カプセルコーポレーション――
ベジータ「いいぞ、トランクス! もっと攻めてこいっ!」
トランクス「だああああああああっ!」
ドガガガッ! ガガッ! バキッ! ドガァッ!
トランクス「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
ベジータ「よし……今日はこんなもんでいいだろう」
トランクス「うん、もう汗びっしょりだよ」
ベジータ「風呂に入ってさっぱりするとするか」
元スレ
ベジータ「風呂が壊れただと!?」トランクス「だったら銭湯に行こうよ!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1490790597/
ベジータ「なにい!? 風呂が壊れただと!?」
ブルマ「うん……お湯を沸かす機能がちょっと調子が悪いみたい」
ブルマ「あたしが直せばいいんだけど、今日はどうしてもやらなきゃいけないことがあって……」
ブルマ「今日のところはシャワーだけで我慢してくれる?」
ベジータ「……仕方あるまい」
トランクス「あっ……そうだ! だったら銭湯に行こうよ!」
ベジータ「銭湯?」
ベジータ「なんだそれは」
ブルマ「色んな人がお風呂に入る公衆浴場、分かりやすくいえばお風呂屋さんね」
トランクス「西の都に、結構大きいスーパー銭湯ってのができたんだって!」
ベジータ「超(スーパー)……?」ピクッ
トランクス「ねえねえ、行ってみようよ!」
ベジータ「騒がしいところはあまり好きじゃないが、まあいい。連れてってやる」
トランクス「やったぁ!」
ベジータ「さっそく準備をしないとな」
ベジータ「とりあえず、入浴に使う道具は全部持っていった方がいいのか?」
トランクス「ええっとね、シャンプーやリンスは置いてあるから、タオルを持ってくぐらいでいいみたい」
ベジータ「ならすぐにでも出発できるな」
ベジータ「案内しろ、トランクス!」
トランクス「うんっ!」
バシュシュッ!
ブルマ「行ってらっしゃーい」
スーパー銭湯――
トランクス「ここだよ」
ベジータ「ほう、なかなかよさそうな場所じゃないか」
トランクス「まずは下駄箱に靴を預けて……カギをかけておくんだって」カチャッ
ベジータ「ふむ、このカギを失くすと面倒なことになるな。ぶっ壊さなきゃならなくなる」
ベジータ「失くさないようにしろよ、トランクス!」
トランクス「分かったよ、パパ!」
トランクス「で、この自販機で入場券を買うんだ」
ベジータ「いくらだ」
トランクス「大人は700ゼニーで、子供は300ゼニーだって」
ベジータ「ほう、安いな」
トランクス「だけど中でジュースを買ったりするのは別料金だから注意してね」
ベジータ「スーパー銭湯……料金を自在に変化させやがるのか……!」
ベジータ「やるじゃないか……」ニヤッ
受付「いらっしゃいませ!」
ベジータ「二人で入場する」
受付「ごゆっくりどうぞ~」
ベジータ「ところで、聞きたいことがある」
受付「なんでしょう?」
ベジータ「スーパー銭湯ってのは一体なにがスーパーなんだ?」
受付「いちいち説明するのも面倒だ……てめえで勝手に想像しろ」
ベジータ「ぬ……」
『男湯』 『女湯』
ベジータ「なるほど、男用と女用に分かれてるわけか」
トランクス「オレたちは男湯だよね?」
ベジータ「当たり前だ……ってなんでそんなこと確認するんだ」
トランクス「こないだウーロンさんが、女湯に忍び込んでやったって自慢してきたんだ」
トランクス「バレて袋だたきにされたらしいけど、本望だったってさ」
ベジータ(なにやってやがる、あのバカ……)
脱衣所――
ベジータ「さて、脱ぐか」ヌギヌギ…
トランクス「うん!」ヌギヌギ…
トランクス「!」
トランクス「やっぱりパパのは大きいねー!」
ベジータ「当然だ」ニヤ…
トランクス「だけど、あっちにいるおじさんはもっと大きいや」
ベジータ「な、なんだと!?」
おっさん「ふんふ~ん」ブラブラ
ベジータ「……!」
ベジータは久しぶりに心の底から震えあがった……。
真の恐怖と決定的な挫折に……。
ベジータ「……」ガチガチ…
恐ろしさと絶望に涙すら流した。
これも久しぶりのことだった……。
トランクス「パパ!? どうしたの!?」
ベジータ「いや、なんでもない……風呂に入るぞ、トランクス!」
大浴場――
トランクス「まずは“かけ湯”をした方がいいんだって」
ベジータ「かけ湯?」
トランクス「ここにある桶で体にお湯をかけるんだってさ」
トランクス「ウォーミングアップみたいなもんだね」
ベジータ「いいだろう……ウォーミングアップでおしまいにしてやるぜ」ザバッ
トランクス「ちゃんとお風呂入ろうよ、パパ」バシャッ
ベジータ「ほう、設備だけはなかなかのものだ!」
トランクス「ウチのお風呂も大きいけど、銭湯のお風呂もやっぱり大きいね」
ベジータ「どれ……さっそく入浴させてもらうか」
トランクス「待ってパパ! 体を洗う前に入浴するのはマナー違反なんだって!」
ベジータ「なんだと……?」
ベジータ「バカバカしい! オレは今すぐ入るぞ!」ギュオッ
トランクス「オレのいうこと聞いてくれないの? パパ……」
ベジータ「す、すまん」
ワシャワシャワシャ…
トランクス「背中流すよ、パパ」
ベジータ「悪いな」
トランクス「パパの背中……おっきいね」ワシャワシャ
ザバーッ…
ベジータ「まあな」
ベジータ(フン、たまにはこういうのも悪くない……)
トランクス「体も洗ったし、いよいよお風呂に入ろう!」
ベジータ「よぉーしトランクス、水中トレーニングだ! かかってこい!」バシャバシャ
トランクス「銭湯では静かにするのがマナーだよ」
ベジータ「す、すまん」
客(この二人おそらく父子なんだろうが、どっちが子供なんだか……)
ベジータ「ふぅー……」
トランクス「気持ちいいねー」
ベジータ「ああ……」
トランクス「ここのお湯は温泉の成分が入ってて体にいいんだって」
ベジータ(どうりで体に響くわけだ)
トランクス「ヤムチャさんがいうには失恋した心にもいいんだって」
ベジータ(あいつめ……また浮気して女にフラれたようだな)
トランクス「ねえねえパパ」
ベジータ「なんだ?」
トランクス「大浴場には普通のお風呂以外にも、色んなお風呂があるみたいだから色々回ってみようよ!」
ベジータ「仕方ないヤツだ」
トランクス「じゃあまずは、あっちにある泡風呂ね!」
ベジータ「泡風呂……?」
ボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコ…
トランクス「うひゃ~! 体に泡が当たって気持ちいいや!」
ベジータ「まあまあだな……」
ベジータ(この感覚、どことなくメディカルマシーンを思い出させるな……)
ベジータ(地球でのカカロットたちとの戦いやザーボンの野郎にやられた記憶がよみがえって)
ベジータ(ムカッ腹が立ってきやがったぜ……!)ゴゴゴ…
トランクス「ひっ!」
トランクス(パパがメチャクチャ怒ってる!?)
ボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコ…
ベジータ(だが――)
ベジータ(メディカルマシーンですぐに回復してアプールの野郎を消し飛ばして)
ベジータ(フリーザからドラゴンボールを奪った時は最高の気分だったぜ……!)ニコニコ
トランクス「ひいっ!?」
トランクス(パパがメチャクチャ笑ってる!?)
トランクス「これは電気風呂だって!」ザブ…
トランクス「わっ、すっごくバチバチするよ!」
ベジータ「なんだと~!?」
ベジータ「バチバチ加減なら、オレも負けんぞぉーっ!!!」
ボウッ!!!
トランクス「こんなところで超サイヤ人2にならないでよ、パパ!」
トランクス「あっ、外には露天風呂がある!」
トランクス「すっげ~! 本当にどこかの山の中みたいなセットがある!」
ベジータ「よくできてるじゃないか」
ベジータ「こっちにあるのは、なんだこれは」
ベジータ「顔を洗う用の湯か?」バシャバシャ
トランクス「それは足湯だよ、パパ!」
トランクス「次は――あっ!」
ベジータ「む!」
悟空「よう!」
悟飯「こんにちは、ベジータさん!」
悟天「トランクス君も来てたんだ~」
ベジータ「カカロット、なぜお前たちがここに?」
悟空「実はオラんちの風呂を、オラが間違えてぶっ壊しちまってさぁ~」
悟飯「それでブルマさんちでお風呂をお借りしようとしたら」
悟飯「ブルマさんちのお風呂も調子が悪いって聞いて、この銭湯に来たんですよ」
ベジータ「わざわざご苦労なことだ」
ベジータ「よーし……ここで会ったのもなにかの宿命だ」
ベジータ「サウナで勝負だ!」
悟空「いいぜ、ベジータ!」
トランクス「あちゃ~」
悟飯「この二人が出会うと、すぐ勝負になっちゃうなぁ」
悟天「お父さん、頑張れ~!」
ベジータ「かあああああああああ……!」
悟空「はあああああああああ……!」
グゴゴゴゴゴ……!
店員「室温100℃、120、150……200……300……!?」ボンッ
店員「まだ上がるのか!? ちくしょう、このサウナ故障してやがる!」
悟天「外から見てるだけで、汗かいちゃうよ」
トランクス「みっともないから、もうやめてよ~!」
悟飯「一般のお客さんは今は絶対サウナに入らないで下さい!」
悟空「あぢ~……」グダー
ベジータ「さすがのカカロットさんも……サウナの過酷さにとうとう音を上げたか……」グダー
店員「この二人、どうしましょう?」
悟飯「ほっといて大丈夫です。二人とも丈夫ですから」
ベジータ「ふうっ……」
悟空「いやー、もう少しでゆでダコになっちまうとこだったぞ」
悟飯「さすが回復が早いですね、二人とも」
ベジータ「じゃあオレたちは先に上がるから、お前たちはゆっくり銭湯を楽しむといい」
悟空「サンキュー!」
悟飯「はいっ!」
トランクス「じゃあな、悟天!」
悟天「またね、トランクス君!」
ベジータ「……」グビグビ
トランクス「……」ゴクゴク
ベジータ「――ぷはっ! 風呂上がりのコーヒー牛乳は格別だ、クソッタレ!」
トランクス「ホント! なんでこんなにおいしいんだろうね!」
ベジータ「体が火照ってるからってのはもちろんだが、容器がビンってところにも秘密があるんだろう」
トランクス「なんで容器がビンだと、飲み物がおいしく感じられるんだろうね」
ベジータ「さあな……」
ベジータ(ブルマにこの件について研究させてみるか)
トランクス「あ、銭湯内にはレストランもあるんだ!」
トランクス「ねえパパ、ソフトクリーム買ってよ!」
ベジータ「いいだろう」
ベジータ「おい」
店員「はい」
ベジータ「ソフトクリームを……二個だ」
店員「え? お子さんの分なら一個で十分なのでは……」
ベジータ「早くしろーっ! 間に合わなくなっても知らんぞ!!!」
店員「は、はいっ!」
トランクス「甘くておいしいや」ペロペロ
ベジータ「ああ」ペロペロ
ベジータ「建物内を見渡すと、他にも色々な施設があるようだな」
ベジータ「マッサージチェアに垢スリ、床屋までありやがる」
トランクス「色んな施設がある銭湯のことを、スーパー銭湯っていうみたいだよ」
ベジータ「そういうことか」
ベジータ(さっきの受付、この程度の説明をめんどくさいなどと抜かしたのか、クソッタレ!)
ベジータ(まあいい……スーパー銭湯、お前がナンバーワンだ!)
トランクス「お風呂を出たら、もうすっかり夜だね」
トランクス「パパ、はじめての銭湯はどうだった?」
ベジータ「うむ、悪くはなかった」
ベジータ「だが……」
トランクス「え?」
ベジータ「今日だけでは大浴場の風呂を全て回れなかったし、また明日来てみるとするか」
トランクス「ホント? やったぁ!」
次の日――
ベジータ「今日はトレーニングを早めに切り上げて、銭湯に向かうぞ」
ベジータ「空いてる時間帯に入りたいからな」
トランクス「うん!」
ブルマ「あらあら、戦闘民族サイヤ人の王子ともあろう人がトレーニングをサボっちゃうの?」クスッ
ベジータ「戦闘民族? いいや、違うな」
ベジータ「今のオレは……銭湯民族サイヤ人だ!」
ブルマ「はいはい」
おわり