ヴィーネ「私達もついに三年生ね。進路どうしようかしら……」
サターニャ「そうねー……私は多分家のお店継ぐことになると思うけど」
ガヴリール「……」
ラフィエル(あれから数ヶ月……私たちは高校3年生になりました)
ラフィエル(それまでの間特に何も起こっていません)
ラフィエル(しかし、それはマルティエルが捕まったという報もないということ)
ラフィエル(マルティエルのことを信じたいですが……)
ラフィエル(マルティエルは絶対に何かをしようとしています)
ラフィエル(これを嵐の前の静けさと言うんでしょうね)
ガヴリール「ラフィエル?」
ラフィエル「はっ!?ど、どうかしましたか!?」
ガヴリール「そっちは2年の教室だぞ」
ラフィエル「あっ……」
元スレ
ラフィエル「キマシインシデント」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1503235257/
…………
……
キマシインシデント決行前夜
マルティエル「……ついに完成しました」
マルティエル「思ったより時間が掛かりましたが……」
マルティエル「この発明の規模で考えればむしろよくこの短時間で完成させられたものです」
マルティエル「これでお嬢様を振り向かせることができます」
マルティエル「その障害となる存在も蹴散らすことができます」
マルティエル「待っていてくださいお嬢様」
マルティエル「私の愛を邪魔するこの世界を変えてみせます」
マルティエル「さあ……」
マルティエル「最後の戦いです」
翌晩
ガヴリール「大変だ!!」
ラフィエル「何があったんですか!?」
ガヴリール「使徒座ネットを見てみろ!」
ラフィエル「……!」
ラフィエル(オーストラリアに巨大な十字架が出現……!?)
ラフィエル(これは……マルティエルのメッセージでしょうか……)
ラフィエル「これは準備が整った、ということでしょう」
ラフィエル「天界ではなく下界で活動していたとは……」
ガヴリール「いくのか?」
ラフィエル「ついに姿を現したんです。この機会は逃しません」
ラフィエル「主として……マルティエルにお仕置きします」
ガヴリール「……姉さんには連絡した」
ガヴリール「姉さんたちに任せてもいいんじゃないか」
ラフィエル「あの時……ゼルエルさんは不利な状況だったとはいえマルティエルを捕らえることができませんでした」
ラフィエル「マルティエルは……指名手配から逃れ続けていました」
ラフィエル「そして誰にも気づかれることなく……あの巨大な十字架を作り上げ一晩で地上に出現させました」
ラフィエル「今までのマルティエルとはワケが違います」
ガヴリール「だったらなおさらだ。彼奴の狙いはラフィエルなんだぞ」
ラフィエル「だからこそです」
ラフィエル「歪んでいようとマルティエルが私のことを想っているのならば……」
ラフィエル「私にはこの騒動に終止符を打つ義務があります」
ガヴリール「わかった。そこまで言うなら止めはしない」
ラフィエル「ふふ、元から止める気なんてなかったのでは?」
ガヴリール「ラフィエルが生半可な気持ちと覚悟で行こうとしてたなら絶対に止めた」
ガヴリール「でも……今のラフィエルの顔を見たらな止められそうにないもんでね」
ラフィエル「ガヴちゃん……」
ガヴリール「私も着いていきたいところだが……」
ラフィエル「それは駄目です」
ガヴリール「……私が行けば足手まといになる。もしかしたら致命的な事態を招くかもしれない」
ガヴリール「そう、だよな……」
ラフィエル「はい」
ガヴリール「……わかった」
ラフィエル「待っていてください。平和を取り戻してきます」
オーストラリア
マルティエル「この圧倒的存在感。この雄大な大地は私の計画にピッタリだと思いませんか」
ラフィエル「まさかエアーズロックに巨大な十字架を立てるとは……罰当たりもいいところですよ」
マルティエル「私は天使ですよ。天使の創造物を賜る……むしろ光栄なことです」
ゼルエル「愚かな……」
マルティエル「お嬢様に……大天使が十数……」
マルティエル「人脈でかき集めただけですか。まあ……一人の天使を捕らえるのに軍は派遣しないですね」
ゼルエル「……まるで一人で軍を相手にできると言っているように聞こえるぞ」
マルティエル「できますよ」
ゼルエル「……」
マルティエル「軍だけではありません……私は世界と戦えます――」
ゼルエル「ほう……?」
マルティエル「巨岩に聳える聖十字……あれはただのモニュメントではありません」
マルティエル「あれは巨大なアンテナ塔」
ゼルエル「!」
マルティエル「この世界全てにキマシパワーを伝送することができる白百合の聖十字(セイントキマシクロス)」
ラフィエル「まさか……20世紀初頭の幻想を蘇らせるつもりですか!?」
マルティエル「これさえあれば世界中どこにいてもキマシパワーの影響を受けます」
マルティエル「お嬢様がここに来なくても関係なかったわけです」
マルティエル「そう……これこそが世界キマシステム!この世界を変える至高の大発明です!」
ゼルエル「世界がキマシパワーに包まれれば……人々は狂い全人類が同性愛に目覚める」
ゼルエル「子孫を残さなくなった種に残されるのは破滅の道だけだ」
マルティエル「尊い愛のためならば……破滅することもまた意義あるものだと思いませんか?」
ラフィエル「本当に……そう思ってるんですか……?」
キマァ...
ラフィエル「十字架が光り始めて……!?」
マルティエル「ふふ、おしゃべりが過ぎましたね。もうすぐ世界にキマシパワーが放たれます」
マルティエル「私の邪魔をする者は全て私の愛人にしてあげましょう」
ラフィエル「っ」
マルティエル「もちろん本命はお嬢様ですよ❤」
ゼルエル「させるか!あの塔を破壊しろ!」
マルティエル「させませんよ」
現地民♀「❤❤❤」
ゼルエル「あの者達に塔の建設をさせていたのか……まるで独裁者だな……!」
ゼルエル「マルティエルは私がなんとかする!お前たちは人間の対処を!」
モブ天使「はい!」
ゼルエル「マルティエルッ」
マルティエル「おお、怖い怖い」
ゼルエル「戦を司る私を相手にしたこと……後悔しろッ!」
マルティエル「む、天使力が以前より上昇している……」
マルティエル「流石に時間を空けすぎましたか」
ラフィエル「マルティエル……お願いします!目を覚ましてください!!」
マルティエル「ああ……お嬢様……ご安心ください」
マルティエル「すぐにお嬢様もお導きします」
マルティエル「この世界を私達の愛を育むにふさわしい大地にしてみせます――」
ゼルエル「させると思うか!」
マルティエル「キマシパワーフルバースト!」
……!!
マルティエル「この障壁……ただの障壁ではないですね」
ゼルエル「ガヴリールの家にあったアニメを見てな。せっかくだから再現した」
ゼルエル「たしか……Aなんとかフィールドだったか」
マルティエル「なるほど。流石は神の腕といったところですか」
ラフィエル(こ、これなら……!)
マルティエル「ですが進化しているのは貴女だけではありません」
マルティエル「キマシコイル・レゾナンスモード!」
ゼルエル「むぅッ!?」
共振とは!?
あらゆる物質は固有の周波数を持つ!!
その周波数と同じ音や振動を与えると
どんな硬い物でも四散五裂し爆ぜ飛ぶ!!
天使力で形成された障壁とて例外ではない!
マルティエル「レイストーム!」
キママママママママママママママママッ
ゼルエル「くっ……!」
ラフィエル「そんな……ゼルエルさんの無敵の防御障壁が……!!」
ゼルエル「私のことは気にしなくていい……」
ゼルエル「ラフィエルはとにかくマルティエルに語りかけろ……!」
ゼルエル「マルティエルの心を連れ戻せ……ッ!」
ラフィエル「は、はいっ!!」
マルティエル「ああっお嬢様が私を見つめて……」ゾクゾクッ
ラフィエル「マルティエル……こんなこと本当はマルティエルも望んでないはずです!」
ラフィエル「お願いします……目を覚ましてくださいっ……」
ラフィエル「もとのマルティエルに……戻ってくださいっ……」ポロポロ
マルティエル「お嬢様……私にはわかります。とても苦しんでいることが」
マルティエル「安心してくださいお嬢様。すぐにその苦しみから解放してあげます」
キママママママママママママママママッ
ゼルエル「あの涙の意味がわからないとは……呆れを通り越して怒りが湧いた」
ゼルエル「一度爆ぜ飛び悔い改めろ!」
マルティエル(天使力が急上昇……天使力53万……!)
ゼルエル「天使神拳奥義――」
ゼルエル「破ァーッ!!」
ラフィエル「あれは天界生まれのZさんの必殺技!」
ラフィエル(しかしATフィ○ルドも解除されてしまいます!!)
ラフィエル(まさか……同士討ちするつもりでは!?)
ドドドドドドドッ
ゼルエル「はぁ……はぁ……」
ラフィエル「ゼルエルさん!大丈夫ですか!?」
ゼルエル「なんとか……自我は保てる……くっ」グラッ
ゼルエル(しかし共振で肉体へのダメージは大きいか……)
マルティエル「まさか改良版キマシコイルの照射を直撃してなお自我を保つとは」
マルティエル「驚きました」
ゼルエル「何……!?」
ラフィエル「そんな……ゼルエルさんの破ァッ!を受けて立っているなんて……!」
マルティエル「いえ、こちらもそれなりに危なかったですよ。ガワが壊れてしまいましたし」
ゼルエル「!!!」
ゼルエル(機械の体だと!?)
ラフィエル「マルティエル……その体……」
マルティエル「ええ、体の大部分を改造しました」
マルティエル「今はもう私自身が同性愛覚醒兵器」
マルティエル「この体にはキマシコイルの他にキマシパワーメーターや百合力発電機が組み込まれています」
マルティエル「そしてそれだけでなく……」
シュンッ
ゼルエル(速いッ……!?)
マルティエル「機械の体なので常人離れした芸当も可能です」
マルティエル「ディカプルキマシコレダー……!」
マルティエル(指先に仕込んだ改良型キマシコイルによる十連レイストーム)
マルティエル(単発威力は低くても全てが重なる焦点火力は絶大ですよ)
ゼルエル「……!!」
キマッ...
ラフィエル「あ……そ、そんな……」
ゼルエル「く……ぅ……」ガクッ
マルティエル「お疲れ様でした」
マルティエル「どうやら……あちらも片がついたようですね」
ラフィエル「そんな……」
マルティエル「相打ちですか……リミッターを外した原住民相手によく奮闘したと言ったところでしょう」
マルティエル「さて……世界キマシステム稼働まであと少しですね」
マルティエル「邪魔者もいなくなりましたし私は特等席で世界の革命を見届けるとしましょう」
バッ
ラフィエル「駄目です……!」
マルティエル「お嬢様」
ラフィエル「この先にはいかせません!」
マルティエル「無駄ですよ。稼働可能になれば遠隔操作でキマシパワーを発信できます」
ラフィエル「なら止めてください!!」
マルティエル「安心してください。世界が美しくなった後に……」
マルティエル「お嬢様は私が直々に振り向かせてあげますから」
ラフィエル「待ちなさ――」
マルティエル「すみません」
トンッ
ラフィエル「――っ!」ガクッ
マルティエル「女体封じのツボを突かせていただきました。しばらくは動けなくなるかと思います」
ラフィエル「そ、そんなっ……」
ラフィエル(このままじゃ……世界が……)
マルティエル「……今日は満月ですか」
マルティエル「キマシインシデント決行に相応しい夜ですね」
マルティエル「月明かりを反射するキマシ塔が美しい……」
マルティエル「もうすぐこの世界全てに百合の花が咲き誇ります」
マルティエル「全てが楽園となるのです」
ラフィエル(お願いします……神よ……)
ラフィエル(どうか奇跡をっ……!!)
ざっ❤
マルティエル「……!」
「かつて、女性が女性を愛せなかった時代があった」
「人は百合の花を見つめ、儚い希望と共に願いを託した」
マルティエル「貴女は……」
ハニエル「さて、マルお姉ちゃんはそれを独り占めするの?」
マルティエル「まるで夢物語ですね」
マルティエル「強い者が上に立ち、弱い者は支配される。世界はそのように出来ていました」
ハニエル「百合物語は夢物語でできてるんだよ☆」
マルティエル「……貴女は世界に一人しかいない最愛の人を分け合えますか?」
ハニエル「……ん」
マルティエル「力は使われなければ意味がありません。そのためにキマシパワーも生まれてきたはず」
マルティエル「決して叶うことのない願いも形を変えれば別の願いを叶えられます」
ハニエル「……そっか」
ハニエル「大きな白百合の聖十字(セイントキマシクロス)は囮」
ハニエル「十字架を象っただけのアンテナじゃない」
ハニエル「今日は満月……月と女体の関わりはとても深い」
ハニエル「キマシパワーは月に向けて送信され、月面で反射されてまたこの地球に戻る」
ハニエル「月は反射鏡の役割を担う。送り返されたキマシパワーは重なり共振し新たな力を生み出す」
ハニエル「そして地球にそびえる十字は一つのフェミニンを象る」
ハニエル「月を鏡と見立てて反射することでフェミニンの重ね合わせを表現」
ハニエル「月、鏡、女性の象徴……そして出来たニつのフェミニンがレズビアンシンボルとなる」
ハニエル「そしてエアーズロック……地球のヘソと呼ばれるこの地に作ったのは地球を胎児と見立てたから」
ハニエル「ねえ、マルお姉ちゃんの目的は本当にラフィお姉ちゃんを自分のものにすること?」
ハニエル「もうその目的の根本がねじ曲がってる様に見える……壮大な陰謀が垣間見えてるよ」
マルティエル「……」
マルティエル「たしかに……私の願いはお嬢様と添い遂げることでした」
マルティエル「しかしキマシパワーに触れて気づいたのです」
マルティエル「この世界は……尊さに飢えています」
マルティエル「枯れ果てた大地を溢れんばかりの百合の花で満たさなければならない、と」
ハニエル「無理やり思いをねじ曲げて作った穢れた造花に尊さなんてないよ」
ハニエル「自分の心をぶつけずに機械で洗脳するなんて……」
ハニエル「誰も望んでないよ。私もラフィお姉ちゃんも、全ての女の子たちも」
マルティエル「洗脳とは人聞きの悪い。導きですよ」
ハニエル「……そしてマルお姉ちゃん自身も。誰もこんなこと望んでない」
ハニエル「だから……もうやめよう?」
マルティエル「……」
マルティエル「先も言ったように……力は使われなければ意味がありません」
マルティエル「キマシパワーはなぜ存在するのか?なんのために存在するのか?」
マルティエル「人々を同性愛に目覚めさせる力……」
マルティエル「その力が何の希望を持って生まれたのか」
マルティエル「私はそれに気づきました。だからこそ……」
マルティエル「私はこの願いに応えなければならないのです」
ハニエル「……それは本当にその力の願いなのかな」
ハニエル「少なくとも……私は違うと思うよ」
マルティエル「この力を見つけ寝る間も惜しみその真意について追究し続けた私が言うのです」
ハニエル「そっか……やっぱりこうなるよね」
ハニエル「じゃあ当初の予定通り……手っ取り早くぶっ飛ばしちゃうよ!」
マルティエル「あの神の腕とも称された大天使ですら止められませんでした」
マルティエル「今更幼女一人で何ができるというのです」
ハニエル「んふー私はゼルお姉ちゃんよりもずーっとすごいよ☆」
マルティエル「大した自信ですね。ですが――」
マルティエル「世界キマシステム稼働まであと僅か」
マルティエル「誰にも止めさせませんし止められません」
マルティエル「この夜がレズビアンナイトの幕開けとなるのです――!」
ラフィエル「うっ……ハニエルちゃん……?」
ハニエル「待っててねラフィお姉ちゃん。今……あのお馬鹿な執事さんにお仕置きしてくるからっ」ニコッ
マルティエル「キマシパワーフルバーストッ!」
ハニエル「剃」シュンッ
マルティエル「……!?」シュンッ!
ハニエル「わーマルお姉ちゃんはやーい!」シュンッ!
シュッシュッシュシュシュ アカイアクマ シュッシュッ
ラフィエル(速い……!二人共まるで見えません……!)
マルティエル「おかしいですね……生身で私のスピードについて来れるとは……」
ハニエル「機械の体でそこまで速いほうがびっくりだよ?」
マルティエル「……普通ではないですね。少なくとも私が知る貴女にはこんな芸当できません」
マルティエル「なにをしたんですか?」
ハニエル「んー……」
ハニエル「えっとね……❤」
数十分前
天界
ガヴリール「ハニエル、準備はいいか」
ハニエル「うんっ!」
ガヴリール「これから平行世界に飛ぶ」
ガヴリール「神足通の中でも奥の手中の奥の手だ」
ガヴリール「もしかしたら失敗するかもしれない」
ガヴリール「パンツだけ飛んでくならまだいいが……」
ガヴリール「もしかしたら大変なことになるかもしれない」
ガヴリール「それでも……」
ハニエル「大丈夫っ!ガヴお姉ちゃんなら絶対に!」
ガヴリール「ハニエル……ああ!いくぞ!サーバー変更神足通ッ!」
ロリビッチレズレイパーの世界
ハニエル「あなたが……この世界の私……」
ガヴリール「頼む……私のいる世界が大変なんだ……!」
ガヴリール「犯したいなら好きに犯してくれて構わない!」
ガヴリール「だから……力を貸してくれ……っ!!」
LBLRエル「本当に……世界を救いたいの?」
ガヴリール「あ、ああ」
ハニエル「うん。世界だけじゃないよ」
ハニエル「ラフィお姉ちゃんもゼルお姉ちゃんも」
ハニエル「マルお姉ちゃんも……」
ハニエル「みんな……助けるよ」
LBLRエル「……あは❤さすが私❤」
ハニエル「❤」
LBLRエル「うんっ!その覚悟があれば大丈夫!」
ガヴリール「じゃあこっちの世界に来てくれるんだな!」
LBLRエル「んー力を貸してあげるだけ」
LBLRエル「解決するのはそっちの世界の住人だよ❤」
ガヴリール「えっじゃあ」
LBLRエル「これを使って❤」
ハニエル「これは……?」
LBLRエル「わざマシンだよ❤」
ガヴリール「!」
LBLRエル「これを使えば私の力を伝授できる。合わなかったら大変なことになるけど……」
LBLRエル「私なら大丈夫っ!」
現在
ハニエル「っていう感じかな❤」
マルティエル「異なる世界から力を……」
マルティエル「信じたくないですが……平行世界に干渉することができるのは事実」
マルティエル「神の領域に達した強度を誇る尻毛使い……ISLR」
マルティエル「そして星を繋ぎ銀河を巡ったレズレイパー……GLRH」
マルティエル「それらの強大な存在感はこの世界にも僅かに痕跡を残しています」
マルティエル「その力……」
ハニエル「そうだよ」
ハニエル「最強のバトルファッカー」
ハニエル「ギャラクティックレズレイパーハニエル!!」
マルティエル「GLRH……!!」
マルティエル「ですが……」
マルティエル「私は機械仕掛けの百合騎士!レズビアンナイトサイボーグマルティエル!!」
ハニエル「LKCM!!」
マルティエル「私とて……ここで負けるわけにはいかないのです!!」
マルティエル「キマシパワーフルバースト!!」
キマママママママママママママ!!!
ハニエル「独りよがりの欲望に……」
ハニエル「世界を越えて紡がれた絆は断ち切れないよ!」
ハニエル「ヘブンズタイム!」
マルティエル「」
ハニエル「たとえ光速で伝搬するとしても……止まった時間の中じゃ無力っ❤」
ハニエル「さてと……この大きなアンテナ塔を破壊して……」
ハニエル「キマシインシデントの終幕だよ!」
ハニエル「神をも超える尻毛を苦しめたゴッドノウズで……」
ハニエル「エンド・オブ・ファイナル!」
ドォォォンッ
ハニエル「そして時は動き出す……❤」
マルティエル「……!?」
マルティエル「そんな……セイントキマシクロスが……!!」
マルティエル(これは……文献に載っていたヘブンズタイムにゴッドノウズ……!!)
マルティエル「これが……銀河最強のレズレイパー……」
マルティエル「私の願いすらも……レイプするのですか……」
ハニエル「銀河に託された願い、たった一人の歪んだ欲望がどうこうできるわけないよね」
ハニエル「さてと……このままマルお姉ちゃんを天使的強姦(エンジェルズレイプ)するのもいいけど……」
ハニエル「それじゃ根本的な解決にはならないから……」チラッ
ラフィエル「……」
ハニエル「あとはラフィお姉ちゃんのお仕事だよ」
ラフィエル「……はい」
マルティエル「くっ……」
ラフィエル「マルティエル……もう終わりにしましょう」
マルティエル「まだです……研究のデータ自体は残っています……」
マルティエル「そして女性を虜にする能力も。労働力なんていくらでも手に入れられます」
マルティエル「この力があればこの世界キマシステムは再び……!」
ラフィエル「マルティエル」
マルティエル「っ!」
ラフィエル「あなたはどうしようもない変態です」
ラフィエル「いつも私を困らせる。何度も本気で怒りそうになったことがあります」
ラフィエル「正直嫌なことだったと思える思い出なんていくつも浮かべられます」
ラフィエル「ですが……それすらも愛おしい」
ラフィエル「無数に浮かぶ嫌な記憶、それらがかき消されるほど更に多くの素敵な思い出が浮かんできます」
マルティエル「……」
ラフィエル「あなたはどうしようもない変態……ですが」
ラフィエル「とても頼りになる――この世界で唯一の私の執事なんです」
ずいっ❤
ラフィエル「ですから……戻ってきてください」
ちゅっ❤
マルティエル「――――!!」
……
これは……私が白羽家に仕えてから少し経った頃の……
まだお嬢様が幼かった頃の記憶……
「それは宿題ですか?」
「うん!しょうらいのゆめ!」
「お嬢様は将来何になりたいんですか?」
「しょうらいはね!まるてぃえるのおよめさんになる!」
「……それはできません」
「えー?なんでー?」
「私が女だからです」
「そっか!じゃあまるてぃえるのおむこさん!」
「それもできません。お嬢様も女の子ですから」
「そっか~」
「……そんなに結婚したいんですか?」
「だってだいすきなんだもん」
「……そうですか」
お嬢様……
きっとお嬢様はもう忘れているかも知れませんが
私はあの言葉を本気にしていました
今はもう嫌われているものだと思っていました
お嬢様のことは何でもわかるものだと思っていましたが……
私の大きな大きな思い違いだったようです――
……
マルティエル「全て……思い出しました」
ラフィエル「マルティエル……目が覚めたんですねっ」
マルティエル「お嬢さま……申し訳ありませんでした……」
ハニエル(やっぱりお姫様のキスが最強の気付薬……だね☆)
ハニエル(あとは二人だけの時間……かな)
ラフィエル「いいんです。もとに戻ってくれただけで……それだけでとても嬉しい……」
ぎゅぅぅっ❤
マルティエル「……本当はわかっていました」
ラフィエル「え?」
マルティエル「キマシパワーの本当の願いを……」
マルティエル「女性同士の愛が決して許されることのなかった時代……」
マルティエル「彼女たちが未来へ託した願いを……」
マルティエル「同性愛が迫害されず、一つの愛の形として認められて欲しい」
マルティエル「いつか……未来に咲く百合の花をどうか踏みにじられないで――」
マルティエル「それが彼女たちの、キマシパワーに込められた願い」
ラフィエル「マルティエル……」
マルティエル「彼女たちは……結ばれるべくして成り立つ運命の愛を守りたかったんです」
マルティエル「ただ同性だからという理由だけで否定される愛を……守りたかったんです」
マルティエル「……ただ単に同性愛者を増やすことではない」
マルティエル「無闇矢鱈に百合の花を植えるのではない。あくまで咲いたか弱い花を守ってあげてほしかったんです」
マルティエル「大きな主張はそれだけで多くの人に嫌悪感を与えてしまいます」
マルティエル「それは……同性愛の迫害を招く行為に他なりません」
マルティエル「私は……その愚かな行為をしていました」
マルティエル「天使にあるまじき愚行、この責任は取らなければなりません」
ラフィエル「そうですね……」
マルティエル「どんな罰が待っているのかわかりませんが……しばらくの間お別れになりそうです」
ラフィエル「約束してください」
マルティエル「はい」
ラフィエル「必ず戻ってきてください」
マルティエル「はい。必ず」
ラフィエル「そうしたら……結婚しましょう」
マルティエル「!」
マルティエル「お、お嬢様……それは……」
ラフィエル「……忘れてると思ってましたか?」
ラフィエル「そんなわけないじゃないですか。いつまで経っても色褪せない私の夢なんですから」
マルティエル「……っ」
ラフィエル「約束、してくれますか?」
マルティエル「はい……必ずっ……」
ラフィエル「……時間みたいですね」
マルティエル「……ですね」
ゼルエル「いつつ……」ムクリ
ラフィエル「おはようございます。終わりましたよ」
ゼルエル「マルティエルは……」
マルティエル「ここに」
ゼルエル「……そうか」
ハニエル「ねーねー私があの塔壊したんだよ!ほめてっほめてっ」
ゼルエル「マルティエルを連行してから……な」
マルティエル「……それではお嬢様。お元気で」
ラフィエル「はいっ!」
…………
……
数年後……
教会
ヴィーネ「ラフィとマルティエルさん綺麗~……」
タプリス「それにしても……すごいですよね。天界初の同性婚ですよ!」
ガヴリール「マルティエル……ラフィエルのとこの執事の賜物だな」
ガヴリール「キマシインシデントの後、その責任を取るべく社会運動に参加」
ガヴリール「正しく組織を統制し過激派を抑制、理念を明確に定めて運動することで正当性を主張した」
ガヴリール「その結果多くの人々の理解を得て多くの国々で同性愛者が受け入れられるようになった」
ガヴリール「その功績もあり天界も同性愛を許容……」
ガヴリール「この結婚式はそれを記念する天界で一番最初の同性婚だ」
サターニャ「詳しいわね」
ガヴリール「招待状と一緒に送られてきたパンフにマルティエルの活動の概要が載ってた」
ガヴリール「それにしても……姉さんが神父役かよ」
ゼルエル「それでは指輪を交換してください」
ラフィエル「やっぱりウェディングドレスにしたほうがよかったですね」
マルティエル「いえ、タキシードのほうが私には似合うかと」
ラフィエル「代わり映えしなくて……せっかくの結婚式なんですからいつもと違うマルティエルが見たかったです」
マルティエル「それはそれは」
ラフィエル「……」
マルティエル「お嬢様?」
ラフィエル「本当にこの日が来たんですね」
マルティエル「……お待たせしました」
ラフィエル「むしろ早すぎですっ!まだ20歳ですよ私!」
マルティエル「それだけ早くお嬢様の下に戻りたかったのです」
ラフィエル「……とても嬉しいです」
マルティエル「はい」
ラフィエル「マルティエル」
マルティエル「はい」
ゼルエル「……おい」
ラフィエル「あっ指輪でしたね!」
マルティエル「すみません忘れてました」
ゼルエル「少し押してるから巻で頼む」トントン
マルティエル「では……」
ラフィエル「はいっ」
スッ...
ラフィエル「……♪」
ゼルエル「では……ベールをあげてください」
マルティエル「はい」
スッ...
ラフィエル「将来の夢……ついに叶うんですね」
マルティエル「はい」
ラフィエル「ありがとう……マルティエル」
ゼルエル「……誓いのキスを」
ヴィーネ(きゃああっ!!くるっくる!)グイグイッ
サターニャ(ひっぱんじゃないわよ!!)
タプリス(顔がっ顔が近づいてますっ!!)
ガヴリール(やばっマジのキスだ……!)ドキドキ
ラフィエル「……」チラ
マルティエル「……」コクッ
ちゅ❤
圧倒的祝福……!
コングラッチュレーション……白羽婦妻……!
完結☆