少年「ねえねえ、コウノトリさん」
コウノトリ「なんだ、ボウズ」
少年「赤ちゃんってどうやってできるの?」
コウノトリ「え!?」
元スレ
少年「赤ちゃんってどうやってできるの?」コウノトリ「え!?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1462529125/
コウノトリ「うーん、そりゃあれだ。男と女がセッ……」
少年「せ?」
コウノトリ(いや、早い! いくらなんでも早すぎる!)
コウノトリ(相手はまだ、サンタさんのためにソックスを用意してるぐらいの子供だぞ!)
コウノトリ「……赤ちゃんは、オレが運んでくるんだよ」
コウノトリ「んでもって、母親の腹の中に詰め込むんだ」
コウノトリ「ブタの腸にひき肉を詰め込んで、ソーセージを作るようにな……」
少年「そうだったんだ!」
少年「赤ちゃんが産まれるのは、コウノトリさんのおかげだったんだ!」
少年「すごいや!」
コウノトリ「へへへ……だろ?」
少年「じゃあ、今連れてきてくれない?」
コウノトリ「え、今!?」
少年「今!」
少年「もしかして……無理なの?」
コウノトリ(ここで無理だと答えて、とっとと諦めさせるのはEASYだ……)
コウノトリ(だけど、オレには……ッ!)
コウノトリ(ウソを教えちまった責任がある……ッ!)
コウノトリ(ウソを現実にする義務がある……ッ!)
コウノトリ「分かった……いいぜ。連れてきてやる」
コウノトリ「ちょっと待ってろ!」バサバサッ
少年「うん!」
産婦人科――
女「お~、よしよし、可愛いわねえ。その若さに嫉妬しちゃうわぁ」
赤ちゃん「ばぶぅ、ばぶぅ……」
コウノトリ「いた!」バサッ
コウノトリ「すんません、奥さん!」
女「なにかしら?」
コウノトリ「実は赤ちゃんをレンタルさせていただきたいのですが、よろしいですか?」
女「……!」
女はこの時のことを、後にこう振り返っている。
「普通なら、そりゃもちろん断るに決まってるわよ。非常識すぎる頼みだもの」
「だけど、なんでか分からないけど、あの時は断るという選択肢はなかったわ」
「なぜなら……あのコウノトリの目は真剣そのものだったから……」
女「ライオンは我が子をグランドキャニオンに突き落とすという……」
女「ならば生まれてまもない我が子を、コウノトリにレンタルする親がいてもおかしくないわ」
女「持っていきなさいな!」
コウノトリ「ありがとう!」バサバサッ
コウノトリ「連れてきたぜ!」
赤ちゃん「だぁ~、だぁ~」バブバブ
少年「わぁっ、かっわいい!」
少年「コウノトリさん……ありがとう!」
コウノトリ「へへへ……インディアンとコウノトリは嘘をつかないんだぜ」
少年「じゃあ次の質問ね」
コウノトリ「え」
少年「サンタさんってホントにいるの?」
コウノトリ(くわっ! まぁ~た答えづらい質問を……)
コウノトリ「どうしてそんなこと聞くんだ? ボウズ」
少年「だってさ、一晩で世界中の子供にプレゼント配るなんて、どう考えても無理があるよ」
少年「トナカイが飛ぶってのもおかしいし」
少年「コウノトリさんなら“真実”を知ってるかもしれないと思って」
コウノトリ「う、う~ん……」
コウノトリ(サンタさんはお前の両親なんだよ、って教えてやるべきか!?)
コウノトリ(――いや! まだ早い!)
コウノトリ(子供には10歳まではサンタを信じる権利があるんだ! それをブチ壊しちゃならねえ!)
コウノトリ「……いるよ。サンタさんは本当にいる」
少年「いるの!?」
コウノトリ「つうかオレがサンタ」
少年「マジですか!?」
少年「あのさ……コウノトリさん」
コウノトリ「なんだ?」
少年「お願い! プレゼントちょうだい!」
コウノトリ「え!?」
少年「……ダメ?」
コウノトリ「いいぜ……プレゼントしてやる。なにが欲しいんだ?」
少年「ドローン」
コウノトリ「!?」
コウノトリ「ドローンって……あの!?」
少年「あの」
コウノトリ「一時期世間を騒がせた?」
少年「そう」
コウノトリ(こ、こいつ……ッ! 二代目ドローン少年にでもなるつもりか!?)
コウノトリ「わ、分かった……ちょっと待ってろ!」バサバサッ
ドローン専門店――
店員「いらっしゃいませ」
盗撮ドローン ¥1,000,000
爆撃ドローン ¥3,500,000
四次元ドローン ¥5,000,000
コウノトリ(うへぇ~、ドローンってこんな高いのかよ)
コウノトリ(こりゃちょっと手が出せんわ……手作りするしかねえな)
コウノトリ「えぇっと……枝を短く折って……」パキッ
コウノトリ「もう一本の枝をTの字になるようにくっつけて、と」ペタッ
コウノトリ「完成!」
T
コウノトリ「ほれ、タケトンボだ」
少年「うわぁ、ありがとう!」ブルンッ ボトッ
少年「すごい勢いで地面に落ちるから楽しいや!」ブルンッ ボトッ
少年「だけどドローンはどうなったの?」ブルンッ ボトッ
コウノトリ「今はクリスマスじゃないから、多少グレードが落ちちまうんだ」
少年「じゃあ次ね」
コウノトリ「どんとこいや」
少年「どうして人を殺したらいけないの?」
コウノトリ「はうっ!?」
コウノトリ(赤ちゃん、サンタときて、いきなり重いじゃねーか……)
コウノトリ(こいつぁ……マイク・タイソン級の難問だぜ。一歩間違えりゃ、耳を失う!)
コウノトリ(――だけど、ここは人生の先輩としてビシッと答えねばならん!)
コウノトリ「どうして人を殺しちゃいけないか? そりゃあ、オレが決めたんだ」
少年「えっ、どういうこと」
コウノトリ「人が人を殺そうとする……するとどうなると思う?」
少年「どうなるんですか?」
コウノトリ「人って結構速いし、頭いいし、抵抗するし、案外難しいんだよ」
コウノトリ「だから……もっと楽な奴を狙うようになる」
少年「いったい誰を!?」
コウノトリ「コウノトリだ」ニヤッ
コウノトリ「そうなると、ただでさえ数が少ないコウノトリは絶滅しちまう」
コウノトリ「だからオレは“人は人を殺しちゃいけません”って決めたの」
コウノトリ「間接的にオレ自身を守るためにな!」
少年「コウノトリさんってすごいや!」
コウノトリ「だろ?」
少年「じゃあ次の質問ね」
コウノトリ「いいだろう」
コウノトリ(フッ、今のオレならどんな質問にだって答えられる!)
少年「宇宙ってどうやってできたの?」
コウノトリ「そりゃあ……ビッグバンだろ」
コウノトリ「大爆発が起きて、宇宙が誕生したんだ」
少年「その大爆発を起こしたのは、いったい誰なの?」
コウノトリ「そりゃもちろん、オレよ」ニヤッ
少年「えええええ!?」
少年「ねえねえ、ビッグバンってどうだった? どうだった?」
コウノトリ「そりゃ、まああれだ……ポップコーンみてえなもんだ。ポポポポーンって」
少年「熱くなかったの!?」
コウノトリ「多少は熱かったがな、まあオレほどになると……微熱みてえなもんさ」
少年「コウノトリさん、すげえ! すげえよ!」
少年「北極と南極ってあるじゃない?」
コウノトリ「ああ、NとSだな」
少年「地球って基本的に南の方が暑いのに、どうして南極の方が寒いの?」
コウノトリ「ああ、それもオレの仕業だ」
少年「コウノトリさんがやったの!?」
コウノトリ「北はどこも寒くて、南はどこも暑い。これじゃフェアじゃねえだろ?」
コウノトリ「だからオレが……ちょちょいとな。乱数調整みたいなもんよ」ニヤッ
少年「コウノトリさんのフェアプレー精神すげええええ!」
少年「どうして数学を勉強しなきゃいけないの?」
コウノトリ「コウノトリの数を数えるのに役に立つ」
少年「ピサの斜塔って、どうして傾いてるの?」
コウノトリ「オレのイタズラさ」
少年「フリーメーソンってなんなの?」
コウノトリ「オレのファンクラブだ」
少年「すごいよ! コウノトリさん、すごすぎるよ!」
コウノトリ「だろ?」
コウノトリ(フッ、遠い将来、全部ウソだったと気づく時が来るだろうが……)
コウノトリ(こうやって夢を見させる時期も必要だろう……)
少年「じゃあこれ、自由研究で発表するね!」
コウノトリ「え……!?」
コウノトリ「自由研究……? なんだよそれ!?」
少年「ゴールデンウィークの宿題さ!」
少年「今の話を『コウノトリ万能説』として、大々的に発表するんだ!」
少年「もしかしたらノーベル賞取れるかも! むふふふっ! うしゃしゃしゃっ!」
コウノトリ(まさか……暴走!?)
コウノトリ「ダメだっ! こんなもん発表したら!」
コウノトリ(オボ=ゴーチルートに突入しちまう! まだ若いのに! 子供なのに!)
少年「なんで?」
コウノトリ「なんでっていわれても……そ、そうだ!」
コウノトリ「自由研究は『コウノトリ・グラビア写真集』でいいじゃん!」クネクネッ
少年「ダメだい! 平凡すぎる!」
コウノトリ「そんなことねえよ!? コウノトリって特別天然記念物だし!」
少年「……どうしてそんな必死に止めるのさ」
コウノトリ「だ、だって……だってっ……!」
コウノトリ「全部ウソなんです! ウソだったんです!」
少年「えっ……」
少年「ウソだったの……?」
コウノトリ「はい、REDなウソでした」
少年「なんでウソついたんだよ!」
コウノトリ「うぐっ!」
少年「正直に答えたり分からないっていったら、ボクが君に幻滅すると思った!?」
少年「そんなことでボクが君を嫌いになると思った!?」
少年「ボクは……信頼されてなかったんだ! 信じてもらえてなかったんだ!」
コウノトリ「す、すまねえ……」
少年「ボクを信じてないから、君はウソをついたんだ!」
少年「君は最低の鳥だよ!」
コウノトリ「ううう……(返す言葉もねえ……)」
赤ちゃん「待てや」
コウノトリ「なんだ、今のバリトンボイスは……!?」
少年「あ、赤ちゃん!?」
赤ちゃん「坊」
少年「ボウ? え、ボク!? ボクのこと……!?」
赤ちゃん「なんで理解してやらへんのや」
少年「理解? なにを?」
赤ちゃん「コウノトリがどんな気持ちでウソをついたかってことや」
少年「理解もなにも、ウソは悪いことじゃんか! 理解する必要なんかないよ!」
赤ちゃん「ウソが悪いこととは限らへん」
赤ちゃん「相手の気持ちを尊重したからこそ、つくウソもあるんや。方便っちゅうやつや」
赤ちゃん「少なくとも、コウノトリはお前の期待に応えてやろうと必死やった」
赤ちゃん「だからこそ、あれこれと答えをでっちあげたんや」
赤ちゃん「そこに悪意なんて微塵もあらへん」
赤ちゃん「男の子なら、その気持ちをきちんと汲み取ってやれや」
少年「う、うん……。ごめんなさい……」
赤ちゃん「せやけど、コウノトリもコウノトリや」
コウノトリ「はいっ!」
赤ちゃん「坊のいうとおり、分からんことを知ったかぶりしたらあかん」
赤ちゃん「坊が傷つくのも分かるで」
コウノトリ「おっしゃる通り……です」
赤ちゃん「ぶっちゃけ、お前も楽しんどったろ? 自分のコウノトリ万能説」
コウノトリ「てへへ……」ペロッ
赤ちゃん「どっちもどっちやな。ま、仲良うせえや」
少年「ごめんね……君に気持ちも知らずにひどいこといって」
コウノトリ「いやオレの方こそ悪かった……」
赤ちゃん「じゃ、ワシはこれで消えるわ。母ちゃんが心配しとるかもしれんしな」
少年「あ、あのっ!」
コウノトリ「ぜひお名前を!」
赤ちゃん「河野や」
赤ちゃん「河野兎梨……。生まれたての――ピチピチギャルやで」ニカッ
赤ちゃん「じゃな」ザッザッ
少年&コウノトリ(ありがとう……コウノトリさん)
おわり

