―学校―
キャーキャー! キャーキャー!
イケメン「ハハハ……」
ブサメン(イケメンの奴、今日もモテてやがる)
ブサメン(あーあ、羨ましいなぁ)
元スレ
ブサメン「イケメンと体が入れ替わったぞ!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1478101546/
美少女「イケメン君、勉強で分からないところがあるの! 教えて!」
イケメン「いいとも! これはね……」
ブサメン(オレの憧れ、クラスのアイドル美少女ちゃんまでがイケメンになびいてる!)
ブサメン(おのれ、イケメンめぇ!)
ブサメン(オレだって……オレだって顔さえよければ……!)
ブサメン(イケメン許すまじ!)
放課後――
ブサメン「おい、イケメン!」
イケメン「なんだい?」
ブサメン「ブサイクの恨み、思い知れ! 頭突きだぁっ!」
イケメン「えっ!」
ガツンッ!
イケメン「う……」ムクッ
イケメン「いたたた……イケメンに頭突きをしたら、オレまで失神しちゃったよ」
イケメン「イケメンは大丈夫かな、と……」
ブサメン「……」
イケメン「あれ!?」
イケメン「なんでオレが倒れてるんだよ! どうなってんだ!?」
イケメン「いや、ちょっと待て……」
イケメン「このすらりと美しい指、長い足……まさか!?」
イケメン(窓ガラス!)チラッ
イケメン「……!」
イケメン「やっぱりだ……やっぱりオレ、イケメンになってる!」
イケメン「アハハハハハハッ! やったーっ!」
ブサメン「……うう」ムクッ
ブサメン「うわ、なんだこの体は!?」
イケメン「おおイケメン、お前も気づいたか」
ブサメン「これは一体!? どうなってるんだ!?」
イケメン「オレがやった頭突きで、どうやらオレたちは入れ替わってしまったらしい」
ブサメン「な、なんだって!?」
ブサメン「そ、そんな……今すぐ元に戻ろう! やっぱり心と体は一致してないと……!」
イケメン「イヤに決まってんだろ!」
イケメン「せっかくイケメンになれたんだ。この体で思う存分楽しんでやるぜ!」
イケメン「ま、お前もせいぜいブサメンで頑張ってくれや!」
イケメン「アーッハッハッハッハッハ!」
ブサメン「あああ……」ガクッ
―ブサメンの家―
イケメン「ただいまー!」
ブサメン母「あら、お帰り。って、誰よあなた?」
イケメン「オレだよ、お母さん」
ブサメン母「ハァ?」
イケメン「あんたの息子だよ!」
ブサメン母「息子……?」
ブサメン母「あたしの息子はもっともっとブサイクよ」
イケメン「あっ!」
イケメン(そうだった……イケメンと入れ替わったの忘れてた)
イケメン「すみません、失礼しました!」タタタッ
イケメン(にしても、もっともっとブサイクよ、はねえだろ! お母さん!)
―イケメンの家―
イケメン「ただいまー!」
イケメン母「お帰りなさい」ニコッ
イケメン(うおっ、美人! さすがイケメンのお母さんだぜ!)
イケメン母「おやつ用意してあるけど、食べる?」
イケメン「食べます食べます!」
イケメン母「はい、どうぞ」コトッ
イケメン(うおお……見たこともないケーキだ。うまそう)
イケメン(うちでおやつっていったら、だいたい柿ピーかチョコバットだもんなぁ)
イケメン「いただきます!」ガツガツ
イケメン母「……あら?」
イケメン母「今日のあなたはいつもよりお下品ねえ」
イケメン「え!? あ……そうかな? ハハハ……」
イケメン(まずいまずい、怪しまれないうちにイケメンの部屋に行くとするか)
イケメン「オレ、自分の部屋に戻るね!」
イケメン母「今日もお勉強? 頑張ってね」
イケメン(家で勉強なんて、せいぜいテスト前しかしたことないや)
イケメン(ここがイケメンの部屋か……)
イケメン(きちんと整理整頓されてる。グッチャグチャなオレの部屋とは大違いだ)
イケメン(あ、ギターがある。やっぱモテる男はちがうねえ)
イケメン(ここにはクローゼットがある。何が入ってんだろ)ガチャガチャ
イケメン(ちっ、カギかかってて開かねえや)
イケメン(ふかふかのベッド……気持ちいい)ドサッ
イケメン(よーし、明日からは本格的にイケメンライフを満喫してやるぞ!)
―学校―
キャーキャー! キャーキャー!
女生徒A「イケメンくん、おはよう!」
女生徒B「今日もかっこいいわ~!」
女生徒C「ステキ!」
イケメン「おはよう、みんな!」
イケメン(これだよこれ! 顔さえよければ、オレだってモテるんだ!)
イケメン「一方、あいつは――」チラッ
ブサメン「……」ポツーン
イケメン(ハハハ、ぼっちだ)
イケメン(当然だわな! いやー改めて見ると、オレの顔ってホントブサイクだな!)
キャーキャー! キャーキャー!
「イケメンくーん! 後で一緒に昼ごはん食べよ!」
イケメン「いいとも!」
「イケメン! 後でリフティング見せてくれよ!」
イケメン「いいともいいとも!」
「イケメン君、後で勉強教えて~」
イケメン「もちろんだとも!」
イケメン(みんなにチヤホヤされるって、なんて気持ちがいいんだ!)
美少女「あの……イケメン君」
イケメン(美少女ちゃん!)ドキッ
イケメン「な、なんだい?」
美少女「今度のお休み……二人でデートしない?」ボソッ
イケメン「!」ドッキーン
イケメン「うん、デートしよう!」
美少女「ホント!? やったぁ!」
イケメン(美少女ちゃんとデートできる……オレ、もう死んでもいい!)
ブサメン「……」モグモグ
「イケメンくん、昼食食べよ!」
「イケメンくぅ~ん!」
イケメン(お前がぼっち飯してる間に、こっちはハーレムランチを楽しませてもらうぜ!)
イケメン「……でさぁ~」クッチャクッチャ
イケメン「今期のアニメで一番は~……」クッチャクッチャ
「今日のイケメン君、なんかおかしくない?」
「うん……行儀悪いし、話題もなんか……」
「あたし食欲なくなっちゃった……」
イケメン(あ? なんだよなんだよ、なんでみんなノッてこないんだよ!)
イケメン「リフティングは……」
イケメン「こう!」ポロッ
イケメン「あれ? ……こう!」ポーンッ
「どうしたんだよ、イケメン?」
「いつも100回以上やってくれるのに」
「ふざけてるのかよ?」
イケメン「い、いや……違うんだ! これは違うんだ!」
「イケメン君、ここ教えて~?」
イケメン「えぇとね、これは……」
イケメン(やべえ……分からねえ)
イケメン「これはえぇと、その……」
「どうしたの?」
イケメン「ご、ごめん……分からない!」
「ウッソー!」
イケメン(くそっ……こんなはずじゃ!)
イケメン(どいつもこいつもオレに失望しやがる! ムカつく!)
イケメン(やっぱりモテるには中身も伴わなきゃいけないってことか?)
イケメン(いや、そんなはずはない! オレがモテなかったのはブサイクだったせいだ!)
イケメン(あんなザコ女どもやクソ男どもなんかはどうでもいい!)
イケメン(美少女ちゃんとのデートは絶対成功させてやる!)
日曜日――
―駅前―
イケメン「や、やぁ」
美少女「どう? おめかししてきちゃった!」
イケメン「と、とてもステキだよ!」ウヒヒ…
イケメン(よぉーし、オレお得意のアニメトークで彼女をブヒブヒ言わせてやる!)
――
――――
美少女「……」
イケメン「でさぁ~、やっぱり今の時代円盤の売上が物をいうよね~」ペチャクチャペチャクチャ
美少女「ごめん……体調悪くなったから、帰るね」スタスタ
イケメン「……は?」
イケメン「……」ポツーン
イケメン「なんだよ! なんなんだよ!!!」
イケメン「なんでこうなるんだよおおおおおおおおう!!!」
―学校―
イケメン「……」ポツーン
「ブサメン、お前って結構すごいヤツだったんだな!」
「ブサメン君、おもしろーい!」
「ブサメン、勉強教えてくれよ!」
ブサメン「ハハハ……」
ブサメン「さ、みんな、そろそろ解散しよう」
キャーキャー! キャーキャー!
イケメン(あいつ……あのツラにもかかわらず、クラスの人気者になってやがる)
イケメン(結局、容姿が悪くとも、中身がよければ人気者になれるってことなのか……)
イケメン(それに、あの生き生きした顔はどうだ!?)
イケメン(なんであいつ、オレの顔になったのにあんなに生き生きしてられるんだ!?)
イケメン(きっと……なにか秘密があるに違いない!)
―ブサメンの家―
ブサメン「ただいま!」
ブサメン母「あら、お帰り。相変わらずブサイクねえ」
ブサメン「褒め言葉をありがとう、お母さん」
イケメン(なんというポジティブさ……オレとは器が違いすぎる……)
イケメン(よし……オレも入ろう)
イケメン「こんにちは!」
ブサメン母「あら、いつだったかの……」
イケメン「今日はブサメン君と遊ぶ約束をしておりまして……」
イケメン「お邪魔します」
ブサメン母「どうぞどうぞ」
イケメン(なんだ……? オレの部屋から声が聞こえる)
「ああ……なんて美しい……」
イケメン(あいつ、なにやってんだ?)
「君は最高だよ……」
イケメン(ちょっと覗いてみるか)チラッ
ブサメン「美しい……なんという美しさだ」
ブサメン「ああ……この体が手に入るなんてなんという至福……!」ウットリ…
イケメン「!!!」ガーン
イケメン(でかい鏡の前で、うっとりしてやがる!)
イケメン(そうか、あいつああやって自己暗示を……!)
イケメン(だから、ブサメンになってもあんなに生き生きすることができたんだ!)
イケメン(オレはイケメンになったら容姿に頼りきりだったけど)
イケメン(あいつはブサメンになっても諦めず、常に努力してたんだ……!)
イケメン(だけどもういいんだ……お前がそんなに苦しむ必要はない!)
イケメン「すまなかった、イケメン!」ガチャッ
ブサメン「うわっ!?」
イケメン「オレの逆恨みで、お前を苦しめてしまった……今こそ元に戻ろう!」
ブサメン「え、いや、別にボク、苦しんでなんか――」
イケメン「もう一回頭突きするぞ! ――えいっ!」
ガツンッ!
ブサメン「う……」
イケメン「ううん……」
ブサメン「どうやら元に戻ったようだな……」
イケメン「うん……」
ブサメン「オレの身勝手で短い間だったけど、苦しい思いさせてごめん」
イケメン「いや、そんなことないよ。ボクは楽しかったよ」
イケメン「それじゃあ、ボクは自分の家に帰るね」スタスタ
ブサメン(イケメンは、やっぱり心までイケメンだったんだ……)
ブサメン(今回のことでオレは多くのことを学んだ……)
ブサメン(オレはしょせん容姿を言い訳にしていたに過ぎなかったんだと)
ブサメン(ただしイケメンに限るなんていうけど、やっぱり中身がひどけりゃモテるのは難しい)
ブサメン(これからは自分を磨いていこう!)
ブサメン(勉強にスポーツに礼儀作法に、イケメンのようにイケてるブサメンを目指すんだ!)
ブサメン(オレの人生の目標は……イケメンだ!)
―イケメンの家―
イケメン(ブサメン君の体は惜しかったけど……まあしょうがない)
イケメン(あの美しい体には、やはりあの美しい心が相応しい)
イケメン(それと、このクローゼットを開けられてたら、まずかった)
イケメン(なにしろこの中には、隠し撮りしたブサメン君の写真が大量に入ってるんだからね)
イケメン(今回、彼の肉体を体験したことで、ボクはさらに彼に惚れてしまった)
イケメン(これからは猛烈アタックをかけていくからね、ブサメン君!)
イケメン(ボクの人生の目的は……ブサメン君だ!)
<終わり>

