2 : 以下、名... - 2016/12/27 21:03:24.01 ni9lWQNYo 1/182
ガルパンSS
※百合要素あり
※キャラ崩壊あり なので苦手な方は注意です
呼称とか変な部分があったら脳内補完お願いします
↓前に書いたSSです
みほ「会長のだいしゅきホールドの腰の感触が忘れられない」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468845015/
http://ayamevip.com/archives/48045342.html
みほ「聖グロリアーナが選ぶベスト百合カップルランキング?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1471268351/
http://ayamevip.com/archives/48237504.html
ダージリン「ペコの下剋上。つまりペ剋上ね」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1472484921/
http://ayamevip.com/archives/48333850.html
みほ「お姉ちゃんは天然ジゴロ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476542161/
http://ayamevip.com/archives/48743714.html
ローズヒップ「ペパロニさんと片想い同盟結成ですわー!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1477488166/
http://ayamevip.com/archives/48743749.html
元スレ
しほ「裏西住流によって他校を制圧する」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1482840135/
【西住家】
しほ「………………」
まほ「……お母様、今日は一体どのような用件でしょうか?」
しほ「大洗女子は先日の試合で、社会人チームを撃破したほどの実力を持つ大学選抜に勝利したわね」
まほ「はい」
しほ「もちろん黒森峰をはじめとした他校の協力があってこそだけれど」
まほ「はい」
しほ「……まほ。大洗女子は大学選抜との試合を経て、今後どうなると思う?」
まほ「……今回の勝利はとても大きいと思います。強敵と戦ったという経験に加え、学校の存亡の危機を乗り越えたことで精神面での成長も期待されます。大洗は二年生以下が多いですから、来年は今年以上のチームになるのではないかと」
しほ「そうね。全国大会優勝によってお金も集まるでしょう。そうなれば新しい戦車を購入することもできる」
まほ「はい」
しほ「では、黒森峰の今後はどうかしら?」
まほ「……それは……」
しほ「戦車はある。人材も揃っている。それは事実…………ええ、事実だわ。でも……」
まほ「……みな、真剣に練習に取り組んでいます。来年こそは優勝を勝ち取るために」
しほ「それはあなたの抜けた穴を埋められるほどの成果が期待できるということかしら?」
まほ「…………エリカなら必ずチームを強くしてくれると信じています」
しほ「大洗女子に確実に勝てると?」
まほ「………勝負は時の運とも言いますし、確実とは断言できません。しかし戦力的に…」
しほ「そういうことではないわ。私の質問の意図をくみ取っていないようね」
まほ「…………すみません」
しほ「私が聞きたいのは、来年の黒森峰は成長した大洗女子や各校を圧倒的に蹴散らせる実力を持てるのか、ということよ」
まほ「………………」
しほ「黒森峰が目指しているのはただの全国優勝ではないわ。私が在籍していた時も、現在もそうであるように、戦車道の王道を……西住流の強さを証明すること。勝利を絶対条件としながらも内容が求められる」
まほ「……はい」
しほ「しかし……結果として二年連続準優勝に終わった。去年はプラウダ、今年は大洗女子が優勝」
まほ「…………はい」
しほ「来年はあなたを欠いた状態で戦わなければならない。そんな状態で黒森峰は西住流の強さを証明できるかしら?」
まほ「それは………」
しほ「………………」
まほ「………………」
しほ「……そうよね。わざわざ聞くまでもないこと。気休めや根拠のない楽観的意見を持ち出さなかったことは褒めましょう」
まほ「…………はい」
しほ「私は決意したわ」
まほ「え……?」
しほ「うるとら作戦を発動よ」
まほ「…………は?」
しほ「黒森峰が全国大会で圧勝できるよう、私が動くわ。それがうるとら作戦」
まほ「お母様自らが……!」
しほ「ええ。そして、目的を果たすためには今までの西住流だけでは心もとない」
まほ「ま、まさか……」
しほ「そう……裏西住流によって他校を制圧する――――」
一ヶ月後
【大洗女子学園】
沙織「平和だねー」
華「平和ですわね」
麻子「平和だな」
優花里「平和ですぅ」
みほ「平和だよぉ」
みほ(全員一致……つまりあんこう一致なぐらいの平和。それはやっぱり大洗の廃校を阻止できたから)
みほ(気候もちょうどいいし、本当に平和)ニッコリ
エルヴィン「これはまさに平和」
左衛門佐「戦国時代よりも平和だ」
おりょう「これぞ過去の偉人の望んだ平和」
カエサル「いや、もうシンプルに平和だろう」
エルヴィン・左衛門佐・おりょう「それだー!!」
みほ(みんな違う意見を言ってから一つを『それだー!』ってするカバさんチームのノリが成立してないくらい一致だもん。すごいよ)
杏「……西住ちゃん、ちょっといい?」
みほ「会長?」
杏「………………」
みほ「……あの、何かあったんですか?」
杏「……まぁね」
みほ「…………平和じゃないこと、ですか?」
杏「うん」
みほ「!!」
杏「たった今、うちの生徒会宛てにメールが届いたんだ」
みほ「メール……」
みほ(この時点ではまだ平和そうだけど……)
杏「差出人の名前は…………赤星小梅」
みほ「!」
みほ(赤星さん……黒森峰の?なんだろう?ちょっと平和が減った気がする)
杏「これは本文をプリントアウトしたやつね。西住ちゃん、読んでみて」スッ
みほ「………………はい」
みほ「……………………」
杏「………………………」
みほ「…………えっ!?」
みほ「これは…………!!」
杏「…………今から体育館に戦車道のメンバーを集合させるからさ。西住ちゃん、みんなに説明お願いできる?」
みほ「………………わかりました」
【体育館】
みほ「………………」
みほ「みなさん」
みほ「大洗は……平和じゃなくなりました」
ザワッ..
みほ「もう…………全然平和じゃ……ないんです……ついさっきまでは…………そこここで平和だったのに……」
そど子「ど、どういうことよ!ま、まさか……また廃校とか言い出すんじゃないでしょうね!」
みほ「いえ、大洗自体がどうこうという話じゃありません」
典子「まさか……バレー部が復活できないことが決定したんじゃ……!?」
みほ「違います」
ねこにゃー「だったら……ネトゲのデータが消えたとか……」
みほ「違います」
エルヴィン「じゃあ…」
みほ「違います」
エルヴィン「何も言ってないのに!」
おりょう「歴史ネタ言う気満々な顔してたからぜよ」
みほ「実は……………西住流の恐ろしさが怒涛です。だから平和が減りました」
全員「??」
杏「んー、西住ちゃん。ちょっと整理できてないかなー?ま、動揺するのも無理ないかぁ。最初の方は私が説明するよ」テクテク
みほ「……すみません。お願いします」スッ
杏「……ちょっと前に黒森峰の赤星さんって人からうち宛てにメールが来たんだよ」
エルヴィン「赤星?それってもしかして…」
杏「違うね」
エルヴィン「会長まで!」
杏「その内容ってのが……――――」
~~~~~~~~~~~~~~~
【黒森峰女学園】
しほ「…………全員揃ったようね」
エリカ「……………」
エリカ(西住流の家元にして隊長のお母様……ただ立っているだけなのにすごい迫力だわ)ゴクリ
しほ「あなたたちに集まってもらった理由はただ一つ。それは裏西住流を会得してもらうためよ」
エリカ「……裏西住流?西住流とは違うのですか?」
しほ「ええ。裏西住流とは、戦車道ではない西住流のこと」
エリカ(戦車道以外?そんなものを学んで一体何の意味が……)
しほ「……西住流は古くから続く名門。発展を遂げるために様々な試行錯誤を重ね、いくつもの流派としのぎを削り、勝ち残った結果、今日に至る」
しほ「…………その過程で生まれたものが裏西住流。相手を制し、己を高め、必ず勝利を得るために編み出された」
エリカ「………………」
エリカ(じゃあ裏西住流を会得したら、今よりもっと強くなれるってこと?でも戦車道ではないって話だけど……)ウーン
しほ「…………口頭で説明するより実際触れた方が早いわね。まほ」
まほ「はい」
しほ「手始めに逸見さんに裏西住流を使いなさい」
まほ「…………はい」
エリカ「隊長は裏西住流を使えるのですか?」
まほ「もちろんだ」
エリカ(じゃあ私も裏西住流をマスターしたら、隊長に近づけるかもしれない……)
まほ「………………」スッ
エリカ「?あ、あの……隊長、何故近くに?」
まほ「……すまないな」
エリカ「え?」
まほ「…………」スッ(エリカのあごを人差し指で軽く押し上げ、上を向かせる)
エリカ「た、たいちょ…」
まほ「ん……っ」チュ..
エリカ「!!!!!!!!!!」
エリカ(な、な、な……!隊長とキスしてる!?)
エリカ(何度も夢見たし、神社でお祈りもした!縁結びのお守りも買った!その努力が突然実ったわけ!?)
まほ「れろ……」チュ(舌でエリカの舌を撫でる)
エリカ「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
エリカ(こ、こっ、ここ、この蠢いてるウネウネしてるのは隊長の舌!?熱くて……柔らかくて…………あぁ…………とろけちゃう……///)
まほ「れろ……れろ…………ん……」スッ
エリカ「ふぁ……ふぁ~~……///」ヘナヘナヘナ
まほ「……すまんがエリカを支えてやってくれ」
女生徒A「は、はい……」
しほ「……よくできたわね」
まほ「………………ありがとうございます」
しほ「ちゃんと描けた?」
まほ「はい。舌に六芒星を描きました」
しほ「よろしい。あなたたち、今のを見て裏西住流のことを理解…」チラ
黒森峰生徒たち「……………………」???
エリカ「ほにゃぁぁ……////」
しほ「……できていないわね。では説明するわ」
しほ「裏西住流とは、戦車道で使う目的で編み出されたわけではないけれど、結果的に戦車道でも効果を発揮する流派よ」
しほ「その神髄は…………相手の心を奪う、ということ」
黒森峰生徒たち「…………!!」ザワッ..
しほ「戦車道に限らず、戦いの中では技術以上に精神力が物を言う場面が多々あるわ。裏西住流はその精神力で相手を上回ることに重きを置いている」
しほ「簡単な話、相手が自分に恋焦がれているならば、精神的な立ち位置で優位に立てる」
しほ「相手はこちらの一挙一動に意識を奪われ、ささいな言葉で動揺し、乱れる。他の人間に気のある素振りを見せれば嫉妬に狂い、仲間割れを誘うこともできるわ」
黒森峰生徒たち「………………」
しほ「もちろん、時には心を奪ったが故に奮起されるケースもあるけれど、ほとんどの場合はこちらに優位に働く。そして人の心を奪えるということは、感情の機微に鋭く、人間を深く知る力が身に付いているということ。それは人生のあらゆる局面で生きるわ」
黒森峰生徒たち「…………」オォ..
しほ「この場にいる全員が裏西住流を会得すれば、黒森峰は史上最強の軍団と化すでしょう」
黒森峰生徒たち「!!」
しほ「あなたたちの頑張る姿を見てきたからこそ、私は今日、裏西住流を教える決意を固めたのです!」
黒森峰生徒たち「!!!!」
しほ「黒森峰の新たな栄光の歴史は今この瞬間を持って始まる!さあ!共に行きましょう!選ばれし子たちよ!」
黒森峰生徒たち「わああああああ!!!!」
しほ「………………」
しほ「………ふふっ」
しほ(すでに西住流が浸透していたおかげでスムーズにことが運んだわね。あとは上手にコントロールするだけでいい)
小梅「……………………」
小梅(おかしい……みんな、西住さんの言ってることを疑いもせずに頭から信じてる)
小梅(もしかしたらこれも心を奪うっていう裏西住流のなせる業?)
小梅(でもそれならどうして私は正気なんだろう?)
小梅(……もしかしたら、みんなよりも西住流に対する思い入れが薄いからかな?)
小梅(私は西住流よりみほさんの方が大事だから………………あ)ハッ
小梅(…………待って。黒森峰を強くするために相手の心を奪うって…………全国大会で当たる学校の選手を狙うって意味!?)
小梅(みほさんが危ない!なんとかして伝えないと!)
~~~~~~~~~~~~~~~
杏「……というわけ」
ねこにゃー「な、なんかすごい話……」
桂利奈「心を奪うとかすごいけど……ホントにできるのかな?」
優季「もしかしてアイドルを目指すとか~?ファンのハートを奪っちゃうゾ~的な。あはは」
みほ「…………わかってない」
優季「え?」
みほ「二人ともわかってないよ。裏西住流は本当に危険なの」
優季「そうなんですかぁ?」
みほ「裏西住流は人心掌握に長けた恐るべき流派だから。心を奪われたことにすら気付かせないようにもできる」
優季「むずかしそ~♪」
みほ「…………宇津木さん」
優季「?はい」
みほ「土佐犬に喉笛噛まれたことある?」
優季「な、ないですよぉ」
みほ「そういうことだよ。味わって初めてわかる。そして気付いた時にはもう……」フゥ..
優季「はあ……」??
沙織「ね、ねえ、相手チームの心を奪うんだよね?じゃあズルできちゃうってこと!?わざと負けてもらうとか」
みほ「ううん、それはありえないよ。お母さんは戦車道に命をかけてきたっていつも言ってたから。八百長をする輩は粉々にしてやりたいとも言ってた。食事時とかに」
沙織「ご飯食べてる時はもっと楽しい会話しようよ……」
華「……でも裏取引のようなものはなくても、実際手籠めにするのですよね?気を利かせて手を抜く方もいるのでは?」
みほ「そうさせないのが裏西住流なの。戦車道は本気で取り組みつつも心は奪われてる状態」
優花里「有利なような不利なような……なんだかややこしいですねぇ」
みほ「うん。言うなれば和食のダシとかラーメンのスープみたいな感じかな。手間暇かけて美味しくなる」
麻子「違う気がするが……」
みほ「つまり、相手が戦車道で実力を発揮できるようにするのも狙いなの。強敵と競うことで西住流を強くする……まぁ簡単に言うと、それぐらいこちらの都合いいように相手をコントロールできるってこと」
沙織「なるほど……」
杏「……メールにはまだ続きがあるよ」
~~~~~~~~~~~~~~~
裏西住流の指導開始から二週間後
【黒森峰女学園】
しほ「…………では壁ドンを始めます。一人は壁際に、もう一人はその前に立って。カウントに合わせて動きなさい」
エリカ「…………」
女生徒B「…………」
しほ「ワン!」
エリカ「」ドッ!(壁に手をつく)
女生徒B「っ……」
しほ「ツー!」
エリカ「」サッ!(壁に手を触れたまま、ひじを壁につける)
女生徒B「ぁ……///」
しほ「スリー!」
エリカ「私のモノになりなさい」ササヤキー
女生徒B「ぁぁあ……///」ポーッ
しほ「……壁ドンやめ!」パン!
エリカ「……ふう」スッ
女生徒B「あ、ありがとうございました……///」
エリカ「ふん。別にあんたのためにやったわけじゃないんだから礼なんていらないわよ」
エリカ(全ては隊長のために……!)
しほ「ふむ。大分仕上がってきたわね。まほ、どう思う?」
まほ「お母様と同意見です。壁についた手形の深さが完成度の高さを物語っています」
しほ「そうね。特に逸見さん、あなたの壁ドンはなかなかね」
エリカ「あ、ありがとうございます!」
しほ「あとは手をついた時の音を半音下げれば文句なし。とはいえ、壁ドンにばかりこだわってはいられないわ。次に行きましょう」
まほ「次のトレーニングは図書室で行う。対象の女性が目当ての本を取ろうと手を伸ばした時にこちらも同じタイミングで手を伸ばして触れてしまう練習だ」
エリカ「はい!」
しほ「狙いに行った後出しだと思われてはダメ。最上は全く同時よ。そしてさりげなく」
エリカ「はい!!」
小梅「………………」
小梅(まずい。みんなが裏西住流の技を吸収していく……このままじゃ……)
小梅(だけど、私一人じゃ止める術がない……どうしたら……)
しほ「……まほ」
まほ「はい?」
しほ「この子たちの練習は私が見るから、あなたは継続高校へ向かいなさい」
まほ「継続高校……ですか?」
しほ「ええ。隊長のミカさんを始め、主力のアキさん、ミッコさんは放浪癖があるという話。行方が掴めなくなる前に片付けておく方がいいわ」
まほ「わかりました」
しほ「この子たちの中から数人連れて行って見学させてやりなさい。成長を促す効果が期待できるわ」
まほ「はい。では………名前を呼ばれた者は付いてくるように」
まほ「○◇、△○、□△、×△、赤星」
小梅「は、はい!」
まほ「以上の者は私と共に継続高校へ向かう」
小梅(ついに……他校攻略が始まる……)
一週間後
【継続高校】
ミカ「」ポロロン..
まほ「……いた。あそこだ」
小梅「は、はい」
まほ「情報提供、感謝する」
アキ「は、はい……その……それで……///」
まほ「わかっている。礼として私のサイン入りポストカードを贈ろう」
アキ「あっ……え、ええと……」
まほ「もちろん私の写真がプリントされている」
アキ「!ありがとうございます!」ワァ..
小梅「………………」
小梅(さっきの西住隊長、すごかった)
小梅(手を繋いだり肩を組んだり、ツーショットで写メを撮って……あっという間にアキさんを攻略した。結果、アキさんは隊長を推すのをやめない……すっかりファン)
まほ「彼女は私が一人でやる。キミたちはよく見ておくんだ」
女生徒たち「はい!」
小梅「はい」
ミカ「…………ん?」ポロロン
まほ「………………」
ミカ「……西住まほ?一体こんなところに何の用だい?」
まほ「………………」スッ(持っていたペットボトルのフタを開ける)
ミカ「?」
まほ「はっ!」バッ!
ミカ「!?」
小梅「!!」
小梅(な……!)
小梅(ペットボトルを振り上げて、中身を空中に撒いた……!?)
まほ「っ……!」ダッ
小梅(そしてミカさんに突進…………ああっ!?)
まほ「はっ!!」シュバ!
小梅(あれは壁ドンのフォーム!?でもミカさんは背もたれのないベンチに座っている。それに後ろに壁はないのに……)
小梅(あ!!)
ピシャァアアン...
まほ「………………」
ミカ「!!」
小梅(壁ドンの要領で突き出した手の平は…………空へ放った水を打った!そして……小気味いい破裂音が響く!)
女生徒C「あれは……水ドンだわ」
小梅「水ドン?」
女生徒C「うん。しほ様がおっしゃってたの。壁がない場所でも壁ドンできるように改良された技だ、って。しかも応用しだいでは水滴を相手の目に入れてうろたえた隙に体を触ったりとか、肌に浴びせてハリを与えたりとか自由自在らしいわ」
小梅「そんなことが……」
小梅(水の撒き方に相当の自信がなければできないはず。相手の服を濡らしてしまえば不快感を持たれる上にクリーニング代を請求されるリスクを負うから。それをいとも簡単に……)
まほ「…………」
ミカ「な、なにをするんだい?」
まほ「…………」ジーッ
ミカ「……っ……」
ミカ(なんだこの目は……見つめられるだけで、体の隅々まで知られてしまったかのような心細さを覚えてしまう……)ゾワ..
まほ「……なるほど。キミは夜な夜な一人で空想に耽り、自らを慰めるのが好きなのか」
ミカ「っ!?」ドキッ!
ミカ(どうしてそれを……!)
まほ「何故わかる、と言いたげだな」サワ..(ミカの髪を撫でる)
ミカ「あ、いや、違う。急にわけのわからないことを言ったから驚いたのさ。しかし、人の性格は十人十色だから人生は面白いと言え…」ポロロン
まほ「誤魔化しても無駄だ。私にはわかる。キミはスケベで素敵な帽子好きさ」
ミカ「……き、キミくらいの年齢では得てして自分の考えが絶対的に正しいと思いがちさ。でもそれは実のところ視野の狭さを自覚していないからだ。視界に映る限られた材料から物事を判断してしまっている典型例。だから安易で見当違いな結論に…」
まほ「もう、黙れ」グッ(髪の毛を軽く引っ張る)
ミカ「痛っ……」
ミカ(なんて乱暴な……!こんなこと……)
ドクン
ミカ「っ……!」
ミカ(まずい……)
まほ「…………ふっ、キミの髪は近くで見たら全然キレイではないな。親戚にいるハゲたおっさんが座ってた席に落ちてたような髪だ。しかもそのおっさんは油ものが大好きだ」
ミカ「!」
ミカ(……よくキレイだと褒められるこの髪をそんな風に……薄髪の、さらに脱落した毛と一緒にされるなんて……)
ドクドックーン!
ミカ(っ……体が……熱い……!)ハァハァ..
まほ「つむじに納豆を塗り込んでやろうか?」
ミカ「や、やめて……」
ミカ(!なんて気弱な声を出しているんだ私は……もっと抵抗するべき……なのに)
まほ「…………やはり私の読み通りだな。これだけ言われても……いや、言われたからか、キミの瞳は媚びに満ちている」
ミカ「!?そんなはずが…」
まほ「ベンチに謝れ!」
ミカ「ひっ!?」ビクン
まほ「誰の許可を得て座っている!いや、お前ごときは地球に立つことすらおこがましい!常にジャンプしていろ!地面が熱いみたいに!」
ミカ「な……」
ゾワワーン!
ミカ(なんてひどい……そんなこと言われたら私は……//)
まほ「帽子も取れ!お前の頭に被せるために作られたのではない!帽子だって、サイやゾウの体を拭くために使われた方がマシだと思うだろう!」
ミカ「っ……///」
まほ「空気をあまり吸うな!」
ミカ「ぁ……///」ビクン!
まほ「継続高校という名称も改めろ!濁点などおこがましい!黒森峰にすら無いんだぞ!」
ミカ「あぁ、ぁ……///」ゾクゾク!
まほ「………………いや、黒森峰女学園だから黒森峰にも濁点はあったな。ま、どうでもいいが」
ミカ「はぁ、はぁ、はぁ……///」
まほ「……素直になったらどうだ?」
ミカ「!」ピク
まほ「お前は被虐願望がある。人に見下され、馬鹿にされて興奮する性癖の持ち主だ」
ミカ「な……っ!ち、違う!」
まほ「違わないさ」
ミカ「な、なにを根拠にそんなデタラメを言うのかな?」
まほ「…………お前は優れた人物だ」
ミカ「?」
まほ「戦車道の才能があり、美人でスタイルも良い。誰もが羨む存在と言っていいだろう。自然と周りに人が集まり、称賛を浴びる」
ミカ「…………」
まほ「…………だからこそ、お前は物足りない」
ミカ「!」
まほ「他人から褒められ、憧れられるのに慣れてしまった。退屈なんだ」
ミカ「!!」
まほ「するとどうなるか……正反対の物事に興味を持つようになる。自分が体験したことのない別世界を知りたくなる」
ミカ「………………」
まほ「……他人に嫌われ、けなされ、否定されてみたい、とな」
ミカ「っ…………」
まほ「…………そんな風に想像したことがあるんじゃないか?」
ミカ「……………………」
まほ「あるだろう?」
ミカ「……………っ」
ミカ(……………………その通りだ)
ミカ(いつからか私は……西住まほの言うような空想に浸るようになった)
ミカ(戦車道の試合で勝利したあとの祝勝会。本来なら祝福され、チームの団結力が高まり、次の試合に向けて意気込みを新たにする流れになる……はずだった。しかし急に周りが私に対する不満を露わにし始める)
ミカ(勝利に貢献したのにも関わらず、私の采配が悪いせいで苦戦したと騒ぎ出すチームメイト。私の味方は誰もおらず、全員が冷たい目で私を見ている)
ミカ(……そして……罰として反省文を書けと言われ、地面に原稿用紙とペンが置かれた。さらに両手を後ろに縛られ、この状態で書けと命じられる)ハァァ..
ミカ(私は土下座するかのように四つん這いになり、口でペンを咥えて、よだれを垂らしながら必死で反省文を書こうとする……当然まともな文字にならない。さらに周りの怒りを買い、顔に唾をかけられてしまう……///)
ミカ(髪を砂利まみれにしながら這いつくばる私を嗤う声が聞こえる。『無様』、『みっともない』、『ああなったらおしまい』……その言葉が体を震わせる。体がどうしようもなく熱く、息が荒くなっていく……)
ミカ(……私の全ては理不尽に否定される。それはとても心細くて切なく…………そして…………たまらなく心地いい///)
まほ「…………ふっ、いい顔だ」
ミカ「ぁ……」ハッ
まほ「思い出して浸っていたようだな」
ミカ「っ……//」カァァ..
まほ「…………気に入った。私がお前を飼ってやる」フフッ
ミカ「っ……!?」
ミカ(飼う……?何を言っているんだ?)
まほ「私の犬になれ。ミカ」
ミカ「!?」
ミカ(私が……西住まほの犬、だって?)
ミカ(……確かに、私に被虐願望があるのは認めよう。でもそれはあくまで私の中だけでの話だ。他人に明かそうなどとは思わない)
ミカ(いや、西住まほには見透かされているようだが…………しかしいくらなんでもそんなことは……)
ミカ(犬…………人として扱われない……)ゴクリ
まほ「……即答しない、か」
ミカ「……………」
まほ「だったらもういい。生意気な犬はいらん」スッ
ミカ「え……」
まほ「私にとってお前はそれほど大した存在ではないからな」
ミカ「っ!」
まほ「顔立ちは整っているが、お前より好みは山ほどいる。気位の高い面倒な女に用はない」フン
ミカ「な……」
ミカ(なんていう目だ……温度を持たず、まるで私に興味を持っていないような……)
ミカ(そんな目をされたら…………)ブルッ..
ミカ「まって、くれ」
まほ「…………言葉遣いがおかしいな」
ミカ「ま……まって……くだ、さい」
ミカ(あぁ……私は……なんという媚びた声色を……)ゾワ
まほ「…………なんだ」
ミカ「………………」
ミカ「わ、私を…………か、飼ってください……」
ミカ(あぁ……言ってしまった……///)ゾクゾクッ
まほ「……ふん、最初からそう言えばいいものを。時間をとらせるんじゃない。犬の分際で」
ミカ「は、はい……申し訳ありません……///」ハァハァ..
小梅「!!」
小梅(水ドンのあと、見つめて、髪を引っ張って、会話しただけであんな簡単に……!)
小梅(……隊長は相手の性癖を見抜く早さがナンバーワンって家元が言ってたけど……こんなの見せられたら信じるしかない)
まほ「……では忠誠の証を見せろ」
ミカ「忠誠の証……」
まほ「お前が考えるんだ。私の犬になると決めた覚悟のほどを見せろ」
ミカ「………………は、はい」
ミカ「…………………………」
ミカ「……あの……足を……」
まほ「ん?」
ミカ「……靴と、靴下を脱いでいただいてもいいでしょうか//」
まほ「ほう。脱がせてどうするつもりだ?」
ミカ「…………く、口で……まほ様の指をキレイにさせていただきます///」
ミカ(ぁぁあ……現実にこのようなセリフを口にするなんて……///)ゾクゾクッ
まほ「お前の口でキレイになるのか?余計汚れるだろう」
ミカ「え?あ……」ハッ
ミカ(その意図は……)ゴクリ
ミカ「…………も、申し訳ありません」
ミカ「まほ様の足で、私の汚い口をキレイに掃除させてください///」
まほ「ふふっ」
ミカ「そ、そうすれば、今後私の口でまほ様へご奉仕をすることができます」
まほ「そうだな。最初に手入れをしなければ、汚くて使えないからな」
ミカ「っ……はい///」
ミカ(この人は……私が望む以上の言葉をくれる………あぁ……///)
まほ「では、掃除させてやろう」スルスル..パサッ..
ミカ「ぁ……」
まほ「どうした?」
ミカ「……す、すみません。少々お待ちください」
まほ「何故私が待たなければいけない」
ミカ「その……カンテレ…楽器を見えないところに置きたいのです」
まほ「?」
ミカ「し、視界に入ると、現実に戻されると言いますか、その……」
まほ「……ミカ」
ミカ「は、はい」
まほ「私の犬として私に奉仕するのが現実。今までの人生こそ夢だ」
ミカ「ぁ……」
まほ「いや、お前は今日生まれたんだ。楽器など関係ない」
ミカ「…………」
まほ「さあ……足を貸してやる」
ミカ「は、はい……///」
ミカ(……すまない、今までありがとう。トゥー太……)
ミカ(過去、様々な空想に耽ってきたが、トゥー太に見られているシチュエーションだけは避けていた……しかし……もう私は……)
ミッコ「み、ミカ!?」ザッ
ミカ「ミッコ…………」
ミッコ「な、なにしてるんだよ……」
ミカ「………………」
ミッコ「そいつに……西住に無理矢理やらされてるのか!」
まほ「………………」
ミカ「それは……違う。私の意思さ」
ミッコ「な……!?」
ミカ「………………」
ミッコ「…………う、ウソつけ!いつもの軽口だろ!?それか、風に吹かれてとか……」
ミカ「………………」
ミッコ「おい!風、このやろう!ミカに何してんだ!風のバカ野郎!」
ミカ「……風は何もしていない」
ミッコ「う、うるさい!風のアホがミカを動かしてるんだろ!じゃなきゃこんなの……」
まほ「…………うるさいのはお前だ」スッ(飴を舐める)
ミッコ「な……!」
まほ「………………」コロコロナメナメ
ミッコ「お、お前!ふざけんじゃ…」
まほ「プフゥッ!」ヒュンッ!(飴を吐き出す)
ミッコ「な……っおごぅっ!?」モゴゴ..
ミッコ(何かが口に入ってきた!?これは………………飴か!?)
ミッコ「あ……」
ミッコ(え……この不思議な……飴じゃない甘さは……)
ミッコ(あいつの……唾液、か?)
ミッコ(他人の唾液なんて嫌でしかないはずなのに……味わいたさが……脳からどんどん命令してくる)
まほ「おい」
ミッコ「ぁ……ぁん、だよ」コロコロ
まほ「もう一発いくか?」
ミッコ「!!」
ミッコ(一個の状態でも脳がこんななってんのに……追加だって!?)ドクン..
まほ「……ストップと言え」
ミッコ「え……」
まほ「ハーブ、グレープ、ミント、ハーブ、グレープ、ミント……」
ミッコ(ストップと言って止まった味のをくれるってか!?くっ……三つのうちハズレが二つ……)
まほ「ハーブ、グレープ、ミント」
ミッコ(次の次がグレープ。なら……)
まほ「ハーブ、グレ」
ミッコ「ストップ!」
まほ「ープ、ミント…ハーブ……グレープ………」
ミッコ「!?」
ミッコ(ストップって言ってから遅くなって止まるパターンか!瞬時じゃないやつ!)
まほ「ミント…………ハーブ……………」
ミッコ(頼む!)
まほ「………グレープ…………………………」
ミッコ「………………」
まほ「……グレープ味だな」
ミッコ「よっしゃああああ!!」
小梅「あぁ……あの人も……」
小梅(裏西住流の力……隊長の魅力が込められた飴を飛ばす。舐めた相手は隊長の虜になる……)
小梅(もはや何をされたかよりも飴。これからどうなるのかよりも飴。飴よりも…………やっぱり飴)
ミッコ「グレープさいこーーーーーー!!クリスティー式以上ーーーーーーー!!」
まほ「……邪魔が入ったな」
ミカ「はい」
まほ「では、やれ」
ミカ「はい……失礼します」
ミカ「れろ……///」
まほ「ふっ……」
小梅(あぁ……ミカさんたちが落ちた以上、もはや継続高校は西住流の支配を免れない……)
~~~~~~~~~~~~~~~
杏「…………」
沙織「そ、そんな……」
華「あのミカさんが……」
麻子「信じられん」
優花里「ビックリですぅ…………ね?西住殿」
みほ「…………ううん、むしろ納得、かな」
沙織「えっ!?」
麻子「どういうことだ?」
みほ「ミカさんは割と落としやすい部類だと思う。まともに口説くのは難しいだろうけど、裏西住流で強引に攻める場合にはね。性癖もなんとなく見当付いたし。大学選抜との試合開始直前に会った時、『落としやすそうな人が助っ人に来てくれた』って思ったぐらいだから」
優花里「そ、そうなのですか……」
みほ「うん。あと『落としやすそうな人に健闘を祈られた』とも思った」
沙織「で、でもさ!ミカさんが……その……ごにょごにょ……って感じで、落としやすいとしても……い、い、犬とか!いけないことだと思う!」
麻子「確かにな」
杏「……まぁ、こんなメールが来たからさ、どうしよっかなーって感じなんだよ」
典子「……あのー、質問いいですか?」
杏「いーよ。なに?」
典子「西住隊長のお母さんが黒森峰に来て、裏西住流の特訓して、お姉さんが継続高校に行って……なんか一ヶ月くらい経ってますけど、なんで最初の時点でメールくれなかったんでしょう?」
杏「多分だけど、連絡できない状況だったんじゃないかな?西住ちゃんのお母さんが徹底管理してて携帯が使えなかったとかさ。でも継続高校に行く時に携帯を使うチャンスが来た。だから今までの出来事をまとめて送ってきた、とかじゃない?」
典子「なるほど……ようするに根性というわけですね」
杏「そだね」
柚子「会長……面倒だからって肯定しないでください」
桃「私が会長の代わりに言おう。デタラメ言うなバレー部!消え失せろ!!」
柚子「桃ちゃんは桃ちゃんで言い方きつすぎだよぉ!中間がないよぉ!」
そど子「……それと気になるのが、どうしてうちの生徒会のメールアドレスがわかったのかよね」
ゴモヨ「もしかして……うちにスパイがいて情報を漏らしたとか?」
桂利奈「スパ…アイーーー!?」
ナカジマ「シャレにならないぞそれは。今度自動車部で搭載予定のエンジンの情報が他校に知られたら大変だ」
スズキ「でもさすがにありえないんじゃないかな?スパイなんているわけ……」
紗希「………………」
スズキ「ん?」
あや「紗希?どうしたの?」
紗希「………………いる」
梓「えっ!?スパイが!?ど、どこ!?」
紗希「………………」スッ(指を差す)
おりょう「わ、私ぜよ!?」
左衛門佐「なっ……」
エルヴィン「そんな……おりょうが間者だと!?」
桃「貴様ぁ!許せん!」サッ(ピコピコハンマーを取り出す)
おりょう「ち、違う!何かの間違いだ!」
桃「うるさいっ!スパイの言い訳なんて聞くか!」ピコピコピコピコ!
おりょう「あいたたた!痛いぜよ!」
あゆみ「……まさかおりょうさんがスパイだったなんて。でも紗希はなんで知ってたの?」
紗希「…………」フルフル
あゆみ「え?」
紗希「…………蝶々」
あゆみ「…………え?」
あゆみ「………………あっ、おりょうさんの向こうに蝶々がいる……」
あゆみ「も、もしかして……最初からあの蝶々のこと指差してた?」
紗希「………………」コクリ
あゆみ「あー……今以外のタイミングで知らせてほしかったかな……でも体育館に蝶々がいるのが珍しかったから?」
紗希「………………」コクリ
柚子「桃ちゃん、おりょうさんはスパイじゃないって」
桃「何?そうなのか?だったら最初からそう言えばいいんだ」
おりょう「うぅ……ひどい目にあったぜよ」
桃「まったく!紛らわしいことをしおって!」
おりょう「私は何もしてないぜよ。完全に被害者ぜよ」
杏「………………」
桃「あ、会長。お騒がせしてすみませんでした」
杏「……んー、いや、それはいいんだけどさ……あ、そうそう。なんで赤星さんがうちの生徒会のアドレス知ってたのかって話だけど、私が前に黒森峰の人と連絡先を交換したからだよ」
そど子「なるほど。今後練習試合などを組めるようにですね」
杏「そーそー。だから赤星さんが知ってても全然おかしくない。交換した人に聞けばいいだけだし」
桃「そういうことでしたか。タネがわかれば納得です。それをこのカバさんチームの連中と来たら……」ジロリ
おりょう「……睨まれてるぜよ」
エルヴィン「くっ……!なんということだ。我々に非はないというのに」
左衛門佐「こうしてお上に不満が溜まっていくのだな……」
カエサル「革命の日は近い」
杏「……で、さ」
桃「?」
杏「ついさっきまたメールが届いたんだ」
みほ「!」
杏「その内容が衝撃的でねー。継続高校での出来事のすぐあとのことらしいんだけど……――――」
~~~~~~~~~~~~~~~
【知波単学園】
福田「た……」
玉田「た……」
細見「た……」
福田・玉田・細見「隊長ーーーーーー!!」
絹代「………………」
福田「あの隊長が……」
玉田「ヤツの豊満な胸に顔をうずめて意識を失ってい…」
細見「るなんて!」
福田「まったくもって!」
玉田「信じられないでありま…」
細見「す!」
福田「こうなれば……」
玉田「我々のとる行動は一つ!ヤツ目がけて突撃するのみでありま…」
細見「す!」
細見「………………」
細見「…………なぁ玉田。さっきから喋りすぎではないか?私の分をほとんどお前が…」
玉田「そんなことを言っている場合ではありません!なんと言っても相手はあの……」
亜美「」ドドン!
玉田「蝶野亜美……なのですから!」
亜美「グッモーニンシェケナベイベー!」ニコリ
玉田「っ………」ギリッ..
亜美「敵の前でペチャクチャおしゃべりなんて、ダラーッとしててフフーンな感じで余裕シャクシャクね」フフッ
福田「い、今から突撃しようと思っていたところで…」
亜美「…………」ジロリ
福田「ひいっ!」ビクン
亜美「……睨まれただけでたじろぐなんて論外ね。敵に挑もうという気概がない。ノットブルースリーだわ」
福田「くっ……」
玉田「焦るな。ヤツの胸の上には隊長の顔がある。もし我々が突撃したら隊長が放り出されてしまう」
細見「……そもそも何故隊長がヤツの胸に魅力を感じるんだ?隊長の胸の方が遥かに素晴らしい。ならば自分で自分の胸にうずまればいいはず……」
福田「私が思うに、自分の胸に顔をうずめ続けるのは違和感があるのではないかと。重力の都合上、胸の下部分を両手で持ち上げながらという形になるため、ずっと顔を洗っているようで落ち着かないと思われるのであります」
玉田「なるほど。では……」
亜美「言ったそばからお喋りとは……」スッ
福田「そ、そんな!?」
玉田「いつの間に目の前に!?こんなに素早いなんて信じられな…」
細見「い!」
亜美「なんて愚かな」クルッ..ビシッ!(三人に背を向け、うなじを強調)
福田・玉田・細見「!!」
亜美「行為なのかしら!」ムンッ!(背筋に力を入れ、筋肉アピール)
福田「あ……」
福田(なんという鍛えられた肉体……さぞかし飛距離が出ると思われるのであります。色んな競技で)
亜美「ミストサウナ!」ガシッ!(福田にアイアンクロー)
福田「ぐあああああ!でありますぅうぅ!」
福田(痛い……がしかし!手の平はいい匂いがするであります!熟れた系であります!)ポワー
細見「玉田!福田を助け…」
玉田「ましょう!それしか我々の生きる道はありませ…」
細見「ん!…………あああああ!また私の喋る量が少ない!」
亜美「ふんっ!」キュプン!(お尻をつき出しアピール)
玉田「!!」
玉田(な、なに?体が引き寄せられていく……!?)フラフラ..
亜美「ウォーキンザ…」
玉田「」ボフッ(亜美のお尻に顔をうずめる)
亜美「パーク!」ビシィ!
細見「玉田!!」
亜美「グッジョブベリーナイス私。今日もいい調子だわ。英語が冴えてる。ホームタウンデシジョンね」
細見「くそっ!今の…」
亜美「攻撃の流れで隊長を放り出したことも許せん!福田と玉田のカタキは私が討つ…………かしら?」
細見「あんたまで喋らせないつもりかあああ!!」
亜美「ええ。もう喋る必要はない。あなたはダーッとしたままクターッてなるまでただただ私の胸でグッスリ眠りなさい」グンッ!
細見「くっ!胸を張ったところで私は……惑わされない!」
亜美「それなら…………これはどう?」クネクネ(体を左右に振って胸を揺らす)
細見「もうダメだーー!!」タタタ!
細見「」ボフッ
亜美「いらっしゃい。ウェルカムトゥザサービスカウンター」フフッ
細見(あぁ……これが……蝶野亜美の胸……)
細見(いや、厳密に言えばブラや服が間にある。しかしそれらをなかったことにしてる柔かい感じがすごい……)
細見(もう……ただただ眠ろう……)
亜美「ふふふ……ミッションコンプリートね!さて、と。ダダダッと帰ってドアをガチャッて開けてシャワー浴びてシーンとした室内でホッとしますか」
~~~~~~~~~~~~~~~
杏「――――ということみたい。西住まほが教官と電話してるのを聞いたって書いてある」
沙織「ど、どうして蝶野さんが出てくるの!?」
麻子「戦車道で西住流と交流があるのだろうが……話を聞く限り、裏西住流を使えるみたいだな。何故だ?」
みほ「蝶野さんはお母さんと濃い関係だから」
華「濃い関係?」
みほ「簡単に言うと肉体関係があるの」
麻子「…………それは衝撃的な話だな」
優花里「な、何故西住殿がご存じなのですか?もしかしてお母様から話を聞いたとか?」
みほ「ううん、聞いてはないんだけど、お母さんは結構開けっ広げだからわかるんだ」
沙織「ど、どういうこと?」
みほ「使った道具とか、居間のテーブルに置きっぱなしは当たり前」
沙織「ええっ!?大胆すぎるよみぽりんママ!」
麻子「というか家族がいるのに居間でするんじゃない」
みほ「そもそも隠してなかったからね」
沙織「え?でもみぽりんが知ってるってことは、当たり前だけど結婚してからなわけで…………み、みぽりんパパは?」
みほ「今も元気だよ」
沙織「あ、ううん、現状じゃなくて。蝶野さんとみぽりんママのこと……知ってたの?」
みほ「もちろん」
沙織「!?それって浮気じゃん!」
みほ「浮気……うーん。裏西住流では違う解釈なんだよね……」
沙織「違う解釈?浮気は浮気でしょ?」
みほ「裏西住流だと、まず誰かと恋人になる。恋人を自分に夢中にさせる。そして少しずつお金や物を貰う、っていうのが一連の流れなんだ。最終的には働かず暮らす」
沙織「ヒモじゃん!」
みほ「ううん、お母さんの場合はそのヒモを何本も重ねた上でねじってるからワイヤーみたいに丈夫だった。一本のヒモは簡単に切れるけど、三本のヒモは切れないってやつだね」
左衛門佐「毛利の矢か……わかる!わかるぞ西住隊長!」
沙織「わかっちゃダメ!」
みほ「お父さんもそのうちの一本だから、蝶野さん分の一本が増えただけで浮気という解釈にはならないんだ。太いか細いか、ただそれだけ」
華「しかし……奥様が他の方とそういう行為に至っているのを許容するなんて……みほさんのお父様はタフガイなのですね」
沙織「タフガイって……」
みほ「許容どころか、お母さんが蝶野さんとエッチしたあとに飲むコーヒーはお父さんが淹れてたぐらいだよ」
優花里「それは複雑な心境ですねぇ。あ、でも裏西住流ではそうでもないのでしょうか」
みほ「ううん、お父さんは婿養子だし、裏西住流とは関係ないから結構思うところがあったと思う。でも娘の私から何か言うのも憚られて……深入りは避けてたよ」
優花里「なるほど……」
みほ「………………そう、深入りは避けてた」
優花里「?」
みほ「コーヒーだけに、ね」チラ
沙織「??」チラ
優花里「??」チラ
華「??」チラ
麻子「……コーヒーの淹れ方である深煎りとかけているんだろう」
沙織「あー……」
華「全然気付きませんでした」
優花里「に、西住殿……察することができず申し訳ありません……」
みほ「…………別に反応を期待して言ったわけじゃないよ?だからポカーンとされても心は凪だし、ほんと全然普段通りだから、うん……」
優花里「あぁぁ……西住殿が傷付いてますぅ!気丈に振る舞ってますが傷付いてますぅぅ!!」
みほ「……傷付いてないから冷静に続きを説明するけど、お母さんは昔から蝶野さんをはじめとして色んな人と付き合ったり、付き合ってるそぶりだけ見せて実は付き合ってなかったりしたんだ」
華「アグレッシブですわね」
沙織「悪い意味でね」
みほ「でもほんとすごかったんだ。家にラブホテルのマッチが山ほどあったんだから。マッチ棒でログハウス建てられるぐらいの量だと思う」
麻子「より燃えやすそうなログハウスだな」
華「空のマッチ箱は組み合わせればタンスとして使えますね」
沙織「危なすぎるよ!引き出し開けた摩擦で燃えちゃうよ!」
みほ「……というわけで、蝶野さんはお母さんから裏西住流の手ほどきを受けたみたい。そのせいで、戦車道をやったらモテるみたいな風潮も広がったんだ」
沙織「え?どういうこと?」
みほ「裏西住流を会得した蝶野さんが色々と派手な女性関係を作って、それが漏れ伝わった結果、戦車道=モテるになったの」
華「なるほど。撃墜率120%と言っていたのもあながち冗談ではなかったのですね」
麻子「そもそも120%とはなんなんだ?確実に口説き落とすなら100%だろう」
みほ「落とした子がペットを連れて蝶野さんの家に転がり込んで同棲が始まるからだって」
優花里「では20%はペットなのですねぇ」
みほ「うん。犬か猫かウサギかインコかわからないけど」
沙織「それで……みぽりんはその裏西住流を継ぐの?っていうか裏西住流は継承するものなのかわかんないけど……」
みほ「ううん、私は裏西住流の理念には疑問があるんだ。まず誰か一人と恋人になって、そこから複数に……って感じなんだけど、本命の子がいるのに他の子に手を出すようなひどいことはしたくないから」
沙織「みぽりん……うん、そうだよね!みぽりんの言う通りだよ!」
杏「うーん……教官は戦車道の西住流とも繋がりもあるし、西住ちゃんのお母さんとそういう関係なら、敵に回るのも当たり前っちゃ当たり前かぁ」
みほ「そうですね……」
柚子「でも他校を狙うってことは、うちもその対象だよね。一体どうしたら…」
典子「この場合…」
柚子「磯辺さん?」
典子「もはや根性しかないんじゃないですか?」
桃「それしかないのかお前は!一生体育倉庫に住んでいろ!」
柚子「桃ちゃんそれ言いす…」
典子「いいんですか!?」キラキラキラ
柚子「喜んじゃった!」
杏「西住ちゃん。何かいい手はある?」
みほ「…………あります。と言いますか、とれる手段は一つしかありません」
杏「へえー……じゃあそれを聞かせてもらおっか」ニヤリ
みほ「はい……――――」
二週間後
【大洗女子学園】
ワイワイガヤガヤ..
みほ「…………」
杏「西住ちゃん」
みほ「あ、会長」
杏「言われた通り、連絡とったよ。みんな集まってくれた」
みほ「はい。ありがとうございます」
杏「歓迎パーティーってことで結構予算使っちゃったけど、これからを考えたらモチベーションを高めとかないとだしね」
みほ「そうですね。美味しい食事をご馳走しておけば、こちらの要求に文句も言いづらいですから」
杏「……そんなつもりはなかったんだけどねー」
みほ「あっ、ご、ごめんなさい。裏西住流の思考になっちゃってました」
優花里「しかし……聖グロリアーナにプラウダ、サンダース、アンツィオ。みなさん揃うと派手ですねぇ!」
沙織「ほんとすごい……」
華「ええ。まるで全部のせラーメンのように豪華です」
麻子「誰がチャーシューで誰がメンマなんだ」
華「うずらはカチューシャさんです」ニッコリ
麻子「うずらも入っているのか……」
杏「マジノ女学園とか他のとこにも連絡したんだけどさ、断られちゃった」
みほ「それは……おそらく」
杏「うん。もうすでに黒森峰が制圧済みなんだろうね」
みほ「はい。お母さんはとにかく行動が迅速ですから。そのせいか学生時代のあだ名が『迅速』だったそうです」
麻子「ダサいな。女子に付けるあだ名じゃないだろう」
桃「こらそこ!料理をタッパーに入れるな!残り物ならともかく、こんな序盤でするんじゃない!」
ペパロニ「えー、いいじゃないっすかー」
桃「あああ!そこ!リッツを五枚ずつ食べるな!すぐなくなるだろうが!」
ローズヒップ「マジですの!?」
桃「マジに決まってるだろ!五枚ずつの場合は増える、なんてあるか!今度五枚ずつ食べたらバレー部は一生復活させんぞ!」
ローズヒップ「……仕方ありませんわね。バレー部復活は諦めますわー」ハァ..
あけび「ええええ!?とばっちりすぎますよぉ!」
典子「いや、問題ない」
忍「え?」
典子「その場合は根性部を立ち上げればいいんだ!」
忍「よくないですよ!」
典子「いや、なんか最近根性もいいなって思えてきて……」
妙子「バレーと戦車道に対しての根性です!」
沙織「あっちのテーブルは賑やかだね」
華「そうですね……海苔、と言ったところでしょうか」
沙織「あ、まだラーメンの話続いてたんだ」
??「ちょっとー!ここ全然盛り上がってないじゃない!もっとハッピーに楽しみましょ!」
みほ「?」
沙織「この声は……」
ケイ「ヘーイ!あんこうチーム!久しぶり~!」
みほ「ケイさん」
ナオミ「やあ」
華「ナオミさん!」
アリサ「忙しかったけど来てあげたわよ」
みほ「あ、盗聴の……」
アリサ「今それ持ち出す!?忘れなさいよ!」
みほ「ご、ごめんなさい」
ケイ「アリサ、パーティーなんだから怒らないの。パーッと楽しまないとねっ!」
アリサ「……はい」
ナオミ「だが、そう言ってられない事態でもあるがね」
みほ「え?」
ケイ「あ、そうそう、ミホのお母さんたち、とんでもないこと仕掛けてきてるって話じゃない」
みほ「どうしてそれを……」チラ
杏「いや、内容はまだ話してないよ」
みほ「じゃあ一体…………あ、そっか。サンダースには盗聴の人がいたんだった」
アリサ「私じゃないわよ!短い間に二回も盗聴って言うんじゃないわ!」
ケイ「うちには色々な情報網があるからねー♪」
麻子「情報網……」
おりょう「私ではないぜよ」ズイ
沙織「わ、ビックリした」
おりょう「私はスパイじゃない。それだけぜよ」テクテク..
沙織「急に現れたと思ったら行っちゃった」
優花里「先日のスパイ疑惑が相当堪えたのでしょうね……」
ケイ「ねぇねぇミホ。裏西住流ってそんなにすごいの?」
みほ「あ、もうそこまで掴んでるんですか。じゃあ話しても平気ですかね?」
杏「だね」
みほ「えっと……すごいというか、潔いって感じですね」
ケイ「潔い?」
みほ「はい。色々磨き上げているといいますか……性的な技もありますし……///」
ケイ「そうなんだー?でも性的なのなら私大丈夫かも♪」
みほ「え?」
ケイ「だって慣れてるからねー♪」
沙織「えっ?えっ?な、なんか衝撃的な発言」
華「ええ。気になりますね」
ケイ「そう?ただ普通にエッチしてるだけだよ?」
みほ「!」
沙織「っ……///」
華「あらあら」
麻子「そ、それは恋人がいるということか?」
ケイ「ぜーんぜん♪エッチしたいなーって気分の時に友達とする感じ?」
麻子「な……」
沙織「そ、そんなのおかしくない!?好きでもない人とその……するなんて!大体結婚するまでそういうことは……」
ケイ「ウェイト!好きでもないってのは間違いよ?誰とでもエッチするんじゃなくて、したいと思える子とするんだから」
優花里「……え、ええと……それはケイさんだけがそうなのですか?それともサンダースのみなさん全員……」
アリサ「サンダースが全員そうなわけないでしょ。私はしないわ。タカシ命だからね」
みほ「……そうですよね。報われる報われないはともかく」
アリサ「報われるわよ!」
優花里「ナオミさんは……」
ナオミ「私も隊長と同じでそういう関係の子が何人かいるよ」
優花里「おお……」
ナオミ「どちらかと言えばサンダースは全体的に性に大らかだ。するもしないも自由。私や隊長のような者もいれば、アリサのように徹底して拒む者もいる。比率は半々といったところかな」
優花里「……で、では……私と西住殿がサンダースに転校したら……///」モジモジ
ケイ「オッドボール転校してくるの!?もしそうなら歓迎するよー♪」
優花里「あ、いえ、そういうわけでは」
ケイ「オッドボールとならエッチしてみたいなー♪いっぱい気持ちよくさせてあげるよ?」ウィンク
優花里「えっ……」ドキ
優花里「……い、いえそんな……私は西住殿一筋ですから」
ケイ「そりゃ残念」アッハハハ
ナオミ「フラれたな。今晩、慰めようか?」フフッ
ケイ「考えとくわ」ニコッ
沙織「す、すごい会話だね///」
華「ええ。まるで店長の奥様がご懐妊したかのようです」
沙織「ラーメンの器から出ちゃった」
みほ「あの……それで……」
ケイ「あ!今の流れで思い出した!」
みほ「?」
ケイ「私、ミホとエッチしてみたかったんだよねー♪」
みほ「えっ……///」
ケイ「こんなにキュートなのに、試合ではすっごく凛々しいんだもん。ベッドの中だとどうなるのか確認してみたくってね」
みほ「け、ケイさん……///」
優花里「だ、だ、だ、ダメですよぅ!」
ケイ「えー!?どうしてオッドボールが止めるわけ?」
優花里「それは…………あっ!私は西住殿のマネージャーですから!自称ですけど!」
麻子「自称マネージャー……怪しさしかない響きだな」
沙織「恋人への道から遠ざかってるよね……」
ケイ「オッドボール固ーい!」
優花里「そんなことありません!これが普通です!あとオッドボールは恥ずかしいですからやめてくださいよぅ」
ケイ「もー……やっとミホを誘えると思ったのに」
優花里「だ、ダメです。西住殿は清楚で可憐ですから。私服もひらひらしてますし!ですよね?西住殿」
みほ「え?いや、私が清楚で可憐かはわからないけど……」
優花里「またまたぁ!奥ゆかしいんですからもう!」
ケイ「ざーんねん」
みほ「………………」
みほ「………………」ソソッ
ケイ「?」
みほ「……あ、あの」ヒソッ
ケイ「ん?なあに?」
みほ「へ、変な意味じゃないんですけど……携帯の番号教えてもらってもいいですか?」
ケイ「携帯の番号!?」
優花里「えっ!?」
みほ「ケイさん!そんな大声で……」
ケイ「それもそうねー♪ソーリー!」ニコッ
優花里「に、西住殿?何故……」
みほ「えっと、その………………お互い連絡先を知らないなって思って」
沙織「みぽりんまさか……」
みほ「ちち、違うよ沙織さん!この時代、何でもネットで繋がることで満足しがちだけど、実際に会うとか、試合をした相手と親睦を深めるとか……あっ、この深め方は至って普通のやり方ね?あ、やり方って変な意味じゃなくてね?あと深いっていうのもあくまで例えであって、実際に何かを深くとかじゃないの。とにかく人情というか、縁を大切にする心が本当に求められてるんじゃないかなって。時代に流されるより、古臭いと思われようが相手に対する思いやりを持つ方が大切だと思うんだ、うん。だから携帯の番号を交換し合うのって大切だなって」
華「すごくいっぱい喋ってますね」
沙織「みぽりん史上最長だよ」
麻子「……もうエッチしたいと素直に言えばいい」
みほ「ま、麻子さん!?何言ってるの?私は別にケイさんの誘いをそういった方面でのことだと捉えてないよ?あくまで戦車道を通じて育んだ友情を……」
ケイ「んー……ミホの言ってることはよくわかんないかなー?もっとシンプルにいこうよ。ミホは私とエッチしてみたい?」
みほ「えっ」
ケイ「どう?」
みほ「……そ、それはですね……」チラ
優花里「うぅ……成人していればお酒に逃げられたのに……ううぅ」グス
みほ「え、エッチしたいというよりかは……その…………なんて言うんでしょう?えー……」チラ
沙織「………………」ジー
華「…………………」ジー
麻子「………………」ジー
みほ「……今は歓迎パーティーのことしか考えてないので……あとで連絡を……」
ケイ「ダーメ!今聞きたい!」
みほ「でも……」
ケイ「んー……じゃあ答えてくれたら、ミホが望むプレイをやってあげるってのはどう?」
みほ「!!」
みほ「それは…………」チラ
沙織・華・麻子「………………」
優花里「西住殿ぉ……」
みほ「っ……」
みほ「わた、しは……歓迎…………ぱ……パーティーのこと………しか……っ」ギリリリ..
ケイ「…………わかったわ。この場では言いづらいのね。だったらノーコメントでオーケーよ」
みほ「あ……」
ケイ「ふふっ、そんなに悲しそうな顔しないでよー」
みほ「は、はい……」
ケイ「もうしょうがないなぁ♪じゃあ特別サービス!宣言通り、ミホがしたいようにやったげるよ」
みほ「い、いいんですか!?」
ケイ「いーよー♪だって、聞かなくても顔見たらわかったからねー」ニコニコ
みほ「ケイさん……!!」
ケイ「それで、どんなプレイがいいの?」
みほ「そうですね!色々ありますけど、例えば…………はっ?」
沙織・華・麻子「………………」
優花里「西住殿ぉ……」
みほ「………………」
みほ(しまった……嬉しさのあまりつい冷静さを失っちゃってた。周りが見えてなかったよ)
ケイ「ミホ?希望をプリーズよ」
みほ「……ええと……その……」
みほ(ここを切り抜けるには……)
みほ「………………これは友達の友達の希望なんですけど…」
麻子「それは無理があるだろう」
沙織「絶対みぽりんじゃん!」
ケイ「友達の希望なんて知らないよー!ミホがしたいっていうことしか受け付けないからね?」
みほ「そ、そうですよね……」
みほ(これ以上誤魔化すとケイさんに見放されちゃう……現時点で優花里さんたちには私の本心がバレてるだろうし……もう答えちゃおう。希望を言ったあとにさりげなく話題を変えれば記憶にも残りにくいだろうし)ウン
ケイ「ミホー?」
みほ「あ、はい。じゃあ痴女プレイでお願いします。それにしてもいい天気ですよね今日は。ここ最近で一番気持ちいい」
ケイ「痴女プレイ?どうするのー?」
みほ「常に迫ってくる感じですね。『コンビニにいるのにいきなりまさぐってくるなんて!私たちのいるエリアまで成人向けコーナーにされちゃう!』とか。でも雲が多いのが気になりますね……明日は雨かな?」
ケイ「ミホはそういうのが好きなんだ?」
みほ「いえ、気分と言いますか……あとはギャップかそのまま個性を伸ばすかどちらにするかですね。ケイさんの華やかさとのギャップを狙うなら、意外と奥手という設定もいいですよね。こっちから迫っても拒んで、しつこく食い下がってなんとか念願叶う。で、いざ始まるとやけに反応が良くて。そんな自分に戸惑ってるという感じで!いい風が吹いてますね……」
麻子「西住さん、だんだん分子が減ってきた。天気の話が1/10くらいになってるぞ」
みほ「そ、そうだね。つい……」
アリサ「……ねえ、あんたたち。そろそろ本題に入りなさいよ。私たちだって暇じゃないんだから」
華「……優花里さん。話が少し変わって来てます。スカートを膝上50センチにする作戦は中断してください」
優花里「えっ!?痴女がいいのでは……」スルスル..
華「時と人と場合によるそうです」
アリサ「ちょっと……」
優花里「そんなぁ…………いつ、そして誰、そしてどのタイミングなのですか西住殿ぉ……」
沙織「ゆかりん!スカートが膝上よりヘソ下に近くなってる!丸見えどころじゃないよぉ!早く直して!」
アリサ「~~~~~っ」ワナワナ
ケイ「ミホ~、結局どうするの?」
みほ「ええと……どうしようかな……」ムム
アリサ「…………ごほん!」
みほ「?」
アリサ「ごほん!ごほん!」
みほ「ぁ……」ハッ
アリサ「…………ふん」
みほ「アリサさん風邪ですか?だったらマスクをした方が……みなさんに風邪がうつったら大変ですので…」
アリサ「あんたらが話を進めないから嫌味で咳き込んだの!風邪じゃないわ!」
みほ「あ、なるほど。仮病だったんですか」
アリサ「嫌な言い方しないで!」
桃「おいぃ!さっきからうるさいぞ!話ができないじゃないか!」
アリサ「わ、悪かったわね……でもこの子が…」チラ
みほ「………………」フゥゥーーーッ..
アリサ「そこ!気配消して無関係装うんじゃないわよ!」
杏「んー、そろそろいい時間だし、真面目な話しよっか。みんな集めてさ」
みほ「わかりました。ということですけど……アリサさん、いいですか?」
アリサ「私が流れ止めてたみたいな言い方やめなさいよ!」
みほ「………………」フゥゥーーーッ..
アリサ「気配!腹立つのよそれ!」
――――――
――――
――
―
みほ「――――というわけです」
ダージリン「裏西住流……初めて聞いたわ」
ローズヒップ「わたくしもですわー!そしてこれから初めて言いますわー!せーのっ!うらにしずみりゅう!!やったー!」ワーイ
アッサム「にわかには信じがたいですわね」
オレンジペコ「はい。でもこれだけのメンバーを集めておいて冗談ということはないでしょうから……」
カチューシャ「事実、ってわけね。ふん!でもこのカチューシャには通用しないわ!」
ノンナ「はい。カチューシャは銀河系で一番強いですから」ニコリ
カチューシャ「でしょ!?知ってたわ!」フフン
ペパロニ「待った!銀河系で一番強いのはドゥーチェっすよ!」
アンチョビ「はあ!?ペパロニ、一体何を」
ペパロニ「今からその証拠を見せるっす!じゃあドゥーチェ、お願いしまっす!」
アンチョビ「いやいや、証拠とかそんなのあるわけないだろ」
カチューシャ「ふぅん、そこのが一番強いってわけ?だったらノンナに格闘技で勝てるのかしら?」
アンチョビ「え!?そ、そんなわけ…」
ペパロニ「当然っすよ!」
アンチョビ「ぅえええ!?」
ペパロニ「むしろ、右手一本で相手してやるっす!」
ノンナ「ほう……それは楽しみですね」フフッ
アンチョビ「あ、あ、あの……わ、私は何も…」
ペパロニ「笑ってられるのも今のうちっす!じゃあ……ドゥーチェお願いします」
アンチョビ「嫌に決まってるだろ!」
ペパロニ「なんでっすか?ドゥーチェなら勝てるっすよ」
アンチョビ「なんなんだその全幅の信頼は!根拠は!」
ペパロニ「根拠……………………あー…………いや、でもだいじょぶっすよ」
アンチョビ「確信もないのに人を殴り合いの舞台に出すな!おいカルパッチョ、なんとか…」チラ
カルパッチョ「た~かちゃん♪」
カエサル「ちょ、やめてよひなちゃ~ん//」
アンチョビ「…………味方、誰もいない」シュン
ペパロニ「じゃあ……健闘を祈るっす。あ、左手使っちゃダメっすよ?レディー……ゴー!」
アンチョビ「え?お、おい」
ノンナ「では……」グリグリグリ(アンチョビのこめかみを握りこぶしでグリグリする)
アンチョビ「あいたたたたた!!」
ケイ「他の高校を制圧するなんて、スケールのおっきい話よね!」
ナオミ「ああ。冗談みたいな話だが……」
アリサ「でも話を聞く限り、相当ヤバいっぽいじゃない。継続と知波単が制圧されたって……シャレになってないわよ」
みほ「………………」
クラーラ「……カチューシャ様のお肌を舐め舐めして過ごしたい(ロシア語)」
みほ「え?」
カチューシャ「の、ノンナ。クラーラはなんて言ったの?」
ノンナ「『こうして私たちを集めたからには、何か策があるのでしょう?みほさん』と言っています」
カチューシャ「そ、そう。クラーラ、日本語で喋りなさいよ!」
クラーラ「はい」
みほ「策は……あります」
クラーラ「カチューシャ様にしばらくおむつで過ごしてもらうという策ですね?(ロシア語)」
カチューシャ「の、ノンナ!」
ノンナ「『その策とはなんですか?』と言っています」
みほ「黒森峰には、裏西住流の家元である私の母と姉がいます。そして生徒たちも裏西住流を学んでいるので、このまま攻め込まれたら一方的にやられちゃいます」
みほ「……となれば、対処法はいたってシンプルです」
優花里「……と、言いますと……」
みほ「…………私たちも裏西住流を使って黒森峰を撃退します」
ザワ..!ザワ..!
ねこにゃー「た、確かにシンプル」
典子「……根性じゃなかったか」クッ
ダージリン「目には目をってわけね。なるほど。ねえ、こんな格言を知ってる?昔…」
オレンジペコ「知ってます。ですので話の続きを聞きましょう」
ダージリン「…………ええ」
みほ「黒森峰の生徒が私の母から裏西住流を学んでいる以上、対等に戦うためにはこちらも裏西住流に対する備えが不可欠。ですのでみなさんも裏西住流を使えるようになってもらいます。ただ……」
杏「ただ?」
みほ「……当然といえば当然ですが、私は母から裏西住流を学びました。それも完全に会得するには至ってません。なので母に比べ、教えられることは限られてきます」
ももがー「それじゃあ普通に不利……」
優花里「いえ!そんなことはありません!」
ももがー「え?」
みほ「ううん、ももがーさんの言う通りで…」
優花里「いえ!そんなことはありません!西住殿の方がすごいですぅ!西住殿だけすごいですぅっ!!」
ペパロニ「んー、なんかあの子とは気が合いそうな気がするっす」
アンチョビ「ヤツもお前も根拠ないからな!おかげでひどい目にあった」
ペパロニ「へー」
アンチョビ「へーじゃない!お前のせいなんだからな!」
みほ「……とにかく、私にできる限りのことをするつもりですので、よろしくお願いします」
パチパチパチパチ
ダージリン「……質問なのだけれど」
杏「なーに?」
ダージリン「私たちは黒森峰に攻め込まれる前提よね?でも黒森峰が攻めてくる時期をどう突き止めるのかしら?いくら戦車道履修者たち全員の危機とはいえ、いつ始まるともしれない戦いを待ち続けることは難しいけれど」
杏「それについてはある情報筋から連絡が来る予定だから問題ないよ」
みほ「それに、継続高校や知波単学園を攻めた時期から見て、それほど先のことではないと思います。だからこそ大変ではあります」
みほ(そう、割と近いうちに黒森峰は動くだろうから、赤星さんがうちと連絡をとってることがバレる危険性は少ないはず。それにもし赤星さんが動けない状況に陥った時でも、情報を得られる手を打ってある)
ダージリン「なるほど。それなら……」カチャカチャ..(紅茶をスプーンでかき混ぜる)
ダージリン「ごく、ごく、ごく……」
ダージリン「ふぅ……」チャッ..
ダージリン「……問題ないわ」キリッ
オレンジペコ「ダージリン様。お紅茶を飲まれる時は言いきってからにした方がいいですよ。相手を不必要に待たせてしまいます」
ダージリン「あら。確かにそれは……」カチャカチャ
ダージリン「ごく、ごく……」
ダージリン「…………ふぅ」
ダージリン「言えてるわね」キリッ
オレンジペコ「言えてるなら繰り返さないでください」ハァ..
杏「さあて、じゃあそういうことだから。みんなよろしくぅ!」
一ヶ月後
【黒森峰女学園】
しほ「…………まほ」
まほ「はい」
しほ「生徒たちの仕上がりはどう?」
まほ「予想以上に飲み込みが早く、戦力として十分ではないかと思います」
しほ「そう……亜美」
亜美「はい」
しほ「あなたのスケジュールは?」
亜美「しほさんに合わせます。私の都合なんてガーッとしてブワーッとして、最終的にパワーボムしてやります」
しほ「ふふふ。ありがとう。ではそろそろ次の学校を…………大洗女子を獲りに行きましょう」
まほ「!」
亜美「ついにですか……しほさんにしては慎重に慎重をミルフィーユしてましたね」
しほ「そういうわけではないのよ。大洗にはみほがいるでしょう?あの子には裏西住流の凄さを骨身にしみるまでわからせてあげたいの。そのためには圧倒的に蹂躙する必要がある。だから生徒たちの鍛錬を優先しただけのこと」
亜美「なるほど」
しほ「それと……もしあの子が私たちの動きを察知していたとしたら、サンダースやアンツィオ、聖グロリアーナにプラウダを巻き込んで迎え撃とうとでも思っているかもしれない」
まほ「…………みほならありえますね」
しほ「戦車道でそうだったように、かつての敵を味方に付けるのが得意なようだからね。そのような脆弱な精神こそが、西住流の強さを信じきれない意志の弱さを示す要因となるのだけれど」
亜美「では、娘さんがそれらの高校とジャジャーンと力を合わせたとしたら……」
しほ「……まとめて叩き潰す……格の違いを見せるためにね」
しほ「それが西住流よ。裏も……表も」フフッ
まほ「……ではこれより本艦の進路を変更し、大洗の学園艦へと向かわせます」
しほ「ふふふ……待っていなさい、みほ」
小梅「………………」
小梅(ついに……大洗に……!)ゴクリ
小梅(早く知らせないと!)
翌日
【大洗女子学園 体育館】
沙織「わ。すごい。お鍋が用意してある!これみぽりんが全部用意したの?」
みほ「うん。昨日黒森峰が大洗に向かってくるってわかったから、本番に向けて鋭気を養うためにどうかなって思ったんだ。西住流特製鍋」
優花里「さすが西住殿ぉ!鍋を思い付くなんてぇ!凡人の発想とは違いますぅ!」
麻子「発明したのならな。まぁしかし……団結も深まるし、いいな」
華「ええ。お鍋を食べればやる気バリバリです!」
沙織「でも言ってくれたら私も手伝ったのに。たくさん必要なんだから作るの大変だったでしょ?」
みほ「うん……でもお母さんたちが原因でこんな事態になったわけで……お詫びも兼ねてるから。あ、それと……練習には参加してなかったんだけど、手を貸してくれるっていう人が来てるんだ」
華「どなたなのですか?」
ザワッ..
沙織「ん?なんかちょっと騒がしいね」
みほ「あ、来たみたい」
麻子「あれは……」
愛里寿「……こんにちは」
優花里「島田殿!?」
みほ「こんにちは愛里寿さん。今日は来てくれてありがとう」
愛里寿「…………うん」
華「愛里寿さんが協力してくれるのですか?」
愛里寿「うん。大洗が危ないって聞いたから」
麻子「しかし……大丈夫なのか?戦車道ならともかく……」
みほ「愛里寿さんは裏島田流の使い手だから」
沙織「島田流にも裏があるんだ」
優花里「はー……初耳ですぅ」
みほ「実はね、黒森峰の内情を教えてくれてた赤星さんの身に何かが起こって連絡つかなくなった時のために、愛里寿さんには潜入捜査をお願いしてたの」
沙織「えっ!?そうだったの!?」
愛里寿「正確に言うと潜入したのは私じゃなくて島田流の関係者だけど」
みほ「それと同時に、大洗での戦いを手伝ってもらえるよう頼んでたんだ」
沙織「でも……協力してくれるのは嬉しいけど、どうして?」
愛里寿「……大洗にはみんなと過ごした楽しい思い出があるから」
みほ「愛里寿さん……」
愛里寿「どうせならお母様も一緒に来て戦ってほしかったんだけど……どうしてもだめって言われて……」
華「何か事情があるのでしょうね……島田流の家元ですから……」
みほ「うん、でも島田流がどうこうというより、愛里寿さんのお母さんは私のお母さんと付き合ってたから表立って協力できないんだと思うよ」
愛里寿「!?」
沙織「そうなの!?」
麻子「手広いな」
沙織「手広いとかそういう話じゃないよ!」
愛里寿「お母様が………西住しほと?」
みほ「うん。私、何度か二人がエッチしてるの見ちゃった」
愛里寿「!!!」
みほ「愛里寿さんのお母さん、意外と積極的だったよ」
愛里寿「…………………………」
みほ「でも上より下の時の方が輝いてたかな?うん」
愛里寿「……………………………………」
沙織「み、みぽりんやめなよ!愛里寿ちゃんショック受けてるから!」
みほ「あ……そ、そうだね。ごめんね、愛里寿さん」
愛里寿「……いい」
沙織「そ、それよりみぽりん特製鍋だよ!周りのテーブルはもう食べてるんだし、私たちも早く食べよう!」
みほ「あ、うん。この鍋は西住流に伝わる秘伝の鍋なんだ」
華「お野菜が多めですね」
みほ「そうなの。これ一つで一日に必要な野菜を半年分とれるんだ」
沙織「半年分!?この鍋だけで!?」
麻子「……それは逆に体に悪いんじゃないか?」
優花里「すごいですぅ!材料は何が入ってるのですか?」
みほ「それはちょっと私もわからないんだ。でも美味しいよ。召し上がれ」ニッコリ
沙織「ま、待って待って!作ったみぽりんがなんでわかんないの!?」
みほ「材料と作り方はフォルムで記憶してるから……名称とかにはこだわってなくて」
華「フォルムですか。それなら安心…」
沙織「できないから!」
麻子「しかし普通にスーパーで食材を買ったんだろう?」
みほ「…………ええと……」
麻子「……違うのか?」
みほ「うん。西住流特製鍋を作る時は、買い物しに家を出た瞬間から薄目なんだ。だからどのお店で買ったのかよくわからないの」
沙織「なんで!?ちゃんと見ようよ!」
みほ「だってフォルムで憶えてるから」
沙織「そこで満足しないで!せめて店に入ってから薄目に…」
華「まあまあ。売っている物で作ったわけですから、問題ありませんよ」
麻子「器がでかいな……だからあれだけ食えるのか」
沙織「うー……色々気になるけど……いい匂いするし、お腹空いてるし……」
みほ「味見はちゃんとしてるから大丈夫だよ。それに野菜だけじゃなくてスープも結構美味しくて色んな効能もあるから」
沙織「効能?」
みほ「うん。暗算できるケタ数が増えたりとか」
沙織「……どの素材からそんなの出てるの?」
みほ「さあ?そもそもなんで美味しくできるのかもわからないから……」
沙織「……………」
愛里寿「……食べないの?」
沙織「あ、ううん。食べるよ。せっかくみぽりんが作ってくれたんだもん」
みほ「沙織さん……ありがとう」
沙織「お礼を言うのは私の方だよー。色々文句みたいなこと言っちゃってごめんね?」
みほ「ううん、大丈夫。なんとも思ってないよ」
沙織「それはそれで問題な気が……いや、なんでもない」
華「ではいただきましょう」
麻子「ああ。いただきます」
優花里「いただきますぅ!」
愛里寿「いただきます」
アズミ「私たちもご馳走になっていいかしら?」
メグミ「隊長のためにフーフーしてあげないと」
ルミ「あーん、は私だからね」
沙織「あ……お姉さんたちは大学選抜の…」
みほ「確か、レレレの…」
アズミ・メグミ・ルミ「ミミミ!」
みほ「そ、そうでした」
愛里寿「……私は裏島田流を使えるけどマスターしてはいない。それに力技は苦手だから彼女たちと一緒に戦う」
アズミ「隊長は絶対守りますから!」
メグミ「指一本触れさせません!」
ルミ「はい、隊長。お肉ですよー。ふー、ふー……どうぞ。あーん……」
アズミ「あっ!?抜け駆けよ!」
メグミ「フーフーもあーんもなんて欲張りよ!」
華「あらあら。愛里寿さん、モテモテですね」
麻子「沙織、絶対妬むなよ。今は劣っていても……………」
沙織「嫌な言い方!しかも最後フォローないのがやだ!」
みほ「愛里寿さんすごい。大人気だ」
優花里「いえ!島田殿が大学生にあそこまでモテるというのは西住殿がすごいからですぅ!」
麻子「無理矢理すぎていっそ清々しいな」
みほ「あはは」
みほ「………………」チラ
ケイ「ほらアリサ。こっちも美味しいから食べて。タカシ一人が男じゃないわ。気を落とさないで」
アリサ「なんでフラれたみたいに言うんですか!」
ナオミ「ははは。もしフラれたら私が受け止めてあげるから安心してぶつかってきなよ」
アリサ「え!?あ、わ、わかってるわよ……///」
ダージリン「こんな格言を知ってる?『料理は愛…』」
オレンジペコ「『料理は愛情』。料理研究家の結城貢先生の格言ですね」
ダージリン「…………それならこれはどうかしら?『料理は、材料や調…』」
オレンジペコ「『料理は、材料や調理技術も大切だけど、心を込めて作らなきゃ、絶対においしい料理なんかできないです』。村上信夫さんですね」
ダージリン「………………ペコ。私の格言はイントロクイズではなくってよ」
オレンジペコ「あ……すみません」
ダージリン「何をそんなに慌てているの?」
オレンジペコ「いえ、そろそろ食べないとなくなってしまうと思ったもので……」
ダージリン「え?」
オレンジペコ「…………」チラ
アッサム「ローズヒップ!レンゲを両手に一つずつ持って食べるのをやめなさい!」パクパク
ローズヒップ「だって二刀流の方が早く食べられますわー!交互!交互ですわー!」ジュルジュルジュー
ダージリン「……格言を言っている場合ではないようね」
オレンジペコ「食べられますか?」
ダージリン「ええ。ごめんなさいねペコ。私が手をつけなければペコも食べられないものね」
オレンジペコ「いえ、そんな…」
ダージリン「……ふふっ、相変わらずいじらしい……とても可愛いわ」
オレンジペコ「っ……///」
アンチョビ「ほう……パスタもいいが鍋も美味いな」
ペパロニ「そうっすね」
カルパッチョ「うちでも今度作りましょうか」
アンチョビ「そうだな」
ペパロニ「また闇鍋するのもいいっすよね」
アンチョビ「嫌だ。前ので懲りただろ?その場のノリでやってエライ目に遭ったじゃないか」
カルパッチョ「ええ。ペパロニさんが家の権利証を入れようとして…」
ペパロニ「それしかなかったんすよー」
アンチョビ「権利証しかない状況なんてあるか!ったく……」
カルパッチョ「でもこのお鍋、本当に美味しいですね」
アンチョビ「ああ。こんな美味いものをご馳走してくれたんだ。今度アンツィオ特製の超DXパスタを食べさせてやりたいな」
ペパロニ「いいっすね~!」
カルパッチョ「この戦いが終わったらみなさんを招待しましょう」
アンチョビ「それいいな!」
カチューシャ「もぐもぐ…………うん、おいしい!ミホーシャったら意外とやるじゃない!あとで褒めてあげようかしら!」
ノンナ「そうですね」
クラーラ「カチューシャ様の小さいお口で私の首筋を吸ってほしいです(ロシア語)」
カチューシャ「?」
ノンナ「『私もとても好きです。故郷を思い出すような、まったく思い出さないような不思議な味ですね』と言っています」
カチューシャ「そう。でも日本語で食レポしなさい」モグモグ
クラーラ「はい」
ノンナ「あ、カチューシャ。お口の周りにスープが付いています」
カチューシャ「え?どこ?」
ノンナ「私が拭きますから、じっとしていてください」フキフキ
ノンナ「はい、取れました」
カチューシャ「ありがと」
ノンナ「いえ」
ノンナ「………………」チラ
クラーラ「?」
クラーラ「っ!」ハッ!
クラーラ(たった今ノンナ様が拭いたばかりなのに、カチューシャ様のお口にスープのぬめりがまだ残っている!?これはまさか……私にも拭く権利を与えてくれた……?)
ノンナ「」コクリ
クラーラ「ありがとうございます。ノンナ様。では、カチューシャ様のお口を拭かせてもらいます。できれば舐めとりたいところですが、ぐっとこらえ、ハンカチで挑みます(ロシア語)」
カチューシャ「??」
ノンナ「『まだスープが付いていますから私が拭きます』と言っています」
カチューシャ「そう?」
クラーラ「」フキフキ
カチューシャ「んみゅ……」
クラーラ(あぁ……なんという幸せ……)ポワー
みほ「………………」
みほ(みんな……西住流特製のよくわからないかたまり類が入った美味しい鍋を食べてくれてる。嬉しい)
みほ(愛里寿さんたちも協力してくれるし……今度の戦い、頑張ろう!)
そして決戦当日――――
【大洗市内】
杏「みんな!もうまもなく黒森峰の学園艦がやってくるよ!準備はいい!?」
オオオオオオ!
杏「……よし。気合十分だね。じゃあ西住ちゃん、詳しい説明よろしく」
みほ「はい」
みほ「…………みなさん、ついにこの時が来ました」
みほ「相手は強いです。でも怖がることはないと思います。みなさんは私が想像した以上に裏西住流を吸収し、強くなりました!」
みほ「決して黒森峰に負けていません!今日は最後まで頑張りましょう!」
オオオオオオ!!
みほ「……では改めて作戦を発表します。私たちは大洗市内に散開し、黒森峰が分散したところを叩きます」
みほ(港に黒森峰の学園艦が着いた瞬間に叩きたい気持ちはあるけど……その場合、おそらくお母さんかお姉ちゃんが出てきて強引に突破される。もしそうなればこっちの前線は崩されて士気はガタ落ちになっちゃう。連合軍だから人数的にはこっちが上回ってるけど、裏西住流の練度では負けてるだろうから、確実に勝てる状況を作った方がいい)
みほ(お母さんは西住流らしく王道で来るはずだから、こっちが下手な仕掛けをしない限り最初は様子見するはず。戦力を散らして待ち構える方がいい)
みほ「そして戦況を見て持ち場を入れ替える、あるいは退却、進軍を指示しますので、各自携帯を肌身離さず持っていてください」
みほ「……裏西住流において相手を倒すことはイコール相手を上回ること。つまり肉体的あるいは精神的に打ちのめすことです」
みほ「ただし、肉体を攻める場合は殴ったり蹴ったりではなく、絞め技や寝技などでギブアップさせるようにしてください。打撃系で落とすのは難しいですし、裏西住流にかなり慣れている人間でないと、その暴力的衝動が性衝動に自動変換されて自分の首を絞めることになりますから」
みほ「精神的に攻める場合は…………いえ、これはもう何度も言った通り、相手の心を奪って屈服させるわけですので、この戦いで恋人をゲットするくらいの気持ちで頑張ってください」
ヴヴヴヴヴ...
みほ「!今、連絡が来ました。どうやら黒森峰が到着したようです」
沙織「つ、ついに始まるんだ……」
華「ですね……」
優花里「決して負けられない戦いが……」
麻子「ああ」
みほ「…………みなさん、今日は必ず勝ちましょう」
みほ「大洗だけでなく、アンツィオ、サンダース、聖グロリアーナ、プラウダを…………いえ、黒森峰が狙う全ての高校を守るために」
ケイ「オーケー!みんなー!気合い入れていくよー!」
ダージリン「私の目には勝利以外見えてないわ」
カチューシャ「カチューシャがいるんだから勝つに決まってるわ!」
アンチョビ「ああ!私たちは負けるつもりはない…じゃなかった絶対勝つ!」
ワアアアアアアアアアア!!!!
みほ「それでは……ちらばり作戦を開始します!!ヒューマン・フォー!」
【戦闘エリア】
黒森峰生徒A「あっ!」
連合軍生徒A「来た!」
黒森峰生徒A「あそこよ!」タタッ!
連合軍生徒A「っ……ここは……」
ケイ「私が行くわ!」
黒森峰生徒A「!」
ケイ「ふふふ……」
みほ『ケイさんの場合はそのナイスバディを全面に押し出した方が恵みや芽生えがあると思います』
みほ『そのキレイな肌を小道具でライトアップすれば、向かうところ敵なしです』
みほ『小道具とは……そうですね……マヨネーズ、練乳、オリーブオイルなどを塗るとか………他には、小さい手ぬぐいで体を隠すけど全然隠せてない、とかですね』
ケイ「………………ふふっ」サッ(セクシーポーズ)
黒森峰生徒A「な……っ!」
黒森峰生徒A(なんて完璧なスタイルなの!?ドキドキしない方が異常じゃないの!)
ケイ「そーしーてー?」
ケイ「♪~~」トロトロ..(マヨネーズを手の平に塗る)
黒森峰生徒A「…………」ゴクリ
ケイ「やぁん、手がベタベタだわ。どうしよ?」
黒森峰生徒A「…………」ゴクリゴクリ!
ケイ「…………舐めちゃおっと」ペロ
黒森峰生徒A「ぐはあっ!」
ケイ「れろ………れろ……」(手の平を思わせぶりにかつドラマティックに舐める)
黒森峰生徒A「ぎゃあああ!」バターン!
ケイ「さあみんな!私に続きなさい!」
連合軍生徒たち「はい!行くわよ!」
黒森峰生徒たち「!!」
連合軍生徒たち「ふーっ」(耳に息を吹きかける)
黒森峰生徒たち「あっ……///」
ケイ「ナイスよ!次は…」
黒森峰生徒B「背後をとったわ!」ザッ!
ケイ「!後ろから来てた!?しまっ…」
黒森峰生徒B「もらったわ!」
ナオミ「」スッ
黒森峰生徒B「えっ」
ナオミ「…………左手を見てごらん?」
黒森峰生徒B「?あ……」キラーン
黒森峰生徒B(いつのまにか薬指に指輪が!もしかしてこの人が……?)チラ
ナオミ「ふふっ」ニコッ
黒森峰生徒B「っ……///」ボフッ
ナオミ「キミを幸せにする。私と結婚しよう」
黒森峰生徒B「は、はいぃいいぃいいん///」バターン!
ナオミ「ふう。間に合った」
ケイ「ありがと、ナオミ」
ナオミ「どういたしまして。さて、指輪を回収っと」
ワァァァ!!
黒森峰生徒たち「……!……!」
連合軍生徒たち「……!……!」
ナオミ「……思ったより手強そうだな」
ケイ「そうね。マヨネーズ足りるかしら?」
ナオミ「バーベキューソースならあるよ?」
ケイ「ワオ!用意周到ね」
黒森峰生徒たち「な、なんなのこいつら!」
連合軍生徒たち「がんがん攻めるわよ!」ワァァ!
黒森峰生徒たち「こんなに強いなんて聞いてないわ!個々の実力では私たちに劣るってしほ様が言ってたのに!」
オレンジペコ「…………今のところ優勢です」
ダージリン「そう。では第二陣といきますか」
オレンジペコ「お願いします」
ダージリン「…………あなたたち」
連合軍生徒たち「はい」
ダージリン「私たちをよく見て」スッ(オレンジペコの腰に手を回し、引き寄せる)
オレンジペコ「あっ……」
ダージリン「………………」スーッ(手を腰に回したまま、反対の手でオレンジペコの太ももに触れ、タイツの上を滑るように撫でる)
オレンジペコ「っ……///」ビクン
ダージリン「ふふっ、どう?ペコ。私の手は」
オレンジペコ「どう、と言われましても……///」
ダージリン「気持ちいい?それとも気持ちよくない?気持ちよくないならすぐに手を放すけれど」ツツーッ..
オレンジペコ「そ、そんな風に言われたら……気持ちよくないなんて言えないじゃ……っ、ないですかぁ……///」
連合軍生徒たち「…………」ゴクリ
ダージリン「じゃあペコは私の手で気持ちよくなっているのね。あら、イケナイ子」
オレンジペコ「っ……///」カァァ..
ダージリン「…………『赤面の表情は、最も特有で、最も人間らしい感情表現である』」
オレンジペコ「だ、ダーウィン、です……///」
連合軍生徒たち「!!!」ピキーン!
ダージリン「……どうかしら?」
連合軍生徒たち「力が……みなぎるようです!」
ダージリン「よかった。では彼女たちの相手をお願いします」
連合軍生徒たち「はい!」タタタッ..
ダージリン「……………」
みほ『裏西住流の全部を学ぶ時間はありません。ですので個人個人の長所に合った技を会得してもらうことにします』
みほ『例えばダージリンさんなら…………格言を聞いた人をパワーアップさせるような技とか』
ダージリン(私のようなタイプは部下を鼓舞して士気を高めるサポート役が向いている……か。ふふふ、みほさんの言う通りかもしれないわね)
オレンジペコ「あ、あの……ダージリン様……そろそろ手を……///」
ダージリン「どうして?気持ちいいのでしょう?」
オレンジペコ「は、はい……でも……その……あまり触られると……も、もっと、ってなっちゃいます///」
ダージリン「もっと?どういう意味かしら?」クス
オレンジペコ「ぅう……意地悪しないでください///」
アンチョビ「ぅおおっ!?」サッ
黒森峰生徒C「…………」チッ
アンチョビ「急に殴りかかってきたぞ!?」
カルパッチョ「というより、押し倒そうという狙いのようです」
黒森峰生徒C「」ダッ!
アンチョビ「また来た!」ワァ!
ペパロニ「させないっすよ!」ガシッ!
黒森峰生徒C「!!」
黒森峰生徒C(ヘッドロックされた!)
ムニ..
黒森峰生徒C「ぁ……」
黒森峰生徒C(この感触は……胸……)
ペパロニ「そらそら!」グイィィ!
黒森峰生徒C(なんて柔らかいの…………もっと…………もっと強くぅ…………)
黒森峰生徒C「」ガクッ
ペパロニ「あれ?失神するほど絞めてないんすけど……」
カルパッチョ「……鼻血を出してますね」
ペパロニ「なんでなんすかね?」
黒森峰生徒D「まだまだああ!!私に続けー!」
黒森峰生徒たち「おーーー!!」
ペパロニ「新手っす!」
アンチョビ「くっ!五人もいるぞ!?」
カルパッチョ「ここは……」チラ
忍「はい!私たちに…」
妙子「任せてください!」
忍「そーれっ、レシーブ」ポーン
典子「トス!」ポーン
あけび「アターーーーック!!」バシィ!
ギュルルルル!
黒森峰生徒たち「!!!!」
ズドーーーン!
黒森峰生徒たち「………………」キュゥゥ..
典子「す、すごい……」
妙子「これが……裏西住流…………」
みほ『バレーにちなんだ技があります。レシーブ、トスでボールに触れた人の性欲や魅力を集約して、それをスパイクで相手にぶつけるんです。当たった相手はもう……蒸れます』
忍「な、なんか技の仕組みを知ってると複雑な気分だけどね//」
あけび「でも……気持ちいい……」
ノンナ「………………」
黒森峰生徒E(まず捕まえる!そしたらスカートを脱がして、次に……)タタッ
ノンナ「シッ!」ヒュッ!
黒森峰生徒E「え」グルン..
黒森峰生徒E「ぐえっ!」ドシン!
黒森峰生徒E(な、なに……今の………突っ込んだら……腕一本で体を流されて……ひっくり返された……)
ノンナ「…………」ザッ(倒れた黒森峰生徒Eをただじっと見下ろす)
黒森峰生徒E「え」
ノンナ「………………」
黒森峰生徒E「あ……あ……」
黒森峰生徒E(なんて冷たい目……)ゾワ..
黒森峰生徒E(怖い……でも…………何故か…………ドキドキする……//)
ノンナ「去りなさいメスブタ」
黒森峰生徒E「え……」
ノンナ「これは命令です」
黒森峰生徒E「は、はい!わかりました!」
ノンナ「………………」
黒森峰生徒E「失礼します!」タタタ..
ノンナ「………………」
みほ『目は口ほどに物を言うって言葉がありますが、この技は視線による誘導です。短期間では視線だけで相手をコントロールするのは無理ですが、ブリザードの異名をもつノンナさんの眼力ならある程度使いこなせると思います。罵倒と合わせて使用してください』
ノンナ(なるほど。これは便利ですね。戦闘態勢に入っていた相手の戦意をこれほどまでに奪えるとは)
カチューシャ「の、ノンナ。大丈夫?」
ノンナ「はい」
カチューシャ「じゃ、じゃあクラーラのところに行ってあげて。敵がわーわーっていっぱい来てるの!」
ノンナ「…………クラーラ」
クラーラ「私は平気ですノンナ様。カチューシャ様の視線を背中に受けていることにより、プトラナ台地の滝のように激しい情動が全身を流れています(ロシア語)」
ノンナ「それは平気と言えるのですか(ロシア語)」
クラーラ「はい……」ハァァ..
カチューシャ「クラーラは何て言ってるの?」
ノンナ「『私は大丈夫ですから心配しないでください』だそうです」
カチューシャ「クラーラ、日本語で強がりなさいよ!」
クラーラ「はっ!」シュバッ
黒森峰生徒F「!!」
クラーラ「っ!」グッ(右足のふくらはぎと太ももで相手の顔を挟む)
黒森峰生徒F「う……ぐ……」
黒森峰生徒F(な、なんて魅力的な足なの……!こんなので挟まれたら……///)フラッ..
ドサッ..
クラーラ「…………」
ノンナ(見事ですクラーラ)
みほ『……うん。やっぱりクラーラさんはすごく足がキレイですね。挟んだり組み変えたり土踏まず同士をぱんぱんするといいと思います』
みほ『………………本当にいい足』ボソッ
みほ『……………………』
みほ『』サッ!パシャ!
みほ『さ、さあ!練習に戻りましょう!』
ノンナ(みほさんが無許可で写メを撮るほどの脚線美は伊達じゃありませんね)
ツチヤ「捕まえた!」ガッシリ!
黒森峰生徒G「っ!?」
ツチヤ「ふふふ……こうして正面から両胸を握って……右胸を下にすると…………」グィ
黒森峰生徒G「あっ!?」
黒森峰生徒G(何もしてないのに……体が勝手に左に傾いた!?)
スズキ「お。成功した。敵対する相手に通用するかはぶっつけ本番だったけど上手くいったね」
みほ『人の胸って、ほとんどハンドルですよね?というわけで、左右の胸を上下させることで相手の体を運転してみよう、というのがこの技です』
ホシノ「西住隊長の言ってる意味はよくわからなかったけど……まぁ成功したからいいよね。貧乳以外はこの技で動かせるから、どんどん乗っていこう」
ナカジマ「ガソリン……つまり精神力が尽きるまで走らせればいいんだよな?」
スズキ「そうだね」
ナカジマ「それじゃあ……行きますか!」
ツチヤ「はっ!ドリフトぉぉおお!」グイイイ!
黒森峰生徒G「うぁああああ!!」
【連合軍 本陣】
みほ「………………」
沙織「ねえねえ、なんかいい感じじゃない?ほら!みんなからメールが来てるけど、いい展開とか優勢とかばっかりだよ!」
みほ「うん、今のところは理想的だね」
華「みなさんの頑張りが素晴らしいです」
麻子「ダージリンさんのいるエリア以外は黒森峰の勢いが強いが、各校の副隊長以上がそれを補って余りあるほど活躍してるな」
優花里「はい!これは勝てそうですねぇ!」
みほ「………………」
みほ(お母さんは本陣で様子見だろうけど、蝶野さんもお姉ちゃんもまだ戦場に出てきてない……私たちを侮ってるなら今のうちに敵の数を減らしたいけど……)
ヒュゥゥゥ..
みほ「?」
みほ(一体何の音?)
ボンッ!
みほ(これは…………花火?上がった場所は……黒森峰の学園艦!?)
みほ(ということは……何か仕掛けてくる?)
【戦闘エリア】
黒森峰生徒たち「っ!合図が……!」
黒森峰生徒H「みんな!アレを使うわよ!」
ケイ「アレ?」
黒森峰生徒H「………………」シュッ..シュッ..
ナオミ(?香水のようなものを振りかけているようだが……)
フワッ..
ケイ「んんー?」クンクン
ナオミ「……やはり香水のようだな。しかし一体何の意味が……」
ケイ「………ねぇナオミ。なんかこの匂い、ちょっと……」
ナオミ「む………なんだこの香りは……」
ナオミ(急に足元がおぼつかなくなったような……浮遊感すら覚える。何かおかしな薬でも使ったのか?いや、彼女たちは自らに振っていたからそれはありえないか)
ケイ「っは……ど、どうなってるのよ……体が……熱くなってきたわ」
ナオミ「隊長、我慢だ。まずは現状を…」
黒森峰生徒Hたち「うおおおおおおおお!!」ダダダダダ!
連合軍生徒たち「きゃあああ!」バタバタバタ..
ナオミ「なに!?突破された!?」
ケイ「急に均衡が崩れたわ!ホワーイ!」
【黒森峰 本陣】
まほ「…………短期間のうちに予想以上に鍛え上げたようだが、それでも善戦の枠を出るほどのものではない」
エリカ「ですが、これほど早い段階で隊長の香りを使うことになるとは……」
まほ「誤解するなエリカ。別に切り札でもないのだからいつ使おうが構わない。むしろ出し惜しみをして無駄な犠牲を払う方が愚かな行為だ」
エリカ「……ということは、私も出発した方がいいですね?」
まほ「ああ、頼む。私はもうしばらくここで指示を出す」
エリカ「では、行ってきます」タタタタ!
まほ「………………」
まほ(さあ、みほ。この状況をどうしのぐ?)
小梅「………………」
小梅(みほさん……)
【連合軍 本陣】
沙織「た、大変!みぽりん聞いて!あ、あのね!こ、このメール!さっき言ってたのと……全然……!」
麻子「落ち着け沙織」
沙織「で、でも!だって!」
みほ「大変って…………まさか」ハッ!
沙織「そうなの!」
みほ「沙織さん、また体重が増え…」
沙織「てない!増えてたとしたらなんで私はそれを知らせたいの!?もう!今はそんなこと話してる場合じゃないでしょ!真面目にやろうよ!まったくみぽりんったら……」ハァ
みほ「………それで?状況は?」
沙織「前線の部隊全部から連絡が来たの。急に敵が強くなって押し込まれ出したって。このままだと少し下がらないと危ないって」
みほ「なるほど……」
華「沙織さん、急に落ち着きましたね。みほさんの言葉が効きましたか?」
沙織「あ……そういえば……みぽりんの言葉に言い返したらちょっと落ち着いたかも。もしかしてみぽりん、焦って混乱してた私が冷静になれるように戦いと関係ない話を……?」
みほ「うん、まぁ、ね。戦闘では冷静さが重要だから。でも本当に体重が増えたかなとも思ってたから聞いたわけで、つまり一石二鳥だね」
沙織「………………」
優花里「そんなさすがな西住殿。一体どういうことなのでしょうか?敵がいきなり成長するなんてありえませんよね?」
みほ「そうだね……何かのきっかけで士気が上がることはあるけど、現時点では特にそれらしい出来事はなかったし」
麻子「では一体何故……」
華「……あら?」クンクン
みほ「どうしたの華さん?」
華「急に街の匂いが変わったものですから」
沙織「え?そう?」
みほ「やっぱり……」
優花里「?西住殿。思い当たる節があるのですか?」
みほ「うん。相手はおそらくお姉ちゃんの体臭を振りかけたんだと思う」
沙織「……………へ?」
麻子「体臭を振りかけた?どういう意味だ?」
みほ「みんなが思い描いてる通りだよ。話を進めるね?つまり…」
沙織「ま、待ってみぽりん!全然思い描けてないよ!教えて!」
みほ「?いたってシンプルな話。お姉ちゃんの体臭を裏西住流の技で抽出して、それを香水として使ったの」
沙織「そんなことできるんだ……」
麻子「どこかの研究所ならともかく……」
優花里「どうしてそのようなことをしたのでしょうか?」
みほ「簡単な話。お姉ちゃんの体臭は嗅いだ相手を虜にしやすいんだ。ワンルームでしばらく一緒に過ごしたら『心の友よー』ってなっちゃうくらい」
優花里「さすが西住殿のお姉さんですねぇ!」
みほ「それだけじゃないよ?影響を受けるのは人類だけじゃないんだ。空気清浄機もお姉ちゃんの周りの空気を吸い込むと、熱っぽくなっちゃう」
沙織「壊れるってこと?」
みほ「うん。でも安心して。ちゃんとしたお店で買えば無料で修理を受けられる保証期間内に壊れると思う。これもお姉ちゃんの優しさの一部」
麻子「西住さん。修理代の話は今は置いといて、続きを頼む」
みほ「あ、うん。でもこのあとお姉ちゃんと戦うかもしれないからみんな覚えておいてほしいんだけど…」
みほ「お姉ちゃんの顔はキレイだからまじまじと見たらアウト。かと言って目を閉じればいいかというとそうじゃない。匂いで存在感を示されてアウト。この時点でツーアウトなんだけど、しまいには肌がツルツルだしほっぺはプニプニだから触れてもアウト。視覚・聴覚・触覚まとめてスリーアウト」
優花里「な、なんと……トリプルプレーとは……」
華「聞けば聞くほどすごい方なのですね…」
みほ「だから今日の戦い、お母さんを除けばお姉ちゃんが一番の難敵だよ」
麻子「……つまり、それほどの強敵である西住さんの姉の匂いを香水として使われている今、こちらはピンチというわけか」
みほ「うん。お姉ちゃんの匂いを身に纏ってるなら、相手の戦闘能力はかなりアップすると思う」
麻子「厄介だな……西住さんの姉の匂いもだが、母の匂いはきっと強力なんだろう?敵はさらなる手を持っていることになる」
みほ「あ、それは無理。裏西住流で匂いを抜き出せるのは自分より力が下の人からだけなの。だからお母さんの匂いは使えない」
麻子「そうなのか。よかった」
沙織「み、みぽりん!みんなから苦戦してるってメールがどんどん来てるよぉ!」
みほ「……大丈夫」ニコリ
沙織「え?」
優花里「さすがです西住殿ぉ!」
麻子「まださすがられることをしていない。早まるな秋山さん」
華「大丈夫とは一体……」
みほ「お母さんとお姉ちゃんが相手ってわかってる以上、この状況は想定してあるんだ。だから……」
バババババババ...
麻子「この音は……」
優花里「わああ!サンダースのヘリコプターですぅ!」
華「ケイさんとナオミさんは戦っていますから、花を生ける角度から推理すると…………操縦しているのはアリサさんですね」ピーン
みほ「うん。盗聴の、ね」
沙織「ヘリでどうするの?風で匂いを吹き飛ばすとか?」
みほ「ううん、アリサさんにはあるモノを散布してもらうんだ」
麻子「そうか……西住さんのお姉さんの匂いをかき消すんだな」
みほ「さすが麻子さん」
優花里「消臭剤でも撒くのですか?」
みほ「似たようなものかな。お姉ちゃんの魅力的すぎる匂いを消滅させる匂いをもつ液体を撒くの」
沙織「そんなことできるんだ?」
みほ「うん。その匂いを見つけるのにすごく苦労したけどね。お姉ちゃんと正反対の匂いじゃなきゃダメだから大変だったよ。運よく見つかってよかった」
華「どのような匂いなのですか?」
みほ「動物園で二十年以上ゴリラの世話を続けてきた飼育員のおばさんのわきの下の固まった汚れの匂い」
沙織「えっ……」
みほ「あ!アリサさんが上空に来た。優花里さん、そこのライトを照らして合図を出してもらえるかな?」
優花里「わかりました!それっ!」チカチカチカ...
ヘリ『…………』サファァァァァァ..
みほ「……よし。ちゃんと撒いてくれてる。もう少し経てばお姉ちゃんの匂いは消えるはず」
沙織「…………今、ヘリから撒いてるのがおばさんの……」
みほ「わきの下の固まった汚れの匂い」
沙織「………………」
沙織(……そのおばさんには何の罪もないけど、そう聞くとなんか……すごく嫌な気分になっちゃう…………そんなの浴びて、肌とか荒れちゃわないかな)ドヨーン
沙織「あ!」ハッ
沙織(メールで知らせてあげないと!大変なことになっちゃう!)
【戦闘エリア】
黒森峰生徒たち「え……?急に力が抜けた……」
連合軍生徒たち「相手の勢いが弱まったわ!盛り返しましょう!」
オオオオオ!!!
アッサム「急に強くなったかと思えば、また元通りに……どのような意図があるのでしょう?まさか罠?」
ダージリン「違うわね。サンダースのヘリがやってきてすぐということは、みほさんが手を打ってくれたのでしょう。少し余裕ができたわ。ペコ、紅茶を」
オレンジペコ「すでに用意ができています」
ダージリン「準備がいいわね、ありがとう」クスッ
オレンジペコ「いえ」
ダージリン「ん……美味しい」フフッ
オレンジペコ「………………?」
オレンジペコ(メールが来ていますね……武部さんから?)
オレンジペコ(ええと………………)
オレンジペコ「!!?」
オレンジペコ(敵が弱体化した理由は、ゴリラを二十年間お世話した飼育員のおば様のわきの下の固まった汚れの匂いの液体を空から撒いたから!?散布されたものが私たちのところまで届いたということは、今淹れた紅茶にも入って………)ゾク
オレンジペコ「……………………」チラ
ダージリン「美味しい紅茶は人生を豊かにするわね」ゴクゴク
オレンジペコ「……………………」
オレンジペコ(ダージリン様……うぅ……なんと不運な……)
ダージリン「どうしたのペコ。せっかくのお紅茶よ。あなたも味わいなさい」
オレンジペコ「えっ!?」
ダージリン「何を驚いているの?一緒に飲みましょう」
オレンジペコ「い、いえ……!その…………ええと……」
ダージリン「?」
オレンジペコ「わ、私は今日お餅を十数個食べてきたもので!お腹がいっぱいなのです」
ダージリン「ただでさえ腹持ちが良いお餅を十数個も?ペコは意外とファンキーなのね」クスッ
オレンジペコ「は、はい。母方の血で……」
ダージリン「ではペコの分も私がいただいてしまうわね」
オレンジペコ(申し訳ありませんダージリン様……知らなければきっと大丈夫ですので)
ローズヒップ「あらー?ダージリン様、お紅茶飲んでますわー!いつものじょーたいですわー!」トテトテ
ダージリン「敵がいる時こそ紅茶を飲むのが聖グロリアーナ流だもの」クス
アッサム「そうでもないですよ」
ローズヒップ「でもお腹だいじょぶですの?ゴリラのわきの下の匂いが空から降ってきてるんですのに」
ダージリン「………………え?」
ローズヒップ「そのお紅茶にもゴリラが入っちゃってますわー!あ!でもでも、それでもあえて飲むダージリン様はゴリラ超えを果たして素敵ですわー!」
オレンジペコ「ろ、ローズヒップさん!違います!ゴリラの飼育員のおば様のわきの下の固まった汚れの匂いを散布したんです!ゴリラ本体のものじゃありません!」
ダージリン「……どちらにせよ、天地がひっくり返るような衝撃の事実なのだけれど」
オレンジペコ「だ、ダージリン様……」
ダージリン「では何かしら?私はゴリラ絡みの飼育員の方の汚れを含んだ紅茶を飲んだ、と?」
ローズヒップ「ダージリン様の言うとーりですわー!」
ダージリン「…………………………」
オレンジペコ「だ、大丈夫ですダージリン様。ほんの、ほんの数パーセント入っただけです。味には変化はありません!」
ダージリン「けれど……」
オレンジペコ「ちょ、ちょっとお待ちくださいっ!」
オレンジペコ(武部さんにメールして、西住さんにフォローをお願いしましょう)ピッ!
オレンジペコ「………………」
オレンジペコ「…………来た!ほらダージリン様!西住さんからのメッセージです!」
ダージリン「………………」
みほ『素性のわからない人のわきの下の固まった汚れの匂いでは不安ですよね。本人の写真を添付します』※画像付き
ダージリン「………………」
アッサム「……そもそもこの『固まった汚れ』というものがなんなのか気になりますね……」
オレンジペコ「アッサム様、それよりも今は画像に注目です。あ!ダージリン様、このおば様みたいです!気の優しそうな人ですね。この方のなら紅茶にちょっとお邪魔してもそれほど問題は……」
ダージリン「…………いいえ、むしろ今までシルエットだった想像にリアリティが出てしまったわ……うっ、急に苦みが口の中に広がって……」フラッ..
アッサム「ダージリン!?」
オレンジペコ「危ない!」ガシッ!
ダージリン「……ありがとう、ペコ……」
ローズヒップ「ダージリン様!体調が悪いのでしたらお口直しにわたくしが持っていた紅茶をどうぞですわー!」
ダージリン「それもゴリラのよ。いらないわ」
オレンジペコ「ダージリン様……」
ダージリン「…………ごめんなさい。私はもうダメだわ。力が出ないもの。あとは……任せ…………」ガクッ
オレンジペコ「ダージリン様ーーー!!!」
【連合軍 本陣】
沙織「み、みぽりん!ダージリンさんが気絶しちゃったって!どうする!?誰かフォローに行った方がいいのかな!?」
みほ「……そうだね。ウサギさんチームをすぐ背後まで進行させて待機するように伝えてください」
沙織「わかった」
華「みほさん、現時点での戦況をどう見ます?」
みほ「……互角に戦えてると思う。予想ではもう少し押し込まれると思ってたんだけど……ただ……」
麻子「不安材料があるのか?」
みほ「お母さんとお姉ちゃんが重役出勤なのはわかるんだけど、蝶野さんとエリ……逸見さんが戦場に出てこないのが気になるかな?」
優花里「こちらの動きを窺ってから動くつもりなのでしょうか?」
みほ「うん……だから単独で隠密行動の可能性も考慮して大洗のメンバーをここの後方に配置したんだけど……前線に送った方がいいのかもしれない」
沙織「み、みぽりん!大変!」
みほ「!どうしたの?」
沙織「ウサギさんチームが逸見さんの襲撃を受けたって!」
みほ「!!」
【戦闘エリア】
エリカ「かかれ!!」
黒森峰生徒たち「おおおおお!!」ダダダダ!
桂利奈「ひゃああ!?横から急にいっぱい来たよぉー!!」
あや「ど、どうして?!ネットで調べてみよ…」
あゆみ「出てないから!」
梓「お、落ち着いてみんな!ちゃんと全員でフォーメーションを組まないと!」
紗希「………………いない」
梓「えっ!?い、いないって誰が!?」
紗希「…………………………蝶々」
優季「蝶々はいなくていいよぉ~!」
梓「っ……!ま、まずは冷静に!自分にできることをしよう!」
桂利奈「あ、あいーー!!」
梓「西住隊長から教えてもらったあの技だよ!みんな!」
あや「う、うん!」
みほ『ウサギさんチームのみんなに伝授するのは、【鉄壁スカート】です。きわどく足を開いたりスカートがめくれてるけれど決して下着は見えないようにする技』
みほ『風向き、相手の視線などを察知しなければダメ。少しでも油断すると見えちゃって台無しになる。そしたら誰もが興ざめ状態。ショーウィンドウとかに映らないよう気を付けて』
みほ『全員で完璧に決めれば相手は手出しできないと思う。ただただ妄想して自滅する。攻めより守りの技だけど、ウサギさんチームのみんななら出来るから頑張って』ニッコリ
梓「いくよっ!絶対見せないようにね!せーのっ!」
あや「っ!」バッ!
桂利奈「っ!」ヒラーン..
あゆみ「……っ」ピラン
優季「っ!」ファサ..
紗希「………………」
梓(みんな完璧!あとは私だけ!くらえっ!足をクロスさせる体育座り!!)ジャァアアアン!
黒森峰生徒たち「っ!?」
黒森峰生徒たち(な、な、なんなのこの子たち!あんなに短いスカートなのに大胆なポーズをとって!人を挑発する尻軽なの!?)
黒森峰生徒たち「…………いや、違うわ!」ハッ!
梓・桂利奈・優季・あゆみ・あや・紗希「」スーン
黒森峰生徒たち(誰一人としてパンツが見えない!こうして首を伸ばしても!街頭ミラーを駆使しても!)
黒森峰生徒たち(うぅ……見えないけど視線が反らせない!いつかミスをするのではないかと期待が止まらないわ!動きを封じられた……!)クッ!
梓「………………」
梓(やった……!相手を抑えられた!西住隊長の指示通り、みんなの配置を南斗六星と同じにしたおかげかも!)
エリカ「………………」ザッ..ザッ..ザッ..
梓「!?」
梓(スカートに気を引かれないで歩いてくる!この人……私たちの技が効いてない!?)
エリカ「っ……なかなか厄介ね」
梓(……いや、大丈夫。ちょっとは効果あるみたい)
エリカ「…………でも、甘い」
梓「!」
エリカ「……べ、別にあんたたちのパンツが見たいわけじゃないんだからね!」
梓(?なんなの急に)
エリカ「べ、別に今のは本心じゃないし。べ、別に太ももキレイだなんて思ってないんからねっ!」
梓「??」
エリカ「べ、別に……べ、別にって言いたいからべ、別にって言ったわけじゃないんだからね!」
エリカ「でも…………」
エリカ「………………好き」
梓「っぐ……!?」ドクン!
梓(な、にこれ……!体が……急に熱く…!!)
エリカ「ふん!」ツカツカツカ
梓「あ……」
エリカ「…………ほら」バサッ!(梓のスカートをめくる)
梓「っ……///」
桂利奈「ああっ!?」
梓(【鉄壁スカート】が破られた!?って、それは技名としての意味で、実際物体的にはスカートは破られてなくてめくられたが正しいけど!)
黒森峰生徒I「あ……なに?体が動く……視線も元に戻ったわ」
エリカ「作戦通り、蹂躙なさい」
黒森峰生徒たち「は、はい!」
黒森峰生徒J「さすがエリカさんね」
黒森峰生徒K「うん。『べ、別に』と『からね』を言うほどパワーが溜まって、デレた時に一気に発射されるという【ベベツンデレ砲】。味方でよかったわ」ホッ
桂利奈「や、やばい!!あやちゃん!」
あや「う、うん!任せて!」
みほ『大野さんには道具に精神を宿す技を身に付けてもらうね。メガネを自分の体だと思い込むの。そしてレンズを舐めたり、指でベタベタ触られたら変な気分になっちゃう。その名も【眼鏡がからだですよ!】』
あや「は、恥ずかしいけど……優季ちゃん、お願い」
優季「じゃあ……レンズ触るね?」ピタ
あや「ひゃんっ……///」ビクン!
優季「あやちゃん可愛い♪あ、私、服着てる子とするの好きだから……これ」サッ
あや「あっ……レンズクリーナー……」
優季「右のレンズにかけちゃうね」パサ
あや「んっ……///」
優季「じゃあ……いくね?」ペタ
あや「ああっ……//」
黒森峰生徒I「うぐ……なんて倒錯的な……ダメだわ……」ガクッ
あゆみ「やった!」
梓「次はあゆみよ!」
あゆみ「うん!」
みほ『山郷さんは親しみやすいから友達多いよね?なら……【友達だと思ってたのに変な雰囲気になっちゃってる、今】っていう技を教えるね』
あゆみ(いきなり腕組みで相手を意識させる……だよね。理想は縁日で浴衣姿で、って言ってたけど、それは無理だからとにかく練習通りやろう)ザッ
黒森峰生徒J「く、来るか!?」
あゆみ(左腕がガラ空き!もらったよ!)ザッ
エリカ「下がりなさい」
黒森峰生徒J「は、はい」ススッ
あゆみ「!?」
あゆみ(ターゲットが逃げちゃった……だったらこの人に狙いを変えよう。腕を組みにいく!)
エリカ「べ、別にあんたが好きだから割り込んだわけじゃないんだからねっ!でも……」
エリカ「……本当は大好き//」プイッ
あゆみ「きゃああ!!」ビリビリビリ!
あゆみ(体が痺れる!)ドサッ!
梓「あゆみ!!」
あや「えっ!?」
桂利奈「やられたの!?」
エリカ「ふん、ちょろいもんよ」ニヤリ
梓「つ、強い……」
エリカ「当然よ。私は絶対に負けないつもりなんだから」
エリカ(そう、私は……――――)
~~~~~~~~~~~~~~~
まほ「なに?エリカは私のために尽くすことが最上の喜びであり、さらに私の作り上げた黒森峰を来年以降、王者として君臨させるために必死で頑張るつもりであり、それもこれも私のことが好きだからであり、それは出会った時の衝撃と私のふとした時に見せる優しさと戦車道での強さ、そして意外にお茶目なところであり、その想いを遂げるためにエリカは裏西住流を完璧に会得する…………そう言ったのか?」
エリカ「はい。一息で全部言ってくださってありがとうございます」ペコリ
まほ「抜けはなかったか?」
エリカ「はい。順番は多少前後しておりましたが」
まほ「……まだまだ私も青いな」
エリカ「そんなことはありません!透き通るような青さです!」
まほ「リゾート地の海のやつか。それならいい」
エリカ「はい!」
まほ「それで……結局何の用なんだ?」
エリカ「【ベベツンデレ砲】の威力がいまいちでして……どのようにすればよいのかをお聞きしたいんです」
まほ「ふむ……では私が手本を見せよう」
エリカ「ありがとうございます!」
まほ「いくぞ。まずはスピード重視版だ」
まほ「………………」
まほ「べ、別に……べ、別にって言いたいからベ、別にって言ったわけじゃなんだからねっ!ホントなんだからねっ!」
エリカ(なっ!?一気に五点を稼いだ……!)
まほ「でも…………好き///」プイッ!
エリカ「ごふぅっ!?」ビリビリビリ!
エリカ(な、なんて威力!いくら私が隊長のことを好きだからって、こんな……)
まほ「いいか?会話の中に『べ、別に』と『からねっ』を自然と入れるテクニックも大事だが、エリカに一番足りないのは顔の赤さだ」
エリカ「赤さ……」
まほ「そう。顔を赤くして目を反らすことでダメージはアップする。時折チラ見するのもいい」
エリカ「……しかし、思うように顔を赤くできないんです……どうすればいいのでしょうか?」
まほ「そうか……裏西住流の技をもってすれば自由自在に体を赤くできるが、普通は難しいか」フム
エリカ「え?自由自在にできるのですか?」
まほ「ああ。例えば……こんなこともできる」
まほ「////」
エリカ「!!?」
エリカ(隊長のほっぺに……パンターF型の絵が!顔の赤さで描いたの!?)
まほ「キャラ弁ならぬキャラ体(たい)というやつだな。喋らずにコミュニケーションをとることもできて便利だ」
エリカ「な、なるほど!お見事です!」
まほ「他のテクニックとしては、そうだな…………エリカ、こっちに来い」
エリカ「え?」
まほ「私の胸に耳を当ててみろ」
エリカ「ええっ!?」
まほ「ほら」
エリカ「い、いいんですか?そんな大胆なこと……まだ明るいですけど……」
まほ「空も時間も関係ない。来い」
エリカ「で、では……失礼します」ピト
トクン..トクン..
エリカ(柔かくて温かい感触……隊長の心臓の音が聞こえる……///)
まほ「では行くぞ」
エリカ(行く?)
まほ「………………」
ト.トクン..ト.トクン..
エリカ(え……心音のリズムが変わった?あっ!しかもこれは……)
ベ.ベツニ..ベ.ベツニ..
エリカ(!!『べ、別に』って聞こえたわ!)
まほ「わかったか?私が【ベベツンデレ砲】を使う時、心音でも『べ、別に』を言っている。だからダメージが増すんだ」
エリカ「そんなことが……」
まほ「裏西住流では七五三のどれかあたりで教わる技だ。【ベベツンデレ砲】以外にも使える。例えば……」
エリカ「?」
トットットー トットット トックトトックントー
エリカ(これは……YMCのライディーン!?心音で音楽を奏でるなんて!)
まほ「どうだ?士気があがるだろう?」
エリカ「は、はい……ライディーンはどうしたって上がります」
まほ「他にもキル・ビルのテーマも有効だ。新・仁義なき戦いと言った方がわかりやすいか」
エリカ「なるほど……しかしその……心音でドレミをしてしまうというのはすごいのですが……健康面に影響とかはないのですか?」
まほ「ない」
エリカ「ですが、心臓に負担がかかると思うんです」
まほ「ない」
エリカ「そう言われますが、無理矢理心臓のリズムを変えるなんて絶対体に悪いですよ隊長。私は隊長には長生きしてほしくて……」
まほ「うるさいうるさいうるさい!」
エリカ「っ!」ビクン!
まほ「…………でも、好き//」
エリカ「ぐはあっ!?」ビリビリビリ!
エリカ(これは【ベベツンデレ砲】!?)
まほ「今のは特殊なテクニックだ。『うるさいうるさいうるさい』でも【ベベツンデレ砲】を強化できる。他にも色々な隠れワードがあるから是非探してみてくれ」
エリカ「ゲーム記事みたいな言い方ですね」
エリカ(でも……ゲーム記事みたいなことを言う隊長も素敵だわ///)
~~~~~~~~~~~~~~~
エリカ「………………」
エリカ(黒森峰を王者にするため、そして隊長を勝利に導くため…………隊長とこれからも共に過ごすために……私は負けられない!)
エリカ(あの日から私は……少しでも心音を操れるように血のにじむような努力をしたわ。それはまさにくぎゅう…じゃなかった苦行の日々だった)
エリカ(そんな私が……)ジロリ
桂利奈・あや・梓・優季「ひっ」
紗希「……………………」
エリカ「あんたらなんかに負けるわけないでしょ!!」カッ!
桂利奈「ど、どうしよう!?」
梓「そうだ。メガネを舐めれば……」
あや「ダメ!あんまりされちゃうと腰が抜けて立てなくなっちゃうもん!」
優季「じゃあどうするのぉ~!?」
エリカ「トドメよ!」
エリカ「…………べ、別に…べ、別にべ、別にって何度もべ、別にを繰り返して言ってるわけないんだからねって言ってたけど、それはそれとして改名しようかなと思う。ベベツニ・ベベツニ・ベベツニーっていう名前に。海外の人っぽくていいからねっ!…………これで九点!」
梓「なんか意味わかんないこと言ってる!」
桂利奈「怖いこのひと!」
エリカ「…………でも好き///」
梓・桂利奈・優季・あゆみ・あや「きゃあああああ!!!」バタバタバタ..
梓(もうダメ……立てない……)
紗希「………………」スッ
桂利奈(紗希ちゃん……!?)
優季「あっ、そういえば……紗希の技って……!」
あや「黙っている時間が長ければ長いほど……」
桂利奈「喋った時の言葉がすっごく強くなる!」
梓「西住隊長が言ってた技の名前は【言霊紗希(ことだまさき)】だったっけ?もしかしたら逆転が狙えるかも!」
紗希「………………」
エリカ「……何よその目は。まだ勝つ気でいるわけ?」フン
紗希「………………」
梓・桂利奈・優季・あや(頑張って!)
紗希「」スゥ..
エリカ「………………」
紗希「………………抱いて」
エリカ「!!」ドクンッ!
梓(やった!決まった!)
エリカ「………………」
紗希「…………………」
エリカ「…………これが」
紗希「…………………」
エリカ「一体なんだと言うの?」
梓・桂利奈・優季・あや「!?」
エリカ「確かに少しドキッとしたわ。でもこの程度、何の問題もないわ」
紗希「………………」
桂利奈「ど、どうして……」
あゆみ「…………っ」ムクリ
梓「あ、あゆみ?やられたんだから無理しないで」
あゆみ「大丈夫。それより……紗希の技が効かなかった理由、わかった」
梓「え?」
あゆみ「ちょっと前に…………蝶々、って言ってたでしょ?黙ってる時間が……短かったから、威力が下がった……」
優季「!!」
あや「そういえば言ってた!意味もなく蝶々って!」
桂利奈「全部蝶々のせいだー!!」
紗希「………………」
エリカ「べ、別にあんたの体になんか全然興味ないんだからねっ!」
桂利奈「!逃げっ…」
エリカ「………………嘘。ホントはいっぱい知りたい///」
紗希「!!」ビリビリ..
紗希「………………」フラッ..
紗希「」バターン!!
梓「ああ……っ!直立不動のまま倒れた!」
優季「受け身一つとらないなんて……」
あや「紗希ちゃんらしい自然体!」
エリカ「落ち込むことはないわ。今からあんたたちにもトドメをさしてあげるから」フフッ..
あや「……うぅ……」
梓(西住隊長……私たちはもうダメです。すみません……)
エリカ「さあて、どんな風にツンしてやろうかしら」フフフ..
??「そうはさせんぞ!」
エリカ「ん?」
桃「」ザッ
エリカ「あんたは……片眼鏡で黒髪の、大洗の制服を着た女子の!」
桃「貴様!私を忘れてるんだな!?見た目を言ってるだけじゃないか!」
杏「まぁまぁ、落ち着きなよかぁしま。怒んない怒んない」
柚子「そうだよ桃ちゃん。地球上の生命の数を思えば、桃ちゃんの存在なんてちっぽけだよ」
桃「それは正しいがそんなこと言うな!人類全体というくくりで表現してくれ!」
梓「会長……副会長……助けに来てくれたんですか……」
優季「広報も……」
桃「役職は間違っていないがその呼ばれ方は気に入らん!」ムゥ
杏「遅れてごめんねぇ?西住ちゃんから助っ人頼まれたんだけどさー」
柚子「連絡があった時点でウサギさんチームが攻撃を受けてたから……」
桃「とにかくここは私たちに任せて一旦退け!」
あや「は、はい!みんな!」
梓「うん!あゆみちゃん、私に捕まって」
あゆみ「あ、ありがとう」グググ..
優季「紗希は私が連れていく」
桂利奈「手伝う!」
あや「私も!」
エリカ「ちょっとちょっと。そう簡単に私が逃がすと思っ…」
杏「小山」
柚子「はい」スルッ..(制服を脱いで下に着込んでいた水着姿になる)
エリカ「!あんた……こんなところで水着になるなんて正気?」
柚子「っ……しょ、しょうがないじゃない//」
柚子(私だってこんな格好……///)
みほ『小山先輩には【どこでもビキニ~白バージョン~】を伝授します。ケイさん同様、スタイル抜群の小山先輩による体見せつけ行為で相手の視線を奪います。触らせても良し、撮らせても良し。生地の薄さを囁けばダメージも狙えるので柔軟な戦い方ができます』
みほ『ただこの技の欠点として、場所やシチュエーションが変わる度に着替えてもらう必要があります。例えば、公園用の白ビキニ、ワンルーム用の白ビキニ、遅刻した時の白ビキニ、という具合に』
みほ『敵の前でも着替えられるよう、裏西住流の簡易更衣室を渡しておきますね。ただし、この更衣室は40秒経つと自動的に布が下がって丸見えになるので注意してください。え?そうならないようにできないか、ですか?それは無理です』
柚子(恥ずかしいけど……ウサギさんチームのみんなを助けるために、時間を稼がないと!)
エリカ「……ちっ、強引に視線を奪われるわね……でも……」サッ
黒森峰生徒たち「」ザッ
柚子「!」
エリカ「この子たち全員を止められるかしら?」
柚子「…………」
杏「ま、やってみればわかるんじゃないかなー?」
桃「会長のおっしゃる通りだ。わかったかこのド腐れ高校生が!」
エリカ「このっ……口の悪い女ね!全員かかれっ!」
【連合軍 本陣】
みほ「…………どう?ウサギさんチームは」
沙織「全員無事に退却したみたいだけど……結構ダメージあるみたいでもう戦えないって」
みほ「そう……」
みほ(無事なのはよかったけど……そうなるとダージリンさんたちのフォローをどうするか?)
みほ(逸見さんを抑えないとダージリンさんたちが囲まれる。となると……)
♪~
みほ「!」
みほ(私の携帯…………アリサさんから?)
みほ「もしもし。どうしました?」
アリサ『ヘリで上空から戦場を確認してたんだけど、連合軍本陣の背後に部隊が接近してるわ!』
みほ「背後!?そんなはずは……黒森峰の学園艦が到着する前から警戒してたのに……」ハッ!
みほ「まさか……」
【連合軍本陣後方】
エルヴィン「何故だ!何故突然敵が現れる!」
左衛門佐「ここは桶狭間ではないぞ!」
カエサル「どういうカラクリだこれは!まさかおりょう……」
おりょう「だーかーら!私はスパイではないぜよ!」
亜美「うっふふふ。たった四人で私を止めようなんて、スウィーーーーーーーート!」ポタポタ..
黒森峰生徒たち「ふふふ」ポタポタ..
エルヴィン「しかも相手は蝶野亜美……強敵中の強敵ではないか」
左衛門佐「……何故全身ズブ濡れなんだ?」
カエサル「…………まさか」
おりょう「泳いできた、ぜよ?」
亜美「サイバーダム!よくわかったわね!そう、ある程度大洗に接近した時に黒森峰の学園艦から海へ飛び込み、ザパン、ザパッ、プハァ、パシャアッて来たのよ!」
左衛門佐「それは想定外……」
おりょう「前代未聞ぜよ」
カエサル「海から学園艦に乗り込むなんて人間業じゃないぞ……」
亜美「……って、のんびりしてたらシュシュッと参上した意味がないわね。ササーッとあなたたちを倒して、グランドフィナーレをエンジョイするわ」ギラリ
エルヴィン「っ……すごい迫力だ」
左衛門佐「蝶野亜美は格闘系との話だ。油断するとねじ伏せられる」
おりょう「気を抜けないぜよ」
カエサル「全力で行くぞ。みんな、準備はいいか?」
エルヴィン・左衛門佐・おりょう「」コクリ
みほ『カバさんチームのみなさんは衣装が特徴的ですので【意味深秘話ヒストリア】という技を教えます。マントや眼帯、刀の柄などに意味深な言葉を書きます。それをさりげなく見せて相手を惑わせてください』
亜美「さあ……クッキングアミといきますか。それっ!」ダッ!
カエサル「させるか!はあっ!」バサッ!
マントの裏地『太ももの付け根にばんそうこう』
亜美「!」
亜美(太ももの付け根ですって!?それはもしかしてキスマークを隠すため?あるいは……)
左衛門佐「せいっ!」ブンッ!
刀『音楽室は防音がばっちりだから……ね?』
亜美「!!」
亜美(スクールガールズたちが声を出す状況なんて一つしかない……行為が終わったあと、叫び過ぎたために声がカッスカスな二つの影はホームタウンを行く……)ゴクリ
エルヴィン「もひとつ!」ガバッ!
軍服の裏地『日焼けしていない部分の方が熱く……』
亜美「!!!」
亜美(それはつまり……アパレル業界への反抗!衣服を脱ぎ捨て、日焼けの黒さによって際立ったホワイトニングをレッドになるまで…………)
おりょう「くらうぜよっ!!」バサッ!
紋付羽織『品名:PC部品』
亜美「!!!!」グラッ..
亜美(絶対アダルト商品!それを使って何をするの!?)
カエサル「ふらついたぞ!まだ意味深ワードは残ってる!全部ぶつければ勝て…」
亜美「……なんてね」ニヤリ
カエサル「!?」
亜美「クラウドファンディング!」グンッ!(地面にあぐらをかく)
おりょう「?何故座っ…」ピキ..
おりょう「あ、あ……体が勝手に動く……!?」フラフラ..
左衛門佐「うっ!?私も……」フラフラ..
亜美「カモナアミハウス!」
おりょう・左衛門佐「あ……」ポテ..(それぞれ亜美の膝に頭を乗せ寝転がる)
亜美「そーれっ!」ズポ..
おりょう(あっ……!耳の中に指を……//)
左衛門佐(こそばゆい……っ……//)ブルッ..
カエサル「左衛門ズァァ!」
エルヴィン「おりょう!お前はどちらかといえば竜馬に膝枕する側の人間だろう!立て!立つんだ!」
黒森峰生徒たち「はああ!」ダキッ!
エルヴィン「ぬっ!?しまった!捕まった!」
黒森峰生徒たち「ふっ……意外とキレイな肌ね」サワサワ..
エルヴィン「や、やめろっ……///」
黒森峰生徒たち「あらあら。金髪なのに意外とウブで可愛いわね」
エルヴィン「う……るさいっ!」バッ!
軍服の襟の裏『穴埋めドリル』
黒森峰生徒たち「あっ……なんて想像力をかきたてる言葉を……///」ビクン!
エルヴィン「今だ!」サッ!
黒森峰生徒たち「しまった!」
カエサル「大丈夫かエルヴィン!」
エルヴィン「……ああ。なんとかな。おりょうと左衛門佐は?」
カエサル「…………見ろ」
エルヴィン「?」チラ
おりょう「亜美さぁん……お嫁さんにしてぇ///」スリスリ
左衛門佐「私が先に亜美さんのお膝にのったんだもん。私がお嫁さんなのぉ」ゴロニャーゴ
エルヴィン「な、なんと……完全にキャラを忘れている…………おりょう、ぜよはどこにいったのだ」
カエサル「ああ。左衛門佐に至っては六文銭ではなく『ろくなもんじゃありゃあせん』になっている」
エルヴィン「………………」
カエサル「………………なっていた」
エルヴィン「過去形に変えても一緒だ」
カエサル「歴史は変えられないからこそロマンがある、か」
エルヴィン「ポジティブに捉えたな」
亜美「撃墜完了、ってね。あとはあなたたちタッグだけよ」フフン
エルヴィン「…………」
エルヴィン(この状況……どうすればいいんだ……!)
【連合軍 本陣】
みほ「蝶野さんが……!」
みほ(まさか泳いでくるなんて……さすがに想定外)
沙織「みぽりんどうするの!?あっちこっちからピンチだってメールが!」
華「わたくしたちも動いた方がいいのでしょうか?」
麻子「戦況は不利になりつつあるぞ」
優花里「西住殿……」
みほ「……大丈夫。打つ手はあるから。電話をお願いします!」
沙織「わ、私はアンツィオの人たちだったよね!」
華「わたくしは聖グロリアーナのみなさんですね」
優花里「ケイさんたちに電話しますぅ!」
麻子「プラウダにかける」
みほ「……………………」
みほ(ここが一つの勝負所だ)
みほ(お母さん、お姉ちゃんが出てくるまでにどれだけ戦力を残せるか……)
沙織「みぽりん!みんな繋がったよ!」
みほ「!」
みほ(よし!)
【戦闘エリア】
ローズヒップ「おほほほほ!」
黒森峰生徒L「っ……!」ドン!
ローズヒップ「ごめんあそばせ!おほほほほ!」
黒森峰生徒L(な……ぶつかっておいてなんなのよあの態度!)
黒森峰生徒L(……なのに……どうして私、こんなにも気になるの?もしかして私……あの子のこと……///)
オレンジペコ「ローズヒップさん……」
オレンジペコ(走りながらぶつかった相手が尻餅をついた時、振り返りつつ優しくしないことでフラグを立てるという技……加減が難しそうですけど上手に使いこなしてます……意識せずにやっている可能性はありますが)
アッサム「はあっ!」ブンッ!
黒森峰生徒M「むぐぅ!?」
オレンジペコ(……そしてアッサム様)
オレンジペコ(黒タイツを相手の顔に巻き付けてダメージを与える技……動く相手に巻くのはかなりの難易度のはず。でもアッサム様は流れるようにスムーズにこなされている。経験者かと思われるほどに)
オレンジペコ(……とお二人の活躍のおかげでなんとか持ちこたえてますけど……ダージリン様の格言の効果も切れた今、優位性は完全に失われてしまった)
オレンジペコ(援軍が来るまでは現状維持とのことですが……そこまで耐えられるかどうか)チラ
ダージリン「あぁ……ぁあ……ゴリラ……ゴリラが来る…………ドアチャイムも鳴らさずに…………あ、ノックはしてくれるのね……でも強く叩き過ぎよ」ウーンウーン..
オレンジペコ「ダージリン様……」
オレンジペコ(ずっとうなされて……なんて不憫な。できることなら私が代わりになりたいですけど現実的に無理なのでせめてこうして膝枕をします)
黒森峰生徒たち「あそこにいたわ!」
オレンジペコ「!!」
黒森峰生徒たち「ダージリンとオレンジペコよ!あの二人を倒せばもはやこの場の勝利は確実!」タタタ
オレンジペコ(っ……どうすれば……)
黒森峰生徒N「ま、待って!」
黒森峰生徒たち「?なによ」
黒森峰生徒N「あれを見て!」
黒森峰生徒たち「え………………あっ!?」
ケイ・ナオミ「」バァーン!
黒森峰生徒たち「やつらはサンダースの……」
オレンジペコ「!!」
ケイ「ヘーイ!助けに来たよー!」
オレンジペコ(待ちに待った援軍が!)
黒森峰生徒N「ぁ……あ……」ガタガタ
黒森峰生徒たち「N?どうしたの?」
黒森峰生徒N「む、胸……サンダースの隊長の胸……を……」
黒森峰生徒たち「!!!」
ケイ「」ボイーン!
黒森峰生徒たち「制服のシャツをはだけさせて……な、中に着てるのはビキニ!?豊満な胸を強調してるのもすごいけど…………さらに……胸の上に…………」
黒森峰生徒N「プリンがのってる!!」
ケイ「イエース!ぷっるぷるだよー♪」ユサユサ
黒森峰生徒たち「………………」ゴクリ
ナオミ(……隊長の隊長による、ハリのある胸の上のプリン。体が揺れる度にプリンも揺れる。いや、小気味よくスライドしている。少しのズレで落ちてしまうだろうことが容易に想像できるほどに……)
ナオミ(そしてその想像はプリンだけにとどまらない。プリンが落ちれば、胸の肝心な部分を隠しているビキニもズレ落ち、プリンがポトンでポロリがポン!という期待と連動する……らしい)
黒森峰生徒N「…………」ハラハラドキドキ
ナオミ(彼女たちがそうやって夢中になっているうちに……)
ナオミ(一気に近付き……)ダッ!
ナオミ(靴を脱がし!)グイッ
ナオミ(用意していたガラスのスリッパを履かせ!)スポッ
黒森峰生徒N「え」
ナオミ「…………このガラスの靴にピッタリ合う。キミこそ私が探し求めていたシンデレラさ」ニッコリ
黒森峰生徒N「あ……っ……はい……///」ポーッ
ナオミ(よし、落ちた。それも当然か。女子なら一度は思い描くであろうお姫様願望を叶える夢のシチュエーションだからな)
ナオミ(…………しかし……)
みほ『――――と、西住流特製のガラスの靴を履かせて口説けば、ひょいっと落とせると思います』
ナオミ『……どう見てもスリッパじゃないか。これをガラスの靴とするのは無理があるのではないかな?』
みほ『そんなスリッパをナオミさんが靴だと思い込むところからこの技は始まります』
ナオミ『いや、そう言うが…』
みほ『以上です。パンツァーフォー!』
ナオミ『あ…』
ナオミ「………………」
ナオミ(言いたいことはあったが、結局何も言えずじまい。決め台詞を使われてしまったら終わりだ。そのあとにくどくどと言うのもスマートじゃないからな……)
ナオミ(しかし……スリッパであるがゆえに使い勝手がいい技なのは事実。サイズが小さくて足が入らないということがほぼないからな)
ケイ「ふっふーん♪プリンに試練を与えちゃおう!横乳殴っちゃうよ~♪」ダムッ!プルン..
黒森峰生徒たち「あぁ……そんなに殴ったら揺れちゃう!プリンが落ちる!落ちるよぉ……」ハワァァ..
ナオミ(隊長に夢中な奴らが相手ならなおさらやりやすい!)タッ!
ナオミ「それ!」グイグイッ!
黒森峰生徒たち「な、なに!?」
ナオミ「履けぇえぇえええ!!」スポスポ!
黒森峰生徒たち「わああ!?」
ナオミ「……二人ともピッタリだよ。私の探し求めていたシンデレラたちさ。さあ、三人でお城に行って結婚しよう」
黒森峰生徒たち「ぁ…………は、はい……///」モジモジ
オレンジペコ「ケイさん……ナオミさん……」
ケイ「ダージリン元気に気絶してるー?私が守ってあげるからねー♪」
ダージリン「うぅ……」ウーンウーン
オレンジペコ(お二人のおかげで助かりました……ありがとうございます)ペコリ
ペパロニ「え?プラウダのところに行くんすか!?」
アンチョビ「ああ。今電話があってな」
カルパッチョ「ここはどうするのですか?まだ他の子たちが戦っていますけど」
アンチョビ「そのまま戦闘を続けてもらうそうだ!私たち三人だけが移動する!」
カルパッチョ「他の部隊の負担が相当多いのでしょうね……」
アンチョビ「みんな!話は聞いたか!頼んだぞ!」
連合軍生徒たち「はい!」
アンチョビ「……だがせめてもう何人かは倒して負担を減らすか」ダッ!
ペパロニ「アンチョビ姐さん!?一人で敵に突っ込むなんて無茶っすよ!そんなのバカのやることっす!つまりアンチョビ姐さんはバカっす!バーカバーカ!」
アンチョビ「考えがあるんだよ!結果も見ずにバカとか言うなバカ!」
ペパロニ「アンチョビ姐さんも言ってるじゃないっすか!ん?アンチョビ姐さんがバカって言われるか結果によって変わるってことは、私がバカって言ったのが正しいかまだわかんないわけで、今私にバカって言う姐さんの方が結果を見てないバカってことになるっすよー?あれ?なんか時間軸が複雑っす。どういうことっすか?」
アンチョビ「知るか!」
黒森峰生徒たち「真正面から?舐めないでほしいわね!」
アンチョビ「っ……!」シュッ!
黒森峰生徒たち「速い!?」
アンチョビ(こうして身をかがめて相手の視界から外れる。そして……)
黒森峰生徒O「?」チョン..
黒森峰生徒P「?」チョン..
アンチョビ(相手の体のどこかに触る。あとは……)
アンチョビ「いくぞ!ペパロニ!カルパッチョ!」タタタ!
カルパッチョ「はい!」
ペパロニ「えー?バカかどうかまだ決まってないのにー」
アンチョビ「うるさい!いいから行くぞ!」
黒森峰生徒たち「……やつらは追わなくていいわ。ここの子たちを片付けるわよ!」
黒森峰生徒O・P「………………」
黒森峰生徒たち「?どうしたの?」
黒森峰生徒O・P「っ!」ダダッ!
黒森峰生徒たち「ちょっと!?何故追いかけるの!?」
アンチョビ「…………」チラ
黒森峰生徒O・P「」タタタ
アンチョビ(やった!釣れたぞ!あとはあそこの電柱まで連れて行けば…………)
アンチョビ「………………」タタタ
アンチョビ(電柱を越えた……どうだ!)チラ
黒森峰生徒O・P「!!」ピクン
黒森峰生徒O「体が……//」
黒森峰生徒P「………もう、ダメ……///」
バタバタバタ..
アンチョビ「成功だ!」タタタ..
カルパッチョ「お見事ですドゥーチェ」タタタ..
ペパロニ「さっすがアンチョビ姐さん!バカみたいに強いっす!」タタタ..
アンチョビ「結局バカって言われるのか!」
カルパッチョ「活用が難しい技と思っていましたけど成功させましたね」
アンチョビ「ああ、そうだな」フフ
みほ『アンチョビさんの持っているノリと勢いを生かした技があります。【こっちこっち、近道だから。あれ?なんだかホテル街に来ちゃったね。どうする?】です』
アンチョビ『長い!インスピレーションを大事にしすぎだろ!最初の案そのまま付けた感じがすごいぞ!それを踏まえた上でシュシュッとまとめろぉ!』
みほ『この技は、まずどこでもいいので相手の体に触れる必要があります。そして触れた相手を仮想のラブホテルまで連れて行けば確実に落とせる、というものです』
アンチョビ『意味わからん。仮想のラブホテルってなんだ』
みほ『単純にゴールまでの距離と捉えてもらえれば結構です』
アンチョビ『つまり、触った相手をある程度の距離まで連れて行くんだな』
みほ『はい。その距離はアンチョビさんと相手の実力差によって増減します』
アンチョビ『なんか難しそうな技だな』
みほ『そうですね……あと難点がありまして、連れて行く途中に「なんか怪しいからやだ」とか「変なところ連れてく気でしょ?」のようなセリフを三度言われたら失敗になります』
アンチョビ『むぅ……それはきついな。ちなみに失敗した場合はどうなるんだ?』
みほ『どう、と言いますか、一度ダメでも日を改めて誘えばいいんじゃないでしょうか?その日はたまたま気分が乗らなかっただけかもしれません。もっとムードを考えないと』
アンチョビ『実際に連れ込みたいわけじゃないんだよ!話が変わってるじゃないか!』
アンチョビ「……でも意外となんとかなるもんなんだなー」タタタ
ペパロニ「その通りっすよ。そんなことも知らなかったんすか?」タタタ
アンチョビ「お前……」イラッ
カルパッチョ「そういえばペパロニさんはどんな技を教えてもらったんですか?」タタタ
ペパロニ「いやー、それなんすけどね?最初聞いた時すげー衝撃受けて、絶対使えるようになってやるって気合い入れて練習してたんすけど、練習してるうちになんの技を練習してたのか忘れちゃったんすよー」
アンチョビ「………………」
カルパッチョ「……………」
ペパロニ「カルパッチョは?」
カルパッチョ「私ですか?私は……」
黒森峰生徒Q「あっ!?新手が来たぞ!」
アンチョビ「気付かれた!」
ペパロニ「いえ、そう決め付けるのは早計っすよ!まだ気付いてないかもっす!」
アンチョビ「どう見てもバレてるだろ!ずっと目が合ってるんだから!」
ペパロニ「だったら目をつぶればバレないじゃないっすか」
アンチョビ「私には体もあるんだよ!目以外を見つけてこっちに来るよ!」
カルパッチョ「……ここは私が」スッ
アンチョビ「大丈夫なのか?」
カルパッチョ「任せてください」
ペパロニ「私の分まで頼むっすよ。私はなんにも知らないんすから」
カルパッチョ「…………ええ」
アンチョビ(カルパッチョが教わったのはどんな技なんだ?)ゴクリ
カルパッチョ「………………YO!」
アンチョビ「…………へ?」
黒森峰生徒Q「?」
カルパッチョ「YO!YO!チェケラッチョ!カルパッチョ!」
ペパロニ「………………」
カルパッチョ「カルパッチョ!さくらんぼ!初鰹!バスマット!イエー!」
アンチョビ「………………」
ペパロニ「…………………」
黒森峰生徒Q「………………」
カルパッチョ「そ、その…………///」カァァ..
アンチョビ「…………この辺りに腕のいい医者は…」
カルパッチョ「私は正常です!!」
アンチョビ「いや、だって急にらしくない行動をとったから……なぁ?」
ペパロニ「そうっすかね?カルパッチョっていつもこんな感じじゃなかったっすか?」
アンチョビ「どこがだ!普段一緒にいるんだからわかるだろ!もしかしてお前、パラレルワールドから来たペパロニか!?」
ペパロニ「え?違うっすけど……本気でそう思ってるんすか?」
アンチョビ「ああああ!うるさい!」
カルパッチョ「そ、その……私が会得した技は【ワルモテラッパー】という技で……不良のようなワルさを振る舞いつつラップすることで相手を倒すんです」
アンチョビ「そ、そうか」
カルパッチョ「は、はい。正直、私のキャラではないと言いますか……恥ずかしすぎるのですが……///」
アンチョビ「チェケラッチョとカルパッチョの響きだけで決めたっぽいな」
黒森峰生徒Q「何がなんだかわからないけど……今がチャンスね!」ダッ!
アンチョビ「あっ!敵が!」
カルパッチョ「っ……!」
カルパッチョ(やるしかない!)
カルパッチョ「♪YO!お前のガッコ 黒森峰 私の格好 クソ織姫!」
アンチョビ「どこがだよ」
ペパロニ「制服っすよ?」
カルパッチョ「♪仲間の絆 深いアンツィオ だから勧進帳よりパンシロン!」
アンチョビ「どういう意味だ」
ペパロニ「っていうか、敵が来てるのにラップしてたらやられるっすよ…………って、あれ?」
黒森峰生徒Q「え?え?ど、どうして?体が勝手に……首振りが止まらない……」
カルパッチョ「♪この技食らうとあなたもラッパー バトルで勝たなきゃ……えー、即アルパカ!」
黒森峰生徒Q「♪あ、アルパカたちは大体友達 エサは……毎日オロナミンC!」
アンチョビ「……なるほど。敵も巻き込む技か」
ペパロニ「よくわかんないっすね……言ってることも技の意味も」
カルパッチョ「♪オロナミンCよりかラブホテル カルパッチョボディが赤く火照る!」
黒森峰生徒Q「あっ……///」キューン
黒森峰生徒Q「///」トローン
カルパッチョ「…………やった。成功しました!ドゥーチェ!ペパロニさん!倒しました!」
アンチョビ「あ、ああ……すごいな。どこがワルなのかいまいちわからんが」
ペパロニ「カルパッチョボディってなんすか?」
カルパッチョ「か、歌詞には触れないでください///」カァァ..
アンチョビ「ま、まあいいか。先を急ぐぞ」
ペパロニ「はいっす!」
【連合軍 本陣】
みほ「………………」
みほ「このままいけばなんとかなる……かな?」ウーン
みほ(アンチョビさんたちが到着するまでノンナさんたちが持ちこたえてくれれば、前線を維持できる……)
華「花を生ける気持ちな疑問なのですが」
みほ「なぁに?華さん」
華「報告を聞く限り、ノンナさんとクラーラさんは活躍されているそうですが、カチューシャさんは戦っていないようです。どうしてでしょう?温存ですか?」
みほ「ううん、カチューシャさんには裏西住流の技は教えてないんだ」
優花里「どうしてですか西住殿。あ、いえ、さすがな理由があるとは思っていますが」
みほ「……ノンナさんがどうしてもダメって言うの。自分が守るからカチューシャさんは何もしなくていいって」
沙織「わ、すごい。騎士とお姫様みたい!憧れちゃうよぉ~!」
麻子「気持ちはわからないでもないが、そうなると難しい戦いになるな。常に守りを意識しなくてはならない」
みほ「うん。だから混戦になりやすい。ノンナさんは肉体的な戦闘力がズバ抜けて高いから頼りにはなるんだけど……」
優花里「だったらカチューシャさんは本陣にいてもらえばいいのでは?」
みほ「私もそう言ったんだけど、カチューシャさんは絶対に自分の近くにいないと嫌みたいで……」
沙織「ますます騎士だよぉ!」
みほ「これが本当のカチューシャだったら頭に付けるから近すぎて逆に目の届く範囲じゃないんだけどね」
沙織「………………」
優花里「……………」
華「…………………」
麻子「………………」
みほ「…………って優花里さんは言うけど私はそうは思わないな」
優花里「うえっ!?私ですか!?あ、いえ!すみません西住殿!くだら…じゃなくて、とんちの利いたことを言ってしまって!」
麻子「なんでも受け入れるな秋山さん」
華「みほさん。チャレンジする勇気はお見事です。最後まで自信を持ってください」
みほ「………華さん……ありがとう。優花里さんごめんなさい。罪を着せちゃって」
優花里「そ、そんな!謝らないでください西住殿!西住殿からいただいた濡れ衣なら一張羅にしたいぐらいですぅ!」
麻子「本人がいいならそれもアリか?」
華「かもしれませんね」ウフフ
麻子「それでプラウダの面々はどうするんだ?」
みほ「あ、うん。蝶野さんに当たってもらおうと思ってるんだ。普通の敵を大勢相手にするより少数の強敵と戦ってもらった方がいいから」
みほ「………………」
みほ(問題はノンナさんたちが無事移動できるか。カチューシャさんを守りながら敵の攻撃をかいくぐるのは難しいけど……)
【戦闘エリア】
カチューシャ「あっ!?ノンナ!危ない!!」
ノンナ「大丈夫……ですっ!」バッ!
黒森峰生徒R「!!」
ノンナ「っ……!」ギリリリ..(アイアンクロー)
黒森峰生徒R「がああ……っ!」ガクッ
ノンナ「クラーラ!後ろっ!」
クラーラ「カチューシャ様の食べ残しを……(ロシア語)」スッ(靴下を片方だけ脱ぎ、両手で両端を持つ)
黒森峰生徒S「!?」
クラーラ「混ぜご飯にして炊きたい!(ロシア語)」バッ(その靴下を相手の両目に押し付ける)
黒森峰生徒S(ぁ……っ……ほのかな香りが……)
クラーラ「四合分!(ロシア語)」ゲシッ(裸足の足で相手の腰を蹴る)
黒森峰生徒S「ああっ!?」ドシーン!
黒森峰生徒S(蹴られた……のに…………ありがとうって思っちゃうのは……何故……//)ガクッ
クラーラ「一粒たりとも残しません(ロシア語)」フゥ..
カチューシャ「ノンナ!クラーラはなんて言ったの!?」
ノンナ「『ここで頑張って、カチューシャ様と一緒に混ぜご飯を食べたい』と言っています」
カチューシャ「そう?じゃあ今度いっぱい食べさせてあげるわ!でも日本語で食欲を示しなさい」
クラーラ「いっぱい……!」ドクン!
カチューシャ「ええ!」
クラーラ「何を……何をいっぱいですか?」
カチューシャ「混ぜご飯でしょ?」
クラーラ「はああんっ!!」ビクビクン!
クラーラ(カチューシャ様のお口を通過して作られる混ぜご飯を……)ハァハァ..
カチューシャ「??」
クラーラ「はぁ、はぁ……ノンナ様、もしかして……カチューシャ様から今の言葉を引き出す訳し方をしてくださったのですか?(ロシア語)」
ノンナ「ええ」コクリ
クラーラ「ノンナ様……感謝致します」ハァァ..
黒森峰生徒たち「続けっ!ひるむな!」
連合軍生徒たち「絶対抜かせない!止める!」
ワーワーワー..
カチューシャ「くっ!まだまだやってくるわ!」
ノンナ「さすがに数が多いですね……味方が奮闘しているものの、移動する余裕がありません」
クラーラ「ええ……」
カチューシャ「でも早くしないとミホーシャの作戦に影響が出るわ」
ノンナ「…………仕方ありません。あの手を使います」
カチューシャ「え?」
ノンナ「ニーナ、アリーナ」
アリーナ「なんですか副隊長」サッ
ニーナ「気配を消して待機しろっておっしゃったから、ずっとここにおっだですけど」ササッ
ノンナ「あなたたちの出番です」
ニーナ「わ、わだしたちの出番!?」
アリーナ「それはどうゆう…」
ノンナ「私たちがこの場から移動するため、あなたたちは捨て駒…ではなく、捨て石……いえ、身代わりになってもらいます」
ニーナ・アリーナ「えええええ!?」
カチューシャ「の、ノンナ!?」
ニーナ「副隊長!わだしたちを見捨てるだか!?」
ノンナ「見捨てるのではありません。あなたたちをこの場に置き、敵にやられている間に移動するのです」
ニーナ「それが見捨てるっちゅうことだあ!」
カチューシャ「ね、ねえノンナ。それはさすがに可哀想じゃない?」
ニーナ「カチューシャ隊長……」ウルウル
ノンナ「いえ、それが彼女たちの個性なんです」
ニーナ・アリーナ「ええええええええ!!!」
カチューシャ「こせー……じゃあ否定するのは…」
ノンナ「人道に反します。個性は尊重すべきだと偉い人ほど言っています」
カチューシャ「……わかった。私も偉いからこせーはそんちょーするわ。ここは二人に任せる」
ニーナ・アリーナ「カチューシャ隊長~~~!!!」
ノンナ「ここにカチューシャの髪型そっくりのウィッグが二つあります。これをつけて敵を引き付けてください。絶対に、引き付けてください」
ニーナ「は、はひぃ……」
アリーナ「あの……二人ともカチューシャ隊長になっだらおかしいと思われるんじゃ……というか、こったらウィッグをどうしてノンナ副隊長が持って…」
ノンナ「…………………………」
アリーナ「な、なんでもありません!」
ノンナ「ではお願いします」
ニーナ「……めちゃくちゃな命令だけんど、副隊長に逆らったらあとが怖えだ……仕方ねぇ、言われた通りやるだ」
ノンナ「これは重要な任務です。なので勝利を得たあかつきには相応の褒美は与えます。そうですね……マトリョーシカの三番目に大きい人形を一つずつあげましょう」
ニーナ「ワンセットでくれねぇだか!?」
アリーナ「マトリョーシカの個性が尊重されでねぇだ!」
ノンナ「…………………………」
ニーナ「………………な、なんでもありません!」
アリーナ「副隊長の言う通りします。マトリョーシカも……家にいっぱいあるけんど、ありがたくいただきます」
ノンナ「そうですか。では健闘を祈ります。行きましょうカチューシャ、クラーラ」ザッ
カチューシャ「う、うん!ノンナ、肩車!」ピョン
ノンナ「はい」ガシッ
クラーラ「………………」
ノンナ「?どうしましたクラーラ」
クラーラ「今までカチューシャ様が立っていた地点に住みたいと思いまして。数分でもカチューシャ様がそこにいたのであれば確実にパワースポットと化しますから(ロシア語)」
カチューシャ「??ノンナ!」
ノンナ「『戦い慣れたこの場を去るのが惜しい』と言っています」
カチューシャ「慣れた、って……さっき来たばかりじゃないの。それと日本語で惜しみなさいよ!」
クラーラ「はい」ニッコリ
ノンナ「では移動します!」ダッ!
ニーナ・アリーナ「頑張ってくだせー……」
【連合軍 本陣】
沙織「あ!ノンナさんたちが移動開始したって!」
みほ「!よかった……」
みほ(でもカバさんチームが蝶野さんと戦闘を始めてから時間が経ってる。すでにカバさんチームのみなさんがやられてたとしたら、ノンナさんたちが間に合わずに蝶野さんに本陣を突かれる危険がある。それなら……)
みほ(……お姉ちゃんが出てくるまで温存しておきたかったけど……)
みほ「…………沙織さん、連絡をお願いします。まずは……――――」
【連合軍本陣後方】
亜美「……ふう。なんとか全員片付いたわね」
カエサル・エルヴィン・左衛門佐・おりょう「………………」
亜美「意外とデキる子たちだったわ。ワンコインで楽勝と思っていたけれど」
エルヴィン「まだ……だ……」グググ
亜美「あら。まだ起き上がるなんてすごい元気ね。毎朝ケロッグコーンフレークを食べてるのかしら?」
エルヴィン「食べてない……だが……食べたい」グググ...
亜美「無理しない方がいいわ。意外と食費がかさむから」
黒森峰生徒たち「蝶野様。そろそろ……」
亜美「そうね。本陣にドドーンって向かって、シュビーンと立ち回り、ワーッと驚かせるサプライズイリュージョンといきましょう」フフフ
エルヴィン「させ……るかっ!」ヒュン!
コツッ..コツ..
亜美「……服のボタン?小さくて見にくいけど何か書いてあるわね」
ボタン『これと同じ大きさ』
亜美「……なるほど。あなたのはこのボタンと同じサイズというわけね。確かに意味深だわ。どこの部位を言っているのか、想像させられるわね」
エルヴィン(っ……ダメージなしか)ガクッ
ポトン..
エルヴィン(あ……帽子が落ちた……)
亜美「ん?」
帽子の裏『母の女友達と私の顔が似てる』
亜美「ぐあっ!?」ガクン!
エルヴィン「!」
エルヴィン(効いた!)
亜美「……ふ、ふふっ……やるわね。女性同士で子供ができるという設定とは。くっ……その女友達とあなたの絡みまで頭の中に浮かべてしまったわ。そして最後は三人でハッピーライフ、ハッピーホーム、タマホームってね」
エルヴィン(これは……かなりのダメージだ。もしかしたらここからの逆転も…)
亜美「でも!」グッ
エルヴィン「ぎぃっ!?」
亜美「アイアンクローには勝てない!」ギリギリギリ!
エルヴィン「あいたたたた!!」
亜美「手の平の匂いを嗅ぎなさい!色んなものを触り、握り、混ぜてきたのよ!時にはこねたりもね!」
エルヴィン「~~~~っ…………ぁ……」ガクッ
亜美「…………喜びなさい。今をもって、あなたの匂いもこの手は覚えた」フッ
黒森峰生徒たち「蝶野様」
亜美「ええ、急ぎましょう。これ以上時間をとられたら、しほさんに対してスタンディングダウンも同然よ」
??「そ、そうはさせない」ザッ
亜美「さあ行くわよ」
黒森峰生徒たち「はい!」
??「あ、あの……そうはさせないんです、けど……」
亜美「ふう……さすがに疲れたわ。トレーニングで泳ぐことはあるけど、海とスイミングスクールのプールでは雲泥の差ね」
??「む、無視されてる……ど、どうしよう」
??「気付かれてないだけなり。もっと大きい声を出すなり」
??「それしかないっちゃ」
亜美「このまま大洗のストリートをテクテク進んで、ハルクのように圧倒的な力で敵を蹂躙し、スクデットを獲得するわよ」
黒森峰生徒たち「はい!」
??「そ、そうは!!させなっ……けほっ!けほっ!」
??「大丈夫なりか?」
??「う、うん……ボク、あんまり大きい声出さないから、のどがびっくりしただけだと思う」
亜美「……ん?あなたたちは……」
??「ねこにゃー」ビシッ!
??「ももがー!」シュバッ!
??「ぴよたん!」シャキーン!
ねこにゃー「三人揃って!せーの…」
亜美「一体なんの用かしら?」
ねこにゃー「あ……!」
ももがー「最後まで名乗らせてくれないなり……」
ぴよたん「大人って怖い……」
亜美「これからしほさんの命令を遂行しようという時に邪魔するなんて……少し痛い目を見る必要があるわね。軽くほっぺたちぎってあげる」
ももがー「お、大人の中でもより怖い人だったなり!」
ぴよたん「ちぎられたくないっちゃ!」
ねこにゃー「………………」
~~~~~~~~~~~~~~~
夜
【ねこにゃーの部屋】
ねこにゃー「…………はぁぁ……ステージクリア……」
ねこにゃー「一息つこう……」ダラーン
ガチャ!
ねこにゃー「えっ」
みほ「わぁー、ねこにゃーさんのお部屋っぽいですね~。お邪魔します」トテトテ
ねこにゃー「感想が先で挨拶が後!?」
ねこにゃー(な、な、な、なに?どうして西住さんがボクの部屋に!?突然すぎてテンパる!約束なんてして……ないはず)
沙織「ちょ、ちょっとみぽりん。あ、ねこにゃーさん、私もお邪魔していいかな?」
ねこにゃー「え?あ、ど、どぞ」
沙織「ありがとー」ニッコリ
ねこにゃー「あ、えと……ふ、二人はなんで……ぼ、ボクの部屋に来たの?あ、お、お茶……出さないと」ワタワタ
沙織「あ、大丈夫だよー。気を遣わなくて」
みほ「うん。それより急に来ちゃってごめんなさい。事前に連絡できない事情があったから」
ねこにゃー「??」
ねこにゃー(どんな事情なんだろう?まさか……ネトゲのやりすぎを取り締まるために!?)
みほ「裏西住流に関する話なんだけど」
ねこにゃー「あ、そっち……」ホッ
みほ「とりあえず……ちょっとゴミ箱漁らせてもらうね?」ゴソゴソ
ねこにゃー「ええっ!?あ、あのっ!」
沙織「み、みぽりん!?」
みほ「ティッシュだけ確認させて」
ねこにゃー「え?ティッシュ?」
みほ「これは丙…………こっちは丁…………乙………うーん、丙……」ガサゴソ
沙織「採点してる!?しかも何で戦前の評価法なの!?」
みほ「こっちも乙……」
ねこにゃー「あ、あっ……だ、だめっ……見ないで///」
みほ「…………なんでダメなのかな?」クス
ねこにゃー「っ……それは……//」
みほ「世の中色んなティッシュがあるよね?でも……見られちゃダメなティッシュってなんなのかな?」
ねこにゃー「ぅ……///」
みほ「……ねこにゃーさんに教える技は、ティッシュを使った技なんだ。いわくつきのティッシュを相手にぶつける技」
沙織「………………裏西住流ってホントに……誰が思い付いたのよそんな技」ハァ..
ねこにゃー「で、でも……///」
みほ「……なんだけど、安心して。実物を使うつもりはないよ」
ねこにゃー「え?」
みほ「実際はそれっぽく装飾したティッシュを使うから」
ねこにゃー「……じゃあどうしてゴミ箱を……」
みほ「ねこにゃーさんが使用済みのティッシュを見られたり触られたりするのが恥ずかしいと思える人かを試したかったの。沙織さんみたいにオープンな人だと技の威力が半減しちゃうから」
沙織「ちょっと!私だって恥ずかしいよ!」
みほ「アハハハ……」
沙織「愛想笑い!?なんで信じてないの!?」
ねこにゃー「…………そこのティッシュは使わないのか……よかった」ホッ
みほ「うん」ニッコリガサゴソ
ねこにゃー「あ、あれ?西住さん?どうしてゴミ箱を……」
みほ「……あー……これはこれは…………まさしく甲だ」ヒョイ
ねこにゃー「!!!」
みほ「……なかなか大きな塊ティッシュ。ねこにゃーさん、これって?」
ねこにゃー「あ、あうぅ……///」
みほ「何重包囲だろう?」
ねこにゃー「に、西住さん……///」
みほ「ん?」
ねこにゃー「……や、やめて……お願い……//」
みほ「……メガネとって」
ねこにゃー「え」
みほ「メガネとってお願いしてくれる?」
ねこにゃー「…………う、うん」サッ
みほ「………………」
ねこにゃー「に、西住さん……や、やめて……///」ウルウル
みほ「……何をやめてほしいの?」
ねこにゃー「……その……ティッシュ……///」
みほ「どうしてこのティッシュがダメなのかな?」
ねこにゃー「それは……///」
みほ「このティッシュがダメな理由を私の耳元で囁いてもらえる?ストレートな単語を使って」
ねこにゃー「うぅ……///」
沙織「ちょ、ちょっとみぽりん。完全にセクハラだよそれ。満場一致レベル」
みほ「う………でも裏西住流を会得するために必要な質問で……」
沙織「だからって…………ねえみぽりん、裏西住流って言えばなんでも通るって思ってない?」
みほ「それは…………思ってるけど」
沙織「認めちゃった!?潔いねみぽりん!でもダメだよ?ほら、ねこにゃーさんを見て」
ねこにゃー「…………///」ウルウル
沙織「すっごく恥ずかしそうな顔してるでしょ?涙目ですがるような視線を向けてるもん。それに両手を胸の前で組んで跪いて……メガネをとった超美人なねこにゃーさんが……子犬みたいに震えて………」
沙織「……………………」
沙織「……………………そそる、かも」ボソッ
ねこにゃー「武部さん!?」
みほ「沙織さん!」パァァァ..
沙織「……みぽりんがねこにゃーさんに意地悪したくなる気持ち、ちょっとわかる」ウズウズ
ねこにゃー「!!」
みほ「私、沙織さんと友達になれてよかった!」
沙織「今それを実感されるのは引っかかるけど……まいっか!」
みほ「うんっ!」
ねこにゃー「あ、あ……」
沙織「ねこにゃーさん……このティッシュについてちょっと話してみない?」ハァ..ハァ..
ねこにゃー(悪夢だ……)
~~~~~~~~~~~~~~~
ねこにゃー「………………」
ももがー「どうしたなり?」
ねこにゃー「え?あ、なんでもない……よ」
ねこにゃー(結局あのあといっぱい恥ずかしいセリフを言わされた……あぁぁ……///)
ぴよたん「しっかりするっちゃ」
ねこにゃー「あっ……だ、だ、大丈夫。西住さんに頼まれてるのは、時間稼ぎ……だから」
亜美「タイムイズマネー、タイムセール、ブライアンズタイム……時間は無駄にできないわ」ジリッ..
ねこにゃー「き、来た……!み、みんな!準備いい?」
ももがー「もちろんなり!」
ぴよたん「いつでもオッケーっちゃ!」
ねこにゃー「っ!」バッ!
亜美「?」
亜美(あれは……大きな筒のような物をショルダーに抱えた?何をするつもり?)
ねこにゃー「…………」
スズキ『ほいこれ。西住隊長に頼まれてたやつが完成したから置いとくね。あ、使い方だけど、この筒の部分にティッシュを入れて、このトリガーを引くと飛び出す仕組みになってるから。名付けてティッシュ砲』
ねこにゃー(使用済み風ティッシュを込める。あとは狙いを定めて………)チャッ..
ねこにゃー「………………発射!」
ももがー・ぴよたん「!」
シュパパパパ!
亜美「!?」
亜美(何かが飛んでくる……これは…………この子たちの使ったティッシュ!?)
亜美(……いや、違うわ。これは裏西住流の技が記されている『蹂躙書(じゅうりんのしょ)』で『ティッシュの巻』に記されていたもの。となればこのティッシュは実物じゃないわね)
亜美(なら避けるまでもない。手で叩き落とすのみ。ハンドパワーで十分よ)スッ..
亜美「」パシッ!
ビキィイ!
亜美「!?」
亜美(な……触れただけで衝撃が……何故!?)
ねこにゃー「………………」
亜美(凄まじいほどの強い想いが込められている……知り合いの前で使用済みティッシュを暴かれた思い出でもない限り、ここまでの威力は出せないはず……つまりそれに似たことをやったというわけね)
亜美(……しほさんの娘さんなだけはある。血は争えないわね)
ねこにゃー「ど、どう?効いてる?」
亜美「ええ、少しだけ。でも私を倒すほどのダメージはないわ」
ももがー「う……」
亜美「時間が惜しい。見逃してあげるから、無駄な抵抗はやめなさい。戦闘を放棄してスポッチャにでも遊びに行ってきなさい」
ぴよたん「あんなリア充なところ行けないっちゃ」
ももがー「そういう問題じゃないなり!私たちがここで頑張らないと負けちゃうなり!」
ねこにゃー「…………こうなったら……」
亜美「?」
ねこにゃー「く、くらええ~!」バシュッ!
亜美「……私には通用しないと言っ…」パシ
ズビビーン!
亜美「っ!?ぐぁ……!?」
亜美(な、なによこれ……さっきのティッシュと威力が違いすぎる!このハイスクールスチューデント、まさか……)
ねこにゃー「……………」
亜美「…………本物の使用済みティッシュを使ったわね」
ねこにゃー「っ……///」
亜美「度胸があるのね。インディ・ジョーンズとかに影響されたのかしら?」ズイ..
ねこにゃー「う、うごくとまた撃つよ!?」
亜美「どうぞ。あなたが本物のティッシュを使う気なら、こちらも気持ちを切り替えるだけよ。なるべくケガはさせたくなかったけど仕方がない。確実に勝利を得るため、ソバットやシャイニングウィザードも辞さない覚悟よ」
ねこにゃー「っ……」ビクン
亜美「…………」ジリ
ねこにゃー「う……」タジッ
亜美「……………」ジリ
ねこにゃー「わ、わ、わああ!」バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!
亜美「ふふ……脅えているのね?てんで見当違いのところに飛んだわ…………よっ!」ダッ!
ねこにゃー「!!」
亜美「次ティッシュを装填させる隙はあたえナッシング!」ヒュバ!
ももがー「危ない!援護!」バシュ
ぴよたん「くっ!」バシュ
亜美「っ……うっとうしいわね……あなたたたち!この子たちを…………え?」
カエサル「なんとか……」ググ..
エルヴィン「助かった」スクッ
左衛門佐「いつの間にやられていたんだ私は……」ムクリ
おりょう「記憶が飛んでいるぜよ」グググ..
亜美「な、何故あの子たちが復活してるの!?」
ねこにゃー「…………今飛ばしたティッシュのおかげ」
亜美「?」
ねこにゃー「あのティッシュはいいティッシュ。回復力のあるティッシュ……」
亜美「……なるほど。私に当てるフリをして仲間を復活させたわけね。彼女たちからすればサンキューベリーマッチョでしょうね」
ねこにゃー「あ、あなたには……悪いティッシュをおまみまっ…する!」バシュッ!
亜美「ちっ……!」サッ
亜美(『お見舞いする』を噛んで言えてないような子にてこずるとは……)
ねこにゃー「………………」バシュバシュ!
ねこにゃー(少しでも時間を稼ぐんだ!)
亜美「……面倒だわ。まとめて落としてあげる」
カエサル「!まさか」
エルヴィン「あれをやるつもりか」
亜美「…………ガールズネクストドア!」バッ!(地面にあぐらをかいて座る)
亜美(さあ!私の膝に吸い込まれなさい!)
ねこにゃー「!」ビクッ
左衛門佐「っ……この技は一度受けた!」バッ
おりょう「二度目はないぜよ!」バッ
亜美「なに?」ピク
亜美(ティッシュを飛ばしてくる子たちの前に立った?身代わりになるつもり?)
左衛門佐「あの膝の魅力にやられないためには!」
おりょう「それ以上の魅力的なシチュエーションを想像すればいいぜよ!」
エルヴィン「そうか!よぉし……カエサル!」
カエサル「ああ!」
エルヴィン「………………」
優花里『え、エルヴィン殿?どうして私の服を脱がすのですか?』
エルヴィン『グデーリアンの健康面が心配でな。戦場での体調不良は即命取りになる』
優花里『わ、わかりました……では……お、お願いします///』
カエサル「………………」
カルパッチョ『たかちゃん?どうしてそんなにくっつくの?』
カエサル『だってひなちゃんってあったかいから♪』
カルパッチョ『もー、たかちゃんったらぁ♪これじゃあお料理が作れないよぉ~//』
カエサル『……今は』サスサス
カルパッチョ『あっ……///』
カエサル『調理されるものより……生のモノが食べたい』
カルパッチョ『………………///』コクリ
左衛門佐「………………」
おりょう「………………」
左衛門佐『あの二人には懸想する相手がいるが、私たちはいないなあ』
おりょう『しいて言えば歴史ぜよ?』
左衛門佐『それは確かだが少し寂しい』
おりょう『…………だったら私たちがくっつく、とか?なーんて……』
左衛門佐『………………え///』カァァ..
おりょう『…………え、ええと…//』
左衛門佐『……お、おりょうがそうしたいなら…………私は……///』モジモジ
おりょう『…………かわいい』
左衛門佐『え……//』
おりょう『本当に……私がしたいようにして……いい?』
左衛門佐『………………』コクリ
おりょう『じゃ、じゃあ…………ちゅ』
左衛門佐『ん……っ……///』
亜美「………………なっ?」
亜美(私の膝枕にまったく吸い寄せられない!?今日はエイプリルフールではないのに!)
エルヴィン「……おお、作戦成功だ」
カエサル「やったぞ」
亜美「…………この子たち……」
亜美(思った以上にやるじゃない。でもこのまま終わる私だと思わないでほしいわね)ギロリ
しほ「裏西住流によって他校を制圧する」【後編】