…
チュンチュン…
ガヴリール「ふわぁぁぁ……もう朝か……」
ガヴリール「今何時だよ………」
壁に掛かった時計を確認してみたところ、現在の時刻は朝の七時。
私がこの時間に自力で目を覚ますなんて珍しいこともあるもんだ、いつもならもう少し後、もう三十分程後に、世話焼きの悪魔が起こしにくるはずなのに。
ガヴリール「…くそっ、普段の私なら二度寝するところなんだけどなぁ……」
体が軽い。驚くほど軽い。
ガヴリール「なんで今日に限ってこんなにスッキリ目覚めちゃうんだよ……」
元スレ
ガヴリール「そっか、終わったんだな」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1490628589/
…
ガヴリール「………………」
ガヴリール「……おかしいな」
現在の時刻は七時四十五分、いつもならヴィーネが私を叩き起こして、朝御飯の支度をする時間だ。
ガヴリール「まさか、ヴィーネの奴、寝坊したんじゃなかろうな…」
ガヴリール「普段から私にあれだけ言っておいて、自分は遅刻しました~ってか?ふんっ」
まぁ、そんなわけ無いよな、ヴィーネが寝坊なんてするわけがない。
ガヴリール「………わかってるっての…」
………
ガヴリール「………………」
ガヴリール「今日はやけに静かだな……」
一人で歩く通学路、歩く人々、空中で静止したままの鳥、動かなくなった時計。
「ねえねえ、昨日のあれ見た?あいつ最近よくテレビでるよねー」
「そんなに面白くないのにね、なんであんなのがはやっ………」
ガヴリール「………………」
また一人、止まった。
……
ラフィエル「おはようございます、ガヴちゃん、珍しく早いですね」
ガヴリール「珍しくは余計だろ、ていうか、お前はやっぱりまだなんだな」
ラフィエル「ええ、私はまだです、ガヴちゃんもまだですよね?」
ガヴリール「ああ、私としてはもういいんだけどな」
ラフィエル「…私よりガヴちゃんが先だったら、少し寂しいです…」
ガヴリール「………………」
ラフィエル「いつまでも、いつまでも続くと思っていました、明日だって、明後日だって、これからもずっと…」
ガヴリール「………………私もだよ」
なんだかんだいって、下界での暮らしは悪くなかった。友人もいたし、ネトゲもあったし、美味しい食べ物もいっぱい食べたし。
毎日が楽しかった。放課後の寄り道、喫茶店でのバイト、休日前の夜更かし、日曜日のネトゲ…。
思い返せば私は下界での暮らしを満喫してたんだと思う、他の誰よりも、私が一番。
…
ラフィエル「………今日は随分と長くガヴちゃんとお話できましたね」
ガヴリール「私もだよ、時間を忘れて話してた」
ガヴリール「いつも面倒だと思ってた通学路がさ、あっという間だったよ」
ラフィエル「………………」
ガヴリール「ラフィエル、聞いてくれよ、この間サターニャの奴が魔界通販で変なものを買ってきてさ」
ガヴリール「撃った相手が腹痛に襲われる銃…だっけ、最初は私もちょっと焦ったよ、前回の事があったからな」
ガヴリール「でもあいつアホだからさ、前回と同じ手に引っ掛かりやがった、間抜けすぎて哀れみすら覚えたよ」
ガヴリール「お前、こういう話すきだろ?」
ラフィエル「………………」
ガヴリール「……………」
ラフィエルの奴は今日が初めての欠席なんだろうな。優等生が、ざまぁみろ
…………
委員長「………………」
ガヴリール「おはよう委員長、今日の教室はやけに静かだな」
委員長「………………」
ガヴリール「………………」
委員長「………………」
ガヴリール「…まちこのばーかばーか、いいこぶりのモブキャラ!!」
委員長「………………」
もう少し私が早く学校に来ていたら、委員長と最後の会話をすることができたのだろうか。
ガヴリール「おーーーいお前ら!!今から私がとっておきの面白い話をしてやるぞ!!よーーく聞いとけ!!」
ガヴリール「……こほん」
ガヴリール「まずさ、私がガラガラっと教室のドアを開けるんだよ、ぼさぼさの髪の毛でさ、ダルそうに」
ガヴリール「そうするとヴィーネは言うんだ、アンタまた徹夜したの?ってね、呆れた顔で言ってくるわけだ」
ガヴリール「そして、私が教室に入ってきたのを確認すると、マヌケ面をしたサターニャが笑い出すんだ、んなーーっはっはっは!!って!!」
ガヴリール「いつものごとくサターニャはこう言う、今日こそあんたと決着をつけてやるわ!勝負よガヴリール!!!」
ガヴリール「それを聞き付けたラフィエルがさ、ニコニコした顔で近づいてくるんだよ、なにやら面白い事になってますねー……」
ガヴリール「そして私はこう言うんだ、面白い?冗談じゃないよ、誰かこのバカを止めてくれってな………ふふふ」
ガヴリール「あーーーっはっはっはっはっは!!!!」
ガヴリール「くふふふ、ひぃ………ひぃ……っ」
ガヴリール「……はは、は…」
…………
ガヴリール「………朝起きたらさ、突然思ったんだよ」
ガヴリール「あ、今日で終わりだなってさ」
ガヴリール「何が終わるかなんて最初はわからなかったんだけどさ、段々とその気持ちが大きくなってきて…」
ガヴリール「私の心に穴が空いたんだよ、そりゃもうぽっかりと」
ガヴリール「凄く不安だったし、凄く怖かった、でも皆も同じだっておもうと耐えることができた」
ガヴリール「…また、皆に、会えるってさ、信じてたから…」
ガヴリール「ヴィーネに、サターニャに、ラフィエルに、タプリスに……」
ガヴリール「また会えるって信じてるからさ………」
ガヴリール「だから皆も、私の事、忘れないでくれよな…………」
私もそろそろだな、皆のところにいかなくちゃ…。
完
52 : 以下、\... - 2017/03/28 01:21:34.863 UJe9AlOl0.net 9/9以上で終わりです
マジで終わっちゃったんだけどどうしてくれんのこれ、マジで本当に終わっちゃったんだけど