少年「ねえねえ」
父「ん?」
少年「ナゲット割って、父ちゃん」
父「いいとも!」
父「よっ!」グッ
父「はっ!」ググッ
父「……?」
父(わ、割れない……ッ!?)
元スレ
少年「ナゲット割って、父ちゃん」父「わ、割れない……ッ!?」母「どうすんだい!!!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1498490898/
父(そんなはずはない! もう一度だ!)
父「ふんっ!」グッ
父「むんっ!」ググッ
少年「あれれー? 父ちゃんって、チキンナゲットも割れないの?」
父「……ッ!」
少年「母ちゃーん! 父ちゃんってば、ナゲット割れないの!」
母「なんですって!?」
父「すまない……」
母「あなた……男のくせにナゲットも割れないなんて……」
母「どうすんだい!!!」
父「うわああああああああああああああああああああああっ!!!」タタタタタッ
父(愛する妻にも息子にも、すっかり愛想を尽かされてしまった……)
父(そりゃそうだ……一家の大黒柱がこんなに非力じゃ、不安でたまらないだろうしな)
父(だが、このままでは終わらん!)
父(私は……ナゲットを割れる男になってみせる!)
父(そうと決まれば、ナゲットを割れるように修行しよう!)
―空手道場―
道場主「ほう……空手を習いたい、と」
父「はい」
道場主「なぜ習いたいのだね?」
父「ナゲットを……割るために」
道場主「ふざけた動機だが、ここまで決意に満ちた瞳ははじめてだ」
道場主「入門を許そう」
父「ありがたき幸せ!」
道場主「正拳突き、100回!!!」
父「オスッ!」
父「せやっ! せやっ! せやぁっ!」ビュオッ ビュオッ ビュオッ
道場主(これは……かなりの才能の持ち主だ)
父(全力で鍛えてやる! 全てはナゲットを割るために!)
―ジム―
父(空手を習うだけではなく、体も鍛えねば!)
父「ふんっ!」ググッ…
マッチョ「ほう……」
マッチョ(この男……筋肉は大したことないが、“心の筋肉”は光り輝いている!)
マッチョ「よろしければ、あなたの筋トレに協力したい」
父「お願いします!」
……
……
マッチョ「ベンチプレス300kgだ。今のあなたなら、やれるはず!」
父「はいっ!」
父「うおおおおおおおおおおっ!!!」グンッ
マッチョ「おみごと!」
―空手道場―
道場主「瓦20枚……割ってみせい!」
父「オスッ!」
父「セリャアアアアアアアアッ!!!」
バキャァァァァァンッ!!!
道場主「よくやった!」
父「オスッ!」
父(時は満ちた!!!)
―自宅―
父「……戻ったよ」ザッ
少年「父ちゃん!」
母「あなた!」
父「さあ、チキンナゲットを用意してくれ……叩き割ってみせる!」
少年「はい、チキンナゲットだよ」
父「ありがとう」
少年「今度こそナゲット割って、父ちゃん!」
父「いいとも!」
父(この一ヶ月の特訓の成果を……この拳に注ぎ込む!)コォォ…
父「うおおおおおおおおおおっ!!!」ブオッ
パッキャアアアアンッ!!!
父「や、やった! 割れた……ッ!」
モクモクモク…
父「!?」
母「ナゲットから煙が!? どうすんだい!!!」
少年「……」ニヤッ
フハハハハハハハ……!
邪神「フハハハハハハハハハ……!」モワモワモワ…
父「な、なんだ!? この鳥のような化け物は!?」
母「あなた、今割ったこれ……チキンナゲットじゃないわ!」
母「絵の具でチキンナゲットっぽい色をつけただけの石だわ!」
少年「うう……」
邪神「その通り……それはチキンナゲットではなく封印石!」
邪神「我は封印から解放されるために、貴様らの子供の意識を乗っ取り」
邪神「封印石を割らせようとしていたのだよ!」
邪神「そして、それは見事に成功したというわけだ!」
母「どうすんだい!!!」
父「自分のケツぐらい自分で拭くさ……私が復活させてしまった邪神は私が倒す!」
父「セヤアァァァッ!」グオッ
邪神「無駄だ……」
ドゴォッ!
父「ごぶっ!」
邪神「封印から解いてくれた礼だ。貴様ら一家は生かしておいてやろう」
邪神「そして、我によって世界が支配されるところを、指をくわえて見ているがよいわ!」
父「お、おのれっ!」
母「ダメよ! 今のあなたじゃ、邪神には敵わないわ! 我慢すんだい!!!」ガシッ
少年「そうだよ、父ちゃん!」
父「くっ……!」
父(邪神……! いつか必ずお前を倒してみせる!)
フハハハハハハ……!
20XX年――
復活した邪神は世界各地で暴れまわり、邪悪な者を手下とし、世界各国の軍隊に勝利を重ねた。
人類は邪神の軍門に下ったのである……。
三年後――
人々は邪神の支配にあえいでいた。
邪神は“食”を支配することこそが、人類を支配することだと考え、民衆から徹底的に食料を奪った。
人々は餓えに苦しみ、わずかな食料を醜く奪い合うようになっていた。
もはや、人類に希望はないと思われた……。
少女「おなか、へった……」ヨロ…ヨロ…
邪神兵「貴様ァ! 誰が手を休めていいといった!」ビシッ バシッ
少女「あうう……」
邪神兵「これだけ殴っても作業を再開しないとは……生贄として邪神様に捧げてくれる!」
「……やめろ!!!」
邪神兵「なんだ、貴様は!?」
父「私は……お前たちのような邪悪を叩き割る者だ!」
邪神兵「なんだとォ~!?」
邪神兵「全員集まれーっ! ここに反逆者がいるぞーっ!」ピピーッ
父「みんな……いくぞ!!!」
母「ええ!」
少年「うん!」
母「胴寸打!!!」
ドゴォッ!
少年「悪を割るよ、父ちゃん!!!」
ボゴォッ!
父「セヤァッ!」
バキィッ!
邪神兵「強い……! 貴様ら……一体何者だ!?」
父「さっきもいっただろう……。我々は貴様らを叩き割り、この世を救う者だ!!!」
ドガァッ!
邪神兵「げふっ!」
ザワザワ… ドヨドヨ…
父「大丈夫かい?」
少女「あ、ありがとう……」
父「皆さん、私たちはこれから邪神の本拠地に乗り込む」
父「奴の野望はこの手で砕き割る!」
ワアァァァァァ…
市民「へっ、ちょっと待てよ!」
市民「元はといえば、あんたらがあの邪神を復活させたって聞いたぜ?」
市民「いきなり現れて、救世主ヅラしてるんじゃねえっ! せめてみんなに謝罪しやがれ!」
ソーダソーダ! ソノトオリダー! アヤマレー!
父「……」
母「たしかにあの人のいうとおりだわ……どうすんだい!!!」
少年「どうするの、父ちゃん!?」
父「あれは……仕方ない出来事だった。よって私は悪くない!」
父「責められる筋合い……一切無し!!!」
市民「ぐっ……その通りだ……!」
ワアァァァァァ… ソウダソウダー! スコシモワルクナイゾー!
母「一般市民の正論まで叩き割ったわ……!」
少年「父ちゃんはこの三年間の修行で遥かにパワーアップしてる……!」
父「いくぞ……邪神を割りに!!!」
―邪神の本拠地―
父「ここが邪神の根城か……」
母「邪神に従ってる兵隊が大勢いるわ……どうすんだい!!!」
父「知れたこと……全て割る」
父「今の私に割れぬもの無し!!!」
少年「かっこいいぜ、父ちゃん!」
ドゴォッ! バキッ! グシャッ! ボゴッ! ドゴォッ!
邪神「よくここまで来たな……」
邪神「まさか再び貴様ら一家に会えるとは思わなかったぞ……」
父「三年前、私がナゲットを割ってしまったせいで、世界は混乱に満ちてしまった」
父「今こそ、お前を叩き割り、この世に平和を取り戻す!」
邪神「平和を取り戻す? 不可能だ……たとえ我を倒したとしてもな……」
父「やってみなきゃ分からんさ、いくぞっ!」
父「セヤァァァァァッ!」ガガガガガッ
邪神「ごぶっ、ぐほっ!」
邪神(なんというパワーとスピード! 三年前とはケタが違う!)
父「邪神よ、この程度か?」
邪神「おのれぇっ! 我が魔力の激流を喰らえ!!!」ズオォォォォォ
父「ぬんっ!」バキィッ
邪神「魔力をも割っただと!?」
父「もはや、お前は……敵ではない! セイヤァァァッ!!!」
ズドォッ!!!
邪神「ぐはあぁぁぁぁぁ……!」ドザッ
父「邪神は倒した……」
父「だが、たしかに邪神のいうとおりだ」
父「たとえ邪神が倒れても、食糧不足が解消されねば、世界に平和は訪れない!!!」
少年「父ちゃん……」
母「ちょっと待って!」
父「む?」
少年「どうしたの、母ちゃん?」
母「邪神って、鳥にそっくりよね……だったら、いい考えがあるわ!」
父「いい考えだと?」
母「こうすんだい!!!」
母「できたわ!」
ホカホカ…
父「おおっ、なるほど! 邪神をチキンナゲットにしたというわけか!」
父「これだけ巨大なチキンナゲットなら、世界中の人たちの飢えをしのげる!」
少年「さっすが母ちゃん!」
父「あとは私の拳で、このチキンナゲットを世界中に散らせれば……」
少年「ナゲット割って、父ちゃん!」
父「いいとも!!!」
父「はああああ……!!!」
父「砕け散れ、ナゲット!!!!!」
ズガァァァァァンッ!!!
「おおっ、空からナゲットが降ってきた!」 「おいしー!」 「しかも栄養も豊富だ!」
「気力が湧いてきた!」 「よーし頑張るぞ!」 「うんめえええええ!!!」
世界中に散らばったナゲットは、人々に満腹と栄養をもたらし、世界を救ったのであった。
一家は救世主として、末長く語り継がれることになったという――
< 完 >

