―のび太の家―
TV『さて、離婚騒動の続報です……』
TV『自身のブログにバイアグラ1000ml男などと書き込み……』
のび太(バイアグラ……?)
のび太「パパー」
のび助「なんだ、のび太?」
のび太「バイアグラってなあに?」
のび助「ぶっ!?」
元スレ
のび太「ねーねー、バイアグラってなあに?」ドラえもん「ぶっ!?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1500305466/
のび助「えぇと、バイアグラというのはだね……」
のび助「なんといったらいいのか……薬の一種というか……」
のび太「早く教えてよ、これからしずかちゃんちに遊びに行くんだから」
のび助「うーんと……そうだ!」
のび助「こういうことは、ママに聞きなさい」
のび太「はあい」
のび太「ママー!」
玉子「どうしたの、のび太」
のび太「バイアグラってなあに?」
玉子「ぶっ!?」
玉子「そういうことはパパに――」
のび太「パパに聞いたら、ママに聞けってさ」
玉子(パパったら……ずるいんだから!)
玉子「だ、だったらそうね……ドラちゃんに聞きなさい」
のび太「ドラえもんが分かるかな?」
玉子「未来から来たんだからバイアグラぐらい知ってるわよ」
のび太「ねーねー、ドラえもん」
ドラえもん「ん?」
のび太「分からないことがあるんだけど」
ドラえもん「いつもだらけてる君が質問だなんて珍しい。なんだい?」
のび太「バイアグラってなあに?」
ドラえもん「ぶっ!?」
ドラえもん「いきなりなんてこと聞くんだよ!」
ドラえもん「そういうことはパパかママに――」
のび太「パパもママも分からないっていうから」
ドラえもん(あの二人……逃げたな。夫婦そろってずるいなぁ、もう)
ドラえもん(さて、どうしよう……?)
ドラえもん(分からないで済ませても、おそらく納得しないだろうし、さらに他の人に聞くおそれもある)
ドラえもん(かといって教えるのは、いくらなんでも早すぎる気がする)
ドラえもん(う~ん……教えるべきか、教えぬべきか)
ドラえもん(……そうだ!)
ドラえもん「バイバイン~!」
のび太「バイバイン!」
ドラえもん「この道具、覚えてる?」
のび太「うん、たしか物の数を倍にする道具だよね」
のび太「一個が二個に、二個が四個に……って具合に」
ドラえもん「その通り! これを持ってパパのところに行こう」
のび助「……」
ドラえもん「いたいた」
ドラえもん「今、パパはあぐらかいてるだろ」
のび太「うん」
ドラえもん「パパにバイバインをふりかける」ポタッ
のび助「?」
ドラえもん「で、5分待つ」
のび太「5分……長いなぁ」
ドラえもん「すると――」
ムクムク… パカッ
のび助「うわっ、ぼくが二人になった!」
のび助2「うわっ! ホントだ!」
ドラえもん「これであぐらをかいたパパが二倍になった、つまりバイアグラ」
のび太「そういうことかぁ!」
ドラえもん「分かった?」
のび太「うん、とてもよく分かった!」
ドラえもん(我ながら完璧な答え方をすることができた)
のび太「やっぱりドラえもんは頼りになるなぁ」
ドラえもん「それほどでもないって」
のび太「これで心おきなくしずかちゃんちに遊びに行けるよ」
ドラえもん「あ、ぼくも行っていい?」
のび太「いいとも!」
のび太「それじゃパパ、行ってきま~す」
のび助「車に気をつけるんだぞ」
のび助2「しずかちゃんのご家族の迷惑にならないようにな」
のび太「は~い!」
―しずかの家―
のび太「でさぁ~、野良犬に噛まれた上にドブにはまっちゃって……」
しずか「もう、のび太さんったら!」
ジャイアン「マジかよ~」
スネ夫「のび太らしいや!」
アハハ…… ワハハハ……
ドラえもん(今日は珍しく、みんな仲良く遊んでる)
ドラえもん(だけど……なにか大切なことを忘れてるような……)
ドラえもん「じゃ、そろそろ帰ろうか」
のび太「そうだね。じゃあ、みんなまたね!」
ジャイアン「じゃあな、のび太!」
スネ夫「また学校でな!」
しずか「さよなら、のび太さん!」
ドラえもん「……」ソワソワ
のび太「ドラえもん、さっきから落ち着かないけどどうしたの?」
ドラえもん「うん……なんだか胸騒ぎがするんだ」
のび太「胸騒ぎ? 気のせいだよ、きっと」
スタスタ…
のび太(ん? ぼくの家の周りに――)
のび太「うわーっ!!!」
ドラえもん「うわーっ!!!」
のび助37「お帰り、のび太」
のび助955「ぼく、こんなに増えちゃったよ」
のび助4918「いやー、どうしちゃったんだろう、ぼく」
のび助6710「ママは驚いて気絶しちゃったし……」
ウジャウジャ… ウジャウジャ…
のび太「パパがものすごい数になってる!」
ドラえもん「しまった!」
ドラえもん(パパにバイバインをかけたのをすっかり忘れてた!)
ドラえもん(ぼくとしたことが、栗まんじゅうの時と同じミスをしちゃった!)
のび太「パパは今、何人ぐらいになってるの?」
ドラえもん「あれから一時間経ったから、二人から5分ごとに12回分裂したとして」
ドラえもん「2の13乗で、8,192人!」
ムクムク… パカッ
のび太「あ、また増えた」
ドラえもん「これで16,384人だ!」
のび太「ど、どうしよう!?」
ドラえもん「栗まんじゅうの時みたいに、大量のパパを宇宙に捨てるしか……」
のび太「そんなのダメだよ! パパを捨てるなんてとんでもない!」
ドラえもん「だったらジャンボガンや熱線銃で、余分なパパを焼き払うしか……」
のび太「もっとダメ!」
ドラえもん「う~ん、弱ったなぁ」
ポコンッ
のび太「また増えた!」
ドラえもん「32,768人になったね」
TV『臨時ニュースです』
TV『東京都練馬区在住の会社員、野比のび助さんが増殖するという異常事態が発生しています』
TV『現在ののび助さんの推定人数は100万人以上……』
TV『総理は自衛隊の出動も検討しており……米軍にも応援を要請……』
しずか「あらやだ」
スネ夫「100万人っていったら、大きい市の人口と同じぐらいじゃないか」
ジャイアン「うちの母ちゃんは分裂できなくてよかったぁ……」
ウジャウジャ… ウジャウジャ…
のび太「ドラえもん! もう町じゅうがパパだらけだよ!」
のび太「しかも5分経つごとにどんどん倍になっていく!」
ドラえもん「こうなったら未来に行って、バイバインの効果を止める薬をもらってくる!」
のび太「頼んだよ!」
22世紀――
―未来デパート商品開発部―
科学者「バイバインの効果は止められんよ。どうにもならん」
ドラえもん「なんだって!?」
科学者「ま、諦めるんじゃな」
ドラえもん「そんな無責任な!」
ドラえもん「あなたの発明のせいで、過去の時代が滅びちゃうかもしれないんですよ!」
ドラえもん「どうするんですか!?」
科学者「むむむ……」
科学者「一つだけ……方法がある」
ドラえもん「どんな方法!?」
科学者「バイバインをかけられたオリジナルののび助氏が、強く念じるのだ」
科学者「“自分よ、元通り一人になれ”――と」
科学者「そうすれば、精神の作用がバイバインに働きかけて、元に戻れるかもしれない」
ドラえもん「実に科学的な方法だ!」
ドラえもん「よぉし、のび太君のところに戻ろう!」
―のび太の家―
のび太「遅いよ、ドラえもん! パパの数がもう1000万を超えちゃったよ!」
ドラえもん「解決方法が分かった!」
ドラえもん「一番最初の、オリジナルのパパを探すんだ!」
のび太「わ、分かった!」
ウジャウジャ… ウジャウジャ…
のび太「この中から探すのか、大変だなぁ」
ドラえもん「文句いわない! 世界がパパで埋め尽くされるかどうかの瀬戸際なんだから!」
ウジャウジャ…
のび助54「ぼくはオリジナルじゃないよ」
のび助10023「ぼくじゃないなぁ」
のび助365210「一人目のぼくは、多分あっちにいるんじゃないかな?」
のび助10548911「ああ、さっきあそこにいたよ」
ドラえもん「いた!」
のび助「あ、のび太、ドラえもん!」
のび助「ぼくがどんどん増えて困ってるんだ。早くなんとかしてくれえ」
ドラえもん「残念ながらぼくじゃどうにもならないので……パパがなんとかして!」
のび助「どういうことだい?」
のび太「パパ! 強く念じて! みんな、ぼくと一つになれって!」
のび助「分かった! やってみる!」
のび助「むむむ……」
ドラえもん「念じ方が足りない! ほらもっと強く念じて!」
のび太「世界の運命はパパにかかってるんだよ!」
のび助「よぉ~し、ぼくの本気を見せてやる!」
のび助(画家を目指してた時の情熱や、ママと出会った時のときめき、のび太が産まれた時の喜びを……)
のび助(思い出すんだ!!!)
のび助「むむむむむ……」
のび助「みんな、ぼくと一つになれぇっ!!!」
バシュゥゥゥゥゥゥ!!!!!
……
…………
のび助「……!」
のび助「も、戻った! あんなにたくさんいたぼくが、全部いなくなった……!」
ドラえもん「やったぁ!」
のび太「さすがぼくのパパだ!」
玉子「よかったわ……」
ワーイワーイ!
TV『のび助さんの増殖が、のび助さんによってめでたく食い止められました』
TV『警察はのび助さんに感謝状を授与する方針……』
しずか「一時はどうなることかと思ったけど、よかったわ~」
スネ夫「町じゅうがのび太のおじさんだらけになってたもんね」
ジャイアン「のび太のおじさんもやるじゃんか!」
のび助「のび太、ドラえもん!」ギロッ
のび太「はいっ!」
ドラえもん「はいっ!」
のび助「もう二度と、あんな薬をぼくにかけるんじゃないぞ!」
のび太「はい……」シュン
ドラえもん「ごめんなさい……」シュン
のび助「叱るのはこれくらいにしとこう。二人とも疲れたろう、今日はおやすみ」
のび太「おやすみなさ~い!」
ドラえもん「おやすみなさい」
その夜――
のび助「……」
のび助「なぁ、ママ……」モゾッ
玉子「なに?」
のび助「1000万人以上のぼくを一人にまとめたせいか、今夜は元気があり余ってるんだ」
のび助「久しぶりに……しないか?」
玉子「もう……あなたったら」
~おわり~

