ガチャ
男「あの……何っすか?」
NHKの集金♀「やっと出てきた。まったく、見なさいっ! 指が赤くなっちゃったじゃない。何回インターホン押させる気よ」
NHKの集金♀「私がインターホンを押したら、即座に出ること! 3秒以内よ! 3秒以内! わかった?」
男「はぁ、すいません……あの、それで……何の用ですか?」
NHKの集金♀「はぁ? 見て分からないの? どこからどう見ても、NHKの集金じゃない」
男「え、NHK? でも――」
NHKの集金♀「アンタ、最近ここへ引っ越してきたのよね?」
男「は、はい。だけど――」
NHKの集金♀「引っ越しするなら、きちんと事前にNHKに連絡しなさいよ! まったく……ほらっ」
男「……?」
NHKの集金♀「『?』じゃないわよ! どんくさいわね……カード出せって言ってるの! キャッシュカード! あるでしょ?」
男「いや、でも……」
NHKの集金♀「なによ。さっきから『だけど~』だの『でも~』だの。男ならハッキリしなさいよね!」
男「うち、テレビ無いんスけど……」
NHKの集金♀「……え」
男「なんで、お引き取りを……」
NHKの集金♀「ははーん。そんなこと言って、騙されないんだから」
男「は?」
NHKの集金♀「私が下請けのバイトだからってなめてるのね? おあいにくさま! そんな嘘八百で騙される私じゃないわよ」
元スレ
NHKの集金♀「出てきなさい! いるのは分かってるんだから! 居留守したら死刑よ! 死刑!」
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男「いや、俺は別に嘘なんて……」
NHKの集金♀「黙りなさい! 『テレビが無い』ですって? フン、考えたわね。大胆な発想だわ」
NHKの集金♀「たしかに、NHKを受信できない環境ならば、受信料を払う必要は無い……当然よ」
男「はい。だからもう――」
NHKの集金♀「それが本当だったとしたら、ね」ニヤリ
男「えっ」
NHKの集金♀「嘘をつくならもっとマシな嘘をつきなさい! 『テレビが無いです』って? そんなの大嘘に決まってるんだから!」
男「いや、嘘とかじゃなくて……」
NHKの集金♀「テレビが無い部屋で、暇なときどうやって過ごすって言うの? そんなの、退屈で死んじゃうに決まってる!」
NHKの集金♀「ドラマもバラエティも観れないじゃない! アンタ、テレビを一切見ないで平気だって言うの?」
男「はぁ、まあ……」
NHKの集金♀「嘘! 絶対無理よ! DVDも観れないし! それに、そう! ゲームもできないじゃない! 耐えられるわけないでしょ!」
男「いや、でも本当に無いんですよ」
NHKの集金♀「ふぅーん……強情ね。いいわ、そこまで言うなら私が直々に確認してやるんだから」
男「えっ? か、確認って――」
NHKの集金♀「ほら、邪魔よ。そこ退いて。おじゃましまーす」
男「あ、ちょ、ちょっと!」
NHKの集金♀「……」
男「ほら、無いでしょ。テレビ」
NHKの集金♀「た、たしかにそう……だけど……! おかしいわ、そんなはずは……きっとどこかに……」
男「これで分かりましたよね。ほら、もう帰って――」
NHKの集金♀「待って! あなた一人じゃ信用ならないわ。他の家族の人にも聞いてみる」
男「他の……? いや、あの、ひとり暮らしですよ」
NHKの集金♀「えっ! ひ、ひとり暮らし……!?」
男「はい……」
NHKの集金♀「ちょ、ちょっと! そ、そういうことはもっと早く言いなさいよ!」
男「はぁ……そもそもこのアパートはひとり暮らししか受け入れてませんし……」
NHKの集金♀「こ、この変態!!!」
男「……え?」
NHKの集金♀「いたいけな少女を部屋に連れ込んで……ど、どういうつもりよ! ふたりきりで、な、何するつもり!?」
男「……いや、何もしませんよ……そもそも、勝手にあがりこんできたのはそっちで……」
NHKの集金♀「~~~~っ!/// う、うるさいうるさい!」
NHKの集金♀(や、やだ……私ったら、なんでドキドキしてるの……!?)
NHKの集金♀(こんな無害そうな男と密室でふたりきりになったぐらいで……そう、どうってことないじゃない!)
NHKの集金♀「いい!? 私に変なことしたら大声出すから! アンタなんかすぐ警察に捕まって、即刻死刑なんだからね!」
男「わかりましたから……もう帰ってくださいよ。テレビ、無いでしょ?」
NHKの集金♀「無いけど……でもひとり暮らしなんでしょ? だったら、余計におかしいわ!」
NHKの集金♀「アンタ、ひとりきりでテレビも無くて、何が楽しくて生きてるって言うのよ!」
男「テレビが無くても趣味とか楽しめますし……いや、そんなの君に関係ないでしょ?」
NHKの集金♀「趣味? ははーん、どうせエッチなことね。私を密室に連れ込むくらいだもの……おみとおしなんだから」
男「い、いや、別に……」
NHKの集金♀「そうよ! ひとりでエッチなことをするにもテレビは必要でしょ! ほら、あの……ぶぃ……とか……」
男「は?」
NHKの集金♀「だ、だからぁ……ぇー……ぶぃ、とか……観るんでしょ」
男「え?」
NHKの集金♀「~~~っ! もう! AVよ! AV! どうせAVとか観るんでしょって聞いてんの! なんてこと言わせるのよ! このド変態!」
男「み、見ませんよ。あんなのじゃ満足できませんし……」
NHKの集金♀「ほんとに? 信じられないわね。どうせ、どっかに隠してるんじゃないの? テレビと一緒に!」
男「か、隠してませんよ。何も……」
NHKの集金♀「今、動揺したでしょ」
男「えっ? べ、別に」
NHKの集金♀「うそっ! 絶対に動揺した! 隠してるのね!? やっぱり! 私の思った通り!」
男「あ、いや、何も隠してなんか」
NHKの集金♀「どこに隠してるのか、白状しなさい! 正直に言わないと、『ド変態男が集金人を襲った』ってニュース番組で報道してやるんだから!」
男「か、隠してませんって!」
NHKの集金♀「粘るわね……その根性は褒めてあげるわ。でも……」チラッ
NHKの集金♀「どうせその押入れの中に隠してあるんでしょ?」
男「えっ!」ビクッ
NHKの集金♀「ビンゴ! ひっかかったわね! 言ったでしょ! 下請けバイトだからってなめるなって!」
男「あ! おい!!!」
NHKの集金♀「テレビみーつけた!!!」
ガラッ
死体「」
NHKの集金♀「えっ」
男「……」
NHKの集金♀「……え、……ちょ、ちょっと……これって…………な、何……何なの、これ……?」
男「……はぁ」
NHKの集金♀「こ、答えなさいよっ! こ、これは――」
男「人間だよ。見りゃわかるでしょ」
NHKの集金♀「っ!」
男「……だから言ったのに、テレビなんて無いって…………余計な物見つけちゃったね」
NHKの集金♀「じょ、冗談……そう、冗談よね? そうでしょ? ど、ドッキリなんでしょ? だって、こんなの……」
男「ドッキリだったら良かったのにね」
男「君、ひとりきりで何が楽しくて生きてるんだって、言ったよね。……楽しいよ。ひとりじゃないから」
NHKの集金♀「ちょ、ちょっと……」
男「しかしなぁ。見られちゃったか……しょうがないよな。こうなっちゃったら。君も仲間入りだな」
NHKの集金♀「な、なによそれ……! ほ、包丁なんて持ち出して……! やめさないよっ!」
NHKの集金♀「それは、や、野菜とか斬ったりするためのものでしょ!? ……な、なにをするつもりよ……!?」
男「……わかるだろ? 斬るためだよ。君みたいな若くて可愛い子……好みだからね」
NHKの集金♀「っ! ううぅ……ご……ごめ……ごめんなさい……っ! あの、だ、誰にも……い、言わない、から……」
NHKの集金♀「わ、忘れっ、忘れる! 忘れるから……! ここで見たことを忘れるって、や、約束するっ! だから……だからっ」
男「信じられるわけないだろ。君が『テレビなんて無い』という言葉を信じなかったように、俺も疑り深いんだ」
NHKの集金♀「ひっ……! お、お願い……」
NHKの集金♀(だ、誰か……誰か助けて……!!!)
NHKの集金♀「誰かぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
NHKの集金♂(主人公)「チィーッス。NHKの集金でーす……っと。あれ? おっかしいな、ヒロインが先に来てるはずなんだけど……」
NHKの集金♀(ヒロイン)「!!! 主人公!」
男「……だ、誰だっ!?」
主人公「!? おいお前!!! ヒロインになにしてんだ!!!」
ヒロイン「しゅ、主人公……た、助けて……!」
主人公「ヒロインから離れろ!」
バキッ
男「うぐっ」
主人公「よくもヒロインを泣かせてくれやがったな……! オイ、アンタ! よく聞け……俺にはなぁ、この世で許せないことがふたつある……」
主人公「ひとつは、NHKの受信料を払わないこと……そして、ふたつめは……!」
主人公「かよわい少女の瞳を、絶望の涙で曇らせることだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
バキィィィィ
男「ぐああああああっ」
ドサッ
主人公「だ、大丈夫か! ヒロイン! おい!」
ヒロイン「………………………ぃよ」
主人公「え? なんだ?」
ヒロイン「遅いって言ったのよ! この馬鹿!」
ドカッ
主人公「ぐあっ! な、なにすんだよ!?」
ヒロイン「アンタが来るのが遅いから、私が変態に襲われそうになったんじゃない! ほんと、どんくさいんだから!」
主人公「それが助けてもらった相手に言う台詞かっ。……たく、素直に『ありがとう』って言えよな。恐ろしさのあまり震えながら泣いてたくせに」
ヒロイン「な、泣いてなんかいないわよ! このバカ! アホ! 変態! バカバカッ!」
主人公「いててっ! わかった! わかったから蹴るなって!」
ヒロイン「もう……! ほら! とっとと警察を呼びなさい! 事情聴取が終わったら、また集金よ! 公共放送の運営を支えるのは私たちなんだからねっ! フン!」
主人公「やれやれ、ほんとに素直じゃないやつだ……」
『オレとツンデレ集金人の仕事ぶりは公共の電波に乗せられない!?』
~完~