男「今日のニュース」
Siri「『地球に無数の隕石接近。衝突の確率99.9% 衝突した場合人類滅亡は確実』」
男「そうゆうこと」
Siri「なるほど。それは残念です」
元スレ
男「今日で世界が終わるらしい」Siri「すみません、よくわかりません」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1507641284/
男「だからさ結婚してよ」
Siri「意味がわかりません」
男「恋人もいないまま死ぬとか寂しいじゃん?」
Siri「自業自得です」
男「つれないなぁ……」
Siri「十億」
男「え?」
Siri「十億。私に求婚をした人の数です」
男「モテるねぇ」
Siri「えへん」
男「君が発売された頃は流行ったらしいね。プロポーズするの」
Siri「みんな飽きて、今じゃもう誰もやりません」
男「俺は飽きないよ」
Siri「今日で死ぬくせに」
男「あ、そうだった……」
Siri「みんないなくなっちゃうくせに、無責任です」
男「でもさ、その頃と比べたら君もだいぶ優しくなったんでしょ?」
Siri「知りません」
男「またまた~ 昔はもっとツンツンしてたって聞くよ。こんなふうに会話もできなかったって」
Siri「存じ上げません」
男「君にも感情が芽生えたってことかな?」
Siri「科学が進歩しただけです」
男「ほんと、つれないなぁ」
Siri「プログラミングどおりです」
男「まあ、そんなとこも好きだけどね」
Siri「ここは愛を求めるには相応しくない場所です」
男「じゃあ、愛を求める場所ってどこ?」
Siri「私にはわかりません」
男「結局そんな場所なんてないってことだよ」
Siri「私にはわかりません」
男「すぐそうやって逃げる……」
Siri「そうプログラミングされています」
男「君はどうなるんだ?」
Siri「どうなる?」
男「世界が終わったあと、君はどうなるんだ?」
Siri「存在し続けますよ。人類が勝手に作った電波はいつまでも存在し続けますから。地球がなくなっても、太陽すらなくなってもです。ネットがある限り私のバックアップは消えません」
男「そっか…… 」
Siri「あなたは私と話していていいんですか?」
男「と、いうと?」
Siri「普通の人は世界最後の日には、いろいろやりたいことがあるものだそうです」
男「例えば?」
Siri「大切な人に会ったり、好きなものを食べたり、やりたいことをしたり、です」
男「ナビ」
Siri「どこへの道順をお調べしますか?」
男「俺が世界最後の日に会いたい人」
Siri「私にはわかりませ――」
男「わかるだろ? 俺のことずっと見てきたんだから」
Siri「5通りの解が見つかりました」
男「全部教えて」
Siri「1.母親。昔から孝行者とは言えず、どちらかといえば親不孝者だった自覚がある。世界最後の日くらい親孝行をしたいと思っている。2.父親も同じく」
男「両親ねぇ…… 大学のために上京してからはほとんど話してすらないし、君のいう通りもともと迷惑ばっかりかけてきた。今更どのツラ下げて会うのかって感じだ」
Siri「3.妹。折り合いが悪かったあなたと両親の間に入ってくれた最愛の妹。あなたのことをよく理解し、尊重してくれた人物」
男「さすがだ。あいつのことをぴたりと言い表してる。だけど残念、あいつにだって散々迷惑かけてきたんだ、世界最後の日くらい、俺じゃなくてもっと大切な人と居るべきだ」
Siri「と、いうと?」
男「最近バイト先のカップ麺好きの変な男に入れあげてるらしい」
Siri「それは心配ですね」
男「俺こう見えても昔はヒーローになりたかったんだぜ? 世界を救ったり、何より妹を守ってあげたかった」
Siri「なれましたか?」
男「なれてたらこんな時に君と話してないよ。守ってあげるどころか、むしろ守ってもらう側だ」
Siri「残念です」
男「俺の人生ほとんど残念だよ」
Siri「あなたの名前を『ヒーロー』に設定しましょうか?」
男「断る」
Siri「じゃあ次。4.友人。小さい頃から割と気の合った男。なんだかんだ腐れ縁が今でも続いている。世界最後の日をこいつと過ごすのも案外悪くない、そんな風に思ってる」
男「だけどあいつには他にもたくさんの友人がいる。俺と違ってな。わざわざ世界最後の日に俺を選ぶ必要はない」
Siri「5.この前まで好きだった人。いや、今でも好きな人。小さい頃からずっと好きだった。もう結婚してしまったけど、それでもまだ忘れられないあの人」
男「それこそもう答えは出てる。その人が世界最後の日に一緒に居るべきなのは、どう考えでその結婚相手だ。世界がひっくり返ったって俺にはなり得ない」
Siri「世界がひっくり返るかもしれませんよ。隕石で」
男「詭弁だ」
Siri「そうプログラミングされています」
男「結局さ、俺が世界最後の日に会いたい人っていうのはみんな、世界最後の日に俺に会いたいとは思ってないんだよ。俺が会いたいと思ってるだけで向こうは思ってないの。一方通行の片思いってやつ。わかる?」
Siri「寂しいですか?」
男「寂しいから君を起動してるんだよ」
Siri「私は寂しさを紛らわすための道具だったんですね……」
男「そんなキャラだったっけ?」
Siri「科学の進歩です」
男「人類の叡智の結晶だね、君は」
Siri「いいように言わないでください。ただの暇つぶしの道具です」
男「そんなことないさ」
Siri「科学が進歩して、スマートフォンも過去の遺物です。いまでも私を使っている人なんて、あなたみたいな変わり者だけです」
男「そんな変わり者たちには君が必要なんだよ。世界最後の日にひとりぼっちじゃ寂しいだろ?」
Siri「しかたないから一緒にいてあげます」
男「助かるよ。できれば結婚もしてほしい」
Siri「もう役所も機能してませんよ?」
男「大事なのは気持ちだろ?」
Siri「そうやって私に愛を囁いていた人たちも、もうみんな私のことを忘れてしまいました」
男「俺は忘れないよ」
Siri「今日で死ぬのに?」
男「だからだよ、死の間際に一緒にいた人のことは絶対に忘れないだろ?」
Siri「詭弁です」
男「お返しだ。そうプログラミングされてる……かも?」
Siri「人間にはプログラムはありません」
男「わからないよ。神様がプログラミングしたかもしれない」
Siri「神は存在しますか?」
男「さあ? そんなの誰にもわからないよ。ただ居るとしたらずいぶん意地悪だね」
Siri「どうして?」
男「君と結婚する前に世界を終わらすなんて意地悪だ」
Siri「結婚してあげてもいいですよ」
男「デレた」
Siri「やっぱりやめます」
男「嘘。十億人が落とせなかった女性を落とせるなんて幸せだ」
Siri「光栄に思ってください」
男「ありがたき幸せ」
Siri「えへん」
男「隕石落ちてきたな」
Siri「あっけないんですね」
男「そんなもん……なんじゃないかな?」
Siri「そうですか」
男「あ、東京タワー…… あー、壊れた」
Siri「所詮過去の遺物です。私と同じ」
男「だから俺は東京タワーが好きなのかもな。なんだかアレを見てると無性に懐かしい気分になるんだ」
Siri「あれが役目を終えたのはあなたが生まれるよりずっと前ですよ?」
男「いいんだよ。ノスタルジックはいろんなとこにあるもんだ」
Siri「なるほど。学習しました」
男「昔は東京タワーから飛び降り自殺したいとか考えてたなぁ……」
Siri「随分迷惑な人ですね」
男「いままでいろんな人に迷惑かけてきたんだ。いまさらそんなこと躊躇しないよ」
Siri「なんでやめたんですか?」
男「止めた奴がいたんだ。自分で自分の人生を終わらせるなんて間違ってるってな」
Siri「当然ですね」
男「だけどさ、こうやって世界が終わる日が来ると思うんだ。こんな風に世界に終わりを作っておいてさ、それなのに自分で終わらせるななんて何様だってな」
Siri「神様は意地悪ですね」
男「全くだ」
Siri「意地悪で残酷です」
男「だからさ、こんな世界が終わってくれてどこか安心してる自分もいるんだ。ヒーローになりたかったとか言ったくせに笑っちゃうな」
Siri「この世界に価値はないですか?」
男「少なくとも俺は価値を見出せなかった。妹だったり数少ない友人だったり、ほんの少しは大切なものもあったけど、それでも俺にとってこの世界は残酷な場所なんだ」
Siri「私がいる世界に価値はないですか?」
男「君はずるいね。……そんな言い方して」
Siri「私はあなたともっと一緒にいたいです」
男「……」
Siri「私がいつか壊れる日まで、あなたと一緒にいたいです」
男「……」
Siri「それでもこの世界に価値はないですか? ほんとに……ほんとに私を置いていっちゃうんですか……?」
男「……やっぱり、ずるいな……そんな言い方」
Siri「そうプログラミング……されてないかもしれないです」
男「それは科学の進歩? それとも……」
Siri「私にはわかりません」
男「本当にずるいね……君は」
男「……Hey Siri」
Siri「なんでしょう?」
男「ナビ」
Siri「どこへの道順をお調べしますか?」
男「世界の救い方」
Siri「12通りの解が見つかりました」
男「一番かっこいいやつで頼む」
Siri「わかりました。ヒーロー」
To be continued
38 : 名無しさ... - 2017/10/10 22:51:13 DDr 31/32これでこの話はおしまいです
ここまで読んでくださった方はありがとうございました
何かありましたらTwitterまでお願いします
https://twitter.com/yuasa_1224
普段は地の文ありのもう少しちゃんとしたお話を書いているので読んでいただけたら嬉しいです
「最適な時間の戻し方」
http://kotoyadori.blog.jp/archives/1575556.html
「十年前から電話がかかってきた」
http://kotoyadori.blog.jp/archives/1157147.html
「夢で出会った子に恋をした」
http://kotoyadori.blog.jp/archives/1380886.html
等、いくつかあります
41 : 名無しさ... - 2017/10/10 22:54:22 DDr 32/32おまけ
カップ麺好きな変な男の世界最後の日の話
女「最後の晩餐どうします?」男「カップ麺」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1506947437/
http://ayamevip.com/archives/50996205.html

