裁判長「これより魔女裁判を開廷します」
裁判長「審理にかけられる女性は、すみやかに入廷して下さい」
魔女「応ッッッ!!!」
元スレ
裁判長「これより魔女裁判を開廷します」魔女「応ッ!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1473080014/
裁判長「改めて説明すると、この裁判はあなたが魔女であるかを、審理するための裁判です」
魔女「うむ」
裁判長「これより便宜上あなたを魔女と呼ばせてもらいますが……」
裁判長「魔女よ、まず年齢と性別と答えていただけますか?」
魔女「よかろう」
魔女「年齢16ッ! 身長205cmッ! 体重165kgッ! 性別女ッ!」
裁判長「本当に……女性ですか?」
魔女「女だ」
裁判長「気を取り直して、さっそく裁判を進めていきましょう」
裁判長「彼女に出廷を命じたのは、検事殿と聞いています」
裁判長「いったいなにゆえ、彼女を魔女として出廷させたのでしょう?」
検事「実は以前より、彼女が住んでいる村には魔女がいるという噂があった」
検事「そして今回、王の命令で国内にいる魔女を探し出すようにと命令が下った」
検事「そこで私自ら兵を率いて村へ急行したところ、彼女が自ら進んで現れたというわけだ」
裁判長「なるほどなるほど……よく分かりました」
弁護士「――しかし!」
弁護士「それだけで彼女を魔女だと認定するのはあまりにも早計であります!」
弁護士「弁護側としては、さらに詳しく審理することを要求します!」
裁判長「たしかに、あなたのおっしゃる通りです」
裁判長「魔女よ、あなたには自分自身を魔女と証明する方法がありますか?」
魔女「無論ッ!」
裁判長「どうやって証明するつもりですか?」
魔女「瓦を割ってしんぜよう」
裁判長「瓦を……!?」
魔女「そこに立っている兵士よ、瓦を今すぐここへ持ってこい」
兵士「はっ!」ビシッ
兵士「瓦を10枚持ってきました!」ゴト…
魔女「ご苦労」
魔女「せりゃッ!!!」
バキャァンッ!
オォ~…… パチパチパチパチパチ…
裁判長「積み重なった10枚の瓦が……粉々に!?」
裁判長「ふむ……素晴らしい」
検事「素手でこれほどの芸当をできる者は、我が国にもそう多くはないだろう」
弁護士「ですが、これだけでは彼女を魔女と認定することは不可能です!」
裁判長「その通りです」
裁判長「魔女よ、あなたには他になにかできることはありませんか?」
魔女「もちろんある」
裁判長「ほう? ならばお願いします」
魔女「瓦を割ってしんぜよう」
兵士「瓦を20枚積み重ねました!」
魔女「ご苦労」
魔女「破ァッ!!!」
バキャァァァンッ!
オォ~…… パチパチパチパチパチ…
裁判長「なるほどなるほど……大変素晴らしいものを見せてもらいました」
裁判長「ですが、これだけでは魔女認定することはできません」
魔女「もっともな意見だ」
裁判長「ですので、他の魔法も見せていただきたいのですが」
魔女「よかろう」
魔女「瓦を割ってしんぜよう」
魔女「覇ァッ!!!」
バキャァァァァンッ!
オォ~…… パチパチパチパチパチ…
検事「30枚もの瓦が……あっけなく……ッ!」
弁護士「しかも、彼女の拳は傷一つつかず、赤くすらなってない……!」
裁判長「大変よく分かりました」
魔女「ようやく理解してくれたか」
裁判長「ですが、瓦を割るという行為は魔法というよりは、格闘術に近いと思われます」
魔女「いわれてみれば……」
裁判長「なので、火や雷を出すといった、もっと分かりやすい魔法を見せていただけないでしょうか?」
魔女「うむ、了解した」
魔女「瓦を割ってしんぜよう」
バキャァァァァァンッ!
オォ~…… パチパチパチパチパチ…
裁判長「あの頑丈な瓦を……! 40枚も粉砕してみせるとは……!」
裁判長「よく分かりました」
魔女「分かってくれたか」
弁護士「しかし裁判長! 今の段階では、彼女を魔女と断ずるのは難しいと考えます!」
裁判長「弁護側のおっしゃる通りですね」
魔女「ふむ……貴様らの目は節穴のようだな。第二段階に進む時が来たようだ」
魔女「兵士よ、煮えたぎる油の入った釜を持って参れッ!」
兵士「はっ!」ビシッ
グツグツ…… ボコボコ……
魔女「ふっふっふ、よく煮えたぎっておるわい」
魔女「もし、この中に入って私が死ななければ、私が魔女である証明になろう」
裁判長「いや、そこまでする必要はありませ――」
魔女「脱衣(テイクオフ)ッ!」バサァッ
裁判長「こ、これは……! なんと豊満な……胸筋(バスト)ッ!」
検事「縞パン……だと……!?」
弁護士「悪夢だ……」
魔女「いざ入浴ッ!!!」ザバァァァンッ
グツグツ…… ボコボコ……
兵士「湯加減はいかがですか?」
魔女「知れたこと……」
魔女「ぬるま湯、ぬるま湯ゥ!」
魔女「まるで、極北の海に浸かってるかのような気分よ! グワッハッハッハァ!!!」
兵士「火加減、強くしまーす!」
魔女「FIRE!」
魔女「どうだ? 私が魔女だと認めるか?」
弁護士「……いいえ」
魔女「!」ピクッ
弁護士「たしかに煮えたぎった油に浸かって無傷なのは超人的といえます」
弁護士「ですが、ただ単にこの女性が熱さに強いだけという可能性もある!」
弁護士「この女性の皮膚や筋肉の厚さなら、十分に熱さに耐えることは可能です!」
裁判長「た、たしかに……!」
魔女「往生際の悪い奴め……ッ!」
魔女「ならばギロチンと処刑人を用意せいッ!」
兵士「はっ!」ビシッ
処刑人「このギロチンは、ダイヤモンドをもスパッと切断します」
処刑人「本当によろしいのですか?」
魔女「やれッ!」
魔女「金剛石をも切断するギロチンから生還したとあらば、私も晴れて魔女認定される!」
処刑人「なんと無謀な……」
処刑人「神よ、今この者をあなたの下に送ります!」ガシャンッ
処刑人「き、切れない……ッ!」
処刑人「ダイヤをも切断する刃が、首の肉……いや皮膚で止まっている!」
処刑人「それどころか……刃の方が砕け散っていくッ!」
パキィィンッ!
魔女「ふん……」
魔女「いい首のマッサージになったというものだ」コキッコキッ
魔女「どうだ?」
弁護士「ダイヤをも切り裂くギロチンから無傷で生還……たしかに魔女に相応しい芸当です」
弁護士「しかし……あなたが頑丈なだけである可能性もあります!」
魔女「ふん、一理ある」
魔女「ならば、王国の兵士を一千名ほどここへ連れてこいッ!」
魔女「そいつらを何人倒せるか挑戦し、私が魔女であることを証明してくれるわッ!」
兵士「ははっ!」ビシッ
検事「魔女と一千人の兵士の戦いか……」
裁判長「なかなか見応えがありそうですね! 一度トイレ休憩を挟むとしましょう!」
兵士「王国兵一千人を、全員病院に搬送いたしました!」
魔女「ご苦労」
裁判長「私がトイレに行ってる間に、決着していたとは……」
検事「いやー……無双というのはまさにこのことだ」
弁護士「ですが彼女は兵士たちを全て素手で倒しておりました!」
弁護士「これでもまだ、彼女を魔女と認定することはできないと考えます!」
裁判長「その通りですね」
魔女「ふん……まだ粘るか」
裁判長「というわけで、そろそろ分かりやすい魔法を見せてもらえませんか」
魔女「よかろうッ!」
裁判長「おおっ! 一体どんな魔法を見せてくれるというのですか?」
魔女「瓦を割ってしんぜよう」
バキャァァァァァンッ!
オォ~……! パチパチパチパチパチ…
裁判長「すごい……! 50枚もの瓦を粉砕した……!」
検事「あの巨大な体のいったいどこに、これほどの腕力が……!?」
魔女「これで分かっただろう? 私は魔女なのだと……」
弁護士「いえっ、分かりません!」
魔女「何ィ~!?」
弁護士「私は弁護人として、彼女はあくまでも魔女ではないと主張します!」
魔女「おのれぇぇぇ……まだ認めぬかァッッッ!」
魔女「ええい、私は魔女ッ! 魔女なのだッ! とっとと魔女認定して、とっとと捕えるがよいわッ!」
「もうやめてぇぇぇぇぇ!!!」
魔女「――来るなッ!」
真魔女「ううん……もういいの、ありがとう」
魔女「くっ……馬鹿め!」
裁判長「おやおや? これまた、背が小さくて可憐な少女が出てきましたが……」
裁判長「あなたはいったい?」
真魔女「私です! 私が本当の魔女なんです!」
ザワッ……!
検事「なんだと……!? じゃあ今出廷している彼女はいったい何者だというんだ!?」
真魔女「彼女は……私のお友達です!」
真魔女「ちょっと体は大きいけど……普通の女の子です!」
裁判長「普通の女の子である彼女が、なぜ自分を魔女と偽ったのです?」
真魔女「彼女は国が魔女を探してることを知って、私の身代わりになってくれたんです!」
真魔女「魔女狩りにあったら……私はきっと殺されてしまうから……」
真魔女「私も自分の命が惜しくて、彼女の提案に甘えてしまいました!」
真魔女「でも、やっぱり無理! 一番の友達を犠牲にすることなんてできない!」
弁護士「やはり、彼女は魔女ではなかったのか……」
裁判長「あなたは自分が魔女であると、今ここで証明できますか?」
真魔女「できます!」
真魔女「炎よ!」ボォッ
真魔女「水よ!」ザバァッ
真魔女「雷よ!」バリバリッ
裁判長「む……実に分かりやすい。どうやらあなたは本物の魔女のようです」
裁判長「さっきまで偽の魔女がやっていたことの方がすごく見えるのは、きっと気のせいでしょう」
裁判長「魔女であるあなたには、しかるべき裁きを与えます!」
真魔女「覚悟してます!」
魔女(バレてしまった……ッ! かくなる上は、私がなんとしてもあの子を逃がすッ!)
魔女(国を敵に回しては、もはや私の命運は尽きるであろうが……)
魔女(たとえ私は死ぬことになっても、親友は守ってみせるッ!)
裁判長「当裁判所は国を代表して、あなたのような魔女に対するこれまでの不当な扱いをお詫びいたします!」
真魔女「え……」
裁判長「魔女にはこれまで人権が認められていませんでしたが、今この時をもってあなたは人権を得ました」
裁判長「さらに、陛下より莫大な賠償金が支払われることになるでしょう」
真魔女「え、え……!?」
真魔女「あの、これは……どういうことですか?」
裁判長「我が国では、これまで長い間、魔女は迫害を受けておりました」
裁判長「だからこそ、この裁判で正式に魔女の名誉回復をしようと考えていたのです」
検事「だが、これは確実に歴史に残る一大事。魔女の認定は厳正に行わねばならない」
弁護士「そこで裁判という形を取ったわけさ!」
真魔女「そうだったんですか……!」
真魔女「よかった……やっと私、みんなと同じになれたんだ……」
魔女「よかったな」ガシッ
真魔女「ありがとう……!」ポロポロ…
兵士「女同士の友情……美しきかな!」
魔女「――しかし!」
裁判長「え」
検事「え」
弁護士「え」
魔女「だとしたら、私はなんのために油に入った!? ギロチンを喰らった!? 兵と戦った!?」
魔女「そしてなにより、なんのために瓦を150枚も割ったッ!?」
魔女「この怒り……発散せずにはいられぬわッッッ!!!」
……
……
真魔女「裁判所……壊れちゃったね」
魔女「ふん、これで少しはスカッとしたわい」
魔女「加減はしておいたから、死人も出ておらんだろう」
真魔女「やっぱりあなたって優しいね!」
魔女「おだてても何も出んぞ」フンッ
真魔女「じゃ、村に帰ろっか!」
魔女「応ッ!!!」
兵士「さようならー!」
検事(ううう……今日我々は二人の魔女に出会った……)
弁護士(一人は魔法を使う本物の“魔女”……)
裁判長(そしてもう一人は……マッスルな女……略して“マ女”……)
おわり