AM5:00――
ピピピピピ… ピピピピピ…
ガバァッ!
嫁「起きたァ!!!」
姑「起きたァ!!!」
男「う~ん……」モゾ…
元スレ
男「ぼくの家は嫁と姑の仲が悪すぎて困る」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1499085998/
嫁「私のが早く起きましたー!」
姑「アタシのが早かったよー!」
嫁「いーえ、私のがコンマ一秒早かったですぅ~!」
姑「アタシのが、刹那の差で早かったよォォォォォ!」
男「まあまあ、朝から喧嘩しないで。朝ごはんにしてくれよ」
嫁「すぐ作るわ!」
姑「アタシに任せなァ!」
チーンッ グツグツ…
嫁「トーストよ!」ババッ
姑「ご飯とみそ汁よ!」ババッ
男「お、どちらもうまそう――」
嫁「……」ギロッ
姑「……」ジロッ
男(うわっ、睨み合ってる……!)
嫁「朝からご飯て……重すぎますわよ、お義母さん!」
姑「そっちこそ! トーストなんて貧弱な食い物じゃ、栄養になりゃしないよ!」
嫁「なんですってェェェ!? ご飯なんて前時代的な食い物よ! 古代文明よ! オーパーツよ!」
姑「ふん、トーストなんざ残飯にも劣るのさ! ペラッペラで貧相だもんねェ! キエエッ!」
男「まあまあ、二人とも……食べもしないで、批判するのはよくないよ」
嫁「それもそうね。たまには朝からご飯を食べてみましょ」モグッ
姑「トーストをいただこうかね」パクッ
嫁「ふむ、ご飯とみそ汁……うまいじゃないの」モグモグ
姑「パン……なかなかの味だねえ」モグモグ
嫁「ほわほわのご飯を噛んで、そこに味噌汁を流し込む時の感覚! たまらないわ!」ジュルルッ
姑「程よく焼けたトーストの歯ごたえ……なんともいえない快感に浸れるねェ!」サクッ
嫁「おかわり!」サッ
姑「トーストもう一枚!」サッ
男「あの、ぼくの朝食……」
男「行ってきまーす」スタスタ…
嫁「行ってらっしゃーい」
姑「行ってらっしゃい」
男(なんだか胸騒ぎがするなぁ……二人でとんでもないことしなきゃいいけど)
嫁「さて、あの人は出てったし、ここからが勝負ですわね」
姑「いいともさ」
嫁「じゃあまず……なにをします?」
姑「アンタが選択していいよ」
嫁「じゃあ……洗濯しましょう」
姑「ぶふっ!」
姑「アンタ、ギャグセンスはだいぶ向上したようだねェ! ウインク!」パチッ
嫁「ありがと、お義母さん! だけど両目をつぶったらウインクじゃないですよ」
嫁「じゃ……始めましょうか」
姑「いつでもいいよ」
嫁「私が洗って!!!」ゴシゴシゴシゴシゴシ
姑「アタシがすすいで!!!」ジャブジャブジャブジャブジャブ
嫁「私が乾かして!」バッサバッサバッサバッサバッサ
姑「アタシが畳むゥ!」バババババッ
嫁「タイムは!?」
姑「12秒55!」
嫁「記録更新だわ!」
姑「いよっしゃァァァァァ!」
ガシッ!
嫁「買い物に行きましょうか」
姑「アタシが行くよ」
嫁「お義母さんは休んでて下さい。私が行きますから」
姑「おやおや、嫁の分際でアタシを足手まとい扱いする気かい?」
嫁「そんな……私はただ、お義母さんには休んでてもらおうと……」
姑「嫁に休ませてもらうほど、耄碌しちゃいないよ」
嫁「……」ゴゴゴゴゴ…
姑「……」ゴゴゴゴゴ…
嫁「だったらこうしましょう……二人で行くというのは?」
姑「名案!!!」
<イオン>
嫁「今夜はお肉にしません? 牛肉を買いましょう」
姑「いやいや、豚肉の方がおいしいんだよ」
嫁「あらら、お義母さん、牛肉のおいしさを知らないの?」
姑「おやおや、お若い人には豚肉の味が理解できないようだねェ」
嫁(むむむ、お義母さんのせいでトンカツが食べたくなってきちゃった……どうしよう)
姑(う~む、嫁のせいでローストビーフを食べたくなってきたよ……どうしようかねぇ)
店員「いらっしゃいいらっしゃい! 今日は鶏肉のセールだよ~!」
嫁姑「それだぁ!!!」
嫁「一通り家事が終わっちゃいましたね」
姑「ヒマだねえ……」
嫁「じゃあゲームでもやりません?」
姑「いいねえ、なにやる?」
嫁(ぷよぷよだとお義母さんにはとても敵わないし……)
姑(スト2じゃ昇竜拳を出せないアタシが不利だねえ……)
嫁姑(だったら――)
嫁姑「64スマブラ!!!」
嫁「……」カチカチカチカチカチカチ
姑「……」カチカチカチカチカチカチ
嫁「お義母さん、PKサンダー体当たりばかりやるのやめて下さい!」カチカチカチ
姑「そっちこそ、カービィのストーンばかりで芸がないよ!」カチカチカチ
嫁「あっ、モンスターボール!」カチカチッ
トサキーント… トサキントトサキント… トサキーント…
嫁「クソがァァァァァ!!!」
姑「ヒッヒッヒ、ざまあないねえ!」
姑「って、ああ! PKサンダーの操作ミスって、ネスちゃんが奈落の底にィィィィィ!」
チュドーン
嫁「テレビを見ましょうか」
姑「そうだね」
嫁「じゃ、ドラマに……」
姑「ワイドショーに……」
嫁「あ?」
姑「あ?」
嫁「ワイドショーなんてゴミよ!」
嫁「どうせ政治家とか芸能人のスキャンダルしかやってないじゃない! 面白くないわ!」
姑「ふん、ドラマなんてつまらないよ! どうせミステリーかメロドラマなんだろう?」
姑「せめて時代劇じゃなきゃ見る気も起きないねェ!」
嫁「きえええええええええええっ!!!」
姑「ぐえええええええええええっ!!!」
嫁「まあまあ、ケンカしても仕方ないわよ」
嫁「新聞のテレビ欄をもう一度見てから、あらためて議論しましょう」
姑「たまにゃいいこというじゃないか」
嫁「ふふっ、でしょう?」
嫁姑「……」
『ワイドショー 芸能人Aの不倫騒動の続報!』
『ドラマ 湯けむり時刻表トリック殺人事件』
嫁「ワイドショーのが面白そうだわ! 他人の不倫は蜜の味!」
姑「いーや、ドラマだね! 湯けむり時刻表トリック超気になる!」
ポツッ…
嫁「雨ですね」
姑「雨だねぇ」
嫁「ご近所に報告を!」
姑「応ッ!!!」
シュバババババッ!
嫁「にわか雨でよかったですわねえ」
姑「ホントだねぇ」
プルルルル…
姑「はい、もしもし」ガチャッ
電話『オレだよ、オレオレ』
姑「どうしたんだい?」
電話『仕事中に事故っちゃってさぁ~、示談にするために500万円必要なんだ』
電話『今すぐ振り込んでくれないかなぁ~』
姑「……」
姑「ねえねえ!」
嫁「どうしました、お義母さん? 人気アイドルに初めて出会った生娘のような顔して」
姑「ついにうちにも来たんだよ、オレオレ詐欺!」
嫁「えーっ!?」
嫁「なんかワクワクしてきましたね!」
姑「だろう?」
嫁「どうします?」
姑「決まってるじゃないか……」ニィィ…
姑「潰す!!!」
嫁「うっふっふ、いいヒマ潰しができましたねえ!」
姑「あの~……」
電話『なんだい? 母さん』
姑「500万円は現金であるけど、アタシ振り込み方が分からないんだよ」
姑「だから、直接アンタに渡したいんだけど、いいかい?」
電話『……いいですよ! じゃあ、これからいう場所に来て下さい!』
姑「じゃ、すぐ渡しに行くからね!」ガチャッ
姑「……かかった!」
嫁「うふふ……私ったら、遠足前夜のあのワクワク感を思い出しましたわ」
姑「アタシも亡き旦那との初デートのドキドキ感を思い出したよ」
<雑居ビル>
業者「お待ちしてました!」
姑「息子はどこだい?」
業者「彼は今、別の場所にいまして……私が代理人なんです!」
姑「ふうん、そうかい」
業者「ところで、500万円は持ってきて下さいましたか?」
姑「ああ……持ってきたよ」
姑「パンチをねえ!!!」
ドゴォッ!!!
業者「ぐはっ……! このババア、なにしやがる!」
姑「どうやら、このビルはここらのオレオレ詐欺の総本山に間違いないようだねぇ」
嫁「ええ、まともに金を稼げそうにない、ウジムシどもがいっぱいいますわ」
ゾロゾロ… ゾロゾロ…
「なんだこいつら!?」 「サツか!?」 「女二人かよ」 「生かして帰すな!」
姑「生かして帰すな……だってさ」
嫁「それはこっちのセリフよ」
嫁「いたいけなご老人を騙してあさましく金を荒稼ぎした罪、償うがいいわ!」
バキッ! ドカッ! ボゴォッ! ガッ! ドゴォッ!
姑「おやおや、こんなもんかい? あっさり全滅しちまったねぇ」
嫁「全然大したことないわね、お義母さん!」
大男「クックック……少しはやるじゃねえか」ヌウッ
嫁「む……強そうなのが出てきましたよ!」
姑「これはこれは、マスターハンドのご登場だねぇ……」
嫁姑「嫁姑アターック!!!」ギュルルルルルッ
バキィッ!
大男「ふん、効かねえな」コキコキッ
嫁「なんですって!?」
姑「なんだって!?」
大男「どおりゃあっ!」ブウンッ
ドゴォッ!!!
嫁「きゃああああっ! つ、強い……!」
姑「うぐぐ……! こりゃあ、ぶったまげたよ……!」
姑「このままじゃまずい……!」
姑「アンタは逃げな! ここはアタシが食い止める!」
嫁「ダメです! お義母さんが逃げて下さい!」
姑「そんなことしたら、息子に怒られちまうよ! アンタが逃げるべきだ!」
嫁「いいえ! 男というのは妻より母親を愛するものなんです!」
姑「うちの息子はそんなマザコンじゃないよォ!」
ギャーギャーッ! キエエエエッ!
大男「なにケンカしてやがる……! 二人まとめてビルから叩き落として……」
?「……おい、ぼくの奥さんと母さんに何してるんだ」
大男「あ? 誰だ、てめえ――」
バキドガグシャッ!!!
嫁「……あれ? いつの間にかマスターハンドが倒れてますよ! 泡吹いてます!」
姑「きっと嫁姑アタックが、今頃効いてきたんだねぇ! 北斗の拳みたいにねえ!」
嫁姑「やった! やった! やった!」ピョンピョンピョン
?(ふう……今朝の嫌な予感が忘れられなくて、会社を抜けてきてよかったよ)
?(あとは二人に任せて、会社に戻ろうっと)
その夜――
嫁「ねえ、聞いて聞いて~」
姑「今日二人で、オレオレ詐欺グループを潰したんだよ」
男「へえ~、そりゃすごいね」
嫁「私たちの雄姿……あなたにも見せたかったわ」
姑「アンタもアタシらみたいに頼りがいのある男になっておくれよ」
男「いやぁ~、二人にはとても敵わないよ」
男(二人が少し仲良くなってくれたようで、なによりだ……)
しばらくして――
嫁「オ”エ”エ”エ”エ”エ”エ”エ”エ”エ”ッ!!!」
男「どうし――」
姑「どうしたんだい!?」
嫁「ちょっと吐き気が……」
男「すぐに――」
姑「すぐにお医者さんに診てもらおう!」
嫁「はいっ! お義母さん!」
男「……」
医者「妊娠してますね」
嫁「ぃよっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
姑「ィエェェェェェェイ!!!」
男「やっ――」
嫁「やったわね、お義母さん! 今夜はレッド・ライスよ!」
姑「元気な孫を産んでおくれよ!」
嫁「もちろんですわ!」
ガシィッ!
男「……」
数ヶ月後――
嫁「あいだだだだだっ! う、産まれるぅぅぅぅぅっ!!!」
姑「しっかりおし! アタシがついてるからね!」
嫁「はいっ!」
男「ぼ、ぼくも……」
嫁姑「男は黙って見てなさい!!!」
男「は、はい!」
ブリュッ
赤子「オギャァーッ!!!」
嫁「産まれたァッ!」
姑「やったわ! アンタと息子によく似た女の子じゃないか!」
嫁「じゃあ、さっそく二人で名前考えましょ!」
姑「そうだねぇ! じっくりと考えようじゃないか! イッヒッヒ!」
アハハハハ… ウフフフフ…
男「……」
男「ぼくの家は嫁と姑の仲が良すぎて困る」
おわり

