天界にある大学
ゼルエル「はあ…」
天使1「みてみて、あそこにいるの天真さんじゃない?」
天使2「ほんとだ。天真=ゼルエル=ホワイトさんね。どこか浮かない顔してるけど…」
天使3「なにか悩み事かしらね。けど、“神の腕”と呼ばれるほどの方にどんな悩みがあるのか疑問だけれど…」
……
ゼルエル「(先日は堕落したガヴリールを更生させるため、わざわざ下界に赴いたというのに…
結局、邪魔がはいって更生できないまま天界に戻ってきてしまった)」
ゼルエル「(もちろんガヴリールをあのまま堕落したままにしておくわけにはいくまい…、
しかし、下界に何度も赴くには不安があるし、私にも天界での生活がある…
そうそう気軽に下界にいるアイツのところに行くこともできないのだが…)」
元スレ
ゼルエル「久しぶりに千里眼でガヴリールの様子をみてみるか」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1493398728/
ゼルエル「(いや、しかしガブリールのやつ…先日の一件で多少はこの姉のキモチ…汲み取ってくれたのではあるまいか…
あの後、少しくらいは堕落した生活を改めて、自ら更生の道を歩んでいる可能性もまだ…)」
ゼルエル「よし、久しぶりに千里眼でアイツの…ガヴリールの下界での暮らしぶりを覗いてみるか」
ゼルエル「千里眼!!!」
……
……
……
……
ガヴリールの家
ヴィーネ「ガヴリール!アンタまた、こんなに部屋をめちゃくちゃにして!
ちょっとは部屋を片付けなさいよね!」
ガヴ「ああもう…なんだよヴィーネ、口うるさく言わないでよ…
今いいところなんだから」
ヴィーネ「それに!ネトゲもいい加減やめなさいよ!アンタ明日の小テストの勉強もぜんぜんやってないんでしょ!
このままじゃまた赤点に…」
ガヴ「あ、ちょ、何だよこいつ!経験値横取りかよ!
ラッパ吹くぞ!クソヒューマン!」
ヴィーネ「って、人の話を聞きなさいよっ!」
ヴィーネ「あんたねえ、そんな毎日毎日ぐーたらして、またゼルエルさんが来て、
今度こそ天界に強制送還されてもしらないわよっ!?」
ガヴ「ゼルエルゥ?ゼルエルって、ああ、あのイヌ大嫌いおばさんのこと?」
ヴィーネ「いや自分の姉に何いってんだお前!?」
ガヴ「いやー、びっくりしたよ。まさかあの天下無敵のゼルエル姉さんに、あんなしょぼい弱点があったなんて…ぷぷぷ…
『お前とともに下界に暮らし、更生させてやる』きりっ、…
かーらーの、『いにゅ…いにゅ…』ってwwwwwwwwwwまじ草生えるしwwwwww」
ヴィーネ「あ…あんた…自分の姉に向かって…、もう知らないわよ…もし、こんな陰口たたいてることがゼルエルさんに知られたら、今度こそただじゃすまされないわよっ」
ガヴ「いやいや大丈夫でしょ、仮にまたあのおばさんが来たとしても、またイヌ当てがわしときゃいいんでしょwww、また『イニュ…イニュ…ww』
とか言って天界帰るじゃんwwww」
ガヴ「いやあ、下界で駄天しておいて、ゼルエル姉さんを超えた私ってやっぱ天才だよねえー、もう敵じゃないわ…あ、こら、ヒールしろって…ばか…」
ヴィーネ「うっわあ…相変わらずほんと駄天使ね…あんたって…サイテー」
………
………
その後。
天界の天真家
ゼルエル「たっだいまー」にこにこ
ハニエル「おかえりなさい、ゼルお姉ちゃん。あれ、
なんだかニコニコ笑ってごきげんだね。何かいいことでもあったの?」
ゼルエル「ん?そう見えるか?ははっ、そっかそっか、だとしたら新しい発見だな。
ひとって想像を絶するくらい怒りが頂点に達すると笑うんだなっ」
ハニエル「え?なんだかよくわかんないけど、怒ってるの?ゼルお姉ちゃん?」
ゼルエル「いやいいんだハニエル。お前には関係のないことだからっ。ところでハニエル。わたし、明日、大学休んで下界に言ってくるから、
お母さんとお父さんにそう伝えておいてくれ」
ハニエル「下界に?ゼルお姉ちゃんが大学を休んでまで……、一体何の用なの?」
ゼルエル「いやあ、ちょっとガヴリールを粛清しにな」にっこり
ハニエル「いや急に何言ってんのゼルお姉ちゃん!!?」
ゼルエル「いやもう駄目だよハニエル…ガヴリールはもう駄目だ…前回、下界に様子見に行った時よりも悪化してるもん…マジでお姉ちゃん限界。限界なのまじで」
ハニエル「お、おおお落ち着いてお姉ちゃん…た、確かにガヴお姉ちゃん、最近ちょっとだけ雰囲気かわったけど…
けど、ひどいことしちゃかわいそうだよっ」
ゼルエル「ハニエル…、はあ…お前はホント、品行方正に育ったものだ…私にとって妹はもうお前だけでもう十分だ…
もう忘れよう…あの堕落しきった妹のことは…、大丈夫…
”神の腕”と言われた私の実力できっちり引導をわたしてくるから。
具体的には、二度と生意気な口たたけないように、ボコボコにするから」にっこり
ハニエル「さ、さわやかな笑顔で怖いこといわないでっ、ぜ、ゼルお姉ちゃあん!!」
………
………
ガヴ「へっくしっ」
ヴィーネ「何よガヴ、急にくしゃみなんかして。部屋の中だからってそんなジャージ一丁でいるからよ。
季節の変わり目なんだから、カゼひかないように気を付けなさいよ」
ガヴ「いやいやヴィーネ。悪魔と違って、天使はカゼなんかひかないからさ。
どーせ今のくしゃみは、誰かが、私の噂話でもしてたんでしょ。
どーせサターニャのアホとかが、また私にくだらないイタズラしかけようとたくらんでんだよ」
ヴィーネ「あーはいはい。まあ別にいいけど。それじゃガヴ。
私、もう帰るけど、明日はちゃんと学校来なさいよ。小テストあるんだからね」
ガヴ「あーはいはい、気が向いたらねー」
……
次の日…学校
ヴィーネ「もしもし、ガヴ!?アンタなんで学校来ないのよっ、
小テストあるっていったでしょ!?もしもし!?」
ガヴ『ごほっ…ごほっ…、ヴぃ、ヴぃーねぇ…』
ヴィーネ「が、ガヴ…?ど、どうしたの、その声…?アンタまさか…」
ガヴ『カゼ…ひいた…マジきついわ…今日、ガッコ休む』
ヴィーネ「しっかりカゼひいてんじゃないのよっ!!」
ガヴ「ごほっ、ごほっ」
ガヴ「うう…うかつだった…わたしとしたことが…、カゼひくなんていつ以来だろ…、
確か天界にいたころにも1回あったような…」
ガヴ「あ、駄目だ…考えるのもしんどい…、とりあえずベットで横になって寝ておこう…」
………
それから数時間後…
ガヴリールの部屋の前
ゼルエル「ガヴリール…!!」
ゼルエル「気配でわかるぞ…、学校にも行かず、部屋の中にいるな…
まったく、下界で修行するという目的も忘れて…堕落しきった生活をしおって」
ゼルエル「もはや、弁明の余地なし!入るぞガヴリール!」べきい!!
ドアをこじ開けて部屋に侵入するゼルエル
ゼルエル「ガヴリール!!今日こそはお前をとっちめに…!………え?」
ガヴ「はあ…はあ…うう…」
苦しそうにベットで眠るガヴリール
ゼルエル「が、ガヴリール!?お、おい、どうした!?もしかして熱があるのか、
おい、が、ガヴリール!??しっかりしろっ!おいっ!」
…………
ガヴリールの部屋
ガヴ「うう……」
ガヴ「(………、ん?)」
ガヴ「(なんだろ…なんか…いい匂いがする……?
あれ、それも、どっかで嗅いだことがあるにおいのような…)」
ガヴ「(ああ、そうだ…これ、スープのにおいだ…ゼルエル姉さんが作るのが得意だった特製スープ…
思い出した…小さいころ今日みたくカゼひいたときに…姉さんが…つくってくれたっけ…)」
ガヴ「(ゼルエル姉さんってば…普段は私に厳しいくせに…、
この時ばっかりは、すごく心配そうな顔して……つきっきりで私の看病してくれたんだよな…)」
ガヴ「(あんまりゼルエル姉さんが優しくしてくれるもんだから…、体調がよくなっても、もう少しだけ具合悪いふりしておこうかなー…、
そうしたらゼルエル姉さん、もう一日くらい、私のそばにいてくれるかな……とか考えてみたりして…。
ああ、そう考えると、駄天する前からわたし、けっこー、小賢しいところあったのかも…なんて)」
………
ガヴ「って…あ、……れ?けどなんで…、気のせいじゃない…?ほんとに…スープのいい匂いが…あれ…?」
ゼルエル「あ、め、目が覚めたか、ガヴリールっ!大丈夫か、ちょ、調子はどうだ…?」
ガヴ「……………は?」
ガヴ「……え、え?あ、あれ……??ぜ、ゼルエル…ねえ…さん?ほんもの…!?」
ゼルエル「ああ、体を起こさなくていい、ガヴリール。…とりあえず横になってもう少し寝ておけ。
もうすぐ、スープもできあがるから、その時また起こすからな」
ガヴ「え……、い、いや…あの、な、なんで…??ここに姉さんが…?」
ゼルエル「細かい話はいい、とにかく今日は私が面倒をみてやるから…、
お前はしっかり栄養をつけて体調を治すことだけ考えておけ」
ガヴ「え…いやいや…、あ、あれ……???」
…………
………
そのころ、学校では
ラフィ「ガヴちゃん、今日はカゼで休みですか」
サターニャ「はん、天使ってのは軟弱ね、まったく…!
私なんてカゼなんてひいたことないわよ」
ヴィーネ「ガヴったら………一人で大丈夫かしら…電話での声を聴く限りしんどそうだったし…ちょっと心配だわ」
ラフィ「まあ、放課後、みんなでお見舞いにいってみましょう」
ヴィーネ「そ、そうね…」
……
……
ガヴリールの家
ガヴ「ゼルエル姉さん…ほんとに、なんでここにいるんだよ…」
ゼルエル「決まっている。下界で堕落した”愚妹”を今度こそとっちめに来たんだ。
だが、カゼをひいて、既に弱っているのであれば、そうも言ってられんからな…」
ガヴ「……そりゃ、まあ…命びろいしたね…」
ゼルエル「それにしてもまったく…、天使が"1度"ならず2度までもカゼを引くだなんて…
そもそも、お前というやつは昔から、のんびり屋でどこか抜けている」
ガヴ「そーかな…」
ゼルエル「そうだよ。あのラフィエルを上回り、天使学校を首席で卒業したかと思えば…、下界では一辺、堕落した生活を送ってみたり…
なんかこう……その辺、もう少し、どーにかならんのか」
ガヴ「………」
ガヴ「そりゃまあ…、『神の腕』なんて呼ばれてるゼルエル姉さんのようにはいかないよ…、
かたやこっちは、努力したって、所詮”愚妹“だもの」
ゼルエル「………」
ゼルエル「…このっ」
人差し指で軽くガヴリールのおでこを小突くゼルエル
ガヴ「あいたっ…、なんだよゼルエル姉さん…病人相手に…暴力反対」
ゼルエル「つまらんことを言うからだ。
自分で自分を“愚妹”とか言うなガヴリール。
私とて、本気でお前のことを愚かな妹と思ったことなんて一度だってないよ」
ガヴ「え…」
ゼルエル「私にとっては、ハニエルもお前も可愛い妹であることに変わりはないさ。
今も昔もそれは変わらないことだ」
ガヴ「な、なんだよ…ゼルエル姉さん…や、やめてよ気持ち悪い」
ゼルエル「なんだ、照れてるのかお前らしくもない……そろそろスープができるころだな。起き上がれるか、ガヴリール」
ガヴ「あ、うん………、………、」
ガヴ「(ああなんか…優しいなあゼルエル姉さん…、まあ普段は厳しくても
私やハニエルにはなんだかんだで甘いところもあったもんな…)」
ガヴ「(…もう姉さんに甘える歳じゃないけど…しんどいし……どーせ誰もみてないし…、
今日だけ…
昔みたいに、ねーちゃん、に甘えちゃおうかな…なんて…)」
ゼルエル「ほら、がヴリール。スープをついできたぞ。冷めないうちに食べてくれ」
ガヴ「……、あ、うん…、……あのさ”ねーちゃん”」
ゼルエル「……ん?どうしたガヴリール」
ガヴ「その…」
ガヴ「手使うのしんどいし……、ね、ねーちゃんが食べさせてよ。
あ、あーんして、さ」
ゼルエル「はあ…?」
ゼルエル「………、まったくお前というやつは、高校生にもなって仕様のないやつだ。
まあ仕方ない、ほらガヴリール、あーん」
ガヴ「あ、あーん」もぐもぐ
………
………
………
………その後
その日の夕方
ガヴリールの家の前
ラフィ「ガヴちゃん、大丈夫でしょうか…」
サターニャ「ま、ガヴリールのことだから大丈夫だとおもうけど…仕方ないからわたしもお見舞いにきてあげたわ」
ヴィーネ「…まあ、たぶん、部屋でおとなしく眠っているだろうから、直接部屋にはいってみましょうか」
ヴィーネ「はいるわよ、ガヴー!」
………
………
ゼルエル「ガヴリール、ほら汗を結構かいただろう…そろそろ着替えるぞ。体起こせるか?」
ガヴ「えー、無理だよ…ねーちゃん起こしてよ」
ゼルエル「まったく仕方ないな、ほら、腕をかせ。よっと」
ガヴ「あーもー、もっと優しくおこしてよ、ねーちゃん。バカ力なんだから」
ゼルエル「注文の多いやつだな!お前はっ」
ゼルエル「…それでほら、まずは今着てる服を脱いでだな」
ガヴ「んー、無理無理ぃ…脱がせてよねーちゃん…しんどいよお…」
ゼルエル「幼稚園児かおまえはっ!まったく仕方ないな…
今日だけだからな…そしたらほら、まずは上脱がすからバンザイしろ…ほら、ばんざーいって」
ガヴ「うん、バンザー…い…えへへ……」
ガヴ「………、ん…?」
ヴィーネ・ラフィ・サターニャ「………」
ガヴ「」
ガヴ「ぎゃあああああああああああ!!!
ヴぃヴぃヴぃヴぃーね!?そ、それにラフィエルにサターニャも…!!な、ななななんでこ、こんなところに…!」
ヴィーネ「い、いや…アンタのお見舞いにきたんだけど…一人でしんどいだろうからって…けどなんかまあ…」
ラフィ「ゼルエルさんが看病してくれていたんですねえ……けど…なんかその…ごめんなさい…ガヴちゃん…ぷぷぷ…」
サターニャ「し、信じられない…、い、今のだれ…?
今のニコニコして嬉しそうにバンザイしてたの誰!?一体だれ!?」がたがた…
ガヴ「ぎゃあああああ!!や、やややめろお言うなクソ悪魔ああ!!!
て、ていうか勝手には、入ってこないでよ、は、犯罪!それ、犯罪だからっ!!!ばーかばーか!!」
ゼルエル「こらガヴリール!せっかくお見舞いにきてくれた友達になんてこというんだっ!
すまないな3人とも…すぐにお茶をいれるから」
ヴィーネ「あ、いえ…すみません。おまないなく」
ゼルエル「いつも妹が世話になっている…こんな妹だが、実は子供の頃から、根はやさしくて友達想いのやつなんだ。
みてのとおり世話が焼けるが…これからも仲良くしてもらえると…」
ガヴ「ぎゃああああ!も、もういいって、そんなねーちゃん!そういうの、なんか恥ずかしいわっ!!
ほ、ほんとやめてっ!!なんかすごく恥ずかしいよもう!」
ゼルエル「まったく、一体何が恥ずかしいというんだお前は…。
恥ずかしいのは友達の前で取り乱してるお前のほうだ…」
ゼルエル「ああ、そうだ…そういえば、着替えの途中だったな
…ほら、ガヴリール、ばんざーいだ。ほら、ばんざーい」
ガヴ「ぎゃあああああああ!!い、いいいいいいからっ!じ、自分でやるからっ!
も、もう大丈夫だからっ、ねーちゃんだまってよ、もう!」
ラフィ「ガヴちゃんばんざーい」
ガヴ「うっさいわあああああああ!!お、お前、ホントぶっ〇されたいのラフィエル!???
なんでそんな絶妙に煽ってくるのお前!!??」
ヴィーネ「ふふ…ガヴもおねーさんに甘えたりするんだあ…なんか可愛い…ぷぷ」
ガヴ「ちょ、び、ヴィーネ、い、いや…こ、これは…違…」
サターニャ「ちっ……、もういいわよ…見てみぬふりしてあげるから、
早く着替えなさいよほら。お姉さん困らすんじゃないわよガヴリール」
ガヴ「いやなんかお前らしからぬ、その察してあげてる感じのオトナの対応すっごいむかつく!
やめてっ!いや、ほんとやめてくださいまじでっ!」
ゼルエル「ああもう、ごちゃごちゃうるさいぞガヴリール!
ほら、とっととバンザイしないか。ほら、ばんざーい!」
ラフィ「ばんざーい」
ヴィーネ「ばんざーい」
サターニャ「ばんざーい…」
ガヴ「ぎゃ、ぎゃああああああああ!!や、やめろおおおおおおお!!お前ら嗚呼あああ!!」
…………
…………
ゼルエルのおかげで存分に辱めをうけたガヴリールでしたが、久しぶりにおねーちゃんと
昔のように姉妹らしく過ごせたせいか、それでもなお、少しだけ嬉しそうにしてたそうな。
おしまい