しほ「まほ、みほ、今日来てもらったのは他でもありません、あなたたち2人にどうしても伝えておかねばならないことがあるのです」
まほ「一体なんでしょうか…」
みほ「なんか深刻な話みたいだけど…」
しほ「それは洗車道のことです」
まほ「洗車道?」
みほ「なにそれ?」
しほ「洗車道とは、その名の通り、自動車を洗い清めることに全てを懸ける技芸のことです。自動車大国であるアメリカ合衆国がその起源です」
みほ「お姉ちゃん、知ってた?」
まほ「いや、初めて聞いた」
しほ「あなたたちが知らないのも無理はありません、日本ではまだあまり知られていないようですが、アメリカでは日本における戦車道、華道、茶道のように女子の嗜みとされています」
まほ「はあ…」
みほ「本当?」
しほ「私が洗車道に出会ったのはまだ結婚する前、まほが生まれる4年ほど前のことでした。当時、私は戦車道のインターカレッジで優勝してから、在米日本人会の招きでアメリカにおける戦車道普及のための会合に出席するため、単身渡米しました」
しほ「事件はその帰りに起きました。私は犯罪に巻き込まれ、所持品を全て盗まれた上に見知らぬ土地に放り出されてしまったのです」
まほ「ええっ!」
みほ「だ…大丈夫だったの!?」
しほ「片言の英語は使えましたが、所持金もなく、地理もわからず、『こんなところで朽ち果てる己の身を呪うがいい!』というハマーン・カーンの声が聞こえてくるような状況でした。でも、そんな途方に暮れた私を救ってくれたのが、芸能プロデューサーのマイクとタレントのトミーでした」
みほ「え?」
しほ「彼らは私を助けてくれた上に、私に洗車道の存在を教えてくれました。そして私は彼らと共に洗車道の普及に努めることとなったのです。これがその時の映像です」
みほ「VHSなんだ…」
まほ「まあ私が生まれる前だからな」
BGM・80年代風のダサいイージーリスニング
『THE・CAR WASH GIRLS!』
トミー「やあみんな、第3弾の今回は新メンバーが加わるぞ!日本からやって来たオリエンタルガール・シホだ!」
しほ「はーいみんな、よろしくね!」
金髪巨乳美女に混じって泡まみれになってスポーツカーを洗車するしほ(マイクロビキニ着用)
みほ(だ…騙されてる…お母さん絶対に騙されてる…)
まほ(知りたくなかった…身内のこんな過去絶対に知りたくなかった…)
みほ「あ…あの…お父さんはこのこと知ってるの?」
しほ「もちろんです、巡業先の楽屋で花束持って出待ちしていたファンの一人が常夫さんだったのです。あれが私たち二人の出会いでした」
みほ「うわあ…聞かなきゃよかった。そんな馴れ初めだったなんて…」
まほ「なにやってんだこのバカ夫婦」
しほ「帰国して結婚した後も彼らとの交流は続きました。そして、つい先日のことですが、私に久々に出演の依頼がきたのです」
みほ「まさか出るつもりじゃ…」
まほ「いい歳してなに考えてんですか…」
しほ「今回はDVDの制作だけではなく、ケーブルテレビでのペイパービュー放送も予定しているとのことです。これは我が国における洗車道の普及、並びに西住流洗車道の立ち上げの絶好の機会です。そこであなたたち二人にぜひ協力してもらって…ちょっと、二人ともどこへ行くのですか」
みほ「お母さんごめんなさい。こういう過去はできればお墓の中まで持っていって欲しかったよ…」
まほ「お母さま、みほと二人で旅に出ます。探さないでください」
しほ「二人とも待ちなさい!あ…何故…私は洗車道の素晴らしさを伝えたかっただけなのに…」
まほ「すまないみほ、いきなり転がり込んだりして」
みほ「お姉ちゃん、いいんだよ、いつまでもこの部屋にいてても。お母さん、考え直してくれるといいけど…」
郵便局員「西住さん、書留小包です」
みほ「はーい」
まほ「小包?どこから?」
みほ「お母さんからだよ…DVDって書いてあるけど…」
まほ「ま…まさか…」
BGM・90年代風のダサいユーロビート調の音楽
『THE・CAR WASH GIRLS! NEXT GENERATION!』
まほ「うわぁぁ!やっぱりやりやがったぁぁぁ!」
トミー『やあみんな!今回は90年代に一世を風靡したあの彼女が帰ってきたぞ!高校生の娘さんがいるとは思えないこのナイスなボディを見てくれ!オリエンタルクィーン・シホだ!』
みほ「お母さん、いい歳してなんて格好してるのよ…」
トミー『残念ながら娘さんたちは出演してくれなかったが、代わりにその同級生のみんなが来てくれたんだ! 今回は日本のスクールガールズの特集だ!』
みほ「えっ?」
柚子『よろしくお願いしまーす♡』
桃『うう…やっぱりやだー!もう帰るー!』
杏『いまさら遅いって』
沙織『素敵な男性募集中でーす♡』
エリカ『いくら家元の命令だからってこんなの…隊長!早く戻ってきてください!』
(全員スリングショット着用)
みほ「…」
まほ「…」
まほ「みほ、アルバイトして生活費を入れるから、もうしばらくこの部屋においてくれないか?」
みほ「お姉ちゃん、バイト先を探すなら協力するよ。私も当分は学校に顔出せなくなったみたいだから…」
終