あやめ速報-SSまとめ-

妹「ねえお兄ちゃん、妹に殺されちゃうのってどんな気持ち？」

妹「まあ、答えられないと思うけど」

妹「でもね、全部お兄ちゃんがいけないんだよ？」

妹「お兄ちゃんが他の女の子と仲良くしてるから…」

妹「お兄ちゃん、こないだ女の子とデートしてたでしょ」

妹「あれ、私の同級生だよね？」

妹「お兄ちゃんがあんなに楽しそうなの、初めて見た」

妹「私と一緒のときでもあんなに楽しそうじゃないのに…」

妹「それなのに…お兄ちゃん、あんな女の子と…」

妹「しかも私と同い年の女の子…」

妹「どうして？どうして私じゃだめなの？」

妹「私がいるのに、どうして同い年の女の子と仲良くするの？」

妹「お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃん…」

妹「他の、しかも私の同い年の女の子になんて…」

妹「ね、お兄ちゃん？」

妹「痛い？痛いでしょ？」

妹「私みたいな弱い力じゃ深く刺せないもん、意識が飛んじゃうまでずっと痛いまま」

妹「どう？じわじわ殺されるのは？」

妹「お兄ちゃんのこんな姿…ふふふっ、ゾクゾクしちゃう」

妹「お兄ちゃんと一緒にいた女の子、私の友達なんだ」

妹「私がいるのに、私の友達と一緒に…」

妹「お兄ちゃんも友達も、ほんとバカだよね」

妹「私からお兄ちゃんを奪う奴なんか…許せない」

妹「だからね、殺しちゃった」

妹「ふふふっ、あいつね、本当にバカだよ、ははは」

妹「だって、夜の人気のない公園にさ、ふっ、普通呼び出されても、怪しいとか思うでしょ？」

妹「なのにあいつ、なんにも疑わないで来たんだよ、はははっ、さいこーにバカだよね」

妹「で、まんまとやってきた所を後ろから…ぐさっ、と」

妹「ふふふふっ、あははははっ、ほんと、あんな簡単に人って死んじゃうんだね」

妹「もうそろそろ誰かが見つけちゃうかなー？そしたら私、捕まっちゃうね」

妹「でもねお兄ちゃん、妹を殺人犯にしちゃったのも、こうやってお兄ちゃんも殺そうとしてるのも、ぜーんぶ、お兄ちゃんのせいなんだよ？」

妹「私のお兄ちゃん、私だけのお兄ちゃん…だから…」

妹「ねえ、私、なにか…間違ってるかなぁ？」

妹「お兄ちゃんのため…これはお兄ちゃんのためなの」

妹「お兄ちゃんの、お兄ちゃんのぉ………うぁぁぁん……」

妹「ごめんね…お兄ちゃん……こんな妹で…」

妹「でもね…でもね…どうしても……許せないの」

妹「私の大好きなお兄ちゃん、大切なお兄ちゃん…」

妹「あんな奴に、取られるぐらいなら…」

妹「だけどねお兄ちゃん……一回虫のついた食べ物なんか、食べたくないよね？」

妹「それと一緒、お兄ちゃんも、綺麗にしなくちゃ…」

妹「今のお兄ちゃんは、私の好きなお兄ちゃんじゃないの」

妹「だから言ったでしょ？ぜんぶ、お兄ちゃんがいけないんだって」

妹「許せないのは、あいつだけじゃない…お兄ちゃんもだよ」

妹「殺されても…仕方ないよね？」

妹「お兄ちゃん、まだ生きてる？」

妹「すごい……血、止まんないね」

妹「このまま放っといても死んじゃうけど、最期ぐらい……私が殺してあげる」

妹「ふふふっ、妹に殺されるお兄ちゃん……さいっこーに興奮しちゃう」

妹「自分のことが大好きな女の子に殺されるなんて…お兄ちゃん、幸せ者だね」

妹「じゃあ……ばいばい、お兄ちゃん」ｻﾞｸｯ

妹「はあっ、はあっ……」ｻﾞｸｯ ｼﾞｭﾌﾞｯ

妹「お兄ちゃんの血…いっぱい…」

妹「これだけ…すれば…」ｸﾞﾘｭｯ ｸﾞﾁｭｯ

妹「はは…殺しちゃった……私のお兄ちゃん…」

妹「あは、はははは、はははははっ」

妹「これで、やっと二人になれるね」

妹「私も……すぐそっちに行くから」

妹「お兄ちゃんの血がいっぱいついた包丁…」

妹「確実に死ぬならもっといい方法なんていくらでもあるけど…やっぱり、死ぬときも、お兄ちゃんと一緒がいい」

妹「お兄ちゃん…お兄ちゃんの隣で…私も…」

妹「お兄ちゃん…見ててね……私の…死ぬ…ところ……」

妹「お兄ちゃん…お兄ちゃん……！」ﾌﾞｽｯ

妹「んうっ！？…かはっ……い…いた……」

妹「…っく……ぐぅっ……ん…ああっ…！…」ｽﾞﾘｭｯ

妹「っ……ぁ………」ﾄﾞｻｯ…

妹「(痛い……血……いっぱい出てる………)」

妹「(お兄ちゃんの血と……私の血で……いっぱい………)」

妹「(お兄ちゃんも………こんな痛かったのかな……)」

妹「(でも……もうすぐまた会えるね………)」

妹「(ずっと……一緒だよ…………お兄…ちゃん………)」


おわり