裁判長「ポケモンGOの法廷を開廷します。それでは、御剣検事。冒頭弁論を」
御剣「ポケモンGOは看過できない危険性を孕んでいる。その危険性を証明する事故・事件等の報告を受けた」
御剣「今回は、その報告の中でも特に注目されている一件について審理したい」
御剣「検察側は情報の提供者を証人として入廷させる用意がある。以上」
裁判長「結構。それでは、さっそく証人を――」
成歩堂「あの……スイマセン」
裁判長「なんでしょう」
成歩堂「ぽけもんごーって、なんですか?」
真宵「えっ!? ナルホドくん、ポケモンGO知らないの!? 遅れてるなあ」
成歩堂「その、ぽけもんごーってのは流行ってるの?」
真宵「流行ってるなんてもんじゃないよ! これはもう、『社会現象』どころか『地球現象』だね。知らないのは宇宙人かナルホドくんぐらいだよ」
成歩堂(そ、そんなにスケールが大きな話なのか……)
御剣「時事問題を把握することは我々にとって重要なはず。そんな世間知らずで、弁護がつとまるのか?」
成歩堂「うっ……」
裁判長「そ、そうですね。私も当然、知っていました。ポケモンGOですよね。ええ、知っていましたとも」
成歩堂(裁判長、たぶん知らなかったな……)
元スレ
Twitter民「ポケモンを追いかけてる小学生が飛び出してきた!」成歩堂「異議あり!!!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1469292722/
※このSSはフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません
御剣「証人、名前と職業を」
Twitter民「Twitter民です。Twitterやってるます。あ、これアカウントです。フォローよろしく」
成歩堂(Twitterって職業だったのか……)
裁判長「ついったー……というのは、近頃流行っているハイカラな文通のことですな? よく知っていますよ」
御剣「ポケモンGOが原因でどのような事件が起きたのか。証言をお願いしたい」
Twitter民「わかりました」
証言開始 ~ポケモンGOで起きた事件~
Twitter民「ポケモンGOって、先日から配信が始まったじゃないですか」
Twitter民「配信が始まった翌日ですよ。僕、車を運転してたんです」
Twitter民「そしたら、小学生が3人、突然車の前に飛び出してきて!」
Twitter民「ポケモンGOをプレイしていたらしくて……ポケモンを追いかけて車道に出たって言うんですよ」
Twitter民「もう、危うく轢くところでした。やっぱりポケモンGOは危険ですね」
裁判長「ふうむ……ポケモンを追いかけて車道へ……」
裁判長「孫とよくポケモンのアニメは見ますが、まさか現実に存在していたとは、驚きです」
御剣「……念のために言っておくが、現実世界にポケモンは存在しない」
裁判長「そうなのですか? ……よくわかりませんが。……まあとにかく、弁護人は尋問を始めてください」
成歩堂(こっちもよくわからないけど……とりあえず、やってみるか)
~尋問開始~
Twitter民『ポケモンGOって、先日から配信が始まったじゃないですか』
成歩堂「待った!」
成歩堂「あの……そもそもポケモンGOというのは、何なんですか?」
Twitter民「知らないんですか? 非常識な人だな」
成歩堂「はぁ……スイマセン」
御剣「スマートホン向けに配信されているアプリケーションだ。位置情報を用い、現実世界のマップに点在するポケモンを捕まえることができる」
成歩堂「へぇ……すごい世の中になったものだなぁ」
Twitter民「常識ですよ」
真宵「常識だよ! ナルホドくん!」
裁判長「ええ。知らないでは済まされません」
成歩堂(自分だってさっきまでよく知らなかったくせに!)
御剣「ろくに知識の無い弁護側を相手にするのは疲れそうだ。ここに基本的な機能をまとめた資料がある。配っておこう」
成歩堂「ど、どうも……」
成歩堂(これはよく目を通しておいたほうがいいだろうな……)
御剣「これで最低限の情報は共有できた。証人、証言の続きを」
Twitter民「はい」
Twitter民『配信が始まった翌日ですよ。僕、車を運転してたんです』
Twitter民『そしたら、小学生が3人、突然車の前に飛び出してきて!』
成歩堂「待った!」
成歩堂「それは危ないですね。その3人はどうなりましたか?」
Twitter民「無事でしたよ。急ブレーキが間に合いましたから」
裁判長「それを聞いて安心しました」
御剣「証人がペダルを踏むのが遅れていたら、3人は無事ではなかっただろう」
Twitter民「僕、反射神経良い方なんですよ。Twitterやってますから」
成歩堂「Twitterをやってる……それって反射神経と関係あるんですか?」
Twitter民「もちろん。Twitterは速さが命です。情報の発信、拡散、どちらも他の追随を許さないぐらいの速度でやらないと」
Twitter民「流行と思ったら、迷わず乗る。呟く、RT数とふぁぼを稼ぐ。鉄則ですよ」
成歩堂「ははぁ……そんなもんですか」
御剣「Twitterの話などどうでもいい。今はポケモンGOの弊害の話だ。弁護側はその一点に集中すべきだろう」
成歩堂(相変わらず、おかたい奴だな……)
成歩堂「……そ、それで、3人が飛び出してきて、事なきを得たあなたはどうしたんですか?」
Twitter民「とりあえず、説教しました。『どうして飛び出してきたんだ!』って。そしたら――」
Twitter民『ポケモンGOをプレイしていたらしくて……ポケモンを追いかけて車道に出たって言うんですよ』
成歩堂「異議あり!」
成歩堂「ポケモンを追いかけて車道に出た……? それ、ちょっと変じゃないですか?」
Twitter民「え?」
御剣「『ちょっと変』だと? 弁護士とは思えないような曖昧な表現だな。何度も言ったはずだ、成歩堂」
御剣「裁判で物を言うのは、証拠のみ。曖昧な表現をする前に、まず証拠を提示するべきだろう!」
成歩堂「わ、わかってるよ。僕がちょっと変だと思ったのは、この資料を読んだからです」
裁判長「資料? 私も読みましたが、特に疑問は感じませんでした」
真宵「ナルホドくん、どこがちょっと変なの?」
成歩堂「この資料を見る限り、ポケモンを捕まえるとき、ポケモンはその場から動かない仕様になっているみたいなんですけど……」
裁判長「ちょこまかと動かれたら、捕まえようにも捕まえられませんからな。当然でしょう」
成歩堂「……」
裁判長「……なんですか? そんな目で見つめて」
成歩堂「いやいや! 『なんですか?』じゃないですよ! だって変じゃないですか!」
成歩堂「動かないポケモンを、どうやって追いかけるって言うんですか!!!」
裁判長「あ!」
真宵「たしかに!」
Twitter民「!!!」
成歩堂「どういうことですか! Twitter民さん! 小学生3人は、どうやって動かないポケモンを追いかけたんですか!」
Twitter民「そ、そんなこと知りませんよ。小学生たちも知らなかったんじゃないですか?」
成歩堂「知らなかったとか、そんなこと関係ない! 動かないポケモンは追いかけようがないと言っているんです!」
Twitter民「し、知りませんよ! 僕は……知りませんから……そんなの、小学生たちに言ってやってくださいよ……」
成歩堂「いやいや、証言台に立ってるのはアナタなんですから、証言してもらわないと……」
御剣「異議あり!」
成歩堂「!」
御剣「……フッ。証人は『知らない』と言っている。賤しく追及する前に、自分でその理由を考えたらどうだ?」
成歩堂「そ、そんなこと言って……反論できないんだろう?」
御剣「どこかの誰かと一緒にしてもらいたくはない。反論できるからこそ、異議を申し立てた」
成歩堂「なに……!」
御剣「私の提示する証拠品も、この資料だ。ポケモンGOは、マップ画面とAR画面の二種を切り替えてプレイするのが基本」
御剣「ポケモンを捕まえるのがAR機能を用いた画面。こちらへ切り替わる前に、マップ画面でポケモンに遭遇する必要があるわけだ」
御剣「資料にも、『マップ上でポケモンの位置を確認し、現実世界でユーザーがその場所へ移動すると、ポケモンと遭遇できる。』と書いてある」
成歩堂「『現実世界でユーザーがその場所へ移動すると』……? あっ!!!」
御剣「フッ、気づいたようだな。そう、マップ上でポケモンがいる位置へ移動する……その行動は」
御剣「まさに、『ポケモンを追いかけている』と言えるだろう!」
成歩堂「うっ、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」
Twitter民「そ、そうだ! 小学生たちはきっと、そのポケモンがいる場所まで移動しようとしてたんだ! だから車道に飛び出したんですよ!」
Twitter民「ほら、なにも矛盾は無いでしょう? やれやれ、弁護士さんの難癖は怖いな。こうして冤罪が生まれる……さっそくツイッターで呟かないと」
成歩堂(うう……炎上してしまう)
真宵「……んー?」
成歩堂「? どうしたの? 真宵ちゃん」
真宵「うーん……私、スマホ持ってないからポケモンGOはやったことないんだけどさ」
成歩堂「えっ! やったことないの? あんなに偉そうに話してたのに……」
真宵「だってしょうがないじゃん! スマホが無いんだから! でも、プレイしてる映像は見たことあるよ!」
真宵「ニュースとかで散々流れてたし。それで、その映像と今の御剣検事の説明、ちょっと食い違いがあった気がする……」
成歩堂「食い違い?」
成歩堂(気になるな……)
裁判長「どうですか。たしかに、御剣検事の用意した資料によると、証言におかしな点は無いことになりますが」
成歩堂「裁判長! 弁護側には提案があります! 実際に、ポケモンGOをプレイして検証してみてはどうでしょう!」
成歩堂(真宵ちゃんの言っていた食い違い……実際にアプリをつかって検証するしかない!)
裁判長「たしかに、実物に触れた方が理解が深まるでしょうからな。いかがですか、検察側の意見は」
御剣「ム。……拒む理由は無いが」
裁判長「いいでしょう。係官、ポケモンGOをダウンロードした端末を持ってくるように」
真宵「やった! 念願のポケモンGOだ! 役得ってやつだね」
成歩堂「う、うん」
裁判長「ほほう、これが噂のポケモンGOですか。これはこれは」
御剣「私も実際のプレイ画面を見るのは初めてだ」
真宵「わー、いいなぁ。ねえ、はやくポケモンを捕まえようよ!」
裁判長「さあ、ナルホドくん! ポケモンをゲットしなさい!」
成歩堂(趣旨が変わってるぞ……)
成歩堂「ええっと…………ん?」
御剣「どうした」
成歩堂「ポケモンを探そうと思ったんだけど……どこにいるのか分からなくて」
御剣「何を言っている。マップ上にポケモンの位置が表示されているはずだ。そこへ移動すれば――」
成歩堂「表示されてないんだけど……」
御剣「なに?」
真宵「もー、これだから機械音痴は。貸して! ほら!」
成歩堂「真宵ちゃんだって機械音痴じゃないか」
真宵「いいから!」
ナルホド「あ、ちょ、ちょっと!」
真宵「どれどれー? んー? えーっと……あれ? ほんとだ……ポケモンの位置なんて表示されてないね」
成歩堂「だろ?」
御剣「ム……たしかに『近くにいるポケモン』の種類は表示されるが……ポケモンの詳細な位置までは分からないようだ」
ブブッ
成歩堂「ん? スマホが振動したぞ」
真宵「うおっ! すごい! ナルホドくん! ポケモンだ! ほら! 画面の上の方! コラッタだよ! 捕まえて捕まえて!」
成歩堂「うわっ、きゅ、急に出てきたな……! え、えっと~」
成歩堂(とりあえずタッチしてみよう……!)
真宵「画面が切り替わった! モンスターボール投げないと! はやくぅ!」
成歩堂「わ、わかったよ! えいっ」
真宵「やった! 捕まえた! コラッタ、ゲットだぜ!」
裁判長「ほほ! これは面白そうです。ぜひ、孫とやってみたいですな」
成歩堂「……」
御剣「……」
裁判長「どうしました? ふたりとも、深刻そうな顔をしていますが……」
成歩堂(御剣も気付いたようだな……)
成歩堂「裁判長。どうやら、検察側の用意した資料には間違いがあるようです」
裁判長「間違い?」
成歩堂「いいですか? 御剣検事の用意した資料には――」
成歩堂「『マップ上でポケモンの位置を確認し、現実世界でユーザーがその場所へ移動すると、ポケモンと遭遇できる。』と書かれていました」
成歩堂「ですが実際にプレイしてみると、画面上にポケモンが表示されるまでは、位置なんて確認しようが無い!」
成歩堂「さらに! 表示されたらされたで、画面上のポケモンにタッチさえすればすぐにAR画面へ切り替わる! つまり!」
成歩堂「マップ画面、AR画面など関係無く……一歩も動かずにポケモンを捕まえることができる! 移動する必要なんて、無い!」
裁判長「た、たしかに……!」
御剣「うぐっ……! こ、これはいったい……!」
裁判長「ふうむ……御剣検事。この資料はたしかなものなのですか?」
御剣「…………糸鋸刑事が公式HP等、webサイトで調べた情報をまとめたもの……のハズだが」
成歩堂「どうせ、ウィキペディアとかから拾ってきたんでしょう! 情報源が不確かであれば、根拠にはならない!」
御剣「ぐっ……こ、こちらの落ち度だ……次の給与査定、考慮しよう……」
成歩堂(イトノコ刑事には悪いことしたかな……)
成歩堂「さあ! Twitter民さん! どういうことですか! これでも、小学生たちはポケモンを追いかけていたと! そう言うんですか!?」
成歩堂「もしかして……そんな小学生、いなかったんじゃないですか!?」
Twitter民「ぐう! そんな、違う……! いたんだ! ポケモンを追いかけた小学生が……3人! 3人なんだ……! うう!」
成歩堂(どうもおかしいぞ、この証人……!)
裁判長「もし、その小学生がいたとして……追いかけることができないはずのポケモンを追いかけたのは何故か。一番の疑問はそこです」
裁判長「その疑問……検察側に答えることができるでしょうか」
成歩堂(答えられるはずないさ……!)
御剣「……ひとつ、可能性を提示することはできる」
成歩堂「……えっ」
御剣「今まさに開かれている、ポケモンGOのマップ画面を見てもらいたい。ここにオブジェが立っている」
裁判長「たしかに……青いのがひとつあります。いったいこれは……?」
御剣「ポケストップと呼ぶらしい。マップに表示されたこのオブジェに近づくことで、アイテムが手に入るようだ」
成歩堂「それが何だって言うんだ……? アイテムが手に入るからって……」
御剣「このポケストップには他にも機能がある。ルアーモジュールだ」
真宵「ルアー?」
裁判長「もじゅーる……? それはいったい」
御剣「ルアーモジュールというアイテムをポケストップに使用すると、その場所へポケモンが集まってくるらしい。一種の罠だろう」
成歩堂「あ、ああっ……!!!」
御剣「そう……。もし、小学生たちがこのルアーモジュールが使われたポケストップをマップ上で発見したら……どうなる?」
裁判長「まさか……!」
御剣「ポケストップに集まるポケモンを目指して移動するだろう。これは、ポケモンを追いかけるということになるのではないか?」
成歩堂「な、なんだってぇえええええええええええええええええええええっ」
Twitter民「そうだ! きっとそうだ! ははは! 小学生は3人! 3人はその、なんとかストップを目指したんだ!」
Twitter民「裁判長! 僕は証言しますよ! ああ、きっとそうに違いない!」
裁判長「なにやら盛り上がっているようですが……。新たに証言することがあると言うのであれば、お願いします」
Twitter民「3人……3人いたんですよ……」
証言開始 ~ポケストップを目指していた小学生3人~
Twitter民「た、たしかに、今思えば『ポケストップ』って言っていたような気がします!」
Twitter民「小学生3人はポケストップを目指していたんですよ! 3人! 間違いありません!」
Twitter民「公園から急に交差点へ飛び出してきて……本当にびっくりしたんですから!」
Twitter民「真実なんです! あんなにRTを稼げたんだ……今更嘘だったなんて、許されない……!」
裁判長「なにやら私的な感情を感じる証言でしたが……必死さは伝わりました」
御剣「ポケストップを目指していたのであれば、矛盾は無くなる」
成歩堂(いや、きっとまだどこかに穴があるはずだ……この証人は信用できない……!)
真宵「頑張ってナルホドくん!」
尋問開始
Twitter民『た、たしかに、今思えば『ポケストップ』とも言っていたような気がします!』
成歩堂「待った!」
成歩堂「そ、そんないい加減な! 最初からしっかりと証言してくれないと困ります!」
Twitter民「今思い出したんだからしょうがないでしょう! それに、ポケモンを追いかけていたってことに間違いは無いんだ!」
成歩堂「だ、だけど……!」
御剣「異議あり!」
御剣「人の記憶は曖昧なものだ。そんな水掛け論を展開しても先へは進まない。異議があるのであれば、決定的な証拠を出すのだな」
成歩堂「うぐぐ……じゃ、じゃあ、とりあえず先をお願いします」
Twitter民『小学生3人はポケストップを目指していたんですよ! 3人! 間違いありません!』
Twitter民『公園から急に交差点へ飛び出してきて……本当にびっくりしたんですから!』
成歩堂「待った!」
成歩堂「公園から……?」
Twitter民「そうですよ! ポケモンGOと言えば公園でしょう! ポケモンGOをやってる人たちは公園に集まるんです! そんなこと、ネットをやってれば常識ですよ!」
成歩堂「は、はあ……そうなんですか。公園……」
裁判長「弁護側は、そんなに『公園』が気になるのですか?」
成歩堂(どうだろう……僕が気になるのは……)
成歩堂「その……『公園』というのは、どこの公園ですか?」
Twitter民「ど、どこのって……そ、そう、この裁判所の近くの公園ですよ! あるでしょう!」
成歩堂(たしかに、すぐ近くに公園があったな……証言に加えてもらおうか……)
成歩堂「裁判長! 今の発言は非常に重要な意味を持ちます! 証言に加えてください!」
裁判長「いいでしょう。証人、今の発言を証言に加えるように」
Twitter民「は、はい……」
Twitter民『公園から急に交差点へ飛び出してきて……本当にびっくりしたんですから!』
Twitter民『この裁判所の近くにある公園ですよ!』
成歩堂「異議あり!」
成歩堂「裁判所の近くにある公園……間違いありませんね?」
Twitter民「ま、間違いない……!」
成歩堂「小学生がポケストップを目指してこの近くの公園に向かっていた。本当に、その証言に間違いは無いんですね?」
Twitter民「だ、だからそうだって、言ってるでしょう」
御剣「何が言いたい? もったいぶらず、ハッキリと言うんだな!」
成歩堂「いいでしょう、ハッキリ言います。それは、あり得ないんですよ。Twitter民さん」
Twitter民「なっ……!」
裁判長「あ、あり得ない? それは何故ですか!」
真宵「何でなの!? ナルホドくん!」
成歩堂「その答えは……ここにあります」
御剣「ポケモンGO……」
成歩堂「そう。さきほどから起動しているこのポケモンGO。そのマップ画面を見てください」
成歩堂「ちょうど、近くの公園も表示されています。御剣検事が見つけたポケストップはその公園にある」
裁判長「……?」
成歩堂「気付きませんか? 裁判所周辺のマップにあるポケストップは、この公園にあるひとつだけなんです」
御剣「あっ……ああっ!」
成歩堂「そう! マップ上でポケストップを発見し、その場所へ向かうのであれば、そこは公園だ!」
成歩堂「公園から飛び出してきたということは、つまり! ポケストップとは真逆の方向へ進んでいることになるんですよ!」
御剣「ぐ、ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」
Twitter民「う、うわああああああああああああああああああっ」
成歩堂「矛盾を隠すために新たな矛盾を生む……Twitter民さん! あなたの証言は、矛盾だらけだ!」
Twitter民「そ、そんなはずは……! そんなはずはないんだあああああああああああああああああああああああああ」
Twitter民「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
真宵「うわっ」
裁判長「ひえっ」
成歩堂(な、なんだなんだ? 凄い勢いでスマホを弄り出したぞ……?)
Twitter民「『もしよろしければRTお願いします! 冤罪で訴えられそうです! 非常識な弁護士のせいで!』」
Twitter民「『拡散希望! 僕は無実だ! 賛同してくれる人はふぁぼお願いします!』」
Twitter民「『僕は? 【有罪だと思う】【無罪だと思う】残り5分』」
Twitter民「俺は嘘なんて言ってねえんだよぉ! みろよぉ! このRT数! 嘘でこんなに伸びますかぁ?」
真宵「な、ナルホドくん……なんだか見てて痛々しいよ……!」
裁判長「あの……あまり審理中にケータイ電話を弄らないように……」
Twitter民「だったら投票で決めろよぉ! Twitterの投票機能でよぉ! 民主主義だろうがよぉ!!!!」
成歩堂(ら、埒があかないぞ……)
御剣「……証人。もう一度、落ちついて証言をしたらどうか」
Twitter民「俺は落ち着いてんだよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああ」
Twitter民「記憶だって間違い無いんだよ……その証明によぉ! 証言してやるよぉ! 」
裁判長「は、はい。お願いします」
成歩堂(裁判長、完全にひいちゃってるよ……)
証言開始 ~俺は真実しか言わない~
Twitter民「本当にありましたからぁ! 小学生が飛び出してきましたからぁ! 3人でしたぁ!」
Twitter民「俺が説教してやったんですよぉ! 車停めてぇ! 母親呼ばせてェ!」
Twitter民「そうだよ、母親がいたんだよ! そしたらやつら、『そっちが前見て運転しろ』って言ったんだよぉ!」
Twitter民「子供も親もアホだし、アプリもあぶねーつってんだよぉ! 問題定義して教訓を拡散なんだよぉ!!!!!!」
Twitter民「おら!!!!!!!!!! RTしろよ!!!!! ふぁぼれよぉ!!!!!!!!!!!!!11」
成歩堂(こ、これに尋問するのか……)
裁判長「ほら、ナルホドくん。さっさとやってください」
成歩堂「は、はい」
尋問開始
Twitter民『本当にありましたからぁ! 小学生が飛び出してきましたからぁ! 3人でしたぁ!』
Twitter民『俺が説教してやったんですよぉ! 車停めてぇ! 母親呼ばせてェ!』
成歩堂「待った!」
成歩堂「説教、ですか……」
Twitter民「そうですけど? まあ1時間ぐらいは揉めたかな。え? 悪いですか? いけないことをいけないと言えない世の中なんですか?」
成歩堂「あ、いえ……そういうわけではなく。わざわざ車を停めて、大変だなぁと」
Twitter民「まあ相手が悪いことしてるわけですから。そこは正さないと。賛同してくれますよね?」
裁判長「立派な心がけだと思いますよ。その妙な性格が無ければ、心から賛同できるのですが」
成歩堂「ちなみに、車はどこへ停めたんですか?」
Twitter民「は? どこへ? その場ですけど? 見過ごせないタチなんで、端に車停めて、説教しましたよ」
御剣「ム……」
裁判長「弁護人、今の発言に気になる点があるんですか?」
成歩堂(御剣は何か気になったみたいだな……)
成歩堂「もちろん。気になることしかありませんね」
裁判長「ほほう。それはいったい?」
成歩堂「Twitter民さんは、交差点で小学生を轢きそうになったと」
Twitter民「だから何度もそう言ってんだろうがよぉ!!!!!!!!!!!!!!!!」
成歩堂「その場で車を停め、説教をした……」
Twitter民「それがなんですか? は? おい……なんだっつーんだよぉおおおおおおおおお」
成歩堂「交差点は駐車禁止のはずですが……」
Twitter民「……………お?」
裁判長「あ、たしかに! かなり前ですが、そう習ったような気がしないでもないような……」
成歩堂(裁判長は免許を返納した方がいいな……)
Twitter民「は? そ、そんなの……少し先に行って停めたに決まってんでしょ……」
成歩堂「でも、さっきは『その場で停めた』と言っていましたよね」
Twitter民「それは……言い間違いですけど……?」
御剣「言い間違いだったとしても、やはり問題がある。そもそも、あの公園周辺は駐車禁止なのだ」
Twitter民「……は?」
成歩堂「今までの証言が事実だとしたら、あなたは駐車違反を犯したことになりますね」
Twitter民「あ、いや……」
御剣「しかも一時間。どちらも証人が自分で証言したことだ」
成歩堂「認めるんですか? 小学生を轢きそうになった挙句、駐車違反をしたと」
Twitter民「……………だよぉ」
成歩堂「……え?」
御剣「?」
裁判長「なんですか? はっきりと言ってください」
Twitter民「だから……小学生とか……別にいなくてぇ……全部……嘘だって言った……ですけどぉ……」
成歩堂「えっ」
御剣「なっ」
真宵「ぜ、全部……」
裁判長「嘘ですとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」
Twitter民「まあちょっとRT数とふぁぼ稼ぎたかったんで、軽く嘘ついちゃったって言うか……そういう事態もあるだろうっていう、シミュレーション的な……」
Twitter民「でも……今まで道徳とか説いてきた僕がぁ……駐車違反とか……アカウントのイメージが悪くなるっていうか……」
成歩堂(おいおい、勘弁してくれよ……! 空想の出来事で長々と……全部無駄じゃないか!)
御剣「……当然、分かっているな?」
Twitter民「え?」
裁判長「偽証罪……文句無しですな」
Twitter民「あ、いや」
真宵「前科、ゲットだぜ! って感じだね……」
成歩堂「ハハハ……笑えないよ」
御剣「とんだ茶番だ……裁判長、とっとと判決を」
成歩堂「弁護側、異議はありません」
裁判長「それでは、判決を言い渡します。このTwitter民は……」
有 罪
裁判長「では、本日はこれにて閉廷!」
END
20 : 以下、\... - 2016/07/24 02:50:43.399 vOFI4RZ60.net 23/26この事件なんか元ネタあんの?
21 : 以下、\... - 2016/07/24 02:55:38.337 hNJ5YLAE0.net 24/26>>20
このラルキ溢れるツイート
さっき交差点で小学生3人が赤信号を突っ切ってきました。思わず急ブレーキクラクション。小学生の手にはスマホ。少し離れた所にお母さんが3人で喋ってました。車を止めて「お母さん呼んで。」と言って保護者さんと少し話しました。そしたら
— えぬ。 (@nkunxxx) 2016年7月22日
「お兄さんもちゃんと前見て運転して下さい。」
続きいやいや、前見てたから飛び出してきたのを回避出来たんだろ?と反論。
— えぬ。 (@nkunxxx) 2016年7月22日
「子供が新しいゲーム(ポケモンGo)にハマるのは当然。メディアでも注意喚起してますし、運転者も少し頭に入れるべき。道端で子供がスマホを持っていたらポケモンを追いかけて飛び出してくるかも。と。」そもそも持たせてるのはアンタらの携帯やろ。こっちも運転する限りは最善の注意払ってるわ。バーチャル世界と現実世界をごっちゃにしすぎや。
— えぬ。 (@nkunxxx) 2016年7月22日
日本のレベルってここまで下がってんのかな。もしよければRTお願いします。
— えぬ。 (@nkunxxx) 2016年7月22日
全国のバカ親に思い知らせてやる。
あんたの可愛い可愛い子供が
たかだか無料ゲームポケモンGoで
命を落とすんだぞ。と。飛び出してきた、
— えぬ。 (@nkunxxx) 2016年7月22日
ブレーキ間に合った、
事故にならなかった、
だからいいじゃん
じゃねぇんだよばか。
なった原因を解決しねぇと
また繰り返されるだけだろーが。RTありがとうございます。
— えぬ。 (@nkunxxx) 2016年7月22日
各ツイートが1000を超える反応をしていただいており、
毎回ツイッターを閉じるたびに通知で埋め尽くされておりまして、中々リプ返出来ません。申し訳ありません。早すぎだからw嘘乙ww
— えぬ。 (@nkunxxx) 2016年7月22日
→俺だってそう思う。早い。だから問題。
13歳未満〜嘘乙ww
→親の携帯使ってプレイ
追いかけて飛び出してきたとか
ポケモンは遠くに逃げないから…嘘乙ww
→ならそれを小学生に言ってやれ。少なくとも俺が出会った小学生は知らんかったんだわ。
以上。
23 : 以下、\... - 2016/07/24 02:56:31.923 upoFbLUa0.net 25/26>>21
モンペ出したことでいっきに嘘くさくなったな
24 : 以下、\... - 2016/07/24 02:58:22.682 x/j1ivMN0.net 26/26>>21
こんなので6万リツイート超えちゃうのか・・・
頭弱すぎやろ