7 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/19 00:03:25.60 hIRbFZm4o 1/41

エロ注意 浜×麦(ちょっと滝壺)です

 絶対的な肉の快楽に溺れながら浜面仕上の脳裏に浮かんだのは冥土返しと呼ばれる医者の技術の素晴らしさだった。
 対面座位の形で交ぐわっている超能力者、麦野沈利。その顔にかつて浜面が付けた大きな傷はもう存在しない。

 激しい性交で火照ったせいか、多少なりの違和感もあるが意識してみようとしなければこの距離でも気づくこともできない。

 同時に失ったはずの左腕も再生し、彼女を後ろから抱きかかえるようにしている裸の滝壺理后と背合わせで手をつないでいる。
 それだけではない。麦野の肉体の中に取り付けられた訳の分からない機械類も全て存在しない。

 もはや彼女は四肢の揃った健康体そのもので、その肢体は全て浜面のものだった。

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-35冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324178112/

8 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/19 00:04:21.21 hIRbFZm4o 2/41


「は、は……う、あ……」


 腰をぶつける度に声にならない声が麦野の口から漏れる。獣の唸りのようにすら聞こえるそれは豊かに揺れる双丘―右の乳房は滝壺に揉みしだかれている―と共に浜面の性欲を一層かきたてる。

 それだけではない。麦野を抱きかかえる滝壺の顔も淫欲に溺れていた。
 自分の呼吸と鼓動で肉体が張り裂けそうになっている。きっと二人も同じだろうと浜面は確信する。


「あは、しずり、すっごく幸せそう……」


 さほど饒舌でない少女、滝壺が淫蕩な顔で麦野に囁く。
 三人で肌を重ねるようになってから、肌を重ねるときは自然と下の名前で呼ぶようになっている。

 それは呼称だけではなく、何かしらの壁を取り払っているということ。
 浜面に犯されている女も、それを抱きかかえる女も、汗まみれの快楽の中でお互いを肯定し合う。


「うん、幸せなの……仕上のが、中でいっぱいで、溺れちゃいそうなの……」

9 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/19 00:04:47.27 hIRbFZm4o 3/41



 暗部という殺人を否定しない空間の中、屍の山の頂点で殺戮の女帝として降臨していた面影はここにはない。

 ただひたすらひとりの男に抱かれている事実と快楽で麦野は溶けきっていた。

 彼彼女らのいる部屋の外は深い闇。だが部屋の明かりは強く三人を照らしていた。
 二人の顔が見たい、二人の淫らな姿が見たいという卑猥な思いで少年が決めたのだ。


 だから、この瞬間、二人の雌は彼のもの。


 分厚い胸板を内側からガンガン叩く心臓に引きづられるように、もっと深い、もっと奥の、きっと真実の何かがそこにあると慟哭のような激しさで浜面は腰を叩きつける。柔らかな長い髪から雄を嗾けるような匂いがして、視点の合わない麦野の唇を無理やりに奪う。


「んっ!」


 一瞬だけ、驚いたかのような表情を見せるもそれは容易く解け、自分の顎をつかみ、頭を引き寄せ、舌を絡ませる愛人(レマン)を麦野は迎え入れる。互いの舌を絡め、唾液をすすり、相手に嚥下させ、歯肉をぶつけ合うかのようにキスを続ける。

10 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/19 00:05:33.68 hIRbFZm4o 4/41


 愛情の交換。しかし食餌の光景にすら見える。生きるために互いが互いのエキスを必要としている。腰を一番深い場所で押し付けて、淫液が二人の恥毛を濡らす。

 体液と体液の交換に麦野の背中を支える少女、滝壺が不満そうに頬を膨らます。
 常日頃、どこか遠くを見るような瞳は間違いなく二人を見つめ、その空間に自分がいないことに子供のように不満を募らせる。

 だから、意地悪をするように。
 その手を二人の重なる箇所へと滑らせ、愛液に満ちた麦野の肉芽を親指で軽く弾いた。


「ひんっ!」


 ぎゅう、と秘肉が狭まると同時に思わず浜面の舌を噛む。粘膜であり筋肉の塊である舌に牙を突きつけられ、苦痛の表情で浜面は麦野から口を離した。二人の口を繋げる唾液の糸に僅かながらに赤いものが混じる。


「痛ぇだろ、馬鹿!」


 数々の傷を付けられた。一方的な狩りのあの日のことではなく、肌を重ねるようになってから。噛み癖のある滝壺には肩を、爪を立ててくる麦野には背中を。だが神経の固まった粘膜を傷つけられ流石の浜面も一瞬、思考に怒気が混じる。

11 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/19 00:06:00.25 hIRbFZm4o 5/41



「ご、ごめんなさい……」


 泣きだしそうな眼で麦野が謝罪する。女帝ではありえない姿。無能力者に叱られて、超能力者が逆らうことができない。

 心も体も満たしてくれる男に嫌われたくないという当たり前の姿。
 その愛らしさに浜面の怒りが瞬時に溶ける。

 当然、滝壺は面白くない。
 麦野には敵わないものの両手に余るほどの胸を麦野の背中に押し付けつつ、膝立ちになる。麦野の肩口から顔を出す。自然、二人の左手は解ける。


「しあげ。私が応援してあげる」


 麦野の顔のすぐそばで、男と女が舌を重ねる。血を拭うように、いたわるように優しく少女の舌が雄の舌を癒す。それが唾液の交換に変わるまで時を必要とはしなかった。


「あっ……」


 自分と繋がっている男が自分でない女と自分の息がかかる距離で口付けを交わしている。
 全員が了承し納得した関係だとはいえ、いやだからこそ全身を縫いつけられるような感情に支配される。なによりも、滝壺と唾液を交換するたびに膣の中で浜面が跳ねるのを感じてしまうことが切ない。
 そんな麦野を、滝壺の視線がぬるりと舐めた。

 見せつけるように、一分ほど。
 麦野は何も言えない。
 目尻に涙が浮かんでくる頃に、ようやく二人の唇が離れた。

12 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/19 00:06:26.64 hIRbFZm4o 6/41



「ねぇ、しずり。どんな気持ち?」


 勝ち誇ったかのように滝壺が囁く。その手が麦野の豊満な胸を持ち上げ、先端の突起を強く捩じ上げる。びくん、と麦野の体が震え肉壷が締め付けられる。


「やだ……謝るからもう止めて……」


「ふふ、どうするの、仕上?」


「悪かったな、そんなに虐めるつもりはなかったんだよ」


 儚げな少女に男が優しく問う。
 滝壺理后が麦野沈利に告げる。


「でも、しずりは罰を受けないといけないよね。しあげのこと傷つけたんだから」


 罰。ペナルティ。
 それがどれほど甘いものか、麦野は心身ともに刻みつけられている。

 数え切れぬほどの性行をもってして麦野の精神の中のマゾヒズムは確実に花開いていた。
 目の前の青年ーもはや少年とは呼べないほどに熟成した精神と肉体の男-の前で自分が牝であることを最大限に切望すること。

 ぞぞっ、と背筋に何かが走る。それはおぞけであり寒気えあり歓喜。じゅくりと子宮が喜びの蜜を吐き出す。

13 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/19 00:06:55.00 hIRbFZm4o 7/41


「さぁ、お願いしないとね?」


 ムダ毛一つない麦野の太股を撫でながらもう一人の牝が囁く。張りのある肌に滝壺が爪を立てる。白い肌に赤く痕がつく。
 新雪が汚されるように淡い痛みが麦野を促す。


「仕上の精液を、私の子宮にいっぱい出してください」


 消え去りそうな小声で、それでも一音一音しっかりと麦野が言う。


「赤ちゃんができちゃうかもしれない危険な日に、中だししてください」


 自身の言葉で鳥肌が立つ。

 殺すことしかできない自分が女という性である矛盾と、それを捧げられるかもしれないマゾヒズム。
 女としての本能が歓喜している。体液ではない、遺伝子と遺伝子の交わりができると震えている。

 もちろん、ここにいる三人はみな学生。子供を育てられるほど大人ではない。超能力者であり暗部出身である麦野の経済力が如何に凄かろうとも、浜面仕上という男がどれほど精神的に立脚していようともとうてい現実的ではない。

 事実、麦野も滝壺も避妊薬を服用している。

 だが、避妊薬を服用したとしても膣内に射精すれば妊娠の危険性はある。そもそも受精可能な女性に安全な日などない。その確率を下げているだけである。

 故に背徳的な官能が全身の細胞をふるわす。
 惚れた男の子を産みたいという本能は麦野の中にも確かに息づいているのだ。

 ひゅ、と浜面が短く息を吸う。感情が溢れだして体をつき動かした。
 けだし、痺れるような快楽が全身を駆けたが故。
 
 繰り返すが、全員がわかっている。理解している。
 これはただの遊技であって、確信的な人生設計ではないことを。

 それでもココロの奥底から愛しいと思う女に嬰児が欲しいとせがまれれば男として嬉しくないわけがない。

 例えそれが嘘の言葉であったとしても、言葉にしてしまった以上そこに魂が宿る。

 嘘で虚構で、それでも「そうなりたい」という欲望が確かに存在して。

 浜面仕上は今再び野獣に戻る。

14 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/19 00:07:22.15 hIRbFZm4o 8/41


「ひぐっ、や、やん、あ、あ、ああっ」


 肉と肉とがぶつかり滑稽な音を立てる度に麦野の嬌声が響く。無数の蛇がうねっているような筋肉と女の柔らかな肌とが弾け、溶け、混じり合う。限界を超えて膨張した男根が麦野の熱い膣肉を抉り、溢れ出る蜜と熱とが淫蕩な香りを強くまき散らす。


「んっ、んんっ!」


 甘い果実のような唇を浜面は容赦なく貪る。快楽で息苦しくて、麦野の体が必死に酸素を求めていることを知りながら、それでも自分の欲望を優先させる。
 軽い酸欠に意識を引きづられるそうになりながらも、自分の肉が男を夢中にさせていることに麦野は歓喜し、その快楽を高ぶらせる。

 滝壺理后の肉体も高ぶっている。浜面の性交で早鐘となった心臓はまだ落ち着きを取り戻していない。その土台に、自分の男が自分以外の女を抱いているという嫉妬――確かに、納得はしているが――が積み重ねられ、喉がひきつりそうなほど心も体も切なく追い詰められている。

 自分だって、欲しい。
 一箱六個入のコンドームを一晩で使い切り、それでも足りなくて避妊具なしで性交を強請ったのは滝壺だ。
 しかし、最後の射精は膣内ではなく臍から胸の当たりにまき散らされた。
 鼻腔に満ちるほどの青臭い臭いに包まれて幸せだったのは確かだ。
 だがそれでも、自分も麦野のように危険日に中に射精されたいと願っている。

 下世話な話、中に出されたときにはきちんと処理しないと性器からとんでもない悪臭がするようになるし、その処理をしている姿は「女を捨てている」と表現してもいいような情けない格好となることを知っている。

15 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/19 00:08:13.92 hIRbFZm4o 9/41


 だとしても。

 それでも女としてその瞬間がどれほど甘美なのかはよく知っている。

 故に麦野への嫉妬は止められない。滝壺が麦野に友情以上の、もはや愛情といっていいほどの信頼を持っているとしても、それでも嫉妬の炎に胸を焼かれてしまう。

 だから憎しみの一歩手前までの力で麦野の両の乳首をひねり上げてしまう。


「きゃうっ! ううっ!」


 反撃も反論もない。超能力者の頭脳をもってしてもこの状況を改善する演算能力は維持できない。
 過剰なほどの痛みは圧倒的な快楽に飲み込まれて肉体を喜ばせ、自分の体が喜んでいることが浜面への愛情を深くしている。

 自分を否定して否定して、眼球をえぐりとり弾丸を打ち込んで全身を数千度の熱で焼いた男が、自分を孕ませようと全力を尽くしてくれている。

 優しく勇敢な王子様の連れ合いは登に閉じ込められた可憐なお姫様であって、お姫様の命を狙う悪い魔女ではない。

 それなのに、王子様とお姫様は自分を迎えくれた。
 それだけじゃない。自分に素敵なプレゼントをしてくれる。

 嬉しくて苦しくて切なくて。必死になって浜面に抱きついた。もうすぐ崩壊する快楽の塔に流されないように、長く伸びた爪を浜面の大きな背中に立てる。

16 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/19 00:08:40.01 hIRbFZm4o 10/41

 わたしのものだ。
 いま、このしゅんかんはわたしだけのものだ。


 絶頂が近づいてきている。麦野の意識が甘いクリームのように溶けてきている。全身の神経が快楽のためだけに発動し、それの欠片でも味わいたいと滝壺が必死に麦野に抱きついている。


「綺麗だ、本当に」


 誰に聴かせるというわけでもなく、胸を付いて出た言葉に浜面は気づかない。
 そして、崩れ落ちる塔の上で聞き取れるはずもない言葉に、麦野は優しく微笑んだ。


「出してっ! 仕上の精液をいっぱい出してっ!! 私を妊娠させてぇ!!!」


 麦野が言い終わると同時に、浜面の熱棒の先端が弾けた。爆発した。
 急激に熱せられた鉄が弾けてあたりに熱を巻き散らかすかのように、麦野の肉体の中で確かにそれは爆熱した。
 原始的な、獣のような、大型は虫類の如き生命力の固まりが波打って注がれて。


「あっあっあああああっ!!!!」


 麦野沈利は全身を大きくふるわせる。快楽の分だけ浜面仕上に対する愛情が純化していく。女としての幸せに酔いながら雌としての絶頂に満たされる。
 魂のステージがあがっていく浮遊感と、それでいながら肉体はしっかりと抱きしめられ地上に縫い付けられているという安堵の中で、麦野沈利は自分は絶対にこの男の子供を産むんだという決意を強く心に刻んでいた。

17 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/19 00:10:19.32 hIRbFZm4o 11/41

以上です

なんかこう、がっちりしたエロスが書けなくてすいません




42 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/21 01:55:24.69 ok0WgTkuo 13/41

 どこから飛んできたのか、麦野の病室、その窓の外に一匹の蝉が落ちていた。
 ジジ、とわずかな唸りを上げている。命が付きかけているのは誰の目にも明らかだった。

 脳を持たない節足動物でも死が怖いのだろうか。

 外の風を取り入れようと窓を開けた麦野は、ふと視線が向かった先の僅かな命の残り火を見てそんなことを思った。

 季節は秋。もはや蝉が大声を鳴らす季節ではない。
 学園都市は研究施設の集合体という面を強調しすぎるあまり自然というものがあまり残ってはいないのだが、だからといって蝉が全くいないわけでもない。
 地面を掘り起こしすぎて絶滅した昆虫もいるのだろうが、ミンミンゼミやヒグラシなどはその限りではなかった。

 つまり、蝉が居ても別段珍しいわけでもなんでもなかったのだが、麦野の視線は何故か釘付けにされている。

 視線と表現したが、それは二つあった。

 二人いるということではない。麦野の右目と左目が別の概念から構築されているもの――すなわち、生まれもつものか、後に補われた機械的なものか――という違いである。当然、見えるものは同じではない。同じにすることもできるが異なる映像を見ることもできる。

 それはつまり映像を受け取る側――大脳の皮質に機械的な措置が施されているということでもある。
 人が人たるものを脳に求めるのであれば、麦野は人という概念を陵辱されているとも云えた。

 それだけではない。麦野の顔の右半分は作り物だ。
 既に失われている。
 今は特殊メイクで外見を誤魔化しているだけだ。

 右目と同じ、作り物の貌。
 それだけではない。いくつかの内蔵は欠け、それを補う人工臓器が取り付けられている。残存する臓器も神経が壊れているために補助装置でなんとか機能を維持している状態だ。
 カエル顔の医者のカルテを見たところ、組木細工のように繊細に収められているはずの内蔵は位置はバラバラで本棚を蹴り倒した後のように乱雑に積み込まれているような状態だった。

43 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/21 01:55:57.23 ok0WgTkuo 14/41


 未熟な昔の自分を突きつけられて恥ずかしいよ、と言ったカエル顔の医者。彼は専門用語も交えては具体的に内蔵を元に戻す説明をしてくれたのだが、医療技術に興味のない麦野は失った顔と左腕と同じように再生医療を行うということ、再生箇所は発癌性が高いため定期的な健康診断が必要だということ以外は頭に入らなかった。

 元の体に戻れるのなら、それだけでいい。
 アイツが望んだ通りの体に戻れるだけでいい。
 殺し続けた自分にはお釣りが来るほどに開けた展望だと麦野は感じたことを思い出す。

 そして、心に残った蝉をなぜだか分からぬまま映像として保存する。
 やがて清掃ロボがやってきて、蝉の生死を問わずにゴミとして片付けてしまうだろう。
 だからといって救いあげようとも思わない。もはや寿命なのだ。ここで拾い上げたとしても遠からず死ぬ。内蔵を弄り回されて生きている自分とは違うのだ。

 死に藻掻く蝉に背を向け部屋の中心、ベットに腰掛ける。
 取り入れた風はパジャマには涼しすぎるほどだったが、それが心地よかった。
 肘から先のない左腕の布地がふわりと揺れた。

 今さらのようなその光景を見て、

 ――そういうことね。

 麦野は自分と蝉とを重ね合わせていたことを理解した。


 三度、殺し合いをした。

 一度目は裏切りを許せなくて。
 二度目は弾けるほどに膨らんだ復讐心に身を漕がれて。
 三度目は全てを捨てて、一人の全てを奪おうとして。


 蝉の胴体は空っぽだ。
 大きな音を立てるために、ドラムのような反響装置として、肉も筋も存在しないただの伽藍堂だ。

 ただの伽藍堂。

 麦野の肉体には本来存在しなくてはいけないものが存在していない。本来存在してはならないものが存在している。
 それは既に人という概念の枠組みが崩れているに等しく、本質的な何かがこぼれ落ちてしまっている。

 ただの伽藍の堂。

 死んでいるはずのものを生かされた。生かされてしまった。
 そして、そのままもう一度死ねばよかったのに、希望を見てしまった。魅せられてしまった。
 麦野が殺したいほど憎んで殺したいほど愛した男がどんなことをしても守ってやると言ったのだ。

 それが、期限付きだとしても。
 その言葉で無機質な世界に色が花開いてしまった。

 なんて残酷なんだろうと思う。

44 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/21 01:56:56.04 ok0WgTkuo 15/41


 既に壊れた器に盛るものなんて全て漏れてしまうのに。

 ほう、とため息をつく。セミの声はもう聞こえない。
 夕暮れになって日が奥深くまでさしている。ふと、センチメンタルな気持ちになった。

 焼いてやろう。

 このままゴミとして葬られるのは可哀想だ。
 幸いなことに焼くことには慣れている。一匹の虫を原子に変換することぐらいものを思うよりも容易い。
 死ぬことのできなくなった自分のかわりに死んだ、その嫉妬と代わりを務めてくれた感謝を込めて。

 立ち上がり、スリッパを突っかけて窓に近づく。
 残った右手の人差し指を蝉の死骸に向ける。
 瞬間、音も光も影もなく蝉は消失した。
 一欠片の灰も残らなかった。

 はしご状神経の脳を持たない生き物の死を嘆くように風が吹いて、目に見えない何かが空に散って何処かに還っていく。その姿を麦野はぼんやりと眺めていた。

「――むぎの?」

 後ろから声をかけられた。振り返るとそこにはピンクのジャージ姿の少女、滝壺理后がぼんやりとした眼をしながら立っている。
 どうやらノックの音にも気付かなかったらしい。

「何をしているの?」

 一番会いたくない人物に声をかけられ、麦野の表情が濁る。しかしそれは文字通り一瞬のこと。平素のように変わりなく女王然として気を張った声を出す。

「虫をね、焼いていたのよ」

 嘘ではない。だがこれでは善悪も理解できない子供のようだなと省みる。

 不思議そうな顔をしながら滝壺が麦野に歩み寄る。
 風が二人のボリュームのある髪を揺らした。

 この少女も今現在入院中だ。
 体晶という薬を多用した副作用で複数の内蔵が潰瘍を併発しているのだ。
 神経を過剰に活動させ脳に特段の作用を与える薬は内臓の交感神経をも狂わせ、その機能をめちゃくちゃにしたのだ。分泌すべきホルモンを分泌せず、分解すべき毒素を分解しない。
 命があることそのものが既に奇跡とも言える。
 その奇跡は浜面仕上げという一人の青年――少年という年でありながら少年という枠には収まりきらない肉体と精神を持つ男――の活躍によって起こされた。

 麦野が殺そうとし、殺されて、奪い取ろうとし、心を奪った男。

 そして、滝壺の恋人。

 今、滝壺の生命活動は安定している。
 しかし完全に元の体を取り戻すにはやはりきちんとした治療が必要であり、学園都市でもっとも技術力の高いこの病院に麦野と共に入院しているのだ。

 浜面仕上の強い意思で二人は今ここにいる。
 アイテム再結成まではどんなことをしてでも守ってやるという約束を守りきってくれたのだから、一つぐらいは言うことを聞いてやろうと、そんなことを口にしたら浜面は「身体を治せ」と言ったのだ。
 呆れはしたが麦野は素直に言うことを聞いている。実行している。

 滝壺を追い込んだことを憎んではいないのか、と聞くこともできずに。

 滝壺の能力、AIMストーカーは体晶を用いることで”正しく暴走”し、一度認識した能力者のAIM拡散場を銀河の果てまで追跡する。全ての物理的防御を無視して対象を射抜き焼き殺す麦野の能力との相性は抜群だった。

 便利だったから使って。
 切り札だったから使わせた。

 結果、滝壺の命が縮まるとわかっていて使わせた。

45 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/21 01:57:49.69 ok0WgTkuo 16/41

 ――そういう表現しか知らなかった。

 もう浜面は麦野を許している。滝壺も一緒だ。それは理解している。でも一度動いてしまった歯車が元に戻ることはない。
 浜面は滝壺を選択し、麦野を捨てた。
 アイテムの中に居場所があっても浜面の横に居場所はない。
 それはもうどうしようもないこと。


 ――嫌われて当然だよね。
                       麦野は一人胸の中で呟く。
 ――だからこんな化け物になっちゃったんだ。
                       言葉に出せない思いを繰り返す。
 ――アイツが滝壺にいくのは当然だったんだ。
                       苦しいから、敢えて明るく問いかけた。


「どうしたのよ。言いたいことあるんでしょ?」

 何か照れている滝壺に言葉を促す。
 ただ顔が見たいというだけで違う階から降りてきた訳でもあるまい。きっと何かを伝えたいのだろう。ぴんと張った背筋に確固とした芯を感じた。

 苦しくても我慢しよう。
 顔には出さないでいよう。
 大丈夫、私は強い。

 視線を合わせる。滝壺が大きく息を吸う。
 そして力強く宣言した。

「私ね、体が治ったらはまづらに抱いてもらおうと思うの」

「――っ!」

 弱かった。
 心乱された。心臓を鷲掴みにされた。唇を噛まなかったら叫んでいたのかもしれない。
 何時か必ずそうなることで、単純に刻限が見えていないだけのことを改めてその唇で言霊にされて、魂が揺さぶられるほどに動揺した。
 形のない何かを失いそうになる。

 どこか遠くを見ながら滝壺が笑っている。こころなしか頬を染めている。当たり前だ、自分が女になると高らかに告げたのだから。
 恥ずかしがりながら、気高そうに。それでいて嬉しそうに。
 こんな言葉を口にできるほど誰かを好きになれたことを誇らしげに。
 麦野の目には眩しいほどの笑顔。

「そ、そう。決めたんだ」

 震える舌先を黙らせるように麦野が息を呑む。
 右手を胸の前で握って暴れる心臓を落ち着かせる。

「決めたんだったら、応援するよ」

 小さく、まるで叫びのように言う。はっきりと、嘆くように言う。

 引きつっていないだろうか。不自然ではないだろうか。おかしくないか。不格好ではないか。
 大丈夫、こんな顔だ。多少不格好だろうと構うものか。

「あんたじゃないけどさ、応援する。怖いかもしれないけど幸せになりなよ。浜面は浜面だからダメなときはとことんダメだけどやるときはヒーローにだってなれるからさ」

 生皮を剥がすような感覚。自分の言葉が自分の内側を切り刻んでいくのを麦野は理解する。

「浜面の童貞臭は酷いもんだからさ、一回覚えたら毎日のように弄ばれるんじゃない? 万一マンネリになってもバニースーツで覚醒した猿になりそうだし」

 けらけらと愉快に麦野は言う。
 言って、滝壺の大ぶりの乳房を鷲掴みにする。
 きゃあ、と騒ぐこともなくキョトンとした顔で滝壺が麦野を覗き見る。

「私ほどじゃないけどさ、滝壺スタイル良いんだからさ。ここなんかいい武器になるんじゃないの?」

46 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/21 01:59:44.24 ok0WgTkuo 17/41


 私ほどじゃないけどね。心の中でだけもう一度言う。
 負けてない。ううん、負けてなかった。今はこんな体だけれども負けてなんかいなかった。体だけならあいつは私の方を見ていたはずだ。
 そんな思いが今でも麦野の中には確かに存在する。
 感じさせてはダメだ、と麦野の強すぎるプライドが虚勢でしかない笑みを崩させない。

 滝壺がゆっくりと麦野の手を取った。片手しかない麦野を、両手でしっかりと。痛いほど握り締めた。

「ありがとうね、むぎの。私、むぎのにそう言ってもらって本当に嬉しい」

 いつの間にか夕方のオレンジは夜の帳に塗り替えられ、外の風も冷たくなってきていた。
 滝壺の顔の陰影が深くなって柔らかな美しさを引き出している。屈託の無い笑みにそれが良く合っていた。
 内側からにじみ出ているのは素直さだろう。暗部というコロシコロサレル世界の中で屈託さを失わなかったのは麦野の知る限り滝壺しかいない。皆が皆、何処かに闇を持ち、目に見えない歯車が空回りしていた。
 殺してしまったフレンダも、子供のくせに大人味を出そうとしている絹旗も、出会った頃の浜面も。
 そして何より麦野沈利という自分自身が。
 噛み合わない歯車を持て余して狂っていたではないか。

 ぼんやりと、そして何か悟ったように物事に拘泥しない――浜面に関することは別として――滝壺理后だけがあの世界で狂っていなかった。
 素直なままで存在していた。

 誘蛾灯のように浜面が滝壺に惹かれるのは当然の因果。滝壺が浜面を受け入れる選択をしたのは当然の結果。

 羨ましすぎて気に入らない。
 でも、笑ってやる。弱い私なんて私じゃない。百万ドルの笑みで受け止めてやる。
 ああ、でもこんな顔じゃ5セント硬貨の価値もないか。

 しかしながら、麦野の強がりも容易く撃ち抜かれる。

47 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/21 02:00:36.32 ok0WgTkuo 18/41


「むぎのも、はまづらに抱いてもらおう?」

 微笑みを浮かべたまま、散歩にでも誘うような滝壺の言葉によって。

「綺麗な体に戻ったらはまづらに抱いてもらおうよ」

 先程の宣言と同じぐらいに力強く。さもそれが当たり前であるかのように。
 強く強く手を握って。
 麦野を逃がさないように手を握って。

「――」

 何を言っているのかわからなかった。
 何を言っているのかわからなかった。

「むぎのも、はまづらのこと大好きなんだから、一緒に抱いてもらおう?」

 イかれている。そんなものは常識はずれだ。なんてエロゲだよ。
 思った言葉は幾つもあるのに口の中が粘ついて何一つ出てこない。それなのに喉奥に唾液が溜まりすぎていて、息苦しくなって嚥下する。
 百万ドルの笑顔なんてもう何処にもない。
 心臓が、何発も弾丸を打ち込まれた壊れた心臓が音を立てて動き出す。自律神経が異常になっていることを理解する。首筋と耳の裏とに汗が浮き出てくる。

「あ、んた……なに、を……」

 麦野はもうどう話していいのかすらわからなくなっていた。

 空っぽの蝉。
 音響装置でしかない空っぽの内側で滝壺の言葉が麻薬のように木霊する。

「はまづらのこと好きなんだよね?」

 やめてよ。言わないでよ。あんな無能力者。知っているよ。でも知らないんだよ。好きって気持ちがよくわからないんだよ。

「私、むぎのだったら許せる。ううん、むぎのにも一緒にいて欲しい」

 おかしいよ。普通じゃないよ。なんで浮気を唆すようなことするんだよ。そんな性癖に付き合いきれないよ。

「だって、むぎのは本気だったんだから。私とおんなじように本気だったんだから。はまづらのこと本気で好きになってくれた人が報われないのは、私、嫌だよ」

 アンタはこんなキャラじゃない。そこまで割り切れるはずがない。もっと嫉妬深いはずだ。
 だって、私だったらそんなの許せないから。


「――やめて」


 やっと言葉がでたとき、麦野は自分が泣いていることにはじめて気が付いた。
 泣いたことなんてなかったのに。
 泣くところなんて誰にも見せたことがなかったのに。

 眼球を失った右目。涙腺は残っていたらしい。
 全く熱さを感じない右半分の顔を伝った涙が口の中に飛び込んでくる。

「アイツはアンタを選んだ! 選んだんだ! もう終わったことなんだよ! そんなおかしな話持ち出して希望があるようなこと言わないで!!!」

 暴力に訴えなかったのは何故だろう。能力で殺さなかったのは何故だろう。
 決まっている。浜面に嫌われたくないからだ。
 体も心もおかしくなっているのに、溢れんばかりに胸の内に彼の存在を感じてしまう。

「そうだよ! 私は今でも浜面が好き! どうしようもないぐらいに好きなんだよ! でも、だからってもう終わって決定したことを、無理矢理ひっくり返したって、そんなのどうにもならないよ!」

48 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/21 02:03:38.45 ok0WgTkuo 19/41



 看護婦が何事かと駆け込んでこないのが不思議なほどの大声。
 隣の部屋が騒ぎを聞きつけているのは間違いない。
 叫んでいた。麦野は身を切るような声で叫んでいた。
 涙を溢れさせて、えづいて、肩を震わせて、今にも崩れ落ちそうなほどに脆くなっていた。

 そして、幼児のように無力な麦野を滝壺が強く抱きしめる。
 その腕を麦野は避けようするが、その体からは考えられないほどの力と滝壺の体温から逃れることはできなかった。

「もう、やめて――」

 超能力者でも化け物でもない、一人の少女が消えそうな声で言う。

「やめないよ。むぎのが、うん、って言うまでやめない」

 もう一人の少女が力強く抱きしめる。
 言うことを聞かない子供に言い聞かせるように。

「だって、今むぎのを離したら絶対に後悔する。一生後悔する。おばさんになっておばあちゃんになって辛い思いをする」

 自動で着いた電燈が闇を払っている。科学の光が煌々と照らしている。
 柔らかな胸に抱かれ、泣いて潤んだ眼のまま麦野が滝壺を見上げる。

「はまづらも、むぎののこと、好きだよ。好きな人のことだもん。私にはわかるよ」

 降り積もるような優しい言葉で滝壺が麦野を癒す。
 溢れ出している感情をコントロールできない麦野をあやすように慈しむ。
 その姿は慈母に似て、その微笑みは聖母(マドンナ)に似ていた。

 どくん、と不完全な心臓が脈打つ。

「浜面が、私のことを、好き――?」

 そんなハズはない。だって、アイツは――

「私のことを好きでいてくれている。それは確信している。でもだからってむぎのを想ってないわけじゃないよ」

 いやじゃないの、アンタは――

「言ったよね? むぎのだったらいいって。むぎのは本気だから許せるって」

 なんのメリットがあるの? 私が傍にいたらアイツ奪っちゃうかもしれないんだよ?

「それはさせないよ、むぎの。私いっぱいいっぱい好きだって言ってずっとはまづらに見ていてもらうんだから」

 答えになってないよ。なんでいやがらないの、アンタ――

「後悔するから。私も、そしてはまづらも一生後悔するから。だからむぎのを離してなんかやらない。一生はまづらのものになるって言わないと放してあげない」

 おかしいよ、滝壺――

「そうだね。おかしいよね」

 うん、おかしい――

「でも、私たちの居た場所っておかしな場所だったよね? 常識なんか何処にも転がっていない枯れた世界だったよね?」

 うん、そうだね――

「そんな世界にいた私たちが普通の常識で幸せになる必要はなんだよ、きっと。おかしなままで幸せになってもいいんだよ」

 でも、それは――

「応援するよ? むぎののこと、全力で応援してあげる。だからきっと大丈夫」

49 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/21 02:04:32.39 ok0WgTkuo 20/41

 ――世界の全てを敵に回してでも?

「世界の全てじゃないよ。浜面も私も居る。きっと絹旗だって応援してくれるよ。フレンダだって絶対に応援してくれているはずだよ」
 
 アイテムが? でもアイテムを壊したのは私だよ?

「それでも、だよ。フレンダだってむぎのを恨んでないよ絶対」


 甘く甘く重ねられる砂糖菓子のような言葉に麦野の心は揺れ動く。
 もしそれが本当だとしたら、浜面仕上が麦野沈利を必要としてくれているのならばどれほどに幸せなことだろうか。
 思っただけで背筋が震える。
 そして、確信する。

 ここで甘えてしまって、裏切られたら、私は私でいられなくなる。
 引き返すのならば、今、此処。

 全てを満たしてくれる提案だからこそ麦野は怖い。心の奥底まで甘えてしまうものができたときに、もしそれを奪われたのならば本当に本当の意味で伽藍堂になってしまう。
 結局のところ、麦野沈利という女にある最大の悪癖が彼女を縛っている。

 麦野沈利は独りだった。
 独りに慣れすぎていた。

 アイテムの中でバカをやっているのは楽しかったしファミレスでくだらない会議をするのも好きだった。でも、自分はリーダーで彼女たちは部下で、システムが入れ替わればみんないなくなってしまうと割り切っていた。

 彼女にとっては友達も恋人もいなかった。

 だからこそ、これほど暖かな誘惑を知ってしまったら。
 その居心地の良さを知ってしまったら。

 絶対に戻れなくなる。
 独りに戻ったときに壊れてしまう。

 ――怖い。

「滝壺。私、怖いよ」

「むぎの?」

「滝壺の言うとおりになればきっと私はシアワセになれるんだと思う。でも、一回幸せを知ったらもう引き返せない。もし浜面に愛想つかされたら生きていけなくなる」

 滝壺がもう一度、優しく麦野を抱く。ふわっと開いた髪からする匂いが見えない衣となって二人を包む。
 麦野の感情が爆発することはなく、そして滝壺の言葉を突き放すこともなかった。
 そこまで自分を見つめたんだね、と滝壺が微笑む。

「大丈夫。浜面は絶対に麦野を見捨てたりなんかしない。あの人は強いもの。頼りなくて情けなくて僻み根性が染み付いているけど、でも、あんなに強い人、他にいないよ」

 浜面は強い。
 スーパーマンではないし、オペラの主役にもなれない。世界の危機を救うこともできない。ただの、無能力者だ。
 しかし、強い。
 その強さは超能力者麦野沈利を三度にわたって退けた、ということとは違う。
 当たり前のことを当たり前にこなし、どんな悪条件でも絶望に蝕まれることなく、僅か数パーセントの確率でもそれが最善の手であるのならば命をとして実行する。
 その精神力こそが――強いのだ。

 その強さを麦野は身をもって知っている。
 麦野から眼球と左腕を奪い、そしてそれを元に戻せと強く言ったあの眼を知っている。

50 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/21 02:04:53.42 ok0WgTkuo 21/41


 だから

「信じても、いいのかな。甘えても、いいのかな?」

 再び泣き出しそうになりながら滝壺に問いかける。
 溢れ出しそうなのは涙だけではない。伽藍堂であるはずの心の中にいっぱいに詰まっている誰かへの想いが、堰を切って溢れ出しそうなのだ。

 蝉が大声でなくのは交配の相手を探すためだ。
 自分がここにいるよ、と天地に響くように宣言しているのだ。
 そのための空洞があるとしても、きっと何も詰まってないわけではない。

 麦野の空洞は溢れ出す感情で埋めつくされている。
 埋めつくされた感情できっと宣言するのだろう。自分の思いを伝えるのだろう。

 滝壺はただ微笑んで、

 ――応援するからね?

 とだけ、はっきりした声で麦野に告げた。

51 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/21 02:06:20.79 ok0WgTkuo 22/41

以上です。

書き込み宣言しなかったんですがすいませんでした。
浜滝麦の前にこんな話があったんだろうなぁとつくりました
エロが無くてすいません




181 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/27 21:34:57.16 UZVp3pbBo 24/41

何レスか貰います
マゾエロス注意

182 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/27 21:35:28.00 UZVp3pbBo 25/41

 中天高く蒼穹に雲一つない青空。
 ましてや週末とあれば健康な少年少女は街へと繰り出し大いに青春を楽しむものである。
 まぁ、補習に追われて楽しい週末を楽しめないものもいるが得てしてそういう輩は自業自得の類である。

 そして、補修どころか学校にもほとんど通わず、それでいながら卒業後の進路は引く手あまたの学園都市の超能力者、
麦野沈利は裸にエプロンという姿で床に直接座りながら満面の笑みを浮かべていた。
 状況を説明すればかなり淫蕩になる。
 手錠を持って椅子に括りつけられた素っ裸で茶髪の不良、浜面仕上の股座に座り込み、彼の陽根をその大きな乳房で挟んでいるのだ。
当然、素肌にまとったエプロンは腰でまとめた紐だけで吊るされた状態で麦野の太ましい足元を隠す程度の役割しか果たしておらず、ただ裸でいるよりも淫らな姿となっている。
 乳房の間には海草のローションがたっぷりと含まれ、麦野が両手でそれを動かす度に浜面は快楽のうめき声を上げる。

(えへへ、かわいい――)

 殺戮を繰り返し命乞いをする輩の腸を撒き散らしてきたとは思えないほどの素直な笑みを浮かべながら心底幸せそうに浜面のペニスを刺激する麦野。
 再生した左腕がなんの障害もなく自分の胸を動かせて、浜面を心地よくさせていることがたまらなく嬉しい。
 両の乳房を動かす度にねちゃねちゃ、という液体の音がする。
 その音がすればするほど浜面が固く大きく熱くなるのを心臓のすぐそばで感じられることに麦野は満足していた。

「どう? 仕上ちゃんは気持ちいいのかにゃーん?」

 体を重ねる時だけは下の名前で呼び合う。そういうことにしている。

183 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/27 21:35:56.38 UZVp3pbBo 26/41


「たまんねぇよ。たまんねぇからいい加減出させてくれよ」

 情けない声で浜面が嘆く。
 とても常日頃二人の女が腰砕けになるほどの性欲を発揮している人間とは思えない声だ。

「だめー。今日は出させてあげないの」

 鼻にかけたような甘えた声で胸の刺激を強める麦野。
 淫らな気持ちは当然あるが、それ以上に性的なことでは主導権を握れない男を思いのままにしているという事実が彼女を興奮させる。
 そして、羨望の眼差しで見られても自分では対して意識をしていない大ぶりの乳房が性器として男を魅了していることが誇らしかった。

 ガクガクと浜面の足が震え、限界が近いと告げている。
 ローションの中に浜面の分泌物が混ざってきているのか、白く泡立って濁ってきている。
 最初冷たかったローションが二人の体温で温められて、まるで二人の間で何かが繋がっているような錯覚を覚えさせる。
 麦野の笑みは止まらない。世界で一番幸せそうな顔をしながら夢中で両手を使って胸を動かす。
 ふわっ、と浜面の陽根が膨らんだ気がした。

 あ、これはいくな、と判断した麦野は途端身体を離して浜面の陽根の根元を指でぎゅっと抑える。

「おま、やめっ、馬鹿っ……」

 びくんびくん、と身体全体で震える浜面だが四肢を拘束する手錠によって身動きが取れない。
 ぞぞっ、と全身に鳥肌が立つも、それはそれで終了し最終的な快楽にはたどり着けない。

 麦野がいかないようしっかりと抑えているから。

184 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/27 21:36:34.33 UZVp3pbBo 27/41


 やがて昂った波は頂点を迎えずゆっくりと落ち着いていき浜面は性的な絶頂を迎えることなく中途半端な快楽の地に落とされる。

「い、言っておくけどこれはかなり辛いんだぞ!? 出したいのに出せないのはとんでもない苦痛なんだぞ!?」

 言っても麦野の行動は変わりないと知りながらも絶叫する浜面。
 世紀末帝王の貫禄など何処にもない。うっすら眦に涙すら浮かんでいる。
 そんな浜面をふわりと優しい香りが包んだ。

「しずり。今度は私の番だよ?」

 柔らかな声の滝壺理后が椅子の背もたれごと浜面に後ろから抱きついた。
 背もたれがあるから感触はわからないが、麦野同様に素肌にエプロンだけのその姿とエプロンを押し上げている丸い膨らみが当たっているはずだ。
 性感を限界まで高められたまま限界を降りることを許されていない浜面には滝壺の甘い体臭だけでも刺激的だった。
 耳元の声でぴくりと逸物が動く。
 ずっと笑みを崩さなかった麦野がむっと表情を変えた。そしてそのままぎゅっと力強く握りしめる。

「しずり」

 おもちゃを独占しようとする子供に諭すような声。顔は笑っている。笑っているが目は本気だ。本気で許さないと言っている。
 超能力者と大能力者という、圧倒的な実力差がありながらも麦野は滝壺に逆らえない。
 本来浜面が選んだのが滝壺だという事実と、滝壺が強く推してくれて麦野がここにいるという現実。
 だがそれ以上におそらく本質的な部分で麦野は滝壺に逆らえない。

 ちぇ、と小さく舌を打ったあと麦野が浜面自身から手を離す。そしてすっと立ち上がり拘束されたままの浜面の唇に自身のそれを重ねた。

「今度は理后が気持ちよくしてくれるってさ」

 ベタベタになった胸元を気にしながら麦野が二人に背を向ける。簡単にシャワーで流してくるのだろう。
 恥ずかしがる様子もなくエプロンを外して風呂場へと向かった。
 もちろん、麦野の胸と同じぐらいにローションまみれの浜面の陰茎は滝壺が綺麗にするのだ。口と舌で。

185 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/27 21:37:07.20 UZVp3pbBo 28/41

 萎びることのない逸物を前にして滝壺が座り込む。先程の麦野と同じ。
 違うのはエプロンの胸をはだけさせてないことか。
 しかしシルエットだけしかみせない胸元が逆にエロティックに浜面の本能を誘う。

「てかてかだね」

 言って、躊躇いなく手を伸ばし口を近づける滝壺。見上げるような視線のまま張り詰めた浜面のペニスを口に含む。
 亀頭冠だけを唇に含めてローションに塗れた肉茎に指が絡まるとそれだけで浜面の背筋にゾワゾワと快楽が走る。
 ちろり、と一舐めだけしてすぐに口を離し、

「熱いね」

 とだけ言って再び口に含む。

 今度は簡単に離さない。柔らかい舌の感覚に浜面が戦く。肉塊が戦慄く。
 じゅろ、と啜る音を態と立てながら口内いっぱいに浜面を迎え入れる。陰毛が触れるのも構わず喉奥にまで深く飲み込む。
 そして垂れたローションに濡れる陰嚢を両手で優しく揉んだ。
 陰茎に塗れたローションを一滴残らず飲み干そうというのか、唇の内側と甘噛みの前歯で浜面の陰茎を削ぎとっていく滝壺。
 薄皮一枚も奪われているわけではないのに浜面の神経は限界まで悲鳴を上げる。
 今日一日だけで何度も二人に限界近くまで高められているのだ。昂っているのだ。もはや全身が性感帯になっていると言っても過言ではない。
 そのような状態で徹底的に性器を責められて、それでいながら射精を許されない。
 男にとっては最高の快楽であり拷問だった。最早脳が蕩けて形がなくなっていてもおかしくはない。

 唇で一通りローションを拭ったあと、滝壺が横笛を吹くように唇としたを茎に這わせていく。
 四肢を拘束された浜面の不自然な体制に併せて不自然に首を傾げ、エプロンに隠れた乳房を脇から見せつけている。

 一見すると脱力系で何も考えていないような滝壺だが性行為に関しては積極的だった。
 猥雑なことを口にする割に本番になると顔を真っ赤にしたまま何もできない麦野に比べるとそれは顕著だった。
 経験豊富だというわけではない。ただただ積極的なのだ。貪るようにのめり込んでくる。
 そして滝壺に引きづられるように麦野も肉体を浜面に晒す。
 淫らさが淫らさを呼ぶ二人の女は理想的であったし浜面は贅沢すぎると感じていた。
 だからと言ってどちらかを手放すなんてことを考えたこともない。地獄に落ちるまで、否、地獄に落ちても手を離さない。

 高い体温に包まれ浜面のペニスが震える。奥歯がガクガクとなる。
 舌をうねらせるたびに、歯が甘く立てられるたびに、あふれ出た唾液が滝壺のすっきりした顎のラインを伝わる様に、
浜面の心の中に形の持たない答えのない何かが積み重なって崩れ落ちそうになる。

(濃い味はしないけど――満たされてるから――私――)

186 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/27 21:37:42.68 UZVp3pbBo 29/41

 じゅくりと滝壺の淫蜜が溢れ出て太ももを短くつたって床に落ちる。落ちて麦野の蜜と混ざり合う。
 朝から二人で何度も何度も愛撫し口に含んだのだ。雄の臭いなど欠片も残っていない。
 それでも滝壺理后はいやらしく舌を絡め心のまま吸い込む。戸惑いも焦りもせず淫蕩に唇を窄め吸盤のように強く吸引する。

「やべぇ! 本気で、もうイイだろっ!」

 背骨を、心臓を、脳みそを全て鷲掴みにして掻き乱して一つに纏まって股間から放出する。
 そんな獣じみた妄執が浜面全体を支配する。

 思いっきり、射精したい。

 もう数時間もお預けを食らっているのだ。
 性欲豊富な健康体の青年にはどれほどの苦痛か。
 滝壺理后も麦野沈利も美しい少女であるのだからなおさらだ。

 ローションが唾液に書き換えられて、浜面の陰茎がびくびくと震える。
 快楽の電流がすべての神経を支配する。

 うふふ、と少女が笑った。

 ちゅる、と滝壺が口を離す。唾液が陰茎と唇とを一瞬つなぎ重さで切れる。

 そして、やはり。

「ダメだよ。しあげ」

 ぎゅう、とその根元を抑える。

 悪魔のような笑顔で的確に射精ができないように抑える。
 精巣が限界まで引き上げられ尿道括約筋が役割を果たそうとするのに、悪魔がそれを許さない。
 浜面の顔が青くなる。脳内に快楽が駆け回っているのに出口がない。そんな状態に狂いそうになる。

 十秒、二十秒。

 淫欲の罪で業に塗れて地獄に落ちたとしてもこれほどの苦行が待っているだろうか。

 それなのに滝壺はニコニコと笑っている。
 この娘はサディストかもしれない。今さらのように浜面は戦慄する。

187 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/27 21:38:08.46 UZVp3pbBo 30/41


「頑張ってるね、しあげ」

 波が砕ける寸前まで高鳴り、そして落ちていく。快楽の頂点からゆっくりと滑り落ちるも昂った地は脈動したまま。
 心臓の音はうるさいほど耳に響き己が誰だかを忘れさせる。

 もし両の手足が拘束されてなければ押し倒して貫いていただろう。
 勃起は不自然なほど収まらなかった。
 射精しようとする感覚が失せても狂おしいほどにそれを求めている。
 目の前に最高のメスがいるのに何もできない。すべてを甚振られている。

 もう、何もかもが限界だった。

 今この瞬間能力者として目覚めてもおかしくないぐらい。
 浜面の眼が血走って、全身の筋肉がポンプアップして両手にはうどんのような静脈が浮かび上がっている。

 ぺたり、といつのまに近寄っていたのか。

 裸のままの麦野がシャワーで火照った体をろくに拭かないまま椅子ごと浜面に抱きついてキスをする。

 するりと立ち上がった滝壺が汗ばんだエプロン姿で唇を重ねる。

 そうして、二人が浜面の頭を挟むように両の耳に。
 啄むように囁くように。
 天国への切符を見せびらかすように。

「もっと凄いことしちゃう?」

「我慢した分いっぱい出させてあげるよ?」

「満足してくれるかわからないけど」

「二人で精一杯頑張るから」

 血走った眼のまま二人を見る浜面仕上。ここにいるのは本能を限界まで研ぎ澄ませた一匹の獣でしかなかった。
 枝垂れ架かるように両の腕をそれぞれの胸の谷間に収め。
 示し合わせたかのように二人がその手を浜面のシンボルに伸ばす。

 最後の藁がラクダの背骨をおるように。

 軽く触れただけで。

「っうううっっつっ!!!!」

 浜面仕上は全身を震わせて溜め込んだ精一杯を天井に届くほどに発射した。

188 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/27 21:40:12.35 UZVp3pbBo 31/41

以上です
なんだかんだで浜滝麦でやるとエロ書きやすいですねおっぱいあるし




216 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/30 19:01:52.37 waA+1uKjo 33/41

何レスか貰います
エロありで

217 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/30 19:03:33.70 waA+1uKjo 34/41

 太陽は頂点から摩天楼に顎を載せるほどに時は経ったが空は相変わらずに青い。
 突き抜ける蒼さが宇宙にまで届きそうで道行く若者たちの心を開放している。
 健康的な生活とはこういう天気の下で大きく背を伸ばすことであって、色欲に塗れることではない、はずである。

 全裸のまま拘束されていた浜面仕上は数時間ぶりに両手足の手錠を外された。微妙に硬直した筋肉と乾いたままの喉を癒すこともできないまま裸体を隠そうともしない麦野沈利と滝壺理后に無理矢理浴室に連れ込まれた。
 暗部組織アイテムのアジトのひとつだったこのマンションは家庭用として考えても相当に贅沢な間取りをしており、浴室も過剰と言えるほどに広い。単純に言えば三人の男女が同じ空間にいても十二分なほどに広いのだ。
 長身な浜面は普通の浴槽では充分手足を伸ばすことはできないのだがここの浴室であればそれは可能である。
 窮屈にはなるがあと二人入ることも不可能ではない。
 そして洗い場もそれに匹敵するほどの面積がある。

 正直、学生には過剰な設備だ。
 ホテルの浴場に匹敵する。

 学園都市の過剰な免疫組織であり暗殺部隊であったアイテムの福利厚生がそれなりに立派だったということなのだが、この部屋の維持費を稼ぐだけでも浜面は目眩がすることがある。他のアジトは処分したし超能力者と大能力者の奨学金を考えればさほどの贅沢でもないのだが、いくら世紀末帝王HAMADURAと云えども所詮彼は無能力者のチンピラ。思考できる金額が二人の少女とは隔世と言えるほど異なっていた。

 現状彼はただのヒモである。
 確かに無能力者でチンピラでサル顔で「爆ぜろ」「パパの睾丸から人生やり直せ」などと某ツンツン頭に非道いことを言われまくっているダメ男で果報者ではある。
 しかしそれでも男なのであって現状には満足していない。出来ることならば二人の少女もこれからできるであろう家庭も自分の稼ぎで養いたいのだ。
 そのためにろくに通ってなかった学校に通い始めて無事卒業するために補習もガンガン受けて、更には大型二種やクレーン車や危険物処理者の試験を受けまくっているのである。(鍵開けのスキルを生かした職業で自立したいという目標はあるが、建設関連の資格を持っていれば確実に仕事が入ってくる。毎日のように研究所が設立され廃棄される学園都市の事情を考えると妥当な選択だろう)

 浜面は浜面で必死に考えているのだ。

 しかしながらこの瞬間だけはそのような現実的な考え方は完全に彼の脳裏から失われていた。

 この広すぎる浴場を利用した二人の少女の愛撫に身も心も蕩けそうになっていたからだ。

 FRPの暖かな床に麦野が髪も纏めぬままに寝転がっている。その上に被せるように滝壺が体を重ねている。
 だが麦野の顔は浜面の視線にはない。
 何故なら。

(まじぃ! めちゃくちゃ気持ちいいけどンなこと言えねぇ!)

 くぐり椅子と言われる「口」型の、上面の中央が大きく欠けた椅子に座った浜面の股の下、椅子の中に麦野が頭を突っ込んでいる。
 そして睾丸から蟻の門渡りと呼ばれる部分を経由した排泄口である肛門まで、その全てに舌を這わせて舐めとっているのだ。
 これまで一度もされたこともない経験を、意識過剰なほどの自尊心の塊の麦野が何の躊躇いも見せずに行なっている。男の排泄器という意味ではペニスも一緒なのだが然しながら受ける側の浜面の心理には大きな違いがあった。

 単純な羞恥心。
 肉茎を刺激されて性的快楽を得るのは当然のことだ。しかし肛門とその周辺を刺激されて全身を震わせているとなれば自分を変態だと思い込んでしまう。

218 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/30 19:04:56.05 waA+1uKjo 35/41

「まるでオンナノコだね、しあげ」

 滝壺理后は心理操作系の能力者ではない。対象のAIM力場を「読む」ことである程度の検討は付けられるが学園都市で最下位のレベル0の無能力者である浜面はその限りではない。
 しかしそんな能力などなくても麦野の愛撫の度に身を震わせてる様を目にすれば手に取るように分かる。

 揶揄うように厚い胸板の上に飾り付く乳輪に舌を這わしながら見上げその表情を伺う。
 敢えてペニスに手は触れない。
 そこは当たり前に感じてしまうのだから。
 代わりに先ほどまでの責めで敏感になっている全身の全ての皮膚に指を滑らす。

 滑らかな肌ではない。大小の無数の疵痕が残っている。裂傷であって火傷であって冷傷であって。弾痕が残っていないのが不思議なほどだ。
 その傷には二人でつけたものも多い。滝壺を庇うかわりについた傷。麦野が殺そうとしてついた傷。背中の傷が多いのは逃げたからではない、護ったからだ。
 肩口にも傷が付いている。抱かれている最中に思わず滝壺が噛んでしまうから。
 背中に新しい傷がある。抱かれている最中に麦野が思わず爪を立ててしまうから。

 もっと傷をつけたいと思う。もっと自分を書き込みたいと思う。

 新しい傷の代わりに新しい快楽を埋めつけたい。

 触れていないのにペニスが涎を垂らしている。びくりびくりと高ぶっている。
 二人の少女が浜面の新しい性感を掻き出しているからだ。
 綺麗に洗っているから排泄物など欠片も残っていない、そのはずだがそうでないかもしれない。それでも麦野は浜面の肛門に舌を這わせる。
両手で宝物を掲げるように陰嚢を優しく揉みほぐす。
 体温が上昇して新たに体臭が漂ってきた耳の裏に舌を這わせながら滝壺がボリュームのある胸を浜面の胸板に押し付ける。
 彼女らが彼にされたように、彼が彼女たちにされている。

「お前ら――後で覚えていろよ――」

 息を乱しながらそれでも浜面が声を上げる。
 快楽に屈しているのではないと。
 快楽を引きずり出すのは好きな癖に引きずり出されることはプライドが許さないのだ。
 だがもうそれももう時間の問題。
 彼のシンボルは既に限界だ。崩壊は目に見えてる。背中の皮膚が毛羽立ち全身の汗腺が吹き出す。浴室で湿度が高いため汗は外に逃げていかない。
 それだけではない。嗅げば明確に雌の性臭がする。二人の少女が発している匂いが密室である浴室に満ち満ちている。愛撫に没頭することで喜んでいるのだ。

 じゅくり、と自分の股間が湿っていることを麦野は感じた。
 これまでのこととこれからのこと。期待と不安と。
 嫌がられないだろうか。変に思われないだろうか。
 全部の自分を受け入れてくれるだろうか。
 自分が非の打ち所のない美人だと確信して、それを裏打ちするほどの外観を持っていても麦野は自分に自信がない。
 滝壺ほど強くないと知っている。全てを捨てて腕の中に飛び込んでいける強さがない。
 勝てないと思っている。
 それでも負けたくはなかった。この気持ちだけは。

 どろり、と自分の性器が蕩けていることを滝壺は知っていた。
 彼女は自分に自信がない。いつ自分が消えてもおかしくないと思っているしそんなことばかりを考えていた。
 生きていたのは死ななかっただけ。いつかはわからない崩壊の時をただ漫然と受け入れていた。
 ファミレスで麦野、絹旗、そしてフレンダと話している時間は楽しかったし、暗殺の仕事も楽しみこそしなかったものの自分の存在価値だと思っていた。
 そんな自分の全てを壊し再構築した男。
 彼は全能の神様でもカッコ良く危機を切り抜けるヒーローでもなかった。
 それなのに今は生きたいと思っている。一日でも長く生きて彼の傍にいたいと思っている。晴れの日も雨の日も歓喜の日も残酷な日も寄り添っていたいと思っている。
 だから全部。自分のための自分だってあげよう。

219 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/30 19:06:19.69 waA+1uKjo 36/41

 何かに取り付かれたかのように、シンクロしているかのように二人が浜面から離れた。
 滝壺が浜面から一歩下がるとするりとくぐり椅子から抜けた麦野が尻を軸として体を半回転し腹筋で上半身を起こす。
 椅子に座った浜面を見下ろす滝壺と見上げる麦野が同じ笑顔で同じように笑う。きっと心の中身が一緒だからの結果。
 二人とも髪は濡れ肌にぺたりと張り付いている。ざっくりと短くおかっぱにした滝壺の黒髪と長い麦野の茶髪と。
黒髪の重さはボリュームで抑えられ、長髪の膨らみは抜いた色で抑えられている。一枚の絵になりそうなほどに二人のバランスがいい。
 麦野の肢体は長く乳房や臀部も大きく張っている。日本人離れしているが下品になってはいない。スラングで言うところのブロンズ女のような男をそそる身体なのに開ききった花というよりもこれから花開く蕾のような甘やかさを醸している。
 一方の滝壺の肉体は麦野ほど我侭ではないにせよ、十二分に豊かだ。手に余るほどの乳房と括れた腰と。飛鳥時代の仏漆像のような流れるような官能的な空気を身に纏っている。

「ねぇ、仕上。ちょっと仰向けに寝てくれる?」

 ただただ美しいばかりの少女たちが浜面に横になるように示した。
 FRPの床はほんのりと暖かく、それに寝そべると重力に逆らうが如きに浜面の逸物が天を突く。へそに届きそうなほどで、割れた腹筋に張り付きそうなほど高ぶっていて、それでもやはり上をむいている。
 床と一体化していながら性器のシルエットだけが乖離していた。

「しずりが先ね」

「――いいの?」

「うん。前は私が先立ったから」

 くぐり椅子を片付ける、湯船に放り込まれいたボトルを滝壺が取って麦野に渡す。
 先ほど見かけた浜面は海草で作られたローションが入っていると見て分かった。
 適温に温められたローションを何に使うのか、何となく検討は付いていたが浜面は何も言わない。
 当たっていれば嬉しいが、そうでなかったら侮辱になるかもしれない。
 だが、三人が考えていることはどうやら同じのようだった。

「うん。あったかいね」

 体温より若干上程度の温度のローションを麦野が浜面のペニスに塗りつける。亀頭冠にも肉茎にもまんべんなく隙間なく。
 細く長く綺麗な手で纏わされることで浜面が短くうめき声を上げる。

 でもこれは下準備。
 隙間なくローションを纏ったところで浜面のシンボルは開放される。

 そして麦野は大きく足を開いて鼠径部の後方にたっぷりのローションを含ませた。寝そべった浜面からは滑稽な姿に見えたが笑うというよりは何をされるのだろうという期待の方が意識を支配している。

「大丈夫、かな?」

 準備を終えて立ち上がる麦野。その臀部は全体でないにせよローションで光っている。準備は万全だとしても未経験であることが怖いのだ。
 不安がる麦野を、

「大丈夫。私が応援してる」

 同じく未経験な滝壺が背中を押す。
 滝壺の言葉に、麦野はうん、と小さくうなづいた。

 何時も自信満々で暴力的で、それでいながら浜面に嫌われるかもしれないと思うだけで小さく震えてしまう麦野が精一杯の勇気をもって寝転がった浜面の体を跨ぐ。
 浜面の顔を見ながら蹲踞の姿勢で腰を下ろし脈動するペニスを手に取る。

「動かないでね――」

220 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/30 19:08:08.86 waA+1uKjo 37/41

 ゆっくりと麦野が体を落とす。ペニスの先端が麦野に触れる。

 しかし、そこは膣口ではない。

 そのもっと後ろ。浜面が散々嬲られた場所。
 肛門。排泄口。
 そこに浜面の亀頭が当てられた。

 アナルセッ○スという言葉ぐらい浜面でも知っている。過剰な性情報を簡単に入手できる現在で、ましてや若い男女ばかりで構成されている学園都市で、行儀のいい子なんて落ちてきやしないスキルアウトの中にて知らなかったとしたらそちらの方が健全ではないぐらいだ。
 だが浜面にはそんな経験はない。そもそも、この二人以外の女を抱いたことがない。
 当然、肛門性交などは初めてのことだ。

「準備してきたから。汚いとか思わないでね」

 不安そうな顔で麦野が浜面を見つめる。
 膣よりも弱く避けやすい腸がどうなるのかの不安ではなく、自分が嫌われるかもしれないという不安。
 ぐっ、と浜面の中で何かが沸き上がる。

「思うわけないだろ。沈利の体に汚いところなんかねぇよ」

 その言葉に、麦野の目が開かれる。唇の端が柔らかく解け全身の筋肉が弛緩した。
 そして、ゆっくりと浜面の肉茎を肛門で受け入れ始める。

「ぐぅ、うっ、あうっ……」

 瞬間的に麦野の全身から細かい汗が吹き出た。本来一方通行である其処を、外部から強制的に開いて受け入れる。
 もちろん今日のこの日のために色々と準備はしてきている。肉体的に受け入れられるはずだ。少なくとも指の三本は受け入れられるようにしてある。
 しかしそれでも練習と本番とは違う。
 弛緩した筋肉はもう緊張している。必死に奥歯を食いしばり眦には大粒の涙が浮かんでいる。
 ギリギリまで開いて皺のひとつも残っていない肛門は亀頭部分を飲み込んでいた。
 日本人の平均をふた周りは上回る浜面の男根を受け入れるのは長身で鍛えた体を持つ麦野でも相当に苦しいらしい。
 そして状況は最善ではなく、浜面の肉系は茎の中央部分が一番太い形になっており、亀頭の笠を受け入れたとしてもそこが一番太いというわけでもなかった。

「はぁ、はぁ、はぁっ――」

 大粒の涙が汗と一緒に浜面の胸板にぽたぽたと落ちてくる。
 長い髪がカーテンになって浜面から麦野の表情は伺えない。両手が震え、膝ががくがく笑っている。それでいながらしゃがみこむことも出来ていない。
 たっぷりのローションにまみれ、麦野の肛内にも溢れん程のローションが溜まっているはずなのにうまくいかない。
 見れば赤い膣口がパクパクと口を開け、文字通り下の口で呼吸をしているように見えた。

「沈利、無理してやらなくてもいいんだぞ。俺は今でも十二分なほどに嬉しいんだし」

「しあげ、それは優しさじゃないよ」

 痛みと恐怖に全身を震わせる麦野を優しく背後から抱きしめた滝壺が浜面を諭す。浜面は言葉をなくす。
 今の麦野の姿は無様と言っていい。でも投げ出したわけじゃない。
 だからこのようなときに伝えるべき言葉は。

「大丈夫――応援してる」

 耳元でしっかりと。魂に響くように。
 背後からその顎を掴んで自分に向けさせ、滝壺が麦野の唇を奪う。優しく癒すように。
 下から見上げている浜面はどちらの瞳も涙で濡れていることだけが見えた。

「――大丈夫。もう、大丈夫だから」

 何も変わっていない。顔面から吹き出す汗は不自然なほどに浜面の腹筋まで流れ落ちてその中に溢れ出た感情――涙が混じっている。
 それでも麦野は意を決したようにずぶずぶと浜面のペニスを肛門で受け入れていく。
 中央の、一番膨らんだ部分で一度息を吐き、小さく悲鳴を挙げたがそれでも腰を沈めていく。
 そして、浜面は自分の亀頭が麦野のS字結腸に不自然にねじ込まれるのを感じ、その瞬間に全ての肉塊が麦野に吸い込まれていた。

「はは――やった――」

 苦しそうに、それでも嬉しそうに麦野が笑う。
 まるで後光のさした女神のよう。

「私はもう全部、仕上げのものなんだ――」

 高らかに凱旋のように。
 それなのに涙は止まらない。
 本来の機能ではない使い方をされて直腸が違和感を覚えている。苦しくてたまらない。肛門が裂けていないのが不思議なぐらいだ。
 本当にこれで快楽が得られるのだろうか。とても信じられない。
 それでも腸口に異物を受け入れていることで膣口から淫蜜がどんどんと溢れ出ている。子宮が降りて膣内の温度が上がっていることを感じてしまう。
 苦痛を訴えているのに紛れなく辛いはずなのに肉体のどこかが喜んでいる。

「動く、ね――」

221 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/30 19:09:19.55 waA+1uKjo 38/41

 息もできないぐらいに苦しいまま、麦野がずるずると体を引き上げる。
 蹲踞の形から浜面の脇の横に手をついて四肢で体を支えて腰を引き上げる。ズルリズルリと少しづつ浜面の肉茎が顔を出し、亀頭にかかる程度のところで今度は腰を下ろす。
 一回ごとの動作は鈍い。
 苦悶の表情で行う麦野に浜面は何も言えない。言えないがそれでも普通に逸物を肉壺に挿入したほうが精神的にも肉体的にも満足は高いだろう。
 入口は狭く窮屈で、内側は温まったローションで満ちているが膣口のように全体的に包み込むような感覚ではない。膣口のように反応が素直なものでもない。
 なによりも麦野の表情を見るのが辛い。喜んでいるのはわかる。しかしそれは被虐的な奉仕の喜びであって一方的に押し付けられている浜面としては素直に喜べない。
快楽の中での加虐趣味はあってもそれ以外のときにはそんな趣向はないのだ。

 だが、全てが間違いだった。

 一瞬だけ、麦野の表情が変わった。苦痛だけの中に一瞬だけ愉悦が混じった。
 そして、それを再現するかのようにもう一度同じ動きをする。
 ――同じ顔をした。

 背後から滝壺の荒い吐息が聞こえている。大きく引き伸ばされた肛門に浜面の肉塊が収まっているのを見られているのだ。
全身の毛穴が捲れ上がり脂汗を流しているのに直腸のある一部を亀頭が擦るときと、その肉塊が体から抜けていく時に、違う快楽が僅かながら芽生えていた。滝壺の視線はきっとそれをも捉えていた。

 一方、浜面は麦野の腸内がこれまで感じたことのないようにうねり始めたのを感じた。そもそも肛門性交自体が初めてなのだし、比較対照がそれほどないのだが全体を波打つように包み込む感覚は想像したこともないものだった。
 上の方から狭まって徐々に下に行くかと思えば右に流され左に流され、吸い付くような感覚こそないものの大波に弄ばれる小舟のように次にどこから何が来るのかがわからないような不思議な温度があった。

 徐々に、然しながら確実に麦野の動きが早くなる。

「あっ、はぁっ、あっ、あっ、あんっ!」

 リズム良く麦野の腰が上下する。
 あれほど苦しんでいたはずなのに苦痛の色は半分ほどに収まっている。欠けた其処を埋めているのは紛れも無く快楽。
 初めての肛門性交で、心理的ではない肉体的な快楽を麦野沈利は引きずり出していた。

「やべぇ! 沈利の尻、あったかくてすげぇ!」

 惚けたような浜面の叫び。生暖かい直腸粘膜の動きを心の底から楽しんでいる。

「すごいね、しずり。淫乱なんだね」

 興奮と嫉妬の混じった声で滝壺が麦野を詰る。両手を伸ばして容赦なく麦野の淫壺に指を突っ込む。

「あぐっ! ちょ、ちょっと理后、それは無理っ!」

「無理じゃないでしょ。しずりは淫乱なんだもん。大丈夫、いっぱい気持ちよくしてあげるから」

 尻の穴を犯され膣穴をかき回され、麦野は身も世もないほどに淫らに喘ぐ。
 肛虐の痛みは強い。だがそれだけではない。直腸粘膜を巨大なカリ首がかき回す感覚と排泄に似た引きずりだす感覚とがどうしようもないほど心地よく感じていた。

「いや、そこはダメ!」

 滝壺の指が麦野の紅珠に触れる。弾いて嬲る。鮮烈な快感が脊髄を断ち割り脳天まで直撃しちぎれそうな肛門括約筋の痛みが苦痛ではなくなってくる。
 ずどん、と全体重をS字結腸で感じる喜び。浜面の巨大なペニスを全て受け入れる快感。喜びが形となって肛門粘膜がやわやわと波打って浜面を刺激する。
 熱い肉で埋めつくされる下腹部の痛み。それなのに妖炎が瞼の裏に見え隠れする。
 肛門性交に次第に慣れてきた女の体を淫乱と定義するのであれば麦野はまさにそれだった。

「いや、はんっ、ああんっ、あっ……」

 喘ぎながら麦野は幼女のように泣きじゃくる。痛み苦しみ快楽恐怖驚愕怯え嗜虐被虐希望絶望。全ての感情が混沌とひとつになって溢れ出している。自分だけの認識が書き換えられ、麦野は強くなり脆くなる。

222 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/30 19:10:41.89 waA+1uKjo 39/41

「なんかすげぇ、言葉になんないけどめちゃくちゃすげぇ」

 語彙不足を露呈しながらも浜面は興奮を隠せない。滝壺もそうだ。その乳首は痛いほど勃起していて紅に染まる麦野の背中に押し付けられていた。

 ペニスをずるずると引き出す感覚は排泄に似ている。何かを出すという行為には必ず快楽が伴う。そうでなければ壊れてしまうほど生命は脆い。
 一方、ペニスを受け入れる感覚は快楽というより拷問に近い。圧倒的だ。圧倒的すぎて口から内臓がすべて飛び出してしまいそうになる。死の甘美さに似ている。
 二つの方向から光が指すことでくっきりと「生」のシルエットが浮かび上がるのを麦野は感じる。

 そうしている間にも滝壺の指は止まらない。いつまでもこんこんと湧いてくる女液をすべて掻き出そうと縦横に狭い膣の中を駆け回っている。その行為が余計に淫蜜を吐き出させているというのに。

 二人に同時に責められるという、この三人ではよくあるシチュエーションに三人の理性が蝕まれる。どこまでも進化する欲望に皆身を任せる。まだ知らない自分が選ばれていく、そんな印象を脳裏に浮かべながら麦野が長い髪を振り乱した。

 浜面は卑屈な敗北感を覚える。完全に麦野を支配しているのに逆に支配されているように思えて仕方がない。しかしそれは急激に反転し、この完璧な女を支配しているのは自分だという傲慢さが顔を出す。

「そんなにケツが気持ちいいのかよ、沈利」

 狂ったように泣き乱れる麦野に浜面は興奮を隠さない。一瞬だけ悲しそうな顔をした麦野だったが、浜面の言葉に素直に答える。

「気持ちいいよ。もう何もかもわかんなくなっちゃうぐらいに気持ちいい」

 わずかばかりの理性の中で麦野は一体何を考えたのか。素直になれてしまったという浜面と違った敗北感に麦野は微笑んだ。
 実際問題として、やはり膣で受け入れたほうが快楽は勝る。本来の機能ではないのだから当然だ。しかしそんなことはどうでもいいぐらいに興奮していて体の中を木霊している。

「素直になったね、しずり――ほら、こんなに濡れてるよ?」

 淫液に塗れた指を掲げ、滝壺が麦野の口に押し付けると麦野は嫌がる素振りも見せずにその指を舐めとる。生臭い自分の体液なのにそれを受け入れている。

「うっ、またケツが締まってるぞ、沈利!」

 麦野の意識は混濁している。嬌声を上げていることはわかる。指をしゃぶっているのもわかる。排泄口で愛しい男を受け入れていることが一番分かる。強烈な杭打ちに全身の細胞が歓喜の歌を歌っていることを理解する。淫靡な電流に身を任せ喘ぎ声を上げている自分が幸せだと感じている。

「ねぇ、沈利? 何処がいいの? 何処が気持ちいいの?」

 麦野の口から指を引き抜いた滝壺が問う。結果なんてわかっている。それでも言葉に出させる。
 麦野は抵抗できない。

 肉体も精神も全てが支配されている。快楽の奴隷――否、浜面仕上の奴隷なのだ。自覚したのは何時からだろう。日常でも出来るだけしおらしくしようとしていた。素直に甘えたいと思っていた。でも傲慢な自分の殻を外すことができずに今でも暴力的になってしまう。
 その分だけ、夜は乱れた。夜は甘えた。
 今も同じ。自分はアナタのものだよと思いっきり宣言したい。

223 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/30 19:11:47.03 waA+1uKjo 40/41

 ボロボロと泣き崩れながら直腸で感じていると告げた。

「お尻――おしりがいっぱいで気持ちいいの――」

 晒し者のような自分。違う。晒しているのだ。こんな淫らでどうしようもない女だけどあなたのことが好きですと告げているのだ。
 浜面が腹筋で上半身を起こす。泣き崩れた麦野を捕まえて思いっきり唇を重ねる。
 嬉しそうに微笑んだあと、麦野がそっと目を閉じた。

「好きです――」

 倒錯的な性交の中で心だけは純真に麦野沈利は浜面に告白する。

「俺もだ」

 何度目かわからない声遣りにも拘わらず常に新鮮な気持ちになる。
 その気持ちのまま抱きしめて押し倒す。肛門でなのに正常位の形となり獲物に牙を突き立てる獸の体制に浜面は構築されなおす。
 倒錯に積み立てられた、目に眩むようなオルガズムが近づいてきている。鼓動に合わせて突き立てられる直腸粘膜の感覚が堪らない。
 滝壺も股間を擦りながら一人にされないように浜面の背中にもたれ掛かる。奪われないように奪うように。

「む、は、止めないで――最後の最後まで――」

 奪われる唇、酸素を求める呼吸の狭間で麦野が専願する。今この願いを聞き届けることができるのは世界でただ一人だけ。

「しあげ、次は私だからね」

 妖艶な笑みを浮かべたまま大きな背中に手を回す滝壺。淡い陰毛を無邪気に擦りつけている。

 アナルは剛直に抉られて瞳は蕩け、快楽神経に全身を震わせながら麦野は必死に浜面の首に手を回す。

「あひっ、ひん、あっ、あっ、ダメ、もうダメになるっ!」

「うぉ、スゲェ締まるぞ沈利」

「私も、もうイっちゃうかも――二人ともえっちすぎる――」

 三人が三人とも快楽の果てに指をかける。全てがもう限界だった。

「うわぁっ!!! 死んじゃう、もうこんなの死んじゃう!!!」

 超能力者の肛門に限界まで締め付けらる。全身の穴という穴から体液を吹き出しながら麦野沈利が絶頂を迎える。艶かしい嬌声を張り上げながら快楽の境地へと全てを高めていく。

「出るっ、出るぞ、沈利!!!」

 脳みそごと射精するような勢いで浜面が麦野の腸内にどくんと噴射する。腸の壁に白濁液をぶつけられるというこれまでになかった感覚に麦野のオルガスムスは完成し全身を震わす。

「――! ――!!!」

 声にならない声を上げながら、漆黒のような白光のような連続する絶頂に麦野が全身を震わす。

「私もイっちゃうよ、しあげ、しずり――」

 二人の絶頂に合わせるように滝壺理后も限界に達した。じょぼ、という間抜けな音と共に尿が溢れ出て浜面の背中を汚す。アンモニア臭が浴室中に広がっていくが誰も咎めようとはしない。

「――っ!!!」

 最後の一滴まで精液が注ぎ込まれ、ようやく麦野の絶頂が終を迎える。硬直した全身の筋肉が一気に弛緩して、浜面の首にかけた両手だけを覗いて全てが床に投げ出される。
 広がった尿に髪が犯されていくが気にもならなかった。

 痛みはまだある。
 ないわけがない。

 しかしそれ以上の満足を得た麦野は残った僅かばかりの力をすべて集め、必死になって浜面にしがみついて子供のように口付をねだるのだった。

224 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/30 19:13:26.30 waA+1uKjo 41/41

以上です
滝壺アナル系までは書ききれなかった

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