イケメン「うぅん……」
目覚まし時計「ジリリリリリ……!」
イケメン「朝か……」ムクッ
イケメン「おっと、オープンフィンガーグローブつけないと」キュッ
目覚まし時計「ジリッ!?」
目覚まし時計「キャーッ! ステキーッ!」
イケメン「ハハハ、嬉しいよ」
元スレ
イケメン「オープンフィンガーグローブつけるか」キュッ 女ども「キャーッ!!!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1507562134/
イケメン「おはよう、父さん母さん」
母「おはよう!」
父「おはよう」
母「ご飯、できてるわよ」
イケメン「朝食の前に……オープンフィンガーグローブつけないと」キュッ
母「まぁっ……!」
父「おおっ……!」
イケメン「どうしたの? 二人とも」
母(まったくもう……我が子ながらイケメンなんだから)
父(あぶないあぶない……朝っぱらから息子に欲情するとこだった)
妹「お兄ちゃーん、おっはよー!」
イケメン「おはよう」
妹「朝からイケメンだね」
イケメン「そんなことないさ」
妹「一緒に歯を磨こうよ」
イケメン「そうだな」
イケメン「じゃ……磨く前にオープンフィンガーグローブつけよっかな」キュッ
妹「きゃーっ! お兄ちゃんカッコイイ!」
イケメン「行ってくるよ、ポチ」ナデナデ
ポチ「ワン!」フリフリ
イケメン「ドアを開ける前に……オープンフィンガーグローブつけよう」キュッ
ポチ「ワオォォォォォォォン!!!」フリフリフリフリフリ
イケメン「わわっ! 制服に毛がついちゃうよ! やめてくれ、ポチ!」
ポチ「アオォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!」フリフリフリフリフリフリフリフリフリフリ
スタスタ…
イケメン「学校まで歩きながら……オープンフィンガーグローブ着用!」キュッ
通行人女A「キャーッ!」
通行人女B「ステキーッ!」
通行人女C「カッコイイーッ!」
サラリーマン「不覚にもドキッとしてしまった……」ドキドキ…
イケメン「おはよう!」
幼馴染「おはよ」
イケメン「さてと……オープンフィンガーグローブつけるか」キュッ
幼馴染「……」
イケメン「じゃ、学校に向かおう」
幼馴染「うん!」
イケメン「みんな、おはよう!」
女A「あ、おはよう!」
女B「イケメン君、おはよう!」
イケメン「よし……オープンフィンガーグローブつけよう」キュッ
女A「キャーッ!!!」
女B「シビれちゃうゥ!」
幼馴染「……」
男「ちぇっ、イケメンの奴、朝からモテモテだよ」
不良「クソッ、ムカつくよなぁ……」
優等生「勉強はボクの方が出来るのに……でも」
三人「かっこいいよなぁ……」
教師「えー……今日は抜き打ちテストを行う」
えぇ~……!
優等生「フッ、もらった!」
幼馴染「うわ、サイアク」
イケメン「テストか……だったらオープンフィンガーグローブつけないと」キュッ
女ども「キャーッ!!!」
教師「うおおおお……! やるじゃないか!」
イケメン「……」カリカリカリ
教師(ずいぶん解くのが早いな……)
教師(これもやはりオープンフィンガーグローブ効果なのか……!? ――きっとそうだ!)
イケメン「先生、終わりました」サッ
優等生(なにい!? ボクより早い!)
教師「しかし、早いだけでは意味がないぞ」
イケメン「この場で採点してもらってかまいませんよ」
教師「ほう……大した自信だな」
シャッ シャッ シャッ シャッ シャッ
教師(す、すごい……!)
教師(間違いだらけだ……!)
教師(しかし……しかし……ッ!)
教師「手が勝手に100点をつけてしまう!」シュババッ
教師「イケメン、100点だ!」
イケメン「ありがとうございます」
女ども「キャーッ!!!」
優等生(ボクも100点だったけど……ボクの100点はあくまで全問正解した“だけ”……!)
優等生(同じ100点でも格が違う……!)
優等生(完敗だ……!)ガクッ
国語――
国語教師「今日は『走れメロス』を読みましょう」
不良「ケッ、太宰治……本名、津島修治の名作短編小説じゃねえか」
国語教師「では……イケメン君、読んで下さい」
イケメン「はい」
イケメン「読む前に……オープンフィンガーグローブつけるとするか」キュッ
国語教師「キャーッ!」
イケメン「メロスは激怒した」
イケメン「必ず、かの邪知暴虐の王を除かねばならぬと決意した」
イケメン「メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である……」
メロス「キャーッ!」
ディオニス「キャァァァァァッ!」
セリヌンティウス「カッコイイィーッ!」
男「走れよメロス……!」
不良「登場人物からまで喝采を……!」
優等生「参ったね、こりゃ」フゥ…
理科――
理科教師「カエルの解剖を行うよ~ん!」
幼馴染「解剖か~、イヤだなぁ~」
イケメン「カエルの解剖か……」
イケメン「正確に解剖するためにも、オープンフィンガーグローブつけないと」キュッ
理科教師「キャーッ!!!」
カエル「キャアァァァァァッ!!!」
体育――
体育教師「今日はサッカーだ! 2チームに分かれて、紅白戦を行う!」
イケメン「サッカー……ボクの得意競技だ」
イケメン「よし、オープンフィンガーグローブつけよう!」キュッ
体育教師「キャァァァァァッ!」
ボール「あたしを蹴ってぇぇぇぇぇ!」
ゴール「入れてぇぇぇぇぇ!!」
ライン「割ってぇぇぇぇぇ!!!」
イケメン「よっと」ポスッ
男(イケメンにボールが渡った!)
男(よぉし、ヤツからボールを奪って、女子どもを失望させてやる!)ダッ
イケメン「ドリブルの前にオープンフィンガーグローブをつける!」キュッ
男「くっ……かっこいい!」
体育教師「かっこいいから、イケメンの相手チーム全員にイエローカード!」サッ
男「ちくしょう、全体攻撃かよ!」
不良「オレが止めてやるぜ!」バッ
イケメン「シュートだ!」ボカッ
不良「よし、キャッチ成功!」ガシッ
イケメン「くそっ……オープンフィンガーグローブつけないと」キュッ
女ども「キャーッ!!!」
体育教師「今のかっこよかったから、イケメンのチームに10点!」サッ
不良「くそーっ! やられた!」
男「オープンフィンガーグローブをつけられちゃ、しかたない……!」
優等生「20点じゃないのが、不幸中の幸いだったね」
昼休み――
幼馴染「弁当食べようか」
イケメン「うん」
イケメン「食べる前に、オープンフィンガーグローブつけるか」キュッ
幼馴染「……」
女A「キャーッ!」
女B「キャーッ!」
女C「ギャァァァァァァァァッ!!!」
キャーキャー! イケメンクーン!
男「俺たちも食べようか……」
不良「ああ……」
優等生「モテない同士、仲良くやろう……」
モグモグ… モグモグ…
男「しっかし、なんでイケメンってあんなにモテるんだろうな」
不良「本人が超絶イケメンなのはもちろんだけど、やっぱあれだろ」
不良「オープンフィンガーグローブがかっこいいからじゃねえか?」
優等生「だろうね……。あれをキュッとやられると、どうしても魅了されてしまうよ」
男「――そうだ!」
男「だったら、俺たちもオープンフィンガーグローブつけよう!」
不良「やってみるか!」
優等生「試す価値はあるね」
男「俺たちもオープンフィンガーグローブつけるぞ!」キュッ
不良「おう!」キュッ
優等生「装着!」キュッ
女A「キャー…」
女B「キャーキャー…」
女C「キャー…」
男「ダメだッ……! 本家ほどキャーキャーいわれない……!」
午後の授業――
イケメン「眠い……」ウトウト…
幼馴染「ま、まずいって、イケメン!」
幼馴染「この授業は学校一怖い先生が担当してるんだから!」
怖い先生「ほう、そんなに眠いのか、イケメン……」
イケメン「はい、眠いです」ウト…
怖い先生(寝ぼけまなこにキュンとなってしまった……いかんいかん)
怖い先生「だったら廊下に立ってろ!」
イケメン「ですが、その前に!」
イケメン「オープンフィンガーグローブをつけさせて下さい」キュッ
怖い先生「キャァァァァァッ!!!!!」
怖い先生「ワシ、廊下に逆立ちしてきます!」スタコラサッサ
幼馴染「……授業は?」
幼馴染「ふぅ、やっと終わったね。一緒に帰ろ」
イケメン「うん」
イケメン「オープンフィンガーグローブつけるから、ちょっと待って」キュッ
女ども「キャーキャーッ!!!」
イケメン「ふと思ったけど……」
イケメン「キミだけはボクのオープンフィンガーグローブに反応しないよね」
幼馴染「うん……だってそこまでカッコイイとも思えないし。オープンフィンガーグローブ」
イケメン「……」ドキッ
イケメン「ボクはキミのそんなところに惹かれてるのかもしれないな」
幼馴染「……バーカ」
イケメン「帰ったら、うちで勉強しようか」
幼馴染「うん!」
不良「おい、ちょっと待てよ、イケメン」
男「まだホームルームは終わってないぜ!」
優等生「“エクストラ・ホームルーム”の開幕だ!」
幼馴染「あ、あんたたち……なんの用よ!」
不良「オレらモテないから、お前にずっとひがんでたんだ!」
幼馴染「正直すぎるわよ」
イケメン「……」
不良「イケメン、オレとタイマンで勝負しやがれ!」
イケメン「……いいだろう」
イケメン「ただしオープンフィンガーグローブをつけさせてくれ」キュッ
不良「キャーッ!」
不良(あっ……し、しまった!)
イケメン「いくぞ!」
不良(オープンフィンガーグローブをつけた両手から、いったいどんな技を繰り出すってんだ!?)
イケメン「ローキック!」
ベシッ!
不良「つっ!」
男「すげえ! オープンフィンガーグローブで気を逸らして、ローキック!」
優等生「天才だ……! いや神だ! 神以上か!?」
イケメン「ローキック! ローキック!」ベシベシ
イケメン「ローキック! ローキック! ローキック!」ベシベシベシ
イケメン「ローキック! ローキック! ローキック! ローキック! ローキック!」ベシベシベシベシベシ
不良「いててて……!」
男「なんてローキックだ! 不良に小ダメージをコツコツ重ねてってる!」
優等生「さすがオープンフィンガーグローブをつけてるだけのことはあるね!」
不良「あまり痛くないけど……これ以上喰らいたくねえな」ササッ
男「ローキックを意識しすぎて、不良の顔面がガラ空きになってる!」
優等生「まずいぞ! 彼の狙いはこれだったんだ!」
イケメン「チャンスだっ……!」
イケメン「ローキック!」
ベシッ!
不良「ぐうっ!」
幼馴染(そういえばコイツ、子供の頃からローキックが大好きだったっけ……)
イケメン「……」ブシュゥゥッ…
不良「なっ!?」
男「イケメンのおみ足から、出血が! 赤血球もイケメンだ!」
優等生「ローキックを蹴りすぎたんだ!」
イケメン「……」ガクッ
幼馴染「ちょっと、大丈夫!?」
イケメン「なんの……これしき!」ググッ…
不良「た、立ちやがった……!」
男「あんなボロボロなのに……」
優等生「なんて根性だ……!」
イケメン「オープンフィンガーグローブをつけ直して、と」キュッ
不良(――ま、まさか!?)
イケメン「ローキック!!!」
ベシッ!
不良(すげえ……こいつすげえよ……)
不良(オープンフィンガーグローブの性能を……120%引き出して……やがる……)
不良(へへ、初めてだ……“自分から負けを認めたくなる相手”ってのはよう……)
不良「オレの……負けだ……!」ガクッ
幼馴染「大丈夫?」
イケメン「痛い」
幼馴染「でしょうね」
不良「すまなかった! オレたち、とんでもない過ちを!」
イケメン「いや……もういいよ。終わったことだ」
イケメン「それより、みんなで連れションに行こう!」
男「ああ!」
不良「おう!」
優等生「うん!」
イケメン「おっと、オープンフィンガーグローブつけないと」キュッ
三人「キャーッ!!!」
幼馴染「あーあ、青春しちゃって」
幼馴染「ホント、男ってバカなんだから」ハァ…
イケメン「ふぅ~、スッキリした」
イケメン「じゃ、帰ろうか」
幼馴染「……」チラッ
幼馴染「キャーッ!!!」
イケメン「!?」
イケメン「ど、どうしたの!?」
イケメン(ついに……ボクのオープンフィンガーグローブに惚れてくれたのか?)
幼馴染「もー! ズボンのファスナーが全開になってる!」
イケメン「あ……」
イケメン(しまった……! オープンファスナーしてた……!)
幼馴染「しっかりしてよ。私はオープンフィンガーグローブがなくったって、あんたが大好きなんだから!」
イケメン「……! うん!」
イケメン「ボクは君のために未来をオープンしてみせるよ!」
幼馴染「……バーカ」
おわり