これは、中学時代の話
……私はいつも1人だった
元スレ
ヴィーネ「私の大悪魔」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1494143824/
悪魔としての振る舞いができない私
先生には怒られて
みんなには、笑われる毎日
……私の居場所はお家だけ
そして心を許せる相手もお父さんとお母さんだけだった
友達のいない私
お家の隣のブランコに乗り
1人で寂しさを紛らわす毎日
そんな私の中学時代には、華がなかった
あの子と出会うまでは
…………………………………………………
ヴィーネ「うぅ、グスッグスッ」
???「どうして泣いてるの??」
ヴィーネ「……あ、あなたは??」グシグシ
???「私?私は大悪魔よ!」
ヴィーネ「だ、だいあくま?」
???「そうよ!未来の大悪魔よ!」
大悪魔「それでどうしてあなたは泣いてるの??」
ヴィーネ「……そ、それは……」
ヴィーネ「……なんでもない」
大悪魔「……大丈夫だから、話してみなさい」
ヴィーネ「……でも」
大悪魔「……」
大悪魔「もう、大丈夫だから」ギュッ
彼女はそう言って私に抱きついてきた
私にはそれを振り払う事は出来なかった
それは、怖かったからではない
振り払えないほど強く抱きつかれていたわけでもない
それどころか、とても優しく
……そしてとても暖かい抱擁
初めて親以外の人の暖かみに触れた気がした
ヴィーネ(……暖かい)
大悪魔「もう泣かなくていいのよ、なんたってこの大悪魔が相談に乗ってあげるんだから」
ヴィーネ「……そう、ね」
……この子なら私を……
ヴィーネ「ありがとうございます」
大悪魔「うん、じゃあ話してみなさい?」
ヴィーネ「……はい」
大悪魔「……留年するかもしれない、か」
ヴィーネ「……はい」
ヴィーネ「私、悪魔としての振る舞いができなくて……」
ヴィーネ「それで成績がとても悪くて……」
大悪魔「……そうだったの」
ヴィーネ「みんなにも笑われるし……」
ヴィーネ「……もういっそのこと留年しようかなって」
ヴィーネ「でもお父さんとお母さんに迷惑をかけるわけにはいかないし……」
大悪魔「……」
ヴィーネ「……私、どうすればいいかな」
大悪魔「……」
ヴィーネ「……いきなりこんなこと聞かれても仕方ないよね……」
大悪魔「……で、あなたはどうしたいの?」
ヴィーネ「えっ……どうしたいって言われても……私自身どうすればいいか……」
大悪魔「留年したいの?したくないの?」
大悪魔「はっきりしなさい!」
ヴィーネ「そ、そりゃあ……」
ヴィーネ「……したくない」
ヴィーネ「留年したくない!」
ヴィーネ「……で、でも」
大悪魔「……よく言ったわね」
大悪魔「……そういうことなら、私が直々に悪魔的行為のなんとやらを教えてあげようじゃないの!!」
そうして、私と彼女の付き合いが始まった
初めてできた友達だった
何事にも元気たっぷりな彼女
……なんだか私も元気になっていくようだ
彼女と一緒なら……私も
そう思っていた
「……」クスクス
「……」フフッ
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「……」ハァ…
みんなに、笑われる
頑張れば頑張るほど、笑われる
どうして私が笑われなくちゃならないのか
大悪魔「……どうしたの?」
ヴィーネ「いや……なんでもない」
大悪魔「話してみなさい」
ヴィーネ「……」
大悪魔「……」
ヴィーネ「……分かった」
大悪魔「……なに、そんなこと気にしてるの?」
ヴィーネ「そんなこと……」
大悪魔「……人の頑張りを笑うやつはクズよ」
大悪魔「悪魔じゃあない……ただのクズよ」
大悪魔「そんなやつの言うことなんか気にすることじゃないわ」
ヴィーネ「……分かってる、分かってるけど……」
そう、分かってる、分かってはいるのだが……
人に笑われる度に心が蝕まれてゆく
心が病んでゆく
「大丈夫よ」
彼女は優しいからそういうだろう
確かに彼女といることで幾らか楽な気分になる
でも、少しずつ、そして着実に私の心は……
「大丈夫」
彼女はやはりそう言った
……私は大丈夫ではないのに
無神経なこと言わないで
……彼女は悪くないのに、彼女をも責めてしまう
……私は、本当にダメな……
「あなたは1人じゃないのよ」
「私がついてるじゃない」
わたしは、1人じゃない……
彼女がついてる……
そうだ、私には大悪魔がついてくれている
お父さんとお母さんもついてくれている
……どうして今まで1人で考え込んでいたんだろう
心が満たされていくような感覚を覚えた
たとえ周りにどんな目で見られても、私にはそばにいてくれる人がいる
そういう安心感を感じた
「……クスクス」
ヴィーネ「……」セッセッ
ふん、周りに笑われたとしても、私は私のやりたいことをする
留年なんてしてやるもんですか
誰かがそばにいてくれるという安心感はすごく大きい
誰か一人でもいい……そばにいてくれるだけで
ただそれだけで、心は軽くなる
しかし、そばにいてくれる人がいても気付かなければ意味がない
……どうして今までそんな事を気が付かなかったのだろう
ずっとそばには誰かがいてくれたのに
結果、私はギリギリ中学校を卒業することができた
それもすべて彼女のおかげ
彼女がいなかったら……どうなっていただろう
そばに誰かがいてくれるということに気付かなかっただろう
たぶん今の私はいなかっただろう
いや、断言できる
今の私は確実にいなかった
それを彼女が救ってくれた
……ありがとう、サターニャ
「ヴィネットぉぉ、助けてぇぇぇ」エグエグ
「次赤点取ったら留年しちゃうううう」
「もう……しょうがないわねぇ、ほら、教えてあげるから泣きやみなさい」
「あ、ありがとう……!!」ブワァ
「もう、サターニャは……フフッ」
彼女は幼い私を救ってくれた
だから、今度は私があなたを救う番
……お馬鹿で、おっちょこちょいで、寂しがり屋で
それでいて、優しくて、友達思いの
私の憧れの大悪魔様
おわり
31 : 以下、\... - 2017/05/07 17:15:23.304 6Q8F01tH0.net 24/24綺麗なヴィネサタを書きたかったんです
ありがとうございました!



内容も良い