白羽家 マルティエルの部屋
マルティエル「天界の図書館で見つけた古い本、魔道書のようですね」
マルティエル「この本に天使の製造方法が記載されていました」
マルティエル「ここに記載されていた材料、なんとか集める事ができました」
マルティエル「水35L、炭素20㎏、アンモニア4L、石灰1.5㎏、リン800g、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素、ラフィエルお嬢様の『遺伝子の情報』」
マルティエル「遺伝子の情報……コレクションの品を消費するのは気が進みませんし、より新鮮な物の方が良い気がします」
マルティエル「人間界まで採取しに参りましょう」
元スレ
マルティエル「今日はラフィエルお嬢様を作ろうと思います」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1491305507/
人間界 ラフィエルの部屋の前
マルティエル「千里眼で確認したところ、お嬢様は只今学校におられます」
マルティエル「……ふぅ、では」
ドア「バチッ」
マルティエル「⁉」ビクッ
マルティエル「結界ですね、お嬢様は心配性です」
マルティエル「……対天使用の結界でしたね」
マルティエル「……ガヴリール様と喧嘩でもしたのでしょうか?」
マルティエル「私は執事、これくらいの結界の解除などお手の物です」
ドア「あっ」バチッ
マルティエル「気を取り直して行きましょう」
ドア「ガチャ」
ラフィエルの部屋
マルティエル「すーっ……はぁー……いい空気です」
マルティエル「絶景かな」カシャカシャカシャカシャ
マルティエル「さてまずはトイレに……と、その前に」
マルティエル「人造お嬢様に着せる服も調達したいと思います」
マルティエル「サイズが合わないと申し訳ないので、これは仕方のない事なのです」ゴソゴソ
マルティエル「服が無くなった事にお嬢様が気づかれませんよう、代わりの服を入れておきましょう」
マルティエル「新品ですとやはり気づかれてしまいますので、私が数回着た物をご用意致しました……これでよし」
マルティエル「では……おや、お嬢様、食器洗いを後回しにして学校へ行かれたようですね」
マルティエル「……不測の事態です……代わりの食器までは準備していませんでした」
マルティエル「……」
マルティエル「ぺろぺろ」ペロペロ
マルティエル「あぁ」ビクンビクン
マルティエル「歯ブラシを交換して……いよいよ本番、トイレです」
マルティエル「お嬢様の周期は把握しておりますので……ありました、回収します」
マルティエル「私の周期はお嬢様と同じになるよう調整してあります……交換も完了です」ビクンビクン
マルティエル「あとは……お風呂の排水溝も見ておきましょうか」
マルティエル「……大量大量」
マルティエル「あとは」
マルティエル「!」ピクッ
マルティエル「この気配はラフィエルお嬢様……!」
マルティエル「夢中になるあまりこの距離まで気づかないなんて……!」
マルティエル「私の気配は白羽流執事殺法で完全に消していますが、早く立ち去らねば……!」
ラフィエルの部屋の前
マルティエル「よし、あとは再度結界を張って神足通です」
ラフィエル「もうサターニャさんたら~」
サターニャ「なによ!」
マルティエル「……間に合いました」バシュン
白羽家 マルティエルの部屋
マルティエル「ふぅ、危ないところでした」
マルティエル「今回も大収穫です」
マルティエル「……お嬢様を作る前に、少しだけ」
マルティエル「……んっ」
マルティエル「……あ、あん」
マルティエル「あっ、あっ……あ」ビクン
数時間後
マルティエル「あ″あ″……んん″……あ″ぁぁああ!!!?!!?!!!」ビクンビクンビクンビクン
マルティエル「」ビクンビクン
マルティエル「……ふぅ」ビクン
マルティエル「……」
マルティエル「お嬢様を作るのは、また次の休日にしましょう」
マルティエル「次の休日が楽しみです」
一週間後 マルティエルの部屋
マルティエル「いよいよこの日が来ましたね」
マルティエル「私の部屋には強力な結界を張りましたので、何人も近づけません」
マルティエル「魔道書に記された魔法陣……よし、間違いありません」
マルティエル「魔法陣の上に材料を並べて……参ります」
マルティエル「……神よ」パンッ
マルティエル「お願いします」バンッ
魔法陣「バリバリバリー」
マルティエル「おぉ、材料が溶け合って、人の形に……!」
もくもくもく…
マルティエル「湯気が、晴れて……!」
人造ラフィエル「……」
マルティエル「お、おぉ……!本当に、お嬢様が」
人造ラフィエル「?」
マルティエル「は、裸の、お嬢様が」
人造ラフィエル「だれ、です?」
マルティエル「しゃべった!」
マルティエル「私はマルティエル」
人造ラフィエル「マルティ、エル?」
マルティエル「かわいい」
人造ラフィエル「わたしは、だれ?」
マルティエル「!」
マルティエル「あなたはラフィエル……です」
人造ラフィエル「ラフィ、エル」
マルティエル(見た目はお嬢様と全く同じですが、中身は幼いようですね)
マルティエル「……私は、ラフィエルのお姉ちゃんです、分かりますか?」
人造ラフィエル「おねえちゃん?」
マルティエル「!」キュン
マルティエル「マルティエルお姉ちゃん、ですよ」
人造ラフィエル「マルティエルおねえちゃん!」
マルティエル「あぁ神よ」ビクンビクン
マルティエル「服を着ましょうね」
人造ラフィエル「はーい」
マルティエル「パンツをはきましょう、脚を上げて」
人造ラフィエル「はーい」
マルティエル「」
人造ラフィエル「マルティエルお姉ちゃん?」
マルティエル「危うく意識が飛ぶところでした……あ、鼻血が」
人造ラフィエル「たいへん!マルティエルお姉ちゃんが死んじゃう!」アタフタ
マルティエル「」
マルティエル「はい、できましたよ」ハァハァ
人造ラフィエル「わぁ!ありがとうマルティエルお姉ちゃん!」
マルティエル「かわいい」
人造ラフィエル「うふふ♪ありがとうお姉ちゃん♥」
マルティエル「」ビクンビクン
マルティエル「その後私は、妹となった彼女との生活を始めました」
マルティエル「それは当初、とても幸せな時間に感じられました」
マルティエル「しかし私は白羽家の執事、彼女を自分の部屋から出す訳にはいかなかったのです」
マルティエル「決して狭い部屋ではありませんが、そこが彼女の世界の全てだと考えれば……」
マルティエル「私が留守の間、彼女は私の部屋の本を読んでいました」
マルティエル「どれくらいの月日が経ったでしょう、きっと、もう読む本が無くなってしまったのでしょうね」
マルティエル「精神的に幼いとはいえ、彼女はラフィエルお嬢様なのです」
マルティエル「お嬢様はとても頭の良い方、当然人造人間である彼女もその頭脳を持っていました」
マルティエル「私が隠していた本や、その他のコレクションの数々を見つけるのに、さほど時間はかからなかったはずです」
マルティエル「コレクション……先程話したように、私はラフィエルお嬢様の私物を集めておりました」
マルティエル「その中には当然写真、動画もあります」
マルティエル「……自分と同じ姿の少女が映るそれらを見た彼女が何を思ったのか、考えただけで、私は……」
マルティエル「自分の正体に気づき始めた彼女は、私の部屋から出ようと考えたはずです」
マルティエル「しかし私の部屋には強力な結界が張ってあります」
マルティエル「その時、きっと彼女は、とてもとても、とても深く絶望したに違いありません」
マルティエル「だって、信じていた、大好きだった、姉が、自分を……」
マルティエル「……」
マルティエル「……」
マルティエル「……」
マルティエル「……お話しできる事はこれで以上です……もし他に何か聞きたい事があれば、なんでも聞いてください」
マルティエル「私は、ラフィエルお嬢様のことなら何でも知っているのですから」
マルティエル「なんでも……」
マルティエル「……ごめんなさい、私は嘘をつきましたね」
マルティエル「私は、ラフィエルお嬢様の、そしてあの幼い少女の、心を知らなかった」
マルティエル「知りたいと願っても、それはもう、叶わぬ夢ですが」
ーー白羽家執事、取り調べの記録より抜粋
おわり

