サターニャ「ガヴリール! 勝負――」
ガヴリール「やだ」
サターニャ「話を――」
ガヴリール「断る」
サターニャ「せめて最後まで言わせなさいよ!」プンプン
ラフィエル「日頃の行いですね」ヒョコッ
ガヴリール「ラフィもいたのか……私に代わって相手してやってくれ」
ラフィエル「いえ、今回はそうは行かないんです」
ラフィエル「そしてこの勝負、ガヴちゃんも受けざるを得ないはずですよ」
ガヴリール「? 詳しく聞かせて欲しいんだけど」
サターニャ「言おうとしたのに!」
元スレ
【ガヴドロ】ヴィーネ「かけがえのないプレゼント」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1507713519/
……
ガヴリール「誰が一番ヴィーネを喜ばせられるか?」
サターニャ「そうよ!」
ガヴリール「あー……明日誕生日だったな、そういえば」
ガヴリール「人の誕生日を使ってまで勝負したいのか……」ハア
サターニャ「失礼ね! それだけじゃないわよ!」
サターニャ「私とヴィネットは同じ悪魔であり、魔界学校時代からの付き合い」
サターニャ「ここらであんたたちとの差を見せつけてあげるんだから」
サターニャ「ま、ガヴリールはさっきの口ぶりからして誕生日すら忘れてたんでしょ? 負けるはずないわよね」プクク
ガヴリール「あ?」ピキッ
ラフィエル(サターニャさん、挑発が上手くなってきましたね)
ガヴリール「そこまで言われちゃ黙っちゃいられないな」
ガヴリール「……私だって……」
…
……
[10月10日]
ヴィーネ「んー、疲れた……!」グググ
ヴィーネ「今日は家でゆっくりしてようかな」
ガヴリール(いよいよ、か)
サターニャ(格の違いを見せてあげるわ)
ラフィエル(私も負けませんよー)
ラフィエル(勝負という名目上、一人ずつになるんですよね?)ヒソヒソ
サターニャ(そうなるわね、まずは誰から――)ヒソヒソ
サターニャ(あれ、ガヴリールは?)
ガヴリール「はー疲れた……早く帰ろうよヴィーネ」
ヴィーネ「お疲れ様、何か用事でもあるの?」
ガヴリール「……あると言えばあるのかな」
サターニャ(行動早っ!)
ラフィエル(先手は取られちゃいましたね、残念です)
ヴィーネ「サターニャとラフィはまだ帰らないの?」
ラフィエル「ええ、少しばかり気になることがありまして」
サターニャ「先に帰ってていいわよ」
ヴィーネ「わかった、また明日ね」フリフリ
ラフィエル「……さて、ガヴちゃんがどう出るか千里眼で見てみましょう」
サターニャ「面白味が無いわね! こういう時こそ尾行するのよ!」
サターニャ「先に飛ばせてもらうわ」バサバサ
ラフィエル「あー待ってください……」フラフラ
……
ヴィーネ「寒くなってきたわね……」ブルッ
ガヴリール「もう10月だし、そりゃあね」
ガヴリール「そう、10月だ」
ヴィーネ「なにそれ?」
ガヴリール「……ヴィーネは10月ってどう思う?」
ヴィーネ「10月? 特に…… 4月が好きそうとはよく言われるけど」
ガヴリール「……」
サターニャ「あーもどかしい! 直接言いなさいよ!」
ラフィエル「ガヴちゃん、恥ずかしがり屋さんですからね」
ラフィエル「気付かないヴィーネさんにも驚きですが」
ガヴリール「だー面倒くさい!」
ヴィーネ「!?」ビクッ
ガヴリール「ほら!」ズイッ
ヴィーネ「え、えーっと……これは?」
ガヴリール「誕生日!」
ガヴリール「今日だろ、誕生日プレゼントだって言ってんの!」
ヴィーネ「……あっ」
ヴィーネ「ごめんね、肝心の私が忘れちゃってた」
ガヴリール「大丈夫かよ……」
ヴィーネ「開けていい?」
ガヴリール「お好きにどうぞ」プイ
ヴィーネ「機嫌直してよ……って」ガサガサ
ヴィーネ「綺麗…… これ、写真立て?」
ガヴリール「ああ」
ヴィーネ「手作り、よね…… 大変じゃなかった?」
ガヴリール「さあね」
ガヴリール「心配するくらいならその分大事にしてよ」
ヴィーネ「……そうね、ずっとずっと大切にするから」
ヴィーネ「ありがとう、ガヴリール」
ガヴリール「……どういたしまして」
サターニャ「……あんなの一日で作れるようなものじゃないでしょ」
サターニャ「誕生日、忘れてた振りしてたくせに……」
ラフィエル「いつから準備してたんでしょうね」
ラフィエル「長く長く、想いを募らせながら」
ヴィーネ「この写真立てに相応しい写真あったかしら」
ガヴリール「……今から撮れば早いんじゃない」
ヴィーネ「え?」
ガヴリール「今日は家でゆっくりするつもりだったみたいだし、嫌だったらいいけどさ」
ヴィーネ「でもガヴこそ疲れてるんだし大丈夫?」
ヴィーネ「……なんて言わないわよ、そんな疲れを押してまで誘ってくれて」
ヴィーネ「ガヴがどれだけ私を想ってくれているか、少しでもわかったつもり」
ヴィーネ「素敵な写真、お願いね」
サターニャ「お互い地上に出て初めての友達だって言ってたかしら」
サターニャ「正直甘く見てたかもしれないわ」
ラフィエル「お二人の間にしか存在しない、確かな絆があるのでしょう」
ラフィエル「もっとも、私との間にしか存在しない絆もあると自負しておりますが」
サターニャ「ふん、負けないからね」
サターニャ「……ところであの二人どこ行ったのよ」
サターニャ「流れで出掛けちゃったけど、後がつかえてるのよ!」
ラフィエル「今は待つしかありませんね」
ラフィエル「千里眼で覗くのも無粋ですし、お二人の空間に割って入るのもなんですから」
……
ヴィーネ「それじゃ今度こそ、また明日ね」
ガヴリール「ん、また明日」
ガヴリール「ふー……いるんだろ? 出てこい」
サターニャ「何勝手に延長してるのよ!」
ガヴリール「仕方ないだろ、あそこまで来て引けるわけないし」
ガヴリール「……あー、ドキドキした……」
ガヴリール「いつも一緒のはずなのに、まだまだ知らない一面があるんだな……」
ラフィエル「私にも是非見せてもらいたいものです」
ラフィエル「さてガヴちゃんも戻ってきたことですし」シュン
サターニャ「あー!! 次私が行こうと思ってたのに!」ジタバタ
ガヴリール「早い者勝ちだ、諦めろ」
ガヴリール「けど家の中か……どうなってるか気になるな」
ガヴリール「今の私に千里眼は使えないし、窓から覗くにしてもカーテンが……」
サターニャ「ヴィネットも疲れてるから連れ出すわけにはいかないわね」
サターニャ「なーんてね、こんなこともあろうかと持ってきたのよ!」
ガヴリール「なんだこれ、コンタクトレンズ?」
サターニャ「その名も【デビルアイなら透視力】! その驚きの効果は――」
ガヴリール「説明いらないだろそれ」
ガヴリール「というかこれ、普段何に使ってんのお前」
サターニャ「べ、別になんでもいいでしょ!」
……
ヴィーネ「ら、ラフィ……!?」ビクビク
ラフィエル「お邪魔してまーす」
ヴィーネ「びっくりしたわ…… 神足通? だっけ……」
ヴィーネ「私が怖いの苦手だってこと知ってるでしょ……」
ラフィエル「ふふふ、ごめんなさい」
ヴィーネ「それで、いきなりどうしたの?」
ラフィエル「きっとヴィーネさんが期待していることですよ」
ヴィーネ「……誕生日を祝ってもらえるってことで合ってる? 間違ってたら恥ずかしいけど……」
ラフィエル「大正解です♪ こちら景品になります」スッ
ヴィーネ「ありがとう……開けていい?」
ラフィエル「ふふ、ダメと言うはずなんてないじゃないですか」
ヴィーネ「わっ可愛い……羽飾りよね」
ヴィーネ「この羽、もしかして……」
ラフィエル「私の羽ですが、身体の一部なのでやっぱり抵抗ありますか……?」
ヴィーネ「そんなわけない! ただこんなに綺麗な光を放つなんて……」
ラフィエル「ええ、特別なものですから」
ガヴリール「……!」
サターニャ「何かしらあれ?」
ガヴリール「風切羽だ」
サターニャ「え?」
ガヴリール「ラフィのやつ、自分の風切羽でアクセサリを作ってる」
サターニャ「ふーん、それって大事なものなの?」
ガヴリール「半年もすれば再生するよ」
ガヴリール「ただ、あれが少しでも欠けるだけで碌に飛べなくなる」
ガヴリール「加えて、自然に抜けるものじゃない……他の羽と違って気軽に手に入るわけじゃない」
ガヴリール「自分の意志で羽を落とし半年間を犠牲にするんだ」
ガヴリール「簡単なことじゃないよ」
サターニャ(だからだったのね)
サターニャ(ラフィエル、思い返せばいつもふらふら飛んでたわ)
サターニャ(半年以上前ではないとしても、一体いつからだった……?)
ガヴリール(でも……ヴィーネが)
サターニャ(……ヴィネットがそれを知ったとして、本当に喜ぶかしら?)
ラフィエル(皆さんの中で、ヴィーネさんと知り合ったのが最も遅いのはこの私)
ラフィエル(ガヴちゃんやサターニャさんとは違って、まだまだ距離があるのです)
ラフィエル(さらには取り繕った言葉ばかりを口にして生きてきた私が、如何な言葉ならば想いを伝えられるでしょうか?)
ラフィエル(そんな私にも、一つだけ簡単な手段がありました)
ラフィエル(この羽の意味することを伝えれば、同時に私の想いは伝わるのです)
ラフィエル(ですが、天使の要たる羽を落とす……この手段は自己犠牲により成り立ったもの)
ラフィエル(優しいヴィーネさんはきっと、それを望みはしないでしょう)
ラフィエル(だから真意を伝えるわけにはいかない……つまりただの自己満足でしかありません)
ラフィエル(伝わってほしいとは言いません)
ラフィエル(この羽が放つ、私の想いそのものである光を何気なく目にし続けていただくだけでいいのです)
ヴィーネ「少し悲しげにも見えるけど、包み込むような温かい光……」
ヴィーネ「まるで、ラフィそのものみたいというか……」
ヴィーネ「って、ラフィの羽なんだからそれもそうよね」
ラフィエル(知られたくないけど知られたい……私のさらなる内面の醜さには届かずとも)
ラフィエル(表面的な優しさだけでも、感じ取って頂けて幸せですから)
ヴィーネ「いや……ラフィそのものがどうかなんて、私にはまだわからないのかな」
ラフィエル「?」
ヴィーネ「最初はね、ラフィとお友達になりたいって思ったけど、私なんか相手にして貰えるか不安だったの」
ラフィエル「むー、そんなに冷たく見えました?」プク-
ヴィーネ「ごめんごめん、ほらラフィってなんでも出来るじゃない? だからね」
ラフィエル(……本当になんでも出来るなら良かったんですけどね)
ヴィーネ「でも実際に友達になると、悪戯好きだったり想像してたのとだいぶ違ったから驚いちゃった」
ラフィエル「……失望しましたか?」
ヴィーネ「まさか。こんな一面もあるんだって知れて嬉しかったわよ」
ヴィーネ「そして今でも、まだまだ私の知らない一面があると思ってる」
ヴィーネ「だからね……少しずつでもいいから、本当のラフィを知っていきたいな」
ヴィーネ「この光の意味にだって、気付けるように」
ラフィエル「……願っても無いことです」
ラフィエル(そうでしたね)
ラフィエル(いつだって歩み寄るのは彼女からで、私から歩み寄ってはいませんでした)
ラフィエル(こんな手段に頼らないといけなかったのも当然です)
ラフィエル(やはり伝わってほしいとは言いません……【今は】)
ラフィエル(このまま立ち止まっている気はありませんよ?)
ラフィエル(私からも歩み寄れば、彼女からと合わせて今の二倍の速さで距離を縮められるのです)
ラフィエル(ガヴちゃんやサターニャさんでもまだ知らない一面があるのなら、今からでも追いついてみせましょう)
ラフィエル(待っててくださいね、ヴィーネさん)
ラフィエル(次こそはこのような懸念を生むことなく、はっきりと私の想いに気付いてもらえるよう)
ラフィエル(真っ直ぐ全てを伝えられるようになってみせますから)
ラフィエル「……くすっ、時々でいいので使ってあげてくださいね?」
ヴィーネ「ええ、いつまでだって」
……
サターニャ「……」
――――――――――
サターニャ『ここらであんたたちとの差を見せつけてあげるんだから』
――――――――――
サターニャ(ヴィネットに出来る限り喜んで欲しくて、みんなを焚き付けるような真似したけど)
サターニャ(そんな必要無かったみたいね……)
サターニャ(みんな素直じゃないことなんて知ってたはずなのに)
ラフィエル「ただいま戻りましたー」シュン
ガヴリール「お前にしては思い切ったことしたな」
ガヴリール「……何を意味するか、伝えたのか?」
ラフィエル「いいえ」
ガヴリール「そうか、安心したよ」
サターニャ「……あんたたちのヴィネットへの想いを軽んじたことは謝るわ」
サターニャ「だからと言って、負けるつもりは無いんだから」
ガヴリール「今回くらいは応援してやるさ」
ラフィエル「ファイトですよ、サターニャさん!」
……
サターニャ「……」ガチガチ
ガヴリール「あーもどかしい! さっさとインターホン鳴らせっての!」
ラフィエル「ぷっ……! ガヴちゃん、サターニャさんと同じこと言ってますよ」
ラフィエル「こう言うと怒られるでしょうけど、似た者同士なんですね」
ガヴリール「うっせ、怒るぞ」
ガヴリール「……似た者同士だからこそ、今のあいつの気持ちがわかるのかもしれないけどな」
サターニャ(な、なんで身体が動かないの)
サターニャ(いつもどう話していたか思い出せない、何を話すつもりだったか思い出せない)
サターニャ(怖い)
サターニャ(みんなの想いに負けてしまうかもしれない、ヴィネットに喜んでもらえるかわからない)
サターニャ(怖い……!)
サターニャ(私の想いを、どう伝えたらいいかわからない)
サターニャ(怖くてたまらない……!)
サターニャ(情けないわね)
サターニャ(……それでも私は大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェル)
サターニャ(怖くて動けないなんてあってなるもんですか)
サターニャ(考えるほど怖くなるなら、何も考えなければいい!)
サターニャ(行くのよサタニキア!)ピンポ-ン
ヴィーネ「一体どうしたのよ……」
サターニャ「はいぃっ!!?」ビクウ
サターニャ「ななな、なんなのよ!? 後ろに!?」
ヴィーネ「ちょっとゴミ捨てにね」
ヴィーネ「なんなのよはこっちのセリフよ……玄関前ですごい顔しながら震えて」
ヴィーネ「今日は寒いから風邪でも引いてたらいけないし、中入って」ガチャ
ラフィエル「ゴミ捨てに行くのは見えてましたが、伝え忘れてました」テヘッ
ガヴリール「わざとだろ……まあ結果オーライか」
……
ヴィーネ「はい、ホットココア。熱いから気をつけてね」コト
サターニャ「ありがと……」ズズズ
ヴィーネ「ほら、熱測って」
サターニャ「……心配してもらってるところ悪いけど、私は健康そのものよ」
ヴィーネ「あんな異様な姿してて何言ってんのよ」
サターニャ「大丈夫だって、そんなことよりこれ」スッ
サターニャ「誕生日プレゼントよ、ありがたく受け取りなさい」
ヴィーネ「サターニャが覚えててくれたなんて……」ジ-ン
サターニャ「私がって何よ! いいから早く開ける!」
ヴィーネ「あははっ、冗談だって」ガサ
ヴィーネ「ぬいぐるみ! 可愛いじゃない!」
ヴィーネ「サターニャのことだからてっきり恐ろしい外見のものを選ぶのかと……」
サターニャ「失礼ね、あんたの好みくらいわかるわよ」
サターニャ「……手作りでも、なんでもないけどね」
ヴィーネ「え……?」
サターニャ「私はガヴリールみたいに器用じゃないし、センスがずれてるのも自覚してる」
サターニャ(写真みたいに……二人だけの思い出を残すなんて思いつきもしなかった)
サターニャ「ラフィエルみたいに、大切な何かを……」
サターニャ(おっと……これは伝えちゃいけないわね)
ラフィエル「……私たちが先に渡したことで、サターニャさんにプレッシャーを与えてしまったのでしょうか」
ガヴリール「……あいつなら順番が先だろうが後だろうが、同じように悩んだだろうさ」
ガヴリール「私たちがどうこうできることじゃない」
ヴィーネ「なんでガヴやラフィからのプレゼントが手作りだなんて知ってるのよ」
サターニャ「そこはお互い教え合ったとでも思ってもらえればいいわ」
ヴィーネ「……まーた勝負でもしてるんでしょ」
ヴィーネ「確かに手作りは嬉しいけどね? だからといってプレゼントに優劣なんて――」
サターニャ「ほら、嬉しいんでしょう」
サターニャ「少しでも多く喜んでもらえるのに……それを怠ったのは大きいの」
サターニャ「まあ安心して、私もちゃんと手作りのプレゼントは持ってきたのよ」ガサガサ
サターニャ「これが私の限界よ」トン
ヴィーネ「ケーキ……すごい」
サターニャ「洋菓子店の名にかけて味は保証するわ」
サターニャ「……でも、食べたら無くなっちゃうのよね」
サターニャ「形の残る物が作れなくて、ずっと大切にはしてもらえないのが悔しいけど……」
サターニャ「それでも私に出来ることの中で、一番喜んでもらえると思ったから……ね」
ヴィーネ「……バカね」ギュ
サターニャ「バカって言うな……」グスッ
ヴィーネ「ちょっと前の話になるけど」
ヴィーネ「私ね、怖かったのよ」
サターニャ「……?」
ヴィーネ「悪魔学校を卒業したら地上に出ることになるって聞いて、いつも怖かったの」
ヴィーネ「ちゃんと友達が出来るのか、勉強には着いていけるのか、悪魔らしくなれるのか」
ヴィーネ「まだまだあるけど……何も知らない世界に一人で出て行くことが怖くて仕方がなかった」
ヴィーネ「でも、私は一人じゃなかった」
ヴィーネ「サターニャ、あなたが同じ学校に行くと聞いて、恐怖なんて吹っ飛んじゃった」
ヴィーネ「いつもバカなことしてるなあ……なんて思ってるけど」
ヴィーネ「初めて私に勇気をくれたあなたを私は尊敬しているの、とても大切に思っているの」
サターニャ「……玄関前での情けない姿見たでしょ」
サターニャ「ヴィネットと会うのが怖かった……失望されるのが怖かった」
サターニャ「尊敬されるほど、私は強くなんてない」
ヴィーネ「でも最後には立ち上がってたでしょ? ちゃんと見てたんだからね」
ヴィーネ「時間が掛かったって、自分で自分を奮い立たせられる……強いと言わないでなんて言うのよ」
ヴィーネ「それと! 形に残らないとダメだなんて言ってくれたわね」
ヴィーネ「ガヴと、ラフィと、サターニャと……みんなで笑いながら忘れられない日々が続いて」
ヴィーネ「そんな日々だって形には出来ないけど、かけがえのないプレゼント」
ヴィーネ「形なんて無くたって、何も変わらないんだから」
サターニャ「……!」
ヴィーネ「私はいつもの日々を共に作り上げてくれる」
ヴィーネ「そんな顔じゃなくて、いつものおバカで強いサターニャの方が好きよ」
サターニャ「……バカバカ言い過ぎよ、このバカ……!」ポロポロ
……
ガヴリール「お邪魔します」ガチャ
ラフィエル「落ち着いたみたいですね」
ヴィーネ「……あんたたち、覗いてたわね」
ガヴリール「こいつが主犯です」グイ
サターニャ「なんで私だけ!」バタバタ
ヴィーネ「ああもう、別に怒るわけじゃないから……」
ヴィーネ「……今日はありがとね」
ヴィーネ「でも勝負してるところ悪いけど、誰が一番なんてないんだからね」
ガヴリール「わかってるさ」
ラフィエル「ところでサターニャさんのケーキですが」
ラフィエル「この大きさ、ヴィーネさん一人で食べきれます……?」
ヴィーネ「……サターニャには悪いけど、きついかも」
サターニャ「……」ウルウル
ヴィーネ「すぐ泣きそうにならないの!」
ヴィーネ「せっかく四人集まってるんだし、良かったら一緒に食べましょう」
ヴィーネ「その方がもっと美味しくなるし、私ももっと嬉しいんだから」
サターニャ「! そうね!」パアッ
ラフィエル「このままお誕生日パーティなんてどうでしょうか?」
ヴィーネ「いいわね!」パアッ
ガヴリール「うわ、うるさいの二人が活き活きしてきた……」
……
ヴィーネ「ガヴ」
ガヴリール「なにさ」
ヴィーネ「ガヴから貰ったこの写真立て、両面じゃない?」
ヴィーネ「もう一枚……四人で撮った写真を飾らせてほしいの」
ヴィーネ「だから後でもう一度撮りに行かない?」
ガヴリール「え゛ーめんど……」
ヴィーネ「疲れてるところ悪いけど、今度は私からのお願い!」
ガヴリール「はあ、仕方ないな……」
ラフィエル「料理の準備が出来ましたよー」
サターニャ「私も手伝いたかったのに!」
ガヴリール「お前は手出すなよ……それじゃあ始めるぞ」
ガヴリール「ヴィーネ」
ラフィエル「ヴィーネさん」
サターニャ「ヴィネット!」
「「「誕生日おめでとう!」」」
ヴィーネ(いつもいつも、本当にありがとう)
ヴィーネ(この先……すぐ明日にさえ何が待ってるかなんてわからないし、全く怖くないと言えば嘘になる)
ヴィーネ(でも、私に勇気を与えてくれるみんなと一緒なら……)
ヴィーネ(明日もきっときっと、いい日だよね)
おわり
51 : 以下、5... - 2017/10/11 19:10:27.626 NQay0Ank0 44/44ヴィネ誕間に合いませんでしたが誕生日SSとさせてくださいませ


