エリカ「お姉ちゃん!」
まほ「…な」
まほ「なにを考えてるのエリカ…」
エリカ「お姉ちゃん!私、西住エリカですよ!」
まほ「うわ…」
まほ(怖い…)
エリカ「お姉ちゃん~」
元スレ
エリカ「お姉ちゃん!」まほ「!?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1362146507/
まほ「ちょやめ…やめてエリカ」
エリカ「お姉ちゃん~」ぎゅう~
まほ「落ち着いてエリカ」
まほ「エリカは私の妹じゃない」
まほ「エリカの名字は逸見よ?」
エリカ「細かいことはどうでもいいじゃないですか!」
エリカ「これからは私を妹だと思ってください、隊長!」
まほ「ええー…」
エリカ「もう元副隊長はいません!」
エリカ「私を妹のように可愛がってください!」
まほ「どうしてそうなるの…」
エリカ「だって隊長は元副隊長のことを嫌っているのでしょう?」
まほ「いや…そんなことは」
エリカ「じゃあなぜ喫茶店で元副隊長を庇わなかったんですか?」
まほ「それは…」
エリカ「もちろん元副隊長より私のほうが好きだからですよねっ!」
エリカ「ね!」
まほ(参ったな…)
まほ(どうしたものか…)
エリカ「ほらお姉ちゃん!」
エリカ「一緒に帰りましょう!」
まほ「あ、ああ…」
まほ(慣れない…)
エリカ「一緒に寝ましょうね」
まほ「いや、まって」
まほ「…なんで?」
エリカ「?姉妹なんだから別に普通じゃないですか?」
まほ「姉妹じゃない」
エリカ「嫌ですか…お姉ちゃん?」
まほ「嫌だ」
まほ「いつものエリカに戻ってくれないか」
まほ「私のためにやってくれてるのかもしれんが」
まほ「正直、逆効果だ」
エリカ「…」
エリカ「…どうしてですか」
エリカ「そんなにあの元副隊長が好きなんですか!」
まほ「なんでそこでみほのことになるんだ…」
エリカ「私は…!私は…!」
エリカ「うううっ…」ポロポロ
まほ「なっ…」
まほ(あのエリカが泣くなんて…)
まほ「す、すまないエリカ…」
まほ「あー…えーと…」
まほ「わ、私が悪かった…?」
エリカ「ううっ…ぐすっ…泊めてください…」
まほ「あ、うんわかった…」
まほ(了承してしまった…)
エリカ「すみません隊長…いきなり泣き出してしまって…」
まほ「いい、ハンカチで涙を拭いて」
エリカ(隊長のハンカチ…)
エリカ「はい!」
まほ(さて、エリカを泊めることになったが…)
まほ(試合のミーティングをしておくのも良いことか)
まほ(今日はお母様も仕事でいないから大丈夫だろう)
まほ「行くぞ、エリカ」
エリカ「はい!」
菊代「おかえりなさいませ、まほお嬢様」
まほ「ただいま、菊代さん」
菊代「そちらのかたは…お友達でしょうか?」
まほ「ああ、うちの副隊長の逸見エリカ」
エリカ「よ、よろしくお願いします」
エリカ(ここが西住流の…)
菊代「西住家で家政婦として勤めております菊代です」
菊代「よろしくお願いします」
まほ「試合に向けてエリカと泊まりこみで話し合いたいんだ」
菊代「わかりました、用意しておきます」
まほ「ここが私の部屋だ」
エリカ「お、お邪魔します」
エリカ(隊長の部屋…!)
まほ「せっかく泊まるんだ」
まほ「戦術を練るぞ」
エリカ「はいっ!」
エリカ「こんなこともあろうかと決勝戦の地図をもってきました!」
まほ「用意がいいな…」
エリカ「隊長の妹ですから!」
まほ「それはもういい…」
エリカ「元副隊長を叩きのめしましょう!」
エリカ「――相手はせいぜい10輌未満」
エリカ「加えてこっちはティーガーを主力としたフル編成」
エリカ「戦車の数、質共に圧倒的ですね」
まほ「だが油断は禁物だ」
まほ「殲滅戦ではなくフラッグ戦だからな」
まほ「みほはその戦力差を覆してここまで来た」
まほ「万が一ということもある」
エリカ「…随分と妹のことを評価されているんですね」
まほ「油断をするなというだけだ」
まほ「…みほがそんなに気に入らないのか」
エリカ「はい」
まほ「どうして」
まほ「黒森峰をやめた後も戦車道を続けていたみほにいろいろ思うところがあるのはわかる」
まほ「だが、お前は少し過剰すぎないか」
エリカ「だって…」
エリカ「あいつが隊長の妹だからです!」
まほ「え」
エリカ「許せないんです」
まほ(私の妹であることとなんの因果関係が…?)
エリカ「…私は隊長が妹のことを深くお考えになってるのも知っています」
エリカ「隊長は妹に戦車道をやめて欲しかったんですよね?」
まほ「…」
エリカ「いままで妹に戦車道を続けてもらうべきか迷っていた」
エリカ「ですが去年の大会で隊長は妹に西住流は無理だと確信した」
エリカ「あの大会の後もあえて冷たくすることで妹が黒森峰から離れることを期待した」
エリカ「そしてうまくいった」
エリカ「私が喫茶で辛辣な発言をしてもなにも言わなかったのはその延長ですよね?」
まほ「…」
まほ「ずっと考えてたんだ」
まほ「みほにとって戦車道はなんなのか」
まほ「私は昔みほに『自分の戦車道を見つけなさい』と言った」
まほ「でも…そんなのここにいる限りは無理だ」
まほ「ずっと西住の娘としての宿命に縛られる」
まほ「ならばいっそ、戦車道をやめさせたほうがみほの幸せになる」
まほ「そう思ったんだ」
まほ「…まさか転校先でも続けてるとは思わなかったが」
エリカ「そうですか」
エリカ「羨ましいです、西住みほが」
エリカ「貴方からそこまで思われてるなんて」
エリカ「…それで隊長はどうなるんですか」
まほ「え?」
エリカ「隊長は一人で西住の重圧に耐えていかなきゃいけないんですよ!?」
エリカ「私は…私は許せないんです!」
エリカ「姉に全部の責任を押し付けて逃げた西住みほが!」
エリカ「私が…私が妹だったら…」
エリカ「私が妹だったら逃げない!」
エリカ「ずっと貴方の傍に居続ける!」
まほ「エリカ…」
まほ「いいんだ私は…」
まほ「私が望んでしたことだ」
まほ「西住流は私が継ぐ」
まほ「みほは自由になって欲しいんだ」
まほ「だからい…」
エリカ「貴方がよくても私は許せません!」
エリカ「私はずっと貴方に憧れていました」
エリカ「最初は西住流の跡取りとして」
エリカ「そして今では西住まほそのものに憧れています」
エリカ「貴方の妹だった西住みほが羨ましくてしょうがなかった」
エリカ「だから…だから…!」
エリカ「…隊長」
エリカ「私じゃ隊長の支えになりませんか」
まほ「エリカ…」
エリカ「貴方が西住の娘として受ける苦しみを貴方一人で背負わないで」
エリカ「私にもその苦しみを背負わせてください」
まほ「…」
エリカ「私はこれからも貴方についていくつもりです」
エリカ「私を…ずっと傍においてくれませんか」
まほ「…」
まほ「…ありがとう、エリカ」
エリカ「…」
まほ「…」
まほ「…もう遅いし寝るか」
エリカ「そ、そうですね」
エリカ(い、勢いに任せて恥ずかしいことを言ってしまった~!!////)
エリカ(『私を…ずっと傍においてくれませんか』)
エリカ(~ッ!////)
まほ「顔が赤いぞ、エリカ」
エリカ「そ…そんなことは…///」
まほ「…なあ、エリカ」
エリカ「は…はい」
まほ「一緒に寝ないか?」
エリカ「ええっ!」
まほ「お前が言ったんだぞ」
まほ「一緒に寝よう、って」
エリカ「で、ですが…」
エリカ「い…いいんですか?」
まほ「いいよ、私の妹なんだろ?」
エリカ「は…はい!」
まほ「ほら、布団入って」
エリカ「お…お邪魔します」
まほ「どうしてそんなに緊張するんだか」
エリカ「あ、暖かいですね」
まほ「寒いから丁度いいな」
まほ「…ありがとう、エリカ」
エリカ「隊長?」
まほ「さっきの言葉、嬉しかったよ」
まほ「私も…どこか心細かった」
まほ「一人で西住の娘として生きるのが…怖かった」
エリカ「隊長…」
まほ「本当に私についてきてくれるのか?」
エリカ「も、もちろんです!」
まほ「ふふ、エリカみたいな妹がいても悪くなかったかもな」
まほ「じゃあ、おやすみエリカ」
エリカ「おやすみなさい隊長」
まほ「…」
まほ「まあいいか」
まほ「おやすみ」
エリカ「?はい」
エリカ(今の間はいったい?)
エリカ(というかそれよりも…た、隊長と一緒に寝て…!)
エリカ(幸せ…だけど眠れそうにないのがつらい…!)
まほ「………すぅ…すぅ…」zzz…
エリカ(寝るのはや…可愛い寝顔)
エリカ(この人と…ずっと一緒にいたいな)
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まほ「ほら、朝だぞエリカ」
まほ「起きろ、朝の練習に遅れる」
エリカ「えあ…はい…」
エリカ(結局あんまり眠れなかった…)
エリカ「おはようございます、隊長」
まほ「…」
まほ「お姉ちゃん」
エリカ「はい?」
まほ「隊長じゃなくてお姉ちゃんだ」
エリカ「…なっ!?」
まほ「これからよろしくな、妹」
終