【学校】
サターニャ「ねえ、ヴィネット。もうすぐ卒業式ね」
ヴィーネ「急にどうしたのよ……そうね、後半月ぐらいかしらね」
サターニャ「この3年間楽しかった?」
ヴィーネ「楽しかったわ。皆と海に行ったり、温泉宿に泊まったり色々な行事に参加したり……サターニャはどうなの?」
サターニャ「私も同じよ。でも……」
ヴィーネ「でも?」
元スレ
【ガヴドロSS】ヴィーネ「もうすぐ卒業か……」
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サターニャ「皆と離れ離れになりたくないわ」
ヴィーネ「それは皆そう思っているわ」
サターニャ「分かっているわよ……いつか皆とは別々の道を進むことぐらい」
サターニャ「心残りがあるのよ……ヴィネット達とは離れていてもまた会えるわ。けど……」
サターニャ「好きな人とはずっと居たい」
ヴィーネ「…………」
ヴィーネ「それはもしかして……ラフィ?」
サターニャ「そうよ。だから、私は卒業式が終わった後、ラフィエルに告白する」
ヴィーネ「そう……」
サターニャ「あんたはどうするの? ヴィネット」
ヴィーネ「えっ……私は…………」
サターニャ「……まあ、告白は他人が強制するものじゃないしね」スクッ
サターニャ「ラフィエルは卒業後天界に帰る。ラフィエルに会う回数は限られるわ」
サターニャ「私は後悔だけはしたくないのよ……んじゃ、またね」スタスタ
ヴィーネ(告白か……)
サターニャの遠ざかっていく姿を見ながら思案する
私はガヴリールのことが好きだ。その恋心は高校一年生の時に気づいた
そして、ガヴリールへの告白も考えたこともある。彼女と恋人関係になったらどれだけ幸せなのか……
ヴィーネ(でもね、サターニャ……私は怖いのよ)
今までガヴリールに告白する勇気を持てなかったのは……怖いからだ
もしも彼女に拒絶されたらどうしよう、彼女に気持ち悪がられたら……
それを想像しただけで前に一歩を踏み出せない、臆病者になる
ヴィーネ(サターニャは凄いな……私にもそんな勇気があったら……)
【卒業式前夜】
ヴィーネ(明日で卒業式か……長いようで短かったな……)
ヴィーネ(卒業すれば皆別々の道を歩む……そして、ガヴとも……)
ラフィは天界に帰ることになるが、私やガヴ、サターニャは下界に残り、修行を行うことは決まっていた
しかし、結局は修行が終了すると天使は天界に、悪魔は魔界に帰っていく
ヴィーネ(ガヴとはまだ気軽に会えるけど……それも時間の問題ね……)
――――ピンポーン
ヴィーネ(ん? こんな時間に誰かしら)
ヴィーネ「はーい、今開けます」ガチャッ
ガヴリール「よっす、ヴィーネ」
ヴィーネ「ガヴ!? どうしたのよこんな時間に!」
ガヴリール「立ち話もなんだし家に入れてくれよ。暖かくなってきたとはいえまだ肌寒い……」ブルッ
ヴィーネ「ああ、ごめんなさい。上がっていいわよ」
ガヴリール「お邪魔します」
ー居間ー
ガヴリール「……」
彼女は家に入っても無言だった。私が淹れたお茶にも口を付けずに、黙ったままじっと湯飲みを見つめているだけだった
ヴィーネ「……本当にどうしたのガヴ? 突然、家に来て……明日は卒業式でしょ?」
ガヴリール「……」
ガヴリール「明日の卒業式にヴィーネに言おうかと思っていたけど……」
ガヴリール「今、言ったほうが気は楽かなと思って……」
ヴィーネ「……どうしたの?」
ガヴリール「……私ね、ヴィーネ」
ガヴリール「卒業式の後、すぐに天界に帰らないといけなくなった」
ヴィーネ「…………え?」
ガヴリール「今まで堕落生活のつけが回って……」
ガヴリール「下界で修業させるよりもゼルエル姉さんのもとで学ぶことが決まった」
ヴィーネ「それはいつから決まっていたの……?」
ガヴリール「一か月前から……」
ヴィーネ「なんで……そんな大事なことを知らせなかったのよ!」
ガヴリール「……言うのが怖かったんだよ。言ったらヴィーネが悲しむと思った……」
ガヴリール「一緒にまた下界での修行頑張ろうと約束したのに……約束守れなかったから……」
ヴィーネ(……)
ガヴリール「今頃、後悔しているよ……なんでちゃんとした生活をしなかったのかと……」
ヴィーネ「なんで前日に言うのよ……」
ガヴリール「ごめん、もっと早く言えばよかった」
ヴィーネ「今日はもう帰って…………」
ガヴリール「うん……そうするよ」スクッ スタスタ
ガヴリール「ヴィーネ、また明日……」ガチャッ バタン
ヴィーネ(ガヴが……天界に帰る……)
ヴィーネ(私は……どうしたら……)
【卒業式当日】
―卒業式終了後―
タプリス「皆さん、ご卒業おめでとうございます!」ウルウル
ラフィエル「あらあら~、ありがとうございます」
タプリス「天真先輩や白羽先輩は天界に帰りますが……月乃瀬先輩がいるので寂しくないです!」グスッ
サターニャ「あれ!? 私は!?」
タプリス「冗談です。お二人はまだ下界に残るので寂しくないです!」
ヴィーネ「……」チラッ
ガヴリール「…………」
タプリス「あれ、どうしました? 月乃瀬先輩?」
ヴィーネ「何でもないわ……タプちゃん」
サターニャ「ねえ、ヴィネット。喉が乾いたから一緒に自販機についてきて」ガシッ
ヴィーネ「え、ちょっとサターニャ!?」ズルズル
ガヴリール「……」
ラフィエル「……」
―自販機前―
サターニャ「……」ゴクゴク プハー
ヴィーネ「サターニャ……もしかして、ガヴが天界に帰ることは知っていたの?」
サターニャ「ヴィネットに告白の件を話した前日に、本人から直接ね。皆知っているわ」
ヴィーネ「そう……ねえ、サターニャ。なぜ、ラフィに告白するのかを決めたの?」
サターニャ「本当はこのままの関係で良いと思っていた……けどね……」
サターニャ「もし、他の誰かとラフィエルが付き合っていたら……それを考えるだけで胸が苦しくなるのよ……」
ヴィーネ「……!」
サターニャ「私はラフィエルと居たいから……あの子が好きだから……」
サターニャ「告白しないで後悔するのはもっと嫌なのよ」
ヴィーネ「…………」
ヴィーネ「そうね、告白しないで後悔するほうがよっぽど怖いわね」
サターニャ「私は今からラフィエルを呼び出して自分の思いを言うわ」
サターニャ「先に行っているわ、あなたも覚悟を決めなさい」スタスタ
ヴィーネ(そうよね……もう時間がないのよね……)
ヴィーネ(私も……告白する)
ガヴリール「お、やっと戻ってきたか。サターニャとラフィは二人でどこかに行くし、タプリスは突然いなくなるし……」
ヴィーネ(タプちゃん、気を遣ってくれたのね)
ヴィーネ「……ねえ、ガヴ」
ガヴリール「なんだ、ヴィーネ」
ヴィーネ「私ね、あなたのことが……(言うのよヴィネット!)」
ガヴリール「…………」
ヴィーネ「…………(なんで言葉が出てこないのよ!)」ギュッ
ガヴリール「…………」
ガヴリール「……姉さんを待たしているからそろそろ行くね」クルッ
ヴィーネ(待って! ガヴ!)
ガヴリール「さようなら、ウィーネ」
ヴィーネ(ああ……彼女がどんどん遠ざかっていく……)
ヴィーネ(昨日は“またね”と言って別れたけど……さっきのは……)
ヴィーネ(……いや! 私はまだ彼女と一緒にいたい!)
ヴィーネ(嫌だ! これが最後だなんて!)ダッ
ヴィーネ「ガヴ!!」
ガヴリール「……」クルッ
ヴィーネ「私はあなたのことが――――!―――――――」
ガヴリール「……」
ガヴリール「――――――。―――」スタスタ
ガヴリール「――――――――――」ギュッ
ヴィーネ「――――――――」ギュッ
これからも、あなたとずっと…
終わり