ガヴリール宅
亀山「右京さん、まさか下着ドロの捜査をやらされるだなんて…あんまりじゃないですか」
右京「亀山君。言われればなんでもするのが特命係、そう仰ったはずですよ?」
亀山「まぁ…そうですけども」
ガヴリール「なぁ…こんなオッサン2人で大丈夫なのか?」
亀山「お、おいおい。誰がオッサンだ、俺はまだ…」
ヴィーネ「ちょっとガヴ!あなたが警察に通報したから警察の人達来てくれたんでしょ、失礼なこと言わないの!」
ガヴリール「へいへい」
元スレ
ガヴリール「私の下着を盗んだ奴を捕まえてほしいんだが…」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1490438693/
右京「では、早速ですが。詳しく状況をお聞かせ願えますか?」
ガヴリール「あぁ…最近な。ヴィーネが昨日私が履いた下着を洗濯しようとしたとき」
ヴィーネ「無くなってるんです。カゴの中にガヴリールが入れたはずの下着が」
亀山「ふーん…って、あれ。ヴィーネさんが、ガヴリールさんの服を洗濯してるの?」
ヴィーネ「あっ、はい…そうですけど」
亀山「つまりー…高校生なのにもう同棲生活って感じっすか?」
ヴィーネ「違います!この子がだらしないから私が家事を手伝いに来てるだけで…」
亀山「またまた~」
右京「亀山君?」
亀山「あっ、はい…すんません」
亀山「それでー…今まで盗まれた下着は、何枚くらい…なんですかね?」
ガヴリール「んーとな……のべ20枚くらいだな」
右京「のべ、ですか」
ガヴリール「あぁ。盗まれてから1日くらいすると、帰って来るんだよな」
右京「盗まれたものが帰される…なんとも妙な話ですねえ」
ヴィーネ「朝私がポストを確認すると、盗まれたガヴリールの下着が入ってるんです。それも、何かで濡れた状態で…」
右京「つまり犯人は、自分が楽しんだ後の下着をポストに投函している…ということにまりますねぇ」
ガヴリール「うえぇ…」ゾゾゾ
亀山「ちょっとちょっと右京さん!怖がってるじゃないですか!」
亀山「しかし、そんなの履くのは気持ち悪いでしょうしー…毎回捨てるのも大変ですよね」
ガヴリール「いや…洗濯して履いてるけど」
亀山「えっ…履いてるんですか!?」
ヴィーネ「この子ってば新しい下着買いに行こうって私が言っても、ゲームがあるから行かないって…いつもこうなんです」
右京「ほう…。なるほど」
ガヴリール「で、オッサン。犯人分かりそうなの?」
右京「ええ、少しずつですが見えてきました。ご協力、感謝致します」
ヴィーネ「すみません、わざわざお越しいただいて…」
右京「あぁ。最後にもう1点だけ」
ヴィーネ「?」
右京「ヴィーネさん、あなたはガヴリールさんとのお付き合いはどれくらいなさっているんですか?」
亀山「お付き合いって…まるで彼氏彼女みたいに」
右京「亀山君。静かにしていてください」
亀山「あっ、はい」
ヴィーネ「新学期が始まる少し前からなので、だいぶ前から…でもどうしてそんなことを聞くんですか?」
右京「なるほど…。いえいえ、細かいことが気になってしまうのが僕の悪い癖でして」
ヴィーネ「は、はぁ…」
右京「失礼しました。それでは行きましょう、亀山君」
亀山「はいっ!そんじゃ、失礼しました」
ガヴリール「あぁ、またな。犯人捕まえといてくれよ」
警視庁
亀山「いやー…しっかし律儀な犯人ですねえ。下着を毎回返しにくるなんて」
右京「亀山君。果たして本当に、律儀なだけでしょうか?」
亀山「え?」
右京「犯人は自分の体液を一度付着させた下着をポストに投函している…そしてこれをガヴリールさんが身に着ける」
右京「つまり洗濯されようとも…自分が汚した下着をガヴリールさんに身に付けさせていることになるんですよ」
亀山「えっ、まさかぁ…。そんなのが楽しいって、犯人は相当ヤバイやつじゃないですか」
右京「いいえ。そのまさかです、ただ律儀なだけでわざわざ身元が特定されるリスクを犯してまで下着を返すなどということはありえません」
右京「つまり、犯人は度を越えた変質者ということになるんですよ」
亀山「なるほど…でも、それ下着が捨てられたら意味ないじゃないですか」
右京「ええ、その通りです。それでは犯人の2つ目の目的は達成できません」
亀山「前に下着泥棒の裏付け操作してた時ありましたよね、あの時『犯人が汚した下着なんていらない』って…色んな人に突っ返されましたよ」
亀山「ちゃんと洗濯した後の下着ですらそうなんですからー…汚れた下着なんて普通捨てられると思いません?」
右京「普通の女性であれば間違いなく捨てるでしょうが…ガヴリールさんはそうはしませんでした」
亀山「ええ、まあ」
右京「新しい下着を買うのさえ面倒くさがって外出しない…そんなガヴリールさんであれば、汚れた下着であっても洗濯して履く」
右京「犯人は、このことを知っているんですよ」
亀山「要するに、犯人はガヴリールさんのことをよく知っている…」
右京「それだけではありません。自分が汚した下着を渋々着用している様子」
右京「それを観察できなくては、わざわざ下着を返す意味がありません」
亀山「あっ!なるほど、じゃあ…」
右京「ええ。ガヴリールさんと日常的にあっている人物である可能性が高いんですよ」
右京「ただ、これは推測の範囲に過ぎません。後は証拠があれば…」
伊丹「おい!特命係の亀山ぁ~!」
亀山「げっ…。特命係は余計だろ、何しに来たんだよ!」
伊丹「下着泥棒なんて、チンケな事件の捜査中って聞いたからなあ。見に来てやったんだ」
右京「事件に大きい小さいはありませんよ?」
亀山「そうそう。お前じゃ家にあがるだけで女子高生を怖がらせっから、代わりに俺達が捜査してやってんだよ!」
伊丹「なんだとごらぁ!」
亀山「お、おいっ…ツバ飛ばすんじゃねえ、コーヒーに入ったじゃねえか!」
伊丹「うるせえな、飲んじまえばツバもガムシロップも変わりねえだろ!」
亀山「あ?お前俺の味覚を馬鹿にして…」
右京「亀山君!それですよ!」
亀山「えっ…!?」
右京「それです、証拠を掴む為の方法が見えました」ピッポッパ
亀山「右京さん!一体どこに電話かけてんすか?」
右京「ガヴリールさんのお宅です」
ガヴリール「ちっ、使えねえパーティーだな…あ?もしもし?」
右京「すみませんガヴリールさん。杉下です」
ガヴリール「あー…警察ね。犯人分かったのか?」
右京「いえ。ですが…ガヴリールさんに協力していただきたいことがありまして」
ガヴリール「はぁ」
数日後
ガヴリール宅
ガヴリール「ねみぃ……あっ、ヴィーネ。来てたの?」
ヴィーネ「来てたの、じゃないわよ!ほら、またポストにガヴリールの盗まれた下着が入ってたのよ」グイッ
ガヴリール「う、うわ…。分かった分かった、見せないでくれ。早く洗っといて」
ヴィーネ「全く…誰かしら。私のガヴにこんなことするやつは…」
ヴィーネ「あっ、いっけない!今朝特売してるんだったわ、売り切れる前に牛乳買って来なきゃ!」
ヴィーネ「ガヴリール、ちょっと行ってくるわね!下着は後で私が洗っとくからそこ置いときなさいよ!」バタン
ガヴリール「へーい、いってらっしゃい」
ガヴリール「…さて、と。気は進まないけどやるか」
1時間後
ガヴリール「ごちそうさま。さーてと、ネトゲの続きするか」
ヴィーネ「ちょっとガヴ、少しは片付け手伝って…」
ピンポーン
ヴィーネ「あら?誰かしら」ガチャ
亀山「どうも」
右京「突然お訪ねして申し訳ございません」
ヴィーネ「あっ……警察さん。ガヴ、あげていい?」
ガヴリール「あー、いいよー…ちっ、さっさとヒールしろよヒール死んじゃうだろ」
ヴィーネ「ガヴ、ゲームの続きはせめて警察さんが帰ってからにするのよ」
ガヴリール「ちっ、後ちょっとでボス倒せたのに……それで犯人分かったの?」
右京「はい。これから必ず分かります」
亀山「右京さん…ほんとに言うんっすか?」
右京「勿論です。僕は…真実を追求しなくてはなりません」
右京「犯人は…ガヴリールさんが今履いている下着を調べればすぐにわかります」
ヴィーネ「!?」
ヴィーネ「ちょ、ちょっと!いくら警察だからってそんなの…セクハラですよ!」
ヴィーネ「ねえ、ガヴ!ガヴも…は、履いてる下着を脱いで調べてもらうなんて嫌よね!?」
ガヴリール「………」
ヴィーネ「…ガヴ?」
ガヴリール「…すまん。ヴィーネ、そのおっさんの言う通りだ」
ヴィーネ「えっ…それはどういう……」
右京「実は、ガヴリールさんにあることをするようお願いしたんですよ」
亀山「もし下着が犯人から返されたら、ガヴリールさんにすり替えをやってもらう…でしたよね」
右京「ええ。勿論、ヴィーネさんの目を盗んで」
ヴィーネ「ガヴ……。そうなの?」
ガヴリール「…あぁ。今朝ヴィーネが牛乳を買いに行ってる間にな」
ガヴリール「私の今朝履いていた下着と、ヴィーネがポストから持ってきた下着…それをすり替えた」
右京「つまり、今ガヴリールさんが履いている下着は犯人に汚された下着」
右京「当然体液も付着したままです。このまま下着を鑑識に送り、DNA鑑定を行なえば自ずと犯人は特定できるでしょう」
ヴィーネ「……」
右京「しかし、僕も体液から特定されるなどという辱めを犯人に与えたくはない」
亀山「…今までの状況からも、明らかなんです。自首してくれませんか、ヴィーネさん」
ヴィーネ「…いいえ。おかしいわ」
右京「はい?」
ヴィーネ「私が下着を洗濯機に入れた時、確かに下着には汚した痕ついてたわ!」
ヴィーネ「つまり私が洗った下着は犯人が返したものですり替えは行われていない…そうでしょう?」
右京「いいえ…。それが、違うんですよ」
ヴィーネ「違わないわ!」
右京「違う!」
ヴィーネ「!」ビクッ
ガヴリール「…なあ。ヴィーネ、汚した痕がついてる…って言ったよな」
ヴィーネ「え、えぇそうよ…それがどうかしたの?」
ガヴリール「あれは…すり替えたってばれないように、私がつけたんだ」
ヴィーネ「えっ!?」
ガヴリール「ヴィーネが牛乳を買いにいってる間にな。…10分くらいでするのは流石に大変だったが」
ヴィーネ「う…嘘だわ。ガヴリールが汚したのなら、すぐ見分けがつくに決まってるじゃない!」
右京「恋は盲目―――ですよ、ヴィーネさん」
右京「過去に僕達が捕まえた下着泥棒は素晴らしい記憶力をお持ちでした」
亀山「盗んだ家を全部覚えて……それで、下着で楽しむ時に思い出すんですよ」
右京「逆に言えばそれは、一流の下着泥棒であってもこの家で盗んだ、この人が履いていた…という認識がなくては楽しめないという事実」
右京「ヴィーネさん、あなたが洗濯機に入れた下着には…確かにガヴリールさんの体液が付着していました」
右京「しかし、あなたにはそれがガヴリールさんのものであるという認識がなかった…だから、見分けなどつくはずもなかったのです」
ヴィーネ「……」
右京「亀山君と、伊丹刑事の話がヒントになったんですよ」
ヴィーネ「…ガヴリールのことは誰よりも愛しているつもりだったわ。それが歪んだ愛になった後も」
ヴィーネ「だから、ガヴリールのことは何だってわかっているつもりでいた。私が汚した下着を履く時の表情の変化だって全部」
ヴィーネ「でも…大馬鹿ね。ガヴリールの愛液にさえ気づかないなんて、これじゃ私ただの変態じゃない」
右京「いいえ…あなたは盲目的になるほどガヴリールさんのことを愛していた」
右京「これだけは間違いありません。罪を償った後は…ちゃんとした形でその愛情を向けてあげてください」
ヴィーネ「警察さん…」
ガヴリール「つーか私相当変態なことさせられたけどあのメガネ訴えられないの?」
亀山「い、いやまぁ…捜査ってことで許してやってください、ね?」
数時間後
ガヴリール「ヴィーネは連れてかれたか…これからどうなるんだ?」
右京「確かに彼女は罪を犯しました。しかしまだ高校生ですし取り返しのつかない罪でもない」
亀山「少ししたら、また学校にも戻ってこれるそうですよ」
ガヴリール「そっか…。よかった」
亀山「…怒ってないんすか?彼女のこと」
ガヴリール「まあ…一番の友達だしな。帰ってきたらもう1度話し合うよ」
亀山「なるほど…。一件落着って感じっすね、右京さん!」
右京「ええ。ガヴリールさんも、捜査への協力ありがとうございました」
ガヴリール「二度としねーよあんな協力!」
~~この物語はフィクションです~~


