登校中
ラフィエル「……そういえば、メロンパン」
ラフィエル「いつもサターニャさんを導くために買ってますけど、自分で食べることって無いんですよね~」
ラフィエル「最後に食べたのはいつだったか……」
ラフィエル「あぁ、考えだしたら食べたくなっちゃいました!」
ラフィエル「お昼に食べるようにコンビニで買っていきましょうか」
元スレ
ラフィエル「メロンパンが食べたいです!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1494333951/
コンビニ
店員「しゃせー」
ラフィエル(いつものコンビニのいつものパンコーナーへ……)
ラフィエル「……おや?」
ラフィエル「……無いですね、メロンパン」
ラフィエル「他のパンはたくさんあるのに……売り切れでしょうか?」
ラフィエル「仕方ありません、他のコンビニにしましょう」
店員「あざしたー」
他のコンビニ
ラフィエル「ここにも無い……?」
ラフィエル「なんでしょう、空前のメロンパンブームでも起きているんでしょうか?」
ラフィエル「っと、4件もまわったせいで時間がギリギリです!」
ラフィエル「購買でも売ってたはずなので、昼休みに買いますか」
学校 昼休み
ラフィエル「購買でも売り切れでした……」
ラフィエル「……サターニャさん」
ラフィエル「サターニャさんなら、きっとメロンパン持ってますよね」
ラフィエル「……サターニャさんに分けてもらっちゃいましょうか?」
ラフィエル「うふふ、それも良いかもしれないですね」
教室
ガヴリール「お、ラフィ」
ヴィーネ「ラフィ、今朝はうちのクラスに来なかったわよね?何かあったの?」
ラフィエル「ちょっとコンビニで探し物してたら、時間がギリギリになってしまいまして~」
サターニャ「探し物?なに探してたの?」
ラフィエル「サターニャさん!実はお願いがあるんです!」
サターニャ「お願い?探し物と関係あるの?」
ラフィエル「はい、探し物というのはメロンパンなんです!久しぶりに食べたいなー、なんて思った時に限ってどこも売り切れで」
サターニャ「メロンパン?」
ラフィエル「えぇ、サターニャさんなら絶対もってると思いまして」
サターニャ「えーと、それってどんなパンなの?っていうか、なんで私が持ってると思ったのよ?」
ラフィエル「……え?」
ラフィエル「あの、メロンパンですよ?」
サターニャ「メロンパン……メロン味のパンかしら」
ラフィエル「え、いやいや、サターニャさんの好きなメロンパンですよ?」
サターニャ「……?あ、分かった!」
ラフィエル「ほっ」
サターニャ「ラフィエルあんた!まーた私をからかってるのね⁉」
ラフィエル「⁉」
サターニャ「よく分かんないけど馬鹿にしてるでしょ!メロンパンなんて知らないわよ!」
ラフィエル「????」
サターニャ「もう!私はチーズ蒸しパン食べるけど、あんたも食べる?」
ラフィエル「あ、チーズ蒸しパンはいらないですけど……あの、ガヴちゃんヴィーネさん」
ガヴリール「うん?私も知らないな、メロンパンとか」
ヴィーネ「私も聞いたことないわ」
ラフィエル「??????」
帰り道
ラフィエル「……やはり、どこのお店にもありません」
ラフィエル「世界からメロンパンが消えた……?」
ラフィエル「いえ、そんなことあるワケありません!」
ラフィエル「あぁ、無いとなると更に食べたくなるじゃないですか!」
ラフィエル「……そうだ、売ってないなら自分で作ればいいんですよ!」
スマホ「メロンパン 作り方 検索」
スマホ「検索結果0件」
ラフィエル「⁉」
ラフィエル「え、ちょっと待って」
スマホ「メロンパン 検索」
スマホ「検索結果0件」
ラフィエル「?????????」
ラフィの部屋
ラフィエル「状況を整理しましょう」
ラフィエル「今朝、私はメロンパンを食べたくなりました」
ラフィエル「しかしどこのコンビニにも、学校の購買にも売っていませんでした」
ラフィエル「そして、サターニャさんガヴちゃんヴィーネさんに聞いたら……」
ラフィエル「メロンパンなんて知らない……と」
スマホ「メロンパン 検索」
ラフィエル「……」
スマホ「検索結果0件」
ラフィエル「……サターニャさんの悪魔的大嘘(デビルズライ)の可能性も考えましたが、検索して出てこないのは絶対おかしいです!」
ラフィエル「……」プルルルル
ラフィエル「……あ、もしもし?マルティエル?」
ラフィエル「えぇ、貴女にお願いが……はい、メロンパンという菓子パンを探してほしいんです」
ラフィエル「……あー、はい、まぁ、分かりました……いえ、それはダメですー」
ラフィエル「えーと、それくらいなら……あ、違いますー、そっちじゃなくて、はい」
ラフィエル「うん、じゃあご褒美はそれで、はい、お願いしますー」ピッ
ラフィエル「……はぁ、まぁメロンパンのためです、我慢しましょう」
ラフィエル「さて、それじゃあ今の私にできる事をやりましょう!」
ラフィエル「うろ覚えですが、メロンパン風トーストを作ります!」
ラフィエル「砂糖とマーガリンと、あとは……何か粉、えーと、小麦粉?」
ラフィエル「これを混ぜて……あ、先にマーガリンを溶かさないと」
ラフィエル「レンジでチンして、混ぜて……食パンに塗って」
ラフィエル「メロンパンみたいな模様をつけましょう」
ラフィエル「そして……焼くっ!」
レンジ「ち~ん」
ラフィエル「できました!」
ラフィエル「では、いただきます!」
ラフィエル「……」モグモグ
ラフィエル「……まぁ、悪くないですかね」モグモグ
ラフィエル「……もう1枚あります」
ラフィエル「サターニャさんにおすそ分けしましょう」
サターニャの部屋
ラフィエル「サターニャさん!」バシュン
サターニャ「⁉」ビクッ
ラフィエル「お邪魔します!」
サターニャ「また神足通ね!ちょっとそれ便利すぎるわよ!」
ラフィエル「ありがとうございます!あ、これ、おすそ分けです~」
サターニャ「なにこれ?食パン?」
ラフィエル「メロンパン風トーストです!熱いうちにどうぞ!」
サターニャ「あぁ、これが例のパンなのね?せっかくだから頂くわ」モグッ
ラフィエル「召し上がれ~」
サターニャ「言うほど熱くないじゃない!むしろぬるいわ!」モグモグ
ラフィエル「お味はいかがです?」
サターニャ「うん、美味しいけど……で、どこがメロンなの?」モグモグ
ラフィエル「模様がこう、メロンの網目みたいな」
サターニャ「見た目なの⁉食べ終わっちゃったじゃない!」モグモグ
ラフィエル「あとメロンパンじゃなくてメロンパン風パンです」
サターニャ「そもそも本物を知らないからコメントできないわ」
ラフィエル「ですよねー」
サターニャ「それで?こんなトーストまで作れるってことは実在するのよね、メロンパン」
ラフィエル「信じてくれるんですか……?」
サターニャ「そりゃね」
ラフィエル「……と、言うワケなんです」
サターニャ「なるほど……今日になって世界からメロンパンが消えてた、と」
ラフィエル「えぇ、私の頭が変になったんじゃなければ、やはり可能性は……」
サターニャ「魔界通販、つまり私ね?」
ラフィエル「すみません、でもそれしか」
サターニャ「……ねぇ、さっきのトーストってまた作れる?」
ラフィエル「サターニャさん?それはどういう」
サターニャ「なにか……なにか閃きそうな、そんな予感がするのよ」
ラフィエル「わっ、分かりました!すぐ作ります!」
ラフィの部屋
マルティエル「失礼します」バシュン
マルティエル「おや、お嬢様はお留守でしょうか」
マルティエル「……」ゴクリ
サターニャの部屋
ラフィエル「できました!今度こそ熱々ですよ!」
サターニャ「待ってたわ!どれどれ……なるほど、この網目がメロン要素ね!」
ラフィエル「さ、召し上がれ!」
サターニャ「いただきます!熱っ⁉」モグッ
ラフィエル「だから言ったじゃないですかぁ~!」ドンデンドンデンッ
サターニャ「!」ピーン
ラフィエル「……サターニャさん?」
サターニャ「この見た目、香り、味……どこかで」
ラフィエル「!」
サターニャ「あれ?たしか、私……?」
ラフィエル「サターニャさん、がんばって……!」
サターニャ「あ、あぁ、あっ!」
きのう サターニャの部屋
サターニャ「あー!今日も犬にメロンパン盗られたー!」
サターニャ「なんでよ!なんでいつもいつも私のメロンパン盗ってくのよ!」
サターニャ「うぅ~……メロンパァン」
サターニャ「メロンパンなんて……メロンパンなんてぇ……!」
テレビ「魔界通販『好きで好きでたまらないのに手に入らない!そんな物ってありますよねぇ?』」
サターニャ「?」
テレビ「魔界通販『だったら、いっそ無かった事にしちゃえばいいんですよ!』」
サターニャ「なにこれ」
テレビ「魔界通販『初めから無かったなら、手に入らなくて焦がれることもないんです!』」
サターニャ「なるほど?」
テレビ「魔界通販『そんな時はこの商品!』」
サターニャ「どれどれ」
テレビ「魔界通販『ロストラァヴ……!』」
サターニャ「早速届いたわ!『ロストラァヴ……!』」
サターニャ「『好きで好きでたまらないのに手に入らない物』を消すアイテム!」
サターニャ「『対象に関する記憶や情報を全て消します』?」
サターニャ「よく分かんないけど、食べられないメロンパンなら要らない!消えちゃえ!」
サターニャ「ロストラァヴ……!」ポチッ
現在 サターニャの部屋
サターニャ「……」
ラフィエル「……?」
サターニャ(私だ!)
ラフィエル「サターニャさん?何か思い出しました?」
サターニャ「いやー、さっぱりだわね!」
ラフィエル「だわね?」
ラフィエル「……あ、サターニャさん、これって魔界通販アイテムの説明書ですか?」
サターニャ「え⁉あ、違うわよ!」
ラフィエル「サターニャさん?」
サターニャ「あー!ラフィエルのメロンパン!美味しかった!また食べたいんだけど!」
ラフィエル「……ロストラヴ?」
サターニャ「あー!」
ラフィエル「……」
サターニャ「……」
ラフィエル「……サターニャさん」
サターニャ「あ、あの、ラフィエル」
ラフィエル「ごめん、なさい」
サターニャ「……ふぇ?」
ラフィエル「私が、私がサターニャさんの、メロンパンを、犬に」
ラフィエル「う、うぅ、私、そんなにサターニャさんが、そんなに思いつめてるなんて、知らなくて……!」ポロポロ
サターニャ「え?いや、そんな、そこまで」
ラフィエル「好きな物を消してしまうなんて、そんなの、辛いに決まってます……!」ポロポロ
サターニャ「うん、そうだけど、でも」
ラフィエル「もしも!もしもサターニャさんが消えてしまったら!私、私ぃ……!」ボロボロ
サターニャ「えぇ?メロンパンの話よね⁉なんで私⁉」
マルティエル「失礼します」シュバッ
サターニャ「⁉」ビクッ
ラフィエル「⁉」ビクッ
サターニャ「え?誰?え⁉」
ラフィエル「マルティエル!どうしたんですか?」
マルティエル「は、お嬢様にお願いされたメロンパン、お持ち致しました」
ラフィエル「え⁉あの、どうしてメロンパンが⁉」
マルティエル「事情は把握しております……どうやら魔界通販アイテムの効果は、天界まで影響を及ぼさなかったようです」
サターニャ「説明書によると、効果時間も効果範囲も限られてるみたいね」
ラフィエル「そうだったんですか⁉」
マルティエル「ちなみにこのメロンパンは天界でも人気のベーカリーで購入致しました、出来たてです」
サターニャ「その前にあんた誰なのよ!」
ラフィエル「ありがとうマルティエル、メロンパン頂きますね」
マルティエル「は、どうぞお召し上がりください」
ラフィエル「それでその、ご褒美なんですが」
マルティエル「それならもう大丈夫です、普段見られない表情も見れましたので満足しました」
ラフィエル「⁉」
マルティエル「それでは、失礼致します」バシュン
サターニャ「だから誰だったのよ……」
サターニャ「ロストラァヴ……!の効果が切れるまで、あと1時間くらいかしら」
ラフィエル「つまり今この瞬間、人間界でメロンパンを知ってるのはサターニャさんと私だけなんですね」
サターニャ「ま、そうなるわね」
ラフィエル「うふふ、なんだかロマンチックじゃないですか?2人だけの秘密、みたいな」
サターニャ「そう?そうかしらね、ふふっ」
ラフィエル「それじゃサターニャさん、はい、メロンパン半分こです♪」
サターニャ「ありがと、いただくわ」
サターニャ「……うん、美味しいわ」モグモグ
ラフィエル「はい、美味しいです♪」モグモグ
サターニャ「やっぱり本物じゃないとね!あんたが作ったのは、ほら、ね?」
ラフィエル「もー!言わないでくださいよー!」
サターニャ「あはは、ごめんごめん!」
ラフィエル「うふふ♪」
ラフィエル(そのメロンパンがとっても美味しかったのは、人気ベーカリーのパンだったから?)
ラフィエル(いろいろな困難を乗り越えてから食べたから?)
ラフィエル(……いえ、それはきっと)
サターニャ「んー!美味しかったー!」
ラフィエル「……」
サターニャ「ん?どしたのラフィエル」
ラフィエル「いい笑顔だなーって」
サターニャ「も~、ラフィエルったら~」
サターニャ「ごちそうさまでした!」
ラフィエル「ごちそうさまでした~」
サターニャ「あれ、そういえば」
ラフィエル「はい?どうしました?」
サターニャ「なんでラフィエルはメロンパンを忘れなかったのかしら?」
ラフィエル「そうですね、なんででしょう?」
サターニャ「ロストラァヴ……!を使った時に天界にいた、とか?きのうの夜9時くらいなんだけど」
ラフィエル「いえ、天界には……あ」
きのう夜9時 ラフィの部屋
ラフィエル「結界を張った状態で神足通すれば、サターニャさんに気づかれずに部屋へ侵入できるはず!」
ラフィエル「結界!そして、神足通!」
ラフィエル「……くっ、私の天使力では結界と神足通を同時に使うことはできないのでしょうか……!」
ラフィエル「いえ、諦めません!結界を張ったまま……神足通!」
ラフィエル「結界を維持して……神足通!」
現在 サターニャの部屋
ラフィエル(あれか)
サターニャ「?」
おわり