サターニャ「ガヴリールガヴリール!」
ガヴリール「はいはい、今度は何を買ったんだ」
サターニャ「察しが良いわね、聞いて驚くがいい!」
サターニャ「これぞ【デビルタブレット】! 摂取した者の力を最大限に引き出す代物よ!」
ガヴリール「!! サターニャァ!!!」ガタッ
サターニャ「うゎぃ!? 何よ急に!」
ガヴリール「お前……! なんてものに手を出して……!」ギリギリ
サターニャ「ぐぐ、苦じい゛……ギブギブ」ペチペチ
元スレ
【ガヴドロ】ガヴリール「力を引き出す……か」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1501778248/
……
ガヴリール「なんだ……ドラッグとかじゃ無いのか」
ガヴリール「お前の事だし大悪魔になるため! なんて言い包められたのかと」
サターニャ「人聞きの悪い……地上での禁忌くらいちゃーんと頭に入ってるわよ」
ガヴリール「念のために聞くが、本当に害は無いんだな?」
ガヴリール「お前の今まで持ち込んだ品々を見てると不安しか無いんだが」
サターニャ「そこに関しては魔界通販の中で散々保証されてたわ」
サターニャ「それにもし魔界でそんなもの売ろうものなら魂も残らず消されるわよ?」
サターニャ「悪魔的行為といっても限度があるんだからね」
サターニャ「何はともあれ、実際に試してみましょう」パクッ
サターニャ「ほら」チョイチョイ
ガヴリール「は?」
サターニャ「かかってきなさいって言ってるのよ」
ガヴリール「言うじゃん、後悔するなよ……?」
ガヴリール「オラァッ!!」ドスゥ
ガヴリール「って、いった……!?」
サターニャ「ほほう、あんたのパンチ程度痛くも痒くも無いほどに頑丈にもなるみたいね」
サターニャ「加えて言うと、今回はわざと食らってあげたけど欠伸が出るほど遅く感じたわ」
ガヴリール「くっそ……」ジンジン
サターニャ「身体能力や感覚を大幅に伸ばすと言ったところかしら」
サターニャ「効果は一粒2時間、時間切れもそう簡単には起こらないわ」
サターニャ「じゃ、次の休み時間を楽しみにしていることね」
サターニャ「なーっはっはっは!」ベキィ
サターニャ「あ、あれ? ドアが」
グラサン「胡桃沢」
サターニャ「」
ガヴリール「(さっそく問題起きてるじゃん……あいつの元々の力がおかしいせいだろうけど)」
ガヴリール「(力を引き出す……か)」
ガヴリール「(……ちょっと貰っとこ)」
……
……
ガヴリール「(もう16時か……)」
ガヴリール「あー疲れた、帰ろ帰ろ」ノビ-
ガヴリール「けど歩きたくない」グタ-
ヴィーネ「重症ね……」
ガヴリール「(神足通が使えたらなあ……ってそうだ)」
ガヴリール「(力を引き出す……この薬を使えば神足通も成功するようになるんじゃないか?)」
ガヴリール「(試す価値はあるか……)」パクッ
ヴィーネ「うだうだ言ってないで帰るわよ」
ガヴリール「まあ待たれよ」
ガヴリール「こっち来て」チョイチョイ
ヴィーネ「?」
ガヴリール「……」ツマミ
ヴィーネ「……服摘んでもダメよ、鞄くらい自分で持ちなさ……」
ガヴリール「……に移動させて」ボソッ
ヴィーネ「え、ちょ」
ガヴリール「……」
ヴィーネ「……」
ガヴリール「……何が消えた?」
ヴィーネ「……パンツ」
ガヴリール「そうか、お揃いだな」
ヴィーネ「あんた……覚えてなさいよ」モジモジ
ガヴリール「いやー今日は行ける気がして、ね?」
ガヴリール「折角だからヴィーネちゃんを家まで送り届けてあげようと思いまして……」
ヴィーネ「許可もなくそんなハイリスクな事するな!」
ガヴリール「めんごめんご」
ガヴリール「(天使としての力は変わらずか……まあ魔界の製品らしいしな)」
ヴィーネ「どうするのよこれ……! 今日は風も強いし……!」
ガヴリール「下だけジャージ着て帰るくらいしか無いんじゃない?」
……
ヴィーネ「うー……ジャージ越しでもスースーする……」モジモジ
ヴィーネ「というかなんであんたは平然としていられるのよ……」
ガヴリール「私は二度目だからね、初めての経験は大切にするといいよ」
ヴィーネ「あんた反省してないでしょ……!」モジモジ
ガヴリール「(なんて言ってはみたものの)」
ガヴリール「(鞄の重さも気にならないくらいに力が増したのはいいが)」
ガヴリール「(感覚も遥かに鋭敏になるのはかなりヤバい)」
ガヴリール「(感度◯倍とか笑い飛ばす余裕も無い)」
ガヴリール「(まして、今の私は……)」
……
ヴィーネ「や、やっと着いた……」モジモジ
ヴィーネ「じゃあパンツ、私の家に飛んでるんだろうし取ってくるから……」
ヴィーネ「って……大丈夫?」
ガヴリール「(大丈夫、じゃない)」
ガヴリール「(吹く風が、何度も何度も、下半身を撫でるように)」
ガヴリール「(風だけじゃない、風に押されたジャージの内側のざらついた生地が、汗を纏い張り付いては余韻を残しながら離れて)」
ガヴリール「(もう、限界)」ガクガク
ヴィーネ「す、すごい汗……! とりあえず入って!」
……
ヴィーネ「水置いておくわね。一人で飲める?」
ガヴリール「なんとかね……出来れば風呂も貸してくれると助かる」
ヴィーネ「大丈夫……? やっぱり私が運んだ方が」スッ
ガヴリール「触らないで!」
ヴィーネ「ご、ごめん……」シュン
ガヴリール「あ、違う……そういう意味じゃなくて」
ガヴリール「悪い、風呂……」フラフラ
ガヴリール「(まずいまずい! この感覚を抑えないことには何も……!)」
ヴィーネ「ガヴ……」
……
ガヴリール「はー……」シャワ-
ガヴリール「(冷水を浴びたらだいぶ落ち着いてきた……)」
ガヴリール「(けど、落ち着くとそれはそれで意識が多方面に……)」
ガヴリール「……ヴィーネの匂いがする」スンスン
ガヴリール「(ヴィーネが使ってる洗剤だし当然の話だ)」
ガヴリール「(嗅覚まで鋭敏になってる今、こんな空間にいたら……)」
ガヴリール「畜生……また身体が変に……!」シャワ-
ヴィーネ『ガヴ? ここにパンツと着替え置いておくわよ?』
ガヴリール「わ、わかった! なんでもない!」
ヴィーネ『何がよ……』
……
ガヴリール「ふー……」フキフキ
ガヴリール「(さっき着てたジャージの下と制服の上は汗で濡れまくってて使い物にならないか……)」
ガヴリール「(濡れ……)」
ガヴリール「(ジャージの中、見られてない……よな?)」
ガヴリール「(私自身見ちゃいないけど、きっと……)」
ガヴリール「(……今更考えても無駄だ、さっさと着替え……)」
▶【ヴィーネのふく】
ガヴリール「」
ガヴリール「(ジャージの上は家だし)」
ガヴリール「(……そりゃこれを着ることになるよね)」
ガヴリール「……」スンスン
ガヴリール「(やっ……ば……)」クラッ
ガヴリール「(服全体から漂う甘い匂いが……鼻腔を通して脳まで……)」
ガヴリール「(洗った服でこれなら……)」チラッ
▶【せんたくもの】
▶【ヴィーネのジャージ】
ガヴリール「……」ゴクリ
ガヴリール「(ついさっきまでヴィーネが履いてたジャージ……)」
ガヴリール「(ついさっきまでヴィーネの……そこと直に触れていたジャージ……)」
ガヴリール「(これに手を出したら……もう私は……)」
ガヴリール「……」スンスン
ガヴリール「(あっ……)」プツン
ヴィーネ「ガヴ? どうしたの……ひいっ!?」
……
ガヴリール「(う……)」
ヴィーネ「あ、起きた?」
ヴィーネ「洗濯物に頭突っ込んで寝てたからびっくりしたわよ」
ヴィーネ「のぼせちゃったみたいね」
ガヴリール「(天井と、ヴィーネの顔……)」
ガヴリール「(あと、後頭部に幸せな感触が……)」
ガヴリール「膝枕、か……」
ヴィーネ「い、嫌だった……?」
ガヴリール「嫌じゃあない……かな……」
ガヴリール「(太ももの感触が、脳に限りなく近い肌から鋭く送り込まれて)」
ガヴリール「(ただでさえ熱に浮かされ不安定な頭が、更に自己を削り取られる)」
ガヴリール「(もう、なんでもいいや)」
ガヴリール「ヴィーネぇ……」ギュウウ
ヴィーネ「が、ガヴ!?」
ガヴリール「ぷにぷにで……いいにおいで……やさしくて……」スリスリ
ヴィーネ「は、離れて……! って力強……!?」
ガヴリール「(そうか……今私のが強いんだ)」
ガヴリール「じゃあ……」ジロジロ
ヴィーネ「(な、何を見て……)」
ガヴリール「……唇」ガシッ
ヴィーネ「むっ……!?(動けな……)」グググ
ガヴリール「あまくて、おいしくて、やわらかそう……」スゥ
ヴィーネ「(顔が近付いて……!)」
ガヴリール「いただきます」
ヴィーネ「(ガヴ……!)」
[18:00]
ガクン
ガヴリール「……あれ?」フニャ
ヴィーネ「はーっ、はーっ……」
ヴィーネ「(な、何……? 急に抵抗が弱く)」
ガヴリール「……」スンスン
ヴィーネ「に、匂いを嗅がないで……」
ガヴリール「あ、2時間か」
ヴィーネ「……は?」
ガヴリール「うあー身体が重い……」
ヴィーネ「ガヴ」
ガヴリール「感覚も一気に鈍くなってほとんど感じないし」
ヴィーネ「ガヴ」
ガヴリール「副作用は無いらしいけど、この感覚のズレはやばいんじゃないか?」
ヴィーネ「ガヴ」
ガヴリール「ああヴィーネにも迷惑掛けたね、ごめんごめんそれじゃ」
ヴィーネ「ガヴ」
ガヴリール「はい」
ガヴリール「(にげられない)」
……
ガヴリール「以上が全てです」
ヴィーネ「……」
ガヴリール「どうかお許しを」
ヴィーネ「変態」
ガヴリール「ぐ……でもあの状態だから仕方なく」
ヴィーネ「前も私の服の匂い嗅いでたわよね」
ヴィーネ「変態」
ガヴリール「……仕方なかったって言ってるじゃん! いい匂いなんだから!」
ヴィーネ「変態……」
ヴィーネ「私の心配も知らないで……」
ヴィーネ「ジャージがあんなになってた理由も、風に撫でられて気持ちよくなったからってこと……?」
ガヴリール「な、なに人のジャージの中見てんのさ!?」
ガヴリール「それこそ変態じゃん!!」
ヴィーネ「んなっ……洗濯まとめる時に気付いちゃったんだから仕方ないでしょ!」
ガヴリール「だからこっちだって仕方なかったんだっての!」
ギャ-ギャ-
……
……
ヴィーネ「……まあ、ガヴが無事で良かったわ」
ヴィーネ「見たことない顔して大量に汗流してたり、お風呂上がったと思ったら倒れてたり」
ヴィーネ「変な病気だったりしたらどうしようかと思ってた」
ガヴリール「……心配掛けた」
ヴィーネ「そんな心配を他所に、ひたすら気持ちよくなってたみたいだけど」
ガヴリール「何度も言うなよ……ごめんて」
ヴィーネ「あんた中々反省しないんだからこれくらいが丁度いいでしょ」
ヴィーネ「あまつさえ私なんか襲われ掛けてるんだからね」
ガヴリール「ごもっともです」
ヴィーネ「二度とあの薬使うんじゃないわよ」
ガヴリール「えー……好き好んで使おうとは思えないけどどこかで役に立ちそうじゃない?」
ヴィーネ「あんなもの使って変な性的嗜好植えつけられたらこっちが困るのよ」
ヴィーネ「その……匂いとかに関しては見逃してあげるし」
ヴィーネ「たまには……その、応えてあげたいから」モジモジ
ガヴリール「ぷっ……やっぱヴィーネも変態じゃん」
ヴィーネ「誰のせいだと思ってるのよ!」
……
…
…
……
ガヴリール「ひゅっ……ひゅっ……!」フラフラ
ガヴリール「ゴール……だ……」ポフッ
ヴィーネ「大丈夫!?」ギュッ
ガヴリール「あー……ふわふわだ……」
ヴィーネ「よく頑張ったわね……焼肉ご馳走してあげるから」ナデナデ
ガヴリール「ん……焼肉もいいけど……」
ガヴリール「しばらく……このままで……」スンスン
ヴィーネ「っ……汗臭くないかな……?」ナデナデ
ガヴリール「それもいい……」スンスン
ラフィエル「あら~」
サターニャ「あいつら授業中に何してんのよ」
おわり
おまけ
~~~~~~~~~~
サターニャ「えうっ……ううっ……」ポロポロ
サターニャ「わざとじゃないのにい……!」グスン
サターニャ「(ドアが勝手に壊れただけなのに……!)」
ラフィエル「あら、サターニャさん」
サターニャ「! 何よ、怒られてたわけじゃないんだからね」ゴシゴシ
ラフィエル「はい、よくわかりました」
サターニャ「そんなことより、今日はあんたにも勝負を受けてもらうわよ!」
ラフィエル「珍しいですね、ではあっち向いてホイでも如何でしょう」
サターニャ「(さて、こいつの初陣ね)」パクッ
サターニャ「じゃーんけーん」
ラフィエル「(この顔はグーですねー)」
ラフィエル「ぽん♪」
サターニャ「(遅い……遅すぎるわ!)」
サターニャ「(ギリギリまで引きつけて、一瞬で手を変える!)」シュバッ
ラフィエル「あら?」パ-
サターニャ「ふふん」チョキ
サターニャ「(視認することすら出来ない超スピードよ)」
サターニャ「あっち向いて」
サターニャ「ほい!」
ラフィエル「」スッ
サターニャ「(動いた!)」
サターニャ「(動き出しを見てからその方向に指を向けるだけ)」ヒュン
サターニャ「(楽勝ね)」↑
ラフィエル「あらあら?」↑
サターニャ「弱い……弱すぎるわ!」
サターニャ「天使恐るるに足らず!」
ラフィエル「(おかしいですねー)」
ラフィエル「(サターニャさんは勢いよく向きを指そうとするあまり大きく振りかぶるので)」
ラフィエル「(右を指す時には予備動作で左に構える……と非常にわかりやすいのですが)」
ラフィエル「(急に妙な軌道の変化をしましたね)」
ラフィエル「(まあ、サターニャさんが嬉しそうなので良しとしましょう♪)」
ラフィエル「わー負けましたー」パチパチ
サターニャ「なーっはっはっは!」
サターニャ「……ってもうこんな時間じゃない! 帰らなきゃ!」ヒュン
ラフィエル「では帰りご一緒させていた」
ラフィエル「もういません……すごいスピードでしたね」キョトン
ラフィエル「(今ので大体タネはわかりましたが)」
……
サターニャ「ふふふ」タタタ
サターニャ「速い! 速いわ!」
サターニャ「(流れていく景色に目を止める暇も無いほど!)」
サターニャ「(車だって追い抜ける!)」
ガッ
サターニャ「あ」
サターニャ「(脚が―――)」
ドゴォ
サターニャ「い、いたた……」パラパラ
サターニャ「身体も頑丈になってて助かったわ……って」
サターニャ「(コンクリートの壁が粉々に……)」
サターニャ「(……これ、私がやったの?)」
……
ラフィエル「(恐らくはこれでしょう)」
ラフィエル「(【デビルタブレット】……一時的に身体能力や感覚機能を増幅させる)」
ラフィエル「(サターニャさんであれば、増幅された際にどれだけの力となるのかは想像も及びませんが)」
ラフィエル「(私の手を確認し、目にも留まらぬ速度で即座に手を変化させる……それが出来るだけの異常な反応速度と身体能力は持ち合わせているようです)」
ラフィエル「(また、サターニャさんが怒られていた理由……突然ドアを粉々に破壊したという目撃情報も)」
ラフィエル「(サターニャさんはたとえイライラしていても物に当たるような方ではありません)」
ラフィエル「(……少々まずいかもしれませんね)」
……
サターニャ「いただきまーす」
サターニャ「あ、甘い! 今日のメロンパンは一段と美味しいわ!」モグモグ
サターニャ「(今度からあそこのメロンパンを買おうかしら)」
サターニャ「じゃあ次はこの激辛カレーパンとやらを」ムグムグ
サターニャ「!? あ、痛、熱っつ!?」
サターニャ「(な、何これ!? 食べれるの!?)」ケホッ
サターニャ「ぬぬぬ、でも残すわけには……」ムグムグ
サターニャ「あづいぃ……」
――サターニャ、辛味との出会い
……
サターニャ「口直しにうどんでも……」パキッ
サターニャ「(箸が折れた……)」
サターニャ「(折れたというか、千切れたというか……)」
サターニャ「(壁に、電話に、箸に、柵に、ドアに、制服に、周りの色んなものが壊れて)」
サターニャ「(これだけ起これば、嫌でも私の力のせいだって気付いたわ)」
サターニャ「(おちおち気抜いて食事もできないわね)」ズルズル
サターニャ「美味しい……あ、七味入れなきゃ……」スッ
サターニャ「……なんだか嫌な予感がするからやめときましょう」
……
サターニャ「……」ボ-
サターニャ「(暇ね……時間が全然進まないわ……)」
サターニャ「(電話……は壊しちゃったし)」
サターニャ「(誰かの家に遊びにでも……)」
サターニャ「(……いえ、待つのよ胡桃沢=サタニキア=マクドウェル)」
サターニャ「(たとえ石だろうと簡単に砕ける今の私が、うっかり誰かに触れようものなら……)」
サターニャ「っ……」ゾクッ
サターニャ「……遊びに行くのはやめね」
サターニャ「(時間は……あと1時間で効果が切れるはず)
サターニャ「(それまで誰とも関わらず大人しくしていましょう)」
……
サターニャ「……そろそろかしら?」
サターニャ「……あと57分、か……」
サターニャ「(意識しちゃうと余計に時間が進まない……)」
サターニャ「(……さっきラフィエルのやつと勝負してた時間、短く感じたわね)」
サターニャ「……寂しい」
サターニャ「そうね、寂しいんだわ……私」
サターニャ「うっ……うぅ……」ポロポロ
コンコン
サターニャ「!?」
ラフィエル『』
サターニャ「ら、ラフィエル……?」
ラフィエル『』キ-
サターニャ「ちょ、いきなりガラスを切らないで!」
ラフィエル「ふふ、サターニャさんが寂しがってると思って急ぎましたよ?」ポン
サターニャ「だ、誰が寂しがってなんか」
ラフィエル「真っ赤な目のサターニャさんも可愛らしいですよ」
サターニャ「……!」カアア
ラフィエル「遅くなってごめんなさい、サターニャさん」スウ
サターニャ「! 寄らないで!」
ラフィエル「あらー、残念です……」ピタッ
サターニャ「……ありがとね、そこでいいから」
サターニャ「話だけ、付き合ってもらってもいいかしら?」
……
サターニャ「……なんだ、何もかもお見通しだったってわけね」
ラフィエル「サターニャさんはお優しいですから」
ラフィエル「誰かを傷つけるくらいなら、自分が傷つこうとするとは思ってました」
ラフィエル「今だって、そうでしょう?」
サターニャ「……その通りよ」
サターニャ「周りのあらゆるものが私の力に耐え切れず壊れていくのを見てね」
サターニャ「私だけが外界から隔絶されちゃったような気がしたの」
ラフィエル「……」
サターニャ「だから、そんな私でも受け入れてもらえるんだって安心が欲しい」
サターニャ「我儘だなんてわかってるけど、話すだけじゃ足りない、誰かと触れていたい」
サターニャ「今すぐにでも」
サターニャ「それが出来たら、いいんだけどね」
ラフィエル「私はいつでも大丈夫ですよ?」
サターニャ「……あのね、私の話聞いてたの?」
サターニャ「石だって鉄だって耐え切れないのよ? 冗談抜きに死んでもおかしくないの」
ラフィエル「そこでこれの登場です」ジャラ
サターニャ「あ、【デビルタブレット】……」
ラフィエル「お一つ、頂きますね」パクッ
サターニャ「ちょ、私の苦労を知っておいて普通に使うの!?」
ラフィエル「この薬、底上げされた身体能力に耐え切れるよう耐久性も引き上げる効果がありますよね」
ラフィエル「私、運動は得意な方でして」
ラフィエル「サターニャさんには及ばないまでも、なかなか丈夫になったはずです」
ラフィエル「さあ、どうぞ♪」
サターニャ「……頑張って我慢してたのにそんな事されたら」
サターニャ「……もうどうなったって知らないんだから」ギ ュ
ラフィエル「まだまだ平気ですよ~」
サターニャ「ラフィエル……」ギュウ
ラフィエル「まだまだ~」
サターニャ「ラフィエル……ラフィエルぅ……」ギュウウ
サターニャ「ごめん、ちょっとだけ我慢して……」ポロポロ
ラフィエル「いたた……」
ラフィエル「……ふふ、お好きなだけどうぞ……♪」ギュ
……
サターニャ「ラフィエル……」フニャ
ラフィエル「あ、効果切れたみたいですよ」
サターニャ「むにゃ……そうなの? いつの間に……」
サターニャ「……ほんとだ、身体が重い」
サターニャ「良かったぁ……」ヘナヘナ
ラフィエル「お疲れ様でした、サターニャさん」
サターニャ「……正直、怖かった」
サターニャ「大悪魔が聞いて呆れるわ、たった1時間も耐え切れないなんて……」
サターニャ「助かったのはあんたのお陰よ……ありがと」
ラフィエル「いえいえ、お気になさらず」
ラフィエル「これからたっぷり返済してもらいますので」ガシ
サターニャ「……はい?」
ラフィエル「お忘れでしょうか?」
ラフィエル「私の方、まだ80分ほど時間が残ってるんですよ」
ラフィエル「そんなに一人でいたら、私壊れちゃいそうです」ギュ-
サターニャ「あだだだだ!! 嘘つきなさいよ!!」
サターニャ「大体あんた、筋力は常識的なんだからちょっと加減すれば人と関わっても何も問題ないじゃない!」
ラフィエル「ここは丈夫なサターニャさんに全力を受け止めてもらうのが筋かと……」
ラフィエル「それに、先ほどの質問への返答ですけど」
――――――――――
サターニャ『ちょ、私の苦労を知っておいて普通に使うの!?』
――――――――――
ラフィエル「たとえ私が同じ目に遭っても……サターニャさんなら受け止めてくれると信じていたから」
ラフィエル「だから、躊躇いなく使えたんです」
サターニャ「ラフィエル……」
ラフィエル「……そんな私を本当に一人残していくおつもりですか?」ウルウル
サターニャ「うっ……(わざとらしく胡散臭い泣き顔して……)」
サターニャ「……はあ、嘘泣きだなんてわかってるけど」
サターニャ「それでも乗ってあげるのなんて、今回だけなんだからね」
ラフィエル「サターニャさん……♪」
ラフィエル「まあ、なんと答えても離す気は無かったんですけど」
ラフィエル「今は私の方が力強いですし」
サターニャ「なら聞かなくていいじゃない……」
ラフィエル「ふふ、結果は変わらずとも過程は大事なんですよ?」
ラフィエル「相手の口から純粋な気持ちが聞けて」
ラフィエル「それが自分の待ち望んでいた答えと相違なかった」
ラフィエル「それがどんなに嬉しいことか、サターニャさんも知ってるんじゃないですか?」
サターニャ「……そう、ね」
サターニャ「……仕方ないわね」
サターニャ「こんな程度で良いなら……付き合ってあげるわ」
サターニャ「ただ! これだけは約束して」
サターニャ「無いとは思うけど……また私が挫ける時があったら、今回みたいに支えてちょうだい」
ラフィエル「元よりそのつもりです」
ラフィエル「たとえ1分でも、何年であっても……」
ラフィエル「では言質も頂いたことですし、堪能させてもらいますね♪」ギュ-
サターニャ「いぎぎぎぎ……! やっぱり少しは遠慮してもいいと思うんだけど……!?」
おわり
66 : 以下、\... - 2017/08/04 03:00:30.260 4/dvN49R0 46/46敏感でにおい好きなガヴと自身の異常な力に悩むサターニャとそれを受け止める包容力組が書きたかった次第です
深夜にも関わらず長くなってしまいましたがたくさんの支援ありがとうございました