坊っちゃん「なんだいきなり。」
女メイド「かくれんぼです!かくれんぼ!」
坊っちゃん「はぁ…まぁいいや、付き合うよ。」
女メイド「やった! それではですね、ルール説明をば!! 私が鬼をやります。そして百数える内に坊っちゃんは隠れてください!範囲は…屋敷の一階だけで。」
坊っちゃん「分かった。」
女メイド「ではでは数えますね!いーち、にーい、さーん…」
坊っちゃん「やれやれ…」
元スレ
女メイド「坊っちゃん!!かくれんぼしましょう!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1373300559/
女メイド「坊っちゃん、見ーつけた!」
坊っちゃん「…遅かったな。」
女メイド「……。そう、ですね。すいません。」
坊っちゃん「いや別に。怒ってない。お前は昔から探すのが下手だしな。」
女メイド「そうでしたっけ?」
坊っちゃん「そうだよ。」
女メイド「よく覚えてますねー!私なんか、ぜーんぜん記憶力なくて。」
坊っちゃん「馬鹿だからな。」
女メイド「ぐぬ…。でも事実だから言い返せません…!」
…
『見ーつけた!』
『見つけるの遅くないですか?』
『うっ、うるさいうるさーい!!はい、次はーーが鬼だよ!』
『やれやれ…』
…
女メイド「坊っちゃん、坊っちゃん!!朝ですよー」
坊っちゃん「ん…おはよう。」
女メイド「おはようございます! 朝食作ったので、食堂へ行きましょう! …あ、それともこちらへお持ちしましょうか?」
坊っちゃん「いや、食堂へ行くよ。僕は寝室を汚したくないからね。」
女メイド「……? そう、ですか…? …あ、はい!では行きましょう!あ、お着替えお手伝いしますね!」
坊っちゃん「いや、僕は一人で着替えられるから。」
女メイド「…了解です! 部屋の前で待ってます!」
…
『部屋で食べたい!』
『汚すからダメです。食堂へ来てください。』
『えー?しょうがないなぁ…。あ、着替えるの手伝って!』
『もう一人で着替えられますよね?』
『手伝って!』
『やれやれ…』
…
女メイド「どうですか?美味しいですか?」
坊っちゃん「美味しいよ。誰かに教わったのか?」
女メイド「えと…料理長…?奥様…?んん? 誰かに教わった気はするんですが…あれれ?」
坊っちゃん「教わったくせに忘れるのか。…忘れられたやつがかわいそうだな。」
女メイド「んー? あ、その人、使用人だった気がするんですけど…あれ、でも同僚って感じじゃ無かった様な…?」
坊っちゃん「…やれやれ、お前の記憶力は本当にお粗末だな。」
女メイド「失礼な!」
…
『…料理を教えて欲しい? そんなに不器用なのに?』
『…。』
『……あぁそういえば、近々、久しぶりに旦那様が帰ってくるんですよね。』
『…少しでも良いところ見せたくて! その、教えて…下さい。』
『はぁ…頼まれたら断れないのが使用人の弱味ですよね。』
『使用人、だから。』
『…友人の頼みですから。協力しますよ。』
『…!うん!』
…
女メイド「あれ、坊っちゃんそんなところに怪我してましたっけ?」
坊っちゃん「…この、手の傷? 以前工作した時にカッターで切ったんだ。」
女メイド「うーん…それにしても結構深いですね。どんな勢いだったんですか?」
坊っちゃん「…。…凄まじかったよ。」
女メイド「?そう、ですか。気をつけて下さいね!」
…
坊っちゃん「ところでさ。」
女メイド「はい、なんでしょうか!」
坊っちゃん「どうしてこの屋敷には僕らだけなの?」
女メイド「…そ、れはですね! 旦那様の会社がめでたく海外進出しまして! みんな総出で海外へ行ってます!」
坊っちゃん「そう…。」
女メイド「…。」
…
女メイド「ここ最近疑われてる…。」
女メイド「やっぱり無理があるよ…。」
女メイド「あぁ、でも駄目だ。任されたのは、私、ただ一人なんだから。」
女メイド「何にかえても、坊っちゃんを守らなきゃ…!」
…
坊っちゃん「二階に行ってくる。」
女メイド「えぇーっそんな事より私とオセロしましょ、坊っちゃん!」
坊っちゃん「もう何年も二階から上に…ていうか屋敷の一階から出てないんだけど。」
女メイド「あー、わーかりました! じゃあこれ、して下さい。」
坊っちゃん「アイマスク?」
女メイド「えぇ、屋敷から離れたら外しますから! 市場に行きましょう!」
坊っちゃん「なんでそんな面倒臭いこと…」
女メイド「た、楽しいからですよ!楽しいから!」
坊っちゃん「ふーん…」
…
女メイド「おばちゃーん、いつものアイス二つ下さ~い。」
おばちゃん「あら、女ちゃん!いつもの二つね…誰かと一緒な………、っ!」
女メイド「はい!今日は我が屋敷の坊っちゃんと一緒です! …って、どうかしました?」
おばちゃん「…あぁいや、なんでもないのよ。なんでも。」
坊っちゃん「……。」ペコリ
女メイド「そう、ですか? あ、坊っちゃん!ここのアイス、本当に美味しいんですよ!」
坊っちゃん「…そうか。」
おばちゃん「はい、どうぞ!」
女メイド「ありがとうございます!あ、お代…」
おばちゃん「今日は、"坊っちゃん"もいるし、あたしのおごりだよ!」
女メイド「え、本当ですか?! ありがとうございます! …はい、坊っちゃん!」
坊っちゃん「…美味しい。」
女メイド「ですよね! んーっ!たまらんです! 美味しい…!」
…
女メイド「おじさん!イノシシ丼二つ!」
坊っちゃん「さっきから僕に選択権が無いんだが。」
女メイド「えー、だって私のオススメ食べて欲しいんですもん!」
坊っちゃん「まぁいいけど。お前と僕の好み、似てるしな。」
おじさん「へい、いらっしゃい!いつものイノシシど……ん………?!」
女メイド「おじさん…? ……あ、こちら、我が屋敷の坊っちゃんです!」
坊っちゃん「……。」ペコリ
おじさん「そうか…。…まぁ今日は"坊っちゃん"に免じて、俺のおごりだな!!」
女メイド「うわぁ!ありがとうございます!良かったですね!坊っちゃん!」
坊っちゃん「そうだな。」
おじさん「……ほらよ、イノシシ丼だ!!」
女メイド「待ってました! さ、坊っちゃん!どうぞ!」
坊っちゃん「…!!美味しい。」
女メイド「んふふ、ですよね!」
坊っちゃん「…さっきから思ってたんだが。」
女メイド「…はい?」
坊っちゃん「いつもの、って事は、買い出しの度に飲み食いして帰ってるんだよな?」
女メイド「ギクッ!」
坊っちゃん「しかも帰ってから僕と食事してるってことは、一日かなりの量食べてるってことに…。」
女メイド「…お、乙女にそんなこと言わないで下さい! だって、お腹空くんですもん…」
坊っちゃん「やれやれ…」
★
「おい、あいつ…」
「あの男がどうかしたか?」
「あの手の傷…見覚えないか?」
「…あぁ、まだ生きてやがったのか。」
「じゃあ隣の女は…!」
「なぜか使用人の服を着てるが…間違いねぇだろうな。」
「…どうする?」
「聞くまでもねぇな。」
…
女メイド「無事帰宅ーー!」
坊っちゃん「帰る時もアイマスクってなんなんだよ。」
女メイド「まぁまぁ。お風呂を自動で沸かしてあるんで、入ってきてください! お着替え、外に置いときますね。」
坊っちゃん「分かった。」
…
女メイド「…あぁ、せっかくの家族写真も燃えちゃって誰が誰だか…坊っちゃんの姿も分からないです…このソファ…旦那様が愛用してたのに…ズタボロ。奥様の宝石は……やっぱりほとんど盗られちゃってますね……。」
坊っちゃん「…何をしている。」
女メイド「坊っちゃん…!? お風呂は…!?」
坊っちゃん「…タイマーが壊れていて沸いてなかったよ。今、沸かしてる。それでーー、どうして二階が、こんなに凄惨になっているんだ? 何もかもが焼けて、ボロボロに切り裂かれて…それにこれは…血痕?」
女メイド「……そ、れは…」
坊っちゃん「これじゃ、まるで……強盗に入られた、みたいだ。」
女メイド「…もう、坊っちゃんも大きくなりましたよね。」
坊っちゃん「…君と僕とは同い年だろう。」
女メイド「そう、でしたっけ…。…それじゃあお話します。何があったのか。」
女メイド「あの日ーー、三年前の、夏でした。」
夏の夜、熱帯夜だからと言って、窓を網戸にして、寝ていました。
クーラーは体に悪いから、なんて旦那様がおっしゃって。
門には警備の者が二人ついていたから、皆安心したんです。けど、それが間違いでした。
警備の二人は金欲しさに、旦那様を裏切り、強盗に、入ったのです。
警備につくほど腕のたつ二人、しかも屋敷内の防犯も全部知り尽くしてましたから、あっという間に火が回って。
旦那様と奥様は、子供である私と、坊っちゃんを庇いそのまま…
メイド長が私たち二人だけをダクトからなんとか出してくれて、私達だけが生き残りました。
女メイド「…坊っちゃんはショックで倒れたあと、事件前後の記憶を無くしていました。…最後にメイド長に、"何としてでも守れ。"と、命令された私は、坊っちゃんに事実を隠してきました。」
坊っちゃん「……。」
女メイド「以上、です。ごめんなさい。でも、やっぱり嘘をつき続けるなんて、大変で、難しくて苦しい、ですね。…潮時、だったんだと思います。」
坊っちゃん「そうか。…辛かったな。」
女メイド「…本当に辛いのは、坊っちゃんです…! だってこんな形で…事実を…! やっぱり私がもっと上手く…っ」
坊っちゃん「…薄々分かっていたよ。だから大丈夫だ。泣くな。」
女メイド「うぅっ!坊っちゃん…っ!ごめんなさい…!」
坊っちゃん「今まで、よく頑張ったな。…ほら、先に風呂に入っておいで。」
女メイド「はい…。ありがとうございます。」
…
コンコン
おばちゃん「誰だい、こんな夜に…もうアイスは売ってないよ」
??「僕です。夜分遅くにすいません。いれていただけますか?」
おばちゃん「あんたは…!! もちろんだよ。早くはいりな。最近は野犬が出るからね。」
ガチャ
??「ありがとうございます。あと、おごり、ありがとうございました。」
おばちゃん「良いんだよ、その位。あんたは…いつまでそうしているんだい?」
??「僕か彼女が、死を迎えるまで、の予定です。」
おばちゃん「献身的だが、あんたはそれで良いのかい?」
??「メイド長の、命令です。」
おばちゃん「呆れるね。…それで、今日来たのは…、」
??「はい、緊急です。街の皆さんに伝えて下さい。…今日、街であの二人をチラリと見かけました。…たぶんまたどこかで強盗をすると思います。」
おばちゃん「…そうかい。分かった。伝えておくよ。」
??「それともう一つ……"彼女の嘘が僕にバレました。"」
おばちゃん「…ここまで三年か。あの子も頑張ったねぇ。あの子の演技上手かっただろう? …まああんたには劣るか。」
??「…。そういう事ですので。」
おばちゃん「すぐ帰るのかい?」
??「はい。あの方は早風呂ですから。その二人の事もありますし。屋敷を開けたら心配ですので。」
おばちゃん「…あんまり思いつめない事だね。達者でな。」
??「…はい。」
…
女メイド「はぁ、良いお湯だった…! …バレちゃったのは大変だったけど。頃合いってことだよね。」
ガタッ
女メイド「んん?誰かいるのー? …いや、坊っちゃんしかいないか。」
強盗1「…ようお嬢ちゃん、また会ったな…!」
女メイド「!! お前は…!! よくも、よくも旦那様を、奥様を、メイド長を…皆を………!!」バッ
強盗1「おうおう、そんな小さなナイフで俺を殺す気か?」
女メイド「お前のせいで…!!お前のせいで…全部全部!めちゃくちゃに…!」ガタガタ
強盗1「ははっ!震えてんじゃねーか。…ていうか、なんでお前、メイド服なんか着てるんだ?趣味か?俺はそそるけどな!」
女メイド「下衆が…!! 私の仕事服に決まってるでしょう…!!」
強盗1「…仕事?」
女メイド「使用人として、生き残った坊っちゃんに仕え、支えるのが私の存在意義!!」
強盗1「あはははあはあは!! こりゃケッサクだ!」
女メイド「何がおかしいの…!」
強盗1「お前が使用人なわけあるか!! お前は、この屋敷のお嬢様だろうが!」
女メイド?「え…?」カラン
強盗1「ナイフを落とすほどビックリするか!」バッ
女メイド?「しまった…!」(ナイフを取られた…!)
女メイド?「ハッタリ…?」
強盗1「はぁ?事実だよ! お前、記憶大丈夫か?」
女メイド?(そういえば過去のことになるとかみ合わない部分が…)
強盗1「まぁいい。…本当はお前を殺そうと思ったんだが…三年たって美人になったじゃねぇか…」ジリ…
女メイド?「や、やめて…!来ないで!」
強盗1「はっ、そう言われていかねぇヤツなんかいねぇだ……」ゴンッバタッ
女メイド?「え…?」(強盗がフライパンで後ろから殴られた?)
坊っちゃん「…ぜぇ、はぁっ、怪我はっ、ありますか?」
女メイド?「ない、です。」(息切れてるけど走ってきたの?ていうか丁寧語?)
坊っちゃん「そう、ですか。…こいつを取り敢えず縛ります。手伝って下さい。」
女メイド?「うん……あ、はい!!」
坊っちゃん「…無理に丁寧語にしないで下さい。」グルグル
女メイド?「…どういう、ことなの。」グルグル
坊っちゃん「…あなたは、お嬢様ですよ。」ギュッ
お嬢様「…! そう、なんだね。じゃああなたは一体…」
坊っちゃん?「…詳しい説明は後です。あなたもご存知の通り、強盗は二人。まだ片割れがいます。取り敢えず街に出て、かくまってもらう方が良いでしょう。あなたと俺は、強盗の顔を知っている唯一の人ですから。奴らは俺たちを狙います。」
お嬢様「この強盗はどうするの?片割れがこいつの縄を解いたら…二人を相手しなきゃいけないわ。」
強盗2「…あぁ、その手があったか。出てくるタイミングが早すぎたな、俺は。」
お嬢様・坊っちゃん?「…!!」
強盗2「おっと、変なマネすんなよ。少しでも動いたら…」ガチャ
お嬢様・坊っちゃん?(銃…!)
強盗2「まずは…お嬢ちゃんにそいつの縄を解いてもらおうか。」
お嬢様「…!」
坊っちゃん?「お嬢様、強盗の言う通りにして下さい。」
お嬢様「分かったわ…」シュルシュル
強盗1「……」
強盗2「…だらしねぇやつだ。気絶してやがる…意味ねぇな。」
お嬢様「私達をどうする気?」
強盗2「そうだな…。まあ殺すさ。お宝の在り処を聞いてからな。」
お嬢様「お宝…?」
強盗2「あぁそうさ! 三年前にここを襲った時は見つけられなかったが、ここの主人はいつも言っていた。…この屋敷にはかけがえの無い宝がある、と。」
お嬢様「…宝。」
坊っちゃん?「…どうせ殺されるのにそんな要求聞くと思うのか?」
強盗2「あぁ、もちろん。この銃で脳幹を撃ち抜いて即死させるのと、死なないように拷問を続けた後に殺すのと、どちらが良いか、選ばせてやるよ。宝の在り処を教えてくれたらな…!」
坊っちゃん?「…知ってますよ、俺。お宝の、在り処を。」
お嬢様「え?!」
強盗2「物分りがいいじゃねぇか。」
坊っちゃん?「いたぶるのは好きですけど、いたぶられるのは嫌いなんでね。出来るだけ楽に死にたいですし。ね、お嬢様。」
お嬢様「え、えぇ、そうね。」(なんで私にふるの…ていうか最初の好みとか、どうでも良いのよ!)
坊っちゃん?「旦那様は用心深いお方。けど、俺は子供でしたから気が緩んだようで、一番の宝物の場所を教えてくれたんですよ。」
強盗2「ふん、じゃあはやく、案内しろ!」
坊っちゃん?「こっちです。あ、お嬢様も、死ぬ前に一目見ておきましょうよ、ね。」
お嬢様「不吉なこと言わないでよね…。」
坊っちゃん?「こっちです!」
坊っちゃん?「こっちこっち!」
坊っちゃん?「確かー…こっち?」
坊っちゃん?「あ、こっちだったかもしれません。」
坊っちゃん?「違いました!今度こそこっちです!」
坊っちゃん?「あ!今!蛍が!」
強盗2「てんめぇぇぇえ! ふざけてんのか!!」
坊っちゃん?「心外だなぁ。ふざけてませんよ。」
強盗2「なんだと?さっきからそれらしいもの、一つもないじゃねぇか!」
坊っちゃん?「嫌、俺も必死なんです。」
坊っちゃん?「生きることに。」
強盗2「何言って…!」
モワーッ
強盗2「なんだ!?この白い煙は…!冷たい…ドライアイスだと?!」
坊っちゃん?「お嬢様、こっちです。出来るだけ伏せて。」ボソッ
お嬢様「え?わっ!」(分厚いソファの裏…?)
57 : 以下、名... - 2013/07/09(火) 01:52:25.09 za8zeoHa0 39/52
あ、ドライアイスは焼けてなくなった屋根から部屋の中に流れ込んでます
強盗2「舐めたマネしやがって!!」ドン!!ドン!!
お嬢様「あ…」(焦って銃を乱発するのを狙ったんだ…!)
強盗2「ちっ…弾数が少ないな。…だかな!ドライアイスはすぐにしたに滞るんだよ!」
坊っちゃん?「おじさん!今です!」
おじさん「分かってるよ! 狩猟で鍛えた俺の腕を舐めんな!」
お嬢様「イノシシ丼の…おじさん?!」
パン!パン!パン!
強盗2「ぐっ!あっ!あぐっ! 手と…腕と…足を的確に…!なんてスナイパーだ…ここまで…か…。」
坊っちゃん?「…。」グルグル、キュッ
おばちゃん「皆無事かい?」
お嬢様「はい、無事です……ってアイスのおばちゃん?! じゃあさっきのドライアイスは…」
おばちゃん「…タイミングが難しくてね…まったく、ヒヤヒヤしたよ。」
おじさん「本当にそうだな! まったく、男君も無茶をさせるよ。」
坊っちゃん?「いやいや、時間稼ぎ大変だったんですよ?お嬢様に話をふってみましたけど、お嬢様全然主旨が分かってなかったし。」
お嬢様「そういうことだったのね…ごめん。…それはそうと、男って坊っちゃんの、名前…だよね?」
男「…はい。」
おじさん「…積もる話もあるだろう。俺達は強盗を連れて行くから。」
おばちゃん「女ちゃん……いや、お嬢様、辛いけど、乗り越えることに意味はあるからね。」
お嬢様「はい…。」
男「…俺はこの屋敷の使用人でした。小さい頃に旦那様に拾われた、捨て子です。」
男「お嬢様と年が同じだったので、お嬢様のお世話をさせていただいてました。まぁ、大体は一緒に遊んだりしてただけですけど。」
お嬢様「じゃあ…料理を教えてくれたのも…。」
男「はい、俺です。」
男「…それから、三年前、あの事件が起きました。大体はお嬢様のおっしゃった事と変わりません。まぁ俺とお嬢様の立ち位置が入れ替わってますが。」
幼男「誰か!助けて…!」
強盗1「皆殺しだよ!金はどこだ!」
幼男「やめて下さい!!ぐっ!」グサッ
強盗1「ちっ!避けやがって…。手に刺さっただけか。」
主人「やめろ!その子に手を出すな…!ぐっ、あっ!」グサッ
強盗1「おやおや、旦那様ぁ!涙ぐましいですなぁ!こんな捨て子を庇うなんて!」
幼男「あ…ああっ!だ、旦那様…っ!誰かっ!誰かぁっ!!」
主人「…ぉ、男……しっかり、しなさい…。君と女は…僕の、宝、だ。…ぜったい、に、いきて、いきて、この、家で君達は、笑っている、べき、なんだ。」
強盗1「うるせぇなぁ! …死に損ないがっ!」
主人「ぐっ…!はやく、逃げろ…!」
幼男「…っっ!」ダッ
幼男「っっ!お嬢様っ!」
幼お嬢様「お、おとこぉ…!お母様が…!お母様がぁあ!」
幼男(奥様まで…!! 僕が…しっかりしないと…!)
幼男「…お嬢様、なんとしてでもここから出ましょう。」
幼お嬢様「でも、セキュリティーシステムが働いて、すべての出入り口にシャッターが…パスワードも書き換わってるし…」
メイド長「男!お嬢様!」
幼男「メイド長!」
メイド長「…空気ダクトから出られるはずです…!こちらへ!」
幼男「お嬢様、入れましたか?」
幼お嬢様「うん、なんとか…出れそうだよ!」
幼男「では、僕も…よいしょっ!」
メイド長「二人とも、大丈夫ですか?」
幼男「はい!メイド長も、早く!」
メイド長「…ダクトはどんどん狭くなり、酸素も人が入ると限られてきます。」
幼男「メイド長…?」
メイド長「男、この屋敷の、使用人として!お嬢様を、何としてでも守り抜きなさい…!」
バタンッ
幼男「っっメイド長!!」(ダクトの入り口を閉められた…!)
メイド長「必ず…生きるのよ…!」
幼お嬢様「男!出口だよ!」
幼男「出口付近は安全ですか?」
幼お嬢様「多分…大丈夫っぽい!よいしょっと。」
幼男「…よいしょ。」
幼お嬢様「……あ、あぁあ!」
幼男「お嬢様?!」
幼お嬢様「お家が…!お家が燃えてる…!! ねぇ、男!お母様は!?お父様は?!皆は? また、一緒に暮らせるよね?そうだよね?」
幼男「…っ!」
幼お嬢様「そんなの…!嘘よ!みんな嘘…あ、あぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁあ!!」バタッ
幼男「お嬢様?!」
男「そしてそれから目を覚ましたお嬢様は、ショックで記憶がゴチャゴチャになっていました。自分がメイドだと思い込み、俺を坊っちゃんと呼んで、世話をしはじめたのです。」
男「当初俺は、お嬢様が事件の記憶を呼び起こさないようにその話題に触れず。また、燃えた二階や、それが分かる外には行かないようにしていました。」
男「しかしお嬢様は事件の記憶を覚えていました。そして、俺が事件の事を覚えていないと、勘違いしたのです。」
男「お嬢様は俺の事を気づかってずっと事件から俺を遠ざけていました。…最近俺がお嬢様に、旦那様の居場所を聞いたり、かまをかけたりしたのは、お嬢様の記憶がなんらかの拍子で戻ったりしていないかどうかの確認です。」
お嬢様「だいたい…分かったわ。おじさんとおばちゃんはどうして助けてくれたの?」
男「昔旦那様に、店を開く時の資金援助をしてもらったらしいです。もちろん、お嬢様がお嬢様であり、俺が召使いだということも、最初から知ってました。今回助けに来たのは、俺から連絡が無かったら武装して来るようにお願いしてたんです。その打ち合わせもあって、帰るのが遅れたのですが…間に合って良かったです。」
お嬢様「………。そっかぁ…。」
男「納得、したんですか?」
お嬢様「うん。まだ記憶は曖昧なところがあるけど、今の説明でおぼろげにかみあったよ。」
男「それはよかったです。…それと、これからのことですが。俺はお嬢様にずっと嘘をついていました。かつ、お嬢様に自分の世話をさせていました。使用人の、分際で。クビにされてもいたしかたないと思います。」
お嬢様「お父様は、男と私が宝だ、と言ったのよね?」
男「…? はい。」
お嬢様「じゃあ答えは決まっているわ。
クビよ。」
男「あの時は本当にどうなるかと思ったよ。」
女「は、恥ずかしいから忘れてなさいよ!」
男「まさか使用人としての俺をクビにして、俺自体を新しい主人、つまり女にとっての婚約者に登用するなんて、」
女「わーっ!!わーっ!!やめろ馬鹿うるさい!」
End

