サターニャ「ふふふ……今までの悪魔的行為はただのお遊びだったわ……」
ガヴリール「今頃気づいたのか」
サターニャ「私はね、とある魔法を習得したの」
ガヴリール「はあ。さいですか」
サターニャ「むぅぅぅ……!!喰らいなさい!!スーパーサタニキアバッドドリームキャノン!!」
ガヴリール「マホカンタ」
サターニャ「ぎゃああああああああ!!!」
元スレ
サターニャ「悪夢を見せる魔法を習得したわ!これでガヴリールをぎゃふんと言わせてやるんだから!なーっはっはっはっ!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1497442354/
サターニャ「自分に掛かっちゃったんだけど!!」
ガヴリール「ざまあみろ」
サターニャ「ぐぬぬう……!!もう一回……!!」
ガヴリール「マホカンタ」
サターニャ「ぎゃああああああああ!!!」
サターニャ「ま、まだまだあああ!!!」
ガヴリール「マホカンタ」
数分後
サターニャ「はぁ……はぁ……もう魔力が……」
ガヴリール「諦めろ。発動見てからカウンター余裕だからまじで」
サターニャ「お、覚えてなさい……!!次こそ必ず!」
ガヴリール「ラフィエルにでも掛ければ」
サターニャ「ラフィエルにも掛けるけどっ……」
ガヴリール「まあ無理だろうけどな」
サターニャ「むっきぃぃぃ……!!」
その夜
サターニャ「はあ……悪魔にもあの魔法効くのかしら……」
サターニャ「悪夢見たくないわねー……」
サターニャ「いやっ悪夢ぐらいが何よ!未来の大悪魔がその程度で……」
サターニャ「むしろその悪夢を逆に屈服させてやるわ!」
サターニャ「なーっはっはっはっ!!」
サターニャ「就寝っ!」
サターニャの夢
……
ヴィーネ「海に行きます!」
ガヴリール「いけば?勝手に」
ヴィーネ「もうすぐ夏休み!下界で迎える初めての長期休暇!」
ヴィーネ「海のしおりも作成済みっ!」
ガヴリール「テンション高いっすね」
ラフィエル「面白そうですね!ぜひご一緒させてください!」
ヴィーネ「もちろんよ!」
サターニャ(海かぁ……いいなぁ……私もいきたい……)
サターニャ(私も悪魔だし誘ってくれないかな……)
ヴィーネ「じゃあいつ行く?休みの最初のほうがいいとおもうんだけど」
サターニャ(まあ、誘ってくれないわよね……。友達じゃないし……)
サターニャ(はぁ……)
ヴィーネ「……うんっ!こんなもんね!」
ラフィエル「ふふ、天使と悪魔で一緒に海なんて……楽しみです♪」
ガヴリール「悪魔と言えばさー……うちのクラスにもう一人悪魔いるよな」
サターニャ(!)
ラフィエル「あの方ですよね」
ガヴリール「そうそう。いつも机に伏せてるあいつ……胡桃沢だっけ」
ラフィエル「どんな夢を見てるんでしょうか」
ガヴリール「いやー寝たふりでしょあれ」
サターニャ(なによ……なによ……)
ガヴリール「もしかしたら海に誘われるって期待してたりしてなw」
サターニャ(……!)
ラフィエル「でも会話したことないですよね?」
ガヴリール「それもそうか」
ヴィーネ「やめなさいよ……」
サターニャ(なによなによ……)
クスクス クスクス
昼休み
サターニャ(お昼……)
ヴィーネ「今日は学食に行かない?」
ガヴリール「おごり?」
ヴィーネ「なんでよ」
サターニャ(また踊り場いこ……)ガタッ
サターニャ(たまには誰かと一緒に食べたいけど……)
ガラッ
ラフィエル「あ、ごめんなさい」
サターニャ「え、あっ……こ、こちっこちらこそ……」イソイソ
ラフィエル「……ぷ」
サターニャ「……ッ」スタスタスタ
ガヴリール「お、ラフィ」
ラフィエル「例の悪魔さんにぶつかっちゃいました~またあそこで食べるんですかねw」
サターニャ(聞こえないっ聞こえないっ……!)
サターニャ「……」モグモグ
サターニャ「……今日のおにぎりは美味しく出来たわね」モグモグ
サターニャ「……いつも美味しいけど」モグモグ
犬「ハッハッハッw」
サターニャ「ふふ、メロンパン美味しい?」
犬「ハハッw」
サターニャ「そう……」ナデナデ
サターニャ「あんたにいつもメロンパン盗られるけど……」
サターニャ「でも……毎日来てくれるのは嬉しいわ」ナデナデ
犬「ハッハッw」
サターニャ「あなただけよ。私と一緒にいてくれるのは……」
犬「ハッw」
サターニャ「でも……できることならクラスメイトのお友達が欲しかったわね……」
サターニャ「うぅ……」
…………
……
サターニャ「はっ!?」
サターニャ「……ああ、夢だったのね」
サターニャ「そうよ……だってヴィネット達は友達じゃない……」
サターニャ「これがあの魔法の力なのね……」
サターニャ「ちょっと辛かったけど……ま、まあなんとか耐えられたわ」
サターニャ「体育でぼっちになるとか、修学旅行の班分けでヴィネット達とは別の班になったのはきつかったけど……」
サターニャ「……ま、まあ耐えたけどね!」
学校
サターニャ「ガヴリール!あんたのせいで酷い目にあったんだからね!!」
ガヴリール「悪夢みたのか?」
サターニャ「そうよ!!」
ガヴリール「へえサターニャでもちゃんと魔法使えたんだな」
サターニャ「なんですってええええ!!!」
ヴィーネ「朝から騒がしいわねー……」
ラフィエル「ふふ、賑やかで楽しそうですね」
ヴィーネ「おはようラフィ」
サターニャ「ラフィエル!ちょうどいいところに来たわね!」
ラフィエル「?」
サターニャ「問答無用!喰らえスーパーサタニキアアドバンスドバッドドリーム!!」
ラフィエル「リフレク」
サターニャ「ぎゃああああああああああああああ!!」
ヴィーネ「うーわ……」
ガヴリール「やっぱアホだなお前……」
サターニャ「なんですってぇ……!!このっ!!!」
ガヴリール「マホカンタ」
ラフィエル「リフレク」
ガヴリール「マホカンタ」
ラフィエル「リフレク」
サターニャ「ぎゃあああああああああああああ!!」
ヴィーネ「もうやめたら?」
サターニャ「……魔力尽きた。明日こそは……」
ガヴリール「もうやめとけ無駄だ」
ラフィエル「一回見てから余裕なので本当に無駄ですよ」
サターニャ「ぐぬぬぬぬぬ……!!」
ヴィーネ「というかサターニャ宿題やったの?」
サターニャ「あっ」
その夜
サターニャ「はぁ……グラサンめ。宿題忘れたぐらいで倍にするなんて……」
サターニャ「ほんとどうかしてるわ……」
サターニャ「でもようやく終わったし……そろそろ寝よっと……」
サターニャ「あーまた悪夢みることになるのね……」
サターニャ「でも?まあ耐えたし?」
サターニャ「今回も余裕よ」
サターニャ「なーっはっはっはっ!!」
サターニャ「就寝!」
サターニャの夢
……
ガヴリール「今月の友達料3万円まだ?」
サターニャ「ら、来月の仕送りでまとめて払うから……」
ガヴリール「はぁ?来月まで待てっていうの?こちとら天界からの仕送り減る一方なんだぞ?」
サターニャ「そ、その、今月は食費すら厳しくて」
ガヴリール「こっちだって財政危機なんだよ。調理部で媚び売ってるからなんとか食ってるようなもんなんだぞ」
サターニャ「お願い……本当に待って……悪魔っぽい活動できてないから仕送りすくないの……」
ガヴリール「なんでお前なんかと無賃で一ヶ月も友達ごっこしなきゃいけないわけ?もういいわ二度と話しかけんな」
サターニャ「お願い!本当にお願い!!もうひとりは嫌なの……!!もうぼっちは嫌なの!!」
ガヴリール「近寄んなよクソ悪魔」
サターニャ「なんでもするからぁ……ほんとになんでもするからぁ……!!」
ガヴリール「じゃあ強盗でもして金作ってこいよ」
サターニャ「え……?」
ガヴリール「強盗だよ強盗。悪いこともできて金も手に入る。悪魔にとっては最高じゃないか」
サターニャ「いや、でも流石にそこまでは……」
ガヴリール「できないなら話しかけんなゴミ悪魔」
サターニャ「わあああ待って!!ほんとにっそれ以外で!それ以外ならなんでもやるから!!」
ガヴリール「……」ジロ
サターニャ「お願い……お願いします……」
ガヴリール「じゃあさ、体売れよ」
サターニャ「からだ……?」
ガヴリール「援交だよ援交。エッチしてお小遣いをもらうアレだよ」
サターニャ「それは……」
ガヴリール「強盗よりは手軽にできるだろ?」
サターニャ「でもエッチって……」
ガヴリール「大丈夫大丈夫。お前見た目だけならかなりいい方だしさ。誘えば誰でも食いつくさ」
サターニャ「でも……」
ガヴリール「別にやらなくてもいいけどね。明日からお前はボッチ。飯もまた一人で食べることになる」
ガヴリール「色々手を回して来年はお前だけ別のクラスにさせるのもアリかもしれんな」ゲラゲラ
サターニャ「うぅぅぅぅ……うぅぅぅぅう……!!」
ガヴリール「泣くな。やるのかやらないのかだけ答えろ」
サターニャ(だってエッチとか……そういうのって好きな人とじゃなきゃやっちゃだめっていうし……)
ガヴリール「5秒以内に答えろ。答えなかったらお前は永久ぼっちだ。5……」
サターニャ「わあああああ!!やるっ!!やるから!!援交やる!!だから友達やめないで!!!」
ガヴリール「そうかそうか……いい返事が聞けてよかったよ」
サターニャ「でも……どうすれば……」
ガヴリール「お前アホだからなぁ……しょうがない。最初の一回は私が手引してやるよ」ニコッ
夜の街
サターニャ「……」
サターニャ(ガヴリールのやつテレパシーで指示を出すって言ってたけど……ほ、本当に今見張ってるのかしら)
サターニャ「……」
ガヴリール『私をなめんな。もうお前は逃げられないからな。覚悟を決めろ』
サターニャ「うぅ……」
サターニャ(ガヴリールが掲示板で相手を募集してくれたらしいけど……)キョロキョロ
ガヴリール『相手がお前を見つけた。お前に話しかけたやつが相手だからあとは上手くやれ』
サターニャ(うぅっ!!相手は……あの人?私の初めてが……)
サターニャ「よ、よろしくおねがいします……」
サターニャ(初めては結婚相手とか……夢見すぎてたのかしら……)
ガヴリール『安心しろ。最初は本番じゃないから。ただ口でやるだけでいい』
サターニャ(口っつってもわかんないわよ……)
ガヴリール『口で咥えていろいろやりゃいいんだよ。多分相手リードしてくれるから従っとけ』
サターニャ(でも無理やりやられたら……)
ガヴリール『知るかよ』
サターニャ(うぅぅぅぅぅ!!!)
サターニャ「あ、あの……私初めてで……」
サターニャ(人間の……下等生物なんかのを口で咥える……?そんなの……)
サターニャ(でもやらないとお金もらえない……ガヴリールに見放される……)
サターニャ(あいつに見放されたら私は……)
サターニャ(うぅ……うぅぅぅぅぅぅ!!!!)
…………
……
サターニャ「……」
サターニャ「あ、ありがとうございました……」
サターニャ(本当に舐めちゃった……本当に咥えちゃった……口の中に出されちゃった……)
サターニャ(何回も口ゆすいだけど……まだ味する……おぇぇ)
サターニャ(なんだろうこの気持ち……私の心のなかで何かが……壊れたような……)
サターニャ(なんか、取り返しのつかないことをしちゃった感覚……)
サターニャ「……」テクテク
ガヴリール「よ。上手く行ったみたいだな」
サターニャ「うん……」
ガヴリール「おまけしてもらったそうだな」
サターニャ「うん……」
ガヴリール「とりあえず利子としておまけ分ももらうわ」
サターニャ「そんな……」
ガヴリール「文句言えた立場か?さっさとだせ」
サターニャ「はい……」スッ
ガヴリール「よし♪じゃあまた明日から私とサターニャは友達だ♪」
サターニャ「え、ええ……」
ガヴリール「よろしくな!」ニコッ
サターニャ(これでぼっちは回避できる……これで……)
翌日
サターニャ(また学校……でも友達料は払ったから……!)
ガヴリール「サターニャ。学食行こうぜ」
サターニャ「え、ええ!」
ヴィーネ「今日はなににしようかしら」
ガヴリール「私はカツカレーにするかなー」
サターニャ(よかった……また一人で食べずに済む……)
サターニャ(私はお金ないしうどんにしておこう……美味しいし)
サターニャ「あ、ごめんちょっとトイレ!」
ガヴリール「いってらー」
ヴィーネ「いってらっしゃい」
ヴィーネ「……」
ガヴリール「なんだよその目は」
ヴィーネ「もうこんなことやめてあげたら……?流石に可哀想よ」
ガヴリール「いいんだよ。何も悪くない普通のやつをいじめてるわけじゃないんだ」
ガヴリール「あいつが虐められても文句を言えないようなことばっかやってるから悪いんだよ」
ヴィーネ「で、でも……」
ガヴリール「ヴィーネはさ……私とサターニャどっちが大事なの?」
ヴィーネ「そ、それは……」
ガヴリール「私だよね?」クイッ
ヴィーネ「……っ」コク
ガヴリール「それでいい」
ガヴリール「なにもヴィーネにまでイジメに加担しろとは言わないよ」
ガヴリール「ただ見てるだけでいい。介入さえしなければそれでいい」
ガヴリール「ちゃんといい子にできてたら……ご褒美あげるから」
ヴィーネ「わ、わかったっ……///」
ガヴリール(ヴィーネはちょろくて助かるな)
ガヴリール「いい子だ。帰ったら気持ちいいこといっぱいしてしような」
ヴィーネ「う、うん……///」
サターニャ「た、ただいま……」
ガヴリール「おーおかえりー」
サターニャ「……」
ガヴリール「サターニャ、次の授業なんだっけ」
サターニャ「たしか……数学……あっ!また宿題やってない!」
ガヴリール「やっべ。私もやってないや。ヴィーネ~見せて~」
ヴィーネ「もう!二人共教えてあげるから……」
サターニャ(そう……これこれ……私はぼっちじゃない私はぼっちじゃない……)
…………
……
ガヴリール「よっラフィエル。収入入ったけどいる?」
ラフィエル「ふふ、私はお金には困ってませんので大丈夫ですよ♪」
ガヴリール「そう?悪いねー私にとっては金はいくらあっても足りないから助かるわ」
ラフィエル「ふふふ、私もサターニャさんの面白い姿を見られて大満足ですよ♪」
ガヴリール「それにしても……ホテルにカメラを設置するとか大胆な真似するなぁ」
ラフィエル「神足通の応用ですよ。ガヴちゃんがパンツだけを瞬間移動させたようにカメラだけを瞬間移動させたんです」
ガヴリール「ラフィエルには敵わないな」
ガヴリール「で、来月はどうするよ」
ラフィエル「もう次で本番させていいと思います。どうせ今後は乱交したり毎日援交してもらう予定ですし」
ガヴリール「じゃあそうするか」
ラフィエル「あと羞恥プレイもさせたいですねー校内全裸徘徊とか」
ガヴリール「いいねー今度やらせるか」
ガヴリール「なによりラフィエルも一枚噛んでるとなるとあいつはマジでなんでも従うからな」
ガヴリール「あいつに人間の友達はいない。私達が見放せばあいつは孤独死だ」
ラフィエル「ふふ、ホントいい玩具ですよね♪」
サターニャ(二人を見かけたら思わず隠れたけど……とんでもないこと聞いちゃった……)
翌月
サターニャ(そんなこんなで……また友達料を請求されることになったけど……)
サターニャ(問題ないわ。先月は毎日うどんで食費は毎日三食500円以内に抑えてるし)
サターニャ(友達料を請求されても払える!)
ガヴリール「サターニャ~今月の友達料なんだけどさ」
サターニャ「ちゃんと用意してます……」
ガヴリール「あーごめんごめん。今月ちょっと忙しくてさぁ。お前のために時間を割くとなるとね……」
ガヴリール「もーちょっと額欲しいっていうかさ」
サターニャ「え?」
ガヴリール「だからさぁ……まあ5万、いや10万くらいあればいいかなぁ」
サターニャ「な、なんで……今までの3倍以上じゃない!!そんなに払えるわけ」
ガヴリール「いやならぼっちになれよ。こっちはその気になれば人類を扇動してお前をイジメさせることだってできんだぞ」
サターニャ「で、でもお金が」
ガヴリール「私さ、何のために援交を教えたんだっけ?」
サターニャ「……」
サターニャ(なんで……なんでこうなったのかしら……)
ガヴリール『ゴムなしだけどもし出来たら腹パンしてやるから安心しろ』
サターニャ(私……好きな人に……)
ガヴリール『もう口でしてんだからどこでしようが同じだろ』
サターニャ(そんなわけ……)
ガヴリール『ほら相手きたぞ。あざとく奉仕して金を毟り取れ』
サターニャ「うぅぅ……!!」
…………
……
サターニャ(しちゃった……本当にしちゃった……)
サターニャ(中に入ってた……うぅ……初対面の人と本当にしちゃった……)
サターニャ(洗い流したつもりだけど……なんかまだ入ってるような感覚……)
ガヴリール「よっ。いくら貰えた?」
サターニャ「……」
ドゴォッ
サターニャ「う゛ッ!?」
ガヴリール「無視するなよ」
サターニャ「ゲホっ……げほっ……!な、なに……?」
ガヴリール「いくらもらったかって聞いてんの」
サターニャ「じゅ、じゅうまんえん……」
ガヴリール「おおー……大分毟ったな。現役JKと生ハメだもんな。……じゃああと五万だな。とりあえず今日の分渡せ」
サターニャ「え……わ、私昨日五万渡したじゃない!これで終わりでしょ!?」
ガヴリール「だからさ、利子だって」
サターニャ「な……利子だけで5万も増えるの!?おかしいでしょ!!」
ガヴリール「嫌ならぼっちになってもいいんだぞ?いじめられて不登校になりたいか?あぁ!?」
サターニャ「う……ぐ……!」
ガヴリール「……イライラしてきた。ちょっと教育しないとだなぁ……」ポキポキ
ガヴリール「ふぅ……あー殴りすぎて手痛いわ」
サターニャ「ゔ……ぁ……」ボロボロ
ガヴリール「じゃあ財布の中身貰ってくぞ」
サターニャ「まっ……てぇ……」
ガヴリール「そこで寝るのはお前の自由だけど……風邪引くなよー」
サターニャ「ガヴ……りー……ぅ……」ガクッ
…………
……
サターニャ「はっ!?」ガバッ
サターニャ「ゆ、夢っ……そうよ……悪夢みる魔法掛かってたじゃないっ……」
サターニャ「なによあれ……昨日の比じゃないんだけどっ……」
サターニャ「冷や汗すごい……」
サターニャ「……」
サターニャ「夢の中とはいえ……私……うっぷ……!!」
学校
サターニャ「お、おはよう……」
ヴィーネ「おはようサターニャ」
ガヴリール「今日は元気ないな」
ラフィエル「元気がないサターニャさんは導りがいが……」
サターニャ「ねぇ……私はみんなの友達であってる……?」
ガヴリール「……急になんだよ」
ラフィエル「ええと、もしかして悪夢の影響ですか?」
サターニャ「……」コク
ヴィーネ「馬鹿ね……そんなの聞くまでもないでしょ。ね?」
ガヴリール「まあ……」
ラフィエル「ふふ、あたりまえですよね♪」
サターニャ「みんなっ……」ギュッ
ヴィーネ「ちょっ、みんないるのに抱きつかないでよ……」
ガヴリール「あのサターニャがこうなるとは……どんな悪夢をみたんだよ……」
ラフィエル「もしかしたら何度も重ねがけしたから酷い悪夢を見ることになったのかもしれませんね……」
ガヴリール「……夢の内容を聞くのは酷か」
サターニャ「……っ」ギュゥゥ
ヴィーネ「……もう」ナデナデ
サターニャ(安心する……)
サターニャ(普通の夢と違ってあの魔法で見る悪夢はとってもリアルで記憶に残る……)
サターニャ(どこまでが夢の記憶なのか曖昧になりかけてたけど……)
サターニャ(こうすればはっきりわかる……)
サターニャ(そうよ……みんな優しくて良い奴じゃない……)
サターニャ(ヴィネットはもちろん、ラフィエルも、ガヴリールも……)
ガヴリール「で、今日は例の魔法は使わないのか?」
サターニャ「うん……」
ラフィエル「あらら、懲りちゃったみたいですね」ナデナデ
ガヴリール「まったく……アホなことするからだぞ」ナデナデ
ヴィーネ「なにこの絵面」ナデナデ
サターニャ(みんな……優しい……)
翌朝
サターニャ「……なんで」
サターニャ「なんでなんでなんで……?」
サターニャ「なんで悪夢を見ちゃったの……?私魔法使ってない……」
サターニャ「偶然、たまたま、無関係に悪夢をみちゃっただけ……?」
サターニャ「いや、違う……ここまで記憶に残るあの悪夢は間違いなく魔法によるものっ……!」
サターニャ「もしかして……何度も跳ね返されて重ね合わさったから……?」
サターニャ「だからもっと酷い悪夢になって……なんども……?」
サターニャ「私何回跳ね返されたっけ……」
サターニャ「全然覚えてない……」
サターニャ「……」
サターニャ「また今日も悪夢見ちゃうのかな……」
サターニャ「でも……負けないっ……!」
翌週
サターニャ(なんだか……最近夢の中で過ごす時間のほうが長く感じる……)
サターニャ(普通の夢と違って記憶に残るからかしら……)
サターニャ(普通に夢の中で月単位で過ごすし……)
サターニャ「……」ギュゥゥゥッ
サターニャ「痛い……これは現実……」
サターニャ「あれ、でも夢の中でも痛みは感じてたし……」
サターニャ「うぅ……?げ、現実よね、ここは……?」
学校
サターニャ「……」
ガラッ
ヴィーネ「おはようサターニャ」
ガヴリール「おいすー……ふぁぁ……」
サターニャ「……」ビクッ
ガヴリール「ん、どうした?」
サターニャ「……」ジッ
ガヴリール「なんだよ」
サターニャ(睨んでも殴ってこない……よかった……現実だ……)
サターニャ「ううん、なんでもないの」
ヴィーネ「もしかしてまだ悪夢見てるの?」
サターニャ「うん……でもそんな大したことないわよ」
サターニャ「悪夢如きでこの大悪魔を屈服させる?冗談じゃないわ!」
サターニャ「むしろ私が悪夢を蹴散らしてあげる!なーっはっはっはっ!!」
ラフィエル「ふふ、カッコイイですね」
ヴィーネ「おはようラフィ」
ラフィエル「おはようございます~」
サターニャ「ねえ今日みんなで遊ばない!?」
ヴィーネ「私はいいけど」
ガヴリール「えー……だる」
ラフィエル「いいじゃないですか♪」
ガヴリール「……そういえば今日は臨時メンテがあったなー、ネトゲも出来ないし……ま、暇つぶしがてら付き合ってやるよ」
サターニャ「じゃあカラオケってところに行ってみない!?」
…………
……
サターニャ「はー……遊んだ遊んだ……♪」
サターニャ「カラオケっていうのもなかなか楽しいじゃない!」
サターニャ「やっぱりあいつらいいやつじゃないっ……♪」
サターニャ「また遊びたいな……」ゴロンッ
サターニャ「そのためにも……悪夢に打ち勝つわよ……」
数日後
朝
サターニャ「……夢の中でイジメられるのにも慣れてきたわね」
サターニャ「まあ二人にはめられて体育館倉庫で男子に襲われたのは辛かったけど……」
サターニャ「いや、それよりガヴリールにゴミ箱の中にぶち込まれたほうがキツかったかしら……」
サターニャ「ラフィエルに便器の中に顔を突っ込まされたほうがキツかったかかも……」
サターニャ「でも……みんな優しいからっ……本当は優しいからっ……」
学校
サターニャ「ねえ今日遊ばない!?」
ガヴリール「今日っていうか……最近毎日遊んでるじゃん……流石に疲れたよ」
ヴィーネ「うーん私も遊びたいのはやまやまなんだけど、宿題とか家事とかあるから……」
ヴィーネ「それにちょっと遊びすぎて流石に余裕がなくなって……」
サターニャ「そう……」
ラフィエル「また今度遊びましょう、サターニャさん」
サターニャ「うん……」
サターニャ(今日は遊べないかぁ……まあ、そうよね……このところ毎日だもん……)
サターニャ(そうよ……みんなからしたら毎日のように遊びに誘われてるわけだし流石に迷惑よね……)
サターニャ(私にとっては……しばらくぶりの現実なんだけどね……)
サターニャ(まあ……しょうがないわよねっ……)
サターニャ(そんな日もあるわよね……)
サターニャ(……負けない)
サターニャの夢
ガヴリール「いぢめられちゃう☆サターニャ!今日は」
ラフィエル「今日は?」
ガヴリール「どんなイジメにしようかな」
ラフィエル「ちょっとまだ決めてなかったんですか?」
ガヴリール「はいはいは~い!デンジャラスなテイストはどうでしょう!」
ラフィエル「え~?それだったら!陰湿なほうがいいと思います♪」
ガヴリール「無難な感じがいいか」
ラフィエル「まあ、何が来ようと任せてください♪」
ラフィエル「実は今日後輩の天使が来てるんですけど……サターニャさんに合わせたくて」
サターニャ「へえ!」
ラフィエル「それで……ロッカーの中からカッコよく登場とかどうでしょう♪」
サターニャ「いいじゃない!!」
ラフィエル「そうと決まれば……ロッカーの中にどうぞ♪」
サターニャ「わかったわ!」
ラフィエル「……」
ガヴリール「はいった?」ボソッ
ラフィエル「はいりました」ボソッ
ガヴリール「よし開かないように扉を固定するぞ」ボソボソ
ラフィエル「ラジャーです」ボソッ
数十分後
サターニャ「遅いわね……?」
サターニャ「おーい天使ー?」
サターニャ「……」
サターニャ「なるほど、私に気づいてないのね。いいわ。出ていってあげる」
ガチャガチャ
サターニャ「あれ?開かないんだけど……」
サターニャ「あれ?あれれ……まさか私閉じ込められた?」
バンバン
サターニャ「出して~出してってば~怒らないから。今なら笑って済ませるから」
バンバンバンバン
サターニャ「もしかして私またなにかやっちゃった?しょうがないわね、謝ってあげるから開けて?」
ガヴリール「飽きたし帰るか」
ラフィエル「ですね」
ドンドン! ドンドンドン ガチャガチャガチャ
サターニャ「ごめんなさい!ごめんなさいぃい!!出してっ出してぇえええ!!」
サターニャ「……ラフィエル?ガヴリール?いない……?後輩の天使来なかったわよ……?」
サターニャ「……なんか……暗くなってきた。もう夜……?」
サターニャ(尿意も本格的にやばい……)
サターニャ「おトイレ行きたい……」
サターニャ「……バケツ」
サターニャ「……」
サターニャ「……」グスッグスッ
チー...ジョボボボボボボボボ...
サターニャ「バケツ汚しちゃってごめんなさい……」
そのとき!
<ガタンッ
サターニャ「!!」
必死に助けを呼ぶサターニャ☆
サターニャ「誰かっ!!出して!!出して!!助けてぇ!!!」
ガンガンガン バンバンッ
そのとき!
サターニャ「あ゛っ」
勢いあまって倒れたロッカー
バケツもひっくり返りびしょ濡れに
倒れたロッカーの中で静かに泣くサターニャ☆
サターニャ「うぅっ……ぇっ……うぇぇぇ……」
午前一時ごろ、奇跡的に救出されるサターニャ☆
グラサンに詰問されるもあれは不吉な事故だと思えて犯人の名前は言わない……
サターニャ「私いじめられてない……みんな仲良し……だから……」
ガヴリール「いやーごめんごめん」
ラフィエル「ごめんなさい~」
天使から形ばかりの謝罪をされそれで許しちゃうサターニャやさしい☆
悪魔活動の裏で過酷な学校生活をおくるサターニャ☆
まだまだがんばる☆
サターニャ「さ、今日も学校いくわよー」
サターニャ(学校は一週間ぶりだなぁ……なんかお医者さんが行っちゃ駄目って……)
サターニャ(この前怖いことがあったんだって。私よく覚えてない)
サターニャ(……アタマちょっとイタイ……お薬飲まなきゃ……)
サターニャ(でも大丈夫。同じ悪魔の友達から貰ったヘアピンをつければそれだけでパワー貰えるから)
サターニャ(ヴィネットとは違う学校になっちゃったけど、これがあれば寂しくないの)
サターニャ(さ、そろそろ学校ね……あれれ……足が震えてきた……なんでかしら……)
サターニャ(本当は学校にいきたく……さあ、今日も1日がんばるぞいっ)
サターニャ(学校についたわ。下駄箱の上履きがお便所のスリッパに変わってたわ)
サターニャ(ふん、きっと小物の悪魔の仕業ね。ま、先輩悪魔として悪魔的行為につきあってあげるわ)
サターニャ(でも歩く音が大きい……恥ずかしい……)ベコッベコッ
サターニャ「わー綺麗な菊の花~……嬉しいわね~……」
サターニャ(私の席にお花があるわ!しかも今日は萎れてない。ふふ、尊敬する先輩への献上物かしら?)
サターニャ(きれいだからいつもお世話になってるグラサンの机に置いてやったわ。ちょっと良いことしちゃったかしら)
サターニャ(……でもグラサンにすごく怒られちゃった。なんでかしら)
サターニャ(グラサンお花嫌いなのかしら。さみしいわね)
サターニャ(午前中は体育だったけど私は休み。お医者さんがアタマに衝撃はだめだって……)
サターニャ(残念だわ……私体育大好きなのに……)
サターニャ(帰ったらリボンが雑巾になってた……ちょっと?流石にこれは魔界を追放されるレベルよ?)
サターニャ(悪魔的行為も度合いを考えなきゃだめよ。あと髪を結べないから返してくれないかしら……)
サターニャ(あれ誕生日にママが買ってくれた大切なリボンなのに……怒らないからほんと返して……)
サターニャ(更衣室から教室に戻ったら……あれー?私の椅子がないわね)
サターニャ(まあいつも踊り場で食べてるから平気だけど)
サターニャ(……でも踊り場になんか怖そうな人が溜まってた)
サターニャ(どうしよう……あそこは私の特等席なのに……あれじゃご飯食べられない……)
サターニャ(仕方ないからお便所で食べることにしたわ……)
サターニャ(案外居心地いいわね。でも隣で○○○されるとちょっと辛い……)
そのとき!
ばしゃあああって。あれ?雨?最近の雨は屋内でも降るのね~すごい!
サターニャ(でも困ったわ……。ごはんびちょびちょ……)
サターニャ(びしょぬれになっちゃったから着替えなきゃ……)
サターニャ(……でもジャージなかった。あとで見つけたんだけど隣の個室の便器の中にあった……)
サターニャ(ちなみにジャージなかったから仕方なく先生に言って学校の予備を借りたわ)
そのとき!!教室で大変なことが起こってたの!!
サターニャ(びしょ濡れになったときに外してたヘアピンがなくなってたの!!)
サターニャ(ヴィネットからの贈り物なのに!!大変大変大変大変)
サターニャ(あれは魔界で別れる前にヴィネットから貰った私の一番の宝物なのに)
サターニャ(怖い下界も学校もヴィネットが一緒だから来れたのに……私どうしたらいいのぉおお)
サターニャ「どこぉお!!どこにいったの!?ヴィネットぉぉおお!!!!」
サターニャ「でてきて!!ヴィネット!!!でてきてええええ!!私を一人にしないでええ!!!!!」
ガヴリール「やべえな」
ラフィエル「地雷踏んだかもしれませんね」
サターニャ(私頑張って探したわ。教室も体育館も廊下も校庭もおトイレもプールも職員室も校長室も)
サターニャ(あそこもそこもあれもこれも探したわ)
サターニャ(そしたら残ってるのは……焼却炉だけ……さすがにそこだけ探してなかったわ……)
グラサン「ちょ、待て胡桃沢!!」
サターニャ「いやああああ!!燃えちゃう!!燃えちゃうう!!!!!」
サターニャ(必死に灰の中を探したわ。お手てすごく熱かったけどそんなことはどうでもいいの)
サターニャ(それでね、見つけたの!ヘアピン!焼却炉の中で燃えてたわ……)
サターニャ(半分溶けちゃってた……でもよかったわ……)
サターニャ(結局午後の授業は受けられなかったわ……手と前髪すごく焦げちゃった……いてて)
サターニャ(グラサンに怒られたけど私もっと大切なこと考えてた)
サターニャ(ヴィネットになんて言えばいいのかしら。もらった宝物をなくして燃やして……)
サターニャ(私最低な悪魔よね……ヴィネット怒るかな……怒る……怒るよね……)
サターニャ(ヴィネットに嫌われる嫌われる……)
サターニャ(どうしようどうしようヴィネットに嫌われちゃう嫌われちゃう嫌われちゃう)
サターニャ(いや……嫌われたくないいやいやいやいや嫌嫌いや嫌いやいや)
サターニャ(ヴィネットに嫌われたら……もう無理……)
サターニャ(みんなごめんなさい……私……疲れた……)
サターニャ(前のときから三週間ぶりの学校!)
サターニャ(前回のことが色々大変になって私学校を変わることになったわ!転校ってやつね!)
サターニャ(先生も全校集会とかやってくれたけど……むりだったわ……)
サターニャ(だから今日の終業式でこの学校ともお別れ……ちょっとさみしい……がんばる……)
サターニャ(でも……お医者さんもこれ以上お薬くれないって……)
サターニャ(学校……今日頑張れば……)
サターニャ(下駄箱に着いたけど……あれれ?私の下駄箱なくなってる)
サターニャ(持っていかれないようにたくさん名前を書いた上履き……どこぉ……?)
サターニャ(しかたないから靴下で入るわ……今日一日だけだもの……)
サターニャ(クラスのみんなも静かね。わたしが転校するってこと知ってるのかしら?)
サターニャ(私の机の場所も変わってたわ……でもすぐわかった。私の数少ないお友達だから……)
サターニャ(でもなんで教室の外にあったんだろう)
サターニャ(体育館の式も終わり教室に戻ったわ)
サターニャ(みんな通知表貰ってるけど私だけ貰ってない)
サターニャ(あれれ、教卓に残ってるじゃない。あっ、転校するから最後に渡すってことね?)
サターニャ(ねえみていい?見ていい?見ちゃうわよ?)
サターニャ(わあっ!!私すごく成績上がってるわ!!ママやパパが喜ぶわ!やった!)
サターニャ(二階級特進ってやつかしら!)
サターニャ(この学校も今日で最後だと思うと感慨深いわね……最後にいいこともあったし)
サターニャ(みんなに別れも告げたし……また次の学校で頑張るわ!)
サターニャ(あれ?あれれグラサン?私の通知表どこに持ってくのよ?どうして?どうして?)
サターニャ(先生……通知表どこに持ってくのよ)
サターニャ(あれ……誰かに渡してた……あ。あれは……!)
サターニャ(ヴィネット!!)
サターニャ(先生と話してたのはヴィネットだったわ!ヴィネット私の学校に来てくれたのね!)
サターニャ(あー私の通知表見られてる……成績よくなっててよかった!)
ヴィネット「ふふ、サターニャ成績いいじゃない」
サターニャ(いやー恥ずかしいわねっ!)
サターニャ(あれ?ふらふら外に出てっちゃう。学校案内するわよ?今日で最後だけど)
サターニャ(そしてなにもないところに行っちゃう……ヴィネット、そこには何もないわよ……)
サターニャ(ヴィネットはすたすたとその場所に行く……まるで一度来たことあるみたい……)
サターニャ(私の通知表を……地面に置いた……?)
サターニャ(ねえヴィネット、なんでさっきから黙るの?こんな場所楽しくないわ)
サターニャ(はやくどこかいこ?私この場所嫌い……胸が……胸が苦しい……!!)
サターニャ(違う場所に……楽しいところに……早く……早く……早く……!!!!)
ヴィネット「うっ……ゔぅ……!!」ポロポロ
サターニャ(ヴィネット……!?なんでないてるの……!?ねえ、もう戻ろ?ねえ、ねえ!!)
ヴィネット「サターニャ……帰ってきて……帰ってきてよ……」
サターニャ(な、なにを言ってるの!?私はここにいるじゃない!!ヴィネット!!私はここに!!)
ヴィネット「サターニャ……?そこにいるの……?」
サターニャ(そう!私はここっ……ヴィネッ……あ、れ……?)
ヴィネット「どこ……どこ……サターニャぁ……」
サターニャ(そういうことなの……?)
サターニャ(なんで……なんでヴィネットがいるのか、なんで誰も私に気づかないのか)
サターニャ(ねえヴィネット……教えて……)
サターニャ(この地面の黒い大きなシミは……私なの……?)
…………
……
サターニャ「な゛ぁ゛ッ!?」ガバッ
サターニャ「はぁっ……はぁっ……はぁっ……夢っ……夢ェ……!」バクンッバクンッバクンッ
サターニャ「う゛ッぶ……!!」
サターニャ「お゛ぇ゛ッ……!!お゛ろ゛ろ゛ぉ゛ぉ゛ッ……!!」ビチャビチャ
サターニャ「しっ……死んっ……」
サターニャ「はぁっ……はぁっ……これは……げんっ……じつ……よね……」
サターニャ「そうよっ……そもそもヴィネットは同じ学校だしっ……」
サターニャ「それ以前にこのヘアピンはヴィネットに貰ったものでもないしっ……!!」
サターニャ「なんなのっ……なんなのあの夢っ……!!」
サターニャ「……おかしいでしょ。明らかに明らかに一線越えちゃってた……」
サターニャ「私……死んでた……」
サターニャ「お゛っえ゛……!!」
学校
サターニャ「おはよう……」
ガヴリール「よっ」
ラフィエル「おはようございます」
サターニャ「……っ!」ビクッ
ガヴリール「サターニャ?」
サターニャ(あれは夢……現実のガヴリールは優しい……だから大丈夫……)
サターニャ(あれ、これ現実だったっけ……?)
サターニャ(どっち……?友達料払ってたっけ……?)
ヴィーネ「あ、サターニャ。おはよ――」
サターニャ「ヴィネットぉ!!」
ギュゥゥゥッ
ヴィーネ「えっ!?な、なになにっ!?」
サターニャ(よかった……ここは現実みたい……)
サターニャ(ヴィネットは嘘をつかないから……)
ガヴリール「悪夢の中の私達ってどんな悪魔なんだ」
ラフィエル「そこまで酷いんですか……」
サターニャ「いいたくない……絶対二人を傷つけちゃうから……」
ガヴリール「……そうか」
放課後
ガヴリール「こいついつもこの時間にログインしてるな……暇人なのか?」カタカタ
ピンポーン ピンポーン
ガヴリール「ん……ヴィーネか?」
ガヴリール「へいへい……」
ガチャッ
ガヴリール「どちらさ……サターニャ」
サターニャ「……お邪魔してもいい?」
ガヴリール「……どうしたんだよ」
サターニャ「その……現実のガヴリールやラフィエルと遊びたくて……」
サターニャ「そうしなきゃ……ガヴリールやラフィエルを受け入れられなくなりそうで……」
ガヴリール「……しょうがないな」
サターニャ「ありがとう……」
ガヴリール「じゃあみんな呼ぶか。この際だし」
サターニャ「うん……!」
…………
……
ガヴリール「ゲームも飽きたな……」
サターニャ「ガヴリールが強すぎなのよ!」
ラフィエル「これだけ実力差あると……」
ヴィーネ「ねえなにか他にないの?映画とか」
ガヴリール「映画はないが……あ、この前の世にも奇妙ななんちゃらほんちゃら録画してるけど見る?」
ヴィーネ「えっそれって怖いやつじゃ……」
サターニャ「見たい!!」
ヴィーネ「ええっ!?」
ガヴリール「大丈夫だよ。ホラーじゃなくて奇妙な話だから」
サターニャ「私この前見逃したのよ」
ヴィーネ「え、ええー……」
ラフィエル「ふふ、ぜひ見ましょう♪ね、ヴィーネさん♪」
サターニャ「安心しなさい、いざとなったら腕に抱きついていいわ!なーっはっはっはっ!!」
ヴィーネ「う、うう~……」
…………
……
サターニャ「いきなり押しかけちゃったけど遊んでもらえた……♪」
サターニャ「これで……これでガヴリールやラフィエルが本当は優しいってことを再確認できた」
サターニャ「またしばらく……悪夢の世界に閉じ込められちゃうけど……」
サターニャ「これでまた……戦える……!今度こそ悪夢を蹴散らしてやるわ!なーっはっはっはっ!!」
サターニャ「おやすみなさいっ!」
サターニャの夢
(※イジメ省略)
サターニャ「みんな……ごめん……」
サターニャ「私もう疲れちゃった……」
サターニャ「ヴィネット……悲しんじゃうかな……」
サターニャ「ほんと……ごめんなさい……約束守れなかった……」
サターニャ「もし生まれ変わったら……また一緒に――」
シュンッ
「自殺者の身柄、確保」
サターニャ「……え、な、何!?なんなの!?」
ザワザワ ザワザワ
サターニャ(ここにいる人たちは……みんな連れてこられた人、なのかしら?)
サターニャ「ちょっ……なんなの……なんなのよここは……!?」
???「私、自殺者リサイクル機構の……」
ラフィエル「シラハと申します」
サターニャ「ラフィエル!?」
サターニャ「自殺者リサイクル機構って……」
ラフィエル「あなた方が自殺者として認定された時点で死亡届が出されました」
ラフィエル「よって……その命を国家のために再利用させていただきます」
サターニャ「そんな勝手な……」
ラフィエル「勝手?はて……勝手なのは自分の都合で命を粗末にしたあなた方では?」
サターニャ「自分の都合っ……!?あんた……どの口がっ……!!」
サターニャ「私を自殺に追い込んでおきながらっ……!!」
ラフィエル「何の話をしているのやら……自殺者の素性なんて知らないです」
ラフィエル「もっとも……わかっているのはここにいる人々はくだらない理由で自殺したということだけ」
サターニャ「なっ……ラフィエルゥ……!!」
ラフィエル「命を無駄にするのなら人々のために有効に使ったほうがいいと思いませんか?」
ラフィエル「そこで先日制定されたのが……自殺者リサイクル法」
ラフィエル「つまり……みなさんにはもう人権なんてないんですよ♪」
…………
……
サターニャ「……なんなの」
サターニャ「なんなのなんなのなんなのなんなのっ……」
サターニャ「あの時見た話と同じっ……登場人物が私やガヴリール、ラフィエルと入れ替わってるっ……!!」
サターニャ「おかしいでしょ……なんでそこまでピンポイントでっ……!!」
サターニャ「……もう、しばらくああいう系の話見れない……見たら悪夢になるっ……」
サターニャ「ふざけないでよぉ……私の楽しみを奪わないでよぉぉ……!!」
数日後
サターニャ(あの日以来、私は夢の中で死ぬことが多くなった)
サターニャ(夢の中で過ごす時間が長すぎて少し気を抜いたら今が現実なのか夢なのかわからなくなってしまう)
サターニャ(もはや現実より夢の世界の二人と過ごす時間のほうがずっと長い)
サターニャ(そのせいで私の中のガヴリールとラフィエルの印象は悪くなる一方だった)
サターニャ(だから……夢の中じゃない二人と遊んでこの身で感じないと……おかしくなる……)
サターニャ「お願い……今日もあそぼ……?」
ガヴリール「……」
ラフィエル「……」
ヴィーネ「……」
サターニャ「お願い……」
ヴィーネ「わかった、わかったから……」
ラフィエル「そのー……ごめんなさい。家の都合で今日は天界に帰らないといけなくて……」
サターニャ「そうなんだ……」
ラフィエル「明日は遊べますので……」
サターニャ「わかった……」
ガヴリール「ええと……私も今日は外せないイベントがあってだな……」
サターニャ「そう……」
サターニャ(みんな忙しいみたい……そうよね。ラフィエルはお嬢様だし、ガヴリールはバイトだってしてるし……)
サターニャ(無理を言っちゃ駄目……)
サターニャ「じゃあ、また今度……」
ガヴリール「ああ……」
ヴィーネ「サターニャ……」
ラフィエル「ごめんなさい~……」
夜
サターニャ「……」
サターニャ「今日は遊べなかった」
サターニャ「遊びたかったな……」
サターニャ「なんだか……みんな疲れてる感じがする」
サターニャ「私に嫌気がさしちゃったのかな……」
サターニャ「昔みたいな関係に戻りたい……」
サターニャ「おやすみなさい……」
…………
……
サターニャ「あ、ガヴリール……」
ガヴリール「ん」
サターニャ「えっと……」
ガヴリール「友達料。はよ」
サターニャ「その、まだお金がなくて……」
ガヴリール「……ふーん」
サターニャ「そ、そのっ!かならず!来月になったら必ず払うから!」
ガヴリール「……」
サターニャ「ほんとっホントだから!!」
ガヴリール「……」
ガシッ
サターニャ「待ってぇ……いかないでぇ……!!」
ガヴリール「触んな汚れるだろこの糞悪魔!!」
サターニャ「お願い……なんでもっなんでもするから……」
ガヴリール「じゃあ金払えよ」
サターニャ「それは……」
ガヴリール「できないならなんでもとか言うな糞悪魔」
サターニャ「うぐっ……そ、それ以外だったらなんでもする!!ほんとっなんでもするから!!」
ガヴリール「……じゃあさ、殴らせて?」
サターニャ「え……?」
ガヴリール「ほら、この前バイト先でさ、お前を殴ったじゃん」
サターニャ「そ、そうね……」
ガヴリール「あれ結構気持ちよかったんだよね……また殴らせてくれない?」
サターニャ「そ、れ……は……」
ガヴリール「嫌ならボッチね。よーし明日からクラスの連中を煽ってお前をイジメさせるぞー」
サターニャ「あああああ!!わかった!わかったからぁああ!!」
ガヴリール「ありがとう。じゃあお腹出して」
サターニャ「う、うん……」
ガヴリール「おー殴りたくなる腹してるなぁ」
サターニャ「なによそれ……」
サターニャ(でも……この前のはそんなでもなかったし……大丈夫)
ガヴリール「んじゃあ一発……」
ガヴリール「オラァっ!!」
サターニャ「う゛っ……!」
サターニャ(痛い……けどこのくらいなら……)
ガヴリール「もう一発っ!」
サターニャ「う゛ッ」
サターニャ(耐えられるっ……!)
ガヴリール「いやー流石サターニャだな。丈夫でいいサンドバッグになりそうだ」
サターニャ「もうおしまい……?終わりなら帰」
ガヴリール「いや?今のはジャブだよ。次から本番」
サターニャ「そ、そう……」
ガヴリール「ほら腹筋に力入れろ!」
ドゴォッ
サターニャ「う゛っぶ……!?」
ガヴリール「おお、なかなか深く入ったな」
サターニャ(何今のっ……さっきまでと全然違うっ……)
サターニャ「げほっ……げほぉっ……!!」
ガヴリール「なに……光属性のメリケンサックだよ。よくゲームにモンクってでてくるだろ?そんなノリだ」
サターニャ(意味がわかんないっ……)
ガヴリール「ほら立てよ。まだ終わってないぞ」
サターニャ「そんな……」
ガヴリール「ああ、立つの疲れたっていうんなら寝ててもいいぞ」
サターニャ「ちょっ」
ガヴリール「それはそれで殴りやすいしな!」
サターニャ「まっ……う゛ぇ゛ッ!!ちょ、……お゛く゛ぅッ!!」
ガヴリール「ふー……流石に疲れたな……」
ガヴリール「これからサターニャを殴るためにちょっと鍛えるか!なんてな」
サターニャ「う……うぇ……ぇ……」ピクピク
ガヴリール「おい。この腹、誰にも見られないようにしろよ」
ガヴリール「なるべく見えないところに痣を作ったんだから」
サターニャ「うぐっ……」
ガヴリール「返事は?」
サターニャ「は、はいぃ……」
ガヴリール「えーと……殴らせてもらったし今日から友達やったほうがいい?」
サターニャ「そうしていただけると……」
ガヴリール「しょうがないなー特別だぞ」
サターニャ「ありがとう……」
ガヴリール「じゃあ友達だから家まで送ってやるよ。友達だからな」
サターニャ「ありがとう……」
ガヴリール「ついたぞ」
サターニャ「ありがとう……」
ガヴリール「身体に気をつけろよな」
サターニャ「ありがとう……」
ガヴリール「じゃあまた明日」
サターニャ「また明日……ばいばい……」
サターニャ「……」
サターニャ「ふざけんじゃないわよ……何が友達よっ……」
サターニャ「私が逆らえないからって……!!」
サターニャ「これだからっ……これだから天使は大嫌いなのよっ……!!」
サターニャ「友達料と称して仕送りの半分は持ってって……」
サターニャ「友達だからって色々奢らせて……っそれで友達料を払えなくするっ……」
サターニャ「逆らったら暴力、イジメ……!!ふざけるなふざけるなッ!!!」
翌月
サターニャ(はぁ……疲れた……)
サターニャ(なんで私あいつの言いなりになってるんだろう……)
サターニャ(いじめられたくないから……?)
サターニャ(もういじめられてるでしょ……)
ガヴリール「お、サターニャ。丁度いいところに。そろそろ今月の友達料払ってくんね?」
サターニャ「……お金ない」
ガヴリール「えーそうなのかぁ。残念だなー」
サターニャ(お前のせいでしょうが……)
ガヴリール「んじゃあまた殴らせてくれたら友達になってやるよ」
サターニャ「……」
ガヴリール「なんだ?その目は」
サターニャ「別に……」
ガヴリール「……お前さ、最近生意気だなぁって思ってたんだよね」
ガヴリール「確かにお前の友達やってたけどさ、流石に馴れ馴れしすぎっていうかさぁ」
ガヴリール「それにお前……家で陰口叩いてるだろ」
サターニャ(聞かれてたんだ……)
ガヴリール「よし、腹殴らせろ。友達料とか関係なくイラっとしたからさ」
サターニャ「……」
ガヴリール「おい、腹だせ腹」
サターニャ「……ッ」グッ
ガヴリール「おい聞いてんのか糞悪魔」
(サターニャ?何があっても暴力に訴えかけるのはよくないと思うの)
(確かにサターニャは強いけど……暴力だけが強さじゃないと思うの)
(私ね、サターニャなら暴力に頼らなくても立派な大悪魔になれるって信じてるから)
サターニャ(ごめん……ヴィネット……)
ブチッ
サターニャ「はぁっ……はぁっ……はぁっ……!」
ガヴリール「う゛っ……あ゛っ……」ピクピク
サターニャ(やっちゃった。やっちゃった。やっちゃった)
サターニャ(何発殴ったっけ。全然覚えてない。とにかく腕が疲れるまで)
サターニャ(うわ、拳が真っ赤……全部ガヴリールの血よねこれ……)
サターニャ(全力で、本気でがむしゃらに殴り続けてた……鼻も折れてる歯も砕けてる。まぶたも頬も腫れてる……)ゾクゾク
ガヴリール「ゆ゛っ……ゆるしっ……てぇ……」
サターニャ「ごめんなさいガヴリール……今まであんたのことキチガイだって思ってた」
サターニャ「実際にね……あんたと同じ立場に立ってわかったの」
サターニャ「弱者を痛めつけるのって……すっごい快感なのね……」ゾクゾクッ
ガヴリール「ひっ……」
サターニャ「私にはあんたを叩きのめせる力がある。なんで今まで我慢してたのかしら」
アハハ!
…………
……
サターニャ「……何あの夢」
サターニャ「嘘でしょ……私、ガヴリールをっ……ありえないありえないありえない……」
サターニャ「でもっ……殴ってたときの感触がまだっ……」
サターニャ「あれは夢、そう、間違いなく夢。だって今私起きたし、あの後の記憶ないし」
サターニャ「だからあれは夢、間違いなく私はガヴリールを殴ってない……」
サターニャ「そ、そうよね……?」
学校
サターニャ(学校にいけばわかるはず……あれだけの大怪我、一日で治るわけがない)
サターニャ(だから学校にいってガヴリールが平然としてたら……)
ガラッ
ヴィーネ「サターニャ、おはよう」
ガヴリール「おーっす」
サターニャ「……」
サターニャ(よかったぁぁぁあ……!!)
ガヴリール「どうしたんだよ」
サターニャ「ううん……ガヴリールが無事でよかったっ……」
ガヴリール「……正直サターニャのほうが心配なんだが。主にアタマ」
サターニャ「ねえ……今日は遊べる……?」
ガヴリール「……」チラ
ヴィーネ「……まあ、私はいいけど……」
ガヴリール「まだ悪夢治んねーのか……」
サターニャ「うん……」
ガヴリール「しょうがないな……ヴィーネがいくなら……」
サターニャ「ありがとう!」
ヴィーネ「あとでラフィも誘いましょ」
ガヴリール「ああ……」
夜
サターニャ(よかった……久しぶりにみんなと遊べた♪)
サターニャ(ガヴリールを殴ったのが夢の世界でよかった)
サターニャ(……でも、夢の世界とはいえ……ガヴリールを痛めつけて楽しんでたのよね)
サターニャ(駄目……あんなの嘘っ……そんなわけない……そんなわけないからっ……)
サターニャ(誰かを暴力で従えるくらいならっ……私は暴力に耐える方を選ぶ……)
サターニャ(……。おやすみ……)
…………
……
ラフィエル「ふふ♪友達料はまだですか?」
サターニャ「も、もうお金ないの……!」
ラフィエル「ではいつものように身体で払ってもらいますね♪」
サターニャ「それは……いや……」
ラフィエル「……なんですかその態度。ちょっと気に入りませんね」コキッコキッ
サターニャ「そ、そういうわけじゃ」
ドゴォ
サターニャ「う゛ッ……!!」
ラフィエル「うるさいですよ」
サターニャ「お願いやめて……!」
ラフィエル「貴様はぁ……殴殺刑だあああああああああああああ!!!」
ドドドドドドドドッ
サターニャ「ふ゛ッ!?うぐっ……、う゛ぅッ!!」
サターニャ「はぁっ……はぁっ……」
ラフィエル「ふぅ……久しぶりで身体が鈍っちゃってますね……」
ラフィエル「裁ききれませんでしたか」
サターニャ(ああ……なんだか思い出すわね……)
サターニャ(悪魔だっていじめられて体中傷だらけになっては……)
サターニャ(こうして空を見ていた……)
サターニャ(誰も……助けてくれなかった……)
サターニャ(わかったんだ……自分で自分を助けるしかないって)
サターニャ(そして将来、この不幸な分を取り戻し……差別のある世界を変えてやるって)
サターニャ(……)
サターニャ(でもそんなことどうでもよくなっちゃった)
ラフィエル「なに笑ってるんですか?不愉快ですね」
サターニャ「……」ニコッ
アハハ!!
女子トイレ―個室
ラフィエル「やっサターニャさん!やめてくださいっ!やめてください!!」
サターニャ「何言ってんのよこの前あんたがやったことでしょうが」
ラフィエル「ごめんなさいごめんなさい!!」
サターニャ「あんたはごめんなさいって言われてやめたっけ?」
ラフィエル「お願いします許してくださいもう二度としません誓います神に誓いますからぁ!!!」
サターニャ「うっさいわね!ほらさっさと顔突っ込みなさいよ!!」
ラフィエル「お願いします許してっ……許してくださいっ……もう二度としませんからぁっ……!」プルプル
サターニャ「……ほんと?」
ラフィエル「は、はいっ!神に誓――」
サターニャ「信用するわけないでしょ」ガシッ
ラフィエル「うぶッ……!?がぼぼぼぼっ……!!」
サターニャ「あははっ!意外とこれ楽しいじゃない!あんたの気持ちちょっとわかったわ!」
サターニャ「そういえばあの時アタマ踏んでくれたわね……」
サターニャ「頭踏みつけるのも気持ちよさそう……やってみていい?」
ゲシッ
ラフィエル(息がっ……苦しいっ……)
サターニャ「あはは……アンタみたいな生意気な女に屈辱を味わわせる快感……たまんないわね」
サターニャ「なんで私あんたなんかに従ってたのかしら……最初から力でねじ伏せればよかったわ」
サターニャ「あはっあっははははは!!!」
サターニャ「ほら、謝罪は?」
ラフィエル「う、うぐ……」
サターニャ「さっさと土下座して私に詫びろって言ってんの!!」
ラフィエル「……」プルプル
サターニャ「……まあ便所で土下座なんて抵抗あるわよねぇ。でも便器に顔突っ込んだし今更じゃない?」
サターニャ「それにあんたが私に強いたのは忘れてないわよねぇ?」
ラフィエル「それは……」
サターニャ「……あーなんかイライラしてきた。もう一回便器に顔突っ込む?」
サターニャ「次は溺れるまでいく?」
ラフィエル「ひっ……わ、わかりましたっわかりましたからっ……!」
サターニャ「じゃあさっさと土下座」
ラフィエル「は、はいっ……」
ラフィエル「さ、サタニキア様……今までふざけた態度をとってすみませんでした……悔い改めますのでどうか許してください……」
サターニャ「あはは。これはいい写真ね。物好きに売ったら高値が付きそうだわ」
ラフィエル「そ、それはっ……」
サターニャ「じゃあ……あんたが撮った私の写真全部消しなさい。嫌だって言ったらこればらまくわ」
ラフィエル「……ッ、わ、わかりました」
サターニャ(ふふ、あのラフィエルを屈服させた……そうよ、無理やり力でねじ伏せればよかったのよ)
サターニャ(なんで今まで辛いことに耐えてたんだろう?)
サターニャ(はぁ……♪弱い者いじめって最高……♪)
アハハ!!
…………
……
サターニャ「……」ムクリ
サターニャ「酷い夢、気持ち悪い……」
サターニャ「気持ち悪いはず……なのに……」
サターニャ「……だめ、そんなのだめ……いくら悪魔でもやっていい事とやっちゃいけない事があるわ」
サターニャ「こんなのっ……絶対ダメっ……」
サターニャ「絶対……だめ……っ……」
学校
ラフィエル「おはようございますっサターニャさん♪」
サターニャ(よかった……やっぱりあれは夢だった)
サターニャ(もしかしたらここは夢で私に酷いことをされるのを恐れて作り笑いを浮かべてるのかもしれないけど……)
サターニャ(でもこの笑顔は作り物じゃないと思う。それに……)
ヴィーネ「おはよう、サターニャ」
サターニャ(ヴィネットがいる。ヴィネットは嘘をつかない。だからここは夢じゃない……!)
サターニャ「ねえ……今日も遊びたい……」
ラフィエル「私は構いませんが……」
ヴィーネ「私もいいけど……ガヴが何て言うか」
ラフィエル「ガヴちゃんはまた遅刻ですか?」
ヴィーネ「休むかもしれないけどね」
サターニャ「そう……遊べたらいいなぁ……」
夜
サターニャ「また遊んでもらえた……♪」
サターニャ「みんなやっぱり優しい……♪」
サターニャ「そうよ、夢じゃあいつらも私も酷いことしてたけど……」
サターニャ「本当はそんなことしたりしないんだから」
サターニャ「よしっ……悪夢を蹴散らすのは無理でも……」
サターニャ「耐え抜いてやるわ!あっはははは!!」
…………
……
ガヴリール「もう許して……許してぇ……」
サターニャ「何言ってんのよ。こんなサンドバッグにしたくなるようなお腹しておいて……」
サターニャ「こんなの殴らないほうが無理でしょ」
ガヴリール「謝るから……今までのこと全部謝るからぁ……」
サターニャ「言葉だけで許してもらえると思ってるの?」
サターニャ「自分勝手すぎない?ちょっと不愉快だわ……」ゴキゴキ
ガヴリール「ひぃっ!?」
サターニャ「胸、鳩尾に臍、膀胱っていってもボディだけだと流石にそろそろ飽きるわね~」
ガヴリール「う゛ぇ……お゛ぇ゛え゛え゛……ッ!」ビチャビチャ
サターニャ「あっ……汚っ……!私の上履き汚してんじゃないわよ!!」
ガヴリール「ごっごめんなさいごめんなさいぃ……!!」
サターニャ「じゃあ綺麗にしなさいよ。自分のだから口でできるわよね?」
ガヴリール「それは……」
サターニャ「綺麗になるまでキックっていうのも悪くないかもー」
ガヴリール「やっやります!やりますから……」
サターニャ「じゃあさっさとしなさいよ。臭いから」
ガヴリール「は、はい……」ペロペロ
サターニャ「遅い」ゲシッ
ガヴリール「ぶッ!?」
サターニャ(ふふ、最高……♪次はラフィエルね……♪)
翌日
ラフィエル「ほ、本当に……やらないとだめですか……?」
サターニャ「あんたが私に何をさせたのか忘れたの?」
ラフィエル「そ、それは……」
サターニャ「まあいいじゃない。見ず知らずのおじさんよりは年の近い男子のほうがやりやすいでしょ?」
サターニャ「もっとも……顔見知りって考えると確かにやりにくいかもしれないけど」
ラフィエル「くぅ……」
サターニャ「運動部もよさげだけど……漫画研究会とかどう?抵抗できそうな相手に好きなようにされるってかなり屈辱的じゃない?」
ラフィエル「……」
サターニャ「その嫌そうな顔、決まりね!じゃあ漫研に行くわよ。入ったら服を脱ぐ、何をされても抵抗しない、要望にはすべて応える」
サターニャ「ほらいきなさい」
ラフィエル「……っ」
サターニャ「早く!」
ラフィエル「は、はい……」
漫研部室
ガラッ
ラフィエル「こ、こんにちは~……」
ラフィエル「ええと……そのぉ……」
ラフィエル「私と……えっちしてくれませんか……?」
ラフィエル「ちょっと……我慢できなくて……」ヌギヌギ
ラフィエル「みなさんにご奉仕させてください……っ」
サターニャ(よく言えたわねラフィエル。人間に奉仕できるなんて天使としては最高の幸せでしょ?)
数時間後
ラフィエル「……」
サターニャ「お疲れ様。うわくっさ……」
ラフィエル「……」ポロポロ
サターニャ「どう?男の穢れに塗れた気分は……」
サターニャ「私の気持ち、少しは理解してくれた?」
ラフィエル「うぅっ……うぅぅぅぅぅぅぅっ……!!」
サターニャ(はぁっ……最高っ……♪)ゾクゾクッ
…………
……
サターニャ「……」ムクリ
サターニャ(私が夢の中でイジメられるようになってからしばらく経った)
サターニャ(夢の中でのイジメはエスカレート、私は夢の中で自殺することが多くなった)
サターニャ(その後私は自らを殺めてまでイジメに耐える必要なんてないって、ついにやり返すようになった)
サターニャ(もちろん夢の中だけ。本当の私は暴力なんて大嫌い……)
サターニャ(でも、夢の中で暴力を振るう事が多すぎておかしくなりそう……)
サターニャ「……今日は土曜日。学校に行かなくてすむ……」
サターニャ「って、これは夢じゃないからむしろ行きたいんだった……」
サターニャ「あー……?ちょっと油断したら夢か現実かわからなくなる……」
サターニャ「あれ、でもわからなくなるっていうことは現実なのかしら……?」
サターニャ「……???」
サターニャ「わかんない……わかんない……わかんない……」
サターニャ「そうだ……こういうときは誰かに会えば良いんだ……」
サターニャ「本物のガヴリールやラフィエルとは仲良しなはずだから……」
サターニャ「会えばすぐにわかるわ……」
サターニャ「そうよ……そうしましょう……」
サターニャ「そうと決まれば……とりあえずガヴリールの家に……」
サターニャ「ついた……ガヴリールいるかしら……いるわよね、休みだもの」
サターニャ「……元気だせ、私……っ!」パシンッ
サターニャ「よーしっ!」
ピンポーン ピンポーン ピンピンピピピピンポーン
サターニャ「ガヴリール!サタニキア様が遊びに来てあげたわよー!」
サターニャ「ガヴリ――」
ドゴォッ
ガヴリール「おいクソ悪魔……この忙しいときになにやってんだよ……」
サターニャ「が、ガヴリール……?」
ガヴリール「毎日毎日毎日毎日……たまにはゆっくりさせろよ」
サターニャ「がゔ……りーる……」
ガヴリール「ドア直しとけよ……ったく……」
サターニャ「そっか……これは夢なんだ」
ガヴリール「はあ?」
サターニャ「アハハ!」
サターニャ「……」
サターニャ「…………」
サターニャ「あれ?これ……ほんとうに夢だっけ」
サターニャ「……さっき私目が覚めたような気もする?」
サターニャ「あ、あれ……?」
ガヴリール「うっ……うぇぇぇっ……!!」ピクピク
サターニャ(もしかして……夢じゃなかった?)
サターニャ(ガヴリールが蹲ってる……私結構本気で殴っちゃったかも)
サターニャ(痙攣してる……ガヴリールってこんなにか弱いの?)
サターニャ(どうしようどうしようどうしよう友達を殴っちゃった)
サターニャ「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!!」
ガヴリール「うぐっ……う……!!」
サターニャ「い、今部屋まで運ぶわ……立てる?」
ガヴリール「あ、ああ……」
サターニャ「……」
ガヴリール「……」
サターニャ「本当にごめんなさい……」
ガヴリール「いや……私がお前を蹴り飛ばしたのが悪かったんだ……」
ガヴリール「イライラしてたとは言え……やり返されてもしかたない……ごめん……」
サターニャ「わ、私は身体丈夫だから……」
サターニャ(やってしまった。ついにやってしまった)
サターニャ(直接手を上げてしまった)
サターニャ(それ以来、ガヴリールはなんだか私に対してよそよそしい気がする)
サターニャ(気のせいかな。私が勝手にそう思ってるだけなのかな)
サターニャ(でも……そうなっても仕方ないわよね……)
サターニャ(なんだか……変な感じがする……このままじゃっ……だめ……)
更に数日後
サターニャ(夢を見るたびに、私が変わっていってるように感じる)
サターニャ(私は夢の中で月単位もの間でガヴリールやラフィエルに暴力を振るい続けている)
サターニャ(この拳が真っ赤に染まるほど拳を振るう。それが当たり前になりつつあった)
サターニャ(この拳が二人の身体にめり込むときの感触を今も覚えている)
サターニャ(目を覚ましたら意識しないと夢かどうかわからなくなる。無意識の内に……二人に暴力を振るってしまいそうになる)
ピンポーン
サターニャ「こ、こんにちは……ガヴリール……」
ガヴリール「さ、サターニャ……まあ上がりなよ……」
サターニャ「うん……お邪魔するわね……」
サターニャ(だから、この世界が夢じゃないと確信するために……私は毎日ガヴリールやラフィエルの家にお邪魔する)
サターニャ(そう、夢と現実を区別するため。そのため……のはず)
ガヴリール「今日はどうした?」
サターニャ「勝負してほしいなぁって……」
ガヴリール「勝負……ね」
サターニャ「……だめ?」
ガヴリール「駄目じゃないけど……勝負方が」
ラフィエル「でしたら!将棋などはいかがでしょう!」
サターニャ「ラフィエル!?」
ラフィエル「うふふ、サターニャさんのいるところでしたらどこにでも湧きますよ」
サターニャ「将棋……ねー」
ラフィエル「知的なゲームなので大悪魔のサターニャさんにはぴったりかと♪」
サターニャ「なるほどっ」
ガヴリール「将棋なら安心かな……よし、勝負だサターニャ」
サターニャ「望むところよ!」
サターニャ「見てなさい、私の悪魔的戦略(デビルズストラテジー)を!」
サターニャ「……」
ラフィエル「勝者、ガヴちゃーん♪」
ガヴリール「よっわーい」
サターニャ「うぐ」
ラフィエル「敗者のサターニャさんには熱湯風呂の罰ゲームがありまーす♪」
サターニャ「だからどんなルールよぉ!!」
ラフィエル「ではでは熱湯風呂に……」
サターニャ「ちょ、やめ」
ラフィエル「(本当はぬるま湯ですが)それは押すなよ押すなよ的なあれですか~?」グイグイ
サターニャ「やめろっつってんでしょうが!!」ガシッ
ラフィエル「!」
ガヴリール「……っ!」ビクッ
サターニャ「あ……ご、ごめん……なさい」
ラフィエル「い、いえ……私もおふざけが過ぎました……」
サターニャ「……今日は帰るわ」
ガヴリール「あっ……」
サターニャ「ごめんなさい。なんか冷めちゃったわね。ほんと……ごめんなさい……」
ラフィエル「サターニャさん……」
ガヴリール「サターニャ……」
サターニャ(また……殴りかけた……。顔はまずいでしょ……いや、お腹も問題だけど……)
…………
……
サターニャ「……」
サターニャ(あれから私は無意識の内に暴力を振るってしまいそうになっていた)
サターニャ(夢を見るたびに……明らかに……明らかにおかしくなっていってる)
サターニャ(どうしよう。どうしよう)
サターニャ(ついに私がガヴリールやラフィエルをイジメて自殺に追い込む夢を見た)
サターニャ(ついに私がガヴリールやラフィエルを暴力で殺めてしまう夢を見た)
サターニャ(そんな夢を見るたびに、私の中で彼女たちを想う気持ちが蝕まれる……)
サターニャ(自分で自分を抑えられない場面がいくつかあった)
サターニャ(今はまだ二人は軽傷で済んでるけど……)
サターニャ(このままじゃ……夢の世界のように二人に取り返しのつかないことをしてしまうかもしれない)
サターニャ(みんなともっと遊びたい。でも、もうこれ以上傷つけたくない)
サターニャ(だから……私は悪夢が消え去るまで距離を置くようにした)
サターニャ(とっても辛いけど……友達を傷つけるほうがもっと辛いから……)
学校
ガラッ
サターニャ「……」
サターニャ(学校に来ればみんなが一度私のほうを見る。挨拶すらしないようになった。私がそうお願いした)
サターニャ(もしみんなの声を来たら、殴りかかってしまうかもしれないから)
サターニャ(そんなことしないと思うけど、万が一のため。みんなを守るためだから)
サターニャ(三人は心配そうに私の方を見ながら軽く会釈してくれる……それだけで嬉しい。ありがとう)
サターニャ(授業中も私はおとなしくなった。常に自分を抑え込まないといつ暴れてもおかしくないから)
サターニャ(そんな私を心配してグラサンは色々話を聞こうとしてくれた。イジメられてるんじゃないのかって)
サターニャ(委員長も心配してくれた。本当のことを言っても信じてもらえないだろうから答えることはできなかったけど)
サターニャ(みんな、みんな優しくて心が痛くなる)
サターニャ(大丈夫。この悪夢が終わるまでの間だけだから)
昼休み
サターニャ「……」モグモグ
サターニャ(またいつもの特等席に戻ってきた。ここで食べるのに別に抵抗はない。最初はここで食べてたからね)
サターニャ(今頃みんな学食か、それとも教室でご飯を食べてるころかしら)
サターニャ「……」モグモグ
犬「ハッハッハッw」
サターニャ「ほら、あなたの分のメロンパンよ。はんぶんこね」
サターニャ(これで……これでいい……)
…………
……
更に数ヶ月後
サターニャ(冬になった頃、ようやく私の悪夢は消え去った。消えるまでの間に半年もの時間が掛かるとは思わなかったわ)
サターニャ(夢で過ごした時間はを数十年くらいかしら……。その間に私の心に残された傷痕は大きかったけど……)
サターニャ(きっとみんなと過ごすうちにこの傷も癒えるはず……)
サターニャ(長い間距離をおいてたのに、友達でいてくれた。本当にありがとう……っありがとう……っ)
サターニャ「ねえ、今日遊ばない!?」
ガヴリール「今日バイト」
サターニャ「え、あんた今日バイトしてたっけ?」
ガヴリール「……ちょっとわけがあってシフト1日増えたんだよ」
サターニャ「そうなの?」
ヴィーネ「じゃあ今日は喫茶店に寄りましょうか♪」
ガヴリール「えー……」
ラフィエル「ふふ、行きましょう行きましょう♪」
サターニャ(そう、これ、これよ。ようやく……ようやく戻ってこれた)
サターニャ(私の日常……悪夢の迷宮からようやく抜け出せたっ……!)
ガヴリール「……本当に来たのか」
サターニャ「ガヴリール?お客様に向かってその態度は何かしら?」
ガヴリール「はいはい……で、ご注文は?」
サターニャ「いつもの!」
ラフィエル「私はカフェオレを」
ヴィーネ「私はマキアートで」
ガヴリール「へいへい……じゃあちょっと待ってて」
ガヴリール(……サターニャが元気になってよかった)
ラフィエル(やはり元気なサターニャさんが見ていて一番楽しいです♪)
ヴィーネ(ほんと……よかった)
…………
……
ヴィーネ「今日はクリスマス!ということで……大クリスマス会、開催です!」
ラフィエル「わー」パチパチ
ヴィーネ「サターニャとガヴは色々とあれだから準備ができてから呼ぶということで……」
ラフィエル「もし予定があったらどうするんですか?」
ヴィーネ「あの二人にこの日に予定なんてない、いいわね?」
ラフィエル「あっはい」
ヴィーネ「ジングルベールジングルベール鈴がーなるー♪」
ヴィーネ「今日はー楽しいクリスマス♪」
ラフィエル「ヴィーネさーんケーキの下地これでいいですかー?」
ヴィーネ「どれどれー?おおっばっちりじゃない!」
ラフィエル「本当ですか?」
ヴィーネ「部屋の飾り付けも終わったしねー!」
ラフィエル「楽しみですねクリスマスパーティ♪」
prrrr...
サターニャ『もしもし、ヴィネット!?』
ヴィーネ「サターニャ?ちょうどよかったわ。今ラフィと一緒にいるんだけど……」
サターニャ『そんなことはどうでもいいのよ!今日が何の日か知ってる!?』
ヴィーネ「え?今日?」
サターニャ『よく聞きなさい!今日はね……キリストの誕生日なのよ!!』
ヴィーネ「……」
サターニャ『こんな日に浮かれてるなんてどうかしてるわ!』
サターニャ『今日という今日こそ恐怖を与えないと!!』
サターニャ『今からそっちにいくからどうやったら恐怖を与えられるか作戦会議よ!』
ヴィーネ「えっちょっと待ってサターニャ!!」
プツッ ツーツー...
ヴィーネ「……」
ラフィエル「なんだかおもしろ……ややこしいことになってきましたね♪」
ヴィーネ「ラフィっ協力して!!」
サターニャ「ヴィネットいる!?緊急悪魔会議を始めるわよっ!!」
サターニャ「……あれ?まっくら?」
サターニャ「ヴィネット?まったく……こんな大事なときにどこ行ったのよ……?」
パーンッ
ラフィーネ「メリークリスマース!!」
サターニャ「ひゃっ!?」ビクッ
ヴィーネ「いやー待ってたわよーサターニャ!メリークリスマス!」
ラフィエル「さあさあこちらへ。メリークリスマスです!」
サターニャ「えっちょ、なによいったい!?」
ヴィーネ「なにってメリークリスマスよね?」
ラフィエル「そうですよサターニャさん。メリーなクリスマスですよ!」
ヴィーネ「ほら一緒に!メリークリスマース!」
ラフィエル「メリークリスマース!」
(中略)
サターニャ「完成よ……スペシャルサタキニアブラックスペシャル!!」
ヴィーネ「はぁ……」
ラフィエル「まあ、最近はチョコのクリスマスケーキもありますから」
ヴィーネ「……まあ準備もできたことだしあとはガヴが来るのを待つだけね」
ラフィエル「そうですね。ガヴちゃんが来たら……みんなで主の生誕祭をお祝いしましょう!」
サターニャ「主の生た……あ」
ヴィーネ「!!」
サターニャ(そうよ……私はトナカイじゃない。ケーキとパーティだけでもない)
サターニャ(クリスマスとは!!)
サターニャ「そうよ!今日って――」
ヴィーネ「メリークリスマス」
ヴィーネ「メリークリスマスッ」
サターニャ「ちょ、ヴィネット今日が何の日か」
ヴィーネ「メリークリスマス!!」
ヴィーネ「メリークリスマスッ!」
ヴィーネ「メリークリスマスッッ!!」
ヴィーネ「メリィクリスマァァァスゥ!!!」
サターニャ「ヴィネット……?」
ヴィーネ「ラフィ……手伝って」
ラフィエル「はい。こんなときのためにロープと猿轡を用意しておきました」
サターニャ「へ……?ちょ、何するのよ……!?」
ヴィーネ「ごめんねサターニャ。ちょーっとおとなしくしてもらうだけだからぁ……」
ガシッ
サターニャ「ちょっやめて……ヴィネット……」
サターニャ「ヴィネットもっ……ヴィネットも私を虐めるの……?」
ヴィーネ「……っ!!」ゾワッ
サターニャ「信じてたのに……信じてたのにッ!この裏切りものぉおおお!!!!」
サターニャ「……」」
ラフィエル「……」
ヴィーネ「う゛っぅぁ……っ……」ピクピク
サターニャ「あぁっ……!!」
サターニャ(やっちゃった……やっちゃったやっちゃったやっちゃった)
サターニャ(ついにヴィネットにまで手を出しちゃった。どうしよう、どうしようどうしよう)
サターニャ(なんでなんでなんでなんでなんでなんで)
サターニャ(ケーキが倒れたヴィネットの身体でぐちゃぐちゃ、部屋もヴィネットの血で汚れた)
サターニャ(これ洒落にならない。やばいやばいやばい。ヴィネットが起きない血が止まってない)
サターニャ(どうしよう――)
ガチャッ
ガヴリール「ちーす……?」
サターニャ「あっ……」
ガヴリール「……な、に……これ」
サターニャ「ち、ちがっ……これは……」
ガヴリール「ゔぃ、ヴィーネ……?」
サターニャ「これはぁ……!」
ガヴリール「ひ、ひぃっ!!」ダッ
サターニャ「ま、まって!!違うの!!違うの!!これは違うの!!」
サターニャ「待ってガヴリール!!」
ガヴリール「はぁっ……はぁっ……!!」タッタッタッ
サターニャ(……本気で逃げてる。そう、よね……)
サターニャ(怖いわよね……友達にあんなことしちゃったんだもん……そりゃ恐ろしいわよね……)
サターニャ(あっ……ヴィネット置いてきちゃった……大怪我してるのに……)
サターニャ(……ラフィエルがいるから大丈夫かな)
サターニャ(私が戻っても……迷惑よね……)
サターニャ「……」
サターニャ(結局、私は元には戻れてなかったんだ)
サターニャ(元に戻ったと思ってただけで……心の奥底は変わってない。夢の中の私と同じまま……)
サターニャ(ちょっとした引き金ひとつで私は友達を傷つけてしまう。危険すぎる……)
サターニャ(……きっとこのままみんなと一緒にいても……もっと傷つけちゃう。それは……嫌)
サターニャ(みんなをこれ以上傷つけたくないから……私は……)
某ビル屋上
サターニャ「……」
サターニャ「流石に悪魔でもこの高さから飛び降りたら……」
サターニャ「最後に、お別れの言葉くらい言っておいたほうがよかったかしら……」
サターニャ「……ううん。きっと聞いてもらえない」
サターニャ「今までありがとう、そしてごめんなさい……最後まで身勝手で本当にごめんなさい……」タッ
サターニャ「さようなら……」
シュンッ
「自殺者の身柄、確保」
サターニャ「……へ?な、なんで私生きてるの……?」
サターニャ「……なにこれ。なにこれなにこれなにこれ……!!」
サターニャ「まさか――――!!!」
???「みなさんこんにちは。私、自殺者リサイクル機構の……」
ラフィエル「シラハと申します」
サターニャ「な゛ぁ゛あ゛あ゛!!??」
…………
……
サターニャ「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ッ!?」ガバッ
サターニャ「はぁッはぁッはぁッはぁッ!!」バクンッバクンッバクンッ
サターニャ「まだ夏っ……!?さっきまで冬だったのにっ……!!」
サターニャ「ま、まさかっ……あそこまで夢っ……!?あれが?全部ッ……!?」
サターニャ「そういうことっ……!?何度も魔法が重ねがけされたから何度も悪夢を見るだけじゃなくて……」
サターニャ「悪夢の中でも悪夢を見るってこと……!?何重もの悪夢をっ……!?」
サターニャ「……」バクンッバクンッバクンッ
サターニャ「な、何はともあれ……夢でよか……あ?違う……?」
サターニャ「初めて魔法を使った日じゃない……?つまり最初の方で見た悪夢とは違うもの……?」
サターニャ「……」
サターニャ「ガヴリールとラフィエルによって悪夢が何重にも跳ね返された」
サターニャ「その結果私は何度も悪夢を見るはめになった……」
サターニャ「……少なくともこの悪夢は一日で終わるものじゃないはず」
サターニャ「つまり、私はこれからもこの悪夢の迷宮に閉じ込められることになる……?」
サターニャ「でも、私の記憶が確かなら最初の方はこんなに重なってなかったはずっ……」
サターニャ「どんどん、悪夢が重なっている……?」
サターニャ「じゃあ……もし今晩悪夢を見るとしたら……どうなるの……?」
サターニャ「これからも、これからも悪夢はより深くなっちゃうの……?」
サターニャ「そんなの、そんなの耐えられるわけがっ……」
サターニャ「……?そもそもここは現実なの?ここも夢っていう可能性は?」
サターニャ「……そもそもどこからどこまでが夢で、どこまでが現実だったの?」
サターニャ「私は、まだ悪夢の中にいるの?ねえ……教えて……教えてよ……」
サターニャ「誰か……」
BAD END Q もう戻れないと知ったあの日 ~ネバーエンディングナイトメア~