―町―
男「ふんふ~ん」スタスタ
男「!」ハッ
男「あ、あれは……アフリカの子供達ッ!? なぜ日本にッ!?」
アフリカの子供達「ハロー」
男「……なんの用だ!」
アフリカの子供達「僕たちの用件と言えば、決まってるだろ?」
アフリカの子供達「さっそくだけど、お金を恵んでもらおうか」
男「ふざけるなッ! 誰がお前たちなんかに!」
元スレ
アフリカの子供達「お金を恵んでもらおうか」男「ふざけるな! 誰がお前たちなんかに!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1502119382/
アフリカの子供達「ああ……ほんの100円でもあれば、僕らはどんなに助かることか……」
男「ぐっ!」ズキッ
男(こいつら……的確に“良心”をえぐってきやがる!)
アフリカの子供達「あーあ……ほんの少しの善意で救われる命もあるのになぁ……」
男「ぐううっ……!」ズキッ
男(マズイ……このままじゃ罪悪感で精神崩壊しちまう!)
男(逃げるしかない!)ダッ
男「うおおおおっ!」タタタッ
アフリカの子供達「甘いなァ」タタタッ
男(速い! これがアフリカの子供達の瞬発力ッ!)タタタッ
アフリカの子供達「お兄さん……アンタ、逃げられないよ」タタタッ
男(たしかに……アフリカの子供達相手に走りで勝負するのは無謀か!)タタタッ
男「……いいだろう」ザッ
アフリカの子供達「お金くれる気になったの?」
男「くれてやるとも」
男「ただし……“渡し方”は俺の自由だよな?」
アフリカの子供達「……どういうこと?」
男「こういうことさ!!!」ジャラッ
男「財布に入ってた小銭を……ッ! 超高速で投げつけるッ!」ブンッ
ギュオォォォォォッ!!!
アフリカの子供達「!!!」
男(この至近距離であのスピードの小銭を受ければ命はない! 終わったァ!)
アフリカの子供達「分裂!」バババババババッ
アフリカの子供A「ふぅ、危ない危ない」
アフリカの子供B「間一髪だね」
アフリカの子供C「すごいスピードだった……」
アフリカの子供D「これが日本の伝統武術“ゼニナゲ”というやつか」
アフリカの子供E「当たったら死んでたかもしれないわね」
アフリカの子供F「怖かったよぉ~」
アフリカの子供G「あの人、かなりの達人だよ」
男「な……!?」
男(分裂してかわしやがった! こいつら……出来る!)
【アフリカの子供達データ】
アフリカの子供A
性別:♂ 年齢:13
出身地:南アフリカ
趣味:読書
アフリカの子供B
性別:♂ 年齢:10
出身地:コンゴ
趣味:コラ画像作成
アフリカの子供C
性別:♂ 年齢:11
出身地:リビア
趣味:ペン回し
アフリカの子供D
性別:♂ 年齢:12
出身地:エチオピア
趣味:貯金
アフリカの子供E
性別:♀ 年齢:10
出身地:ナイジェリア
趣味:ダンス
アフリカの子供F
性別:♂ 年齢:8
出身地:ジンバブエ
趣味:ギャンブル
アフリカの子供G
性別:♂ 年齢:12
出身地:カメルーン
趣味:サッカー
男(7人に分裂……だが、これはチャンスでもある!)
男(合体時に比べ、単純計算でひとりひとりの戦闘力は1/7になったってことなんだからな……)
男(一人ずつ確実に倒していけば、勝機はある!)
男(最初の標的は……7人の中で一番幼そうなあの子供だ!)チラッ
アフリカの子供F「!」
男「俺の“能力”は金を投げつけるだけでなく、金を生み出すこともできる!」
男「かなり体力を消耗するからなるべくやりたくなかったがな……」
男「10億円召喚!」パァァァ…
ズンッ!
アフリカの子供F「ぐうっ……!?」ミシッ…
男「10億円の重さはおよそ100kg……! 札束に押し潰されるがいい!」
アフリカの子供F「ぐあああっ……!」メキメキ…
男(よし! ……これで一人は仕留めた!)
アフリカの子供A「ま、まずいぞ! あいつ一人じゃ100kgなんて持ち上げられない!」
アフリカの子供E「だったら再び合体しましょう!」
アフリカの子供D「そうだね!」
男「――なにっ!?」
アフリカの子供達「合体!!!」ガシィッ
男「こいつら……分裂も合体も思いのままなのか!」
アフリカの子供達「みんなの力を合わせれば、100kgだって持ち上げられる!」グググッ…
男「なんて筋力(パワー)! これがアフリカの子供達……ッ!」
アフリカの子供達「投げ返せ!」ブオンッ
男「うっ、うわああああああ……!!!」
ズシンッ……!
男「ぐはっ……!」ゲボッ
男「俺の負けだ……殺せ」
アフリカの子供達「そのつもりはないよ。だけど、一つだけ聞いておきたい」
男「な、なんだ……?」ゲホッ
アフリカの子供達「なぜ僕らにお金を恵まなかった?」
男「決まってんだろ……そんな余裕ないからだよ」
男「なにしろ俺は今、無職なんでな……」
アフリカの子供達「そうだったの……。こっちこそ、寄付を強要してごめんなさい……」
男「いいってことよ」
アフリカの子供達「なにか免許や資格は持ってないの?」
男「俺が持ってる資格といえば、教員免許ぐらいだな」
アフリカの子供達「教員免許!? だったら先生になればいいじゃん」
男「甘いぜ、アフリカの子供達」チッチッ
男「今は教員も狭き門だからな……免許持ってても先生になれるとは限らないのさ」
アフリカの子供達「だったらさ、僕らの先生になってよ!」
男「!」
アフリカの子供達「そうすれば職にもありつけるし、Win-Winの関係を築けるじゃない!」
男「いいのか……? 俺なんかが先生で」
アフリカの子供達「もちろん!」
男「お前たちを殺そうとしたのに?」
アフリカの子供達「関係ないよ」ニコッ
男「ありがとう……アフリカの子供達!」グスッ…
男「だが……一つだけ問題がある」
アフリカの子供達「なに?」
男「アフリカには学校が不足してると聞く……つまり、学校を作らなきゃならない!」
男「しかし、そんな大金どこにもない!」
アフリカの子供達「さっき先生が召喚した10億円があるじゃない!」
男「そ、そうか!」
男(この子たち……賢い! 将来有望だ!)
男「よぉ~し、アフリカに行って学校を建てるとするか!」
アフリカの子供達「オーッ!」
男「と、その前に……」
アフリカの子供達「?」
男「パスポート持ってないから、まず申請しなきゃな」
アフリカの子供達「あらら……」ガクッ
―アフリカ―
男「ふぅ~、やっと着いた」
男「ここがアフリカか……やっぱり暑いな」
アフリカの子供達「まぁね。だけど、とてもいいところだよ!」
男「ああ……それは分かる」
男「空気はキレイだし、人々はみんな笑顔だし、自然がいっぱいだ」
男(ここでなら、きっといい学校を建てられる……!)
男「――お?」
ライオン「ガルルルル!」
アフリカゾウ「パオォ~ン!」
チーター「ガルッ、ガルッ!」
ゴリラ「ウホッ、ウホッ!」
男「動物達!? なんでこんなところに!?」
アフリカの子供達「当然だよ、だってここはアフリカだもん」
男「なるほどな」
男(ん? なんだこの赤い線。踏んでみるか)スッ…
ジュゥゥゥゥ…
男「あっちぃぃぃぃぃ! あちっ! あちっ! ――なんだこりゃ!?」
アフリカの子供達「気をつけて! その赤いラインは赤道だよ!」
男「赤道!?」
アフリカの子供達「うん、赤道は見た目の通り、とても熱いからさわっちゃダメだよ!」
男「わ、分かった」
男(赤道ってホントに赤かったんだ……世の中、俺の知らないことがまだまだ沢山あるんだな)
男「じゃ、10億円で土地と木材買って、学校建てるか!」
男「みんなにも手伝ってもらうからな!」
アフリカの子供達「任せてよ!」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
トンテンカン… トンテンカン… トンテンカン…
―学校―
男「できたーっ!」
アフリカの子供達「完成だーっ!」
男「まず、校舎内は冷暖房完備! 各教室にドリンクバー完備!」
男「校庭には、滑り台、ブランコ、グルグル回るアレ、ジャングルジムと、さまざまな遊具を設置!」
男「体育館には飛び箱“モンスターボックス”を設置!」
男「理科室には動く人体模型を配備、音楽室にはバッハの絵とかが笑う仕組みを搭載!」
男「保健室には大病院並みの医療設備を採用し、いつ怪我人が出ても大丈夫! むしろ出ろ!」
男「図書館には週刊少年ジャンプをはじめ、さまざまな漫画雑誌を用意している!」
男「まさに学びも遊びも同時に味わえる、究極の学校だ!」
アフリカの子供達「やったーっ!」
男「だけどいつまでも喜びに浸ってるわけにはいかない……さっそく授業を始めるぞ!」
アフリカの子供達「はーい!」
アフリカの子供達「まずはなんの授業? 国語? 算数? 理科? 社会?」
男「決まってるだろう」
男「保健体育だ!」
男「えー……まずは教科書の27ページ、“男女における体の仕組みの違い”から……」
男「授業はこんなもんでいいだろう」
アフリカの子供達「じゃあ次は?」
男「……」グゥゥ…
男「腹減ったし、給食にするか!」
アフリカの子供達「わーいっ!」
男「給食を作ってくれるのは、日本で採用した和食、洋食、中華のプロフェッショナル達だ!」
くら寿司のバイト「へい、らっしゃい!」
サイゼリヤのバイト「今日はいいエスカルゴが入荷できましたぜ!」
王将のバイト「餃子なら任せてくんな!」
男「午後は動物たちと遊ぼう!」
アフリカの子供達「はーい!」
アフリカの子供達「ライオン、なでてあげるよ」ナデナデ
ライオン「クゥ~ン……」
アフリカゾウ「パオォ~ン!!!」バシャァァァァ
男「ぶはっ! 水をかけるのはやめろ!」
アハハハハ…… ハハハハハ……
アフリカの子供達「先生、学校って楽しいね!」
男「だろう?」
アフリカの子供達「だけど、このままじゃ……」
男「?」
アフリカの子供達「きっとあいつらが……」
男「あいつら?」
ドンドンドンッ!
男「なんだ!? 乱暴にドアを叩きやがって!」
アフリカの子供達「来た……!」
男「なんですか、あなたたちは?」
アフリカの大人達「アフリカの大人達だ」ザッ
先進国の大人達「先進国の大人達さ」ザッ
男「いったいなんの用だ?」
アフリカの大人達「簡単な用件だ」
先進国の大人達「今すぐこの学校を閉鎖し、アフリカの子供達への教育をやめてもらいたい」
男「な、なんだと……!?」
男「どういうことだ!」
アフリカの大人達「ガキどもは、アフリカでは貴重な労働力なんだ」
アフリカの大人達「学校なんかに通ってもらっては困るんだよ」
アフリカの大人達「本なんか読んでる暇があったら、作物の一つも収穫してもらわんとな」
男「そっちのお前たちも同じか!?」
先進国の大人達「我々としては、アフリカの人間があまり賢くなっては困るってとこかな」
先進国の大人達「アフリカの潜在能力はかなりのものだ……」
先進国の大人達「賢くなられては、我々先進国をも凌駕する危険性があるからな」
先進国の大人達「アフリカの人間は我らからの援助を受けて生きていけばいいのだ」
男「くっ……!」
アフリカの大人達「つまり、子供を学校に通わせたくない俺らの利害が一致したってわけだ!」
アフリカの大人達「なーっ!」
先進国の大人達「ねーっ!」
男(こいつらァ……!)
アフリカと先進国の大人達「さて、返答は?」
男「ふざけるな!」
男「お断りだ! この学校とこの子たちは俺が守る! 指一本触れさせねェ!」
アフリカの子供達「先生……!」
アフリカの大人達「バカな野郎だ……」
先進国の大人達「学校を閉鎖しないというのなら、消えてもらうしかないな」
男「なめるなよ……!」
男(財布の中にはまだ小銭が残ってる……いける!)ジャラッ
男「小銭投げェ!!!」ビュババババッ
アフリカの大人達「分裂するまでもないぜ!」シャシャシャシャッ
男「な……! 全部かわしやがった!」
男(なんて瞬発力! アフリカの子供達の20倍は速い!)
男「だったら10億円召喚!!!」パァァァ…
男「潰れろォ!!!」ズシッ
先進国の大人達「ほう、現金(キャッシュ)の重みで対象を押し潰すわけか」
先進国の大人達「しょせんは二流の技だな」バチバチッ
パッ!
男「!?」
男「10億円が……消えた!?」
先進国の大人達「先進国パワーで“電子マネー”に変換させてもらった」バチバチッ
男(俺の能力が……通用しないッ!?)
アフリカの大人達「アフリカのパワーを思い知らせてやるぜ!」
アフリカの大人達「アフリカ・ボディブロー!」
ドスッ!
男「ぐふっ……!」
先進国の大人達「頭を使った闘い方を教えてやろう」
先進国の大人達「先進国・頭突き!」
ガツンッ!
男「がはっ……!」ドサッ…
男(こいつら……強い……!)
アフリカの子供達「先生ぇっ!!!」
男「大丈夫だ……お前たちは命にかえても必ず守る」ゲホッ
男(しかし、どうする……俺の能力が通用しないとなると、打つ手が……)
アフリカの大人達「さっきヤツがばら撒いた小銭拾おうぜ!」サササッ
先進国の大人達「我々先進国の大人は上品だから、そんなことはせんのだ」
男「――!」ハッ
男(これだ! 見つけたぞ、こいつらの弱点!!!)
男「チーター!」
チーター「ガルッ!」シュザッ
男「俺とアフリカの子供達を乗せて、俺のいうとおり走ってくれ!」
チーター「ガルルッ!」
ドヒュンッ!!!
アフリカの大人達「ぬうう……チーターを操るとは!」
アフリカの大人達「地上最速を誇るチーターの脚力には、さすがのアフリカの大人達もかなわん!」
先進国の大人達「国連にでも駆け込まれたら面倒だ! 追うんだ!」
先進国の大人達「チーターは長距離は走れないはずだからな!」ニヤ…
男「……ここに大量に小銭をばら撒いて、と」ジャラジャラ…
男「これでよし」
男(後は、奴らが来るのを待つだけだ)
ザザッ!
アフリカの大人達「ふぅ、やっと追いついたぜ」
先進国の大人達「やはりチーターでは遠くに逃げることはできなかったな」
アフリカの大人達「――ん!?」
ジャラジャラ… ジャラジャラ…
アフリカの大人達「大量の小銭が落ちてやがる! みんなで拾おうぜ!」ダダダッ
先進国の大人達「まったくしょうがない奴らだ……」
先進国の大人達「――! ま、待てっ! 拾うな!」
アフリカの大人達「早い者勝ちだぜ!」サッ
ジュゥゥゥゥ…
アフリカの大人達「!!??」
アフリカの大人達「あっ、あぢぃ~~~~っ!!! ぐわぁぁぁぁぁぁっ!!!」
先進国の大人達「キサマ……さては赤道の上に、赤道が隠れるようみっちりと小銭をばら撒いたな!?」
男「その通り。ここに逃げたのは計算ずくだ」
男「金属は熱をよく伝える。小銭を拾おうとすれば、赤道の熱にやられるって寸法さ」
アフリカの大人達「ぐぅぅぅ……」プスプス…
先進国の大人達「ちっ、アフリカの大人達はもうダメだな……」
先進国の大人達「だが、我々先進国の大人達は、こんな罠には引っかからんぞ!」
先進国の大人達「なにしろ上品だからな!」ニヤ…
男「そう、先進国の大人達は上品だ……。しかし、その上品さこそが『最大の弱点』になるんだ」
先進国の大人達「……なんだと?」
男「出番だ! アフリカの子供達!」
アフリカの子供達「オッケー、先生!」バババッ
先進国の大人達(なんだ? まさか子供達を戦わせるつもりか?)
アフリカの子供達「ねーねー」
先進国の大人達「なんだい?」
アフリカの子供達「子供ってどうやって作るの?」
先進国の大人達「うぐっ!?」ズキンッ…
アフリカの子供達「ねえ、どうやって作るの?」
先進国の大人達「あぐぅぅぅ……!」ヨロッ…
男「答えられないだろう」
男「かといってコウノトリだのキャベツ畑だのでごまかすのも、先進国としてのプライドが許すまい……」
男「さぁ、どうするんだ!? R-18の真実を語るか、虚偽でごまかすか、選べ!!!」
先進国の大人達「ぐ、ぐぐっ……!」
男「アフリカの大人達は教養が不足していたゆえ、俺のトラップに引っかかってしまった」
男「先進国の大人達はお上品すぎるせいで、子供の作り方すら教えることができない」
男「だが俺なら、子供達に罠に引っかからない方法や子供の作り方を教えることができる」
男「さぁ、これでもまだ“アフリカの子供達に学校なんか必要ない”といえるのか!?」
アフリカの大人達「ぐっ……!」
先進国の大人達「うぐぐ……!」
男「どうなんだ!?」
アフリカの大人達「俺たちの……完敗だ……!」
先進国の大人達「好きにするがいい……!」
男「……ありがとう」
男(こうして俺がアフリカに建てた学校は、晴れて大人達にも認められることとなった)
……
…………
―学校―
キーンコーンカーンコーン…
男「さぁ、チャイムが鳴ったぞ。みんな教室の中に入るんだ!」
アフリカの子供達「はーいっ!」
ライオン「ガオオオッ!」
アフリカゾウ「パオォ~ン!」
チーター「ガルルルル……」
ゴリラ「ウホッ、ウホッ!」
男「それじゃ授業を始めるぞ。勉強しないと立派な大人になれないからな」
アフリカの子供達「今日は何の授業からー?」
男「もちろん保健体育だ!」
男「教科書の57ページ、“思春期における体の変化”から始めるぞ!」
アフリカの子供達「はいっ!!!」
おわり