ペパロニ「どうしたんすかドゥーチェ?熱いうちに食べないと美味しくないっすよー」
カルパッチョ「?」
アンチョビ「いや、少し思い出していた」
カルパッチョ「何を思い出していたんですか?」
ペパロニ「このカレーパン、ウチの特製っすよー」もぐもぐ
アンチョビ「……」
カルパッチョ「ドゥーチェがそんなふうに寂しく笑うなんて、一体何があったんですか?」
ペパロニ「?」もぐもぐ
元スレ
【ガルパン】アンチョビ「カレーパンか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475137666/
アンチョビ「!なぁに、大した話じゃない。幼稚園の頃、弁当にカレーパンが入っていただけだ」
ペパロニ「おおっ!ドゥーチェの幼稚園の話聞きたいっす!!」
カルパッチョ「お弁当に…カレーパンですか??」
アンチョビ「ああ…うちはあまり裕福じゃないのは知ってるだろ?」
アンチョビ「だから私がちっちゃい頃から、両親も稼ぐのに精一杯でな」
アンチョビ「私のお弁当はいつも、惣菜売り場の安売りおにぎりか、半額シールのついた調理パンだったんだ」
ペパロニ「へ、へぇ……」
カルパッチョ「……」
アンチョビ「…お昼になるとみんなは手作りのお弁当を鞄から引っ張ってきて」
アンチョビ「綺麗なナフキンと自慢のお弁当を机に並べて、みんなとおかずを交換したりして、お昼を楽しんでいた」
アンチョビ「…私は母のお下がりの、ボロボロのピンクの鞄から毎日ビニールに包まれたおにぎりやパンを出しては封を切りそれを食べていた」
アンチョビ「それまで仲良く遊んでいた子たちも、お昼になった途端ぷっつりと糸が切れるみたいにあっち行くんだ」
アンチョビ「当時の私は何も感じなかったけどな。今日は何が入ってるかなーって鞄を漁るので手一杯だったし」
アンチョビ「周りと違うなんて思ったことも自覚したことすらなかったし、それが嫌だとも思わなかった」
アンチョビ「……でも毎日毎日同じパンやおにぎりだと飽きるんだ。好きな具だったらいいけど、周回すると、さすがにな」
ペパロニ「……」
アンチョビ「そんなあるとき給食の日があった」
カルパッチョ「イベントとかで……ありますね…そういう日」
アンチョビ「うん。でそれがカレーだったんだよ」
アンチョビ「それが美味しくてなぁ。帰ってお母さんに話したんだ」
アンチョビ「当時は家のお金なんて考えないだろ?幼稚園児だしさ。それでお母さんにカレーがいいカレーが食べたいってねだっちゃって」
カルパッチョ「……」
アンチョビ「そしたら次の日、カレーパンが入ってた」
アンチョビ「相変わらず半額シールが貼ってあったけどな」
アンチョビ「私はそれが嬉しくて嬉しくてたまらなかった」
アンチョビ「どんな好物の物より、あれが一番美味かったと思う。お母さんがどこからか、手に入れて願いを叶えてくれたパンだ」
アンチョビ「嬉しかったんだ…私は…」
カルパッチョ「……」
ペパロニ「……」
アンチョビ「まっ!カレーパンを見るとその時のことを思い出してちょ~っぴりセンチメンタルな気分になるってことだ!」
アンチョビ「私のくだらない幼少時代の話さ!さぁ食うか!ちょっと冷めちゃった」
ペパロニ「う…」
ペパロニ「うわぁぁぁ!!そんな過去があったなんてぇぇえ」
アンチョビ「お、おいなんだ急に…」
ペパロニ「健気っす!!ドゥーチェ可哀想っす!!」
アンチョビ「可哀想ってなんだ!私は私で幸せだったんだよ!ほっとけ!」
ペパロニ「うぅぅ…当時のドゥーチェに昼飯作ってあげたいっす!」ぐすぐす
アンチョビ「う…あのなぁ…。ああは言ったけども、私は別に辛くもないし晩飯はちゃんと家で作った飯あったんだぞ」
アンチョビ「そりゃあ確かに仕事帰りの母親が半額シールのお弁当買って帰ってくることの方が多かったかもしれないけど…」
アンチョビ「小学校になれば私がご飯作ってたし心も体も健康だったんだよ!」
ペパロニ「うぅぅ…ドゥーチェこれあげるっす…」ぐすぐす
アンチョビ「これお前の食べかけだろうが!!」
アンチョビ「というか同情するな!!そんな反応されると今更惨めになっちゃうだろ!!?」
カルパッチョ「ドゥーチェ…」
アンチョビ「うん…?」
カルパッチョ「大丈夫ですよ…」ぎゅー
アンチョビ「お前もか!離せ!私は大丈夫だから!!」
カルパッチョ「あぁドゥーチェ…」
アンチョビ「全くもう……」
ペパロニ「貧乏だから…ウチに来たんスね…」
アンチョビ「ス・カ・ウ・トだ!!」
アンチョビ「ま……おかげで料理に強いアンツィオでも、こうしてやっていけてるし」
アンチョビ「感謝しているさ…」もぐもぐ
ペパロニ「うぅ、ぐすぐす」もぐもぐ
カルパッチョ「ドゥーチェ…ぐすん」もぐもぐ
アンチョビ「はぁ……もぐもぐ」
アンチョビ「…ん」
アンチョビ「このカレーパン、美味いな」
おしまい。