【ガヴリール宅】
ゼルエル「ガヴリール、いま好きな人はいるのか?」
ガヴリール「はぁ?なに急に、そんなのいないよ」
ゼルエル「最近のお前を見ているとどうも恋をしているように感じる。本当にいないのか?」
ガヴリール「い、いないよ」プイ
ゼルエル「姉の目を見て答えろガヴリール」
ガヴリール「いないってば」プイ
ゼルエル「こっちを見ろ」
ガヴリール「」プイ
ゼルエル「ガヴリール」
ガヴリール「」プイ
ゼルエル「お前そんな可愛い態度取ってたら襲うぞ」
ガヴリール「えっ、な、なんでよ……襲わないでよ」ビクビク
元スレ
ガヴリール「ゼルエル姉さんはシスコン」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1497013726/
ゼルエル「天使に恋愛ごとで嘘をつける訳がないだろ。恋センサーがデフォルトで備わっているんだぞ」
ガヴリール「厄介な種族だよ本当に」
ゼルエル「わかった、言い方を変えよう」
ゼルエル「お前がいま最も親愛を抱いている相手は誰だ?」
ガヴリール「」プイ
ゼルエル「答えてくれないとお姉ちゃんハニエルが夜泣きした時並みに泣きわめくぞ」
ガヴリール「ハニエルはもう夜泣きしないよ姉さん……」
ゼルエル「答えろガヴリール」じっ
ガヴリール「……わかったよ」
ゼルエル「やった!」
ゼルエル「お前の嘘はお見通しだからな。本当のことを言えよ」
ガヴリール「はいはい」
ゼルエル「仕切り直して、ガヴリールの好きな人物を教えてくれ」
ガヴリール「…………ヴィーネ」
ゼルエル「なるほど、あの真面目で世話焼きな悪魔か。お前と仲が良いから納得がいくな」
ガヴリール「と」
ゼルエル「……と?まさかまだいるのか」
ガヴリール「サターニャ」
ゼルエル「あのいたずら小悪魔か?お姉ちゃん悪魔と仲良くするのはあまり感心しないぞ」
ガヴリール「と」
ゼルエル「おい嘘だろ」
ガヴリール「ラフィエル」
ゼルエル「待ちなさい、あんな腹黒のどこが良いんだ」
ゼルエル「まさかお前を慕ってる後輩天使も好きとか言い出すのか?」
ガヴリール「タプリス?それは普通」
ゼルエル「あ、あぁ…………そう」
ゼルエル「お前がそんなに気が多いやつだとはな。正直予想外だった」
ガヴリール「違うし。親愛だし。親愛なら何人でもいいし」
ゼルエル「まあそうだな、千里眼で覗いた限りはふしだらな付き合いという訳でも無さそうだしな」
ゼルエル「で、ガヴリール。私のことはその3人の何倍ぐらい好きなのかな?」
ガヴリール「お姉ちゃん人のプライベート覗くから嫌い」
ゼルエル「」ガーン
ゼルエル「お姉ちゃんは、お姉ちゃんはな?お前の事が気にかかるんだよ」
ゼルエル「あんなに良い子だったガヴリールがいきなり駄天しちゃって本当に心配だったんだからな」
ゼルエル「そうなったら厳しい態度も取っちゃうし、毎日お前の様子を見てしまうのも仕方ないだろう!?」
ゼルエル「なんでもっと早く相談してくれなかったんだ!」
ガヴリール「姉さんのシスコンぶりを知ってるからこそ言い出せなかったんだよ……」
『ピンポーン』
ヴィーネ『ガヴー?いるー?』
ゼルエル「あの声はガヴリール愛人1号の……!」
ガヴリール「愛人!?ちょっとやめてよ姉さん!ヴィーネの前でそのテンション出さないでよ?」
ドア「」ガチャ
ヴィーネ「なんだいるじゃ……えっ、あっ?お義姉さん!?」
ゼルエル「ちょっと待て!お前なんで入って来れるんだ!?合鍵か?ガヴリールはすでに愛人に合鍵を渡すほどただれていたのか!?」
ガヴリール「待って欲しいのはこっちだよ。私はどっちにツッコめばいいの」
ヴィーネ「どうぞ粗茶ですが」
ガヴリール「なんでヴィーネがお茶を出してるの」
ヴィーネ「なに言ってるのガヴ。お客さんをもてなすのは当たり前でしょ?」
ヴィーネ「はるばる天界からお義姉さんが来てくれたんだから」
ガヴリール「ヴィーネ、そのお義姉さんってやめよ?あと人の家のお茶を勝手に使って粗茶とか言うな」
ヴィーネ「私が買ってきたんだから別に良いでしょ」
ガヴリール「ぐぅぅぅ……!」
ゼルエル「」ズズズズ
ゼルエル「ふむ、茶の淹れ方は良し、か」
ゼルエル「ガヴリールとも充分、気心の知れた間柄のようだな」
ヴィーネ「ガヴとはいつも仲良くさせて頂いています」
ゼルエル「ああ、こちらも妹が大変世話になっている」
ガヴリール「本当にいつもいつもお世話になっております」
ゼルエル「しかし、君が本当にガヴリールにふさわしいかどうかは私が決める」
ガヴリール「ちょっと姉さん、そのノリまだ続けんの?ほんと勘弁してよもう」
ヴィーネ「ガヴリールはグータラで人任せで口も悪くて、はっきり言って天使としてだけでなく人としても失格です」
ガヴリール「そこまで言わなくても良くね?わたし泣いちゃう」
ヴィーネ「でも私にとっては唯一無二の天使なんです!」
ガヴリール「ヴィーネ?」
ヴィーネ「私、本気です。妹さんを私にください!!」ペコッ
ガヴリール「おい月乃瀬」
ゼルエル「断る!悪魔のお前にガヴリールをやるわけにはいかない!」
ガヴリール「これ種族の問題ではなくね?」
ゼルエル「ガヴリールは私のものだ!!」
ガヴリール「姉さん!?」
ゼルエル「ガヴリールは駄天使などと言う、ふざけた天使へと落ちぶれてしまったが」
ゼルエル「正直、生意気なガヴリールは可愛い」
ヴィーネ「わかります」
ガヴリール「わかるのかよ」
ゼルエル「良い子ガヴリールも確かに可愛いんだが、なんでも自分でやってしまうし、言うことも素直に聞くのだ」
ヴィーネ「聞き分けがいいって、時には寂しいですよね」
ゼルエル「ああ、だからこそ、私に対して駄々をこねるようになったガヴリールは最高なんだ……!」
ガヴリール「私あんまり姉さんに駄々こねてなくね」
ガヴリール「ていうかもう帰ってよ。邪魔だよ」
ゼルエル「天使学校を首席で卒業したお前は周りの目も少なからず気にする必要があっただろう」
ゼルエル「だが下界にいる今は存分に甘えてくれて構わない。今までのしがらみを解き放って素直になってもいいんだ!」
ゼルエル「さぁ、私の胸に飛び込んできなさい!」
ガヴリール「姉さん仮にも天界で期待されてる存在なんだから頭お花畑な考え方はやめなよ」
ゼルエル「神の腕とは呼ばれてはいるが、私のこの腕はおまえを抱擁するためにあるんだぞガヴリール」
ガヴリール「私それ神に抱擁されちゃうことになるけど」
ゼルエル「ふふふふ、これがガヴリールが使っているベッド……!ちょっと寝っ転がってみよっ」コロコロ
ガヴリール「ヴィーネ、天使祓いの教科書とか無いの?」
ヴィーネ「あるけど実家に置いてきちゃったわよ」
ガヴリール「ちっ」
ヴィーネ「それにゼルエルさんには教科書程度なんて効かないでしょ」
ガヴリール「少しでも嫌がらせをしてやりたい」
ヴィーネ「まったくもう」
ガヴリールの携帯「」ヴヴヴヴ
ガヴリール「ん?」
ガヴリール「あ、サターニャだ」
ゼルエル「ガヴリールの愛人2号!?」ガバッ
ヴィーネ「愛人2号!?!?」
ガヴリール「もしもし?サターニャ?」
ヴィーネ「愛人2号ってどう言うことですか!サターニャは愛人2号なんですか!?」
ゼルエル「ガヴリール!ちょっと代わりなさい!」
ガヴリール「えー?あー、うん。いま家」
ヴィーネ「本妻は!?本妻は私ですよね?え?あっ!愛人1号って誰なのかしら!」
ゼルエル「ガヴリールはお前になんか渡さんぞ!いたずら小悪魔!!」
ガヴリール「うるさいよ二人とも!」
ガヴリール「サターニャ、ウチくるって」
ヴィーネ「あ、そうなの?晩御飯どうするのかしら。4人分作っちゃおうかな」
ゼルエル「よし、2号とも面談だな」
ガヴリール「ヴィーネ、3人分でいいよ」
ヴィーネ「え?なんで?」
ガヴリール「サターニャに犬を連れてくるよう頼んだから」
ゼルエル「ガヴリール。どうしてお姉ちゃんにいじわるするんだ?」
ヴィーネ「うん、うん。そう晩御飯。わかったサターニャの分も作るからね」
ヴィーネ「え?いや、七味は自分で持参しなさいよ」
ヴィーネ「行きがけに人参とセロリ買ってきてもらっていい?それから犬はやっぱり連れてこなくて良いわ」
ゼルエル「1号は良い悪魔だなガヴリール」
ガヴリール「良い悪魔だけどもう少し私の思い通りになって欲しい」
ヴィーネ「じゃあガヴ、私下ごしらえ始めちゃうわね。ゼルエルさんあまりお構いできずにすみません」
ガヴリール「よろしくぅー」
ゼルエル「世話になる」ペコ
ゼルエル「よし、それじゃガヴリール。さっきの話の続きといこう」
ガヴリール「さっきの話?」
ゼルエル「お前は月乃瀬のどこが好きなんだ?」
ヴィーネ「」シュバッ
ヴィーネ「なにその話私も聞きたいんだけど」
ガヴリール「お前は台所に行ってろよ。お願い。頼むから」
ガヴリール「姉さん、本当にやめて貰えますか?私さすがに怒りますよ」
ゼルエル「お、おおう……駄天前のガヴリールで怒られると背筋がゾクゾクするな」
『ピンポーン』
サターニャ「ガヴリールぅ!大悪魔様が来てあげた……ぎょええ!?なんであんたがここにいるのよ!!」
ゼルエル「来たな小悪魔。座れ。今から尋問を始める」
サターニャ「お、おうちかえるぅ……!」ビクビク
ガヴリール「小物っぷりがすごいな」
ゼルエル「ではまずは何から聞こうか……」
サターニャ「ガヴリール、怖いから手を握ってて……」ビクビク
ガヴリール「ん」ギュ
ゼルエル「きさまぁ!!!ガヴリールの手は私のものだと知っての行いか!!!」
サターニャ「ひぃぃ!?」ギュウウウウ
ガヴリール「いだいいだい!!サターニャ!!手が潰れる!!」
ゼルエル「すまない取り乱した」
ガヴリール「常に取り乱れてるだろ」
ゼルエル「そうか、お前達は気軽に手を繋ぐ関係なんだな」
ガヴリール「んー、でも周りに人がいる時はサターニャあんま握ってこないな」
サターニャ「だ、だって恥ずかしいもの。ラフィエルにからかわれるのも癪だし」
ゼルエル「率直に聞こうか。ガヴリールの事をどう思っているんだ」
ガヴリール「別に普通の友達だよ」
ゼルエル「お前には聞いていない」
ガヴリール「サターニャだってそう思って―――」
サターニャ「…………っ」カァァ
ガヴリール「なんでお前顔真っ赤なの!?」
ゼルエル「さっきから私の恋センサーがビックンビックン反応しているんだ」
ゼルエル「聞かなくとも貴様の想いは手に取るように分かるぞ!」
ゼルエル「2号ごときにガヴリールは渡せん!!」
サターニャ「え、2号ってなに?」
ガヴリール「姉さん頭がちょっとおかしいんだ。気にしないで」
『ピンポーン』
ゼルエル「むっ、来客か!だがまたしても恋センサーがビクビクしているぞ!」
ガヴリール「そのセンサーどこにあるの?引きちぎりたいんだけど」
サターニャ「2号?私もしかして実はクローンで、オリジナルが別にいたりするのかしら?」
ヴィーネ「ガヴ、ラフィとタプちゃんが来てくれたわよ」
ラフィエル「お邪魔しますー」ニコニコ
タプリス「天真先輩に会いにきました!」
ゼルエル「来たな3号とそのオマケ!」
サターニャ「3号もいるの!?」
ラフィエル「あら? 私とタプちゃんのどっちが3号なんでしょう?」
タプリス「雰囲気的にオマケが私のような……ってお義姉さん!?」
ヴィーネ「3号……? 1号はまさか委員長とか!?」
ガヴリール「もうしっちゃかめっちゃかだよ」
ゼルエル「なんと偶然にも愛人が勢ぞろいだな!」
ガヴリール「姉さんやめてよ!」
ゼルエル「お前たちにガヴリールはわたさんぞ!!」
ガヴリール「姉さん!」
ゼルエル「ここで全員倒してしまえば私のガヴリールを守れる!」
ガヴリール「姉さん、怒りますよ」
ゼルエル「小物どもが束になっても私には効かんぞ!」
ガヴリール「姉さん、覚悟はいいですね?」
ゼルエル「さぁ、かかってくるがよい!!」
ガヴリール「ラフィ、ロープとハンカチありますか?」
ラフィエル「ありますよー」スッ
ゼルエル「ん?どうしたガヴリール」
ゼルエル「無言で近寄ってきて、お姉ちゃんに抱っこして貰いたいのか?」
ゼルエル「ほらおいで。姉妹の暖かい抱擁をしようじゃないか」
ガヴリール「神足通」
ゼルエル「好きだぞガヴリール―――」シュン
ヴィーネ「成功したわね……」
ラフィエル「本気になったガヴちゃんはやっぱり首席ですから」
タプリス「天真先輩ステキです」
【天界・天真家】
ゼルエル「は!?ここは……?」
ゼルエル「ガヴリール、すごいじゃないか。天界と下界を神足通で行き来するなんてその歳なら私でもなかなか」
ガヴリール「黙りなさい」
ゼルエル「ひっ」
ガヴリール「」グルグルグル ギュッ
ゼルエル「ちょ、お姉ちゃんをロープで縛って何する気……そういう遊びか!いいぞ!存分に縛れ!」
ガヴリール「」グイ
ゼルエル「んふっ!?もが、がふひーふ!?」
ガヴリール「」ドガッ ゲシゲシ
ゼルエル「ふが!ふんがが!」
ハニエル「あっ!ガヴお姉ちゃん!」
ハニエル「…………と、ゼルお姉ちゃん」
ハニエル「ゼルお姉ちゃん、またガヴお姉ちゃんに何かしたの?もうやめなよ……」
ガヴリール「ハニエル、元気にしてた?」ナデナデ
ハニエル「うん!」
ガヴリール「ごめんなさい、お姉ちゃんすぐ戻らないと行けないから。また一緒に遊ぼうね」
ハニエル「そうなの……?じゃあ、最後にぎゅってして……」
ガヴリール「いいよ、ほら」ギュ
ハニエル「ガヴお姉ちゃん好きー」ギュ
ゼルエル「がうひーふ、わはひほぐっへひへほひい」
ガヴリール「ゼルお姉ちゃんは2週間ぐらいこのままでいいから」
ハニエル「わかった」
ゼルエル「がうひーふ!!」
ガヴリール「じゃあねハニエル」シュン
ハニエル「またねお姉ちゃん!」
ゼルエル「がうひーふぅぅ!!」ジタバタ
ガヴリール「」シュン
ラフィエル「おかえりなさいガヴちゃん」
ガヴリール「…………」
ガヴリール「ゼルエル姉さん」
ガヴリール「もう、ほんと来ないでほしい……」
ヴィーネ「いるけど……」
ゼルエル「愛人1号のご飯は美味しいな!」モグモグ
ガヴリール「」
完