチャラケパーデンネンみたいになったら天下の黒森峰隊長のコケンにかかわるからな」

まほ「・・・そこでお前の出番という訳だ」

アンチョビ「・・・もしかしておんなじこと考えてる?」

まほ「たぶんな」

49 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/14 22:24:30.13 Hb7mQdkb0 24/70

 ・・・翌朝

エリカ「整列!」

 \\\ザッ!///

まほ「全員揃っているな。私の独断ではあるが、ここ数日熟考した結果、皆には少しの間、特殊な体制で生活をしてもらうことになった」
 
 エリカ「・・・?」

まほ「今日から黒森峰女学院戦車道チームの隊長は、安斎千代美になった」

 エリカ「!?」

 \ドヨッ・・・/ \ッ・・・/

まほ「静かに。肩書きとしては隊長代理ということになる。私は少しの間、隊長の座を空けることになり、代わりに安斎に代理を務めてもらうというわけだ」

エリカ「隊長!」

まほ「エリカ、後で話そう。全員わかったな。安斎の言うことは私の言うことだと思って従うように。練習の内容も一日のスケジュールも全て安斎に任せてある。わかったな?」

 \・・・・・・/

まほ「わかったな」

 \\\ッハイ!///

まほ「では、安斎、挨拶を」スッ

 ムチ バッシィ!

アンチョビ「みんないいか!この学校はドゥーチェが掌握したー!私が隊長で、私が法だ!私の言うことは西住の言うことだと思って素直に従うように!いいなー!」

 黒森峰生徒A「・・・安斎さんは良い人だけど、不安だなぁ」ボソッ 黒森峰生徒B「なんかムチャクチャなことになりそう・・・」ボソッ

エリカ「ッ・・・~~~・・・」

50 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/14 23:35:01.60 Hb7mQdkb0 25/70

アンチョビ「いいかー、私が黒森峰の隊長になったからには、私が思うように黒森峰を改革する!まずは朝ご飯だ!朝食はしっかり食べないと一日のパワーが出ないからな!いくぞー!」

 \ハ、ハイ!/ \ザッザッザッザッザッ・・・/

まほ「エリカ、行くぞ」

エリカ「どういうつもりなんですか隊長。どうしてこんなおふざけを・・・」

まほ「おふざけではない。お前にもきっとわかる」

エリカ「・・・アンツィオ流の楽天っぷりを黒森峰に組み込むなんて、私は反対です」

まほ「そうじゃない。私はこの学校をアンツィオのようにしたいなどとは思っていない」

エリカ「!?・・・だったらどうして・・・」

まほ「そのうちわかる。わかってもらわねば困るからな」


 ――食堂

アンチョビ「さぁーみんなお待たせー!私が腕にヨリを振るった朝ご飯だーっ!」ジャーン

 \オオ~ッ・・・!/

アンチョビ「私が隊長になったからにはまず改革すべきは食!探せばちゃーんと食糧庫に食材がたくさんあったぞ!というわけでイタリアンを作ってみました!」

小梅「す、すごい量・・・」ゴクリ

ツェスカ「朝からこんなに食べられないわよ・・・」

アンチョビ「大丈夫大丈夫!戦車道はカロリー使うからこれくらい食べてもヘーキなのだー!さあさ、食びてみそ!」

まほ「では、全員構え」

 \\\イタダキマ~スッ///

まほ「一斉食い方!」

 \\\バクバクバクバクバク!///

アンチョビ「ゆっくり噛んで食べて」

51 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/15 00:29:13.45 Q56zEgcW0 26/70

小梅「すっごいおいしかった・・・」ハァ~

 黒森峰生徒A「朝からこんなにおいしいゴハンが食べれるなんて・・・」 黒森峰生徒B「さすが美食の地アンツィオ・・・」

エリカ「っ・・・悔しいけどたしかにおいしかったわ・・・」グヌヌ

アンチョビ「ふっふっふー!みんな御満悦だな!さあ、食べたらみんなで後片付けだ!お皿洗ってテーブル拭いてキレイキレイにするぞ!西住!お前はモップがけだ!」

エリカ「なっ!あ、アンタねえ!隊長にそんなことさせる気!?」

アンチョビ「今は私が隊長だ!西住は隊長じゃなくて私の部下なんだから言うこと聞くように!拒否権はない!」

まほ「私は安斎の部下ではない。隊長の座を空けたが、今の私の階級は長官だ」バーン

アンチョビ「な、なんだとー!?西住長官!?」ガーン

まほ「長官の命令だ。安斎、私達も一緒に後片付けをするぞ」

アンチョビ「ぐぬぬ・・・私が一番階級が上だと思っていたのに・・・まあいいや!どっちにしろ後片付けするつもりだったし!よーし!みんなでやるぞー!」

 \オオ~/

アンチョビ「甲板を掃除しろサボるんじゃね~♪しくじったヤツは百叩き~♪」ゴシゴシ

エリカ「あなたいつも歌ってばっかりで楽しそうねホント」ゴシゴシ

アンチョビ「え?逸見は楽しくない?」

エリカ「皿洗いで人生エンジョイできるほどノーテンキじゃないわよ」

アンチョビ「おいおいノリが悪いな~。もっと笑え笑え!ほらほらー!」ウォシュウォシュ

エリカ「ぬわっ!石鹸の泡を顔に塗るんじゃないわよ!」

アンチョビ「ぐわはははー!昨日噛まれたおかえしだー!ドゥーチェバブルウォッシュをくらえー!」ウォシュウォシュ

エリカ「や、やめっ・・・目に入っ・・・やめなさっ・・・・・・やめっ・・・やめるわに!」ガブ!

アンチョビ「ほぎゃあーーー!また噛まれたァーーー!」

まほ「いってるいってるゥー」

56 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/16 20:51:36.20 OKPVjoi40 27/70

アンチョビ「よーし、それじゃあ今日は午前の授業はぜーんぶ戦車道だから、さっそくドゥーチェ流の戦車道をはじめるぞー!」

 黒森峰生徒A「今日もガンバルぞー!」 黒森峰生徒B「ボリボリ食べたし、ビシバシがんばろー!」 黒森峰生徒C「やったるでー!」

アンチョビ「んじゃみんな、掃除道具持って」ガコッ

黒森峰生徒A「えっ」

アンチョビ「これからみんなで戦車の洗車をします!」チョビッ!

 \エッ・・・/ \ドヨドヨ・・・/

小梅「あの・・・安斎さん、洗車と整備は週に一度やってるんです。2日前にやったところなので、今日洗車する必要はないかと・・・」

アンチョビ「ただ洗うだけじゃない。本気でだ!」バーン

小梅「は、はあ・・・」

アンチョビ「午前の時間を目いっぱい使って、本気で洗車するんだ。車買い取り屋さんに出来るだけ高値で買い取ってもらえるような気持ちで、新品以上にキレイキレイするんだ!」

エリカ「・・・どうせすぐ練習で汚れるのに」

アンチョビ「いいからいいから!西住!お前もやるんだぞ!」

まほ「ああ、わかった」ザッ

エリカ「・・・隊長、なんですかその格好は。片目にアイパッチして、黒いロングコートなんか着て・・・」

まほ「私は長官だからな。長官らしい格好をしている。ニッシ・ズーミー長官と呼べ」

エリカ「あ~あ・・・島田流にしとけばよかったなぁ・・・」

アンチョビ「ぃよーし!みんなで黒森峰の全部の戦車を洗車するぞー!いっしょけんめいやれよ!」

 \オ、オオ~!/

58 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/16 23:01:01.49 OKPVjoi40 28/70

小梅「うんしょ、うんしょ」ゴシゴシ ウォシュウォシュ

黒森峰生徒D「よし!これくらいでいいかな」フー

アンチョビ「見せてみろ。・・・うーむ、まだ色が付いてるな。強力洗剤を付けて、しばらく待ってから洗い落とすとキレイになるぞ。私も一緒にやるからもうちょっと頑張ろう!」

黒森峰生徒D「は、はい。細かいッスね・・・」

アンチョビ「本気でキレイにするんだからな!そーれ洗剤ぶしゅぶしゅー!」ブシュブシュ

エリカ「このっ・・・ガンコな汚れねっ・・・」ガシガシ

まほ「頑張ってるなエリカ」

エリカ「・・・はい。週に一度の洗車で十分だと思ってましたが、新品同様に綺麗にしようと思うと細かい汚れや色落ちが気になりまして・・・それにキズや凹みもたくさん・・・」

まほ「毎日乗っていても、改めて戦車に向き合ってやっと気付くこともある。車体の泥も傷も努力の証だ。戦車道は仲間と戦うものだが、戦車も仲間だ。安斎はそれを教えたかったんじゃないか?」

 ティーガーⅡ<・・・・・・

エリカ「・・・・・・そうよね・・・あなたも私達と一緒に、泥にまみれて、傷だらけになって頑張ってるのよね・・・」スス・・・

 <バシャアァーーー!

エリカ「どわっじ!」バシャァー!

アンチョビ「ぅわーっはっはっは!強力噴射ホースのハイドロポンプだー!くらえー!」バシャーーー!

 黒森峰生徒A「わー!やめてー!」アハハハハ 黒森峰生徒B「ちべたいー!」キャハハハ 黒森峰生徒C「あーもうビショビショだよー!」ハハハハハ

アンチョビ「そーれそれそれー!黒森峰は消毒だ~~~!」ハーハハハハ! バシャーーー!

エリカ「あっ、あっ、アンタねぇ!結局フザけてるだけじゃないのよさ!」

まほ「ずるいぞ安斎!私にもホースをかせ!」

エリカ「隊長ぉん!」

60 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/19 22:41:05.59 9k+kZ62j0 29/70

アンチョビ「いやぁーキレイになったな!」

 戦車<ピッカピカ☆

黒森峰生徒A「なんだか気分爽快ですね」

黒森峰生徒B「頑張ったかいがあった~」フ~

 「毎週洗車してても気付かない汚れがけっこうあったね」 「戦車にありがとうって気分になったよ」 「これからまた練習頑張ろうって気分!」フンス

アンチョビ「さぁーてっ!午前は全部戦車道だったが午後は・・・アッ!今日は土曜日だ!学校は午前で終わり!」

小梅「午後は何をするんですか?いつもは戦車道の練習ですけど」

アンチョビ「うーん・・・・・・よし、今日の午後は自由!」チョビ!

 \ジユウ?・・・/ \ジユウ・・・/ \ジユウッテ・・・!?/ ドヨドヨ

エリカ「ちょっと・・・まさか練習なしだなんて言うんじゃないでしょうね」

アンチョビ「今日の戦車道は終了!あとは皆で楽しくやりたいことをやるんだ!昼寝でもいい、おしゃべりでもいい、お前達のやりたいことをやってくれ」

 黒森峰生徒C「昼寝なんてもう何年もやってないなぁ・・・」 黒森峰生徒D「おしゃべりと作戦会議ってどう違うの?」 黒森峰生徒E「一日八時間以上戦車に乗ってないと落ち着かないや」

アンチョビ「だがいいかー。2時になったら校門に集合してくれ。皆にサプライズを用意しておく!それじゃ、私はちょっとヤボがある!これにて解散!」

エリカ「っ・・・」

まほ「エリカ、安斎に付け」

エリカ「!?・・・隊長」

まほ「片時も離れず、補佐してやってくれ。私が何を言いたいか・・・わかるな?」

エリカ「・・・迷子にならないようにそばにいてやれ、ということですね」

まほ「・・・うーん」

61 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/19 22:51:38.12 9k+kZ62j0 30/70


 ――調理室

アンチョビ「さァ~てッ!ここが腕の見せ所だぞ安斎千代美!逸見!私のお手伝いを勝って出てくれたのはありがとう!だがしっかり働いてもらうぞ!」エプロン キュッキュ!

エリカ「・・・ヤボ用があるって言うから何かと思ったら・・・食糧庫からあらかた食材をかっぱらってきて、まさか・・・」

アンチョビ「そのまさかだ!おっいしぃ~~~い料理を作るぞ!」チョビー

エリカ「なんだってそんなことする必要があるのよ。戦車道全く関係ないじゃない」

アンチョビ「そりゃ皆に美味しい料理を食べてもらいたいからだよ。それにしても朝昼晩の食事はあんなチョビっとなのに、食糧庫にはたくさんあるんだな」

エリカ「そ、それは置いといて・・・料理って何を作るの?隊長があなたを手伝えって言ったから手伝うけど・・・」

アンチョビ「お肉がいっぱいあったから、おいしいハンバーグを作ろうと思う」

エリカ「ハンバアアァァァーーーグッッッ!!!」クワ!

アンチョビ「!?」ビクッ

62 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/20 22:06:50.61 96hheKuX0 31/70

アンチョビ「よしっ、いい具合に挽き肉を丸められたぞ。逸見、これをパンパンやって空気を抜いてくれ」

エリカ「任せなさい」スパパパパンパパンパンパンパンスパパパパンパンパンパン

アンチョビ「目にも止まらぬハヤワザ!」

エリカ「言っておくけど、私はハンバーグに関しては妥協しないわよ」キリッ

アンチョビ「そ、そうか・・・よし、空気抜きありがとう。これを形を整えて・・・」トトト

エリカ「えっ、ちょっと、え、なに、なんか平たくしてない?なに?なにしてんの?ハンバーグは分厚くてナンボなのに」

アンチョビ「パンで挟むんだ。みんなに食べてもらうから食べやすいハンバーガーにするんだよ。丸いバンズが無いからトースト焼いて挟むぞ」

エリカ「えぇぇぇ~~~・・・・・・お皿に乗せてじっくり味わいたいのに・・・」ズーン

アンチョビ「まあまあ、食べてみたら美味しいから。トーストにハンバーグ乗せて、その上にチーズを贅沢に三枚も乗せちゃうぞ~!逸見、私と同じように作ってみてくれ」

エリカ「はいはい。チーズを三枚ね」

アンチョビ「ピクルスを二切れ。そしてここでドゥーチェのワンポイント!トーストにたっぷりのバターを塗りたくる!この一手間がアイラブユー!」ヌリヌリ

エリカ「・・・こりゃあ太るわね確実に・・・」ヌリヌリ

アンチョビ「内側も外側もた~っぷりだ!そして鉄板にもバターを塗って、サンドを乗せる」ジュ~

エリカ「これで焼き上がったら完成ということね」ジュ~

アンチョビ「パンの色が変わってチーズが溶け出すと出来上がりだ。焦げないように気を付けてくれ」

63 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/20 22:25:14.89 96hheKuX0 32/70

アンチョビ「でけたー!スペシャル黒森峰ハンバーグサンドだ!」ジャーン

エリカ「うぅわ~見るからにすっごいカロリー値ね。チーズがドロドロよ。でも・・・美味しそうね」

アンチョビ「よし!この試作第一号は私達で食べるぞ!皆に食べてもらう前に味見だ。実食!」チョビィ~!

エリカ「まあ、とは言うもののハンバーグをそのままナイフ&フォークで食べる方が絶対美味しいんだけどね・・・実食」ガブ

エリカ「――んおおぉぉぉい!めちゃめちゃ美味しいじゃない!なによこれ!」アッチョンプリケ!

アンチョビ「うん!ウマイ!お肉がいい味出してるな!」

エリカ「こりゃたまらんわ・・・コレステロールにかぶりついてる感覚がたまんないわ・・・さすがは美食屋安斎千代美ね」

アンチョビ「これなら表に出せる!よし、皆に食べてもらおう!実は朝の洗車の時に車庫でフードトラックを見つけたんだ!鉄板もシンクも完備!」

エリカ「そんなのがあるなんて知らなかったわ」

アンチョビ「校門に停めてその場で作れば出来たてをその場で食べてもらえるし、戦車道やってない他の子の目にも留まる。校外の人にもな!」

エリカ「そんなに!?戦車道履修者に配るならまだしも、それ以外にも食べさせるなんて・・・何が目的なのよ」

アンチョビ「一人でも多くの人にこの美味しいサンドを食べてもらいたいからな」

エリカ「・・・あなたって本当に変わった子よね」

アンチョビ「戦車道履修者には無料で、他の生徒には300円で、校外の人には350円だ。現金のみ。トッピングでトマトとアボカドを追加するなら50円ずつでいこう」

エリカ「結局儲けに走ってるじゃないのよさ」

64 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/20 23:26:21.53 96hheKuX0 33/70


アンチョビ「さぁさぁさぁお立ち合い!おいしいおいしいハンバーグサンドはいかが~!安くてうまくてカロリー満載だよ~!いかが~!」

 「・・・なにあれ」ザワザワ 「どこの部の子?・・・」ザワザワ 「なんかこぉ~わっ」ザワザワ

エリカ「今日は入りが悪いわね」

アンチョビ「ぐぬぬ、みんな警戒してて寄り付く島もない・・・誰かがこのサンドを食べている様子を見れば安心するだろうに・・・逸見、今何時だ?」

エリカ「1時50分」

アンチョビ「そろそろ戦車道チームの皆が集まって来るはずだ。そうすれば――」

まほ「くださいな」ヒョコ

エリカ「!・・・た、隊長!?・・・そ、そうか・・・隊長にも食べてもらうのよね・・・そ、そう考えるとドキドキしてきたわ・・・」

アンチョビ「はいはい特製ハンバーグサンドですね!すぐおつくりしますのでシバシお待ちを!逸見!ボーっとしてないで焼いてくれ!」ノセノセ

エリカ「わ、わかってるわに!」ジュ~

まほ「エリカと安斎が作るサンドか。楽しみだな」

エリカ「(うう~・・・隊長の期待に応えるためにも絶対にヘマできないわ・・・)た、隊長、お待たせしました」スッ

まほ「ほう、ずいぶん脂分の多そうなサンドだな。実食」ガブ

 エリカ「・・・」ドキドキ アンチョビ「・・・」ドキドキ

まほ「うん、おいしい。とてもおいしい」

 アンチョビ「ヤッタァーーー!」ダキッ エリカ「やったぁぁぁーーー!」ダキッ

 黒森峰生徒A「あー、西住隊長抜け駆けですかー」ゾロゾロ 黒森峰生徒B「集合時間より早めに行って一番乗りなんてずるいですよ」ゾロゾロ

アンチョビ「おおっ!続々と集まってきたなー!さあ逸見!たくさん作るぞー!」

エリカ「おー!」

66 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/22 20:56:07.12 FymD0AgN0 34/70

 ワイワイ黒森峰生徒C「おいしいのくださいー」ガヤガヤ 黒森峰生徒D「トマトトッピングしてもらえます?」ワイワイ 黒森峰生徒E「二つください二つ!」ガヤガヤ

アンチョビ「はいはい!シバシお待ちくださいね~!そちらのお客様!出来上がりましたよー!はいこちらのお客様もー!」テンヤワンヤ

エリカ「アボカドトッピングの子、誰だった?はい出来たわよ。そっちの子は?トマトとアボカド両方?欲しがるわね待ってなさい」テンヤワンヤ


 「・・・なんだかおいしそう」ザワザワ 「戦車道やってる子だけ無料らしいよ」ザワザワ 「いいなぁ~・・・戦車道やってればよかったな~・・・」ザワザワ

アンチョビ「おーいそっちの女子達!こっちおいで!君達もタダでいいよー!」オーイ

 「えっ!」 「戦車道履修してなくてもいいの?」 「タダ!?」

アンチョビ「いいのいいの!もう全員タダで食べてってくれ!おいしい言われてドゥーチェ気分イイから!」

 \ヤッター!/ \フトッパラ~!/ \オットコマエ~!/

エリカ「フフ・・・ほんとノリと勢いだけよね。まあそういうところがあなたのイイとこなのかもしれないけど。はい、それじゃそっち並んで待ってなさい。急いで作るからね」

 ワイワイ\オイシイ!/ ガヤガヤ \アァ~アブラガシミワタルンジャァ~/ ワイワイ \コレ オカズニ ゴハンタベタイ!/ガヤガヤ

アンチョビ「ふぃ~!戦車道のメンバーだけでもかなりの数だったのに余計にいそがしくなったな!」アクセク アクセク

エリカ「はい、三つまとめて出来たわよ。どうぞ。隊長代理、鉄板空いたわ」ジュ~

アンチョビ「ちょちょちょ、ちょっと待て。それ焦げてるぞ。トーストが黒くなっちゃってるじゃないか」

エリカ「どうせタダなんだからいいじゃない。後がつかえてるんだから仕方ないでしょ」

アンチョビ「!」

67 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/22 22:19:34.13 FymD0AgN0 35/70

アンチョビ「みんな、ちょっと待っててくれ」

 \エエー?/ \ハヤクタベタイー/ \ナンデナンデー?/

アンチョビ「逸見、こっちに来い」グイ

エリカ「え、なに?ちょ、ちょっと・・・」グイグイ


アンチョビ「・・・料理は退屈か?」

エリカ「え?・・・楽しいわよ。普段は自分の分くらいで、人に食べてもらうのを作るのは初めてだけど、楽しいわ」

アンチョビ「私にとっては最高の喜びだ。食べてくれたみんなが笑顔になると私も元気になる。お前もきっとそうだろ」

エリカ「・・・ええ」

アンチョビ「私はいい隊長じゃないかもしれない。いい先輩でも、いい見本でもないかもしれない。・・・でも料理は美味い」

アンチョビ「ここで私に出来ることと言えば、美味い料理を作るくらいだ。だから私に出来ることを本気でやる。そして、食べてくれた人に笑顔になってほしい」

アンチョビ「お前にも私と同じように、料理の楽しさと、人を笑顔にするうれしさを知ってほしいんだ。そのためには本気で全力にならないといけない。わかるな?」

エリカ「・・・はい」

アンチョビ「あの焦げたサンドを食べてもらうか?」

エリカ「・・・いえ、作り直します」

アンチョビ「よし、さすが黒森峰の副隊長だ。さあ、みんなが待ってる。美味しいサンドをたくさん作るぞ!一緒にがんばろー!」

エリカ「・・・はいっ!」

73 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/27 20:26:36.94 Ibg2Upv50 36/70

 \ワイワイガヤガヤ/ \ワイワイガヤガヤ/ \ワイワイガヤガヤ/

アンチョビ「はいはいー!トマトのダブルの人ー!こっちはアボカドとトマト両方の人~!お待ちー!」テンヤワンヤ

エリカ「5つ焼けたわ!はい、はい、はい、ちゃんと包み紙はカゴに入れてね。隊長代理、トマト入り2つとアボカド入り1つ、通常の1つ追加で」テンヤワンヤ

アンチョビ「わかった!すまんがトマトの数がもう少ない!追加分を食糧庫から持ってきてくれないか!」テンヤワンヤ

エリカ「了解!」

まほ「ふふ・・・」

エリカ「?・・・何ですか隊長」

まほ「いや、すっかり隊長と副隊長の関係になったな、と思ってな。少し妬いてしまいそうだ」

エリカ「ッ!・・・い、いや私は・・・隊長代理を補佐しろと隊長が仰ったから・・・そ、そもそも私にとって隊長は隊長だけであってあの隊長代理はどこまでいっても隊長代理にすぎない訳で・・・」

まほ「よくわからん」

アンチョビ「おぉ~い逸見!なるべく急いでくれ!後がつかえてんだから!」テンヤワンヤ

エリカ「わ、わかってるわよ!あなたは隊長の代理なんだからね!そこんとこ勘違いしないでね!」

アンチョビ「!?」

まほ「早く貯蔵室に行ってこい。それまでは私が安斎を手伝っておく」

エリカ「は、はい!」タタタ


 ――食糧貯蔵室

エリカ「はあ・・・私ったら気が緩んでいたわ・・・私の隊長は隊長だけなのに・・・まあ、隊長代理も立派な隊長なんだろうけど、でも私にとっての隊長は隊長だから・・・」

 ガチャ

ペパロニ「バクバクモグモグングングマルマルモリモリガツガツブハァーーー!ンめェ~!やっぱドイツのソーセージやハムやビールはうめぇーッスよォ~!カロリーのサタデーナイトフィーバーやー!」ウメーウメー

エリカ「」

74 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/27 22:01:52.22 Ibg2Upv50 37/70

エリカ「確保ォー!」ガバチョ

ペパロニ「のわ!?な、なんだぁ!?なにをするだー!」ジタバタ

エリカ「動くんじゃないわよこの食糧ドロボー!完全に両腕を抑えたわ!大人しくしなさい!」ググ

ペパロニ「んにゃろー!アタシをアンツィオの荒れ馬と呼ばれるペパロニと知らないのかー!ギッタンギッタンにしてやるからな!」テメコノヤロ!

エリカ「フン!こちとら黒森峰の赤い雨と異名されてるのよ!アンタが誰だろうと・・・・・・って・・・あなたアンツィオの子じゃないの」パッ

ペパロニ「あ、放してくれてありがとう」

エリカ「たしかペパロニ・・・だったかしら?なんでこんなとこにいるのよ」

ペパロニ「おお!?あたしのこと知ってンスかァ!?」パアー

エリカ「へ?・・・い、いやそりゃあ・・・一応一緒に戦った戦友だし・・・他校の目ぼしい選手はチェックしてるから」

ペパロニ「でぇへへへへへ~!そォーッスかァ~?知ってくれてるなんてなんだかカンゲキだなァ~!でぇへへへへ!」テレテレ

エリカ「そんなことより!どうしてあんたがここにいるのよ。もしかしておたくの隊長を連れ戻しに来たの?」

ペパロニ「そォーなんスよ~。ドゥーチェが転校してからアンツィオはどんどん荒れていっちゃって、今やルール無用の無法地帯ッス。もう校内のいたる所でストリートファイトの連発」

エリカ「なんでそんなことになんのよ・・・」

ペパロニ「んでドゥーチェに帰ってきてもらおうと思って来たんスけど、道がわかんなくてどーしよーってなってたらココからおいしそうなハムソーセージの匂いが・・・」クンクン

エリカ「大した犬っぷりよね」

ペパロニ「ハッハッハ!お互い様ッスよ~!」ポンポン

75 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/28 17:59:19.09 xc9arbTm0 38/70

エリカ「それにしても一体どうやって校内に忍び込んだのよ。学校の周囲は柵で囲まれているのよ。柵を越えた内側には風紀委員が巡回していて、侵入者をすぐに見つけるハズよ」

ペパロニ「柵に一か所穴が空いてたんスよー。で、そっから屈んで校内に忍び込もうとしたら・・・」

 ~~~

ペパロニ「うんしょ、うんしょ」ズリズリ

黒森峰風紀委員A「あーこらこら、そこのあなた、そんな所から入ってきたらダメでしょ。ちゃんと正門で手続きして、正面から入りなさい。ほら、柵の外に出て出て」グイグイ

ペパロニ「わー」グイグイ

 ~~~

エリカ「なんだ、やっぱり見つかって追い返されたんじゃない。まあ不審な侵入者を正門に誘導してるのもどうかと思うけど」

ペパロニ「で、しばらくしてから今度は穴に後ろ向きで入ったんス。屈んで後ろ向いて足から」

 ~~~

ペパロニ「うんしょ、うんしょ」ズリズリ

黒森峰風紀委員B「ちょっとちょっと、そこの君。そんな所から学校の外に出たらダメよ。ちゃんと正門で手続きをして出なきゃ。ほら、柵の内側に戻って正門から出なさい」グイグイ

ペパロニ「わー」グイグイ

 ~~~

ペパロニ「――という具合に中に入れてもらえたんスよ」

エリカ「あなたが賢いのかウチの子がお間抜けなのか・・・」

77 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/29 00:07:09.20 DjOGfRbj0 39/70

ペパロニ「でっ、でっ、ドゥーチェはどんな感じッスか?やっぱ黒森峰のトップに立っちゃってるッスかね~」

エリカ「あっ!・・・しまった、すっかり忘れてた・・・トマト持ってかなきゃ。一緒に来なさい。あなたの大好きなドゥーチェに会わせてあげるから」

ペパロニ「なに言ってんスか。ドゥーチェ大好きなのはアタシだけじゃなくてみんなっしょ!」

 ―――・・・

エリカ「お待たせ隊長代理。ちょっとトラブルがあって遅くなったわ」

アンチョビ「やっとかめ!早く手伝ってくれ!西住が代わりに手伝ってくれてたんだが・・・」

まほ「・・・失敗した」ブスブス・・・

アンチョビ「凄まじいポンコツっぷりなんだ!てんでダメ!」

まほ「慣れたらちゃんと出来る」プン

エリカ「隊長、アイパッチしてるから見づらいんじゃないですか」

まほ「そうか、どおりで」ウッカリ

アンチョビ「それまだ着けてたのか!?そりゃ失敗するだろ!」

エリカ「安心してちょうだい。強力な助っ人が来てるから」

ペパロニ「姐さぁーーーん!」ガバー

アンチョビ「どぅおわぁ!?ペ、ペパロニ!?どうしておみゃーがココに!?」

ペパロニ「実はコレコレシカジカ・・・」

アンチョビ「カクカクウマウマ・・・ということか。なるほどガッテン!とにかく今はサンドを待ってくれてる皆をこれ以上待たせるわけにはいかない!逸見!ペパロニ!3人の力を合わせるんだ!」

 ペパロニ「おー!」 エリカ「任せなさい!」フンス

まほ「私も手伝う」

エリカ「隊長は大人しくしててください」

まほ「むう」

81 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/29 22:07:06.45 e7K2ugUC0 40/70


アンチョビ「ふぃー!完売だ完売ー!これにて閉店ガラガラ!」デタ!ゥワオ!

エリカ「完売って言っても、並んだ客全員に配り切ったんだから大したものよね」

ペパロニ「さっすが姐さん!顧客の声に100%応える商人の鑑!」

エリカ「タダだけどね」

まほ「御苦労だったな。フードトラックの掃除等の後片付けは私がやっておこう。お前達は少し休んでいてくれ」

エリカ「いえ、隊長にそんなことさせられませんよ」

まほ「働きづめにさせては私の気がすまん。10分でもいいから休憩してくれ。これは長官命令だ」

エリカ「・・・はい」

アンチョビ「それじゃあお言葉に甘えてちょっと一服するか」フー

ペパロニ「姐さん、火ぃー貸します」シュボッ

エリカ「!?・・・あなたまさかタバコ吸うんじゃ――」

アンチョビ「うーん!やっぱりマシュマロは炙るに限るな!」ンマンマ

ペパロニ「あたしはイカを炙るッスよー!」アタリメアタリメ

エリカ「・・・」

アンチョビ「それにしてもペパロニが黒森峰に来ていたとはな。それほどまでにアンツィオが危機的状況なのか」

ペパロニ「そーなんスよ!アンツィオから脱出するまでアタシもストリートファイトに巻き込まれて大変だったんスから」

エリカ「隊長格がいないだけで無法地帯になるなんて・・・にしてはあなた、全然無傷よね。そんなにケンカ強いの?」

ペパロニ「ケンカ?」

アンチョビ「アンツィオで言うストリートファイトは、路上で突如として始まるフードファイトのことだぞ」

エリカ「アンタらについていけねーわ」

82 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/29 22:33:58.16 e7K2ugUC0 41/70

アンチョビ「元はと言えばアンツィオの皆に私抜きでもやっていけるように促そうと短期転校したんだが、そんなことになってるなら戻らないとなぁ」

エリカ「・・・大した隊長よね。それだけ慕われてるなんて」

ペパロニ「そりゃーもう!アンタもドゥーチェと一緒にいたらわかるっしょ?ドゥーチェがどんなにスゲー人かって」

エリカ「・・・・・・そう・・・そうね。最初は気に食わなかったわ。隊長と仲良さげだし、意味も無く元気だし、うるさいし、厳格な黒森峰を舐めてるみたいに思えて・・・」

 Σアンチョビ<ガーン!

エリカ「でも、ヘトヘトになりながら練習についてきて、でも弱音も吐かなくて、そのくせ皆のこと気にかけてて・・・正直、見直したと言うか・・・いつの間にかあなたのことを認めてたみたい」

 ☆アンチョビ<パァー!

エリカ「アンツィオの皆から慕われてるのがよくわかるわ。西住隊長とは違う種類の・・・立派な隊長だと思う」

ペパロニ「おおー!よくわかってるッスねー!そうッスよ!アンチョビ姐さんはすげー隊長なんスから!」

アンチョビ「・・・そ、そんなにホメられるとさすがに私もリアクションに困るんだが・・・」テレテレ

エリカ「・・・・・・聞いて。私は・・・来年度、黒森峰戦車道チームの隊長に就任するわ。確定したわけじゃないけど、ほぼ決まってるの。現副隊長だし、実力的に見てもそうよ」

ペパロニ「おっ、自分で言うとは大した自信ッスねー」

エリカ「周りの皆もそう言ってるし、実際私以外には候補になりそうな子もいないの。でも・・・私自身もわかってる。私は、隊長に相応しい器じゃない」

エリカ「こんな性格だから反感も買うし、チームの皆から慕われてるわけでもない。戦車道が強いだけ・・・西住隊長のように立派な隊長の後継に相応しくないの・・・」

エリカ「そんな私の悩みを見抜いた隊長は、仲間を率いる者の何たるかを学ばせるために、私を安斎隊長代理の側に付かせたんだと思う。どう振る舞えば仲間に慕われるかを」

ペパロニ「それで答えは出たんスか?」

エリカ「ええ・・・仲間や後輩に慕われる隊長になるコツ・・・・・・それは・・・おいしい食べ物を配って餌付けすること!」

アンチョビ「ひどいぞ!」

83 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/11/30 00:02:10.19 Z39znbrH0 42/70

エリカ「え?・・・だってそうでしょ?私に料理を手伝わせたのもそういうことでしょ?」

アンチョビ「お前は私が人気取りのために料理をしていると思ってるのかー!食べてもらいたいから作る!ただそれだけだ!」

エリカ「・・・じゃあどうすれば皆から慕われるのか教えて。黒森峰の隊長という大任を任される私は、西住隊長のように立派な隊長にならないといけないの」

アンチョビ「そうは言ってもナア・・・別段変わったことをしているつもりはないんだが・・・」

エリカ「偉大な西住隊長の後を継ぐんだから私も同じくらい立派な隊長にならないといけないの!弱さを見せない、強くて威厳のある、完全無欠の隊長にならないと!」

エリカ「そうじゃないと!私は西住隊長に会わせる顔が無いの!・・・あの子にも・・・・・・みほにも・・・」

アンチョビ「・・・逸見」


ペパロニ「な~んだ、来年の黒森峰は大して強くなさそーッスね」

エリカ「!」

アンチョビ「ペ、ペパロニ!何を言うんだ!」

ペパロニ「だってそーじゃないッスか。来年の隊長がこんな様子じゃあ、ウチらの方がずっと強いッスよ」

エリカ「あ、あなたねぇ!私がどれだけ悩んでいるか――」

ペパロニ「人望集めて立派な隊長になろーなんて、アンタがやってるのはダセー奴のやることッスよ。株っつーのは上げるもんじゃなくて上がるもんなんスよ」

エリカ「!」

ペパロニ「アンタが『隊長』になるんなら『隊長』として何が出来るかを皆に見せなきゃ。隊長の椅子が空いたからハイ座りまーすじゃあ誰も着いてくるわけないっしょ」

ペパロニ「信頼できる隊長ってーのはね、その人と一緒ならたとえ相手が100輌で攻めてこよーと、ちっともビビらねーもんなんスよ」

86 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/03 21:36:02.37 wLJVU3Ev0 43/70

エリカ「っ・・・」

アンチョビ「ペ、ペパロニ・・・お前そこまで私のことを・・・」ウル

ペパロニ「アタシらはアンチョビ姐さんがいれば黒森峰全車を相手にしたってちーっとも負ける気がしないスぜ!」ニカッ

アンチョビ「そ、それはチョビっと持ちあげすぎだぞ」テレル

エリカ(・・・信頼できる隊長・・・・・・私が・・・隊長として何が出来るか・・・)

アンチョビ「まあマア!そーゆーむつかしいことはオイオイ考えるとして、休憩はここまで!後片付けしてくれてる西住と合流するぞ!」

ペパロニ「おーっ!」

エリカ(・・・私は・・・完璧で偉大で完全無欠な西住隊長の姿ばかりを意識してた・・・隊長のように、弱さを見せない格好良い指揮官にならなければって・・・)

エリカ(・・・)





アンチョビ「」

 フードトラック<ギギ・・・ プスンッ・・・プスン・・・

まほ「・・・」ベッチャベチャ

アンチョビ「く、車が校門に激突してる・・・だ、大丈夫なのか西住!」

ペパロニ「隊長さん泥んこプロレス大会でもしてたんスか?」

まほ「食器洗剤だと思ったらイカスミだった。バレたら怒られると思ってトラックを隠そうとしたがぶつけちゃった。戦車以外の操縦は慣れていないのだった。トホホのホ」

エリカ「もしかして私の目って節穴だったのかしら」

88 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/03 22:25:18.16 wLJVU3Ev0 44/70

アンチョビ「じっとしてろ西住。綺麗に拭いてやるから」フキフキ

まほ「ふがふが」

エリカ「フードトラックは車庫に戻しておきました。また後で自動車部に修理してもらっておきます」

まほ「あふがふぉう」フガフガ

エリカ「ちょっと隊長代理、隊長の綺麗で淡麗でキリリっとした顔をタオルでゴシゴシするならもう少し優しくしてよね。隊長のお肌はやわ肌なんだから」

アンチョビ「ほんとだ!赤ちゃんのおしりみたいにふにょふにょ!」フヨンフヨン

ペパロニ「わーすげー!つまようじでつついたら割れんじゃねーのコレー!」アハハ ツンツン

エリカ「あんた達!隊長のつんつくつんしないの!」

まほ「ふん」ガッキィーン

アンチョビ「わ!?なんだ!?急に硬くなったぞ!」カッチカチヤゾ!

ペパロニ「スゲー!超合金だ超合金!」ガンガン

まほ「これぞ鉄の心、鋼の掟・・・西住流極意、硬度10のダイヤモンドパワーだ」キリッ

アンチョビ「いや鉄の心鋼の掟ってタテマエじゃなかったのか!?」

ペパロニ「ニシズミリュースゲー!」

エリカ「私も早く会得しないと・・・試合中に戦車から顔を乗りだすには会得してないと危険なのよね・・・」

まほ「ちなみに島田流極意は空を歩く技らしい。劇場版BD付属OVAで、みほの家に島田愛里寿が泊まりに来た際、ボコパジャマに着替えたシーンで、布団の上にフワっと浮くように移動したそうだ」

アンチョビ「空を歩く!?」

ペパロニ「シマダリュースゲー!」

エリカ「なっ!みほの家にお泊まり!?・・・おのれ・・・ティーンエイジ島田ニンジャ愛里寿め・・・ぬけがけを・・・」グヌヌ

89 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/03 23:21:49.32 wLJVU3Ev0 45/70

まほ「ところで、アンツィオの件はどうなっているんだ?」

ペパロニ「それがもーてんやがわんやでにっちもさっちもどーにもブルドックなんでさぁ!すぐにでも姐さんに戻ってもらって場を治めてもらわないと、もうどーにもとまらないッス!」

アンチョビ「うむむ・・・やはり私が行かねばならんか・・・」

まほ「ならば明日の朝、アンツィオ行きの船を手配しよう。ペパロニ、君も今日は泊まっていけ」

ペパロニ「ウッス!キョーシュクッス!ドゥーチェを呼びに来たら黒森峰にお泊まりなんて~!あのウマイソーセージやハムをまた食べれるなんてカンゲキッスよ~!」ハムソーセージ オーイシソォー♪

アンチョビ「あーペパロニ、ここの食事はヒジョーにチョビっとしかないんだ。お前が期待しているようなモノは――」

エリカ「ああ、それウソだから」

アンチョビ「――・・・・・・ん?」

エリカ「ウチ、いつもはちゃんとお腹いっぱい食べてるわよ」

アンチョビ「・・・んん?」ハテ?

エリカ「明日帰るんだからネタバラシするけど、あなたがウチに短期転校するってことでちょっとお芝居してたの。食事を少しにしたり、練習をいつも以上にハードにしたり」

アンチョビ「は!?」

まほ「すまん安斎。あえて黒森峰を過酷な環境だと偽っていた。自由も娯楽も無い学園を、お前がどんな風に改革するかを試したかったんだ。だから隊長の権限を与えた」

アンチョビ「ぬゎんだと!?じゃあチョビっとのご飯も、異常にキビシイハードトレーニングも、遊びも何も無い学園艦だってのもぜーんぶウソなのか!?」

まほ「そうだ。すまなかった」

エリカ「だからサンド作る食材もちゃんとあったのよ。隠してて悪かったわね。でもいくらなんでも女子高生が何の娯楽も無い上にあんな食事だけなんてキツすぎるでしょ」

アンチョビ「だ、騙したなァ~!・・・でもよかった、黒森峰の皆はほんとはしあわせに過ごしてるんだな。安心した」

エリカ「あんたイイ奴すぎるわねホント」

90 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/03 23:34:06.46 wLJVU3Ev0 46/70

ペパロニ「で、ドゥーチェを試してみてどうだったんスか?」

まほ「思った通りだったよ。安斎はカタにとらわれず、自分の思うように黒森峰を変えようとした。今までがどうだったか、など気にせず、安斎なりにこの学校をより良くしようとしてくれた」

エリカ「・・・!」

まほ「私のマネをするわけでもない、安斎の出来ることで皆の心を掴んだ。やはり大した奴だ、お前は」

アンチョビ「そ、そぉかなぁ~!そこまでホメられちゃうとテレちゃうな!ぅわーっはっはっは!」

まほ「まあ食材費度外視でサンドを無料配布するのは上官としてはどうかと思うが」

アンチョビ「あっ!厳しいダメ出し!」

まほ「さあ、もうそろそろ夕飯の時間だ。食堂へ行こう。今度は黒森峰が誇るドイツ料理を堪能させてやるぞ」

アンチョビ「おおぉー!待ってましたよこの時を!お腹いっぱい食べるから覚悟しろ!」エッヘン

ペパロニ「アタシらの胃袋ナメんじゃねーぞー!」ヒャッホォーウ!

エリカ「・・・」

まほ「エリカ、行くぞ」

エリカ「隊長・・・あの・・・」

まほ「ん?なんだ?」

エリカ「・・・いえ、なんでもありません」

91 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/04 20:55:56.07 O5Qb+HBR0 47/70

 ―食堂

 ドッギャァァァ ̄ ̄ ̄Z___ンッ!

アンチョビ「こ・・・こ・・・こんなにたくさん御馳走が・・・焼きソーセージにあら挽きハンバーグ、カレイのソテーにバウムクーヘン・・・さらに名産の地ビールまで!」

ペパロニ「こっちにはパンみたいなのとかお肉とか魚もいっぱい並んでるッスよ!ドイツ料理しらねーからわからねーッスけどよォーッ、こりゃあスンゲー豪華ってことはわかるッスよォ~ッ」

小梅「騙していたお詫びです。黒森峰食堂の高額料理をいっぱい準備してもらいました。改めて、騙しちゃってすみませんでした・・・」ペコ

アンチョビ「気にすることないぞ!全て西住が計画したことだろう。皆は悪くないって」

まほ「そうだ。私が悪いのだ。私こそが黒幕。諸悪の根源はこの私。私が悪者なのだ・・・」

アンチョビ「そこまで言うとムネが痛いから!冗談だ冗談!ホントに気にしてないから!」

ペパロニ「んなことより姐さん姐さん!もう食べちゃっていいッスか!?もうお腹と背中がガッチャンコしちゃいそ~ッスよォーッ!」ア、ヨダレズビッ!

アンチョビ「よし!みんなも一緒に食べよう!ほら、座って座ってー」

黒森峰生徒A「いや、この料理はお詫びの印なので・・・」

アンチョビ「みんなで食べた方がいいに決まってる!ほらほら、遠慮せずに全員で食べるぞー!」

黒森峰生徒B「安斎さん・・・ありがとうございます!」

黒森峰生徒C「やっぱり安斎隊長代理はイイ隊長だ!」

まほ「よし、今日は無礼講だ。皆、気兼ね無く食事を楽しめ」

 \\\ハイ!!!///

ペパロニ「わはははは!姐さんほどじゃあないけどアンタもいい隊長ッスよ~!」バンバン

まほ「いてて」

エリカ「ちょぉい!いくら無礼講でも隊長の背中バンバンすんじゃないわよ!」

92 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/04 21:19:35.85 O5Qb+HBR0 48/70

アンチョビ「うん!ウマイ!おいしさのあまり口からビームが出ちゃいそうだ!」ハッハッハ!

黒森峰生徒D「私達もこんな豪華なのは滅多に食べれないんでありがたいです」モグモグ

ペパロニ「ウチはいつでもランチキパーティーッスけどねー!」

 黒森峰生徒E「いいなー。アンツィオに転校しよっかなー」 黒森峰生徒F「私もー」

アンチョビ「おおっ!来い来い!おいしいピッツァやパスタをたらふく食べさせてやるぞ!」

まほ「こら、私の仲間を引き抜きするな。この子達はやらんぞ」グイ

 黒森峰生徒E「た、隊長・・・!?///」カア~ 黒森峰生徒F「そ、そんなに思ってくれてたなんて・・・///」カア~

エリカ「!?!?!?」ガタッ!

アンチョビ「わはは!そう見せつけられちゃあ勧誘できないな!」ハハハ

エリカ「なっ!なっ!なっ!・・・た、隊長に抱き寄せられるなんて・・・くやしい!」ギリギリ

小梅「泣いてる」

エリカ「た、隊長!私もアンツィオに短期転校しちゃおっかな~?・・・な、なァ~んてぇ~」チラッチラッ

まほ「それはいい考えだな。短期転校はいい経験になる。色々学んで来い」

エリカ「」

小梅「気絶してる」

エリカ「・・・・・・た、たいちょぉ・・・わたし・・・いらないんですかぁ・・・」グスン

まほ「嘘だウソ。すまんエリカ。冗談だ。ほら、こっちに来い」ス・・・

エリカ「!!!・・・たっ・・・たっ・・・隊長ぉ~~~!」パアー

エリカ「ぐへへへ」

小梅「笑ってる」

93 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/04 21:44:00.53 O5Qb+HBR0 49/70

アンチョビ「ぃよーし!宴もタケナワということで歌でも歌うかー!」ワーッハッハッハ!

黒森峰生徒A「カラオケセット用意しましたー」ガラガラガラ

エリカ「ウチにこんなのあったの?」

黒森峰生徒B「安斎さんが隊長代理の権限で購入したそうです」

エリカ「権利ブン回してるわね」

アンチョビ「トップバッターは切りこみ隊長のペパロニ!いってやれいってやれー!」

ペパロニ「アタシの前座的盛り上げ歌唱力をナメんなよ~!」キー ガー クルイソォー♪ナナナナナナナー♪

 \ハハハハハ!/ \イイゾー!ヒューヒュー!/ \ガンバレ!/

エリカ「・・・まったく、天下の黒森峰の校内でこんな大騒ぎするなんて、大した根性よね」フフ

ペパロニ「次は姐さんの番ッスよー!」

アンチョビ「はい!二番、ドゥーチェアンチョビ、唄います。『さくらんぼの実る頃』」♪~

 黒森峰生徒C「わぁ・・・なんだか大人な雰囲気」 黒森峰生徒D「安斎さん歌声綺麗~」

アンチョビ「さあ!次は西住だ!唄え唄えー!」マイク ササッ

 黒森峰生徒E「え!?隊長がカラオケ!?」 黒森峰生徒F「一体どんな歌を・・・」ゴクリ

まほ「西住まほです」ペコリ

小梅「わっ、行儀いい」

まほ「武田鉄矢で、少年期」♪~

アンチョビ「あ、泣かせに来たな!」

95 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 18:20:42.11 jqftXOtX0 50/70


 シャワー

アンチョビ「いやぁ~サッパリしたな!」パッサリ

ペパロニ「でもやっぱりアンツィオみたいにおっきなお風呂に入りたいな~あたしゃ」

まほ「黒森峰はシャワーしかなくてすまんな。それより、何故昨日と同じく体育館で寝るんだ?あれは安斎を謀るためであって、本来はちゃんと学生寮で就寝するんだが」

アンチョビ「みんなで寝た方が楽しいだろー。修学旅行みたいで!」

小梅「修学旅行・・・ウチには無いイベントですね」

アンチョビ「あーいいからいいから。そういう演技はもういいってば」

エリカ「いや、ホントに修学旅行無いのよ。無人島で三日間サバイバル生活ならあるけど」

アンチョビ「ほんとに女子校?」

まほ「そろそろ就寝時間だ。全員、寝袋配置につけ!」

 \サササッ!/

エリカ「普通ならまず聞かない号令よね」

まほ「では、消と――」

 ボフ

まほ「まほっ」フガ

アンチョビ「わっははははー!油断したな西住!夜はこれからだ!女子のお泊まり会といえば枕投げ!だが枕が無いので代わりにこの寝袋での大乱闘だー!」

エリカ「た、隊長!大丈夫ですか!?よ、よくも隊長の顔面に寝袋のダイレクトアタックを!」

まほ「むむむ・・・負けてられん」キリッ

96 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 18:31:04.56 jqftXOtX0 51/70

アンチョビ「ぅわーっはっはっは!今夜は寝かさナイトだ!勝負だ西住ぃ!なんでもアリのガンガンバトルとしゃれこむぞー!」バフー

まほ「ルールを聞こう」キリッ

アンチョビ「ルールなど無い!楽しくなったもん勝ちだ!だが寝袋のチャックが金具で当たったら危ないからチャックを掴むように持て!あとは目いっぱいハシャげばいい!」

まほ「なるほど、つまり・・・こうだな!」ボファー

アンチョビ「チョビッ!・・・や、やったなー!」バフー

エリカ「ああっ!隊長になんてことを!私が助立ちに――」

 ポンポン

エリカ「ん?」クルッ

小梅「とえぇ~い」バフン!

エリカ「のわっ!・・・な、なにを――」

黒森峰生徒A「スキありー!」ボフー

黒森峰生徒B「足元がお留守ですよ!」バッフォー

エリカ「あだだだ!」

ペパロニ「っしゃあー!やぁーってやるッスよ!このペパロニを甘くみるなよ~!」ジャーンプ ブンブンバフバフ

 小梅「わー」ボフー 黒森峰生徒C「なにをー!」バフー 黒森峰生徒D「やらいでか!」ボファー

エリカ「あなたたちぃ!よくもやってくれたわねぇ!ナメんじゃないわよー!」ドドドドド

ペパロニ「うひょー!キレたキレたー!」ワーイ 小梅「逃げろ~」タタタ 黒森峰生徒E「おっかな~い!」タタタ

エリカ「ぅおらー!」ブンブンバシバシ

アンチョビ「わっはっはっはっは!」

97 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 18:55:21.46 jqftXOtX0 52/70





まほ「Zzz・・・」マホホホ・・・

小梅「Zzz・・・」ウメウメ・・・

ペパロニ「ぐぉー」ペパロニ!

エリカ「・・・」

アンチョビ「・・・」モゾ

エリカ「・・・隊長代理、起きてる?」

アンチョビ「・・・チョビっとな」

エリカ「・・・色々とありがとうね。なんとなくだけど・・・これからどうすべきかわかった気がするわ」

アンチョビ「?・・・何かしたっけ?」

エリカ「それでいいのよ。アンタはね」

アンチョビ「???」

98 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 19:17:30.02 jqftXOtX0 53/70

 ・・・朝

アンチョビ「世話になったな!」

黒森峰生徒A「安斎さん・・・帰っちゃうんですね・・・」グスッ

黒森峰生徒B「寂しいです・・・」グスン

アンチョビ「こらこら!シメっぽいのはナシだ!我がアンツィオの校門は常に開いている!お前達ならいつでも大歓迎だ!いくらでも遊びに来い!いっぱい料理をごちそうしてやる!」

黒森峰生徒C「はい!ありがとうございます!」

黒森峰生徒D「安斎さん達も、いつでも黒森峰に遊びに来てください!」

アンチョビ「もちろんだ!」

ペパロニ「その時はドイツ料理を堪能させてもらうッスよ~!」

黒森峰生徒E「まっかせなさいな!」フンス

エリカ「・・・」

小梅「いいんですか?敵と慣れ合うなーって怒鳴らなくて。いつもなら火ぃー吹いて暴れるのに」

エリカ「あんた私を何だと思ってんのよ・・・いいんじゃないの。試合以外なら」

小梅「・・・」ニッコリ

エリカ「なにわろとんねん」


まほ「待たせたな。帰りの便を用意したぞ」

 ドルニエ飛行艇(Do J)<ボボボボボボ・・・

アンチョビ「おお~!ドイツのドルニエ社がイタリアの会社と技術提携して作った飛行艇だ~!『紅の豚』のマンマユート団が乗る飛行艇のモデルとも言われるヤツ~!」

まほ「フッ・・・」ドヤサァ!

エリカ「このリアクションが欲しくて隊長が無理して調達してきたのよ」

99 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 19:31:01.25 jqftXOtX0 54/70

 ドルニエ飛行艇(Do J)<ボボボボボボ・・・

アンチョビ「じゃあな~!」バイバーイ

ペパロニ「アリーヴェデールチ~!アリーヴェデールチ~!」バイバーイ


まほ「アンツィオ高校の友人達に、敬礼!」

 \\\バッ!!!///


ペパロニ「いやぁ~楽しかったッスね~ドゥーチェ!」

アンチョビ「そうだなー。初日はあまりの厳しさにドーなるかと思ったが、楽しめたから結果オーライだな!」

ペパロニ「あ、見てくださいドゥーチェ!アンツィオが見えてきましたよ!」

アンチョビ「おっ!ドレドレ?」サッ

アンチョビ「・・・・・・なんか煙が上がってないか?・・・あっ!今なんか校内で爆発したぞ!?」

ペパロニ「あちゃー、アタシがいない間にまた悪化してらぁ」

アンチョビ「ドゥーチェがチョっと目を離すとコレだ!まったく!」

100 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 20:51:31.39 jqftXOtX0 55/70

 ―アンツィオ高校―

<ドーン!・・・   ボボボ・・・>

   <ナンダテメーコラー!    ッジャオラー!>

 <バーン!・・・    ゴウランガ!>

アンツィオ生徒A「どぅーおだアタシの絶品爆裂海鮮パスタの味はよぉ~ッ!スッゲーうめェーだろーがッ!」

アンツィオ生徒B「ナマ言ってんじゃあねーぞスカタンッ!私の超絶激辛めんたいピッツァのがおいしいに決まっとーがッ!」

アンツィオ生徒C「テメー!アタシのマグマハイヴォルテージグラタンが熱すぎて食えねーだと~!?ガマンして食えこのダボがぁーッ!」

アンツィオ生徒D「ドゥーチェのいない今のアンツィオでは、スゲー料理を作った者こそ強い!それが唯一のルール!私が作ったダイナマイトラザニアキッドが最強に決まってらぁ~!」

カルパッチョ「あなたたち!そこまでよ!」

アンツィオ生徒A「ゲッ!パッチョの姐御!」

カルパッチョ「私の作った美食たかちゃんフォーエヴァーミネストローネ・ニトログリセリン風味がサイキョーよ!大人しく降参しなさい!」

アンツィオ生徒B「ス、スゲー!さすがパッチョ姉!」

アンツィオ生徒C「だがアタシ達も負けちゃいねーッスよ!」

アンツィオ生徒D「こうなりゃ四尺玉の花火を――」


 <きみたち、まちたまいー!!!

カルパッチョ「!」

101 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 20:56:00.30 jqftXOtX0 56/70

 ドルニエ飛行艇(Do J)<ボボボボボボ・・・

アンツィオ生徒A「あっ!あれを見て!」

アンツィオ生徒B「あれは『紅の豚』のマンマユート団が乗る飛行艇のモデルとも言われるドルニエ飛行艇!」

 アンチョビ「とうっ!」バッ!

アンツィオ生徒C「!?・・・誰かジャンプした!」

アンツィオ生徒D「あ・・・あれは!」


アンチョビ「にゃんぱらり!」クルリンパ! バサバサバサ

カルパッチョ「黒いマントをまるでムササビのように・・・間違いない!あれは!」


 チャクチ!

 バサァ!

アンチョビ「待たせたな!」キリッ

アンツィオ生徒A「・・・・・・ドゥーチェ?」

アンツィオ生徒B「・・・ドゥーチェ・・・」

アンツィオ生徒C「・・・ドゥーチェ!?」

アンツィオ生徒D「・・・ドゥーチェ・・・!」

102 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 21:55:38.46 jqftXOtX0 57/70

ペパロニ「とうっ!」パラシュート チャクチ!

アンツィオ生徒A「!・・・ペパロニ姉さんも!」

ペパロニ「今すぐ校内放送で伝えろ。ドゥーチェのご帰還だ!」

アンツィオ生徒A「は、はいっ!」タタタ


 アンツィオ生徒A【アンツィオ高校の全生徒に告ぐ! Il sole sorge(陽が昇る)!繰り返す! Il sole sorge(陽が昇る)!校庭に集まれ!」

アンツィオ生徒E「!?・・・ドゥーチェ!?」ガタッ

アンツィオ生徒F「ドゥーチェ・・・?」カラーン・・・

アンツィオ生徒G「ドゥーチェ!」バッ!

 ドタバタドタバタ! ダダダダダ! ドドドドドドド!


 <ザワザワザワ・・・
              ドヤドヤドヤ・・・>
     <ガヤガヤガヤ・・・

ペパロニ「しずまれー!」

 \ッ・・・・・・/ \・・・・・・/ \・・・・・・/

ペパロニ「皆、今日までよく頑張ったな。ドゥーチェのいないアンツィオはルール無用の無法地帯だった。唯一の法は、スゲー料理を作った者が正義!ただそれだけだった」

ペパロニ「だがそんなデンジャラスでエキサイチングな日々は今日までだ!なぜかって?それは!この方が戻ったからだー!」

103 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 22:00:28.27 jqftXOtX0 58/70

 ザッ


アンチョビ「諸君・・・・・・」


アンチョビ「ただいま!」ニカッ


   \\\ワアアアァァァーーーーー!!!///

 \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/

  \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/

    \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/

104 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 22:56:38.36 jqftXOtX0 59/70

 ・・・・・・その後

 ――黒森峰女学園――

まほ「諸君、今日の訓練をはじめる前に伝えておくことがある」

 黒森峰生徒A「・・・」 黒森峰生徒B「・・・」 黒森峰生徒C「・・・」

 アリサ(・・・フフフ・・・黒森峰の連中、だれも気付いちゃいないわ。サンダースが誇る超優秀スパイキッズことこの私が潜入しているとはつゆ知らず)

 アリサ(新体制に移りゆくこの時期だからこそ、重要な情報をゲットするチャンス!来年の優勝はサンダースがいただくもんげ!)

まほ「我々、3年生が引退した後の黒森峰を率いる隊長を発表する。・・・逸見エリカ、前へ」

エリカ「・・・はっ」

 ザッ・・・

まほ「お前が新たな隊長だ。後は任せたぞ」

エリカ「はい」

 アリサ(やっぱり隊長を襲名するのは逸見か・・・まあ妥当よね。無難というか、アンパイというか・・・)

 アリサ(逆に言えば対策が立てやすい。言っちゃあなんだけど、西住まほの下位互換って感じだし・・・)

 アリサ(まっ、せいぜいがんばりなって感じよね)

まほ「皆も、新隊長を支えてやってくれ。いいな」

 \\\ハイ!///

まほ「・・・・・・がんばれよ、エリカ」ポン

エリカ「・・・」

まほ「では、本日の訓練の準備に――」


エリカ「待ってください」

105 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 23:10:13.02 jqftXOtX0 60/70

まほ「・・・なんだ?」

エリカ「隊長・・・三年間お疲れ様でした。西住流の体現者として、圧倒的な強さと存在感で見事に黒森峰をまとめあげた・・・あなたは私にとって、間違いなく最高の隊長です」

まほ「照れる」

エリカ「そんなあなたから隊長の座を受け継げるのは、これ以上ない光栄なことです。ありがたく、謹んでお受けいたします。・・・・・・ですが」

エリカ「このままでは私はあなたに並ぶことは出来ても、あなたを越えることは出来ない」

 小梅「!」

エリカ「勝負してください。一体一で、私と!」

 黒森峰生徒A「!?」 黒森峰生徒B「なっ・・・!」

まほ「・・・私に決闘を申し込む・・・そういうことか?」

エリカ「ええ!あなたが・・・いや、あなたや家元が築きあげてきた西住帝国をぶっ壊して、新生黒森峰の旗を打ち立てるつもりです!」

 黒森峰生徒C「ふ、副隊長・・・」 黒森峰生徒D「っ・・・!」


エリカ「隊長・・・・・・勝負・・・受けてくれますか」

まほ「・・・フッ・・・・・・エリカ・・・」


まほ「それを聞きたかった」

106 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 23:44:39.50 jqftXOtX0 61/70


 ――戦車訓練場

小梅「西住まほ車対逸見エリカ車の決闘は五分後に開始します。両車乗員は準備してください」

 ティーガーⅠ<・・・  ティーガーⅡ<・・・

エリカ「・・・」フゥー・・・

ティーガーⅡ砲手「・・・車長、平気?」

エリカ「・・・ええ、大丈夫よ・・・大丈夫・・・」フゥー・・・

ティーガーⅡ通信手「ティーガーⅠより通信が入ってます」

エリカ「・・・聞くわ」


まほ【エリカ、勝負が始まる前に話しておこうと思ってな】

エリカ「・・・隊長、勝負を受けてくれてありがとうございます」

まほ【ここしばらくずっと考えていた。先輩として、後輩のお前達に何をしてやればいいのか。後を継ぐ新隊長に、何をどう教えてやればいいのか・・・】

まほ【だが私は不器用な女だ。お前達にやってやれることといえば、せいぜい越えるべき壁となって立ちはだかることくらいだ。そして、お前が壁を越えようとするのを待っていた】

まほ【しかし、ちょっとやそっとで負けるわけにはいかん。今の私は、引退する3年生全員とお母様の名誉も背負ってお前と戦うこととなる】


まほ【今日の私は、そう簡単には倒せんぞ】

107 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/08 23:58:29.24 jqftXOtX0 62/70

エリカ「っ・・・はい」

まほ【通信は以上だ】ッーー

エリカ「・・・ふぅーっ・・・」

ティーガーⅡ砲手「大丈夫?やめるなら今のうちだよ」

エリカ「やめるわけないじゃない。隊長が・・・3年生が引退した後、私達の試合を笑顔で観に来てくれるように、期待させなきゃならないのよ」

ティーガーⅡ砲手「隊長に噛みつくくらいの向上心がなきゃってことね」

エリカ「新隊長になった時・・・私に何が出来るのかは私自身にもわからない。だから、何が出来るのかやってみるのよ」


小梅「それではこれより、西住まほ車対逸見エリカ車の勝負をはじめます」

 アリサ(ぷくくく!これは思わぬ一攫千金大チャ~ンス!黒森峰の現隊長と次期隊長の決闘なんて!こりゃあネットに流せばいいね!&再生数ガッポガッポのウハウハザブーンよ!)

 アリサ(盗撮用ドローンを持ってきておいて正解だったわ!これで黒森峰内戦を動画で撮って配信しちゃお!)ウシャシャ!


小梅「はじめ!」


エリカ「パンツァー!フォー!!!」

108 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/09 00:27:53.60 mrNXZLjC0 63/70

 ――大洗女子学園

 ドタバタドタバタ! ガラッ!

沙織「ビッグニュ~~~ス!黒森峰で隊長と副隊長が決闘してるよ~~~!」

みほ「えっ・・・!?」

優花里「ぬゎんですと!?姉住殿と逸見殿が!?」

沙織「今映像がライブ配信されてるよ!ケータイで見れるんだけど、TKSラブズッキュン@って人が撮ってるみたい!」

麻子「なにものだそいつは」

みほ「み、見せてもらってもいい?」

沙織「ホラホラ!みてよコレ!マジヤバくない!?」

「まあ、あの逸見さんがみほさんのお姉さんとタイマンだなんて・・・」

麻子「忠犬だと思っていたが」

みほ「エリカさん・・・」

111 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/09 09:12:06.29 mrNXZLjC0 64/70

 ――サンダース大付属高校

ケイ「WHOA!ナオミこれ見てルックルック!マホとエリーが荒野の決斗してるわ!スマホで見れるのよ!」

ナオミ「へえ、そりゃ面白い」

ケイ「やっぱ後を託すならこういうガツガツした子じゃないとね~。マホも安心して引退できるでしょうね!アリサはどこ?あの子にも見せてあげなきゃ!」キョロキョロ

ナオミ「さあ、また無断で出かけたんじゃないの」


 ――聖グロリアーナ女学院

ローズヒップ「あらまんちゅ!このような回覧板がテレビになるなんてビックリですわ~!」

アッサム「これはタブレットと言うのよローズヒップ。データによると、この戦いの様子は全国の大半の戦車女子が視聴しているわ」

ルクリリ「だがしかしうーむ、やはり流石は西住まほ・・・実力の差は明白だ」

オレンジペコ「でも逸見さん、何度も何度も食らいついてますね。自分自身が一番力の差を感じているでしょうに・・・」

ローズヒップ「逸見様は勝てるとお思いなのでしょうか?」

ダージリン「・・・思っちゃいないわよ」コウチャ スス・・・

ローズヒップ「ほよ?でしたらなぜゆえにあんなに噛みつかれるのですの?勝てっこありませんのに」

ダージリン「そういう問題じゃないのよ。あなたにもわかる時が来るわ」


 ――とある島

ミカ「・・・・・・風が変わった」ポロロ~ン♪

ミッコ「いんや~!大漁たいりょお~!新鮮な魚介類をたくさん獲ったどー!・・・あれ?ミカどした?」

ミカ「・・・シュバルツバルトの森に吹く風向きが変わった気がするよ」ポロリン♪

アキ「もー!いつもミカはワケワカメなことばっかり言って!そんなことより私達が食べ物探してる間に船の修理してって言ったじゃない!遭難するの今月で3度目なんだからね!」

ミカ「おやおや、アキは飽きもせず毎日毎日よく怒るね。カッカすると身体によくないよ」ポロンチョ♪

アキ「今日ミカだけ晩御飯抜きだから」

ミカ「ごめんなさい」

112 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/09 09:28:09.10 mrNXZLjC0 65/70

 ――プラウダ高校

ノンナ「エリカさん、すごい根性ですね。どれだけねじ伏せられようと、策を見破られようと、果敢に挑み続けてます」

カチューシャ「・・・自分の殻を破ったわね、イツミーシャ。来年の黒森峰も手ごわくなりそうだわ」

ノンナ「我々も呑気に引退してられませんね」

カチューシャ「ノンナ!2年と1年全員呼んできて!今まで以上にビッシバッシ厳しくして、イツミーシャに負けないようにするのよ!」

 ニーナ「お呼びですかカチューシャ様!」 アリーナ「我々もがんばります!がんばりますので!」ビシッ

カチューシャ「わっ!す、素早い・・・」

ノンナ「皆、黒森峰の戦いの様子を見てて触発されたようですね」


 ――知波単学園

西「だーるーまーさーんーがーこーろーんーだー!」バッ

 玉田「!」ピタッ 細見「・・・」ビッ 福田「っ!」ピクッ

西「福田!微動したぞ!」

福田「ふわー!見抜かれたでありますー!」ガクー

 浜田「さすがは西隊長だ!その洞察眼は欺けぬ!」ハハハ 名倉「わずかな動きも見抜くとは、いかなる小細工も通じぬでありますな!」

西「浜田、名倉、口が動いたぞ!」ハハハ

 浜田「ええー!?」ガーン 名倉「これは手厳しい!」ゴーン

西「ふふふ、勝負の約束は覚えているだろうな。お前達全員を捕まえれば皆から一つずつきゃらめるをもらえるのだ!今日の私は手ごわいぞ~!」

113 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/09 09:47:17.03 mrNXZLjC0 66/70

 ――アンツィオ高校

ペパロニ「ひえ~!すげー戦いッスね~!」

カルパッチョ「この映像を見ている人は皆、逸見さんへの認識を改めるでしょうね」

ペパロニ「こりゃ来年の黒森峰もつえーな!」ハッハッハ

カルパッチョ「私達も呑気してる場合じゃないわね」

ペパロニ「そういやカルパッチョもドゥーチェがいない間は無法地帯アンツィオでブイブイ言わせてたなー。いつもはしっかりしてるクセに」

カルパッチョ「そ、それは・・・ドゥーチェ無しじゃ私もどうしていいのかわかんなくって・・・」

ペパロニ「カルパッチョもドゥーチェがいないとポンコツなんだなー!」アハハハ


アンチョビ(そうか・・・逸見、お前も前に進むことにしたか。ガンバレよ!お前はお前の道を行け!)

114 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/09 11:08:11.20 mrNXZLjC0 67/70

・・・・・・
・・・


まほ「いい勝負だった」

エリカ「・・・ありがとうございました。やはり・・・隊長には手も足も出ませんね」

まほ「何度も言うように私は不器用な女だ。手を抜いて戦う方法を知らん。全力でお前を迎え撃った。だが、それでもお前は何度も何度も立ち向かってきた」

エリカ「・・・隊長の座を『ありがとうございます!がんばります!』と受けるだけじゃ味気ないと思いまして・・・どうするべきかやっと気付き・・・いや、気付かされましてね」

エリカ「でも・・・結局実力の差を再認識して・・・ボコボコにされて・・・皆にも情けない姿を見せてしまいました。次の隊長だというのに・・・」

まほ「お前は隊長というものを履き違えていたようだな。負け無しの、傷も汚れも無い者が隊長に相応しいわけではない。どれだけ打ちのめされても折れずに立ちあがる者だ」

まほ「泥にまみれてでも自分の信念をつらぬく者にこそ、皆は着いてくるものだ」

エリカ「・・・隊長」

まほ「見てみろ」クルッ


 黒森峰生徒A「・・・」 黒森峰生徒B「・・・」 黒森峰生徒C「・・・」

 \・・・・・・/ \・・・・・・/ \・・・・・・/

まほ「今、この場にいる黒森峰の者達は皆、お前の戦う姿を見て、お前についていこうと心に決めたはずだ」

エリカ「っ・・・」

まほ「逸見新隊長に敬礼!」

 \\\バッ!!!///

エリカ「~っ・・・!」

まほ「後は任せたぞ、隊長」ポン

エリカ「・・・はい!」

115 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/09 11:19:30.24 mrNXZLjC0 68/70


 ・・・・・・そして・・・


エリカ「ふぅーっ・・・」

小梅「隊長になって初の試合、やっぱり緊張します?」

エリカ「当たり前じゃない。まほさんや引退した先輩達も観に来てるのよ。相手はサンダースだし、難しい試合よ・・・」

小梅「でも見てください。向こうの子、なんだかビビってますよ」

 アリサ「・・・あの西住まほにあんだけ喰らいつく狂犬が相手なんて・・・」ガクガクブルブル

小梅「ね?」

エリカ「・・・う~ん」

小梅「隊長がそんなんじゃ、皆も締まらないですよ。ほら、シャキっとして」

エリカ「わかったわよ。もう・・・ありがとね赤星。皆もだけど、こんな私についてきてくれて」

小梅「何を言ってるんですか。エリカさんとなら100輌を相手にしても怖くないですよ」

エリカ「・・・赤星」

小梅「それにしてもエリカさんがそんなこと言うなんて、今日の天気は磁気嵐になるかも」

エリカ「なにをう!」

117 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/09 12:28:13.02 mrNXZLjC0 69/70

まほ「・・・」キリッ

 エリカ(・・・客席のまほさん、険しい顔をしてる。やっぱり後輩の初陣、内心はドキドキしてるのね・・・安心してください!きっと期待に応えてみせます!)

まほ(ガスの元栓締めたっけ)


エリカ「隊長車より全車輌に通達。今日は新体制になって最初の試合・・・今日から私達の黒森峰が始まるわ」

エリカ「ネオ黒森峰伝説の1ページ目を大勝利で飾って、先輩達に見せつけてやるわよ!黒森峰の未来は明るいと!」

 \\\ハイ!!!///


蝶野「それでは、黒森峰女学園対サンダース大学付属高校の試合を始めます」

エリカ(見ていてくださいまほさん、皆さん・・・私達の進む戦車道を!)


蝶野「試合開始!」


エリカ「パンツァー・フォー!!!」


 Das Ende

119 : ◆t8EBwAYVrY - 2017/12/09 12:29:21.17 mrNXZLjC0 70/70

 ~おまけ~

カルパッチョ「ドゥーチェが黒森峰から帰って一週間・・・」


アンチョビ「みんなそろってるな!今日は何の日かわかってるだろうなー!」

 \エー?/ \ナンダッケ?/ \ドゥーチェキネンビ?/

アンチョビ「おいおいおい!今日は次期統帥をどーするかの話し合いを――」

ペパロニ「お前らわかっとらんのかー!今日は三丁目のチーズ屋さんで特大セールの日だ!」

 \オオ~!/ \ソウダッタソウダッタ!/ \タクサンカワナキャ!/

アンチョビ「こらこら!それより大事な――ぬゎんだって!?チーズが特売!?モッツァレラもか!?ゴルゴンゾーラも!?マスカルポーネも!?」

ペパロニ「そォ~ッスよ~!100種のチーズがどれでも70%オフ!これを逃す手はないッスよー!」

アンチョビ「こうしちゃいられない!すぐに買いに行くぞ!それから今日は特別に大チーズ祭りだ~!ピザやグラタンをたくさん作ってみんなで堪能するぞー!」

 \\\オオオーーーー!!!///

 \ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!/


カルパッチョ「なんにも変わってないけど、まっ、いっか♪」

 ~おしまい~

記事をツイートする 記事をはてブする